(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146933
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】空調設備の取り付けユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0047 20190101AFI20231004BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
F24F1/0047
F24F13/22 222
F24F1/0007 361B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054379
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】500019096
【氏名又は名称】有限会社原木板金製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100103148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 輝美
(72)【発明者】
【氏名】原木 義信
【テーマコード(参考)】
3L050
【Fターム(参考)】
3L050BF04
(57)【要約】
【課題】 本発明は、空調設備の取り付けユニットに関し、特に商業施設や工場、倉庫、病院、学校等に取り付ける空調設備の取り付けユニットに関する。
【解決手段】 上記課題は本発明によれば、空調設備に必要な装置と配管が取り付けられたユニットであって、建物の天井に打設されたアンカーに、前記ユニットを構成する複数のフレームの中で、上方大枠を構成する縦横のフレームを取り付け、上記ユニットを前記建物の天井に設置する空調設備の取り付けユニットを提供するものであり、上記装置は例えばエアコンパッケージとチャンバーダクトとBSユニットであり、上記配管は例えば媒配管とドレン配管である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調設備に必要な装置と配管が取り付けられたユニットであって、建物の天井に打設されたアンカーに、前記ユニットを構成する複数のフレームの中で、上方大枠を構成する縦横のフレームを取り付け、前記ユニットを前記建物の天井に設置することを特徴とする空調設備の取り付けユニット。
【請求項2】
前記装置はエアコンパッケージとチャンバーダクトとBSユニットであることを特徴とする請求項1に記載の空調設備の取り付けユニット。
【請求項3】
前記配管は媒配管とドレン配管であることを特徴とする請求項1、又は2に記載の空調設備の取り付けユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空調設備の取り付けユニットに関し、特に商業施設や工場、倉庫、病院、学校等に取り付ける空調設備の取り付けユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、商業施設や工場、倉庫、病院、学校等に取り付ける空調設備のユニット化が要望されている。特許文献1は空調設備をユニット化した発明であり、各種の配管・配線設備の施工やメンテナンスなどの作業を効率よく行う壁面設備ユニットを提供する発明である。したがって、この発明はユニット化された空調設備を建物の壁面に設置するものである。
【0003】
しかし、空調設備のユニット化は、特に作業が困難な建物の天井に取り付ける場合に有効である。従来、商業施設や工場、倉庫、病院、学校等において、照明機器や空調設備を建物の天井に施工する場合、複数の施工業者により各工程の施工が行われている。
【0004】
例えば、予め計画された工程手順に従い、天井の大枠部を組み込む工程、照明等を組み込む電気設備工程、吹出口、エアコンを設ける空調設備設置工程を、異なる施工業者が入れ替わり施工を行っているのが現状である。さらに、各設備工程を行う同一の施工業者の中においても、更に細分化されて異なる施工業者(例えばダクト工事では配管工、保温工、塗装工)により作業が行われている。
【0005】
冷暖房用の空調設備は、例えばエアコン機能を備えたパッケージエアコンが使用され、空調設備を天井に取り付ける場合、上記パッケージエアコン(以下、単にパッケージで示す)の他に、パッケージに供給する冷媒の冷媒配管や、暖気又は冷気を安定して室内へ送る為のチャンバーダクト、室内に供給する暖気又は冷気の切り替えを行うBSユニット等の各装置を天井に取り付ける必要がある。
【0006】
以下に、従来の空調設備を商業施設や工場、倉庫、病院、学校等の天井に取り付ける場合の例を説明する図である。
この場合、前述のように予め計画された工程手順に従い、空調設備を取り付ける天井の個所にアンカーを打設する。この場合、設置に必要な装置は上記のように、エアコン機能を備えたパッケージ、冷媒配管、チャンバーダクト、BSユニット、パッケージから延びるドレン配管等である。この為、これらの装置を個々に取り付ける必要があり、建物の天井には予め設定された個々の位置に多くのアンカーを打設する必要があった。
【0007】
