(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146923
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
A47J27/00 103C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054366
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】椿 恵
(72)【発明者】
【氏名】川村 尚也
(72)【発明者】
【氏名】大川 侑亮
(72)【発明者】
【氏名】大村 拓匡
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA63
4B055CC70
4B055EA01
(57)【要約】
【課題】炊きムラを抑制することができる炊飯器を提供する。
【解決手段】炊飯器は、鍋と、鍋を収容する収容領域を有する筐体と、鍋の上部開口部を覆う蓋体と、鍋内に米を供給する米供給部とを備える。蓋体には、鍋内に米を投入するための米投入口が設けられている。米供給部は、一端部に米投入口に向けて開口する開口部を有する筒状の送米管を備える。蓋体は、米投入口を通って鍋内に投入される米が通過する通過領域であって、米投入口に対して鍋側に配置された米拡散部材を備える。米拡散部材は、中心部と中心部から放射状に延びた複数の腕部とを備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と
前記鍋を収容する収容領域を有する筐体と、
前記鍋の上部開口部を覆う蓋体と、
前記鍋内に米を供給する米供給部と
を備え、
前記蓋体には、前記鍋内に米を投入するための米投入口が設けられており、
前記米供給部は、一端部に前記米投入口に向けて開口する開口部を有する筒状の送米管を備え、
前記蓋体は、前記米投入口を通って前記鍋内に投入される米が通過する通過領域であって、前記米投入口に対して前記鍋側に配置された米拡散部材を備え、
前記米拡散部材は、
中心部と
前記中心部から放射状に延びた複数の腕部と
を備える、炊飯器。
【請求項2】
前記中心部は、上下方向に直交する断面の断面積が上方に向かって小さくなるように、形成されている、請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
複数の前記腕部のうち隣接する2つの前記腕部の間隔は、前記中心部の軸線の周方向において120度未満である、請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
複数の前記腕部は、前記中心部の軸線の周方向において、等間隔に配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記蓋体は、
前記米投入口が設けられた蓋体本体と、
前記蓋体本体よりも下方に前記蓋体本体と間隔を開けて配置され、前記米投入口と連通した米排出口が設けられた取り付け部材と
を備え、
前記米拡散部材は、前記米排出口を下方から覆うように配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記米投入口の開口面積は、前記米排出口の開口面積よりも小さい、請求項5に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記送米管と前記米投入口との間に配置され、前記送米管の前記開口部を通過した米を前記米投入口に案内する筒状の案内管を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記案内管は、前記送米管と前記米投入口との間の位置と、前記案内管の内部に前記送米管が位置する位置とに移動するように構成されており、
前記送米管と前記案内管とは、前記案内管の内部に前記送米管が位置している状態で、上面視において前記送米管と前記案内管とが前記米投入口とずれる位置に移動するように構成されている、請求項7に記載の炊飯器。
【請求項9】
前記送米管は、上面視において、前記送米管が前記米投入口とずれる位置に移動するように構成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鍋内への米の供給を自動的に行うことができる炊飯器が知られている。この種の炊飯器の一例として、特許文献1には、米を保存する米びつ部と、米をとぐ米とぎ部と、米とぎ部でとがれた米を炊飯する炊飯部とを備える炊飯器が開示されている。特許文献1の炊飯器では、米とぎ部でとがれた米は、炊飯部の内釜に自動的に投入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の炊飯器では、炊き上がる米飯の硬さのムラ(以下、炊きムラという場合がある)が発生することがある。
【0005】
本開示は、炊きムラを抑制することができる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本開示は、以下のように構成する。
本開示の一態様に係る炊飯器は、
鍋と
前記鍋を収容する収容領域を有する筐体と、
前記鍋の上部開口部を覆う蓋体と、
前記鍋内に米を供給する米供給部と
を備え、
前記蓋体には、前記鍋内に米を投入するための米投入口が設けられており、
前記米供給部は、一端部に前記米投入口に向けて開口する開口部を有する筒状の送米管を備え、
前記蓋体は、前記米投入口を通って前記鍋内に投入される米が通過する通過領域であって、前記米投入口に対して前記鍋側に配置された米拡散部材を備え、
前記米拡散部材は、
中心部と
