(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146929
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】屋外用電源盤
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20231004BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H05K7/20 H
H05K7/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054374
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】501082141
【氏名又は名称】株式会社YAMABISHI
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】後藤 晃男
(72)【発明者】
【氏名】根岸 貴史
(72)【発明者】
【氏名】川鍋 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】細谷 淳一
(72)【発明者】
【氏名】馬詰 万生
(72)【発明者】
【氏名】露木 伸明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠士
(72)【発明者】
【氏名】原田 明
【テーマコード(参考)】
5E322
5H770
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB10
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA05
5E322BB03
5E322BB06
5E322BC01
5E322CA06
5E322EA11
5E322FA02
5H770AA21
5H770DA21
5H770PA02
5H770PA21
5H770PA44
5H770PA47
5H770QA25
5H770QA28
5H770QA37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が高い電気部品およびより汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が低い電気部品の双方を適切に冷却可能な、信頼性の高い屋外用電源盤を提供する。
【解決手段】屋外用電源盤10において、第1のスペース40は、トランス50を収容し、第1の給気口30、排気口32に連通する。第2のスペース42は、インバータなどの電気部品54を収容し、第1のスペース40、第3のスペース44に対し気密に構成される。第3のスペース44は、電気部品54に接続された放熱部材68を収容し、第2の給気口34、排気口36に連通している。第1のファン56は、第1の給気口30から給気され、第1のスペース40内を流れ、第1の排気口32から排出されるエアの流れを生じさせる。第2のファン58は、第2の給気口34から給気され、第3のスペース44内を流れ、第2の排気口36から排出されるエアの流れを生じさせる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電気部品を収容するための第1のスペースであって、第1の給気口および第1の排気口に連通している第1のスペースと、
前記第1の電気部品よりも汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が低い第2の電気部品を収容するための第2のスペースであって、前記第1のスペースに対し気密な第2のスペースと、
前記第2の電気部品に接続された放熱部材を収容するための第3のスペースであって、第2の給気口および第2の排気口に連通しており且つ前記第2のスペースに対し気密な第3のスペースと、
第1の給気口から給気され、第1のスペース内を流れ、第1の排気口から排出されるエアの流れを生じさせる第1の送風装置と、
第2の給気口から給気され、第3のスペース内を流れ、第2の排気口から排出されるエアの流れを生じさせる第2の送風装置と、
を備えることを特徴とする、屋外用電源盤。
【請求項2】
前記第1のスペースは、前記第2のスペースよりも下方に配置されており、
前記第1の給気口および前記第1の排気口、並びに前記第2の給気口および前記第2の排気口は、同一の側に配置されており、
前記第1の排気口は、前記第2の給気口よりも上方に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の屋外用電源盤。
【請求項3】
前記第1のスペースからのエアを上方に送る鉛直排気ダクトをさらに備え、
前記第3のスペースは、前記第2のスペースの一方側に配置されており、
