(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146926
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
A47J27/00 103B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054369
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】椿 恵
(72)【発明者】
【氏名】山中 崇義
(72)【発明者】
【氏名】大村 拓匡
(72)【発明者】
【氏名】川村 尚也
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA03
4B055CA73
4B055CB07
4B055CD60
(57)【要約】
【課題】使い勝手を向上することができる炊飯器を提供する。
【解決手段】炊飯器は、鍋と、鍋を収容する鍋容器と、鍋容器を収容する収容領域を有する筐体と、筐体の内部であって、収容領域の下方に配置された加熱部と、筐体の内部であって、加熱部を冷却するための冷却ファンとを備える。筐体には、冷却ファンの冷却風の一部を収容領域に吹き出すための開口部が設けられている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と
前記鍋を収容する鍋容器と、
前記鍋容器を収容する収容領域を有する筐体と、
前記筐体の内部であって、前記収容領域の下方に配置された加熱部と、
前記筐体の内部であって、前記加熱部を冷却するための冷却ファンと、
を備え、
前記筐体には、前記冷却ファンの冷却風の一部を前記収容領域に吹き出すための開口部が設けられている、炊飯器。
【請求項2】
前記筐体の内部には、前記冷却ファンの冷却風の一部を前記開口部に案内するためのダクトが設けられており、
前記開口部は、前記ダクトの出口である、請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記開口部の開口面積は、前記ダクトの入口の開口面積よりも小さい、請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記収容領域は、前記鍋容器の底面と前記収容領域の底部とが間隔を開けて配置され、前記鍋容器の底面と前記収容領域の底部との間に空間が形成されるように、構成されており、
前記開口部は、前記開口部から吹き出された冷却風の一部が前記空間を通過するように、配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記開口部は、前記開口部から吹き出された冷却風の一部が前記空間を側方から通過するように、配置されている、請求項4に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鍋を収容する部分と鍋を加熱する部分とが分離可能な炊飯器が知られている。この種の炊飯器の一例として、特許文献1には、鍋を加熱する加熱ユニットと、鍋を収容し、加熱ユニットから取り外すことができる炊飯ユニットとを備える炊飯器が開示されている。特許文献1には、炊飯後に、炊飯ユニットを加熱ユニットから取り外して、炊飯ユニットのみを食卓に置くことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の炊飯器では、使い勝手の観点から改善の余地がある。
【0005】
本開示は、使い勝手を向上することができる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、以下のように構成する。
本発明の一態様に係る炊飯器は、
鍋と
前記鍋を収容する鍋容器と、
前記鍋容器を取り外し可能に収容する収容領域を有する筐体と、
前記筐体の内部であって、前記収容領域の下方に配置された加熱部と、
前記筐体の内部であって、前記加熱部を冷却するための冷却ファンと
を備え、
前記筐体には、前記冷却ファンの冷却風の一部を前記収容領域に吹き出すための開口部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、使い勝手を向上することができる炊飯器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1の炊飯器に係る鍋、鍋容器、及び蓋体の分解斜視図。