図3は建物の天井に打設されたアンカーに個々の装置を取り付けた状態を示す図である。したがって、この例では後述する各装置を建物の天井に取り付ける為、21本のアンカー20-1~20―21を予め建物の天井のコンクリートに打設する必要がある。そして、21本のアンカーに、例えば以下の順序で各装置を取り付ける。
先ず4本のアンカー20-1~20-4にエアコン機能を備えたパッケージ21を取り付ける。この場合、パッケージ21の4隅に設けられたブレードに螺子又はボルトを使用して4本のアンカー20-1~20-4に取り付ける。
【0008】
次に、2本のアンカー20-5~20-6にチャンバーダクト22を取り付ける。この場合、チャンバーダクト22に延設するグラスフレキ23もバンドを介してアンカー20-7に取り付ける。
【0009】
次に、4本のアンカー20-8~20-11にBSユニット24を取り付ける。この場合、BSユニット24の4隅に設けられたブレードを使用して対応する4本のアンカー20-8~20-11に取り付ける。
【0010】
その後、冷媒配管25を束ねたバンドを使用して対応する8本のアンカー20-12~20-19に取り付け、更にドレン配管26を束ねたバンドを使用して対応する2のアンカー20-20~20-21に取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、従来天井に空調設備を設置する場合、パッケージ、チャンバーダクト、 BSユニット等の装置や、冷媒配管、ドレン配管の取り付けの為、予め多数のアンカーを建物の天井に打設する必要があり、多くの工数が必要であった。例えば、上記
図3に示す例では21本のアンカー20-1~20-21を建物の天井のコンクリートに打設する必要があり、更にアンカーに各装置を取り付ける為の螺子やボルト等も多数必要であった。
【0013】
また、パッケージ等の多くの装置や配管を建物の天井に取り付ける必要があり、夫々異なる業者が行う作業であり、多くの時間を要する。また、高所での作業であり、危険を伴う作業を多くの業者が入れ替わり立ち代わり行う効率の悪い作業であった。
【0014】
さらに、現場で建物の天井への空調設備の取り付けを行う為、パッケージや、チャンバーダクト、BSユニット等を運搬した梱包材を現場で廃棄する処理が必要であり、多くの労力を必要としていた。
【0015】
そこで、本発明は天井に空調設備を設置する際、パッケージ、チャンバーダクト、BSユニット等の装置を予め設計したユニットに工場で取り付け、当該ユニットを現場に持ち込むことによって、ユニット化された空調設備を取り付けるものであり、従来必要であった多数のアンカーを建物の天井に打設する必要がない。
【0016】
また、現場で夫々異なる業者が個々に危険な作業を行う必要がなく、本件特許出願の発明によればアッパーに乗った作業者が1回の取り付け作業によって空調設備を建物の天井に取り付けことができる。したがって、作業工数を大幅に減らし、建物の天井への空調設備の取り付け時間も短縮することができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題は本発明によれば、空調設備に必要な装置と配管が取り付けられたユニットであって、建物の天井に打設されたアンカーに、上記ユニットを構成する複数のフレームの中で、上方大枠を構成する縦横のフレームを取り付け、上記ユニットを前記建物の天井に設置する空調設備の取り付けユニットを提供するものであり、上記装置は例えばエアコンパッケージとチャンバーダクトとBSユニットであり、上記配管は例えば媒配管とドレン配管である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態の空調設備の取り付けユニットの斜視図である。
【
図2】本実施形態のユニットの正面図、平面図、右側面図であり、(a)は本例のユニットの正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は右側面図である。
【
図3】従来の空調設備を取り付ける位置の天井に打設されたアンカーを使用して個々の装置を取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態の空調設備の取り付けユニット1の斜視図である。また、
図2は本実施形態のユニット1の正面図、平面図、右側面図であり、同図(a)は本例のユニット1の平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は右側面図である。
【0020】
両図において、本例のユニット1にはパッケージ2、チャンバーダクト3、BSユニット4、及び冷媒配管5、ドレン配管6が取り付けられる。尚、チャンバーダクト3には可撓性のグラスフレキ7も延設されている。
また、ユニット1は上記パッケージ2、チャンバーダクト3、BSユニット4や、配管がコンパクトに収納できるサイズに設計され、縦、横、斜めに螺子、ボルト、又は溶接で固定された複数のフレームで構成され、対応するフレームに各装置や配管が予め取り付けられる。
【0021】
パッケージ2は本例の空調設備の本体であり、冷暖房の空調機能を備え、パッケージ2の下面に室内への冷気又は暖気の吹き出し口が設けられている。また、グラスフレキ7が延設されたチャンバーダクト3は、建物に設けられたダクトに接続され、ダクトから供給される外気を導入し、フィルター8を介してパッケージ2に供給する。
【0022】
