(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014696
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】データベース管理システム及び通信システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/182 20190101AFI20230124BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20230124BHJP
【FI】
G06F16/182
H04W4/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118796
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】516227490
【氏名又は名称】株式会社テクノアクセルネットワークス
(71)【出願人】
【識別番号】501326067
【氏名又は名称】株式会社サイバー創研
(71)【出願人】
【識別番号】503002167
【氏名又は名称】株式会社高速屋
(71)【出願人】
【識別番号】519293759
【氏名又は名称】Dendritik Design株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100199808
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 昌代
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】230116643
【弁護士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆之
(72)【発明者】
【氏名】有本 和民
(72)【発明者】
【氏名】宮首 賢治
(72)【発明者】
【氏名】新庄 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】山内 直樹
(72)【発明者】
【氏名】三上 博英
(72)【発明者】
【氏名】吉川 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】石田 和人
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB27
5K067DD51
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】狭いエリアに検索対象データが存在しない場合でも、安定して効率的に検索できるデータベース管理システム及びそれを用いた通信システムを提供する。
【解決手段】データベース管理システム1の階層化データベース1aにおいて、少なくとも1つの起点中間データベースは、ローカル参照データテーブル及びローカルマスタテーブルを有する。ローカル参照データテーブルは、このテーブルを有する中間データベースに直接接続されている下層側中間データベース、末端データベースである直下層データベース、直下層データベースを介して間接接続される中間データベース又は末端データベースに格納されている登録データへ至る検索経路と、登録データを関連する分類情報でグループ分けしたグループの属性を示す参照値と、を有する。ローカルマスタテーブルは、起点中間データベースを起点とするデータベースの木構造及びグループ分けのための分類情報を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1の主データベースと、この主データベースと1又は複数の中間データベースを介して間接に接続される複数の末端データベースとを有する階層化データベースと、上記階層化データベースに登録されている登録データから検索条件に合致する合致データを検索する検索手段とを備えるデータベース管理システムであって、
上記階層化データベースが、上記中間データベースとして、少なくとも1つの起点中間データベースを有し、
少なくとも上記末端データベースが、複数の登録データを格納しており、
上記起点中間データベースが、ローカル参照データテーブル及びローカルマスタテーブルを有し、
上記ローカル参照データテーブルが、このローカル参照データテーブルを有する中間データベースに直接接続されている下層側の中間データベース又は末端データベースである直下層データベース、又はこの直下層データベースを介して間接に接続される中間データベース又は末端データベースに格納されている上記登録データへ至る検索経路と、上記登録データを関連する分類情報によりグループ分けしたグループの属性を示す参照値とを有し、
上記ローカルマスタテーブルが、上記起点中間データベースを起点とするデータベースの木構造及び上記グループ分けのための分類情報を有するデータベース管理システム。
【請求項2】
上記階層化データベースが、上記起点中間データベースに直接又は間接に接続されている下層側の中間データベースを有し、
上記下層側の中間データベースが、ローカル参照データテーブル及びローカルマスタテーブルを有する請求項1に記載のデータベース管理システム。
【請求項3】
1又は複数のローカルエッジネットワークと、
クラウドネットワークと、
請求項1又は請求項2に記載のデータベース管理システムと
を備え、
上記ローカルエッジネットワークが共通のワイヤレスインタフェースで接続されている1又は複数のモバイル基地局を含み、
上記クラウドネットワークが、少なくとも1の上記モバイル基地局と通信可能に構成されており、
上記起点中間データベースが、上記モバイル基地局に配置されている通信システム。
【請求項4】
上記起点中間データベースと、この起点中間データベースに直接又は間接に接続されている末端データベースとの距離の最大値が、5km以上20km以下である請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
上記ローカルエッジネットワークが、1又は複数の移動体を含み、
上記移動体が、センサと上記末端データベースとを有し、
上記データベース管理システムが、上記センサによって取得されるセンサ情報を上記登録データとして、上記移動体が有する上記末端データベースに登録する登録手段を備え、
上記登録手段が登録する登録データが、
上記センサ情報に対応する実データと、
上記分類情報として利用可能な複数のラベルと
を有し、
上記登録手段が、上記登録データを上記末端データベースに登録する際に、上記実データに従って予め定められた上記複数のラベルの値を上記登録データに付与する請求項3又は請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
上記データベース管理システムが、当該通信システム運用中の登録データの単位時間当たりのエネルギー消費量及び登録データの価値指標を予測する予測手段を備え、
上記登録手段が、上記予測手段の予測に基づいて、上記登録データの上記ラベルの値を変更する請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
上記分類情報が、上記末端データベースへの登録後の保持時間、上記センサ情報の収集エリア及び上記センサ情報に対応する実データの緊急性の項目を含み、
上記複数のラベルに、上記検索手段を使用するアプリケーションに対応してネットワークファンクション及びデータベースファンクションをエンドツーエンドで選択及び接続するスライシングを含むスライシングラベルが含まれており、
上記登録手段が、上記登録データを上記末端データベースに登録する際に、上記項目に従って上記スライシングラベルの値を決定する請求項5又は請求項6に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データベース管理システム及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近グローバルレベルでサービスが開始された第5世代移動通信システム(5G)は、第4世代移動通信システム(4G)と比べ、さらに超低遅延や多数同時接続といった機能が強化されている。この5Gの機能を用いて、工場や自動車から取得される多様化された膨大なセンサ情報を効率的に収集及び配信するデータベースの運用が検討されている。
【0003】