前記中心部から放射状に延びた複数の腕部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、炊きムラを抑制することができる炊飯器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1の炊飯器に係る鍋、鍋容器、および蓋体の分解斜視図。
【
図3A】
図1の炊飯器において、鍋容器の底部に設けられている凹部を示す図。
【
図3B】
図1の炊飯器において、鍋、鍋容器、および蓋体を取り外した状態の筐体の斜視図。
【
図4】本開示の実施形態に係る連通部材が第1連通位置にあるときの
図1の炊飯器の縦断面図。
【
図5】本開示の実施形態に係る連通部材が第2連通位置にあるときの
図1の炊飯器の縦断面図。
【
図6】本開示の実施形態に係る第1連通位置にある連通部材の上面図。
【
図7】本開示の実施形態に係る第2連通位置にある連通部材の上面図。
【
図10】本開示の実施形態に係る米拡散部材の模式的な斜視図。
【
図12】本開示の実施形態の変形例に係る炊飯器の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
本開示者らは、炊きムラを低減するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
【0010】
従来の炊飯器においては、通常、蓋体に設けられた米投入口を通じて、鍋の上方から米を自重によって落下させることで、米を鍋内に供給するように構成されている。このため、鍋に投入された米が山なりになり、鍋内の米の全部が水に浸されない場合がある。その結果として、水に浸された米と浸されていない米との間に炊きムラが生じることがある。
【0011】
そこで、本開示者らは、米投入口を通って鍋内に投入される米が通過する通過領域であって、米投入口に対して鍋側に米拡散部材を配置する構成を見出した。この構成によれば、米投入口を介して鍋内に米を投入した場合に、投入される米が米拡散部材に当たることによって、各方向に拡散される。その結果として、鍋に投入された米が山なりになることが抑制されることで、炊きムラを抑制することができる。この新規な知見に基づき、本開示者らは、以下の発明に至った。
【0012】
本開示の一態様によれば、
鍋と
前記鍋を収容する収容領域を有する筐体と、
前記鍋の上部開口部を覆う蓋体と、
前記鍋内に米を供給する米供給部と
を備え、
前記蓋体には、前記鍋内に米を投入するための米投入口が設けられており、
前記米供給部は、一端部に前記米投入口に向けて開口する開口部を有する筒状の送米管を備え、
前記蓋体は、前記米投入口を通って前記鍋内に投入される米が通過する通過領域であって、前記米投入口に対して前記鍋側に配置された米拡散部材を備え、
前記米拡散部材は、
中心部と
前記中心部から放射状に延びた複数の腕部と
を備える、炊飯器を提供する。
【0013】
この構成によれば、米投入口を通って鍋内に投入される米が米拡散部材の中心部および腕部に当たることによって、各方向に拡散される。その結果として、投入された米が鍋内で山なりになることが抑制されることで、炊きムラを抑制することができる。
【0014】
前記中心部は、上下方向に直交する断面における断面積が上方に向かって小さくなるように、形成されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、中心部の上下方向に直交する断面における断面積が上方に向かって小さくなっているため、鍋内に投入され、中心部に当たった米が、中心部の側方に拡散され易くなる。その結果として、投入された米が鍋内で山なりになることが抑制されることで、炊きムラを抑制することができる。
【0016】
複数の前記腕部のうち隣接する2つの前記腕部の間隔は、前記中心部の軸線の周方向において120度未満であってもよい。
【0017】
ここで、中心部の軸線の周方向とは、中心部の軸線を中心とする仮想円の周方向を意味している。これは、以下の説明においても同様である。
【0018】
複数の腕部のうち隣接する2つの腕部の間隔が過度に広いと、鍋内に投入される米のうち、隣接する2つの腕部の間を通り、米拡散部材の中心部にも腕部にも当たらない米の割合が増加することがある。これに対して、この構成によれば、複数の腕部のうち隣接する2つの腕部の間隔が、中心部の軸線の周方向において120度未満であるので、前記間隔が120度以上の場合と比較して、鍋内に投入される米のうち、中心部にも腕部にも当たらない米の割合を低減することができる。その結果として、米投入口を通って鍋内に投入される米が米拡散部材の中心部または腕部に当たることにより、鍋内で山なりになることが抑制されることで、炊きムラを抑制することができる。
【0019】
複数の前記腕部は、前記中心部の軸線の周方向において、等間隔に配置されていてもよい。
【0020】
この構成によれば、複数の腕部が中心部の軸線の周方向において等間隔に配置されているので、鍋内に投入され、腕部に当たった米が各方向に満遍なく拡散される。その結果として、投入された米が鍋内で山なりになることが抑制されることで、炊きムラを抑制することができる。
【0021】
前記蓋体は、前記米投入口が設けられた蓋体本体と、前記蓋体本体よりも下方に前記蓋体本体と間隔を開けて配置され、前記米投入口と連通した米排出口が設けられた取り付け部材とを備えてもよく、前記米拡散部材は、前記米排出口を下方から覆うように配置されてもよい。
【0022】
