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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146962
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】電子シンバルおよび打撃の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G10D 13/10 20200101AFI20231004BHJP
   G10H 1/00 20060101ALI20231004BHJP
   G10H 1/34 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G10D13/10 160
G10H1/00 A
G10H1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054432
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】スハダ ビンティ カリッド
(72)【発明者】
【氏名】ヌラディザ ビンティ ラニ
(72)【発明者】
【氏名】小林 翔太
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478LL00
(57)【要約】
【課題】横方向からの打撃に対するセンサ感度を向上できる電子シンバルおよび打撃の検出方法を提供すること。
【解決手段】屈曲部21bの外周面とストッパ46との引っ掛かりによって上カバー部41の内周側に向けた変形を規制することや、センサ取付部21dと上カバー部41との間隔を内周側から外周側にかけて徐々に大きく形成することにより、横方向からの打撃時に、上カバー部41や横カバー部42がセンサ取付部21dの外縁に接触することを抑制する。これにより、突起45がエッジセンサ5に押し込まれ易くなるので、横方向からの打撃に対するエッジセンサ5の感度を向上できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のフレームと、そのフレームの外縁側の上面に取り付けられるセンサと、そのセンサ及び前記フレームの上面を覆うカバーと、を備え、
前記カバーは、前記センサとの間に空間を形成した状態で前記フレームの上面を覆う上カバー部と、その上カバー部の外縁から下方に延び、前記フレームの外周面との間に空間を形成した状態で前記フレームの外周面を覆う横カバー部と、その横カバー部の下端から内周側に延び、前記フレームの下面を覆う下カバー部と、を備え、
前記上カバー部または前記フレームは、前記上カバー部と前記センサとの間の空間に対面し、前記上カバー部の内周側に向けた変形を規制するストッパを備えることを特徴とする電子シンバル。
【請求項2】
板状のフレームと、そのフレームの外縁側の上面に取り付けられるセンサと、そのセンサ及び前記フレームの上面を覆うカバーと、を備え、
前記カバーは、前記センサとの間に空間を形成した状態で前記フレームの上面を覆う上カバー部と、その上カバー部の外縁から下方に延び、前記フレームの外周面との間に空間を形成した状態で前記フレームの外周面を覆う横カバー部と、その横カバー部の下端から内周側に延び、前記フレームの下面を覆う下カバー部と、を備え、
前記フレームは、前記上カバー部が接触した状態で被覆される被覆部と、その被覆部よりも外周側に位置し、前記センサが取り付けられるセンサ取付部と、を備え、
前記上カバー部は、前記センサに向けて突出し、下面が前記センサ取付部の上面と平行な突起を備え、
前記センサ取付部の上面が前記被覆部の上面よりも大きい勾配で外周側に向けて下降傾斜し、前記センサ取付部の上面と前記上カバー部の下面との間隔が外周側に向けて徐々に大きく形成されることを特徴とする電子シンバル。
【請求項3】
前記フレームは、前記上カバー部が接触した状態で被覆される被覆部と、その被覆部の外縁から下方に屈曲する屈曲部と、を備え、
前記上カバー部は、前記屈曲部の外周側で前記フレームに向けて突出し、前記上カバー部と前記センサとの間の空間に対面するストッパを備え、
前記上カバー部の内周側に向けた変形が前記屈曲部と前記ストッパとの引っ掛かりによって規制されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子シンバル。
【請求項4】
前記フレームは、前記屈曲部の下端から外周側に延びる張出部と、その張出部の外縁側の上端部から外周側に延び、前記センサが取り付けられるセンサ取付部と、を備え、