【
図3A】
図1の炊飯器において、鍋容器の底部に設けられている凹部を示す図。
【
図3B】
図1の炊飯器において、鍋、鍋容器、および蓋体を取り外した状態の筐体の斜視図。
【
図4】本開示の実施形態に係る連通部材が第1連通位置にあるときの
図1の炊飯器の縦断面図。
【
図5】本開示の実施形態に係る連通部材が第2連通位置にあるときの
図1の炊飯器の縦断面図。
【
図6】本開示の実施形態に係る第1連通位置にある連通部材の上面図。
【
図7】本開示の実施形態に係る第2連通位置にある連通部材の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者らは、使い勝手を向上するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
【0010】
従来の炊飯器においては、炊飯後に、炊飯ユニットを加熱ユニットから取り外すことがある。このとき、炊飯ユニット内の鍋の熱によって、炊飯ユニットが高温になっていることがある。その結果として、使用者が、炊飯ユニットを加熱ユニットから取り外すときに、炊飯ユニットに触れることができず、使い勝手が悪い。
【0011】
そこで、本発明者らは、鍋を収容する鍋容器を有する炊飯器において、加熱部を冷却するための冷却ファンの冷却風の一部を、鍋容器を取り外し可能に収容するための収容領域に吹き出すという構成を見出した。この構成によれば、冷却ファンの冷却風の一部により、鍋容器を冷却できる。その結果として、加熱部による鍋の加熱後に鍋容器を筐体から取り外すときに、使用者が鍋容器に触れることができ、使い勝手を向上することができる。この新規な知見に基づき、本発明者らは、以下の発明に至った。
【0012】
本発明の一態様によれば、
鍋と
前記鍋を収容する鍋容器と、
前記鍋および前記鍋容器を収容する収容領域を有する筐体と、
前記筐体の内部であって、前記収容領域の下方に配置された加熱部と、
前記筐体の内部であって、前記加熱部を冷却するための冷却ファンと
を備え、
前記筐体には、前記冷却ファンの冷却風の一部を前記収容領域に吹き出すための開口部が設けられている、炊飯器を提供する。
【0013】
この構成によれば、冷却ファンの冷却風の一部により、鍋容器を冷却できる。その結果として、鍋容器を筐体から取り外すときに、使用者が鍋容器に触れることができ、使い勝手を向上することができる。
【0014】
前記筐体には、前記冷却ファンの冷却風の一部を前記開口部に案内するためのダクトが設けられてもよく、前記開口部は、前記ダクトの出口であってもよい。
【0015】
この構成によれば、冷却ファンの冷却風の一部がダクトを通って開口部に案内されるので、収容領域に収容された鍋容器を効率よく冷却することができる。
【0016】
前記開口部の開口面積は、前記ダクトの入口の開口面積よりも小さくてもよい。
【0017】
この構成によれば、開口部から吹き出される冷却風の流速が、ダクトの入口での冷却風の流速より大きくなるので、収容領域に収容された鍋容器を効率よく冷却することができる。
【0018】
前記収容領域は、前記鍋容器の底面と前記筐体とが間隔を開けて配置され、前記鍋容器の底面と前記筐体との間に空間が形成されるように、構成されていてもよく、前記開口部は、前記開口部から吹き出された冷却風の一部が前記空間を通過するように、配置されていてもよい。
【0019】
加熱部が収容領域の下方に設けられているため、鍋の底面が高温になりやすい。このため、鍋の熱により、鍋を収容する鍋容器の底面が高温になりやすい。この構成によれば、開口部から吹き出された冷却ファンの冷却風の一部が鍋容器の底面と筐体との間の空間を通過するので、鍋容器の底面を効率よく冷却できる。
【0020】
前記開口部は、前記開口部から吹き出された冷却風の一部が前記空間を側方から通過するように、配置されてもよい。
【0021】
