(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146959
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ビール類のプリン体吸着剤
(51)【国際特許分類】
C12H 1/044 20060101AFI20231004BHJP
B01D 15/00 20060101ALI20231004BHJP
B01J 20/12 20060101ALI20231004BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20231004BHJP
C12C 11/11 20190101ALI20231004BHJP
【FI】
C12H1/044
B01D15/00 Z
B01J20/12 A
B01J20/28 Z
C12C11/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054429
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000193601
【氏名又は名称】水澤化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100217869
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 邦久
(72)【発明者】
【氏名】梅田 俊祐
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 淳任
(72)【発明者】
【氏名】塚原 大補
(72)【発明者】
【氏名】早川 雄悟
(72)【発明者】
【氏名】滝井 慎也
【テーマコード(参考)】
4B128
4D017
4G066
【Fターム(参考)】
4B128AC12
4B128AG09
4B128AP21
4B128AS04
4D017AA20
4D017BA04
4D017CA05
4D017CB01
4D017DA07
4G066AA63B
4G066BA26
4G066BA32
4G066BA36
4G066BA38
4G066CA56
4G066DA07
(57)【要約】
【課題】本発明は、ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の酸処理物を含むビール類のプリン体吸着剤であって、プリン体に対する吸着性に優れると共に鉄イオン溶出量の少ない、ビール類のプリン体吸着剤を提供する。
【解決手段】本発明は、ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の酸処理物を含むビール類のプリン体吸着剤であって、水蒸気吸着法により測定されるBET比表面積(A)と窒素吸着法により測定されるBET比表面積(B)との比、(A)/(B)が0.90~2.80の範囲にあり、0.1g/Lクエン酸水溶液への鉄イオン溶出量が0.15mg/g以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の酸処理物を含むビール類のプリン体吸着剤であって、水蒸気吸着法により測定されるBET比表面積(A)と窒素吸着法により測定されるBET比表面積(B)との比、(A)/(B)が0.90~2.80の範囲にあり、
0.1g/Lクエン酸水溶液への鉄イオン溶出量が0.15mg/g以下であることを特徴とするビール類のプリン体吸着剤。
【請求項2】
前記ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の酸処理物が、さらに鉄イオン含量低減処理が行われたものである、請求項1に記載の吸着剤。
【請求項3】
前記ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の酸処理物の層間水の量が、吸着水及び層間水を除いた吸着剤1gあたり30mg以下にある、請求項1または2に記載の吸着剤。
【請求項4】
Ho≦-3.0の固体酸量が0.10~0.70mmol/g-dry clayの範囲にある、請求項1~3に記載の吸着剤。
【請求項5】
窒素吸着法により測定されるBET比表面積の値が65~400m2/gの範囲にある、請求項1~4の何れかに記載の吸着剤。
【請求項6】
前記(A)/(B)が1.10~2.40の範囲にある、請求項1~5の何れかに記載の吸着剤。
【請求項7】
前記プリン体がキサンチン化合物である請求項1~6の何れかに記載の吸着剤。
【請求項8】
ビール類の製造方法において、請求項1~7の何れかに記載の吸着剤を添加して、ビール類中のプリン体を吸着除去するプリン体吸着除去工程を有することを特徴とする、ビール類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キサンチンに代表されるキサンチン化合物やアデニン、グアニンに代表されるアデニンまたはグアニン化合物を構成成分に含む化合物等のプリン体を吸着し得るビール類のプリン体吸着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等のアルコール飲料は、痛風等の原因となるプリン体を含んでいるため、このプリン体の含有量が低減されたアルコール飲料が販売されている。
【0003】
ところで、キサンチン、アデニン、グアニンなどは、何れもプリン骨格を有する化合物(総称して、プリン体)である。これらを飲料から除去するための吸着剤としては、ゼオライトやジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土(酸性白土)等が知られている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、ゼオライトは、プリン体に対する選択性が乏しく、飲料中に含まれる有効成分まで吸着してしまうため、工業的には使用されていない。
【0005】
また、酸性白土等の粘土は、プリン体に対する選択吸着性は高く、安価であるという利点を有しているものの、濾過性が低いという問題を有する。即ち、この種の粘土は、水中で一部がコロイド分散してしまい、濾過時にフィルターの目詰りが生じてしまう。これを回避するために、濾過を行わず遠心分離をすると、有効成分のロスも生じてしまうし、処理コストも高くなってしまう。
【0006】
更に、特許文献1には、酸性白土を酸処理して得られる活性白土がカフェイン(キサンチン化合物)に対する吸着性に優れていることが開示されており、例えば、その実施例では、本出願人により製造販売されている活性白土(ガレオンアースNF-2,ガレオナイトNo.251、水澤化学工業(株)製)がカフェインに対して高い吸着性を示している。
【0007】
そこで、本発明者等は、ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の酸処理により得られる酸処理物についての吸着性能について多くの実験を行い、検討した結果、種々の用途に使用されている活性白土と呼ばれる領域までの酸処理をせず、それよりも弱いレベルで酸処理しているもの(以下、弱酸処理白土と呼ぶ)が、酸処理されていない粘土(酸性白土)よりも優れた吸着性能を示し、しかも濾過性にも優れており、吸着処理後の溶液からの分離を容易に行うことができるという知見を見出した(特許文献2)。
