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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146952
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】試験システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
G01M17/007 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054415
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000145806
【氏名又は名称】株式会社小野測器
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】松本 祥
(72)【発明者】
【氏名】稲川 圭太
(57)【要約】
【課題】試験の実施中に試験担当者が試験の遂行にとって望ましくない状態になっても、試験担当者の不適切な対処を回避し易くすることができる試験システムを提供する。
【解決手段】試験システム1は、試験条件設定装置2を制御する制御装置3と、試験対象物100の状態に関する第1検出情報を取得する第1検出器4と、試験の実施中に取得される第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置7と、試験担当者200の緊張状態に関する緊張状態情報を取得する緊張状態検出器5Aとを有する。制御装置3は、試験担当者200が試験監視情報の表示に応じて試験条件を操作する手動モードの試験を実施しているときに、緊張状態情報に基づいて試験担当者200が過度の緊張状態にあると判定した場合、試験の手順に関する情報を表示装置7において表示する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象物の試験に関する試験条件を設定する1つ以上の試験条件設定装置と、
前記試験条件設定装置を制御する制御装置と、
前記試験対象物の状態に関する第1検出情報を取得する1つ以上の第1検出器と、
前記試験に携わる試験担当者の状態に関する第2検出情報を取得する1つ以上の第2検出器と、
前記試験の実施中に取得される前記第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置とを有し、
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の緊張状態に関する緊張状態情報を取得する緊張状態検出器であり、
前記制御装置は、前記試験担当者が前記試験監視情報の表示に応じて前記試験条件を操作する手動モードにおいて、前記緊張状態情報に基づいて前記試験担当者が過度の緊張状態にあると判定した場合、前記試験の手順に関する情報を前記表示装置において表示する、
試験システム。
【請求項2】
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器であり、
前記制御装置は、前記手動モードにおいて、前記集中度情報に基づいて前記試験担当者の集中の度合いが低下していると判定した場合、休憩を促すメッセージを前記表示装置において表示する、
請求項1に記載の試験システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1検出情報が示す前記試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、前記緊張状態情報に基づいて前記試験担当者が過度の緊張状態にあると判定したならば、前記試験担当者に対する技術的なアドバイスを求めるアドバイス要請を所定の要請受付先に送信する、
請求項1又は2に記載の試験システム。
【請求項4】
試験対象物の試験に関する試験条件を設定する1つ以上の試験条件設定装置と、
前記試験条件設定装置を制御する制御装置と、
前記試験対象物の状態に関する第1検出情報を取得する1つ以上の第1検出器と、
前記試験に携わる試験担当者の状態に関する第2検出情報を取得する1つ以上の第2検出器と、
前記試験の実施中に取得される前記第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置とを有し、
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器であり、
前記制御装置は、前記試験担当者が前記第1検出情報の表示に応じて前記試験条件を操作する手動モードにおいて、前記集中度情報に基づいて前記試験担当者の集中の度合いが低下していると判定した場合、休憩を促すメッセージを前記表示装置において表示する、
試験システム。
【請求項5】
試験対象物の試験に関する試験条件を設定する1つ以上の試験条件設定装置と、
前記試験条件設定装置を制御する制御装置と、
前記試験対象物の状態に関する第1検出情報を取得する1つ以上の第1検出器と、
前記試験に携わる試験担当者の状態に関する第2検出情報を取得する1つ以上の第2検出器と、
前記試験の実施中に取得される前記第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置とを有し、
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の緊張状態に関する緊張状態情報を取得する緊張状態検出器であり、
前記制御装置は、前記第1検出情報が示す前記試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、前記緊張状態情報に基づいて前記試験担当者が過度の緊張状態にあると判定したならば、前記試験担当者に対する技術的なアドバイスを求めるアドバイス要請を所定の要請受付先に送信する、
試験システム。
【請求項6】
前記試験担当者の注意を喚起するための報知を行う報知装置を有し、
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器であり、
前記制御装置は、前記第1検出情報が示す前記試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、前記集中度情報に基づいて前記試験担当者の集中の度合いが低下していると判定したならば、前記所定の正常状態からの逸脱を報知するように前記報知装置を制御する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の試験システム。
【請求項7】
前記試験担当者の注意を喚起するための報知を行う報知装置を有し、
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器であり、
前記制御装置は、前記第1検出情報が示す前記試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、