また、鍋容器の下方には加熱部が設けられているため、冷却風の一部を、鍋容器の底面と収容領域の底部との間の空間に下方から吹き出す場合、開口部と加熱部との間の距離を確保できない場合がある。この場合、開口部から収容領域に吹き出される冷却風が加熱部の熱により温められ、鍋容器の底面を効率よく冷却できないことがある。これに対して、この構成によれば、開口部から吹き出された冷却風の一部が鍋容器の底面と筐体の底部との間の空間を側方から通過するため、開口部と加熱部との間の距離を確保できる。これにより、開口部から吹き出される冷却風が加熱部の熱により温められることを抑制することができる。その結果として、鍋容器の底面を効率よく冷却できる。
【0022】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。この実施形態によって本開示が限定されるものではない。また、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0023】
また、以下では、説明の便宜上、通常使用時の状態を想定して「上」、「下」、「前」、「後」、「横」等の方向を示す用語を用いるが、本開示に係る炊飯器の使用状態等を限定することを意味するものではない。
【0024】
(実施形態)
本開示の実施形態に係る炊飯器の全体構成について説明する。
図1は、本開示の実施形態に係る炊飯器の斜視図である。本実施形態に係る炊飯器は、米および水の鍋内への供給から炊飯まで自動的に行うことができる、いわゆる全自動炊飯器である。本開示に係る炊飯器は、いわゆる全自動炊飯器に限定されない。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る炊飯器は、筐体11、鍋2(
図2に示す)と、鍋容器21と、蓋体22と、米容器301と、水容器401とを備えている。
【0026】
筐体11は、上面視において、角丸長方形状である。言い換えると、筐体11は、上面視において、矩形形状の対向する2辺が半円の円弧状に曲げられたような形状を有する。本実施形態において、筐体11の一方の曲面側を前方という。また、筐体11の他方の曲面側を後方という。さらに、筐体11の前方および後方に向かう方向を前後方向といい、当該前後方向に対して直交する方向を横方向という。本実施形態では、
図1の左上および右下に向かう方向を、横方向Xとする。また、左下および右上に向かう方向を、前後方向Yとする。さらに、横方向Xおよび前後方向Yに対して直交し、
図1の上方および下方に向かう方向を高さ方向Zとする。本実施形態の高さ方向Zは、上下方向に一致する。また、本実施形態では、横方向X、前後方向Y、および、横方向Xと前後方向Yとに対して交差する方向を、側方という場合がある。
【0027】
筐体11の下側かつ前側には、鍋容器21を収容可能な収容領域12が設けられている。収容領域12とは、筐体11の一部であり、鍋容器および蓋体22を収容する空間を画定する。収容領域12は、鍋容器21および蓋体22を収容領域12の側方からスライド移動させて収容できるように構成されている。
図1では、一例として、鍋容器21を収容領域12の前方から前後方向Yに沿ってスライド移動させて収容できる構成を示している。筐体11の上端部には、筐体11を覆うとともに後述する米容器301を覆う筐体蓋11aが着脱可能に取り付けられている。
【0028】
収容領域12には、鍋容器21と、鍋容器21に収容される鍋2(
図2参照)と、鍋容器21に着脱可能に取り付けられている蓋体22が収容されている。鍋容器21は、後述する収容領域12の底部12a(
図3B参照)に載置されている。以下、本実施形態において、収容領域12に収容されている鍋容器21には、鍋2が収容されるとともに蓋体22が取り付けられているものとする。
【0029】
収容領域12に収容されている鍋容器21の高さは、収容領域12の高さよりも低い。鍋2、鍋容器21、および蓋体22は、蓋体22が鍋容器21に取り付けられたまま、収容領域12と、筐体11の外部でかつ収容領域12の側方との間を、前後方向Yに沿ってスライド移動することによって、筐体11に対して着脱可能である。
【0030】
米容器301は、米を収容する容器である。米容器301は、筐体11の内部でかつ収容領域12の上方に設けられている。言い換えると、米容器301は、筐体11の内部で筐体蓋11aの下方に筐体蓋11aに隣接するように設けられている。
【0031】