このようなデータベースとして、モビリティ アズ ア サービス(Mobility as a Service、MaaS)に用いられるデータベースを挙げることができる。MaaSは、今後の我が国の国民生活や経済、産業等への波及効果が期待される技術であり、そのビジネス展開には自動車で取得される時間的、空間的に大きなダイナミックレンジを有する時系列実データが必要とされる。このような移動体(自動車等)を対象とする膨大で、ネットワークに分散されたデータを従来のクラウドベースのみによって階層構成でないデータベースに蓄積すると、構築、更新及び試験に膨大な計算リソースやストレージが必要となる。そのため、エネルギー消費量が大きく、また、末端までのデータ到達時間が長くなり、効率的なサービスの提供が困難となると考えられる。
【0004】
例えばネットワークに分散されたデータベース資源を効率よく検索し、ネットワークやデータベースに大きな負荷をかけることなく、評価価値の高いデータを効率よく検索する方法として、回答集積装置を利用した検索方法が提案されている(特開2000-235583号公報参照)。上記検索方法では、まず、狭いエリアに位置するデータベースに対して検索処理を行い、回答カウンタによって回答集積装置に蓄積される回答データ、すなわち有効な情報数を計数する。そして、この狭いエリアから所定数の回答データが得られないと判断した場合は、検索装置から通信装置を介してより広い範囲の検索を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の回答集積装置を利用した検索方法では、狭いエリアに検索対象データが存在しない場合、より広いエリアの検索をすることになり、ネットワークを介した検索を必要とする。ネットワークを介した検索が多くなると、検索に要する時間が飛躍的に大きくなる。このため、上記従来の検索方法では、安定して効率的に検索できるとは言えない。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、登録データを安定して効率的に検索できるデータベース管理システム及びこのデータベース管理システムを用いた通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るデータベース管理システムは、11の主データベースと、この主データベースと1又は複数の中間データベースを介して間接に接続される複数の末端データベースとを有する階層化データベースと、上記階層化データベースに登録されている登録データから検索条件に合致する合致データを検索する検索手段とを備えるデータベース管理システムであって、上記階層化データベースが、上記中間データベースとして、少なくとも1つの起点中間データベースを有し、少なくとも上記末端データベースが、複数の登録データを格納しており、上記起点中間データベースが、ローカル参照データテーブル及びローカルマスタテーブルを有し、上記ローカル参照データテーブルが、このローカル参照データテーブルを有する中間データベースに直接接続されている下層側の中間データベース又は末端データベースである直下層データベース、又はこの直下層データベースを介して間接に接続される中間データベース又は末端データベースに格納されている上記登録データへ至る検索経路と、上記登録データを関連する分類情報によりグループ分けしたグループの属性を示す参照値とを有し、上記ローカルマスタテーブルが、上記起点中間データベースを起点とするデータベースの木構造及び上記グループ分けのための分類情報を有する。
【0009】
本発明の別の一態様に係る通信システムは、1又は複数のローカルエッジネットワークと、クラウドデータセンターと、本発明のデータベース管理システムとを備え、上記ローカルエッジネットワークが共通のワイヤレスインタフェースで接続されている1又は複数のモバイル基地局を含み、上記クラウドデータセンターが、少なくとも1の上記モバイル基地局と通信可能に構成されており、上記起点中間データベースが、上記モバイル基地局に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のデータベース管理システム及びこのデータベース管理システムを用いた通信システムは、登録データを安定して効率的に検索できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るデータベース管理システムの構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成図である。
【
図3】
図3は、
図1の階層化データベースの構成例を示す構成図である。
【
図4】
図4は、
図1の階層化データベースが有するデータテーブルを説明する説明図である。
【
図5】
図5は、
図1の階層化データベースが有するマスタテーブルを説明する説明図である。
【
図6】
図6は、
図2の通信システムの制御を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、スライシング選択機能を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0013】
本発明の一態様に係るデータベース管理システムは、1の主データベースと、この主データベースと1又は複数の中間データベースを介して間接に接続される複数の末端データベースとを有する階層化データベースと、上記階層化データベースに登録されている登録データから検索条件に合致する合致データを検索する検索手段とを備えるデータベース管理システムであって、上記階層化データベースが、上記中間データベースとして、少なくとも1つの起点中間データベースを有し、少なくとも上記末端データベースが、複数の登録データを格納しており、上記起点中間データベースが、ローカル参照データテーブル及びローカルマスタテーブルを有し、上記ローカル参照データテーブルが、このローカル参照データテーブルを有する中間データベースに直接接続されている下層側の中間データベース又は末端データベースである直下層データベース、又はこの直下層データベースを介して間接に接続される中間データベース又は末端データベースに格納されている上記登録データへ至る検索経路と、上記登録データを関連する分類情報によりグループ分けしたグループの属性を示す参照値とを有し、上記ローカルマスタテーブルが、上記起点中間データベースを起点とするデータベースの木構造及び上記グループ分けのための分類情報を有する。
【0014】
当該データベース管理システムは、ローカルマスタテーブルが、起点中間データベースを起点とするデータベースの木構造を有している。このため、上記木構造に含まれるデータベースのみを検索対象とすることができるので、検索の対象とするデータベースが制限され、検索対象が階層化データベース全体に及ぶことを防ぐことができる。また、当該データベース管理システムでは、末端データベースが、複数の登録データを格納しているので、検索対象となり得る登録データを含む末端データベースを選択して、上記木構造を自由に設定することができるから、検索のヒット率及びネットワーク負荷を考慮した木構造を選択することができる。従って、当該データベース管理システムは、登録データを安定して効率的に検索できる。
【0015】
上記階層化データベースが、上記起点中間データベースに直接又は間接に接続されている下層側の中間データベースを有し、上記下層側の中間データベースが、ローカル参照データテーブル及びローカルマスタテーブルを有する。このように起点中間データベースを起点とする木構造に中間データベースが含まれる場合、中間データベースにもローカル参照データテーブル及びローカルマスタテーブルを持たせることで、登録データを安定して効率的に検索できる。
【0016】
本発明の別の一態様に係る通信システムは、1又は複数のローカルエッジネットワークと、クラウドデータセンターと、本発明のデータベース管理システムとを備え、上記ローカルエッジネットワークが共通のワイヤレスインタフェースで接続されている1又は複数のモバイル基地局を含み、上記クラウドデータセンターが、少なくとも1の上記モバイル基地局と通信可能に構成されており、上記起点中間データベースが、上記モバイル基地局に配置されている。
【0017】
当該通信システムは、本発明のデータベース管理システムを備えており、起点中間データベースがモバイル基地局に配置されている。モバイル基地局は、一定の地域範囲のローカルエッジネットワークを管轄するから、上記起点中間データベースを上記モバイル基地局に配置することで、上記起点中間データベースに直接又は間接に接続される中間データベース及び末端データベースも上記モバイル基地局が管轄するローカルエッジネットワーク内に配置されたものが対象となる。このため、上記起点中間データベースを検索対象とする検索は、上記ローカルエッジネットワーク内で閉じている。従って、当該通信システムは、本発明のデータベース管理システムを用い、起点中間データベースをモバイル基地局に配置することで、広域ネットワーク通信の使用を抑制できるので、登録データを安定して効率的に検索できる。
【0018】