前記鉛直排気ダクトは、前記第2のスペースの前記一方側とは反対側に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の屋外用電源盤。
【請求項4】
前記鉛直排気ダクトから送られたエアを前記第1の排気口まで水平方向に送る水平排気ダクトと、
前記水平排気ダクトの上方に鉛直方向に間隔をもって配置された屋根プレートと、
をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の屋外用電源盤。
【請求項5】
一対の前記第2のスペースが、一つの前記第1のスペースの上方において、水平方向に並んで配置されており、前記一対の前記第2のスペースにそれぞれ対応する一対の前記第3のスペースが、互いに背向する第1の側および第2の側に配置されており、
前記鉛直排気ダクトは、前記一対の第2のスペースの間に配置されており、
前記一対の第3のスペースの一方の前記第2の給気口および前記第2の排気口は、前記第1の側に配置されており、
前記一対の第3のスペースの他方の前記第2の給気口および前記第2の排気口は、前記第2の側に配置されており、
前記第1の給気口および前記第1の排気口は、前記第1の側および前記第2の側の双方に設けられており、
前記水平排気ダクトは、前記鉛直排気ダクトの上端から、前記第1の側に設けられた前記第1の排気口および前記第2の側に設けられた前記第1の排気口の双方に延びることを特徴とする、請求項4に記載の屋外用電源盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外用電源盤に関し、特に、トランスなどの電気部品および汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性がより低いインバータなどの電気部品の双方を収容可能な屋外用電源盤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化による平均気温の上昇などを考慮して、内部の昇温を抑制するための屋外用配電盤の寿命低下防止方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。一方、カーボンニュートラルの達成のため、屋外用電源盤のニーズもまた高まっている。例えば太陽光発電パネルにより発電された電力は、屋外用電源盤を通じて適切に供給することができる。
【0003】
しかしながら、屋外用配電盤と異なり、屋外用電源盤では、汚れの付着や空気中の塵埃などの侵入への耐性が比較的高いトランスなどの電気部品および、汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が比較的低いインバータなどの電気部品の双方を収容する必要がある。汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が低い電気部品には外気の取り込みによる冷却は必ずしも適切ではない。また、電源盤の信頼性を向上させるために、電気部品の冷却のための外気を取り込むためのファンの稼働を抑制することも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が高い電気部品およびより汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が低い電気部品の双方を適切に冷却可能な、信頼性の高い屋外用電源盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る屋外用電源盤は、第1の電気部品を収容するための第1のスペースであって、第1の給気口および第1の排気口に連通している第1のスペースと、第1の電気部品よりも汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が低い第2の電気部品を収容するための第2のスペースであって、第1のスペースに対し気密な第2のスペースと、第2の電気部品に接続された放熱部材を収容するための第3のスペースであって、第2の給気口および第2の排気口に連通しており且つ第2のスペースに対し気密な第3のスペースと、第1の給気口から給気され、第1のスペース内を流れ、第1の排気口から排出されるエアの流れを生じさせる第1の送風装置と、第2の給気口から給気され、第3のスペース内を流れ、第2の排気口から排出されるエアの流れを生じさせる第2の送風装置と、を備える。
【0007】
この態様によれば、汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が比較的低い第2の電気部品へのエア流れを回避しつつ、第1の電気部品および第2の電気部品を適切に冷却することができる。また第1のスペースと第2のスペースとを熱的に分離することができる。このため、第1のスペースの温度制御による第2のスペースの温度への影響、または第2のスペースの温度制御による第1のスペースの温度への影響を抑制することができる。このため、第1のスペースおよび第2のスペースの正確な温度制御が可能となる。このような正確な温度制御により、第1の電気部品および第2の電気部品の信頼性を高めることができるだけでなく、第1の送風装置および第2の送風装置の過度の作動を抑制して第1の送風装置および第2の送風装置の信頼性も高めることができる。