前記集中度情報に基づいて前記試験担当者の集中の度合いが低下していないと判定したならば、前記所定の正常状態からの逸脱を報知する第1の報知動作を行うように前記報知装置を制御し、
前記集中度情報に基づいて前記試験担当者の集中の度合いが低下していると判定したならば、前記第1の報知動作に比べて注意喚起の程度が強い第2の報知動作を行うように前記報知装置を制御する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の試験システム。
【請求項8】
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の緊張状態に関する緊張状態情報を取得する緊張状態検出器であり、
前記制御装置は、前記第1検出情報が示す前記試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、前記緊張状態情報に基づいて前記試験担当者が過度の緊張状態にあると判定したならば、前記所定の正常状態からの逸脱を報知する報知動作を抑止するように前記報知装置を制御する、又は、前記緊張状態情報に基づいて前記試験担当者が過度の緊張状態にないと判定した場合の報知動作に比べて注意喚起の程度が弱い報知動作を行うように前記報知装置を制御する、
請求項6又は7に記載の試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人による操作や監視を受けながら試験を実施する試験システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、研究開発などのために試験を行う試験システムでは、試験の実施中に人(試験担当者)が試験条件を操作したり、特殊な状況(試験対象物の異常など)へ対処するために試験の実施状況を監視したりしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような試験システムでは、試験を実施しているときの試験対象物の状態に関する情報が各種のセンサにより収集され、収集された情報に基づいて試験結果のデータが得られる。通常、試験対象物の状態と直接関係しない試験担当者の状態は、試験システムによって把捉されない。しかしながら、試験担当者は、試験の実施中に試験条件を操作したり、特殊な状況へ対処したりする(例えば試験を中止する)役割を担っている。そのため、例えば試験の実施中に大きな心理的負荷(試験データの異常による心理的負荷など)を受けたことによって試験担当者が過度の緊張状態に陥った場合、このような試験担当者の状態を把捉していない従来の試験システムでは、試験担当者が不適切な対処をしてしまうこと(例えば、誤った操作を行う、直ちに中止するべき試験を続行する等)を回避できないという問題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、試験実施中に試験担当者が試験の遂行にとって望ましくない状態になった場合でも、試験担当者の不適切な対処を回避し易くすることができる試験システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様に係る試験システムは、試験対象物の試験に関する試験条件を設定する1つ以上の試験条件設定装置と、試験条件設定装置を制御する制御装置と、試験対象物の状態に関する第1検出情報を取得する1つ以上の第1検出器と、試験に携わる試験担当者の状態に関する第2検出情報を取得する1つ以上の第2検出器と、試験の実施中に取得される第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置とを有し、少なくとも1つの第2検出器が、試験担当者の緊張状態に関する緊張状態情報を取得する緊張状態検出器であり、制御装置は、試験担当者が試験監視情報の表示に応じて試験条件を操作する手動モードにおいて、緊張状態情報に基づいて試験担当者が過度の緊張状態にあると判定した場合、試験の手順に関する情報を表示装置において表示する。
この構成によれば、手動モードで試験を実施しているときに試験担当者が過度の緊張状態になった場合、試験の手順に関する情報が表示装置に表示されるため、試験担当者がこの情報を見ながら落ち着いて試験を遂行し易くなる。従って、試験担当者が過度の緊張状態になっても、試験担当者の不適切な対処(手動モードにおける試験条件の誤った操作など)が回避され易くなる。
【0006】
好ましくは、少なくとも1つの第2検出器が、試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器であり、制御装置は、手動モードにおいて、集中度情報に基づいて試験担当者の集中の度合いが低下していると判定した場合、休憩を促すメッセージを表示装置において表示する。
この構成によれば、手動モードにおいて試験担当者の集中の度合いが低下した場合、休憩を促すメッセージが表示装置に表示されるため、このメッセージを見た試験担当者が休憩をとることによって集中力を回復し易くなる。従って、試験担当者の集中の度合いが低下しても、試験担当者の不適切な対処(手動モードにおける試験条件の誤った操作など)が回避され易くなる。
【0007】
好ましくは、制御装置は、第1検出情報が示す試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、緊張状態情報に基づいて試験担当者が過度の緊張状態にあると判定したならば、試験担当者に対する技術的なアドバイスを求めるアドバイス要請を所定の要請受付先に送信する。
この構成によれば、試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱した場合において、試験担当者が過度の緊張状態になった場合、この試験担当者に対して技術的なアドバイスを与えるように求めるアドバイス要請が所定の要請受付先に送信される。これにより、過度の緊張状態にある試験担当者が技術的なアドバイスを受けられるようになる。そのため、試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱した場合において試験担当者が過度の緊張状態になっても、試験担当者の不適切な対処(中止するべき試験を続行することなど)が回避され易くなる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る試験システムは、試験対象物の試験に関する試験条件を設定する1つ以上の試験条件設定装置と、試験条件設定装置を制御する制御装置と、試験対象物の状態に関する第1検出情報を取得する1つ以上の第1検出器と、試験に携わる試験担当者の状態に関する第2検出情報を取得する1つ以上の第2検出器と、試験の実施中に取得される第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置とを有し、少なくとも1つの第2検出器が、試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器であり、制御装置は、試験担当者が第1検出情報の表示に応じて試験条件を操作する手動モードにおいて、集中度情報に基づいて試験担当者の集中の度合いが低下していると判定した場合、休憩を促すメッセージを表示装置において表示する。