米拡散部材が米投入口を下方から覆うように取り付けられている場合、米投入口を通じて鍋内に投入される米が、米拡散部材に当たってはね返ることで、米投入口から蓋体の外側にこぼれることがある。この構成によれば、米拡散部材が、米投入口が設けられた蓋体と間隔を開けて配置された下蓋に設けられた米排出口を下方から覆うように配置されている。このため、米拡散部材が米投入口を下方から覆うように取り付けられている場合と比較して、米拡散部材と米投入口との間の距離が大きくなる。これにより、米投入口を通じて鍋内に投入される米が、米拡散部材に当たってはね返った場合であっても、米が米投入口から蓋体の外側にこぼれることを抑制することができる。
【0023】
前記米投入口の開口面積は、前記米排出口の開口面積よりも小さくてもよい。
【0024】
この構成によれば、米投入口の開口面積が、米排出口の開口面積よりも小さいので、米投入口を通じて鍋内に投入される米が、米排出口を下方から覆うように設けられた米拡散部材に当たってはね返った場合でも、米が米投入口から蓋体の外側にこぼれることを抑制することができる。
【0025】
前記炊飯器は、前記送米管と前記米投入口との間に配置され、前記送米管の前記開口部を通過した米を前記米投入口に案内する筒状の案内管を備えてもよい。
【0026】
送米管の開口部と米投入口とが離れている場合、送米管の開口部を通った米が、米投入口に入らず、蓋体の外側にこぼれることがある。これに対して、この構成によれば、筒状の案内管が、送米管の開口部を通過した米を米投入口に案内するため、送米管の開口部を通った米が蓋体の外側にこぼれることを抑制することができる。
【0027】
前記案内管は、前記送米管と前記米投入口との間の位置と、前記案内管の内部に前記送米管が位置する位置とに移動するように構成されてもよく、前記送米管と前記案内管とは、前記案内管の内部に前記送米管が位置している状態で、上面視において前記送米管と前記案内管とが前記米投入口とずれる位置に移動するように構成されてもよい。
【0028】
この構成によれば、例えば、炊飯時に、送米管および案内管を米投入口とずれる位置に移動させることで、鍋内で発生する蒸気が米投入口を通って送米管または案内管の内部に入ることを抑制できる。また、例えば筐体内において送米管および案内管を米投入口とずれる位置に移動させた場合に、案内管の内部に送米管が位置しているので、筐体内で送米管と案内管とをコンパクトに収容できる。
【0029】
前記送米管は、上面視において、前記送米管が前記米投入口とずれる位置に移動するように構成されてもよい。
【0030】
この構成によれば、例えば、炊飯時に、送米管を上面視で米投入口とずれる位置に移動させることで、鍋内で発生する蒸気が米投入口を通って送米管の内部に入ることを抑制できる。
【0031】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。この実施形態によって本開示が限定されるものではない。また、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0032】
また、以下では、説明の便宜上、通常使用時の状態を想定して「上」、「下」、「前」、「後」、「横」等の方向を示す用語を用いるが、本開示に係る炊飯器の使用状態等を限定することを意味するものではない。
【0033】
(実施形態)
本開示の実施形態に係る炊飯器の全体構成について説明する。
図1は、本開示の実施形態に係る炊飯器の斜視図である。本実施形態に係る炊飯器は、米および水の鍋内への供給から炊飯まで自動的に行うことができる、いわゆる全自動炊飯器である。本開示に係る炊飯器は、いわゆる全自動炊飯器に限定されず、米の鍋内への自動供給をするものであればよい。
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係る炊飯器は、筐体11、鍋2(
図2に示す)と、鍋容器21と、蓋体22と、米容器301と、水容器401とを備えている。
【0035】
筐体11は、上面視において、角丸長方形状である。言い換えると、筐体11は、上面視において、矩形形状の対向する2辺が半円の円弧状に曲げられたような形状を有する。本実施形態において、筐体11の一方の曲面側を前方という。また、筐体11の他方の曲面側を後方という。さらに、筐体11の前方および後方に向かう方向を前後方向といい、当該前後方向に対して直交する方向を横方向という。本実施形態では、
図1の左上および右下に向かう方向を、横方向Xとする。また、左下および右上に向かう方向を、前後方向Yとする。さらに、横方向Xおよび前後方向Yに対して直交し、
図1の上方および下方に向かう方向を高さ方向Zとする。本実施形態の高さ方向Zは、上下方向に一致する。また、本実施形態では、横方向X、前後方向Y、および、横方向Xと前後方向Yとに対して交差する方向を、側方という場合がある。
【0036】
筐体11の下側かつ前側には、鍋容器21を収容可能な収容領域12が設けられている。収容領域12は、筐体11の一部であり、鍋容器および蓋体22を収容する空間を画定する。収容領域12は、鍋容器21および蓋体22を収容領域12の側方からスライド移動させて収容できるように構成されている。
図1では、一例として、鍋容器21を収容領域12の前方から前後方向Yに沿ってスライド移動させて収容できる構成を示している。筐体11の上端部には、筐体11を覆うとともに後述する米容器301を覆う筐体蓋11aが着脱可能に取り付けられている。
【0037】
収容領域12には、鍋容器21と、鍋容器21に収容される鍋2(
図2参照)と、鍋容器21に着脱可能に取り付けられている蓋体22が収容されている。鍋容器21は、後述する収容領域12の底部12a(
図3B参照)に載置されている。以下、本実施形態において、収容領域12に収容されている鍋容器21には、鍋2が収容されるとともに蓋体22が取り付けられているものとする。