上記起点中間データベースと、この起点中間データベースに直接又は間接に接続されている末端データベースとの距離の最大値としては、5km以上20km以下が好ましい。一般に人の1日の平均移動距離は、8kmから12km程度が生活圏であり、この生活圏内の情報を必要とする場合が多い。上記最大値を上記範囲内とすることで、1つの起点中間データベースでこの生活圏をカバーできるので、広域ネットワーク通信の使用をさらに抑制でき、検索効率を高められる。
【0019】
上記ローカルエッジネットワークが、1又は複数の移動体を含み、上記移動体が、センサと上記末端データベースとを有し、上記データベース管理システムが、上記センサによって取得されるセンサ情報を上記登録データとして、上記移動体が有する上記末端データベースに登録する登録手段を備え、上記登録手段が登録する登録データが、上記センサ情報に対応する実データと、上記分類情報として利用可能な複数のラベルとを有し、上記登録手段が、上記登録データを上記末端データベースに登録する際に、上記実データに従って予め定められた上記複数のラベルの値を上記登録データに付与するとよい。このように上記分類情報として利用可能な複数のラベルを上記登録データに付与することで、登録データの検索及び管理を容易化できる。
【0020】
上記データベース管理システムが、当該通信システム運用中の登録データの単位時間当たりのエネルギー消費量及び登録データの価値指標を予測する予測手段を備え、上記登録手段が、上記予測手段の予測に基づいて、上記登録データの上記ラベルの値を変更するとよい。このように予測手段の予測に基づいて登録データの上記ラベルの値を変更することで、エネルギー消費量の局所的集中やデータベースのハードウェア資源の枯渇を抑止することができる。
【0021】
上記分類情報が、上記末端データベースへの登録後の保持時間、上記センサ情報の収集エリア及び上記センサ情報に対応する実データの緊急性の項目を含み、上記複数のラベルに、上記検索手段を使用するアプリケーションに対応してネットワークファンクション及びデータベースファンクションをエンドツーエンドで選択及び接続するスライシングを含むスライシングラベルが含まれており、上記登録手段が、上記登録データを上記末端データベースに登録する際に、上記項目に従って上記スライシングラベルの値を決定するとよい。このように上記スライシングラベルの値を決定することで、より最適なアプリケーションごとのスライシングを提供し易くすることができる。
【0022】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係るデータベースシステムについて、適宜図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1に示すデータベース管理システム1は、階層化データベース1aと、検索手段1bと、予測手段1cと、登録手段1dとを備える。
【0024】
階層化データベース1aは、1の主データベース10と、この主データベース10と1又は複数の中間データベース20を介して間接に接続される複数の末端データベース30とを有する。また、階層化データベース1aは、中間データベース20として、少なくとも1つの起点中間データベース21を有する。なお、主データベース10に直接接続される末端データベース30が存在していてもよい。
【0025】
また、少なくとも末端データベース30が、複数の登録データを格納している。本実施形態では、説明の簡単化のため、以降は全ての登録データが末端データベース30に格納されているものとするが、登録データの一部を主データベース10又は中間データベース20に格納することを妨げるものではない。一部の登録データが主データベース10又は中間データベース20に格納されていても本発明は同様に機能する。
【0026】
当該データベース管理システム1は、
図2に示す通信システム100に用いられる。当該通信システム100は、1又は複数のローカルエッジネットワーク100aと、フォッグネットワーク100bと、クラウドネットワーク100cと、当該データベース管理システム1とを備える。なお、
図2ではデータベース管理システム1については、主データベース10、中間データベース20、起点中間データベース21及び末端データベース30のみを図示している。
【0027】
ローカルエッジネットワーク100aは、共通のワイヤレスインタフェースで接続されている1又は複数のモバイル基地局110を含み、フォグネットワーク100b及びクラウドネットワーク100cは、ゲートウェイを介して少なくとも1のモバイル基地局110と通信可能に構成されており、フォグネットワーク100bとクラウドネットワーク100cとの間もゲートウェイを介して通信可能に構成されている。
【0028】
当該通信システム100は、例えばMaaS車載データ総合活用プラットフォーム(以下、「MaaSプラットフォーム」ともいう)を構成することができる。MaaSプラットフォームでは、例えばタクシー、配送サービス、レンタカー、シェアカー、移動販売等を目的とする車両から、外気温やドライバーの体温等の物理データ、道路混雑やドライバーの健康状態等の抽象データ、車室データ、風景データ等の画像データ、道路混雑やドライバーの健康状態等の抽象データなどを取得する。取得されたデータは、エッジデータベース(末端データベース30)に記憶、処理後それらのデータを参照するためのデータをフォグネットワーク100bのデータベース(中間データベース20)、クラウドネットワーク100cのデータベース(主データベース10)に記憶する。サービスプロバイダやユーザは、各データベースに蓄積されたデータを1つの登録データとして、例えば、車内外の見守り、トライバの体調モニタリング等の車内サービスとしての利用や、ドライバー分析(運転・生体・挙動)、乗員分析(属性・行動・感情)、道路・周辺状況分析、車両動線分析等に利用する。
【0029】
MaaSプラットフォームのような時空間に分散する画像、動画をはじめとする膨大な車載センサ情報の全てをクラウドネットワーク100cに集めることが現実的でなくなってきている。当該通信システム100では、車個々が収集したセンサ情報は、ローカルエッジネットワーク100aに登録データとして蓄積し活用する。そして、各登録データは、その配信要件に基づいてフォグネットワーク100bあるいはクラウドネットワーク100cに必要情報を蓄積する。当該データベース管理システム1は、クラウドネットワーク100cを含む全体として一元管理し、全車に対する総合的な検索を可能とするとともに、大量の車が接続するMaaSプラットフォームにおいて、車載のハードウェアリソースを活用し、クラウドネットワーク100cの利用及びデータ通信コストを低減する。以下、当該通信システム100について詳説する。
【0030】
〔ローカルエッジネットワーク〕
ローカルエッジネットワーク100aは、モバイル基地局110に加え、1又は複数の移動体120を含む。また、ローカルエッジネットワーク100aは、路側機130を含むことができる。
【0031】
モバイル基地局110、複数の移動体120及び路側機130は、上述した共通のワイヤレスインタフェースで接続されている。上記ワイヤレスインタフェースとしては、5G、ローカル5G、4G、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、LPWA(Low Power Wide Area)、WiFi、IEEE802.11系列、ITS(Intelligent Transport System)通信のインタフェース等を用いることができる。
【0032】
<モバイル基地局>
モバイル基地局110は、ローカルエッジネットワーク100aのワイヤレス通信が行える地理的範囲を統括し、制御する基地局である。具体的には、モバイル基地局110は、例えば複数の移動体120のデータ管理処理と配信制御処理とを行う。
【0033】
モバイル基地局110は、主基地局111と、ローカル基地局112とを含み、他のローカルエッジネットワーク100aのモバイル基地局110との間、あるいはフォグネットワーク100b及びクラウドネットワーク100cの両方又は一方との間の通信を行え、通信の基幹網を構成する。
【0034】
(主基地局)
主基地局111は、上記地理的範囲全体を統括及び制御する。主基地局111は、通信機能及びプロセッサを有する。起点中間データベース21は、モバイル基地局110である主基地局111に配置されている。また、主基地局111は、センサを有してもよい。このように主基地局111がセンサを有することで、主基地局111で取得される情報を登録データとして用いることができる。
【0035】
(ローカル基地局)
