(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014692
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】クランプ装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
B23Q3/06 302F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118788
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】596037194
【氏名又は名称】パスカルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 卓也
【テーマコード(参考)】
3C016
【Fターム(参考)】
3C016CA03
3C016CA04
3C016CB02
3C016CC02
3C016CE05
(57)【要約】
【課題】小型化されたクランプ装置を提供する。
【解決手段】クランプ装置は、固定対象物をベース体に固定することが可能なクランプ装置であって、ベース体に固定されるシリンダ本体と、シリンダ本体に対して往復動可能な出力部材と、出力部材を第1方向に駆動する第1シリンダ室と、出力部材を第2方向に駆動する第2シリンダ室とを備える。シリンダ本体は、内周管部分と外周管部分との二重管構造を有する本体部分を含み、内周管部分と外周管部分との間に隙間が形成される。出力部材は、シリンダ本体から突出するロッド部分と、ロッド部分に接続され、内周管部分の内側の空間を第1シリンダ室と第2シリンダ室とに区画するピストン部分とを含む。第1シリンダ室および第2シリンダ室に流体圧を各々供給する第1ポートおよび第2ポートが第1方向に開口するようにシリンダ本体に設けられる。第1ポートに供給された流体圧は、二重管構造に形成された隙間を経由して第1シリンダ室に伝達される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定対象物をベース体に固定することが可能なクランプ装置であって、
前記ベース体に固定されるシリンダ本体と、
前記シリンダ本体に対して往復動可能な出力部材と、
前記出力部材を第1方向に駆動する第1シリンダ室と、
前記出力部材を第2方向に駆動する第2シリンダ室とを備え、
前記シリンダ本体は、内周管部分と外周管部分との二重管構造を有する本体部分を含み、前記内周管部分と前記外周管部分との間に隙間が形成され、
前記出力部材は、前記シリンダ本体から突出するロッド部分と、前記ロッド部分に接続され、前記内周管部分の内側の空間を前記第1シリンダ室と前記第2シリンダ室とに区画するピストン部分とを含み、
前記第1シリンダ室および前記第2シリンダ室に流体圧を各々供給する第1ポートおよび第2ポートが前記第1方向に開口するように前記シリンダ本体に設けられ、
前記第1ポートに供給された流体圧は、前記二重管構造に形成された前記隙間を経由して前記第1シリンダ室に伝達される、クランプ装置。
【請求項2】
前記シリンダ本体の前記本体部分は前記ベース体に設けられた孔部に挿入され、
前記シリンダ本体は、前記孔部の径方向外方に延び、前記ベース体の前記第1方向側の面に当接するフランジ部分を含み、
前記フランジ部分は、前記内周管部分と一体に形成された第1部分と、前記外周管部分と一体に形成された第2部分とを有する、請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記第1ポートおよび前記第2ポートは前記第1部分に形成された、請求項2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記ピストン部分の外周に設けられた第1シール部材と、前記フランジ部分の前記第1部分と前記第2部分との間に設けられた第2シール部材とをさらに備え、
前記クランプ装置を前記第1方向または前記第2方向からみたとき、前記二重管構造に形成された前記隙間は、前記第1シール部材と前記第2シール部材との間に形成される、請求項2または請求項3に記載のクランプ装置。
【請求項5】
前記フランジ部分の前記第1部分および前記第2部分は、各々前記第1方向および前記第2方向から互いに当接することにより前記第1方向および前記第2方向において相対的に位置決めされ、
前記シリンダ本体の径方向における前記第1部分および前記第2部分の位置決めは、前記第1部分と前記第2部分との間に設けられた前記第2シール部材を介して行われる、請求項4に記載のクランプ装置。
【請求項6】
前記内周管部分と前記外周管部分との間に形成された前記隙間は、前記二重管構造の全長にわたって形成される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のクランプ装置。