この構成によれば、手動モードにおいて試験担当者の集中の度合いが低下した場合、休憩を促すメッセージが表示装置に表示されるため、このメッセージを見た試験担当者が休憩をとることによって集中力を回復し易くなる。従って、試験担当者の集中の度合いが低下しても、試験担当者の不適切な対処(手動モードにおける試験条件の誤った操作など)が回避され易くなる。
【0009】
本発明の第3の態様に係る試験システムは、試験対象物の試験に関する試験条件を設定する1つ以上の試験条件設定装置と、試験条件設定装置を制御する制御装置と、試験対象物の状態に関する第1検出情報を取得する1つ以上の第1検出器と、試験に携わる試験担当者の状態に関する第2検出情報を取得する1つ以上の第2検出器と、試験の実施中に取得される第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置とを有し、少なくとも1つの第2検出器が、試験担当者の緊張状態に関する緊張状態情報を取得する緊張状態検出器であり、制御装置は、第1検出情報が示す試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、緊張状態情報に基づいて試験担当者が過度の緊張状態にあると判定したならば、試験担当者に対する技術的なアドバイスを求めるアドバイス要請を所定の要請受付先に送信する。
この構成によれば、試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱した場合において、試験担当者が過度の緊張状態になった場合、この試験担当者に対して技術的なアドバイスを行うように求めるアドバイス要請が所定の要請受付先に送信される。これにより、過度の緊張状態にある試験担当者が技術的なアドバイスを受けられるようになる。そのため、試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱した場合において試験担当者が過度の緊張状態になっても、試験担当者の不適切な対処(中止するべき試験を続行することなど)が回避され易くなる。
【0010】
好ましくは、試験システムは、試験担当者の注意を喚起するための報知を行う報知装置を有し、少なくとも1つの第2検出器が、試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器であり、制御装置は、第1検出情報が示す試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、集中度情報に基づいて試験担当者の集中の度合いが低下していると判定したならば、所定の正常状態からの逸脱を報知するように報知装置を制御する。
この構成によれば、試験対象物が所定の正常状態から逸脱した場合、集中の度合いが低下している試験担当者に対して報知装置により注意喚起の報知が行われるため、集中度の低下に起因した試験担当者の不適切な対処(中止するべき試験を続行することなど)が回避され易くなる。
【0011】
好ましくは、試験システムは、試験担当者の注意を喚起するための報知を行う報知装置を有し、少なくとも1つの第2検出器が、試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器であり、制御装置は、第1検出情報が示す試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、集中度情報に基づいて試験担当者の集中の度合いが低下していないと判定したならば、所定の正常状態からの逸脱を報知する第1の報知動作を行うように報知装置を制御し、集中度情報に基づいて試験担当者の集中の度合いが低下していると判定したならば、第1の報知動作に比べて注意喚起の程度が強い第2の報知動作を行うように報知装置を制御する。
この構成によれば、試験対象物が所定の正常状態から逸脱した場合、集中の度合いが低下している試験担当者に対して、集中の度合いが低下していない場合よりも注意喚起の程度が強い報知が報知装置によって行われる。これにより、集中度の低下に起因した試験担当者の不適切な対処(中止するべき試験を続行することなど)が回避され易くなる。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの第2検出器が、試験担当者の緊張状態に関する緊張状態情報を取得する緊張状態検出器であり、制御装置は、第1検出情報が示す試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、緊張状態情報に基づいて試験担当者が過度の緊張状態にあると判定したならば、所定の正常状態からの逸脱を報知する報知動作を抑止するように報知装置を制御する、又は、緊張状態情報に基づいて試験担当者が過度の緊張状態にないと判定した場合の報知動作に比べて注意喚起の程度が弱い報知動作を行うように報知装置を制御する。
この構成によれば、試験対象物が所定の正常状態から逸脱した場合、この正常状態からの逸脱に起因して過度の緊張状態に陥った試験担当者に対する注意喚起の報知動作が抑止されるか、又は、過度の緊張状態に陥っていない場合の報知動作よりも注意喚起の程度が弱い報知動作が行われる。これにより、注意喚起の報知動作による試験担当者の緊張状態の悪化が回避され易くなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、試験実施中に試験担当者が試験の遂行にとって望ましくない状態になった場合でも、試験担当者の不適切な対処を回避し易くすることができる試験システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1の実施形態に係る試験システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る試験システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図3図3は、第2の実施形態に係る試験システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、第3の実施形態に係る試験システムの動作を説明するためのフローチャートある。
図5図5は、第4の実施形態に係る試験システムの構成の一例を示す図である。
図6図6は、第4の実施形態に係る試験システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、第5の実施形態に係る試験システムの構成の一例を示す図である。