ローカル基地局112は、主基地局111の下層に属し、主基地局111が統括する地理的範囲を細分化して統括する。このため、通常、複数のローカル基地局112が設けられる。逆に、上記地理的範囲を細分化する必要がない場合は、ローカル基地局112は省略可能であり、モバイル基地局110は主基地局111のみで構成され、上記地理的範囲全体を直接統括する。
【0036】
ローカル基地局112は、通信機能及びプロセッサを有する。ローカル基地局112には、中間データベース20が配置される。また、ローカル基地局112は、センサを有してもよい。このようにローカル基地局112がセンサを有することで、ローカル基地局112で取得される情報を登録データとして用いることができる。ローカル基地局112は、例えばローカル5G基地局とすることができる。
【0037】
<移動体>
複数の移動体120は、当該ローカルエッジネットワーク100aが管理するデータ共有エリア(ワイヤレス通信が行える地理的範囲)を移動する機器である。
【0038】
複数の移動体120には、車両121、ドローン122、携帯機123が含まれ得る。複数の移動体120には、他に移動型ロボット、自転車等が含まれてもよい。このうち、移動体120が、車両121を含むとよい。当該データベース管理システム1は、車両121を含むシステム、例えば自動運転やMaaSビジネスに用いられるV2X通信システムに特に好適に用いることができる。「V2X」とは、Vehicle to Xの略称であり、車両121と何か(他の車両121や歩行者、インフラ、ネットワークなど)との接続や相互連携を総称する技術である。このV2Xは、例えば車両121の自動運転に不可欠である。上記V2X通信システムでは、車両121で取得される時間的及び空間的に大きなダイナミックレンジを有する時系列データを取り扱う必要がある。当該データベース管理システム1は、このような時系列データを特に効率的に取り扱うことができる。以下、移動体120が、車両121を含むことを前提に説明するが、当該データベース管理システム1が移動体120として車両121を必須の構成要素とすることを意味するものではない。
【0039】
複数の移動体120は、通信機能及びプロセッサを有する。また、移動体120は、センサ120aと末端データベース30とを有する。なお、「センサ」とは、実世界での現象を検知して、その検知された現象を、コンピュータが処理可能な信号に置き換える素子又は装置のことをいう。
図2では、ドローン122がセンサ120aを有する構成を図示しているが、他の移動体120については、図示していないものの同様にセンサ120aを有している。
【0040】
各移動体120は、センサ120aにより収集した情報を上記プロセッサにより処理し、末端データベース30に格納する。上記情報としては、天候、気温といった任意の自然現象や、交通渋滞、等の人工物で生ずる現象、心拍数、呼吸数、血圧等の人間のバイタル情報、車両への人物の接近、道路上への落下物の情報、時刻、移動速度、位置などのセンサで検知できる任意のものを挙げることができる。
【0041】
<路側機>
路側機130は、道路上に設置され、車両121の交通の制御や監視を行う機器である。路側機130には、信号機や街路灯等が含まれ、上記ワイヤレスインタフェースによりローカル基地局112と接続されている。
【0042】
路側機130は、通信機能を有する。また、路側機130は、データベース(中間データベース20又は末端データベース30)、プロセッサ及びセンサを有していることが好ましい。これらの構成を有することで、路側機130で取得された情報を登録データとして用いることができる。
【0043】
また、路側機130は、モバイル基地局110としての機能を有していてもよい。つまり、路側機130は、いわば移動しない移動体120、モバイル基地局110あるいはその両方として機能することができる。
【0044】
〔フォグネットワーク〕
フォグネットワーク100bは、ルータ140を有し、ローカルエッジネットワーク100aとクラウドネットワーク100cとの間のデータ転送を行う。フォグネットワーク100bには、中間データベース20が配置される。
【0045】
〔クラウドネットワーク〕
クラウドネットワーク100cは、ルータ140と、サーバ141を有する。クラウドネットワーク100cには、主データベース10が配置される。クラウドネットワーク100cは、少なくとも1のモバイル基地局110と直接に、又はフォグネットワーク100bを介して通信可能に構成されている。
【0046】
クラウドネットワーク100cは、ルータ140を介して各ローカルエッジネットワーク100aのモバイル基地局110から情報を収集する。サーバ141は、収集した情報を管理し、主データベース10は、サーバ141の制御のもと、上記情報を格納する。なお、主データベース10に格納される情報は、モバイル基地局110で収集、処理された情報のうち必要な情報となる。必ずしも全データが格納されるわけではない。
【0047】
当該通信システム100をMaaSプラットフォームに用いる場合、多数の車両121をスタンドアロンの単機能でなく、例えば5Gネットワークの大量端末同時接続機能で相互に接続して、大群化の効果を出すことで、情報やエネルギーのモビリティの需要に応じて車両121を配置することができる。これにより、車両121からの災害時の電源供給(安全・安心、エネルギー)、車両121間や車両121と公民館との間で大画面・高精細画像を用いる仮想集会場(生活・暮らし)、仮想展示場(観光)等、幅広い分野への適用が可能となる。
【0048】
〔データベース管理システム〕
総務省によれば、平成17年の例で1人1日の平均移動距離(生活圏)は、都市圏で12km、地方で8kmである。また、交通流密度は全国平均で10台/km2、東京都で128台/km2である。当該データベース管理システム1は、例えば全国規模のデータを取り扱うことが可能であるが、利用者はこの生活圏内の情報を必要とする場合が多い。当該データベース管理システム1では、起点中間データベース21を起点とするデータベースの木構造に含まれる中間データベース20及び末端データベース30のみを検索対象とすることで、この生活圏内のデータを効率的に扱うことを目的としている。つまり、起点中間データベース21を主基地局111に配置し、上記生活圏内の登録データが格納されている末端データベース30を含むデータベースの木構造を構築すると、おおむねローカルエッジネットワーク100a内での通信で登録データの管理及び検索が可能となるので、大容量かつ高速のデータベース処理を可能とできる。当該データベース管理システム1は、いわばデータの地産地消を図る地域密着型のデータベースであると言える。
【0049】
例えば半径12km、交通流密度128台/km2とし、1台の車両121あたりの登録データ数を1000、そのうちアクティブな車両121を10%とすると、登録データ数は約600万(=π×122×128×1000×0.1)と見積もられる。当該データベース管理システム1の起点中間データベース21を起点とするデータベースが扱うデータ規模は、このクラスの規模、つまり総登録データ数で100万以上1000万以下の規模が好ましい。
【0050】
<検索手段>
検索手段1bは、階層化データベース1aに登録されている登録データから検索条件に合致する合致データを検索する。
【0051】
検索手段1bは、検索条件に従って対象とする起点中間データベース21を特定し、この起点中間データベース21を起点とするデータベースの木構造に含まれる中間データベース20及び末端データベース30に登録されている登録データを検索する。つまり、検索手段1bは、起点中間データベース21の木構造に含まれない中間データベース20及び末端データベース30を検索しない。なお、上記木構造は、後述する起点中間データベース21のローカルマスタテーブル20bにより特定される。
【0052】
<予測手段>
予測手段1cは、当該通信システム100の運用中の登録データの単位時間当たりのエネルギー消費量及び登録データの価値指標を予測する。
【0053】
登録データの単位時間当たりのエネルギー消費量とは、対象とする登録データにアクセスする際及び上記登録データの管理(例えばデータの更新等)に通信システム100が消費するエネルギー量をいう。また、登録データの価値指標とは、複数の登録データの相対価値であり、例えばアクセス回数とできる。アクセス回数には時間の重みを付加するとよい。つまり、至近のアクセスが多いほど相対価値が高まるように重みづけするとよい。
【0054】
登録データは、登録されてから時間が経過するとその価値は低下する傾向にある。例えば突発的に発生する道路上の落下物や事故等は比較的短時間で解消されるため、時間に対してその価値は大きく低下する場合が多い。天気についてのデータも時々刻々変化するため、その価値は時間と共に低下する傾向にある。一方、例えば新規に開通された道路情報等であれば、比較的長期にわたってその価値は維持される。このように登録データの単位時間当たりのエネルギー消費量及び登録データの価値指標は、登録データの内容に依存して、あるいは時勢の変化に依存して変化し得る。予測手段1cでは、この登録データの単位時間当たりのエネルギー消費量及び登録データの価値指標を登録データの内容に応じて予測する。