【0008】
しかし、上記弱酸処理白土をビール類のプリン体除去に用いた場合、吸着処理後のビール類は、プリン体が除去されているものの、吸着処理前には感じることのなかった金属味を感じることがあった。その原因を追究したところ、酸処理前の酸性白土に含有されている鉄分が酸処理中に溶出し、白土中に交換性カチオンとして半固定され、プリン体の吸着処理の際、ビール類中に鉄イオンとして溶出することが原因であると考えられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6-142405号
【特許文献2】特開2017-136584
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の酸処理物を含むビール類のプリン体吸着剤であって、プリン体に対する吸着性に優れると共に鉄イオン溶出量の少ない、ビール類のプリン体吸着剤を提供することにある。
なお、ビール類のプリン体として吸着剤の用途を限定しているのは、本発明と同日にビール類以外の液体のプリン体用吸着剤の発明を出願していることから、当該発明と区別するためである。
ここで、前記ビール類とは、ビール様の風味をもつ炭酸飲料のことであり、麦芽、ホップ、および水等を原料として、これらを、酵母を用いて発酵させて得られる発酵ビールテイスト飲料の他、非発酵ビールテイスト飲料、アルコール度数が1.0(v/v)%未満のノンアルコールビールテイスト飲料やアルコールを含まないノンアルコールビールテイスト飲料、エステルや高級アルコールやラクトンなどを含むビール香料が添加された炭酸飲料、を含む。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、弱酸処理白土における鉄イオンの溶出量について多くの実験を行い、検討した結果、弱酸処理白土自体の鉄イオン溶出量が特定の数値以下である場合、これらの白土がプリン体の吸着性に優れると共に金属味の付加を低減できるという知見を見出し、本発明を完成するに至った。
ここで、上記鉄イオンについては2価または3価である可能性が考えられるが、本発明においては特に両者を区別せず鉄イオンとする。
【0012】
本発明によれば、ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の酸処理物を含むビール類のプリン体吸着剤であって、水蒸気吸着法により測定されるBET比表面積(A)と窒素吸着法により測定されるBET比表面積(B)との比、(A)/(B)が0.90~2.80の範囲にあり、0.1g/Lクエン酸水溶液への鉄イオン溶出量が0.15mg/g以下であることを特徴とするビール類のプリン体吸着剤が提供される。
ここで、前記鉄イオン溶出量は、濃度0.1g/Lのクエン酸水溶液に前記ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土1gを添加した場合における鉄イオンの溶出量である。
濃度0.1g/Lのクエン酸水溶液は、ビール類の液体を用いた場合と同等の鉄イオンの溶出量を示すことから用いた。
【0013】
本発明の吸着剤においては、
(1)前記ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の酸処理物が、さらに鉄イオン含量低減処理が行われたものであること、
(2)前記ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の酸処理物の層間水の量が、吸着水及び層間水を除いた吸着剤1gあたり30mg以下にあること、
(3)Ho≦-3.0の固体酸量が0.10~0.70mmol/g-dry clayの範囲にあること、
(4)窒素吸着法により測定されるBET比表面積の値が65~400m2/gの範囲にあること、
(5)前記(A)/(B)が1.10~2.40の範囲にあること、
(6)前記プリン体がキサンチン化合物であること、
が好適である。
【0014】
また、本発明によれば、ビール類の製造方法において、前記吸着剤を添加して、ビール類中のプリン体を吸着除去するプリン体吸着除去工程を有することを特徴とする、ビール類の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の吸着剤は、後述する実施例に示されているように、少量での使用により、酸性白土と同等或いはそれ以上にプリン体含有溶液からプリン体を多く除去することができ、さらに加えて金属味の付加を低減することができる。
【0016】
また、本発明の吸着剤は、弱酸処理を行った白土からなるため、酸性白土に比して濾過性も高く、吸着処理後の溶液から容易に除去することができる。
【0017】
そのため、本発明の吸着剤は、ビール類からのプリン体の除去に好適に適用することができる。そして、本発明の吸着剤は、鉄イオンの溶出量を低減することができるため、飲料の色や香味への影響を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<弱酸処理低鉄イオン白土>
本発明の吸着剤は、ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の酸処理物を含むものであって、鉄イオン溶出量が0.15mg/g以下であるビール類のプリン体吸着剤であるか、または、前記酸処理物の鉄イオン溶出量が0.15mg/gを超える場合は、前記酸処理物をさらに鉄イオン含量低減処理を行うことにより、鉄イオン溶出量を0.15mg/g以下としたものであり、一般的に活性白土と称されるものに比して弱い酸処理を行うこと、または、さらに鉄イオン含量低減処理を行うことによって得られる。従って、以下、ビール類のプリン体吸着剤として使用される酸処理、または、さらに鉄イオン含量低減処理後の物を「弱酸処理低鉄イオン白土」と呼ぶことがある。
【0019】
弱酸処理および鉄イオン含量低減処理については、基本的には弱酸処理を行うことによって、プリン体に対して優れた吸着性能および濾過性に優れた白土を得ることを目的としており、前記弱酸処理のみでは、鉄イオン溶出量が0.15mg/gを超える場合において、さらに酸処理物の鉄イオン含量低減処理を行うことによって、鉄イオン溶出量を低減することを目的としている。
【0020】
弱酸処理について、本出願人による特開2009-072759には、ジオクタヘドラル型粘土を酸処理して得られる半活性白土と呼ばれる酸処理物がポリ乳酸解重合用触媒として使用されることが開示されているが、本発明で使用する弱酸処理は、この酸処理よりも更に弱い酸処理である。
【0021】
酸処理後の白土は、一般に鉄イオン溶出量が増大する。これは、酸処理前の粘土の骨格中に含まれる鉄或いは夾雑物として含まれる含鉄化合物中の鉄の一部が、酸処理によって溶解し、さらにその一部が白土層間に交換性カチオンとして半固定されることが原因と考えられる。さらに、この半固定された鉄イオンは酸処理後の洗浄では除去しきれず、ビール類のプリン体吸着処理の際に、ビール類に含まれる有機酸などの作用でビール類中に溶出すると考えられ、この溶出した鉄イオンがビール類に金属味が生じる原因と考えられる。
鉄イオン溶出量は、酸処理前の粘土の品質(粘土中の鉄含有量、夾雑物の種類や量など)や酸処理の条件に左右される。