【0008】
第1のスペースは、第2のスペースよりも下方に配置されていてもよい。第1の給気口および第1の排気口、並びに第2の給気口および第2の排気口は、同一の側に配置されていてもよい。第1の排気口は、第2の給気口よりも上方に配置されていてもよい。
【0009】
屋外用電源盤には、トランス、リアクトル、インバータ、交流切替スイッチ(ACSW;AC Switch、以下「ACSW」という。)、最大電力点追従DCDCコンバータ(MPPT;Maximum Power Point Tracker、以下「MPPT」という。)などの電気部品を収容することができる。この中で、トランスは汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が比較的高い。一方、インバータ、ACSW、MPPTは、汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が比較的低い。汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が比較的高いトランスなどの電気部品は、一般的に質量が大きい。この態様によれば、質量が大きい第1の電気部品を下方に配置するため、電源盤の安定性を高めることができる。また、第1の排気口が第2の給気口よりも上方に配置されることにより、熱をもったエアが冷却のため再び給気されることを回避して第2の電気部品を適切に冷却することができる。
【0010】
第1のスペースからのエアを上方に送る鉛直排気ダクトをさらに備えていてもよい。第3のスペースは、第2のスペースの一方側に配置されていてもよい。鉛直排気ダクトは、第2のスペースの一方側とは反対側に配置されていてもよい。
【0011】
この態様によれば、第2のスペースおよび第3のスペースとの干渉を回避しながら鉛直排気ダクトを第2のスペースおよび第3のスペースよりも上方に伸ばすことができる。このため、まず電源盤をコンパクトにすることができる。また、第1の電気部品の排熱を含むエアを第2の電気部品を冷却するための第3のスペースよりも上方において排出することができ、熱をもったエアが冷却のため再び給気されることを回避して第2の電気部品を適切に冷却することができる。
【0012】
鉛直排気ダクトから送られたエアを第1の排気口まで水平方向に送る水平排気ダクトと、水平排気ダクトの上方に鉛直方向に間隔をもって配置された屋根プレートと、をさらに備えていてもよい。
【0013】
例えば上記特許文献1では、装置上面に換気扇収容箱が配置されている。しかしながら、このような収容箱の配置により、装置上方への突出が生じ、さらに降雨による内部への水の浸入の問題も生じる。この態様によれば、水平排気ダクトにより、装置上方への突出を抑制し、かつ降雨による内部への水の浸入も回避することができる。また、屋根プレートにより、水平排出ダクト内のエアがさらに加熱されることを回避することができる。
【0014】
一対の第2のスペースが、一つの第1のスペースの上方において、水平方向に並んで配置されており、一対の第2のスペースにそれぞれ対応する一対の第3のスペースが、互いに背向する第1の側および第2の側に配置されていてもよい。鉛直排気ダクトは、一対の第2のスペースの間に配置されていてもよい。一対の第3のスペースの一方の第2の給気口および第2の排気口は、第1の側に配置されていてもよい。一対の第3のスペースの他方の第2の給気口および第2の排気口は、第2の側に配置されており、第1の給気口および第1の排気口は、第1の側および第2の側の双方に設けられていてもよい。水平排気ダクトは、鉛直排気ダクトの上端から、第1の側に設けられた第1の排気口および第2の側に設けられた第1の排気口の双方に延びていてもよい。
【0015】
この態様によれば、一対の第2のスペースの間に鉛直排気ダクトを配置することができる。このため、バランスのとれた配置が可能となり、複数の第2の電気部品を収容する場合においても、サイズを抑制した屋外用電源盤を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が高い電気部品およびより汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が低い電気部品の双方を適切に冷却可能な、信頼性の高い屋外用電源盤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る屋外用電源盤の斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る屋外用電源盤の正面図である。