【0055】
予測手段1cとしては、公知のAIモジュールを用いることができる。つまり、登録データについての過去の単位時間当たりのエネルギー消費量及び登録データの価値指標から学習モデルを構築し、この学習モデルに従って未来の単位時間当たりのエネルギー消費量及び登録データの価値指標を予測することができる。
【0056】
予測手段1cにより、例えば単位時間当たりのエネルギー消費量が大きい末端データベース30の存在が予測される場合であれば、この末端データベース30の登録データを他の末端データベース30へ分散配置する等の方法により、特定の末端データベース30のエネルギー消費量が増大することを抑止できる。また、データベースの登録データが多くなり過ぎることが予想される場合であれば、後述する登録手段1dにより登録データのパラメータを調整し、登録データの価値指標に従ってアクティブな登録データの量を制限してもよい。
【0057】
<登録手段>
登録手段1dは、移動体120のセンサ120aによって取得されるセンサ情報を登録データとして、移動体120が有する末端データベース30に登録する。
【0058】
上記登録データは、上記センサ情報に対応する実データと、後述する分類情報として利用可能な複数のラベルとを有する。具体的には、上記登録データは、上記複数のラベルとして、上記実データを用いてサービスを提供するサービスプロバイダ情報を含む第1ラベル(第1層)と、上記センサ情報の収集エリア並びに末端データベース30への登録後の保持時間及び更新時間を含む第2ラベル(第2層)と、上記登録データの配信可能エリア及び配信可能ユーザを含む第3ラベル(第3層)と、上記登録データを配信した際の通信品質を含む第4ラベル(第4層)と、検索手段1bを使用するアプリケーションに対応してネットワークファンクション及びデータベースファンクションをエンドツーエンドで選択及び接続するスライシングを含む第5ラベル(第5層)とを有する。登録手段1dが、上記登録データを末端データベース30に登録する際に、実データ(すなわち、実データの種類、取得したセンサ120aの種類、実データの数値等)に従って予め定められた第1ラベル乃至第5ラベルの値を上記登録データに付与する。このように第1ラベル乃至第5ラベルの値を上記登録データに付与することで、登録データの検索及び管理を容易化できる。
【0059】
上記第1層は、登録データの利用要件に相当する。サービスプロバイダには、MaaS事業者、交通事業者、物流サービス提供者等が含まれる。ここで登録されているサービスプロバイダ及びこのサービスプロバイダからサービスを受けている利用者のみが、この登録データを利用することができる。
【0060】
上記第2層は、収集蓄積要件である。センサ情報の収集エリアは、登録データの地産地消を図っている当該データベース管理システム1では重要な情報の1つである。この収集エリアに基づき、どの起点中間データベース21の木構造に属するべきかを決定することができる。また、上述したように登録データは、時間が経過するとその価値は低下する傾向にあり、その低下速度は、登録データの種類によって異なる。このため登録データに応じて保持時間を予め定めておき、保持時間を経過すれば抹消することでデータベースのハードウェア資源の枯渇を抑止する方法が有効である。上記第2層の保持時間は、例えばこの目的に利用することができる。例えば天気のように登録データの中には内容を更新することで登録データの鮮度が保たれるデータも存在する。このような登録データに対しては、保持時間に代えて更新時間を用いてもよい。つまり、更新時間が経過するごとに、登録データをリフレッシュする。
【0061】
上記第3層は、配信要件である。上記登録データの配信可能エリアを制限することで、フォグネットワーク100bやクラウドネットワーク100cとの広域ネットワーク通信量を低減できる。また、上記登録データの配信可能ユーザを制限することで、登録データの検索時に通信が局所集中することを抑止できる。
【0062】
上記第4層は、品質要件である。上記通信品質には、電波の受信レベル、伝送遅延時間、パケット伝送誤り率及び転送速度などが含まれる。登録データを通信する際の通信品質を掌握しておくことで、登録データの検索時に通信ネットワークにかかる負荷を見積り易くなるほか、この通信品質が改善するように登録データを他の末端データベース30へ移動する等の対応をとることが可能となる。
【0063】
上記第5層は、スライシング要件である。この要件を付与することで、エンドツーエンドのアプリケーションに応じたスライシングの設定を容易化することができる。
【0064】
登録手段1dは、登録データを末端データベース30に登録する際に上記第1ラベル乃至第5ラベルの値を付与するほか、予測手段1cの予測に基づいて、上記登録データの第1ラベル乃至第5ラベルの値を更新することが好ましい。例えばデータベースのハードウェア資源の枯渇が予測される場合、予測手段1cにより予測した登録データの価値指標の低い登録データについて、第2層の保持時間を短くすることで、登録データの抹消を促進することができる。この更新は、すでに登録されている登録データに対して行ってもよいし、これから登録する登録データについて更新された値で登録してもよいし、その両方を行ってもよい。このように予測手段1cの予測に基づいて登録データの第1ラベル乃至第5ラベルの値を更新することで、エネルギー消費量の局所的集中やデータベースのハードウェア資源の枯渇を抑止することができる。
【0065】
<階層化データベース>
階層化データベース1aにおいて、起点中間データベース21と、この起点中間データベース21に直接又は間接に接続されている末端データベース30との距離の最大値の下限としては、5kmが好ましく、10kmがより好ましい。一方、上記距離の最大値の上限としては、20kmが好ましく、15kmがより好ましい。上記距離の最大値が上記下限未満であると、1つの起点中間データベース21で生活圏をカバーし切れず、広域ネットワーク通信の使用量が増加し、検索効率が低下するおそれがある。逆に、上記距離の最大値が上記上限を超えると、生活圏外の登録データ、すなわち必要とされていない登録データも検索対象となるため、検索効率が低下するおそれがある。
【0066】
起点中間データベース21と、この起点中間データベース21に直接又は間接に接続されている下層側の中間データベース20及び末端データベース30とは、同一又は隣接するローカルエッジネットワーク100aに含まれていることが好ましい。このように構成することで、ローカルエッジネットワーク100a内を中心とした近距離の通信で登録データの管理及び検索が可能となるので、大容量かつ高速のデータベース処理を可能とできる。
【0067】
<データベースシステムのデータ構成>
階層化データベース1aでは、起点中間データベース21が、
図3に示すローカル参照データテーブル20a及びローカルマスタテーブル20bを有する。また、末端データベース30は、末端実データテーブル30a及び末端マスタテーブル30bを有する。なお、
図3では、簡単化のため、主データベース10に起点中間データベース21が直接接続され、起点中間データベース21に1つの末端データベース30が直接接続されている例を示しているが、主データベース10と起点中間データベース21との間や起点中間データベース21と間に中間データベース20が配置されていてもよい。また、主データベース10及び起点中間データベース21に接続される中間データベース20又は末端データベース30の数も複数であってもよい。この場合、起点中間データベース21に直接又は間接に接続されている下層側の中間データベース20もローカル参照データテーブル20a及びローカルマスタテーブル20bを有する。
【0068】
ローカル参照データテーブル20a及びローカルマスタテーブル20bについて
図4及び
図5を用いて説明する。ローカル参照データテーブル20a及びローカルマスタテーブル20bは、起点中間データベース21を起点とするテーブルである。
図4及び
図5では、起点中間データベース21より下流で、この起点中間データベース21と、直接又は間接に接続されている下層側の中間データベース20及び末端データベース30とを示している。ローカル参照データテーブル20a及びローカルマスタテーブル20bは、この
図4及び
図5に示すデータベースに展開される。
【0069】