【0022】
弱酸処理後の白土自体の鉄イオン溶出量が0.15mg/g以下である場合は、以下に説明する陽イオン処理による鉄イオン含量低減処理を行う必要はない。上記鉄イオン溶出量が0.15mg/gを超える場合は、吸着処理後の溶液が金属味を示すため、以下に説明する陽イオン処理による鉄イオン含量低減処理を行う。ここで、前記鉄イオン溶出量が0.08mg/g以下であることが好ましい。
【0023】
本発明における鉄イオン含量低減処理は、弱酸処理後の白土における鉄イオン溶出量が所望の濃度になるまで低減できれば特に限定されるものではなく、例えば、上記白土を鉄イオン以外の陽イオンを含む水溶液と接触させた後、分離、洗浄することにより実施することができる。上記鉄イオン含量低減処理により上記白土中の鉄イオンの全部または一部が鉄以外の陽イオンに置換され、結果として上記白土中の鉄イオン溶出量を低減させた鉄イオン含量低減処理白土を得ることができる。
【0024】
鉄イオン以外の陽イオンは、飲食品として許容されるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、が挙げられ、これらの中でもナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましい。
陽イオン処理にあたっては1種または2種以上の鉄イオン以外の陽イオンを用いることができる。
【0025】
陽イオン処理にあたっては、上記のような陽イオンを上記白土に対して塩の形態で添加し、上記白土中の鉄イオンと陽イオンが置換されるようにすることができる。陽イオンが形成する塩は無機塩および有機塩のいずれでもよいが、例えば、硫酸塩、塩化物、グルコン酸塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、および乳酸塩等が挙げられ、好ましくは硫酸塩である。
陽イオン処理にあたっては1種または2種以上の無機塩および有機塩を用いることができる。
【0026】
鉄イオン含量低減処理において、上記白土に接触させる陽イオンは水溶液の形態であることが望ましく、陽イオンの濃度は、上記白土の鉄イオン溶出量を0.15mg/g以下まで低減することができる限り特に限定されるものではないが、好ましくは、0.01~1000ミリ当量(以下、「mEq/L」とする。)、より好ましくは0.1~1000mEq/L、さらに好ましくは1~1000mEq/L濃度である。2種以上の陽イオンまたは塩を用いる場合は、陽イオンの濃度は、各陽イオン濃度の合算値が上記濃度であることが好ましい。
【0027】
鉄イオン含量低減処理において、pH5.0以下になるように酸性物質を添加することが好ましい。鉄イオン含量低減の効率の観点から、好ましくはpH3.0以下、特に好ましくはpH2.0以下になるように酸性物質を添加する。pH5.0より大きい場合は鉄イオン含量低減の効率が悪くなり、十分な鉄イオン含量低減ができない場合がある。添加する酸性物質は特に限定されるものではないが、一般に白土の酸処理に使用される硫酸水溶液を用いることが好ましい。
【0028】
鉄イオン含量低減処理において、上記白土と陽イオンの接触時間および接触温度は、白土中の鉄イオン含量を所望の濃度まで低減することができる限り特に限定されるものではないが、接触時間は、好ましくは1~48時間、より好ましくは1~24時間、接触温度は好ましくは4~50℃、より好ましくは10~30℃である。本発明の弱酸処理低鉄イオン白土は、後述する弱酸処理白土の特徴(例えば、水蒸気吸着法により測定されるBET比表面積(A)と窒素吸着法により測定されるBET比表面積(B)との比(A)/(B)が0.90~2.80)を有するものであり、該鉄イオン含量低減処理は、かかる弱酸処理よりも強い酸処理とならないよう、適宜接触時間と接触温度を制御して行われる。
【0029】
鉄イオン含量低減処理において、上記白土および陽イオンの混合物は固液分離処理にかけ、白土から遊離して溶出してきた鉄イオンおよび白土中の鉄イオンと置換されなかった陽イオンを除去し、洗浄することが望ましい。固液分離処理としては、例えば、遠心分離や濾過が挙げられる。洗浄は、溶出してきた鉄イオンおよび白土中の鉄イオンと置換されなかった陽イオンを除去することができれば特に限定されるものではないが、純水で2~3回洗浄することが好ましい。
【0030】
かかる弱酸処理低鉄イオン白土は、ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の酸処理レベルが非常に低いため、水蒸気吸着法により測定されるBET比表面積(A)と窒素吸着法により測定されるBET比表面積(B)との比(A)/(B)が0.90以上であり、吸着性の観点から、好ましくは0.95以上、より好ましくは1.10以上、特に好ましくは1.20以上である。また、2.80以下であり、濾過性の観点から、好ましくは2.40以下である。
【0031】
かかる弱酸処理低鉄イオン白土は、上記範囲のBET比表面積比(A/B)を有することによって、プリン体に対して優れた吸着性能を発揮できるものと推察される。
即ち、BET比表面積を測定する方法として、窒素を用いた方法(窒素法)が一般的であるが、水蒸気を用いて測定する方法(水蒸気法)も存在する。粘土ハンドブック(第三版)によれば、窒素法では、単位質量当たりの端面を含む全外部表面積が測定され、ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土のように三層構造を有するものでは、窒素分子が液体窒素温度で層間に侵入しないので、外部表面積のみが測定される。一方、水蒸気のような極性の吸着質を用いた水蒸気法においては、かかる吸着質が粘土の層間に十分侵入するので、内部表面が測定される。従って、A/Bが上記範囲内にあるということは、非常に弱い酸処理によって微細孔が増大し、且つ、スメクタイト系粘土の基本三層の層間が拡大していることを意味している。微細孔の増大はプリン体(特にキサンチンなどのキサンチン化合物)に対する選択吸着性を向上させ、基本三層の層間の拡大は、適度な表面親水性をもたらし、水系およびアルコール溶液でのプリン体の吸着性を高めている。上記A/Bの値を有する本発明の吸着剤(弱酸処理低鉄イオン白土)は、酸処理工程において基本三層の層間の適度な拡大と層間内での微細孔の形成がバランスよく生じるため、プリン体に対して極めて高い選択吸着性を示すものと信じられる。
例えば、強い酸で処理して得られる従来公知の活性白土や半活性白土では、基本三層の層間の拡がりが大きくなり、しかも層間に形成されている微細孔をつぶしてしまう。そのため、A/Bの値は小さくなり、従って、プリン体吸着特性は、極めて低いものとなる。
【0032】
さらに、かかる弱酸処理低鉄イオン白土は、酸処理を施されているために優れた濾過性を有すると推察される。
酸処理を施していないスメクタイト系粘土(酸性白土)は、基本層の間にNa等のカチオンを含む大きな層間を有しているために、水に対して高い膨潤性を示し、膨潤による微分散化によって濾過性が悪いと考えられている。かかる弱酸処理低鉄イオン白土の場合、スメクタイト系粘土中の塩基成分の一部が酸と反応し、ある種、水やアルコールなどに対して不溶性のバインダーとなって粒子間を結合するために、溶液中での微分散化が抑制され、優れた濾過性を示すものと考えられる。