水容器401は、水を収容する容器である。水容器は、筐体11の後側かつ上側に設けられている。
【0032】
図2は、
図1の炊飯器に係る鍋、鍋容器、及び蓋体の分解斜視図である。
図3Aは、
図1の炊飯器において、鍋容器の底部に設けられている凹部を示す図である。
図3Bは、
図1の炊飯器において、鍋、鍋容器、および蓋体を取り外した状態の筐体の斜視図である。
【0033】
図2に示すように、鍋2は、有底筒状の形状を有する。すなわち、鍋2は、底部2aと、側壁2bと、開口部2cと、フランジ部2dを有する。フランジ部2dは、側壁2bの上端部の周方向の全周に亘って、側壁2bの上端部から鍋2の外側に向かって延在している。
【0034】
鍋容器21は、鍋2を収容可能な有底筒状の形状を有する。すなわち、鍋容器21は、底面21aと、側壁211(
図4に示す)と、開口部21hとを有する。鍋容器21は、例えば、樹脂などで形成されている。
【0035】
側壁211は、内壁部21bと、リブ21cと、外壁部21dとを有する。内壁部21bの外周面には、長手方向が高さ方向Zに沿うように複数のリブ21cが突出して設けられている。外壁部21dは、内壁部21bの外周面と互いに対向するとともに内壁部21bとの間に複数のリブ21cを挟み込むように設けられている。側壁211内、すなわち、内壁部21bと外壁部21dとの間には、空気層21eが形成されている。
【0036】
鍋2が鍋容器21に収容されているとき、鍋容器21の内壁部21bと鍋2の側壁2bとの間、及び、鍋容器21の底面21aと鍋2の底部2aとの間には、隙間が形成されている。そのため、鍋容器21と鍋2との間に隙間が無い場合と比べて、後述する鍋加熱装置7により鍋2が加熱されたときに鍋容器21に伝わる熱を抑えられるので、鍋容器21の熱による損傷を抑えることができる。
図4に示すように、鍋2が鍋容器21に収容されているとき、鍋容器21の内壁部21bの上端部には、鍋2のフランジ部2dが載置されている。言い換えると、鍋2が鍋容器21に収容されているとき、鍋2は、鍋容器21の内壁部21bの上端部によって支持されている。
【0037】
図3Aに示すように、鍋容器21の底面21aには、凹部21fが設けられている。凹部21fは、凹部の側壁21gを有している。凹部の側壁21gは、両端部に直線部が設けられ、2つの直線部が半円の円弧で構成されている曲線部で接続されているU字状の形状を有する。言い換えると、鍋容器の底面21aには、U字状の溝部が設けられている。凹部の側壁21gの直線部の間の長さ、すなわち、U字状の溝部の幅の長さは、鍋容器21の底面21aの半径の長さよりも長くなるように設けられている。凹部の側壁21gの下面は、U字状に沿うように設けられている平面である。また、鍋容器21の底面21aの中央部には、底面21aを高さ方向Zに貫通している貫通穴が設けられている。
【0038】
図3Bに示すように、収容領域12の底部12aには、収容領域12に収容される鍋容器21を載置するための凸部61が設けられている。凸部61の形状および寸法は、鍋容器21の凹部21fの形状および寸法に対応している。凸部61は、円弧状であり、筐体11から突出するように設けられている。凸部61は、凸部61の高さが凹部の側壁21gの高さよりも高くなるように設けられている。これにより、鍋容器21が収容領域12に収容されているとき、鍋容器21の底面21aと収容領域12の底部12aとの間には、空間S(
図8に示す)が形成されている。また、収容領域12の底部12aには、開口部12bが設けられている。開口部12bは、凸部61を2つに分割するように設けられている。開口部12bは、収容領域12の底部12aの前後方向Yの後側かつ横方向Xの中央に配置されている。また、開口部12bは、前方に開口するように形成されている。
【0039】
凸部61の周方向の全周に亘って、凸部61の外側には、凸部周辺部11cが設けられている。凸部周辺部11cは、鍋容器21が収容領域12に収容されるとき、凹部の側壁21gの下面と対向するようにリング状に設けられている平面である。凸部61の直径の長さは、凸部61が凹部の側壁21gの両直線部の間に位置するときに凸部61の外側面が凹部の側壁21gの両直線部の近傍に位置する長さであるとともに、凸部周辺部11cの半径の長さよりも長くなるように設けられている。
【0040】