図8図8は、第5の実施形態に係る試験システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る試験システム1の構成の一例を示す図である。図1に示す試験システム1は、試験条件設定装置2と、制御装置3と、第1検出器4と、緊張状態検出器5Aと、集中度検出器5Bと、操作装置6と、表示装置7と、報知装置8と、通信装置9を有する。緊張状態検出器5A及び集中度検出器5Bは、それぞれ本発明における第2検出器の一例である。
【0016】
試験条件設定装置2は、試験対象物100に関する試験条件を設定する装置である。例えば自動車の動力性能・燃費などを試験するシャシダイナモメータの場合、自動車の車軸に与える負荷を設定する装置、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み量を設定する装置、車体の前方からの送風量を設定する装置などが試験条件設定装置2に対応する。図1の例において試験システム1は複数の試験条件設定装置2を備えているが、試験条件設定装置2の数は1つでもよい。
【0017】
第1検出器4は、試験対象物100の状態に関する情報(以下「第1検出情報」と記す場合がある。)を取得する。例えばシャシダイナモメータの場合、車軸の回転速度、車軸にかかる負荷の大きさ、エンジンの回転速度、所定の排出ガスの排出量などを取得する装置が第1検出器4に対応する。図1の例において試験システム1は複数の第1検出器4を備えているが、第1検出器4の数は1つでもよい。
【0018】
表示装置7は、試験の実施中に第1検出器4で取得される第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する装置である。表示装置7は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プロジェクタ、眼鏡型ディスプレイなどを含んでよい。表示装置7は、制御装置3において生成される映像信号に応じた画面を表示する。
【0019】
緊張状態検出器5Aは、試験に携わる試験担当者200の状態に関する情報(以下「第2検出情報」と記す場合がある。)を取得する検出器であり、試験担当者200の緊張状態に関する緊張状態情報を第2検出情報として取得する。緊張状態検出器5Aは、例えば、試験担当者200が身に着けている装置(ウェアラブル装置など)に搭載されたセンサから試験担当者200の生体情報(脈拍、体温、皮膚電気抵抗、眼電位、特定の身体部位の加速度、脳波など)を取得し、取得した生体情報に基づいて試験担当者200の緊張状態の度合いを検出してもよい。また緊張状態検出器5Aは、カメラにより撮影された試験担当者200の顔や身体の映像を取得し、取得した顔や身体の映像(例えば瞬きの頻度、手足の動きなど)に基づいて試験担当者200の緊張状態の度合いを検出してもよい。
【0020】
集中度検出器5Bは、試験担当者200の集中の度合いに関する集中度情報を第2検出情報として取得する。集中度検出器5Bは、例えば、試験担当者200が身に着けている装置(ウェアラブル装置など)に搭載されたセンサから試験担当者200の生体情報(脈拍、体温、皮膚電気抵抗、眼電位、特定の身体部位の加速度、脳波など)を取得し、取得した生体情報に基づいて試験担当者200の集中の度合いを検出してもよい。また集中度検出器5Bは、カメラにより撮影された試験担当者200の顔の映像を取得し、取得した顔の映像(例えば瞬きの頻度、手足の動きなど)に基づいて試験担当者200の集中の度合いを検出してもよい。
【0021】
なお、緊張状態検出器5Aと集中度検出器5Bは、試験担当者200の生体情報を取得するためのセンサの少なくとも一部を共有していてもよい。また、緊張状態検出器5Aと集中度検出器5Bは、センサにより取得された生体情報に基づいて処理を行う装置(例えばコンピュータ)の少なくとも一部を共有していてもよい。
【0022】
報知装置8は、試験担当者200に対して種々の報知を行う。報知装置8は、例えば音を出力するスピーカ、光を発するライト、振動発生器などの報知機能を備えた機器を含む。報知装置8は、制御装置3の制御に従って報知動作を行う。
【0023】
操作装置6は、ユーザの操作に応じた指示やその他の情報を制御装置3に入力する。操作装置6は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、タッチパネル、ボタン、マイク、カメラなどの入力機能を備えた機器を含む。
【0024】
通信装置9は、通信ネットワーク(LAN、WAN、インターネットなど)を介して他の装置と通信を行う。通信装置9は、例えば所定の通信規格(無線LAN、イーサネット(登録商標)など)に準拠して通信を行う機能を備えた機器(ネットワークインターフェースカードなど)を含む。
【0025】
制御装置3は、試験条件設定装置2を制御する装置であり、試験対象物100の試験に関わる所定の処理を実行する。例えば制御装置3は、試験条件設定装置2による試験の開始と終了の制御、試験条件設定装置2により設定する試験条件の制御、試験の実施中に第1検出器4が取得した第1検出情報の記録、第1検出情報に応じた試験監視情報を含む表示装置7の画面の生成、第1検出情報に基づく試験対象物100の異常の監視、報知装置8による試験対象物100の異常の報知などを行う。
【0026】
制御装置3は、例えば、試験対象物100の試験に関わる所定の処理をプログラムの命令に従って実行する1以上のコンピュータを含んでいてもよい。また制御装置3は、コンピュータと協働して処理の一部を実行するように構成された専用のハードウェア(ASIC、FPGAなど)を含んでいてもよい。
【0027】
ここで、上述した構成を有する図1に示す試験システム1の動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0028】
制御装置3は、操作装置6に入力される試験担当者200の指示に応じて、試験対象物100に対する手動モードの試験を開始する(ST100)。手動モードの試験では、試験担当者200が表示装置7の試験監視情報の表示に応じて制御装置3を操作する(操作装置6から指示を入力する)ことにより、試験条件設定装置2が設定している試験条件を操作する。あるいは手動モードの試験において、試験担当者200は、試験条件設定装置2を操作する(例えば試験条件設定装置2に含まれる操作用の入力機器を操作する)ことにより試験条件を操作してもよいし、試験条件設定装置2以外の機器を操作することによって試験条件を操作してもよいし、試験対象物100を直接操作することによって試験条件を操作してもよい。
【0029】
制御装置3は、操作装置6から入力される試験担当者200の指示に応じて各試験条件設定装置2が試験条件を設定するように各試験条件設定装置2を制御するとともに、試験の実施中に各第1検出器4で取得された第1検出情報を記録する。また制御装置3は、各第1検出器4で取得された第1検出情報に基づいて、試験担当者200が監視すべき試験監視情報を生成し、この試験監視情報が含まれた画面を表示装置7において表示する。
【0030】