よって、酸処理の程度が弱いほどA/Bが大きくなり、濾過性が損なわれる虞がある。
【0033】
粘土鉱物に保有される水は、粒子表面に吸着する吸着水、層間域に存在する層間水、結晶構造内部の水酸基を指す構造水などに分類される。本発明者等は、弱酸処理低鉄イオン白土の層間水についての検討の結果、層間水の量が特定の範囲にある際に、プリン体に対する吸着性が向上するという知見を見出した。
ここで、吸着水は60~80℃、層間水は90~150℃で粘土鉱物から脱離することが知られている。そこで、本発明者は、後述する実施例の通り、80℃における乾燥減量(吸着水の量を示す)と150℃における乾燥減量(吸着水+層間水の量を示す)をそれぞれ測定し、それらの差分を層間水の量とした。層間水の量は、吸着水及び層間水を除いた吸着剤1gあたりの量(mg/g)として示す。
【0034】
本発明において吸着剤として用いられる弱酸処理低鉄イオン白土は、層間水の量が30mg/g以下であり、好ましくは20mg/g以下であり、より好ましくは15mg/g以下である。
また、層間水の量は3mg/g以上、特に5mg/g以上であることが好ましい。なぜなら、層間水の量が上記値を下回るようにするためには必然的に高温での処理を行わなければならなくなり、そうすると層間に形成されている微細孔がつぶれてしまい、プリン体に対する吸着性が損なわれてしまうためである。
【0035】
層間水の量が特定の範囲にある際に吸着性が向上するメカニズムについては未だ明らかではないが、層間や層間内の微細孔からプリン体吸着サイトを覆っていた水分子が取り除かれることで、プリン体が吸着し易くなったものと考えられる。
【0036】
また、吸着水の量が低減された本発明の吸着剤は、再度吸湿したとしても、吸湿した水は吸着水として保有されるので、層間水は新たに保有されず、吸着性能は損なわれない。
【0037】
本発明において吸着剤として用いる弱酸処理低鉄イオン白土は、一般的に活性白土と称されるものに比して弱い酸処理によって得られるため、固体酸点として働くAlやMgを覆っているNa分やCa分が取り除かれ、さらには、酸処理の進行に伴ってAl分やMg分が溶出することに起因する固体酸量の減少が抑えられている。その結果、従来の酸処理で得られる一般的に活性白土と称されるもの、或いは、酸処理を行っていない酸性白土に比して同等以上の固体酸量を示す。弱酸処理低鉄イオン白土は、好適にはHo≦-3.0の固体酸量が0.10~0.70mmol/g-dry clayの範囲にあり、比較的強い固体酸を多く含んでいることを意味している。即ち、プリン体に対して固体酸による化学的吸着性能が高められており、後述する実施例にも示されているように、少量での使用により、従来公知の活性白土や酸性白土と同等或いはそれ以上にプリン体含有溶液からプリン体を多く除去することができる。
【0038】
ここで、固体酸量とは固体表面の酸点の数であり、試料1gあたりの酸点の数あるいはモル数として表わされる。固体酸の強度は、Hammettの酸度関数Hoが指標として用いられる。あるHoで変色する指示薬を用いてアミンなどの塩基で滴定することで、ある強度以上の酸点がどの程度存在するかを定量することができる。
【0039】
また、本発明において吸着剤として用いる弱酸処理低鉄イオン白土は、弱いながらも酸処理されているため、窒素法によるBET比表面積が、酸処理を施していないスメクタイト系粘土に比して向上しており、好適には65~400m2/g、特に好適には100~400m2/gの範囲にある。しかるに、かかる弱酸処理低鉄イオン白土は、酸処理を施していないスメクタイト系粘土に比して、BET比表面積比(A/B)は低いが、高い吸着性を示すと考えられる。
【0040】
さらにまた、上記の弱酸処理低鉄イオン白土は、ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土の結晶構造に由来する特有のX線回折ピークを示し、例えば、X線回折測定において、面指数(06)に由来する回折ピークを2θ=62度(d=1.49~1.50Å)付近に有している。
【0041】
<弱酸処理低鉄イオン白土の製造>
上記のような特性を有す弱酸処理低鉄イオン白土は、ジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土を粗砕、混練して所定濃度の酸水溶液を用いて、所定の条件で酸処理することにより製造される。即ち、この弱酸処理低鉄イオン白土は、半活性白土と同様にして得られるが、半活性白土に比してマイルドな条件での酸処理によって得られるものである。
【0042】
原料粘土として用いるジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土は、火山岩や溶岩等が海水の影響下で変成したものと考えられており、主要成分であるジオクタヘドラル型スメクタイトはSiO4四面体層-AlO6八面体層-SiO4四面体層からなり、且つこれらの四面体層と八面体層が部分的に異種金属で同形置換された三層構造を基本構造(単位層)としており、このような三層構造の積層層間には、Ca,K,Na等の陽イオンや水素イオンとそれに配位している水分子が存在している。また、基本三層構造の八面体層中のAlの一部にMgやFe(II)が置換し、四面体層中のSiの一部にAlが置換しているため、結晶格子はマイナスの電荷を有しており、このマイナスの電荷が基本層間に存在する金属陽イオンや水素イオンにより中和されている。このようなスメクタイト系粘土には、酸性白土、ベントナイト、フラーズアース等があり、基本層間に存在する金属陽イオンの種類や量、及び水素イオン量等によってそれぞれ異なる特性を示す。例えば、ベントナイトでは、基本層間に存在するNaイオン量が多く、このため、水に懸濁分散させた分散液のpHが高く、一般に高アルカリサイドにあり、また、水に対して高い膨潤性を示し、さらにはゲル化して固結するという性質を示す。一方、酸性白土では、基本層間に存在する水素イオン量が多く、このため、水に懸濁分散させた分散液のpHが低く、一般に酸性サイドにあり、また、水に対して膨潤性を示すものの、ベントナイトと比較すると、その膨潤性は総じて低く、ゲル化には至らない。
【0043】
本発明において、弱酸処理低鉄イオン白土の製造に用いるジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土は、特に限定されるものではなく、上述した各種の何れをも使用することができる。また、かかる原料粘土は、粘土の成因、産地及び同じ産地でも埋蔵場所(切羽)等によっても相違するが、一般的には、酸化物換算で以下のような組成を有している。
SiO2;50~75質量%
Al2O3;11~25質量%
Fe2O3;2~20質量%
MgO;2~7質量%
CaO;0.1~3質量%
Na2O;0.1~3質量%
K2O;0.1~3質量%
その他の酸化物(TiO2等);2質量%以下
Ig-loss(1050℃);5~11質量%
【0044】
また、原料粘土は、産地等によっては、石英等の不純物を多く含んでいることもある。従って、上記のジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土を、必要により石砂分離、浮力選鉱、磁力選鉱、水簸、風簸等の精製操作に賦して不純物をできるだけ除去した後に酸処理を行うのがよい。このような処理を行った後に、以下に述べるマイルドな条件での酸処理を行うことにより、A/Bが上記範囲内にある弱酸処理白土を得ることができる。