当該データベース管理システム1では、1つの起点中間データベース21が、後述する分類情報が異なる複数対のローカル参照データテーブル20a及びローカルマスタテーブル20bを有することを妨げない。この場合、異なる分類情報に対して起点中間データベース21の下流側に属する中間データベース20及び末端データベース30が一致していることは要しない。つまり、分類情報が異なれば、同一の起点中間データベース21に対して直接又は間接に接続されている下層側の中間データベース20及び末端データベース30は異なり得る。
【0070】
また、複数の起点中間データベース21が存在することを妨げない。この場合、各起点中間データベース21に対して、固有のローカル参照データテーブル20a、ローカルマスタテーブル20b及び末端マスタテーブル30bが生成される。
【0071】
さらに、1つの中間データベース20及び1つの末端データベース30が複数の起点中間データベース21の下流に直接又は間接に接続されることを妨げない。各中間データベース20及び末端データベース30が、いずれの起点中間データベース21に属するかは、例えばどの起点中間データベース21に対応するローカルマスタテーブル20b又は末端マスタテーブル30bが展開されているかにより掌握可能である。
【0072】
図4及び
図5において、各データベースに( )で示した数字は、各データベースのデータベースIDを示す。例えば起点中間データベース21のデータベースIDは2100である。このデータベースIDは固有の数値であり、あるデータベースと同じ数値を有する他のデータベースは存在しない。従って、データベースIDを示すことでデータベースを特定することができる。
【0073】
(ローカル参照データテーブル)
ローカル参照データテーブル20aは、このローカル参照データテーブル20aを有する中間データベース20に直接接続されている下層側の中間データベース20又は末端データベース30である直下層データベース、又はこの直下層データベースを介して間接に接続される中間データベース20又は末端データベース30に格納されている登録データへ至る検索経路と、上記登録データを関連する分類情報によりグループ分けしたグループの属性を示す参照値とを有している。
【0074】
上記経路情報は、参照値に対応する実データ(登録データ)が存在する末端データベース30に至るまでの径路を示している。例えば起点中間データベース21のローカル参照データテーブル20aの1行目「2400 3300」は、このローカル参照データテーブル20aを有する起点中間データベース21から、データベースIDが2400の中間データベース20を介してデータベースIDが3300の末端データベース30に至る径路が存在していることを示す。また、この経路情報に対する参照値として、参照値=1及び参照値=3の2つのデータが存在していることを示している。上記径路情報は、起点中間データベース21から末端データベース30に至る径路全体としてもよいが、
図4に示すように、ローカル参照データテーブル20aを有する中間データベース20の下流側の径路のみを情報とすることが好ましい。このように下流側の径路のみを情報とすることで、ローカル参照データテーブル20aの容量を減らすことができる。
【0075】
上記参照値は、実データに基づく分類を示し、後述するマスタテーブルに基づいて決定される数値である。
図4の例では、実データ値が0~100の範囲であるところ、0~30(参照値1)、31~60(参照値2)及び61~100(参照値3)に分類されている(
図5のマスタテーブル参照)。すなわち、実データは、関連する分類情報(参照値1、参照値2又は参照値3)によりグループ分けされている。このように分類すると、実データが2進数で(0~100を表現できる)7ビット必要であるところ、(1~3を表現できる)2ビットで記憶可能となるため、実データを2ビット/7ビット=29%まで圧縮することができる。この圧縮率は実データが複雑であるほど向上すると考えられる。特に画像データ等では実データそのものの容量が大きく、また上述のように登録手段1dが第1ラベル乃至第5ラベルの値を上記登録データに付与する場合、これらの付与データの容量も加算される。従って、現実に扱われるデータでは、このように参照値を利用することで、データが大幅に圧縮され、検索の高速化とともにデータの記憶容量の削減を可能とする。
【0076】
ローカル参照データテーブル20aは、それ自体であたかも単一のデータベースのように見えるが、実際にはそのデータの実体は末端データベース30のみが保持している。ローカル参照データテーブル20aは、分散配置されている階層化データベース1aが協調して1つのまとまった単一テーブルのように見せる仕組みである。つまり、実データたる登録データは末端実データテーブル30aのみに記憶させ、ローカル参照データテーブル20aは、末端実データテーブル30aを検索及び取得するための必要最小限のデータとして径路情報と検索に必要なデータの分類情報である参照値とを含むデータを蓄積する。これにより、起点中間データベース21と、その下流側の中間データベース20及び末端データベース30の3階層を連携させ、登録データの検索の際、1つの仮想的なデータベースとして、利用者に必要データを提供できる。換言すれば、階層化データベース1aに分散して格納されている登録データの情報を一括して1つのデータベースで扱えるようにすることで、検索の高速化、記憶容量の削減を可能としている。
【0077】
ローカル参照データテーブル20aは、末端データベース30で実データが登録手段1dにより登録され、登録データが発生すると更新される。以下、その手順について、
図4を用いて説明する。
【0078】
例えば、
図4の末端データベース(3300)で新たに実データとして「23」及び「62」が生じた場合、これらの実データは、末端データベース30に参照値と共に記録される。参照値は、末端実マスタテーブル30bにより決定できる。つまり、実データの「23」は範囲「0-30」にあるから、参照値は「1」であり、実データの「62」は範囲「61-100」にあるから、参照値は「3」である。
【0079】
この末端データベース(3300)は、中間データベース(2400)の下層に接続されているので、末端データベース(3300)で更新された情報は、この中間データベース(2400)に、
図4に示すように、テーブル情報30cとして送信される。
【0080】
テーブル情報30cは、更新された末端実データテーブル30aの実データを除いた情報、つまり実データを記憶している末端データベース30のデータベースID(3300)と、参照値とを含む。
【0081】
テーブル情報30cを受信する中間データベース(2400)では、この情報をもとにローカル参照データテーブル20aを更新する。また、中間データベース(2400)は、自身のデータベースIDである「2400」を経路情報に追加してテーブル情報20cを作成し、直上層データベースである起点中間データベース21に送信する。
【0082】
さらに、起点中間データベース21は、中間データベース(2400)からのテーブル情報20cを受信し、起点中間データベース21のローカル参照データテーブル20aを更新する。このローカル参照データテーブル20aは、起点中間データベース21を起点するから、これにより末端データベース(3300)で新たに実データ登録により関係するすべてのローカル参照データテーブル20aを更新することができる。
【0083】
(ローカルマスタテーブル)
ローカルマスタテーブル20bが、起点中間データベース21を起点とするデータベースの木構造及び上記グループ分けのための分類情報を有する。ローカルマスタテーブル20bは、起点中間データベース21を起点とするデータベース全体として同一のデータ構造及びデータ内容を保証するテーブルである。
【0084】
図5に示すように、ローカルマスタテーブル20bに格納される検索径路は、対応するローカル参照データテーブル20aの検索径路と同一の情報である。
【0085】
また、上記分類情報は、
図5に示すように、レコード分類と、参照値とを有する。上記参照値は、ローカル参照データテーブル20aで用いられる参照値を表す。レコード分類は、上記参照値に分類される実データ値の範囲を示している。起点中間データベース21や中間データベース20では、ローカルマスタテーブル20bを参照することで、参照値から実データがどの範囲に属するのか判断することができる。
【0086】
このように上述のローカルマスタテーブル20bを持たせることで、中間データベース20が有するローカル参照データテーブル20aと登録データで構成される現実のデータベースとのデータ構造及びデータ内容の同一性を保証することができるようになる。
【0087】
なお、末端データベース30が有する末端マスタテーブル30bについて、それより下層に検索径路が存在しないため、検索径路は空集合(データ不要)である。このため、末端マスタテーブル30bは、上記分類情報のみを有する。末端データベース30では、末端マスタテーブル30bを参照することで、実データがどの参照値に分類されるべきか判断することができる。