【請求項7】
前記内周管部分と前記外周管部分との間に形成された前記隙間は、前記内周管部分を全周にわたって取り囲むように環状に形成される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のクランプ装置。
【請求項8】
前記第1ポートの底部から前記第1方向および前記第2方向に対して斜めに交差する方向に延び、前記内周管部分と前記外周管部分との間に形成された前記隙間に達する流路が形成された、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のクランプ装置。
【請求項9】
前記出力部材は、旋回運動を伴わずに前記シリンダ本体に対して往復動する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のクランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、クランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エア圧や油圧などの流体圧を用いて出力部材を動作させるシリンダ装置が従来から知られている。シリンダ装置の出力を用いて固定対象物をベースに固定するクランプ装置も従来から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-103425号公報
【特許文献2】国際公開第2019/026584号
【特許文献3】特開平04-175503号公報
【特許文献4】実公昭50-2947号公報
【特許文献5】実開昭48-13689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クランプ装置の更なる小型化が求められる。本技術の目的は、小型化されたクランプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術に係るクランプ装置は、固定対象物をベース体に固定することが可能なクランプ装置であって、ベース体に固定されるシリンダ本体と、シリンダ本体に対して往復動可能な出力部材と、出力部材を第1方向に駆動する第1シリンダ室と、出力部材を第2方向に駆動する第2シリンダ室とを備える。シリンダ本体は、内周管部分と外周管部分との二重管構造を有する本体部分を含み、内周管部分と外周管部分との間に隙間が形成される。出力部材は、シリンダ本体から突出するロッド部分と、ロッド部分に接続され、内周管部分の内側の空間を第1シリンダ室と第2シリンダ室とに区画するピストン部分とを含む。第1シリンダ室および第2シリンダ室に流体圧を各々供給する第1ポートおよび第2ポートが第1方向に開口するようにシリンダ本体に設けられる。第1ポートに供給された流体圧は、二重管構造に形成された隙間を経由して第1シリンダ室に伝達される。
【発明の効果】
【0006】
本技術によれば、クランプ装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】1つの実施の形態に係るクランプ装置の第1状態(クランプ状態)を示す縦断面図である。
【
図3】
図2に示すボルト800周辺の断面図である。
【
図4】1つの実施の形態に係るクランプ装置の第2状態(アンクランプ状態)を示す縦断面図である。
【
図5】
図1~
図4に示すクランプ装置に流体配管を接続した状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0009】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0010】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0011】
また、本明細書において幾何学的な文言および位置・方向関係を表す文言、たとえば「平行」、「直交」、「斜め45°」、「同軸」、「沿って」などの文言が用いられる場合、それらの文言は、製造誤差ないし若干の変動を許容する。本明細書において「上側」、「下側」などの相対的な位置関係を表す文言が用いられる場合、それらの文言は、1つの状態における相対的な位置関係を示すものとして用いられるものであり、各機構の設置方向(たとえば機構全体を上下反転させる等)により、相対的な位置関係は反転ないし任意の角度に回動し得る。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るクランプ装置(リンククランプ)の第1状態(クランプ状態)を示す縦断面図であり、
図2は、
図1に示すクランプ装置の上面図である。
図1は、