前記上カバー部は、前記センサに向けて突出し、下面が前記センサ取付部の上面と平行な突起を備え、
前記センサ取付部の上面は、前記被覆部の上面よりも大きい勾配で外周側に向けて下降傾斜することを特徴とする請求項3記載の電子シンバル。
【請求項5】
前記下カバー部は、前記張出部と前記センサ取付部とによって形成される段差の少なくとも一部を埋めるようにして前記センサ取付部の下面に接触する接触部を備えることを特徴とする請求項4記載の電子シンバル。
【請求項6】
前記張出部と前記接触部との間に隙間が形成されることを特徴とする請求項5記載の電子シンバル。
【請求項7】
前記ストッパと前記センサ取付部との間に隙間が形成されることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の電子シンバル。
【請求項8】
前記上カバー部は、前記ストッパの内周側で前記フレームの上面に接合されることを特徴とする請求項1記載の電子シンバル。
【請求項9】
前記下カバー部は、前記ストッパよりも内周側で前記フレームの下面に接合される一方、その接合位置よりも外周側では前記フレームの下面に非接合であることを特徴とする請求項1記載の電子シンバル。
【請求項10】
前記上カバー部は、前記ストッパの外周面との隣接部分に形成される薄肉部を備えることを特徴とする請求項1記載の電子シンバル。
【請求項11】
板状のフレームと、そのフレームの外縁側の上面に取り付けられるセンサと、そのセンサ及び前記フレームの上面を覆うカバーと、を備え、
前記カバーが、前記センサとの間に空間を形成した状態で前記フレームの上面を覆う上カバー部と、その上カバー部の外縁から下方に延び、前記フレームの外周面との間に空間を形成した状態で前記フレームの外周面を覆う横カバー部と、その横カバー部の下端から内周側に延び、前記フレームの下面を覆う下カバー部と、を備え、
前記上カバー部または前記フレームが、前記上カバー部と前記センサとの間の空間に対面するストッパを備える電子シンバルにおける打撃の検出方法であって、
前記カバーの外縁が打撃された時に、前記ストッパによって前記上カバー部の内周側に向けた変形を規制すると共に、前記ストッパを支点にして変形させた前記上カバー部で前記センサを押し込むことにより、前記カバーへの打撃を検出することを特徴とする打撃の検出方法。
【請求項12】
板状のフレームと、そのフレームの外縁側の上面に取り付けられるセンサと、そのセンサ及び前記フレームの上面を覆うカバーと、を備え、
前記カバーが、前記センサとの間に空間を形成した状態で前記フレームの上面を覆う上カバー部と、その上カバー部の外縁から下方に延び、前記フレームの外周面との間に空間を形成した状態で前記フレームの外周面を覆う横カバー部と、その横カバー部の下端から内周側に延び、前記フレームの下面を覆う下カバー部と、を備え、
前記フレームが、前記上カバー部が接触した状態で被覆される被覆部と、その被覆部よりも外周側に位置し、前記センサが取り付けられるセンサ取付部と、を備え、
前記上カバー部が、前記センサに向けて突出し、下面が前記センサ取付部の上面と平行な突起を備え、
前記センサ取付部の上面が前記被覆部の上面よりも大きい勾配で外周側に向けて下降傾斜し、前記センサ取付部の上面と前記上カバー部の下面との間隔が外周側に向けて徐々に大きく形成される電子シンバルにおける打撃の検出方法であって、
前記カバーの外縁が打撃された時に、前記上カバー部および前記横カバー部が前記センサ取付部の外縁に接触することを抑制すると共に、前記上カバー部の変形に伴って変位する前記突起で前記センサを押し込むことにより、前記カバーへの打撃を検出することを特徴とする打撃の検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子シンバルおよび打撃の検出方法に関し、特に、横方向からの打撃に対するセンサ感度を向上できる電子シンバルおよび打撃の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレームと、そのフレームの外縁側の上面に取り付けられるエッジセンサと、そのエッジセンサとの間に空間を形成した状態でフレームの上面を覆うカバーと、を備え、カバー(フレーム)の外縁部分への打撃をエッジセンサによって検出する電子シンバルが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、フレーム4の上面を覆う上カバー部5b1と、フレーム4の外縁(外周面)から下面の縁部にかけてを覆う下カバー部5b2と、を備える電子シンバルが記載されている。