【0038】
収容領域12に収容されている鍋容器21の高さは、収容領域12の高さよりも低い。鍋2、鍋容器21、および蓋体22は、蓋体22が鍋容器21に取り付けられたまま、収容領域12と、筐体11の外部でかつ収容領域12の側方との間を、前後方向Yに沿ってスライド移動することによって、筐体11に対して着脱可能である。
【0039】
米容器301は、米を収容する容器である。米容器301は、筐体11の内部でかつ収容領域12の上方に設けられている。言い換えると、米容器301は、筐体11の内部で筐体蓋11aの下方に筐体蓋11aに隣接するように設けられている。
【0040】
水容器401は、水を収容する容器である。水容器は、筐体11の後側かつ上側に設けられている。
【0041】
図2は、
図1の炊飯器に係る鍋、鍋容器、および蓋体の分解斜視図である。
図3Aは、
図1の炊飯器において、鍋容器の底部に設けられている凹部を示す図である。
図3Bは、
図1の炊飯器において、鍋、鍋容器、および蓋体を取り外した状態の筐体の斜視図である。
【0042】
図2に示すように、鍋2は、有底筒状の形状を有する。すなわち、鍋2は、底部2aと、側壁2bと、開口部2cと、フランジ部2dを有する。フランジ部2dは、側壁2bの上端部の周方向の全周に亘って、側壁2bの上端部から鍋2の外側に向かって側方に延在している。
【0043】
鍋容器21は、鍋2を収容可能な有底筒状の形状を有する。すなわち、鍋容器21は、底部21aと、側壁211(
図4に示す)と、開口部21hとを有する。鍋容器21は、例えば、樹脂などで形成されている。
【0044】
側壁211は、内壁部21bと、リブ21cと、外壁部21dとを有する。内壁部21bの外周面には、長手方向が高さ方向Zに沿うように複数のリブ21cが突出して設けられている。外壁部21dは、内壁部21bの外周面と互いに対向するとともに内壁部21bとの間に複数のリブ21cを挟み込むように設けられている。側壁211内、すなわち、内壁部21bと外壁部21dとの間には、空気層21eが形成されている。
【0045】
鍋2が鍋容器21に収容されているとき、鍋容器21の内壁部21bと鍋2の側壁2bとの間、および、鍋容器21の底部21aと鍋2の底部2aとの間には、隙間が形成されている。そのため、鍋容器21と鍋2との間に隙間が無い場合と比べて、後述する鍋加熱装置7により鍋2が加熱されたときに鍋容器21に伝わる熱を抑えられるので、鍋容器21の熱による損傷を抑えることができる。
図4に示すように、鍋2が鍋容器21に収容されているとき、鍋容器21の内壁部21bの上端部には、鍋2のフランジ部2dが載置されている。言い換えると、鍋2が鍋容器21に収容されているとき、鍋2は、鍋容器21の内壁部21bの上端部によって支持されている。
【0046】
図3Aに示すように、鍋容器21の底部21aの下面側、すなわち、底面には、凹部21fが設けられている。凹部21fは、凹部の側壁21gを有している。凹部の側壁21gは、両端部に直線部が設けられ、2つの直線部が半円の円弧で構成されている曲線部で接続されているU字状の形状を有する。言い換えると、鍋容器の底部21aには、U字状の溝部が設けられている。凹部の側壁21gの直線部の間の長さ、すなわち、U字状の溝部の幅の長さは、鍋容器21の底部21aの半径の長さよりも長くなるように設けられている。凹部の側壁21gの下面は、U字状に沿うように設けられている平面である。また、鍋容器21の底部21aの中央部には、底部21aを高さ方向Zに貫通している貫通穴が設けられている。
【0047】
図3Bに示すように、収容領域12の底部12aには、収容領域12に収容される鍋容器21を載置するための凸部61が設けられている。凸部61の形状および寸法は、鍋容器21の凹部21fの形状および寸法に対応している。凸部61は、円弧状であり、筐体11から突出するように設けられている。凸部61は、凸部61の高さが凹部の側壁21gの高さよりも高くなるように設けられている。これにより、鍋容器21が収容領域12に収容されているとき、鍋容器21の底部21aと収容領域12の底部12aとの間には、隙間が形成されている。また、収容領域12の底部12aには、開口部12bが設けられている。開口部12bは、凸部61を2つに分割するように設けられている。
【0048】
凸部61の周方向の全周に亘って、凸部61の外側には、凸部周辺部11cが設けられている。凸部周辺部11cは、鍋容器21が収容領域12に収容されるとき、凹部の側壁21gの下面と対向するようにリング状に設けられている平面である。凸部61の直径の長さは、凸部61が凹部の側壁21gの両直線部の間に位置するときに凸部61の外側面が凹部の側壁21gの両直線部の近傍に位置する長さであるとともに、凸部周辺部11cの半径の長さよりも長くなるように設けられている。
【0049】
鍋容器21が収容領域12と、筐体11の外部で且つ収容領域12の側方との間をスライド移動するとき、凸部61は、凹部21f内で相対的に摺動する。より具体的には、凹部の側壁21gは、凸部61の外側面と相対的に摺動する。これにより、鍋容器21のスライド移動がガイドされる。また、本実施形態では、凹部の側壁21gに曲線部が設けられているので、凸部61の外側面と凹部の側壁21gの曲線部とを当て止めすることができる。そのため、鍋容器21のスライド移動を繰り返しても、鍋容器21を収容領域12内の予め決められた位置により確実に移動させることができる。言い換えると、鍋容器21は、鍋容器の底部21aのU字状の溝部が延在する方向にスライド移動し、当該溝部の側壁21gと凸部61の外側面とを相対的に摺動させることによって、スライド移動をガイドされる。また、凸部61の外側面と溝部の曲線部とを当て止めすることができるので、鍋容器21のスライド移動を繰り返しても、鍋容器21を収容領域12内の予め決められた位置により確実に移動させることができる。更に、鍋容器21は、鍋容器21が凸部61に載置されているとき、凹部の側壁21gおよび凸部61の外側面が相対的に摺動するように凸部61の周方向に正逆回転可能である。