【0088】
ローカルマスタテーブル20b及び末端マスタテーブル30bの更新については、その更新情報は起点中間データベース21に集約される。例えば登録データの追加とともに新しい末端データベース30が追加になった場合、ローカル参照データテーブル20aの更新と同時に新たな末端データベース30が追加になったことが起点中間データベース21に伝達される。
【0089】
起点中間データベース21は、更新されたローカルマスタテーブル20bを、直下層の中間データベース20又は末端データベース30へ配信する。
図5の例であれば、起点中間データベース21は、中間データベース(2400)、中間データベース(2410)及び末端データベース(3340)の3つのデータベースに配信することとなる。該当するデータベースは、起点中間データベース21のローカルマスタテーブル20bの経路情報を参照することで判断できる。つまり、経路情報に記載されている経路の先頭に記載されているデータベースIDを有するデータベースが、直下層の中間データベース20又は末端データベース30であり、これらに対して配信するとよい。
【0090】
このとき、各データベースへ配信する経路情報は、データ量削減の観点から、該当する中間データベース20又は末端データベース30を含むもののみとされ、かつ先頭の(該当する中間データベース20又は末端データベース30の)データベースIDは省略されるとよい。例えば中間データベース(2400)に配信されるローカルマスタテーブル20bの経路情報としては、起点中間データベース21のローカルマスタテーブル20bの経路情報のうち、この中間データベース20のデータベースIDである2400が含まれる「2400 3300」及び「2400 3310」が対象の経路情報であり、ここからこの中間データベース20のデータベースID「2400」を削除した「3300」、「3310」が経路情報となる。この方法によれば転送先が末端データベース30である場合は、経路情報は必ず空集合となる。つまり、末端データベース30では経路情報は不要となる。
【0091】
なお、新たなローカルデータベース(起点中間データベース21と、起点中間データベース21の下流側に属する中間データベース20及び末端データベース30とから構成されるデータベース)が設けられる場合は、最初にこのローカルマスタテーブル20bが配信され、その後末端データベース30に登録データが登録されることになる。
【0092】
(主参照データテーブル及び主マスタテーブル)
図3に示すように、主データベース10が、主参照データテーブル10a及び主マスタテーブル10bを有することが好ましい。このように主データベース10に主参照データテーブル10a及び主マスタテーブル10bを設けることで、起点中間データベース21を超えて階層化データベース1a全体の登録データを管理することができる。
【0093】
階層化データベース1a全体で管理する登録データとしては、例えば分類情報が同一であり、管轄する地域の異なる複数の起点中間データベース21が管轄する登録データそのものとしてもよいが、例えば短期(1日)、中期(1月)及び長期(1年)単位で登録データを集計した集計・統計データとしてもよい。集計・統計データは、例えば末端データベース30が搭載されている移動体120等で時系列データを蓄積し、集計した後に主データベース10にその参照値をフォグネットワーク100bに属する中間データベース20を介して配信することができる。
【0094】
主データベース10に集計された参照データに基づいて、例えばサーバ141が末端データベース30の使用状況、品質の分析、学習、異常検出等を行い、各データベースの配置、スライシング設定、通信切替時のデータ整合性、新たなデータベースの参加受付など階層化データベース1aの全体最適化を行い、その結果は例えば主マスタテーブル10bを各データベースに配信することで共有することができる。
【0095】
<通信システムの機能>
図6に当該通信システム100を機能ブロック図で示す。当該通信システム100は、モバイル通信ネットワーク101内でローカルエッジネットワーク100aとクラウドネットワーク100cとの間及びローカルエッジネットワーク100a内の情報の送受を行うシステムであり、モバイルコア部200により制御されている。なお、
図6に示すモバイルコア部200は、第5世代移動通信システム(5G)のモバイルコア部である。また、モバイル通信ネットワーク101には、クラウドネットワーク100cへの中継ネットワークとしてのフォグネットワーク100bが含まれる。
【0096】
当該データベース管理システム1は、階層化データベース1a(主データベース10、中間データベース20、起点中間データベース21、及び末端データベース30)を制御する機能として、データベース運用管理部40と、データベース間インタフェース部50とを備える。当該データベース管理システム1を構成する各要素は、通信システム100内に分散して配置される。例えば、
図3に示す通信システム100では、末端データベース30は、ローカルエッジネットワーク100a内のユーザ機器150に配置され、中間データベース20は、ローカルエッジネットワーク100a内のモバイル基地局110及びフォグネットワーク100b内に配置されている。主データベース10は、クラウドネットワーク100c内のコンピュータ資源であるクラウド160に配置されている。
【0097】
データベース運用管理部40は、階層化データベース1aに登録されている登録データを管理する機能であり、検索手段1b、予測手段1c及び登録手段1dの機能を含む。データベース運用管理部40は、データベース間インタフェース部50を介して登録データの管理やデータベースの階層化構成を行うことができる。また、データベース運用管理部40の機能の一部は、モバイルコア部200内に組み込まれている。なお、これらの配置は一例であって、当該データベース管理システム1の配置が
図6に示す構成に限定されることを意味するものではない。
【0098】
モバイル通信ネットワーク101において、ユーザ機器150は、通信末端に位置し、移動体120及び路側機130が含まれる。U-Plane201は、モバイル基地局110とクラウド160との間のルーチングルート設定を行う機能であり、モバイルコア部200の機能の一部でもある。
【0099】
モバイルコア部200は、通信の確立等の制御を行う。モバイルコア部200は、モバイル通信ネットワーク101をWeb上でのAPIで運用管理するとよい。
【0100】
モバイルコア部200が5Gコアで実現される場合、モバイルコア部200は、加入者情報データベースであり認証情報及び在圏情報の管理を行うUDM202(Unified Data Management)、認証処理機能に特化したAUSF203(AUthentication Server Function)、ポリシー制御を行うPCF156(Policy Control Function)QoS(サービス品質)や課金制御を含むポリシー制御を行うPCF204(Policy Control Function)、外部アプリケーションからネットワーク機能の制御を可能にするNEF205(Network Exposure Funciton)、ネットワークのスライシング機能を選択するNSSF206(Network Slice Selection Functions)、ユーザ機器150とモバイル基地局110との間のアクセス及びモビリティ制御を行うAMF207(Access and Mobility management Function)、U-Plane201を制御し、モバイル基地局110からフォグネットワーク100bを介してクラウド160までのセッション管理を行うSMF208(Session Management Function)、サービスの登録、認可等を行うNRF209(Network Repository Function)等を含む。
【0101】
また、モバイルコア部200は、当該データベース管理システム1を運用管理するアプリケーション(API)として、DBマネージメント210及びエネルギーリソース管理211を含み、登録データの収集、配信、蓄積時のプロセッシングリソースやエネルギーリソースの管理を行う。
【0102】