【
図3】本実施形態に係る屋外用電源盤の左側面図である。
【
図4】本実施形態に係る屋外用電源盤の
図3における模式的なQ-Q断面図である。
【
図5】本実施形態に係る屋外用電源盤の
図2における模式的なP-P斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る屋外用電源盤の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本実施形態に係る屋外用電源盤10の斜視図である。
図2は、本実施形態に係る屋外用電源盤10の正面図である。
図3は、本実施形態に係る屋外用電源盤10の左側面図である。屋外用電源盤10は、前面12、後面14、右側面16、左側面18、および上部ユニット28によって構成されている。屋外用電源盤10には実際は前面と後面という概念がないが、理解を容易にするため以下の説明では、
図1-3の符合12の面を前面、符合14の面を後面として説明する。
【0019】
前面12(第1の側)は、枠プレート20、下側プレート22、および上側プレート24によって構成されている。本実施形態では、前面12において、枠プレート20は1つ、下側プレート22および上側プレート24がそれぞれ4つずつ設けられている。下側プレート22、上側プレート24の数はこれに限定されないことはもちろんである。
【0020】
下側プレート22および上側プレート24は、上下方向に長い長方形状に形成されている。下側プレート22と上側プレート24は同じ幅を有している。上側プレート24は、下側プレート22の上に配置されている。この上下に並ぶ下側プレート22および上側プレート24の4つの組合せが左右方向に並んでいる。枠プレート20は、中央に大きな開口部を有する。この開口部に、下側プレート22および上側プレート24の4つの組合せが取り付けられている。
【0021】
後面14(第2の側)もまた、枠プレート20、下側プレート22、および上側プレート24によって構成されている。後面14の構成は前面12と同様なので詳細な説明を省略する。
【0022】
下側プレート22は、第1の給気口30を有する。第1の給気口30は、略正方形に形成されている。第1の給気口30は、より低い位置から給気できるよう、下側プレート22の下方に配置されている。第1の給気口30は、内部への雨の進入を防止するため、内部に向かって上方に傾斜するルーバを有する。第1の給気口30には、フィルタが取り付けられていてもよい。このフィルタは、第1のスペース40に侵入することが許容される異物や粉塵に応じて選択される。
【0023】
上側プレート24は、第2の給気口34および第2の排気口36を有する。第2の給気口34は、上側プレート24の下方に配置されており、第2の排気口36は、上側プレート24の上方に配置されている。第2の給気口34および第2の排気口36は、水平方向に長い長方形に形成されている。
【0024】
上部ユニット28は、屋外用電源盤10と略同一の幅及び奥行きを有し、高さが小さい箱状に形成されている。上部ユニット28は、前面12、後面14、右側面16、および左側面18の上に載置され固定されている。
【0025】
上部ユニット28は、前面および後面に第1の排気口32を有する。第1の排気口32は、4つの上側プレート24のうち中央の2つの上側プレート24と概ね同じ幅を有している。第1の排気口32は、内部への雨の進入を防止するため、内部に向かって上方に傾斜するルーバを有する。
【0026】
右側面16および左側面18は、それぞれ側方扉46を有する。側方扉46は両側がヒンジによりそれぞれ前面12、後面14に鉛直方向の軸を中心に回転可能に固定されている。これにより、側方扉46は中央が開くように構成されている。側方扉46を開放させることにより、屋外用電源盤10の内部の電気部品にアクセス可能となる。
【0027】
図4は、本実施形態に係る屋外用電源盤10の
図3における模式的なQ-Q断面図である。
図5は、本実施形態に係る屋外用電源盤10の
図2における模式的なP-P斜視図である。以下
図4および
図5を参照して、屋外用電源盤10の内部を詳細に説明する。
【0028】
屋外用電源盤10には、トランス50およびリアクトル52(第1の電気部品)が収容される。具体的には、屋外用電源盤10の内部にはボトムプレート62が設けられている。トランス50およびリアクトル52は、このボトムプレート62の上に固定されている。
【0029】
屋外用電源盤10には、インバータ、ACSW、およびMPPTなどの電気部品54(第2の電気部品)も収容される。本実施形態では、4つのMPPT、3つのインバータ、1つのACSWを含む合計8つの電気部品54が屋外用電源盤10に収容される。なお、電気部品54の種類や数がこれに限定されないことはもちろんである。
【0030】