図2中のA-A断面に第1ポート30(シリンダ中心からみた径方向位置は維持したもの。)を加えて図示したものである。
【0013】
本実施の形態に係るクランプ装置は、固定対象物1をベース体2に固定することが可能なクランプ装置である。
図1の例では、固定対象物1の固定位置10がクランプ装置により固定されている。
【0014】
図1,
図2に示すように、クランプ装置は、シリンダ本体100と、出力部材200と、第1シリンダ室300と、第2シリンダ室400と、クランプアーム500と、ボルト600と、シール部材700と、ボルト800を含む。
【0015】
シリンダ本体100は、ベース体2に固定される。シリンダ本体100は、本体部分110と、フランジ部分120とを含む。
【0016】
シリンダ本体100の本体部分110はベース体2に設けられた孔部20に嵌挿される。本体部分110は、内周管部分111と外周管部分112との二重管構造を有する。
【0017】
シリンダ本体100のフランジ部分120は、孔部20の径方向外方に延び、ベース体2の上面に当接する。フランジ部分120は、内周管部分111と一体に形成された第1部分121と、外周管部分112と一体に形成された第2部分122とを有する。フランジ部分120の第1部分121および第2部分122は、各々上方向および下方向から互いに当接することにより上下方向において相対的に位置決めされる。フランジ部分120の上面は、水平方向に延びるように平坦に形成される。
【0018】
出力部材200は、シリンダ本体100に対して往復動可能に設けられる。出力部材200は、シリンダ本体100から突出するロッド部分210と、ロッド部分210に接続され、内周管部分111の内側の空間を第1シリンダ室300と第2シリンダ室400とに区画するピストン部分220とを含む。
【0019】
第1シリンダ室300は、シリンダ本体100における本体部分110の内部空間に形成される。より具体的には、第1シリンダ室300は、内周管部分111の内側に形成される。第1シリンダ室300は、出力部材200を上方向(第1方向)に駆動する。
図1に示す状態(クランプ状態)においては、第1シリンダ室300に流体圧が供給されている。
【0020】
第2シリンダ室400は、シリンダ本体100における本体部分110の内部空間に形成される。より具体的には、第2シリンダ室400は、内周管部分111の内側に形成される。第2シリンダ室400は、出力部材200を下方向(第2方向)に駆動する。
図1に示す状態(クランプ状態)においては、第2シリンダ室400の流体圧は排出されている。
【0021】
クランプアーム500は、出力部材200の上端部に回動可能に取り付けられる。さらに、リンク部材510がシリンダ本体100およびクランプアーム500を接続するように取り付けられる。リンク部材510は、シリンダ本体100およびクランプアーム500に対して回動可能に接続される。シリンダ本体100、出力部材200、クランプアーム500、およびリンク部材510によりリンク機構が構成される。出力部材200の上下動に伴ってリンク機構が駆動し、クランプアーム500が回動する。これにより、クランプ動作およびアンクランプ動作が実現される。
【0022】
ボルト600は、シリンダ本体100をベース体2に固定する。ボルト600は、シリンダ本体100におけるフランジ部分120の第1部分121および第2部分122を上方向から貫通する。ボルト600の先端(下端)はベース体2に固定される。なお、ボルト600に代えて、ピンなど他の締結部材が用いられてもよい。
【0023】
シール部材700は、第1シール部材710と、第2シール部材720と、第3シール部材730とを含む。
【0024】
第1シール部材710は、出力部材200のピストン部分220の外周に設けられる。第1シール部材710は、第1シリンダ室300と第2シリンダ室400との間をシールする。
【0025】
第2シール部材720は、シリンダ本体100におけるフランジ部分120の第1部分121と第2部分122との間に設けられる。第2シール部材720の設置位置(上下方向および径方向)は、フランジ部分120内において適宜変更可能である。第2シール部材720は、第1シリンダ室300とシリンダ本体100の外部との間をシールする。シリンダ本体100におけるフランジ部分120の第1部分121および第2部分122は、第2シール部材720を介して径方向に沿って相対的に位置決めされる。
図1においては、内周管部分111と外周管部分112の軸心が一致する理想的な位置決めが行われた状態が示されているが、第2シール部材720の変形による若干の位置ずれ(内周管部分111と外周管部分112の軸心のずれ)は、第1シリンダ室300への流路が確保される限り許容される。
【0026】