この技術では、エッジセンサ7bに向けて突出する突起部5b3が上カバー部5b1に形成され、演奏者がスティックなどで上カバー部5b1の外縁部分を上方から打撃すると、上カバー部5b1の弾性的な変形(撓み)によって突起部5b3がエッジセンサ7bに押し込まれる。これにより、カバー5(フレーム4)の外縁部分への打撃がエッジセンサ7bで検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-026077号公報(例えば、段落0040,0041、図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、スティックを立てた状態でカバー5の外縁部分を打撃した時に(以下「横方向からの打撃」などという)、突起部5b3がエッジセンサ7bを押し込む前に、上カバー部5b1や下カバー部5b2がフレーム4の外縁に接触することがある。このような接触が生じると、突起部5b3によるエッジセンサ7bの押し込みが不十分になるため、横方向からの打撃に対するエッジセンサ7bの感度が低下するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、横方向からの打撃に対するセンサ感度を向上できる電子シンバルおよび打撃の検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の電子シンバルは、板状のフレームと、そのフレームの外縁側の上面に取り付けられるセンサと、そのセンサ及び前記フレームの上面を覆うカバーと、を備え、前記カバーは、前記センサとの間に空間を形成した状態で前記フレームの上面を覆う上カバー部と、その上カバー部の外縁から下方に延び、前記フレームの外周面との間に空間を形成した状態で前記フレームの外周面を覆う横カバー部と、その横カバー部の下端から内周側に延び、前記フレームの下面を覆う下カバー部と、を備え、前記上カバー部または前記フレームは、前記上カバー部と前記センサとの間の空間に対面し、前記上カバー部の内周側に向けた変形を規制するストッパを備える。
【0008】
本発明の電子シンバルは、板状のフレームと、そのフレームの外縁側の上面に取り付けられるセンサと、そのセンサ及び前記フレームの上面を覆うカバーと、を備え、前記カバーは、前記センサとの間に空間を形成した状態で前記フレームの上面を覆う上カバー部と、その上カバー部の外縁から下方に延び、前記フレームの外周面との間に空間を形成した状態で前記フレームの外周面を覆う横カバー部と、その横カバー部の下端から内周側に延び、前記フレームの下面を覆う下カバー部と、を備え、前記フレームは、前記上カバー部が接触した状態で被覆される被覆部と、その被覆部よりも外周側に位置し、前記センサが取り付けられるセンサ取付部と、を備え、前記上カバー部は、前記センサに向けて突出し、下面が前記センサ取付部の上面と平行な突起を備え、前記センサ取付部の上面は、前記被覆部の上面よりも大きい勾配で外周側に向けて下降傾斜し、前記センサ取付部の上面と前記上カバー部の下面との間隔は、内周側から外周側にかけて徐々に大きく形成される。
【0009】
本発明の打撃の検出方法は、板状のフレームと、そのフレームの外縁側の上面に取り付けられるセンサと、そのセンサ及び前記フレームの上面を覆うカバーと、を備え、前記カバーが、前記センサとの間に空間を形成した状態で前記フレームの上面を覆う上カバー部と、その上カバー部の外縁から下方に延び、前記フレームの外周面との間に空間を形成した状態で前記フレームの外周面を覆う横カバー部と、その横カバー部の下端から内周側に延び、前記フレームの下面を覆う下カバー部と、を備え、前記上カバー部または前記フレームが、前記上カバー部と前記センサとの間の空間に対面するストッパを備える電子シンバルにおける打撃の検出方法であって、前記カバーの外縁が打撃された時に、前記ストッパによって前記上カバー部の内周側に向けた変形を規制すると共に、前記ストッパを支点にして変形させた前記上カバー部で前記センサを押し込むことにより、前記カバーへの打撃を検出する。
【0010】