制御装置3は、試験を実施している間、緊張状態検出器5Aが取得した緊張状態情報に基づいて、試験担当者200が過度の緊張状態にあるか否かを判定する(ST115)。
試験担当者200が過度の緊張状態にあると判定した場合(ST115のYes)、制御装置3は、試験の手順に関する情報(試験のマニュアル自体や、マニュアルにアクセスするためのアイコンなど)を表示装置7において表示する(ST120)。
【0031】
試験担当者200が過度の緊張状態にないと判定した場合(ST115のNo)、制御装置3は、集中度検出器5Bにより取得される試験担当者200の集中度情報に基づいて、試験担当者200の集中の度合いが低下しているか否かを判定する(ST125)。試験担当者200の集中の度合いが低下していると判定した場合(ST125のYes)、制御装置3は、試験担当者200に休憩を促すメッセージを表示装置7において表示する(ST130)。
【0032】
制御装置3は、試験を実施している間、上述したステップST115~ST130の処理を繰り返す(ST180のNo)。操作装置6において試験を終了させる指示が入力された場合や、所定の終了条件を満たした場合(例えば、第1検出情報が所定の試験終了条件や試験中止条件を満たした場合)、制御装置3は試験を終了する(ST180のYes)。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、手動モードで試験を実施しているときに試験担当者200が過度の緊張状態になった場合、試験の手順に関する情報が表示装置7において表示されるため、試験担当者200がこの情報を見ながら落ち着いて試験を遂行し易くなる。従って、試験担当者200が過度の緊張状態になっても、試験担当者200の不適切な対処(手動モードにおける試験条件の誤った操作など)を回避し易くすることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、手動モードにおいて試験を実施しているときに試験担当者200の集中の度合いが低下した場合、休憩を促すメッセージが表示装置7において表示されるため、メッセージを見た試験担当者200が休憩をとることによって集中力を回復し易くなる。従って、試験担当者200の集中の度合いが低下しても、試験担当者200の不適切な対処(手動モードにおける試験条件の誤った操作など)を回避し易くすることができる。
【0035】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、第2の実施形態に係る試験システムの動作を説明するためのフローチャートである。第2の実施形態に係る試験システムは、図1に示す試験システム1と同様の構成を有しているが、制御装置3の動作は上述した図2に示すフローチャートと異なっている。図3に示すフローチャートは、図2に示すフローチャートと同様のステップ(ST100~ST130、ST180)に加えて、ステップST105及びステップST150~ST170を有する。ここでは、追加したステップ(ST105、ST150~ST170)について説明する。
【0036】
制御装置3は、手動モードの試験を開始して(ST100)試験を実施している間、第1検出情報が示す試験対象物100の状態が所定の正常状態から逸脱したか否かを監視する(ST105)。制御装置3は、試験対象物100の状態が所定の正常状態の場合(ST105のNo)、既に説明したステップST100~ST130(図2)と同様の処理を実行する。
【0037】
他方、制御装置3は、試験対象物100の状態が所定の正常状態を逸脱したと判定した場合(ST105のYes)、次に述べるステップST150~ST170の処理を実行する。すなわち、制御装置3は、緊張状態検出器5Aが取得した緊張状態情報に基づいて、試験担当者200が過度の緊張状態にあるか否かを判定する(ST150)。試験担当者200が過度の緊張状態にあると判定した場合(ST150のYes)、制御装置3は、試験担当者200に対して技術的なアドバイスを与えるように求めるアドバイス要請(電子メールなど)を通信装置9から所定の要請受付先へ送信する(ST160)。
【0038】
試験担当者200が過度の緊張状態にないと判定した場合(ST150のNo)、制御装置3は、集中度検出器5Bにより取得される試験担当者200の集中度情報に基づいて、試験担当者200の集中の度合いが低下しているか否かを判定する(ST165)。試験担当者200の集中の度合いが低下していると判定した場合(ST165のYes)、制御装置3は、試験対象物100の状態が正常状態から逸脱したことを報知するように報知装置8を制御する(ST170)。
【0039】
制御装置3は、試験を実施している間、上述したステップST105~ST170の処理を繰り返す(ST180のNo)。操作装置6において試験を終了させる指示が入力された場合や、所定の終了条件を満たした場合、制御装置3は試験を終了する(ST180のYes)。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、試験対象物100の状態が所定の正常状態から逸脱した場合において、試験担当者200が過度の緊張状態になっているときは、この試験担当者200に対して技術的なアドバイスを与えるように求めるアドバイス要請が電子メールなどによって所定の要請受付先に送信される。これにより、過度の緊張状態にある試験担当者200が技術的なアドバイスを受けられるようになる。そのため、試験対象物100の状態が所定の正常状態から逸脱した場合において試験担当者200が過度の緊張状態になっても、試験担当者200の不適切な対処(直ちに中止するべき試験を続行することなど)を回避し易くすることができる。
【0041】
また、試験対象物100の状態が所定の正常状態から逸脱した場合であっても、試験担当者200が過度の緊張状態になっているときは、試験対象物100の正常状態からの逸脱に起因した心理的圧迫により試験担当者200が緊張状態になっていることが予想され、この正常状態からの逸脱に試験担当者200が気付いている可能性が高い。この場合、制御装置3は、図3のフローチャートに示すように、試験対象物100の状態が正常状態から逸脱したことに対する報知装置8の報知動作を抑止する。これにより、試験担当者200の緊張状態が報知動作で更に高まることを回避できる。
【0042】
更に、試験対象物100の状態が所定の正常状態から逸脱した場合において、試験担当者200が過度の緊張状態になっていないが、集中の度合いが低下しているときは、この正常状態からの逸脱に試験担当者200が気付いていない可能性が高い。この場合、制御装置3は、図3のフローチャートに示すように、試験対象物100の状態が正常状態から逸脱したことに対する報知装置8の報知動作を行って、試験担当者200の注意を喚起する。これにより、試験対象物100の正常状態からの逸脱に対する試験担当者200の適切な対処(例えば即時の試験の中止など)を行い易くすることができる。
【0043】