【0045】
酸処理は、酸水溶液中に原料粘土を投入し、混合攪拌することにより行われる。酸処理に用いる酸水溶液は、特に限定されるものではないが、コスト、環境への影響等の観点から硫酸水溶液が一般に使用される。
【0046】
また、かかる酸処理は、既に述べたように、従来公知の活性白土や半活性白土を製造する際の酸処理に比してマイルドな条件下で行われ、例えば硫酸水溶液を使用する場合には、原料粘土中に含まれる水分も硫酸水溶液を構成するものとして算出した硫酸水溶液量が、原料粘土100質量部(110℃乾燥物として)当り250~800質量部、その時の硫酸水溶液の濃度が1~15質量%程度になるような条件で酸処理を行えばよい。酸処理にあたっては、必要により25~95℃程度に加熱することもできる。このようにして、原料の組成、用いる酸水溶液の酸濃度、処理温度等によって、比表面積比(A/B)が所定の範囲となる程度の時間(0.5~12時間程度、好ましくは0.5~8時間程度、特に好ましくは0.5~4時間程度)、酸処理を行えばよい。
【0047】
弱酸処理後の白土自体の鉄イオン溶出量が0.15mg/g以下である場合は、陽イオン処理による鉄イオン含量低減処理を行う必要はない。上記鉄イオン溶出量が0.15mg/gを超える場合に、陽イオン処理による鉄イオン含量低減処理を行う。
【0048】
鉄イオン含量低減処理は、硫酸ナトリウム等の陽イオンを含む硫酸塩水溶液中に、酸処理後の白土を投入し、混合攪拌することにより、鉄イオンがナトリウム等の陽イオンに置換されることにより行われる。
【0049】
上記のような酸処理および鉄イオン含量低減処理により、窒素法によるBET比表面積と水蒸気法によるBET比表面積の比A/Bや固体酸量、窒素法によるBET比表面積の値が上述の範囲にあり、プリン体に対する吸着性能に優れた本発明の吸着剤(弱酸処理低鉄イオン白土)が得られる。
【0050】
また、上述した酸処理および鉄イオン含量低減処理によって得られる弱酸処理低鉄イオン白土は、一般に、酸化物換算で、下記の化学組成を有している。
SiO2;50~85質量%
Al2O3;8~23質量%
Fe2O3;1~10質量%
MgO;1~10質量%
CaO;0.1~2質量%
Na2O;0.1~3質量%
K2O;0.1~5質量%
その他の酸化物(TiO2等);2質量%以下
Ig-loss(1050℃);4~9質量%
【0051】
酸処理後または鉄イオン含量低減処理後は水でろ過洗浄し、その後、層間水の量を調整するために乾燥処理を行う。乾燥処理は、層間水の量が所定の範囲となればよく、オーブンでの熱乾燥、風乾、マイクロ波照射など任意の方法で行うことができる。
乾燥温度は、乾燥処理の方法によっても異なるが、例えばオーブンにて静置乾燥させる場合、層間水を粘土鉱物から脱離させるために、オーブン温度を120℃以上にするのが好ましく、140℃以上にするのがより好ましい。また、層間に形成されている微細孔がつぶれてしまわないように、オーブン温度を200℃未満にするのが好ましく、170℃未満にするのがより好ましい。
乾燥時間は、層間水の量が所定の範囲となればよく特に限定されないが、オーブンにて静置乾燥させる場合、概ね2時間以上行えば十分である。
【0052】
<プリン体>
本発明において、前述した弱酸処理低鉄イオン白土は、プリン体、即ち、プリン骨格を有する化合物に対して優れた選択吸着性を示す。
【0053】
プリン骨格は、下記式:
【化1】
で表され、弱酸処理低鉄イオン白土は、上記のようなプリン骨格を有する化合物、即ち、部分構造としてプリン骨格を有する化合物、及び、かかる化合物の誘導体もしくはかかる化合物から派生する化合物に対して優れた選択的吸着性を示す。
【0054】
プリン体の1つとしては、下記式:
【化2】
で表されるキサンチンの他、ヒポキサンチンを挙げることができる。
キサンチン、ヒポキサンチンおよびキサンチンから派生する化合物を、本明細書では、総じてキサンチン化合物とする。本発明の吸着剤は、キサンチン化合物に対して優れた選択吸着性を示し、キサンチン化合物用吸着剤として好適であり、キサンチン用吸着剤として特に好適である。
【0055】
また、プリン体として、アデニン、グアニンもある。アデニンまたはグアニンから派生する化合物としては、アデニンまたはグアニンとリボースから構成されるプリンヌクレオシド(アデノシン、グアノシン)や、さらにリン酸を構成成分に含むプリンヌクレオチド(アデニル酸、グアニル酸)等が挙げられる。また、アデニンまたはグアニンから派生する他の有機化合物としては、これに限定されるものではないが、デオキシグアノシン、デオキシグアノシン三リン酸、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、イノシン、イノシン酸等を挙げることができる。本明細書では、上記のアデニンまたはグアニン、および、アデニンまたはグアニンから派生する化合物を、アデニンまたはグアニン化合物と総称する。本発明の吸着剤は、アデニンおよびグアニンに対する選択的吸着性を示し、それ故、アデニンまたはグアニン化合物に対しても優れた選択的吸着性を示し、かかる化合物用の吸着剤として好適である。
【0056】
本発明における「ビール類」とは、ビール様の風味をもつ炭酸飲料のことであり、後述する発酵ビールテイスト飲料の他、非発酵ビールテイスト飲料、アルコール度数が1.0(v/v)%未満のノンアルコールビールテイスト飲料やアルコールを含まないノンアルコールビールテイスト飲料、ビール香料が添加された炭酸飲料を含む。
本明細書において、ビール類とは、麦芽、ホップ、および水等を原料として、これらを、酵母を用いて発酵させて得られる発酵ビールテイスト飲料であってもよく、発酵工程を経ない非発酵ビールテイスト飲料であってもよい。ここで、麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦などの麦類の種子を発芽させて乾燥させ、除根したものをいい、産地や品種は、いずれのものであってもよい。
本発明の一態様においては、大麦麦芽を用いることが好ましい。大麦麦芽は、日本のビールテイスト飲料の原料として最も一般的に用いられる麦芽の1つである。大麦には、二条大麦、六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。また、通常麦芽のほか、色麦芽なども用いることができる。なお、色麦芽を用いる際には、種類の異なる色麦芽を適宜組み合わせて用いてもよいし、一種類の色麦芽を用いてもよい。なお、麦芽比率(全ての麦芽の使用比率)は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは48質量%以上、よりさらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは55質量%以上であり、また、60質量%以上、65質量%以上、66質量%以上、67質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上または100質量%であってもよい。麦芽比率を向上させることにより、麦芽に由来する豊かな味わいや、麦の旨味をより強く感じることができるビールテイスト飲料を製造できる。ここで、麦芽比率とは平成30年4月1日が施工日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