【0050】
図2に示すように、蓋体22は、蓋体本体22aと、米投入口22bと、鍋パッキン22cと、取り付け部材22dとを有する。
【0051】
本実施形態において、蓋体本体22aは、リング状の平板部分と、当該リング状の平板の周方向の外周面と面一になるような外周面を有する円筒状部分とを有する。また、蓋体本体22aの円筒状部分の外周面は、蓋体22を鍋容器21に着脱可能に取り付けたとき、鍋容器21の側壁211の外周面と面一になる。なお、本実施形態において、平板とは、略平板を含み、面一とは、略面一を含む。
【0052】
米投入口22bは、蓋体本体22aの平板部分の幅方向の中央部に設けられている。後述する送米装置3により送米される米および後述する送水装置4により送水される水は、鍋2内に供給される際に米投入口22bを通る。本実施形態の米投入口22bは、上面視において蓋体22の中央部に配置されている。本実施形態の米投入口22bは、上面視で円形の穴である。米投入口22bは、鍋容器21内に収容される鍋2と同軸に配置されている。
【0053】
鍋パッキン22cは、蓋体22が鍋2の開口部を覆うように鍋容器21に着脱可能に取り付けられているとき、鍋2と接触するように設けられている。鍋パッキン22cの上面視において中央部には、米投入口22bと連通する貫通孔が設けられている。
【0054】
取り付け部材22dは、鍋パッキン22cを間に挟み込むようにして蓋体本体22aに取り付けられている。取り付け部材22dは、蓋体本体22aの下方に蓋体本体22aから高さ方向Zに間隔を開けて配置されている。また、取り付け部材22dは、米投入口22bと連通する米排出口22eを有する。米排出口22eは、上面視で円形の穴である。米排出口22eは、米投入口22bと同軸に配置されている。米排出口22eの直径は、米投入口22bの直径より大きい。言い換えれば、米投入口22bの開口面積は、米排出口22eの開口面積よりも小さくなっている。また、
図2では図示しないが、取り付け部材22dには、後述する米拡散部材23(
図4に示す)が取り付けられている。
【0055】
図4は、
図1の炊飯器の縦断面図である。詳細には、
図4は、後述する連通部材5が第1連通位置にあるときの
図1の炊飯器の縦断面図である。
図5は、後述する連通部材5が第2連通位置にあるときの
図1の炊飯器の縦断面図である。
【0056】
図4に示すように、筐体11は、送米装置3と、送水装置4と、連通部材5と、重量検知装置6と、鍋加熱装置7と、温度検知装置8と、制御部9(
図5に示す)とを有する。
【0057】
送米装置3は、送米軸31と、送米羽根32と、送米管33と、案内管34とを有する。送米軸31は、米容器301の下方から収容領域12の上方まで水平方向に配置されている。送米羽根32は、送米軸31の軸周りに螺旋状に形成されている。米容器301に収容されている米は、重力により落下し、例えば、モータなどで回転される送米軸31および送米羽根32により収容領域12の上方に向かって水平方向に送米される。収容領域12に鍋容器21が収容されているとき、収容領域12の上方に送米された米は、重力により落下し、送米管33および案内管34を通って、蓋体22の米投入口22bを通じて鍋2内に入る。すなわち、送米装置3は、米容器301内の米を鍋2内に供給することができる。本実施形態の送米装置3は、本開示に係る米供給部の一例である。
【0058】
送米管33は、一端部に米投入口22bに向けて開口した開口部33aを有する円筒状の部材である。送米管33の他端部は、送米軸31および送米羽根32が収容される筒状の本体の内部に連通している。送米管33は、前記本体に対して移動可能である。送米管33は、鍋2と同軸に配置されている。言い換えれば、送米管33の中心軸線は、鍋2の中心軸線C(
図9に示す)と一致する。ここで、本明細書における「一致する」とは、厳密な意味で一致する場合に限定されない。本明細書における「一致する」とは、厳密な意味での「一致する」態様と、炊きムラの程度が許容される範囲内で厳密な意味での「一致する」から若干ずれた態様とを含む。
【0059】
案内管34は、送米管33と米投入口22bとの間に配置され、送米管33を通った米を米投入口22bに案内する円筒状の部材である。案内管34は、送米管33と同軸に配置されている。言い換えれば、案内管34の中心軸線は、送米管33の中心軸線と一致する。これにより、送米管33と案内管34と鍋2とは同軸に配置されている。案内管34の内径は、送米管33の外径より大きい。また、案内管34は、高さ方向Zに移動可能である。これにより、案内管34は、
図4に示す位置から上方に移動することで、案内管34内に送米管33が収容される位置(
図5に示す位置)に移動可能である。一方で、案内管34の内径は、米投入口22bの直径よりも小さい。
【0060】
送水装置4は、送水管41と、送水ポンプ(図示せず)とを有する。送水装置4は、筐体11の内部に配置されている。
【0061】
送水管41の一端部は、収容領域12に収容された蓋体22の米投入口22bに向けて開口するように設けられている。送水管41の他端部は、水容器401(
図1に示す)の内部に連通可能に接続されている。送水管41には、送水ポンプが設けられている。送水ポンプが駆動することで、水容器401内の水が、送水管41を通って鍋2内に供給される。