鍋容器21が収容領域12と、筐体11の外部で且つ収容領域12の側方との間をスライド移動するとき、凸部61は、凹部21f内で相対的に摺動する。より具体的には、凹部の側壁21gは、凸部61の外側面と相対的に摺動する。これにより、鍋容器21のスライド移動がガイドされる。また、本実施形態では、凹部の側壁21gに曲線部が設けられているので、凸部61の外側面と凹部の側壁21gの曲線部とを当て止めすることができる。そのため、鍋容器21のスライド移動を繰り返しても、鍋容器21を収容領域12内の予め決められた位置により確実に移動させることができる。言い換えると、鍋容器21は、鍋容器の底面21aのU字状の溝部が延在する方向にスライド移動し、当該溝部の側壁21gと凸部61の外側面とを相対的に摺動させることによって、スライド移動をガイドされる。また、凸部61の外側面と溝部の曲線部とを当て止めすることができるので、鍋容器21のスライド移動を繰り返しても、鍋容器21を収容領域12内の予め決められた位置により確実に移動させることができる。更に、鍋容器21は、鍋容器21が凸部61に載置されているとき、凹部の側壁21g及び凸部61の外側面が相対的に摺動するように凸部61の周方向に正逆回転可能である。
【0041】
図2に示すように、蓋体22は、蓋体本体22aと、米投入口22bと、鍋パッキン22cと、取り付け部材22dとを有する。
【0042】
本実施形態において、蓋体本体22aは、リング状の平板部分と、当該リング状の平板の周方向の外周面と面一になるような外周面を有する円筒状部分とを有する。また、蓋体本体22aの円筒状部分の外周面は、蓋体22を鍋容器21に着脱可能に取り付けたとき、鍋容器21の側壁211の外周面と面一になる。なお、本実施形態において、平板とは、略平板を含み、面一とは、略面一を含む。
【0043】
米投入口22bは、蓋体本体22aの平板部分の幅方向の中央部に設けられている。後述する送米装置3により送米される米及び後述する送水装置4により送水される水は、鍋2内に供給される際に米投入口22bを通る。
【0044】
鍋パッキン22cは、蓋体22が鍋2の開口部を覆うように鍋容器21に着脱可能に取り付けられているとき、鍋2と接触するように設けられている。鍋パッキン22cの上面視において中央部には、米投入口22bと連通する貫通孔が設けられている。
【0045】
取り付け部材22dは、鍋パッキン22cを間に挟み込むようにして蓋体本体22aに取り付けられている。
【0046】
図4は、
図1の炊飯器の縦断面図である。詳細には、
図4は、後述する連通部材5が第1連通位置にあるときの
図1の炊飯器の縦断面図である。
図5は、後述する連通部材5が第2連通位置にあるときの
図1の炊飯器の縦断面図である。
【0047】
図4に示すように、筐体11は、送米装置3と、送水装置4と、連通部材5と、重量検知装置6と、鍋加熱装置7と、温度検知装置8と、制御部9とを有する。
【0048】
送米装置3は、送米軸31と、送米羽根32と、送米管33とを有する。送米軸31は、米容器301の下方から収容領域12の上方まで水平方向に配置されている。送米羽根32は、送米軸31の軸周りに螺旋状に形成されている。米容器301に収容されている米は、重力により落下し、例えば、モータなどで回転される送米軸31および送米羽根32により収容領域12の上方に向かって水平方向に送米される。収容領域12に鍋容器21が収容されているとき、収容領域12の上方に送米された米は、重力により落下し、送米管33を通って、蓋体22の米投入口22bを通じて鍋2内に入る。すなわち、送米装置3は、米容器301内の米を鍋2内に供給することができる。
【0049】
送米管33は、一端部に米投入口22bに向けて開口した開口部を有する円筒状の部材である。送米管33の他端部は、送米軸31および送米羽根32が収容される筒状の本体の内部に連通している。
【0050】
送水装置4は、送水管41と、送水ポンプ(図示せず)とを有する。送水装置4は、筐体11の内部に配置されている。
【0051】
送水管41の一端部は、収容領域12に収容された蓋体22の米投入口22bに向けて開口するように設けられている。送水管41の他端部は、水容器401の内部に連通可能に接続されている。送水管41には、送水ポンプが設けられている。送水ポンプが駆動することで、水容器401内の水が、送水管41を通って鍋2内に供給される。