なお、図3のフローチャートでは、試験対象物100の状態が所定の正常状態から逸脱した場合において試験担当者200が過度の緊張状態になっていると判定された場合、報知動作が抑止されているが、本実施形態の他の例では、この場合も報知装置8の報知動作を行ってよい。すなわち、制御装置3は、上記のように報知動作を抑止する代わりに、過度の緊張状態になっていない場合の報知動作(ステップST170の報知動作など)よりも注意喚起の程度が弱い報知動作(例えば音、光、振動の強度を小さくした報知動作など)を行うように報知装置8を制御してもよい。この場合も、試験担当者200の緊張状態が報知動作で高まることを回避し易くすることができる。
また、図3のフローチャートでは、試験担当者200の集中の度合いが低下していない場合(ST165のNo)に報知装置8の報知動作を行っていないが、本実施形態の他の例では、試験担当者200の集中の度合いが低下している場合と低下していない場合の両方で、異なる報知動作を行ってよい。すなわち、制御装置3は、試験対象物100の状態が所定の正常状態から逸脱した場合において、試験担当者200が過度の緊張状態になっていない場合、集中度情報に基づく試験担当者200の集中度合いの判定結果に応じて異なる報知動作を行うよう報知装置8を制御してもよい。例えば、制御装置3は、試験担当者200の集中の度合いが低下していると判定した場合には、そうでないと判定した場合に比べて注意喚起の程度が強い報知動作(例えば音、光、振動の強度を大きくした報知動作など)を行うように報知装置8を制御してもよい。この場合も、試験対象物100の正常状態からの逸脱に対する試験担当者200の適切な対処(例えば即時の試験の中止など)を行い易くすることができる。
【0044】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図4は、第3の実施形態に係る試験システムの動作を説明するためのフローチャートである。第3の実施形態に係る試験システムは、図1に示す試験システム1と同様の構成を有しているが、制御装置3の動作は上述した図2図3に示すフローチャートと異なっている。図4に示すフローチャートは、図3に示すフローチャートにおけるステップST100をステップST100Aに置換するとともに、ステップST110を追加したものであり、他のステップ(ST105、ST115~ST180)は図3に示すフローチャートと同じである。ここでは、図3に示すフローチャートと相違する部分(ST100A、ST110)について説明する。
【0045】
制御装置3は、操作装置6に入力される試験担当者200の指示に応じて、試験対象物100に対する試験を開始する(ST100A)。この試験のモードは、上述した手動モードでもよいし、試験担当者200による操作が不要な自動モードでもよい。
【0046】
ステップST100Aにおいて試験を開始すると、制御装置3は、第1検出情報が示す試験対象物100の状態が所定の正常状態から逸脱したか否かを監視する(ST105)。ステップST105において試験対象物100が正常状態の場合(ST105のNo)、制御装置3は、試験のモードが手動モードであれば(ST110のYes)、図3のフローチャートと同様なステップST115~ST130の処理を行う。他方、試験対象物100が正常状態の場合であって、かつ、試験のモードが自動モードの場合(ST105のNo、かつ、ST110のNo)、制御装置3は、ステップST115~ST130の処理を行わずにステップST180へ移行する。
【0047】
試験対象物100が正常状態であって、かつ、試験のモードが自動モードの場合には(ST105のNo、かつ、ST110のNo)、試験担当者200が過度の緊張状態にあったり、集中の度合いが低下した状態にあったりしても試験が自動的に遂行されるため、試験担当者200の状態に起因する問題が生じ難い。そのため、この場合には、試験手順に関する情報の表示(ST120)や休憩を促すメッセージの表示(ST130)を省略してもよい。また、自動モードにおいてステップST120やST130の表示を省略することで、試験手順の情報や休憩を促すメッセージが頻繁に表示されなくなるため、試験担当者200が不必要な表示によって煩わされなくなる。更に、試験のモードを自動モードから手動モードへ切り替えた場合に、自動モードでは表示されなかった試験手順の情報や休憩を促すメッセージが適切なタイミングで表示されるようになるため、これらの表示を試験担当者200に対して効果的に作用させることができる。
【0048】
ステップST105において試験対象物100の正常状態からの逸脱を判定した場合(ST105のYes)、制御装置3は、図3のフローチャートと同様なステップST150~ST170の処理を行う。すなわち、試験対象物100が正常状態から逸脱した場合は、試験のモードが自動モードであっても、試験担当者200が試験の中止などを実施する必要があるため、試験担当者200の状態(過度の緊張状態、集中度の低下状態)に応じた処理(アドバイス要請の送信、注意喚起の報知)を実行する。従って、試験のモードが自動モードであるときに試験対象物100が正常状態から逸脱しても、試験担当者200の不適切な対処(直ちに中止するべき試験を続行することなど)を回避し易くすることができる。
【0049】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図5は、第4の実施形態に係る試験システム1Aの構成の一例を示す図である。図5に示す試験システム1Aは、図1に示す試験システム1における集中度検出器5Bを省略したものであり、他の構成は図1に示す試験システム1と同じである。
【0050】
図6は、第4の実施形態に係る試験システム1Aの動作を説明するためのフローチャートである。図6に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートにおける集中度の判定に関するステップ(ST125~ST130、ST165~ST170)を省略したものであり、他のステップは図4に示すフローチャートと同じである。
【0051】
制御装置3は、試験対象物100が正常状態であり(ST105のNo)、かつ、試験モードが手動モードの場合において(ST110のYes)、試験担当者200が過度の緊張状態になっていたら(ST115のYes)、試験の手順に関する情報(試験のマニュアルなど)を表示装置7において表示し、試験担当者200が過度の緊張状態になければ(ST115のNo)、ステップST180へ移行する。
【0052】
また制御装置3は、試験対象物100が正常状態から逸脱した場合(ST105のYes)、試験担当者200が過度の緊張状態になっていたら(ST150のYes)、試験担当者200に対して技術的なアドバイスを与えるように求めるアドバイス要請(電子メールなど)を通信装置9から所定の要請受付先へ送信し(ST160)、試験担当者200が過度の緊張状態になければ(ST150のNo)、ステップST180へ移行する。
【0053】