屋外用電源盤10は、第1のスペース40、第2のスペース42、および第3のスペース44を有する。第1のスペース40は、トランス50およびリアクトル52を収容するためのスペースである。トランス50およびリアクトル52は、汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が比較的高いため、これらが収容されたスペースに外気を取り込んで通電による温度上昇を抑制することが好ましい。このため、第1のスペース40には、積極的に外気を取り込むことができるように構成されている。
【0031】
第2のスペース42は、上記の電気部品54を収容するためのスペースである。電気部品54は、トランス50およびリアクトル52よりも汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が低い。このため、電気部品54にはエアの取り込みによる冷却は必ずしも適切ではない。したがって、第2のスペース42は、積極的に外気を取り込まないように構成されている。これにより、汚れの付着や塵埃などの侵入による電気部品54の故障などを抑制することができる。
【0032】
第2のスペース42に収容された電気部品54は、エアではなく主に放熱部材68によって冷却する。放熱部材68は、電気部品54と同じ数だけ設けられており、それぞれ対応する電気部品54に接続されている。放熱部材68は、いわゆるヒートシンクであり、多数のフィンを有する。放熱部材68は周知の部材であるため、詳細な説明は省略する。
【0033】
第3のスペース44は、電気部品54に接続された放熱部材68を収容するためのスペースである。第3のスペース44は、第2の給気口34および第2の排気口36に連通している。放熱部材68には、第2のファン58(第2の送風装置)が取り付けられている。第2のファン58は、第2の給気口34から給気され、第3のスペース44内を流れ、第2の排気口36から排出されるエアの流れを生じさせる。
【0034】
電気部品54は、対応する第2の隔壁板66に固定されている。放熱部材68もまた、電気部品54に固定されている。第2の隔壁板66には放熱部材68が挿入される開口部が形成されている。電気部品54が第2の隔壁板66に固定されると、第2の隔壁板66の開口部から放熱部材68のみが第3のスペース44に向けて突出する。こうして、上側プレート24、電気部品54、第2の隔壁板66、放熱部材68、第2のファン58は一つの電気部品ユニット78を構成する。
【0035】
屋外用電源盤10は、2つのサイドプレート60、2つの第1の隔壁板64および8つの第2の隔壁板66を有する。第1の隔壁板64は、横方向に並ぶ4つの上側プレート24の裏面すべてを覆うことができる長さまで水平方向に長く形成されている。第1の隔壁板64は、延在方向に垂直な断面がコ字状になるように曲げられている。第1の隔壁板64は、横方向に並ぶ4つの上側プレート24の裏面すべてを覆うように、枠プレート20の裏面に固定される。サイドプレート60は、右側面16および左側面18と概ね同じ形状および大きさを有する。2つのサイドプレート60は、2つの第1の隔壁板64の両側の開口を塞ぐように、2つの第1の隔壁板64、前面12および後面14の双方の枠プレート20、およびボトムプレート62に固定される。このとき、第1の隔壁板64は、枠プレート20に気密に固定される。また、2つのサイドプレート60は、第1の隔壁板64の両側にそれぞれ気密に固定される。
【0036】
8つの第2の隔壁板66は、矩形のタブ状に形成されている。第2の隔壁板66の開口部は、上側プレート24よりもわずかに小さい矩形に形成されている。第2の隔壁板66の開口部は、上側プレート24の裏面に固定されている。このとき、第2の隔壁板66は、上側プレート24に気密に固定される。また、第2の隔壁板66は、第2の給気口34および第2の排気口36が開口部の内側に配置されるように上側プレート24に固定される。
【0037】
第2の隔壁板66、枠プレート20、上側プレート24、および第1の隔壁板64によって第2のスペース42が画定される。第2のスペース42は、第1のスペース40に対し気密に構成される。また、第1の隔壁板64および上側プレート24によって第3のスペース44が画定される。第3のスペース44は、第2のスペース42に対し気密に構成される。こうして、第2のスペース42は、第1のスペース40および第3のスペース44に対し気密に構成され、さらに外気に対しても気密に構成される。したがって、第2のスペース42に収容される電気部品54の外気による汚れの付着や塵埃などの侵入を抑制することができる。
【0038】
第1のスペース40は、前面12の4つの下側プレート22、後面14の4つの下側プレート22、2つのサイドプレート60、ボトムプレート62、および2つの第1の隔壁板64の下面によって画定される。下側プレート22には第1の給気口30が形成されているため、第1のスペース40は、第1の給気口30に連通している。なお、2つの第1の隔壁板64の下面には、それぞれ断熱材67が取り付けられている。断熱材67は、第1の隔壁板64の下面と略同一の形状及びサイズを有しており、第1の隔壁板64の下面の概ね全体を覆っている。これにより、第1のスペース40から第2のスペース42への熱の伝達を大幅に抑制することができる。