【0052】
連通部材5は、連通部材本体51(
図6および
図7に示す)と、蒸気筒52とを有する。連通部材5は、蓋体22の米投入口22bと送米装置3および送水装置4とを流体連通させる第1連通位置(
図4に示す)と、蓋体22の米投入口22bと蒸気を筐体11の外部へ排出可能な蒸気筒52とを流体連通させる第2連通位置(
図5に示す)とに移動できるように配置されている。
【0053】
蒸気筒52の一端部は、連通部材5が第2連通位置に位置するとき、蓋体22の米投入口22bを介して鍋2内と連通するように連通部材本体51の上面に設けられている。連通部材5が第1連通位置に位置するとともに収容領域12に鍋容器21が収容されているとき、鍋2内の蒸気は、蓋体22の米投入口22bおよび蒸気筒52を介して筐体11の外部へ排出される。
【0054】
図6は、第1連通位置にある連通部材5の上面図である。
図7は、第2連通位置にある連通部材5の上面図である。
【0055】
図6および
図7を参照すると、連通部材本体51は、板状の部材である。連通部材本体51は、回動軸51aを中心に回動可能に筐体11(
図4に示す)に取り付けられている。また、連通部材本体51には、送米管33および蒸気筒52が取り付けられている。送米管33と蒸気筒52とは、回動軸51aを中心として鍋2の中心Cを通過する仮想円V上に配置されている。これにより、連通部材本体51が回動軸51aを中心に回動することで、連通部材5は、送米管33が、鍋2の米投入口22bの上方に位置する第1連通位置と、蒸気筒52が米投入口22bの上方に位置する第2連通位置とに移動可能である。
【0056】
図4を参照すると、重量検知装置6は、載置面を有する。載置面には、凸部61(
図3Bに示す)が設けられ、収容領域12に収容された鍋容器21が載置される。重量検知装置6は、収容領域12に収容された鍋容器21の下方の筐体11内に配置されている。重量検知装置6は、収容領域12に収容されるとともに載置面の凸部61に載置された鍋容器21の重量を検知する。本実施形態において、鍋容器21の重量は、鍋容器21に収容された鍋2、鍋容器21に着脱可能に取り付けられた蓋体22、および鍋2内に供給された米および水の重量を含む。本実施形態において、後述する制御部9が、重量検知装置6が検知した重量に基づいて鍋2内に供給された米および水の量を計量する。
【0057】
図4に示すように、筐体11の内部でかつ収容領域12の下方には、収容されている鍋2の底部2aに対向する位置に鍋加熱装置7が設けられている。鍋加熱装置7は、例えば、通電されることにより、鍋2を誘導加熱する誘導加熱コイルである。また、
図5に示すように、筐体11の内部には、鍋加熱装置7を冷却するための冷却ファン71が設けられている。本実施形態の冷却ファン71は、軸流ファンである。冷却ファン71には、図示しないモータなどの駆動機構が機械的に接続されている。冷却ファン71が駆動されると、筐体11の底面に設けられた図示しない吸込口から筐体11内に空気が取り込まれ、鍋加熱装置7に冷却風が供給される。本実施形態の鍋加熱装置7は、本開示に係る加熱部の一例である。
【0058】
鍋加熱装置7および米容器301は、筐体11の内部に設けられている。そのため、鍋容器21および蓋体22は、蓋体22が鍋2の開口部2cを覆ったまま、収容領域12と、筐体11の外部でかつ収容領域12の側方との間を、米容器301および鍋加熱装置7に対して相対的にスライド移動可能である。
【0059】
筐体11の内部でかつ収容領域12の下方には、非接触式の温度検知装置8が設けられている。温度検知装置8は、例えば、鍋2の底部2aから放射される赤外線を、鍋容器21の底面21aの貫通穴を介して非接触に検知することにより、鍋2の底部2aの温度を測定する赤外線センサなどである。
【0060】