第3シール部材730は、出力部材200のロッド部分210とシリンダ本体100との間に設けられる。第3シール部材730は、第2シリンダ室400とシリンダ本体100の外部との間をシールする。第3シール部材730の上方には、スクレーパ700A(ダストシール)が設けられる。
【0027】
図3は、ボルト800周辺の断面図である。
図3に示すように、ボルト800は、シリンダ本体100におけるフランジ部分120の第1部分121および第2部分122を下方向から貫通する。ボルト800の先端(上端)は第1部分121に固定される。なお、ボルト800に代えて、ピンなど他の締結部材が用いられてもよい。
【0028】
図2に示すように、シリンダ本体100の上面に第1ポート30および第2ポート40が設けられている。第1ポート30および第2ポート40は、上方向に開口するようにシリンダ本体100に設けられる。第1ポート30および第2ポート40はフランジ部分120の第1部分121に形成される。第1ポート30および第2ポート40は、ボルト600およびボルト800よりも出力部材200の軸心に近い位置に設けられる。第1ポート30および第2ポート40は、クランプアーム500の中心軸(
図2中の左右方向に延びる軸)に関して互いに反対側に位置する。第1ポート30および第2ポート40は、クランプ装置を上方向または下方向からみたときに、クランプアーム500(クランプ状態、アンクランプ状態、およびそれらの中間状態)と重ならない位置に設けられる。
【0029】
第1ポート30は、第1シリンダ室300に流体圧を供給するためのポートである。第2ポート40は、第2シリンダ室400に流体圧を供給するためのポートである。
【0030】
図1に示すように、第1ポート30は、傾斜穴31および隙間32を介して第1シリンダ室300と連通する。第1ポート30に供給された流体圧は、傾斜穴31および隙間32を経由して第1シリンダ室300に供給され得る。第1シリンダ室300に供給された流体圧は、隙間32および傾斜穴31を介して第1ポート30から排出され得る。
【0031】
傾斜穴31は、第1ポート30の底部から上方向および下方向に対して斜めに交差する方向に延び、隙間32に達する。傾斜穴31は、第1ポート30と隙間32とを接続する。傾斜穴31は、シリンダ本体100の下方向に向かうにつれてシリンダ本体100の径方向外方に向かうように傾斜している。上下方向に対する傾斜穴31の傾斜角度は5°以上60°以下程度(より好ましくは15°以上45°以下程度)である。ただし、傾斜角度は上記の範囲に限定されない。
【0032】
隙間32は、シリンダ本体100における本体部分110の内周管部分111と外周管部分112との間に形成される。クランプ装置を上方向または下方向からみたとき、シリンダ本体100の二重管構造に形成された隙間32は、第1シール部材710と第2シール部材720との間に形成されている。隙間32は、シリンダ本体100の二重管構造の全長にわたって形成される。
【0033】
隙間32の上端は傾斜穴31と連通する。隙間32の下端は第1シリンダ室300と連通する。隙間32は、内周管部分111を全周にわたって取り囲むように環状に形成される。したがって、隙間32の径方向の幅は、傾斜穴31の径よりも小さくてもよい。ここでいう「隙間32の径方向の幅」は、内周管部分111と外周管部分112の軸心が一致する理想的な位置決めが行われた状態における隙間32の径方向の幅を意味する。
【0034】
図4は、本実施の形態に係るクランプ装置(リンククランプ)の第2状態(アンクランプ状態)を示す縦断面図である。
図4は、
図2中のA-A断面に相当する断面に第2ポート40(シリンダ中心からみた径方向位置は維持したもの。)を加えて図示したものである。
【0035】
図4に示すように、第2ポート40は、傾斜穴41を介して第2シリンダ室400と連通する。第2ポート40に供給された流体圧は、傾斜穴41を経由して第2シリンダ室400に供給され得る。第2シリンダ室400に供給された流体圧は、傾斜穴41を介して第2ポート40から排出され得る。
【0036】
傾斜穴41は、第2ポート40の底部から上方向および下方向に対して斜めに交差する方向に延び、第2シリンダ室400に達する。傾斜穴41は、第2ポート40と第2シリンダ室400とを接続する。傾斜穴41は、シリンダ本体100の下方向に向かうにつれてシリンダ本体100の径方向内方に向かうように傾斜している。上下方向に対する傾斜穴41の傾斜角度は0°以上45°以下程度(より好ましくは10°以上30°以下程度)である。ただし、傾斜角度は上記の範囲に限定されない。
【0037】
図1に示す状態(クランプ状態)から、第1シリンダ室300の流体圧を排出し、第2シリンダ室400に流体圧を供給することにより、出力部材200が下方に駆動され、リンク機構が駆動してクランプアーム500が矢印B方向に回動する。これにより、