【0062】
連通部材5は、連通部材本体51(
図6および
図7に示す)と、蒸気筒52とを有する。連通部材5は、蓋体22の米投入口22bと送米装置3および送水装置4とを流体連通させる第1連通位置(
図4に示す)と、蓋体22の米投入口22bと蒸気を筐体11の外部へ排出可能な蒸気筒52とを流体連通させる第2連通位置(
図5に示す)とに移動できるように配置されている。
【0063】
蒸気筒52の一端部は、
図5に示すように連通部材5が第2連通位置に位置するとき、蓋体22の米投入口22bを介して鍋2内と連通するように連通部材本体51(
図6に示す)の上面に設けられている。連通部材5が第2連通位置に位置するとともに収容領域12に鍋容器21が収容されているとき、鍋2内の蒸気は、蓋体22の米投入口22bおよび蒸気筒52を介して筐体11の外部へ排出される。
【0064】
図6は、第1連通位置にある連通部材5の上面図である。
図7は、第2連通位置にある連通部材5の上面図である。
【0065】
図6および
図7を参照すると、連通部材本体51は、板状の部材である。連通部材本体51は、回動軸51aを中心に回動可能に筐体11(
図4に示す)に取り付けられている。また、連通部材本体51には、送米管33、案内管34、および蒸気筒52が取り付けられている。送米管33と、案内管34と、蒸気筒52とは、回動軸51aを中心として鍋2の中心軸線Cを通過する仮想円V上に配置されている。これにより、連通部材本体51が回動軸51aを中心に回動することで、連通部材5は、送米管33および案内管34が、鍋2の中心軸線C上、つまり米投入口22b(
図4に示す)の上方に位置する第1連通位置と、蒸気筒52が鍋2の中心軸線C上、つまり米投入口22bの上方に位置する第2連通位置とに移動可能である。また、上述したように、案内管34は、案内管34内に送米管33が収容される位置(
図5に示す位置)に移動可能である。連通部材5が第1連通位置から第2連通位置に移動するとき、案内管34は、案内管34の内部に送米管33を収容する位置に移動するとともに、上面視において、米投入口22bからずれた位置に移動する。これにより、送米管33と案内管34とを筐体11内にコンパクトに収容できる。案内管34は、図示しないカム機構により、連通部材本体51の回動軸51aを中心とした回動に伴って高さ方向Zに移動してもよい。案内管34は、図示しないモータなどの駆動機構により高さ方向Zに移動してもよい。
【0066】
図4を参照すると、重量検知装置6は、載置面を有する。載置面には、凸部61(
図3Bに示す)が設けられ、収容領域12に収容された鍋容器21が載置される。重量検知装置6は、収容領域12に収容された鍋容器21の下方の筐体11内に配置されている。重量検知装置6は、収容領域12に収容されるとともに載置面の凸部61に載置された鍋容器21の重量を検知する。本実施形態において、鍋容器21の重量は、鍋容器21に収容された鍋2、鍋容器21に着脱可能に取り付けられた蓋体22、および鍋2内に供給された米および水の重量を含む。本実施形態において、後述する制御部9が、重量検知装置6が検知した重量に基づいて鍋2内に供給された米および水の量を計量する。
【0067】
図4に示すように、筐体11の内部でかつ収容領域12の下方には、収容されている鍋2の底部2aに対向する位置に鍋加熱装置7が設けられている。鍋加熱装置7は、例えば、通電されることにより、鍋2を誘導加熱する誘導加熱コイルである。
【0068】
鍋加熱装置7および米容器301は、筐体11の内部に設けられている。そのため、鍋容器21および蓋体22は、蓋体22が鍋2の開口部2cを覆ったまま、収容領域12と、筐体11の外部でかつ収容領域12の側方との間を、米容器301および鍋加熱装置7に対して相対的にスライド移動可能である。
【0069】
筐体11の内部でかつ収容領域12の下方には、非接触式の温度検知装置8が設けられている。温度検知装置8は、例えば、鍋2の底部2aから放射される赤外線を、鍋容器21の底部21aの貫通穴を介して非接触に検知することにより、鍋2の底部2aの温度を測定する赤外線センサなどである。
【0070】
制御部9は、筐体11の内部に設けられている。制御部9は、重量検知装置6が検知した重量に基づいて鍋2内に供給された米および水の量を計量するとともに送米装置3および送水装置4を制御する。また、制御部9は、米を炊飯するための炊飯シーケンスを複数記憶する記憶部(図示せず)を有する。ここで、「炊飯シーケンス」とは、予熱、昇温、沸騰維持、蒸らしの主として4つの工程を順に実行するにあたって、各工程において通電時間、加熱温度、加熱時間、加熱出力等が予め決められている炊飯の手順をいう。各炊飯シーケンスは、複数の炊飯コースのいずれかにそれぞれ対応している。制御部9は、表示操作部(図示せず)にて選択された炊飯情報および温度検知装置8の検知温度に基づいて、鍋加熱装置7を制御し、炊飯工程を実行する。
【0071】
図8は、蓋体22の上面図である。
図9、
図8のIX-IX線断面図である。
図10は、米拡散部材23の模式的な斜視図である。
図11は、
図8のXI-XI線に沿った断面図である。
【0072】
図8から
図10を参照すると、米拡散部材23は、中心部23aと、中心部23aから放射状に延びた6本の腕部23bを備える。
【0073】
図9に示すように、米拡散部材23は、蓋体本体22aの下方かつ蓋体本体22aと間隔を開けて配置された取り付け部材22dに取り付けられている。これにより、米拡散部材23は、蓋体本体22aに設けられた米投入口22bと高さ方向Zに間隔を開けて配置されている。また、米拡散部材23は、取り付け部材22dに設けられた米排出口22eを下方から覆うように、取り付け部材22dに取り付けられている。本実施形態では、米拡散部材23は、取り付け部材22dと別体に設けられている。米拡散部材23は、取り付け部材22dと一体に設けられてもよい。また、米拡散部材23は、