制御部9は、筐体11の内部に設けられている。制御部9は、重量検知装置6が検知した重量に基づいて鍋2内に供給された米および水の量を計量するとともに送米装置3および送水装置4を制御する。また、制御部9は、米を炊飯するための炊飯シーケンスを複数記憶する記憶部(図示せず)を有する。ここで、「炊飯シーケンス」とは、予熱、昇温、沸騰維持、蒸らしの主として4つの工程を順に実行するにあたって、各工程において通電時間、加熱温度、加熱時間、加熱出力等が予め決められている炊飯の手順をいう。各炊飯シーケンスは、複数の炊飯コースのいずれかにそれぞれ対応している。制御部9は、表示操作部(図示せず)にて選択された炊飯情報および温度検知装置8の検知温度に基づいて、鍋加熱装置7を制御し、炊飯工程を実行する。また、制御部9は、冷却ファン71を制御する。
【0061】
図8は、
図5の部分拡大断面図である。詳細には、
図8は、
図5において1点鎖線で囲まれた部分の拡大図である。
図9は、
図8のIX-IX線断面図である。
図10は、
図8のX-X線断面図である。
図9および
図10では、ハッチングを省略している。
【0062】
図8を参照すると、冷却ファン71の冷却風の一部は、筐体11内を鍋加熱装置7に向けて流れる(
図8中の矢印F1参照)。また、冷却ファン71の冷却風の一部は、筐体11内を流れて、筐体11に設けられた開口部12bから収容領域12に吹き出される(
図8中の矢印F2参照)。さらに、冷却ファン71の冷却風の一部は、筐体11内を制御部9に向けて流れる(
図8中の矢印F3参照)。これにより、鍋加熱装置7、鍋容器21、および制御部9は、冷却ファン71の冷却風により冷却される。
【0063】
筐体11内には、冷却ファン71の冷却風の一部を開口部12bに案内するダクト72が設けられている。ダクト72は、冷却風の流路を画定する筒状の部分である。ダクト72は、鍋容器21を冷却するための冷却風が、鍋加熱装置7を冷却する冷却風の流路とは異なる流路を通るように、構成されている。ダクト72は、前後方向Yに延びている。
【0064】
図8および
図9に示すように、ダクト72の入口72aは、冷却ファン71に向けて開口している。
図8に示すように、ダクト72の出口72bは、筐体11に設けられた開口部12bである。つまり、ダクト72によって、筐体11に開口部12bが形成されている。ダクト72の入口72aの開口面積は、ダクト72の出口72bの開口面積、つまり筐体11に設けられた開口部12bの開口面積よりも大きくなっている。
【0065】
本実施形態のダクト72の出口72b、つまり筐体11に設けられた開口部12bは、冷却ファン71の冷却風の一部が、鍋容器21の底面21aと収容領域12の底部12aとの間の空間Sを通過するように、形成されている。具体的には、本実施形態の開口部12bは、冷却ファン71の冷却風の一部が、空間Sを側方から通過するように、形成されている。冷却ファン71の冷却風の一部は、開口部12bから前方に向かって吹き出される。本実施形態では、開口部12bから収容領域12に吹き出された冷却風の一部は、空間S内を後方から前方に向けて流れる。
【0066】
ダクト72内には、複数のリブ72cが配置されている。リブ72cは、前後方向Yかつ高さ方向Zに延びた板状である。複数のリブ72cは、X方向に間隔を開けて配置されている。また、リブ72cの一部は、ダクト72の入口72aから冷却ファン71側、つまり後方に延びており、冷却ファン71の冷却風をダクト72に案内するように構成されている。
【0067】
図8および
図10を参照すると、ダクト72の下方には、鍋加熱装置7が配置された筐体11内の空間73と冷却ファン71が配置された筐体11内の空間とを流体的連通させる開口部73aが設けられている。冷却ファン71の冷却風の一部は、開口部73aを介して空間73内に流入し、鍋加熱装置7を冷却する。開口部73aの開口面積は、ダクト72の入口72aの開口面積よりも大きい。
【0068】
制御部9は、炊飯工程が開始されると、冷却ファン71を駆動して鍋容器21を冷却する。より詳細には、制御部9は、鍋加熱装置7の動作中に、冷却ファン71を駆動する。これにより、炊飯工程後に冷却ファン71の駆動を開始させる場合と比較して、炊飯工程の終了時の鍋容器21の温度を低下することができるので、炊飯工程が終わったときに、ユーザが鍋容器21に触れることができ、炊飯器の使い勝手を向上することができる。一方で、冷却ファン71の駆動により冷却されるのは、鍋容器21であり、鍋2には冷却風が直接当たらないため、炊飯工程中に冷却ファン71の冷却風により鍋2の温度が低下することは抑制される。
【0069】