また、BSユニット4は冷媒配管5から供給されるCH2F2(R-32)等の冷媒(HFCガス)をパッケージ2に送る際の切り替えを行い、冷媒配管5aから供給される冷気をパッケージ2に送ると共に、パッケージ2からの冷媒を不図示の熱交換機に送る。したがって、冷媒配管5には冷気を搬送する冷媒配管5aと使用された冷媒を熱交換機に送る冷媒配管5bが配設されている。尚、ドレン配管6はパッケージ2内の排水を外部に排出する配管である。
【0023】
本例の場合、建物の天井に空調設備を設置する際に必要なこのような装置や配管は、予め工場内で本例のユニット1に取り付けられ、その後空調設備の設置場所に搬送される。
【0024】
両図に示すように、本例のユニット1は縦方向フレーム10(同図に示すX方向フレーム)、横方向フレーム11(同図に示すY方向フレーム)、及び高さ方向フレーム12(同図に示すZ方向フレーム)で構成され、夫々のフレームは螺子又はボルトで固定されている。
【0025】
すなわち、本例のユニット1は、縦方向フレーム10a、10bと横方向フレーム11a、11bの上方大枠と、縦方向フレーム10c、10dと横方向フレーム11c、11dの下大枠を、4本の高さ方向フレーム12a~12dによって固定して構成されている。尚、13a、13bは補強フレームである。
【0026】
また、高さ方向フレーム12a~12dの所定位置に縦方向フレーム10e、10fと横方向フレーム11e、11fで構成される中間枠を取り付け、横方向フレーム11e、11f間の所定位置に縦方向フレーム10gと10hを架け渡して取り付け、更に縦方向フレーム10f、10h間の所定位置に横方向フレーム11gを架け渡して取り付けられている。
【0027】
上記構成のユニット1への各装置の取り付けは、例えばエアコンパッケージ2の場合、エアコンパッケージ2の4隅に設けられたブラケット9を使用し、前述のユニット1の縦方向フレーム10f、10hに接続パイプを介装して取り付けられている。
【0028】
チャンバーダクト3は、チャンバーダクト3の上面に立設されたパイプを介して横方向フレーム11gに取り付けられている。また、ユニット1への上記チャンバーダクト3の取り付けと同時に、チャンバーダクト3に延設するグラスフレキ7も縦方向フレーム10gに不図示の結束バンド等を介して取り付けられている。
【0029】
BSユニット4は、BSユニット4の4隅に設けられたブラケット9を使用し、ユニット1の縦方向フレーム10e、10gに接続パイプを介装して取り付けられている。
【0030】
また、冷媒配管5は上記のように、パッケージ2に冷気を送る冷媒配管5aと、使用された冷媒を熱交換機送る冷媒配管5bで構成され、夫々不図示のバンドを使用され、縦方向フレーム10f、10hに取り付けられている。また、エアコンパッケージ2からの排水を外部に排出するドレン配管7も不図示のバンド等を介装して縦方向フレーム10gに取り付けられている。
【0031】
以上のように、エアコンパッケージ2、チャンバーダクト3、BSユニット4、冷媒配管5a、5b、ドレン配管6が取り付けられたユニット1は、現場に送られる。この場合、ユニット化された複数の空調設備が、トラックで現場に搬送され、現場で建物の天井に取り付けられる。
【0032】
以上のように、本発明によればエアコンパッケージ2、チャンバーダクト3、BSユニット4等の装置が予め取り付けられたユニット1を建物の天井に設置するだけよく、例えば建物の天井に4本のアンカーを打設すればよく、従来のように多くのアンカーを建物の天井に打設する必要がない。
【0033】
この場合、4本のアンカーを使用してユニット1(空調設備)を建物の天井に取り付けることになるが、例えばユニット1の上方大枠を構成する縦方向フレーム10a、10b、又は横方向フレーム11a、11bに4本のアンカーを取り付ける。
【0034】
例えば、
図2に示す縦方向フレーム10a、10bの4カ所の位置14a~14dに、例えば不図示のブラケットを取り付け、このブラケットを建物の天井に取り付けたアンカーに固定する。
【0035】
また、例えば
図1に示す高さ方向フレーム12a~12dを上方に延設し、この延設した高さ方向フレーム12a~12dに建物の天井に取り付けたアンカーを固定するようにしてもよい。
【0036】
このように、本発明によれば、空調設備に必要な装置が予めユニット1に取り付けられているので、夫々異なる業者が現場で行う作業が不要であり、危険を伴う高所での作業を多くの業者が行う必要がない。また、作業工数を減らし、建物の天井への空調設備の取り付け作業を効率よく行うことができる。
【0037】
尚、上記本実施形態の説明では、
図1及び
図2に示す構成のフレーム1を使用したが、両図に示す構成に限らず、パッケージ2、チャンバーダクト3、BSユニット4等の各装置や配管を予めコンパクトに取り付け可能なフレームであれば、同様に実施することができ、本発明の空調設備の取り付けユニットとして、上記両図に示す構成のフレーム1の構成に限定されるものではない。
【0038】
1・・・ユニット
2・・・エアコンパッケージ
3・・・チャンバーダクト
4・・・BSユニット
5、5a、5b・・冷媒配管
6・・・ドレン配管
7・・・グラスフレキ
8・・・ファイルター
9・・・ブラケット
10a~10h・・縦方向フレーム
11a~11g・・横方向フレーム
12a~12d・・高さ方向フレーム
13a、13b・・補強フレーム
14a、14b・・4カ所の位置