さらに、麦芽の使用比率を抑制する場合、酵母が資化可能な麦芽以外の原料(炭素源、窒素源)を増量してもよい。酵母が資化可能な原料の炭素源としては単糖、二糖、三糖、それらの糖液等が挙げられ、窒素源としては酵母エキス、大豆タンパク、麦芽、大豆、酵母エキス、エンドウ、小麦麦芽、未発芽の穀物、これらの分解物等が挙げられる。また未発芽の穀物としては、例えば、未発芽の大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦、米(白米、玄米等)、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ等が挙げられる。また、これらの穀物から得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)を用いても良い。
さらに、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、上面発酵酵母(サッカロマイセス等)を用いた発酵工程を経て醸造されたエールビールテイスト飲料であってもよく、下面発酵酵母(サッカロマイセス等)を用いた発酵工程を経て醸造されたラガービールテイスト飲料、ピルスナービールテイスト飲料であってもよい。
【0057】
さらに、ビール類は、アルコール度数が1.0(v/v)%以上のアルコール含有ビールテイスト飲料であってもよく、アルコール度数が1.0(v/v)%未満のノンアルコールビールテイスト飲料やアルコールを含まないノンアルコールビールテイスト飲料であってもよい。本明細書においてアルコール度数は、飲料中のアルコール分の含有量(v/v%)を意味し、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、飲料から濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を直火蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。アルコール度が1.0%未満の低濃度の場合は、市販のアルコール測定装置や、ガスクロマトグラフィーを用いても良い。
【0058】
本明細書のビール香料が添加された炭酸飲料において、ビール香料としては、例えば、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n-プロパノール、イソブタノール、アセトアルデヒド、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、イソアミルプロピオネート、リナロール、ゲラニオール、シトラール、4-ビニルグアイアコール(4-VG)、4-メチル-3-ペンテン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、1,4-シネオール、1,8-シネオール、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカラクトン、ヘキサン酸エチル、2-メチル酪酸エチル、n-酪酸エチル、ミルセン、シトラール、リモネン、マルトール、エチルマルトール、フェニル酢酸が挙げられる。香料添加処理にあたっては、1種または2種以上のビール香料を前述のビール類に添加して用いることができる。
【0059】
本発明の一態様のビール類である発酵ビールテイスト飲料の製造方法としては、下記工程(1)~(3)を有する。
・工程(1):原材料に対して、糖化処理、煮沸処理、および固形分除去処理の少なくと
も1つの処理を行い、発酵前液を得る工程。
・工程(2):工程(1)で得た発酵前液を冷却し、冷却発酵前液を得る工程。
・工程(3):工程(2)で得た冷却発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う工
程。
【0060】
<工程(1)>
工程(1)は、各種原材料を用いて、糖化処理、煮沸処理、および固形分除去処理のうち少なくとも1つの処理を行い、発酵前液を得る工程である。例えば、各種原材料として、麦芽を用いる場合には、水および麦芽を含む各種原材料を仕込釜または仕込槽に投入し、必要に応じて、発酵前に、原材料に由来する成分の変化を促進する酵素剤を添加してもよい。
当該酵素剤としては、例えば、アミラーゼ、プロテアーゼ、デアミナーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、グルカナーゼ、キシラーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、グルコシダーゼ等が挙げられる。また、酒税法および酒類行政関係法令通達(平成30年6月27日改正)の第3条「7酒類の原料として取り扱わない物品」の「(3)酒造の合理化等の目的で醸造工程中に加える次の酵素剤」に該当する酵素剤を挙げられる。これらの酵素剤を添加することで、得られる発酵ビールテイスト飲料の成分組成を効率よく調整させることができる。麦芽以外の各種原材料としては、ホップ、保存料、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類等を加えてもよい。これらは、糖化処理を行う前に加えてもよく、糖化処理の途中で加えてもよく、糖化処理の終了後に加えてもよい。また、これらは、次工程のアルコール発酵後に加えてもよい。
【0061】
各種原材料の混合物は、加温し、原材料の澱粉質を糖化させて糖化処理を行う。糖化処理の温度および時間は、使用する麦芽の種類や、麦芽比率、水および麦芽以外の原材料、使用する酵素の種類や量、最終的に得られる飲料のオリジナルエキス濃度等を考慮して適宜調整することが好ましい。本発明の一態様において、糖化処理の温度は55~75℃であり、糖化処理の時間は30~240分であることが好ましい。糖化処理後に、濾過を行い、糖化液が得られる。
【0062】
なお、この糖化液は煮沸処理を行うことが好ましい。この煮沸処理を行う際に、原材料としてホップや苦味料等を用いる場合には、これらを加えることが好ましい。ホップや苦味料等は、糖化液の煮沸開始から煮沸終了前の間で加えてもよい。なお、上記の糖化液の代わりに、麦芽エキスに温水を加えたものに、ホップや苦味料等を加えて煮沸処理を行い、発酵前液を調製してもよい。
【0063】
また、各種原材料として、麦芽を使用しない場合には、炭素源を含有する液糖、麦または麦芽以外のアミノ酸含有原料としての窒素源、ホップ、保存料、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類等を、温水と共に混合し、液糖溶液を調製し、その液糖溶液に対して煮沸処理を行い、発酵前液を調製してもよい。ホップを用いる場合には、煮沸処理前に加えてもよく、液糖溶液の煮沸開始から煮沸終了前の間で加えてもよい。
【0064】