本実施形態に係る炊飯器によれば、冷却ファン71の冷却風の一部を収容領域12に吹き出すための開口部12bが筐体11に設けられているので、冷却ファン71の冷却風の一部により、鍋容器21を冷却できる。その結果として、鍋容器21を筐体11から取り外すときに、使用者が鍋容器21に触れることができ、使い勝手を向上することができる。
【0070】
本実施形態の筐体11には、冷却ファン71の冷却風の一部を開口部12bに案内するためのダクト72が設けられており、開口部12bは、ダクト72の出口72bである。この構成によれば、冷却ファン71の冷却風の一部がダクト72を通って開口部12bに案内されるので、収容領域12に収容された鍋容器21を効率よく冷却することができる。
【0071】
本実施形態の開口部12bの開口面積は、ダクト72の入口72aの開口面積よりも小さい。この構成によれば、開口部12bから吹き出される冷却風の流速が、ダクト72の入口72aでの冷却風の流速より大きくなるので、収容領域12に収容された鍋容器21を効率よく冷却することができる。
【0072】
本実施形態の収容領域12は、鍋容器21の底面21aと筐体11とが間隔を開けて配置され、鍋容器21の底面21aと筐体11との間に空間Sが形成されるように、構成されており、開口部12bは、開口部12bから吹き出された冷却風の一部が空間Sを通過するように、配置されている。ここで、鍋加熱装置7が収容領域12の下方に設けられているため、鍋2の底部2aが高温になりやすい。このため、鍋2の底部2aの熱により、鍋2を収容する鍋容器21の底面21aが高温になりやすい。この構成によれば、開口部12bから吹き出された冷却ファン71の冷却風の一部が鍋容器21の底面21aと筐体11との間の空間Sを通過するので、鍋容器21の底面21aを効率よく冷却できる。
【0073】
本実施形態の開口部12bは、開口部12bから吹き出された冷却風の一部が空間Sを側方から通過するように、配置されている。ここで、鍋容器21の下方には鍋加熱装置7が設けられているため、冷却風の一部を鍋容器21の底面21aと収容領域12の底部12aとの間の空間Sに下方から吹き出す場合、開口部12bと鍋加熱装置7との間の距離を確保できない場合がある。この場合、開口部12bから収容領域12に吹き出される冷却風が鍋加熱装置7の熱により温められ、鍋容器21の底面21aを効率よく冷却できないことがある。これに対して、この構成によれば、開口部12bから吹き出された冷却風の一部が鍋容器21の底面21aと収容領域12の底部12aとの間の空間Sを側方から通過するように開口部12bを配置するため、開口部12bと鍋加熱装置7との間の距離を確保できる。これにより、開口部12bから吹き出される冷却風が鍋加熱装置7の熱により温められることを抑制することができる。その結果として、鍋容器21の底面21aを効率よく冷却できる。
【0074】
なお、本開示は前記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0075】
本開示は、適宜図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本開示に係る炊飯器は、炊きムラを抑えることができるので、例えば、鍋内への米および水の供給から炊飯まで自動的に行うことができる全自動炊飯器として有用である。
【符号の説明】
【0077】
11 筐体
11a 筐体蓋
12 収容領域
2 鍋
2a 底部
2b 側壁
2c 開口部
2d フランジ部
21 鍋容器
21a 底面
21b 内壁部
21c リブ
21d 外壁部
21e 空気層
21f 凹部
21g 凹部の側壁
21h 開口部
211 側壁
22 蓋体
22a 蓋体本体
22b 米投入口
22c 鍋パッキン
22d 取り付け部材
22e 米排出口
23 米拡散部材
23a 中心部
23b 腕部
3 送米装置
31 送米軸
32 送米羽根
33 送米管
301 米容器
4 送水装置
41 送水管
401 水容器
5 連通部材
51 連通部材本体
52 蒸気筒
6 重量検知装置
61 凸部
7 鍋加熱装置(加熱部)
71 冷却ファン
72 ダクト
72a 入口
72b 出口
72c リブ
73 空間
73a 開口部
8 温度検知装置
9 制御部