【0039】
このように、第1のスペース40は、第2のスペース42よりも下方に配置されている。これにより、電気部品54よりも質量が大きいトランス50およびリアクトル52を下方に配置することができるため、電源盤の安定性を高めることができる。
【0040】
2つの第1の隔壁板64の背面の間には間隙が形成されている。また、上部ユニット28は、屋根プレート74および天井プレート75を有する。天井プレート75は、鉛直排気ダクト70の上面と間隔をもって水平に2つの枠プレート20に固定される。屋根プレート74は、天井プレート75の上方に鉛直方向に間隔をもって配置される。
【0041】
屋外用電源盤10は、2つの内部サイドプレート76をさらに有する。内部サイドプレート76はT字状に形成されている。内部サイドプレート76は、屋外用電源盤10を正面から見て、右から1番目と2番目の上側プレート24の間、および3番目と4番目の上側プレート24の間に配置される。このとき2つの内部サイドプレート76は、2つの第1の隔壁板64の背面の間、および2つの第1の隔壁板64の上面と天井プレート75の下面の間にそれぞれ配置される。また、2つの内部サイドプレート76は、2つの第1の隔壁板64の背面、2つの第1の隔壁板64の上面、および天井プレート75の下面にそれぞれ気密に固定される。
【0042】
2つの第1の隔壁板64の背面と、2つの内部サイドプレート76によって、鉛直排気ダクト70が画定される。鉛直排気ダクト70は、第1のスペース40からのエアを上方に送るように、第1のスペース40から鉛直上方に延在する。第3のスペース44は、第2のスペース42の前面12側および後面14側に配置されている。鉛直排気ダクト70は、第2のスペース42の反対側、すなわち第2のスペース42の背面側に配置されている。これにより、第2のスペース42および第3のスペース44との干渉を回避しながら鉛直排気ダクト70を第2のスペース42および第3のスペース44よりも上方に伸ばすことができる。したがって、電源盤のサイズを抑制することができる。また、トランス50およびリアクトル52の排熱を含むエアを、第3のスペース44よりも上方において排出することができる。したがって、熱をもったエアが冷却のため再び給気されることを回避して電気部品54を適切に冷却することができる。
【0043】
また、第1の隔壁板64の上面、天井プレート75の下面、および2つの内部サイドプレート76によって、水平排気ダクト72が画定される。水平排気ダクト72は、中央下方に開口部72aを有する。この開口部72aが鉛直排気ダクト70の上端開口部に気密に接続される。水平排気ダクト72は、前後方向に延在する。水平排気ダクト72は、前方および後方にそれぞれ第1の排気口32を有する。水平排気ダクト72は、鉛直排気ダクト70から送られたエアを第1の排気口32まで水平方向に送る。第1のスペース40は、鉛直排気ダクト70および水平排気ダクト72を介して、2つの第1の排気口32に連通している。
【0044】
水平排気ダクト72の内部には8つの第1のファン56(第1の送風装置)が配置されている。4つの第1のファン56は、前方の第1の排気口32へのエアの流れを生じさせるように、開口部72aよりも前方において水平方向に並ぶように配置されている。残りの4つの第1のファン56は、後方の第1の排気口32へのエアの流れを生じさせるように、開口部72aよりも後方において水平方向に並ぶように配置されている。第1のファン56は、第1の給気口30から給気され、第1のスペース40内を流れ、第1の排気口32から排出されるエアの流れを生じさせる。
【0045】
このように、第1のスペース40に配置される汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が比較的高いトランス50およびリアクトル52は、第1のスペース40内を流れるエアによって適切に冷却される。また、第2のスペース42に配置される汚れの付着や塵埃などの侵入への耐性が比較的低い電気部品54は、エアによる汚れの付着や塵埃などの侵入を回避しつつ、放熱部材68を介して適切に冷却される。
【0046】
上述のように、屋根プレート74は、水平排気ダクト72の上方に鉛直方向に間隔をもって配置される。さらに屋根プレート74には、太陽光による輻射熱を遮断する断熱塗装がなされている。これにより、水平排気ダクト72内のエアが太陽光によりさらに加熱されることを回避することができる。本実施形態では、屋根プレート74だけでなく、枠プレート20、下側プレート22、上側プレート24、側方扉46など屋外用電源盤10の外壁全体に断熱塗装がなされている。なお、断熱塗装は屋外用電源盤10外壁の一部になされていてもよい。
【0047】