図1の炊飯器の最大炊飯量の米を炊飯したときの炊き上がった米飯の最大炊き上がり高さを示す仮想線Lよりも上方に配置されている。
【0074】
図9を参照すると、米拡散部材23は、米が通過する通過領域Rかつ米投入口22bに対して鍋2側に配置されている。本実施形態では、送米管33の一端部に設けられた開口部33aを通じて米を自重により落下させることで米が鍋2内に供給されるため、通過領域Rは、送米管33の開口部33aの鉛直下方の領域である。
【0075】
図10を参照すると、本実施形態の中心部23aは、高さ方向Zに直交する断面の断面積が上方に向かって小さくなるように形成されている。本実施形態の中心部23aは、上方に向かって先細りになっている。具体的には、中心部23aは、上方に向いた略円錐状である。また、中心部23aの頂部は、丸められて半球状になっている。米拡散部材23の中心部23aの形状は、円錐状に限定されず、半球状であってもよく、角錐状であってもよい。
【0076】
図9に示すように、中心部23aは、取り付け部材22dに設けられた米排出口22eよりも下方に配置されている。中心部23aは、通過領域Rに位置している。
【0077】
本実施形態の腕部23bの一端部は、取り付け部材22dに固定されており、腕部23bの他端部は、中心部23aに接続されている。
【0078】
6本の腕部23bは、中心部23aの軸線を中心とした仮想円の径方向(以下、単に径方向という)に延びている。6本の腕部23bは、中心部23aの軸線を中心とした仮想円の周方向(以下、単に周方向という)に等間隔に配置されている。言い換えれば、6本の腕部23bは、周方向において60度間隔で配置されている。本実施形態では、腕部23bは、中心部23aから離れるにしたがって、上方に向けて傾斜して延びている。腕部23bは、高さ方向Zに水平な方向に延びていてもよい。また、
図11に示すように、腕部23bが延びる方向に直交する断面形状は、上方を向いた三角形状である。
【0079】
腕部23bの数、形状、および配置は、上述の態様に限定されない。例えば、腕部23bの数は、6本に限定されず、2本以上であればよい。腕部23bの数は、4本以上であれば好ましい。つまり、周方向に隣接する2本の腕部の間の間隔は、周方向において、120度未満であれば好ましい。一方で、周方向に隣接する2本の腕部の間隔は、周方向において、45度以上であれば好ましい。また、複数の腕部23bは、周方向に等間隔に配置することが好ましい。
【0080】
本実施形態に係る炊飯器によれば、米投入口22bを通って鍋2内に投入される米が米拡散部材23の中心部23aおよび腕部23bに当たることによって、各方向に拡散される。その結果として、投入された米が鍋2内で山なりになることが抑制されることで、炊きムラを抑制することができる。
【0081】
本実施形態に係る中心部23aは、高さ方向Zに直交する断面の断面積が上方に向かって小さくなるように形成されている。この構成によれば、中心部23aの高さ方向Zに直交する断面の断面積が上方に向かって小さくなっているため、鍋2内に投入され中心部23aに当たった米が、中心部23aの側方に拡散され易くなる。その結果として、投入された米が鍋2内で山なりになることが抑制されることで、炊きムラを抑制することができる。
【0082】
本実施形態では、隣接する2つの腕部23bの間隔は、中心部23aの軸線の周方向において120度未満である。
【0083】
隣接する2つの腕部23bの間隔が過度に広いと、鍋2内に投入される米のうち、隣接する2つの腕部23bの間を通り、米拡散部材23の中心部23aにも腕部23bにも当たらない米の割合が増加することがある。これに対して、本実施形態によれば、隣接する2つの腕部23bの間隔が、周方向において120度未満であるので、鍋2内に投入される米のうち、中心部23aにも腕部23bにも当たらない米の割合を低減することができる。その結果として、米投入口22bを通って鍋2内に投入される米が米拡散部材23の中心部23aまたは腕部23bに当たることにより、鍋2内で山なりになることが抑制されることで、炊きムラを抑制することができる。
【0084】
本実施形態では、6本の腕部23bは、中心部23aの軸線の周方向において、等間隔に配置されている。
【0085】
この構成によれば、複数の腕部23bが中心部23aの軸線の周方向において等間隔に配置されているので、鍋2内に投入され、腕部23bに当たった米が各方向に満遍なく拡散される。その結果として、投入された米が鍋2内で山なりになることが抑制されることで、炊きムラを抑制することができる。
【0086】
本実施形態に係る蓋体22は、米投入口22bが設けられた蓋体本体22aと、米投入口22bと連通した米排出口22eが設けられ、蓋体本体22aよりも下方に蓋体本体22aと間隔を開けて配置された取り付け部材22dとを備える。米拡散部材23は、米排出口22eを下方から覆うように配置されていている。米拡散部材23が米投入口22bを下方から覆うように取り付けられている場合、米投入口22bを通じて鍋2内に投入される米が、米拡散部材23に当たってはね返ることで、米投入口22bから蓋体22の外側にこぼれることがある。この構成によれば、米拡散部材23が、米投入口22bが設けられた蓋体本体22aと間隔を開けて配置された取り付け部材22dに設けられた米排出口22eを下方から覆うように配置されている。このため、米拡散部材23が米投入口22bを下方から覆うように取り付けられている場合と比較して、米拡散部材23と米投入口22bとの間の距離が大きくなる。これにより、米投入口22bを通じて鍋2内に投入される米が、米拡散部材23に当たってはね返った場合であっても、米が米投入口22bから蓋体22の外側にこぼれることを抑制することができる。