図4に示す状態(アンクランプ状態)が実現される。
【0038】
図5は、クランプ装置に流体配管3,4を接続した状態を示す上面図である。
図6は、
図5の状態を示す正面図である。
【0039】
図5,
図6に示すように、流体配管3は、接続部3Aにおいて第1ポート30に接続される。流体配管3を介して第1シリンダ室300に対する流体圧の給排が行われる。流体配管4は、接続部4Aにおいて第2ポート40に接続される。流体配管4を介して第2シリンダ室400に対する流体圧の給排が行われる。接続部3A,4Aに作動流体の流量を調整する流量調整弁が設けられてもよい。
【0040】
本実施の形態に係るクランプ装置においては、シリンダ本体100の上側に開口するように第1ポート30および第2ポート40を設けるため、ベース体2に流路を設ける必要がない。したがってベース体2を薄型化することが可能である。この結果、クランプ装置を含む機構全体を上下方向に小型化することが可能となる。
【0041】
本実施の形態に係るクランプ装置においては、さらに、下側の第1シリンダ室300に対して、二重管構造により形成された隙間32を介して流体圧を供給するため、シリンダ本体100に流路を形成するための加工を簡略化することができる。特に、シリンダ本体100における本体部分110に上下方向の流路を形成するための穴加工を省略することが可能となる。この結果、穴加工に必要な加工しろの分だけシリンダ本体100を小型化することができ、これに伴ってクランプ装置の小型化が図られる。
【0042】
上述したクランプ装置において、シリンダ本体100の本体部分110の外径はたとえば10mm以上40mm以下程度(より好ましくは15mm以上30mm以下程度)とすることができる。また、シリンダ本体100の高さ(本体部分110の底面からフランジ部分120の上面までの高さ)は20mm以上100mm以下程度(より好ましくは30mm以上70mm以下程度)とすることができる。ただし、シリンダ本体100の寸法は上記のものに限定されるものではない。
【0043】
上述したクランプ装置は、切削加工されるワークの固定の用途に加え、搬送装置、組立装置など、より小型化が求められる用途にも使用され得る。ただし、本技術に係るクランプ装置の用途は、上記のものに限定されない。
【0044】
上述した実施の形態においては、リンク部材510を有し、出力部材200が旋回運動を伴わずに上下移動するリンククランプについて説明したが、本技術に係るクランプ装置はリンククランプに限定されず、スイングクランプ等、他の形式のクランプ装置であってもよい。なお、リンククランプにおいては出力部材200およびクランプアーム500が旋回しないため、シリンダ本体100の上面に設けられる第1ポート30および第2ポート40の配置の自由度が高く、スイングクランプと比較すると、クランプ装置のさらなる小型化を図ることが可能である。
【0045】
上述した実施の形態においては、第1シリンダ室300および第2シリンダ室400に供給する流体圧としてエア圧を用いるエアシリンダについて説明したが、本技術に係る流体圧シリンダはエアシリンダに限定されず、たとえば油圧を用いる油圧シリンダであってもよい。第1シリンダ室300および第2シリンダ室400に供給される流体圧は、たとえば1MPa以下程度である。流体圧を1MPa以下程度に制限することにより、シリンダ本体100の本体部分110における内周管部分111および外周管部分112を、より薄く形成することができるので、クランプ装置のさらなる小型化を図ることが可能である。ただし、本技術において流体圧は上記の範囲に限定されない。
【0046】
上述した実施の形態においては、流体圧のみによって出力部材200を駆動する構造について説明したが、流体圧に加えて補助的に、または流体圧に代わって出力部材200を駆動する付勢部材が第1シリンダ室300または第2シリンダ室400に設けられてもよい。
【0047】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
1 固定対象物、2 ベース体、3,4 流体配管、3A,4A 接続部、10 固定位置、20 孔部、30 第1ポート、31 傾斜穴、32 隙間、40 第2ポート、41 傾斜穴、100 シリンダ本体、110 本体部分、111 内周管部分、112 外周管部分、120 フランジ部分、121 第1部分、122 第2部分、200 出力部材、210 ロッド部分、220 ピストン部分、300 第1シリンダ室、400 第2シリンダ室、500 クランプアーム、510 リンク部材、600 ボルト、700 シール部材、700A スクレーパ、710 第1シール部材、720 第2シール部材、730 第3シール部材、800 ボルト。