本実施形態に係る試験システム1Aによれば、上述した第1~第3の実施形態と同様に、手動モードで試験を実施しているときに試験担当者200が過度の緊張状態になった場合には、試験の手順に関する情報が表示装置7において表示される。従って、試験担当者200が過度の緊張状態になっても、試験担当者200の不適切な対処(手動モードにおける試験条件の誤った操作など)を回避し易くすることができる。
【0054】
また本実施形態に係る試験システム1Aによれば、上述した第2~第3の実施形態と同様に、試験対象物100の状態が所定の正常状態から逸脱した場合において試験担当者200が過度の緊張状態になっているときは、この試験担当者200に対して技術的なアドバイスを与えるように求めるアドバイス要請が電子メールなどによって所定の要請受付先に送信される。従って、試験対象物100が正常状態から逸脱した場合において試験担当者200が過度の緊張状態になっても、試験担当者200の不適切な対処(直ちに中止するべき試験を続行することなど)を回避し易くすることができる。
【0055】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図7は、第5の実施形態に係る試験システム1Bの構成の一例を示す図である。図7に示す試験システム1Bは、図1に示す試験システム1における緊張状態検出器5Aを省略したものであり、他の構成は図1に示す試験システム1と同じである。
【0056】
図8は、第5の実施形態に係る試験システム1Bの動作を説明するためのフローチャートである。図8に示すフローチャートは、図4に示すフローチャートにおける緊張状態の判定に関するステップ(ST115~ST120、ST150~ST160)を省略したものであり、他のステップは図4に示すフローチャートと同じである。
【0057】
制御装置3は、試験対象物100が正常状態であり(ST105のNo)、かつ、試験モードが手動モードの場合において(ST110のYes)、試験担当者200の集中の度合いが低下していたら(ST125のYes)、休憩を促すメッセージを表示装置7に表示し(ST130)、試験担当者200の集中の度合いが低下していなかったら(ST125のNo)、ステップST180へ移行する。
【0058】
また制御装置3は、試験対象物100が正常状態から逸脱した場合(ST105のYes)、試験担当者200の集中の度合いが低下していたら(ST165のYes)、試験対象物100の状態が正常状態から逸脱したことを報知するように報知装置8を制御し(ST170)、試験担当者200の集中の度合いが低下していなかったら(ST165のNo)、ステップST180へ移行する。
【0059】
本実施形態に係る試験システム1Bにおいても、上述した第1~第3の実施形態と同様に、手動モードにおいて試験を実施しているときに試験担当者200の集中の度合いが低下した場合、休憩を促すメッセージが表示装置7において表示される。従って、試験担当者200の集中の度合いが低下しても、試験担当者200の不適切な対処(手動モードにおける試験条件の誤った操作など)を回避し易くすることができる。
【0060】
また本実施形態に係る試験システム1Bによれば、上述した第2~第3の実施形態と同様に、試験対象物100の状態が所定の正常状態から逸脱した場合において、試験担当者200の集中の度合いが低下しているときは、試験対象物100の状態が正常状態から逸脱したことに対する報知装置8の報知動作を行って、試験担当者200の注意を喚起する。これにより、試験対象物100の正常状態からの逸脱に対する試験担当者200の適切な対処(例えば即時の試験の中止など)を行い易くすることができる。
【0061】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0062】
上述した各実施形態における制御装置3の処理の一部は、他の実施形態における制御装置3の処理と組み合わせてもよい。例えば、図3図4図6の各フローチャートに示す処理のステップST150において試験担当者200が過度の緊張状態にあると判定した場合、試験のモードが手動モードであるならば、ステップST160(アドバイス要請の送信)の処理に加えて、試験手順に関する情報(マニュアルなど)を表示装置7において表示させるステップST120と同様の処理を行ってもよい。また、試験の手順に関する情報の表示や、技術的なアドバイスを求めるアドバイス要請の送信は、試験担当者の指示に応じて実行できるようにしてもよい。
【0063】
以下、本実施形態に関連する付記を記載する。
【0064】
[付記1]
試験対象物の試験に関する試験条件を設定する1つ以上の試験条件設定装置と、
前記試験条件設定装置を制御する制御装置と、
前記試験対象物の状態に関する第1検出情報を取得する1つ以上の第1検出器と、
前記試験に携わる試験担当者の状態に関する第2検出情報を取得する1つ以上の第2検出器と、
前記試験の実施中に取得される前記第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置とを有し、
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の緊張状態に関する緊張状態情報を取得する緊張状態検出器であり、
前記制御装置は、前記試験担当者が前記試験監視情報の表示に応じて前記試験条件を操作する手動モードにおいて、前記緊張状態情報に基づいて前記試験担当者が過度の緊張状態にあると判定した場合、前記試験の手順に関する情報を前記表示装置において表示する、
試験システム。
[付記2]
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器であり、
前記制御装置は、前記手動モードにおいて、前記集中度情報に基づいて前記試験担当者の集中の度合いが低下していると判定した場合、休憩を促すメッセージを前記表示装置において表示する、
付記1に記載の試験システム。
[付記3]
前記制御装置は、前記第1検出情報が示す前記試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、前記緊張状態情報に基づいて前記試験担当者が過度の緊張状態にあると判定したならば、前記試験担当者に対する技術的なアドバイスを求めるアドバイス要請を所定の要請受付先に送信する、
付記1又は2に記載の試験システム。
[付記4]
試験対象物の試験に関する試験条件を設定する1つ以上の試験条件設定装置と、
前記試験条件設定装置を制御する制御装置と、
前記試験対象物の状態に関する第1検出情報を取得する1つ以上の第1検出器と、
前記試験に携わる試験担当者の状態に関する第2検出情報を取得する1つ以上の第2検出器と、
前記試験の実施中に取得される前記第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置とを有し、
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器であり、