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得た発酵前液を冷却し、冷却発酵前液を得る工程である。煮沸処理終了後には、ワールプールに移送し、0~20℃に冷却する。そして、冷却後に、凝固タンパク等の固形分の除去処理を行い、オリジナルエキス濃度を調整してもよい。このような処理を経て、冷却発酵前液が得られる。
【0065】
<工程(3)>
工程(3)は、工程(2)で得た冷却発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行う工程である。本工程で用いる酵母は、製造すべき発酵ビールテイスト飲料の種類、目的とする香味や発酵条件等を考慮して適宜選択することができ、上面発酵酵母を用いてもよく、下面発酵酵母を用いてもよい。
【0066】
酵母は、酵母懸濁液のまま原材料に添加してもよいし、遠心分離あるいは沈降により酵母を濃縮したスラリーを発酵前液に添加してもよい。また、遠心分離の後、完全に上澄みを取り除いたものを添加してもよい。酵母の原液への添加量は適宜設定できるが、例えば、5×106cells/mL~1×108cells/mL程度である。
【0067】
アルコール発酵を行う際の発酵温度および発酵期間等の諸条件は、適宜設定することができ、例えば、8~25℃、5~10日間の条件で発酵させてもよい。発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温または降温)もしくは圧力を変化させてもよい。発酵ビールテイスト飲料の外観発酵度は、トランスグルコシダーゼ等の多糖分解酵素について種類、添加量および添加のタイミングを適宜設定して調整することができ、また、発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温または降温)もしくは圧力を変化させることによっても調整できる。また、本工程の終了後に、ろ過機等で酵母を取り除き、必要に応じて水や香料、酸味料、色素等の添加剤を加えてもよい。これらの工程後、貯酒工程およびろ過工程等の当業者に周知の発酵ビールテイスト飲料の製造で行われる工程を行ってもよい。
【0068】
<工程(4)>
工程(4)は、発酵ビールテイスト飲料の製造方法において、さらにプリン体の含有量を低減させるための、プリン体を吸着除去するプリン体吸着除去工程である。
工程(4)では、発酵前液、発酵液、もしくは発酵ビールテイスト飲料に、本発明の吸着剤(弱酸処理低鉄イオン白土)を添加等して、プリン体を吸着除去する。具体的な吸着剤の添加方法としては、発酵ビールテイスト飲料の製造工程で設けられた任意の配管や配管途中で設けられたタンクから添加することができる。吸着剤の添加方法は特に限定されないが、例えば、配管に添加用の投入口を設けて添加することができるし、タンクに設けた添加用の投入口から添加することができる。吸着剤は、そのまま添加してもよいし、脱気水などの媒体に溶解させたものを添加してもよい。具体的な吸着除去の方法としては、ろ過フィルターにより吸着除去など公知の方法を採用することができる。なお、プリン体除去工程は、例えば、工程(1)と同時に又は工程(1)の終了後、工程(2)と同時に又は工程(2)の終了後、工程(3)と同時に又は工程(3)の終了後、貯酒工程もしくはろ過工程で行ってもよいが、工程(2)の終了後以降が好ましく、工程(3)の終了後以降がより好ましい。また、プリン体除去工程は複数回行ってもよい。
【0069】
吸着剤の添加量は、発酵前液、発酵液、もしくは発酵ビールテイスト飲料のプリン体の含有量に応じて調整すればよく特に限定されるものではない。また、吸着剤は、連続的又は断続的に添加することができるが、発酵前液、発酵液、もしくは発酵ビールテイスト飲料の流量に対して吸着剤が一定の濃度となるように連続的に添加(比例添加)することが好ましい。比例添加の場合における、吸着剤の添加量(発酵前液、発酵液、もしくは発酵ビールテイスト飲料と接触時の吸着剤の濃度)は以下の式1で算出する。
添加量(ppm)=単位時間当たりの吸着剤の添加量(g/h)/(添加位置における発酵前液、発酵液、もしくは発酵ビールテイスト飲料の流量(HL/h)×100)・・・・(式1)
【0070】
発酵前液、発酵液、もしくは発酵ビールテイスト飲料に対する吸着剤の添加量としては、例えば、50ppm以上が好ましく、60ppm以上がより好ましく、70ppm以上、80ppm以上、90ppm以上、100ppm以上、120ppm以上、140ppm以上、160ppm以上、180ppm以上、200ppm以上、220ppm以上、240ppm以上、260ppm以上、280ppm以上、300ppm以上としてもよく、また、好ましくは5000ppm以下、より好ましくは4500ppm以下、4000ppm以下、3500ppm以下、3000ppm以下、2500ppm以下、2000ppm以下、1500ppmとしてもよい。
【0071】
プリン体除去工程において、発酵前液、発酵液、もしくは発酵ビールテイスト飲料と吸着剤との接触時間は任意に設定することができ、例えば、5分~7日、10分~3日、10分~180分、10~40分などとすることができる。ここで、プリン体除去工程における接触時間は、吸着剤を配管で添加する場合には以下の式2により算出する。従って、接触時間は、吸着剤の添加位置から遠心分離機までの距離や、発酵前液、発酵液、もしくは発酵ビールテイスト飲料の流速により調整することができる。
接触時間(s)=吸着剤の添加位置から遠心分離機までの距離(m)/発酵前液、発酵液、もしくは発酵ビールテイスト飲料の流速(m/s)・・・・(式2)
【0072】
また、吸着処理を行う前にプリンヌクレオシダーゼ処理を行ってもよい。プリンヌクレオシダーゼ処理では、予め、発酵前の発酵原料液又は発酵後の発酵液に対して、プリンヌクレオシダーゼを作用させることで、溶液中のアデノシン及びグアノシンを遊離プリン基に変換し、この遊離プリン基の少なくとも一部を酵母非資化性の遊離プリン基であるキサンチンに変換させることができる。
この処理を行った後に、プリン体除去工程を行うことによって、プリン体の中でもキサンチンを優先的に本件発明の吸着剤に吸着除去することができ、最終的に得られる発酵ビールテイスト飲料中のプリン体の含有量を低減させることができる。なお、プリンヌクレオシダーゼ処理は、吸着処理前であれば行う時期の制限はなく、例えば、工程(1)と同時に又は工程(1)の終了後、もしくは、工程(3)と同時に又は工程(3)の終了後に行ってもよい。
【0073】
このようにして得られた発酵ビールテイスト飲料は、所定の容器に充填され、製品として市場に流通する。
発酵ビールテイスト飲料の容器詰め方法としては、特に限定されず、当業者に周知の容器詰め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、発酵ビールテイスト飲料は容器に充填・密閉される。容器詰め工程には、いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、缶、ビン、ペットボトル、または樽が挙げられるが、特に持ち運びが容易であるとの観点から、缶、ビン、ペットボトルが好ましい。
【0074】
<用途>