上記構成により、前面12および後面14のそれぞれにおいて、第1の給気口30および第1の排気口32、並びに第2の給気口34および第2の排気口36は、同一の側に配置されている。しかしながら、第1の給気口30および第2の給気口34を、第1の排気口32および第2の排気口36よりも下方に配置することができる。第1の排気口32および第2の排気口36から排出されるエアは温度が上昇しているため、排出後に上方に向かって広がる。このため、第1の排気口32および第2の排気口36から排出されたエアが再び第1の給気口30または第2の給気口34から取り込まれることを抑制することができ、吸排気の干渉を抑制することができる。
【0048】
屋外用電源盤10は、マイコンなどのコンピュータを含む制御装置(図示せず)を有している。制御装置は、第1のファン56および第2のファン58に接続されており、これらの作動を制御する。第1のスペース40の内部には第1の温度センサ(図示せず)が配置されており、第2のスペース42の内部には、第2の温度センサ(図示せず)が配置されている。これらの温度センサもまた、制御装置に接続されている。制御装置は、第1の温度センサにより検出された第1のスペース40の温度に応じて、第1のファン56の作動を制御する。制御装置は、第2の温度センサにより検出された第2のスペース42の温度に応じて、第2のファン58の作動を制御する。
【0049】
本実施形態では、上述のように、第1のスペース40と第2のスペース42とが熱的に分離されている。このため、第1のスペース40の温度制御による第2のスペース42の温度への影響、または第2のスペース42の温度制御による第1のスペース40の温度への影響を抑制することができる。このため、第1のスペース40および第2のスペース42の正確な温度制御が可能となる。このような正確な温度制御により、トランス50、リアクトル52、電気部品54の信頼性を高めることができるだけでなく、第1のファン56および第2のファン58の過度の作動を抑制して第1のファン56および第2のファン58の信頼性も高めることができる。
【0050】
また、上記構成により、側方から見て、一対の第2のスペース42が、一つの第1のスペース40の上方において、鉛直排気ダクト70を挟んで、水平方向に並んで配置されている。一対の第2のスペース42にそれぞれ対応する一対の第3のスペース44が、互いに背向する前面12側および後面14側に配置されている。鉛直排気ダクト70は、一対の第2のスペース42の間に配置されている。一対の第3のスペース44の一方の第2の給気口34および第2の排気口36は、前面12に配置されている。一対の第3のスペース44の他方の第2の給気口34および第2の排気口36は、後面14に配置されている。第1の給気口30および第1の排気口32は、前面12および後面14の双方に設けられている。水平排気ダクト72は、鉛直排気ダクト70の上端から、前面12に設けられた第1の排気口32および後面14に設けられた第1の排気口32の双方に延びている。
【0051】
これにより、一対の第2のスペース42の間に鉛直排気ダクト70を配置することができる。このため、バランスのとれた配置が可能となり、複数の電気部品54を収容する場合においても、サイズを抑制した屋外用電源盤10を提供することができる。なお、正面から見て最も右の第2のスペース42と最も左の第2のスペース42は、鉛直排気ダクト70が配置されていないため、前後で一体的に構成されており、一対に分かれていない。なお、最も右の第2のスペース42と最も左の第2のスペース42も一対に分かれていてもよい。
【0052】
図6は、本実施形態に係る屋外用電源盤の斜視図である。本実施形態では、8つの上側プレート24のそれぞれがその左端部においてヒンジにより鉛直方向の軸を中心に回動可能に枠プレート20に固定されている。この結果、
図6に示すように、電気部品ユニット78が、鉛直方向の軸を中心に回動可能に構成されている。電気部品ユニット78を開放することにより、電気部品54に容易にアクセスすることが可能となり、電気部品54を容易にメンテナンスすることができる。
【0053】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0054】
10 屋外用電源盤,12 前面,14 後面,16 右側面,18 左側面,20 枠プレート,22 下側プレート,24 上側プレート,28 上部ユニット,30 第1の給気口,32 第1の排気口,34 第2の給気口,36 第2の排気口,40 第1のスペース,42 第2のスペース,44 第3のスペース,46 側方扉,50 トランス,52 リアクトル,54 電気部品,56 第1のファン,58 第2のファン,60 サイドプレート,62 ボトムプレート,64 第1の隔壁板,66 第2の隔壁板,68 放熱部材,70 鉛直排気ダクト,72 水平排気ダクト,72a 開口部,74 屋根プレート,75 天井プレート,76 内部サイドプレート,78 電気部品ユニット