前記制御装置は、前記試験担当者が前記第1検出情報の表示に応じて前記試験条件を操作する手動モードにおいて、前記集中度情報に基づいて前記試験担当者の集中の度合いが低下していると判定した場合、休憩を促すメッセージを前記表示装置において表示する、
試験システム。
[付記5]
試験対象物の試験に関する試験条件を設定する1つ以上の試験条件設定装置と、
前記試験条件設定装置を制御する制御装置と、
前記試験対象物の状態に関する第1検出情報を取得する1つ以上の第1検出器と、
前記試験に携わる試験担当者の状態に関する第2検出情報を取得する1つ以上の第2検出器と、
前記試験の実施中に取得される前記第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置とを有し、
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の緊張状態に関する緊張状態情報を取得する緊張状態検出器であり、
前記制御装置は、前記第1検出情報が示す前記試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、前記緊張状態情報に基づいて前記試験担当者が過度の緊張状態にあると判定したならば、前記試験担当者に対する技術的なアドバイスを求めるアドバイス要請を所定の要請受付先に送信する、
試験システム。
[付記6]
前記試験担当者の注意を喚起するための報知を行う報知装置を有し、
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器であり、
前記制御装置は、前記第1検出情報が示す前記試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、前記集中度情報に基づいて前記試験担当者の集中の度合いが低下していると判定したならば、前記所定の正常状態からの逸脱を報知するように前記報知装置を制御する、
付記1~5のいずれか一項に記載の試験システム。
[付記7]
前記試験担当者の注意を喚起するための報知を行う報知装置を有し、
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器であり、
前記制御装置は、前記第1検出情報が示す前記試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、
前記集中度情報に基づいて前記試験担当者の集中の度合いが低下していないと判定したならば、前記所定の正常状態からの逸脱を報知する第1の報知動作を行うように前記報知装置を制御し、
前記集中度情報に基づいて前記試験担当者の集中の度合いが低下していると判定したならば、前記第1の報知動作に比べて注意喚起の程度が強い第2の報知動作を行うように前記報知装置を制御する、
付記1~5のいずれか一項に記載の試験システム。
[付記8]
少なくとも1つの前記第2検出器が、前記試験担当者の緊張状態に関する緊張状態情報を取得する緊張状態検出器であり、
前記制御装置は、前記第1検出情報が示す前記試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、前記緊張状態情報に基づいて前記試験担当者が過度の緊張状態にあると判定したならば、前記所定の正常状態からの逸脱を報知する報知動作を抑止するように前記報知装置を制御する、又は、前記緊張状態情報に基づいて前記試験担当者が過度の緊張状態にないと判定した場合の報知動作に比べて注意喚起の程度が弱い報知動作を行うように前記報知装置を制御する、
付記6又は7に記載の試験システム。
[付記9]
試験対象物の試験に関する試験条件を設定する1つ以上の試験条件設定装置と、
前記試験対象物の状態に関する第1検出情報を取得する1つ以上の第1検出器と、
前記試験の実施中に取得される前記第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置と、
前記表示装置に表示された前記試験監視情報を監視する試験担当者の緊張状態に関する緊張状態情報を取得する緊張状態検出器と、
コンピュータと
を有する試験システムにおいて前記コンピュータが実行する試験方法であって、
前記試験担当者が前記試験監視情報の表示に応じて前記試験条件を操作する手動モードにおいて、前記緊張状態情報に基づいて前記試験担当者が過度の緊張状態にあるか判定する工程と、
前記手動モードにおいて前記試験担当者が過度の緊張状態にあると判定した場合、前記試験の手順に関する情報を前記表示装置において表示する工程と
を有する試験方法。
[付記10]
試験対象物の試験に関する試験条件を設定する1つ以上の試験条件設定装置と、
前記試験対象物の状態に関する第1検出情報を取得する1つ以上の第1検出器と、
前記試験の実施中に取得される前記第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置と、
前記表示装置に表示された前記試験監視情報を監視する試験担当者の集中の度合いに関する集中度情報を取得する集中度検出器と、
コンピュータと
を有する試験システムにおいて前記コンピュータが実行する試験方法であって、
前記試験担当者が前記第1検出情報の表示に応じて前記試験条件を操作する手動モードにおいて、前記集中度情報に基づいて前記試験担当者の集中の度合いが低下しているか判定する工程と、
前記手動モードにおいて前記試験担当者の集中の度合いが低下していると判定した場合、休憩を促すメッセージを前記表示装置において表示する工程と
を有する試験方法。
[付記11]
試験対象物の試験に関する試験条件を設定する1つ以上の試験条件設定装置と、
前記試験対象物の状態に関する第1検出情報を取得する1つ以上の第1検出器と、
前記試験の実施中に取得される前記第1検出情報に応じた試験監視情報を表示する表示装置と、
前記表示装置に表示された前記試験監視情報を監視する試験担当者の緊張状態に関する緊張状態情報を取得する緊張状態検出器と、
コンピュータと
を有する試験システムにおいて前記コンピュータが実行する試験方法であって、
前記第1検出情報が示す前記試験対象物の状態が所定の正常状態から逸脱したか判定する工程と、
前記試験対象物の状態が前記所定の正常状態から逸脱したと判定した場合において、前記緊張状態情報に基づいて前記試験担当者が過度の緊張状態にあると判定したならば、前記試験担当者に対する技術的なアドバイスを求めるアドバイス要請を所定の要請受付先に送信する工程と
を有する試験方法。
[付記12]
付記9~11のいずれか一項に記載の試験方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0065】
1,1A~1B…試験システム、2…試験条件設定装置、3…制御装置、4…第1検出器、5A…緊張状態検出器、5B…集中度検出器、6…操作装置、7…表示装置、8…報知装置、9…通信装置、100…試験対象物、200…試験担当者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8