本発明において吸着剤として使用する弱酸処理低鉄イオン白土は、プリン体に対する選択吸着性に優れているばかりか、飲料の風味に影響し得る鉄イオンの溶出が低減されているため、ビール類からプリン体を除去するための吸着剤として使用される。例えば、ビール類の製造工程中または製造後に0.001~10質量部の量で、1回または複数回添加して使用される。より具体的には、前述した弱酸処理低鉄イオン白土を、適度な平均粒径(例えば、10~300μm程度)の粉末状に粒度調整し、これを飲料と混合する。また、カラムやフィルターに加工し通液する方法も採用でき、いずれの方法においてもキサンチン等を吸着した後に該吸着剤は上記飲料から分離される。
【実施例0075】
本発明の優れた効果を、次の実施例により説明する。
【0076】
(1)窒素吸着法によるBET比表面積(B)
マイクロメリティクス社製TriStar 3000を用いて窒素吸着法により測定を行い、BET法により算出した。なお、前処理は150℃で2時間行った。
【0077】
(2)水蒸気吸着法によるBET比表面積(A)
日本ベル株式会社製BELSORP MAXを用いて水蒸気吸着法により測定を行い、BET法により算出した。なお、前処理は150℃で2時間行った。
【0078】
(3)層間水の量
吸着剤粉末約2gを秤量し、80℃のオーブンで2時間静置乾燥した。その後再度秤量し、湿量基準の80℃乾燥減量W80(%)を求めた。
吸着剤粉末約2gを秤量し、150℃のオーブンで2時間静置乾燥した。その後再度秤量し、湿量基準の150℃乾燥減量W150(%)を求めた。
下記式:
WL=(W150-W80)/(100-W150)×1000
により、吸着水及び層間水を除いた吸着剤1gあたりの層間水の量WL(mg/g)を求めた。
【0079】
(4)固体酸量
n-ブチルアミン滴定法にてHo≦-3.0の固体酸量を測定した。試料は、予め、150℃で3時間乾燥したものについて測定を行った{参考文献:「触媒」Vol.11,No6,P210-216(1969)}。
【0080】
(5)キサンチン吸着試験
本実施例におけるキサンチン吸着能は、5mg/L濃度のキサンチン溶液から、1gの吸着剤(無水)が吸着できるキサンチン量(mg)とし、下記の方法により測定し、算出した。
先ず、エタノール(99.5)(試薬特級、富士フイルム和光純薬(株)製)に蒸留水を加え5vol%エタノール水溶液を作製し、硫酸を加えてpH3.4に調整した。得られた溶液にキサンチン(富士フイルム和光純薬(株)製)を溶かし、5mg/L濃度のキサンチン溶液を得た。
この5mg/L濃度のキサンチン水溶液30gを50ml容量の三角フラスコに秤取し、2℃に温調した恒温槽内に一晩放置した。吸着剤0.015g(対液0.05質量%)を加えて2℃の恒温槽に戻し,恒温槽内に設置したマグネチックスターラーにて15分間攪拌した。
次にフラスコ内の液全量を50ml容量の遠沈管に移し、遠心分離機((株)クボタ製6000)により3000rpmで15分処理した。処理後の液の上澄みを孔径0.45μmのメンブレンフィルターで濾過し,試料液を得た。試料液の267nm波長光の吸光度を分光光度計(日本分光(株)製V-560)により測定した。そして、予め作成したキサンチン濃度と267nm波長光の吸光度の関係を示す検量線を用いて試料液のキサンチン残存量を算出し、吸着剤添加前のキサンチン量からキサンチン吸着率(%)を算出した。
【0081】
(6)鉄イオン溶出試験
本実施例における鉄イオン溶出量は、0.1g/L濃度のクエン酸水溶液中に、1gの吸着剤(無水)から溶出する鉄の量(mg)とし、下記の方法により測定し、算出した。
先ず、クエン酸(富士フイルム和光純薬(株)製)を蒸留水に溶かし、0.1g/L濃度のクエン酸水溶液を得た。
この0.1g/L濃度のクエン酸水溶液30gを50ml容量の三角フラスコに秤取し、2℃に温調した恒温槽内に一晩放置した。吸着剤0.09g(対液0.3質量%)を加えて2℃の恒温槽に戻し,恒温槽内に設置したマグネチックスターラーにて3時間攪拌した。
次にフラスコ内の液全量を50ml容量の遠沈管に移し、遠心分離機((株)クボタ製6000)により3000rpmで15分処理した。処理後の液の上澄みを孔径0.45μmのメンブレンフィルターで濾過し,試料液を得た。試料液中の鉄イオン濃度を原子吸光光度計((株)日立ハイテクサイエンス製Z-2010)により測定し、鉄溶出量を算出した。
【0082】
下記の実施例および比較例に示す吸着剤粉末について、物性および各種吸着試験結果を表1に示す。
【0083】
(実施例1)
新潟県胎内市産のジオクタヘドラル型スメクタイト系粘土を粗砕、オーブンにて110℃で12時間乾燥、粉砕、分級して粘土粉末を得た。
ビーカーに10質量%硫酸水溶液220mLを採り、90℃に加熱した。そこへ前記粘土粉末30gを添加し、液温を90℃に維持した状態で撹拌し、30分間酸処理を行った。酸処理終了後、酸処理物を水でろ過洗浄した。
さらに、硫酸を加えてpH1.0に調整した400mEq/L濃度の硫酸ナトリウム水溶液220mLをビーカーに採り、そこへ前記洗浄後のろ過ケーキを全量添加し、常温で24時間攪拌することで鉄イオン含量低減処理を行った。
鉄イオン含量低減処理終了後、鉄イオン含量低減処理物を水でろ過洗浄し、洗浄後のろ過ケーキを150℃のオーブンで12時間静置乾燥し、粉砕、分級して吸着剤の粉末を得た。
【0084】
(実施例2)
実施例1の操作を90000倍にスケールアップした以外は実施例1と同様にして吸着剤の粉末を得た。
【0085】
(実施例3)
400mEq/L濃度の硫酸ナトリウム水溶液を400mEq/L濃度の硫酸カリウム水溶液に変更した以外は実施例1と同様にして吸着剤の粉末を得た。
【0086】
(実施例4)
400mEq/L濃度の硫酸ナトリウム水溶液を400mEq/L濃度の硫酸マグネシウム水溶液に変更した以外は実施例1と同様にして吸着剤の粉末を得た。
【0087】
(実施例5)
pH1.0をpH3.0に変更した以外は実施例1と同様にして吸着剤の粉末を得た。
【0088】
(実施例6)
硫酸濃度を15質量%に、添加する粘土重量を1.5倍に、硫酸ナトリウム水溶液濃度を450mEq/Lに変更した以外は実施例2と同様にして吸着剤の粉末を得た。
【0089】
(比較例1)
400mEq/L濃度の硫酸ナトリウム水溶液を硫酸水溶液に変更した以外は実施例1と同様にして吸着剤の粉末を得た。
【0090】
(比較例2)pH1.0に調整した400mEq/L濃度の硫酸ナトリウム水溶液を蒸留水に変更した以外は実施例1と同様にして吸着剤の粉末を得た。
【0091】
【0092】
実施例1~6の吸着剤において、(A)/(B)は0.96~2.15の範囲、およびプリン体であるキサンチンの吸着率は86~99%の範囲であり、鉄イオン溶出量(Fe溶出量)は0.02~0.09mg/gと少なかった。
比較例1~2の吸着剤において、(A)/(B)は1.36~1.70の範囲、およびキサンチンの吸着率は83~90%の範囲であったが、鉄イオン溶出量は0.17~0.70mg/gであった。また、比較例1~2の吸着剤を用いてプリン体を除去したビール類は金属味を感じた。
また、麦芽比率50%未満の発酵ビールテイスト飲料に、実施例1、3、4、5と比較例1、2の吸着剤3,000ppmを添加し、0~4℃で保温した上で3時間の攪拌接触を実施し、その後吸着剤を遠心処理によって除去し、キサンチンの吸着率と鉄イオン溶出量を算出した。その結果、比較例1、2の吸着剤と比較して、実施例1、3、4、5の吸着剤の方がキサンチンの吸着率が高く、鉄イオン溶出量が少ないことを確認した。