【0087】
本実施形態では、米投入口22bの開口面積は、米排出口22eの開口面積よりも小さい。この構成によれば、米投入口22bの開口面積が、米排出口22eの開口面積よりも小さいので、米投入口22bを通じて鍋2内に投入される米が、米排出口22eを下方から覆うように設けられた米拡散部材23に当たってはね返った場合でも、米が米投入口22bから蓋体22の外側にこぼれることを抑制することができる。
【0088】
本実施形態の炊飯器は、送米管33と米投入口22bとの間に配置され、送米管33の開口部33aを通過した米を米投入口22bに案内する筒状の案内管34を備える。送米管33の開口部33aと米投入口22bとが離れている場合、送米管33の開口部33aを通った米が、米投入口22bに入らず、蓋体22の外側にこぼれることがある。これに対して、この構成によれば、筒状の案内管34が、送米管33の開口部33aを通過した米を米投入口22bに案内するため、送米管33の開口部33aを通った米が蓋体22の外側にこぼれることを抑制することができる。
【0089】
本実施形態の案内管34は、送米管33と米投入口22bとの間の位置と、案内管34の内部に送米管33が位置する位置とに移動するように構成されており、送米管33と案内管34とは、案内管34の内部に送米管33が位置している状態で、上面視において送米管33と案内管34とが米投入口22bとずれる位置に移動するように構成されている。この構成によれば、例えば、炊飯時に、送米管33および案内管34を米投入口22bとずれる位置に移動させることで、鍋2内で発生する蒸気が米投入口22bを通って送米管33または案内管34の内部に入ることを抑制できる。また、例えば筐体11内において送米管33および案内管34を米投入口22bとずれる位置に移動させた場合に、案内管34の内部に送米管33が位置しているので、筐体11内で送米管33と案内管34とをコンパクトに収容できる。
【0090】
(変形例)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これらに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った変形例にも適用できる。
【0091】
前記実施形態では、送米管33の一端部に設けられた開口部33aを通じて米を自重により落下させることで米が鍋2内に供給されるため、通過領域Rは、送米管33の開口部33aの鉛直下方の領域である。
図12に示す変形例では、送米管33の開口部33aから斜め下方に向かって米が鍋2内に投入される。このとき、通過領域Rは、送米管33の開口部33aから斜め下方に形成される領域であってもよい。この場合、米拡散部材23は、通過領域Rかつ米投入口22bよりも鍋2側に配置される。特に、米拡散部材23の中心部23aが通過領域Rに位置している。
【0092】
前記実施形態では、送米管33と米投入口22bとの間には、送米管33の開口部33aを通過した米を米投入口22bに案内する筒状の案内管34が配置されている。前記実施形態の変形例として、送米管33と米投入口22bとの間に、案内管34(
図4に示す)が配置されていなくてもよい。この変形例であっても、送米管33は、上面視において、送米管33が米投入口22bとずれる位置に移動するように構成されていることが好ましい。この構成によれば、例えば、炊飯時に、送米管33を上面視で米投入口22bとずれる位置に移動させることで、鍋2内で発生する蒸気が米投入口22bを通って送米管33の内部に入ることを抑制できる。
【0093】
なお、本開示は前記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0094】
例えば、前記実施形態および変形例では、スライド移動することによって、筐体11に対して着脱可能である鍋2、鍋容器21、および蓋体22を備える炊飯器を説明したが、本開示に係る炊飯器は、これに限定されない。本開示に係る炊飯器は、米を鍋2内に自動で投入するものであればよく、例えば、蓋体が、鍋を収容する筐体の後方上部に設けられたヒンジ軸を中心に回動する、従来から知られているタイプの炊飯器であってもよい。
【0095】
本開示は、適宜図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本開示に係る炊飯器は、炊きムラを抑えることができるので、例えば、鍋内への米および水の供給から炊飯まで自動的に行うことができる全自動炊飯器として有用である。
【符号の説明】
【0097】
11 筐体
11a 筐体蓋
12 収容領域
2 鍋
2a 底部
2b 側壁
2c 開口部
2d フランジ部
21 鍋容器
21a 底部
21b 内壁部
21c リブ
21d 外壁部
21e 空気層
21f 凹部
21g 凹部の側壁
21h 開口部
211 側壁
22 蓋体
22a 蓋体本体
22b 米投入口
22c 鍋パッキン
22d 取り付け部材
22e 米排出口
23 米拡散部材
23a 中心部
23b 腕部
3 送米装置
31 送米軸
32 送米羽根
33 送米管
34 案内管
301 米容器
4 送水装置
41 送水管
401 水容器
5 連通部材
51 連通部材本体
52 蒸気筒
6 重量検知装置
61 凸部
7 鍋加熱装置
8 温度検知装置
9 制御部