当該データベース管理システム1の登録手段1dが登録データに付与する第1ラベル乃至第5ラベルは、上述の5Gコアの機能と連携して運用することが好ましい。具体的には、第1ラベルの利用要件は、サービスプロバイダID、ユーザID等の情報に基づいて、PCF204及びNEF205と連携して、データの利用が管理されるとよい。第2ラベルの収集蓄積要件は、センサ情報の収集エリア並びに末端データベース30への登録後の保持時間及び更新時間に基づいて、AMF207及びSMF208と連携して、データの利用が管理されるとよい。第3ラベルの配信要件は、登録データの配信可能エリア及び配信可能ユーザの情報に基づいて、AMF207及びSMF208と連携して、データの利用が管理されるとよい。第4ラベルの品質要件は、登録データを配信した際の通信品質に基づいて、PCF204と連携して、データの利用が管理されるとよい。第5ラベルのスライシング要件は、NRF209及びNSSF206と連携してエンドツーエンドのアプリケーションに応じたスライシングを行うとよい。
【0103】
<スライシング選択機能>
当該データベース管理システム1では、登録データの第5ラベルが、検索手段1bを使用するアプリケーションに対応してネットワークファンクション及びデータベースファンクションをエンドツーエンドで選択及び接続するスライシングを含む。このスライシング機能により、遅延、品質及び大量接続に関する要件に対して、アプリケーションに応じて最適な階層化データベース1aの構成を選択することで、登録データの安定して効率的な検索を実現できる。
図7にスライス選択機能の構成図を示す。
【0104】
上記アプリケーションとしては、例えば
図7に示すように、超低遅延アプリケーション171、大容量伝送アプリケーション172、地域型連携アプリケーション173等を挙げることができる。車両121に対するアプリケーションを例にとると、超低遅延アプリケーション171には、ドライバ健康サポート、高セキュリティ環境サポート、高データ信頼性環境サポート、超低遅延車両間通信などが挙げられる。大容量伝送アプリケーション172としては、ビデオストリーミングサポート、連続性サービス、データパス最適化、バッテリ消費最小化等が挙げられる。地域型連携アプリケーション173としては、モビリティサポート、高セキュリティ環境サポート、CO
2排出最適化等を挙げることができる。
【0105】
RAN系スライシング174は、アクセス設定175(ユーザ機器150の種類、サービス品質、モビリティ、データトラフィック及びスライスタイプ)により選択される。また、CN系スライシング176は、スライスマッチング177により選択され、中継回線についてのスライシングを行う。
【0106】
ユーザが設定するアプリケーションのスライスタイプに応じて、データベース運用管理部40は、ネットワークファンクションやデータベースファンクションをエンドツーエンドで選択及び接続し、ユーザに最適なアプリケーション毎のスライシングを提供する。その際、インタフェースとして、エンドツーエンドサービス毎のスライシング要件や階層化データベース1aの最適配置を可能にするデータベース構成の動的変更を可能とする。
【0107】
スライシング選択機能を利用するにあたって、当該データベース管理システム1の分類情報が、登録データの第2ラベルに含まれる保持時間、第2ラベルに含まれるセンサ情報の収集エリア、上記センサ情報に対応する実データの緊急性の項目を含み、登録手段1dが、上記登録データを末端データベース30に登録する際に、上記項目に従って上記第5ラベル(スライシングラベル)の値を決定するとよい。このように第5ラベルの値を決定することで、より最適なアプリケーションごとのスライシングを提供し易くすることができる。
【0108】
<利点>
当該データベース管理システム1は、ローカルマスタテーブル20bが、起点中間データベース21を起点とするデータベースの木構造を有している。このため、上記木構造に含まれる中間データベース20及び末端データベース30のみを検索対象とすることができるので、検索の対象とするデータベースが制限され、検索対象が階層化データベース1a全体に及ぶことを防ぐことができる。また、当該データベース管理システム1では、末端データベース30が、複数の登録データを格納しているので、検索対象となり得る登録データを含む末端データベース30を選択して、上記木構造を自由に設定することができるから、検索のヒット率及びネットワーク負荷を考慮した木構造を選択することができる。従って、当該データベース管理システム1は、登録データを安定して効率的に検索できる。
【0109】
当該通信システム100は、本発明のデータベース管理システム1を備えており、起点中間データベース21がモバイル基地局110に配置されている。モバイル基地局110は、一定の地域範囲のローカルエッジネットワーク100aを管轄するから、起点中間データベース21をモバイル基地局110に配置することで、起点中間データベース21に直接又は間接に接続される中間データベース20及び末端データベース30もモバイル基地局110が管轄するローカルエッジネットワーク100a内に配置されたものが対象となる。このため、起点中間データベース21を検索対象とする検索は、ローカルエッジネットワーク100a内で閉じている。従って、当該通信システム100は、本発明のデータベース管理システム1を用い、起点中間データベース21をモバイル基地局110に配置することで、広域ネットワーク通信の使用を抑制できるので、登録データを安定して効率的に検索できる。
【0110】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0111】
上記実施形態では、通信システムがフォッグネットワークを備える場合を説明したが、フォッグネットワークは必須の構成要件ではない。通信システムをクラウドネットワーク及びローカルエッジネットワークのみで構成することもできる。
【0112】
上記実施形態では、MaaSプラットフォームを前提とする車両を含む通信システムについて説明したが、プラットフォームはMaaSに限定されず、他のプラットフォームであってもよい。また、当該通信システムは、車両を含むネットワークに限定されるものではなく、他のネットワークに用いることもできる。当該通信システムは、例えばローカル5Gを用いてサービスが提供される企業・工場ネットワーク、農業・漁業ネットワーク等に用いることもできる。
【0113】
上記実施形態では、当該データベース管理システムが予測手段を備える場合を説明したが、予測手段は必須の構成要素ではなく、予測手段を備えないデータベース管理システムも本発明の意図するところである。この場合、登録手段は、登録データの第1ラベル乃至第5ラベルの値を変更する機能を有さなくともよい。あるいは、登録手段は、予測手段の予測に代えて他の基準により、上記登録データの第1ラベル乃至第5ラベルの値を変更してもよい。
【0114】
上記実施形態では、登録手段が、第1ラベル乃至第5ラベルの値を登録データに付与する場合を説明したが、この第1ラベル乃至第5ラベルの値の付与は必須の構成要素ではない。登録手段は、これらのラベルの一部又は全部を登録データに付与しなくともよい。
【0115】
上記実施形態では、起点中間データベースの下層側に中間データベースが接続されている場合を説明したが、起点中間データベースの下層側に末端データベースのみが接続されている構成も本発明の意図するところである。
【産業上の利用可能性】
【0116】
以上説明したように、本発明のデータベース管理システム及びこのデータベース管理システムを用いた通信システムは、登録データを安定して効率的に検索できる。
【符号の説明】
【0117】
1 データベース管理システム
1a 階層化データベース
1b 検索手段
1c 予測手段
1d 登録手段
10 主データベース
10a 主参照データテーブル
10b 主マスタテーブル
20 中間データベース
20a ローカル参照データテーブル
20b ローカルマスタテーブル
20c テーブル情報
21 起点中間データベース
30 末端データベース
30a 末端実データテーブル
30b 末端マスタテーブル
30c テーブル情報
40 データベース運用管理部
50 データベース間インタフェース部
100 通信システム
100a ローカルエッジネットワーク
100b フォグネットワーク
100c クラウドネットワーク
101 モバイル通信ネットワーク
110 モバイル基地局
111 主基地局
112 ローカル基地局
120 移動体
120a センサ
121 車両
122 ドローン
123 携帯機
130 路側機
140 ルータ
141 サーバ
150 ユーザ機器
160 クラウド
171 超低遅延アプリケーション
172 大容量伝送アプリケーション
173 地域型連携アプリケーション
174 RAN系スライシング
175 アクセス設定
176 CN系スライシング
177 スライスマッチング
200 モバイルコア部
201 U-Plane
202 UDM
203 AUSF
204 PCF
205 NEF
206 NSSF
207 AMF
208 SMF
209 NRF
210 DBマネージメント
211 エネルギーリソース管理