本発明の打撃の検出方法は、板状のフレームと、そのフレームの外縁側の上面に取り付けられるセンサと、そのセンサ及び前記フレームの上面を覆うカバーと、を備え、前記カバーが、前記センサとの間に空間を形成した状態で前記フレームの上面を覆う上カバー部と、その上カバー部の外縁から下方に延び、前記フレームの外周面との間に空間を形成した状態で前記フレームの外周面を覆う横カバー部と、その横カバー部の下端から内周側に延び、前記フレームの下面を覆う下カバー部と、を備え、前記フレームが、前記上カバー部が接触した状態で被覆される被覆部と、その被覆部よりも外周側に位置し、前記センサが取り付けられるセンサ取付部と、を備え、前記上カバー部が、前記センサに向けて突出し、下面が前記センサ取付部の上面と平行な突起を備え、前記センサ取付部の上面が前記被覆部の上面よりも大きい勾配で外周側に向けて下降傾斜し、前記センサ取付部の上面と前記上カバー部の下面との間隔が外周側に向けて徐々に大きく形成される電子シンバルにおける打撃の検出方法であって、前記カバーの外縁が打撃された時に、前記上カバー部および前記横カバー部が前記センサ取付部の外縁に接触することを抑制すると共に、前記上カバー部の変形に伴って変位する前記突起で前記センサを押し込むことにより、前記カバーへの打撃を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態における電子シンバルの断面図である。
図2図1のII部分を拡大した電子シンバルの部分拡大断面図である。
図3】(a)は、通常の打撃によってエッジ部分が打撃された状態を示す電子シンバルの部分拡大断面図であり、(b)は、横方向からの打撃によってエッジ部分が打撃された状態を示す電子シンバルの部分拡大断面図である。
図4】(a)は、第2実施形態の電子シンバルの断面図であり、(b)は、第3実施形態の電子シンバルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、電子シンバル1の全体構成について説明する。図1は、第1実施形態における電子シンバル1の断面図である。なお、図1は、円板状のフレーム2の中心軸に沿う平面で切断した端面を図示している(図2以降においても同様である)。また、以下の説明においては、円板状のフレーム2の中心軸に沿う方向を上下方向、それとは直交する方向(径方向)を左右方向と記載して説明する。
【0013】
図1に示すように、電子シンバル1は、アコースティックのシンバル(以下「シンバル」という)を模した電子打楽器であり、電子シンバル1の骨格はフレーム2によって形成される。
【0014】
フレーム2は、シンバルのベルの形状を模すベルフレーム20と、シンバルのボウの形状を模すボウフレーム21と、を備える樹脂製のフレームである。ベルフレーム20は、その中央側から外周側に向けて下降傾斜する椀状に形成され、ベルフレーム20の外縁からはボウフレーム21が外周側(左右方向外側)に向けて延びている。
【0015】
ボウフレーム21は、外周側に向けてベルフレーム20よりも緩やかに下降傾斜しており、これらのベルフレーム20及びボウフレーム21が一体に形成されることにより、フレーム2が全体として略円板状に形成される。
【0016】
ベルフレーム20の中央には貫通孔22が形成され、この貫通孔22にケース3の内壁部30が引っ掛けられる。内壁部30は、略円筒状に形成されており、内壁部30の内周側(左右方向内側)は、中央に貫通孔31を有する円板状の支持部32によって閉塞される。支持部32の貫通孔31には、電子シンバル1を支持するためのロッド(図示せず)が挿入される。
【0017】
内壁部30の下端からは、底壁部33が外周側に向けて延びている。底壁部33の外縁がフレーム2(ボウフレーム21)の下面に固定されることにより、フレーム2の下面側には、フレーム2及びケース3によって囲まれた空間が形成される。この空間には、ベルフレーム20の下面に取り付けられる打撃センサ(図示せず)や、基板(図示せず)などの電子部品が収納される。打撃センサは、フレーム2の振動を検出する圧電素子である。
【0018】
ベルフレーム20及びボウフレーム21の各々の上面は、中央に貫通孔40を有するゴム製のカバー4によって覆われており、カバー4は、それらの各フレーム20,21に沿う形状(略円板状)に形成される。カバー4とベルフレーム20との間には図示しないベル部センサが設けられ、ベル部センサは、ベルフレーム20を覆うカバー4への打撃時にON/OFFするシート状の感圧センサ(例えばメンブレンスイッチなど)である。
【0019】
このベル部センサによってベルフレーム20への打撃が検出され、上記の打撃センサによってボウフレーム21への打撃が検出される。また、詳細は後述するが、ボウフレーム21のエッジ(外縁)部分への打撃は、エッジセンサ5によって検出される。各センサで検出された打撃は電気信号に変換され、図示しない音源装置に出力される。これにより、電子シンバル1への打撃位置に応じた楽音が生成される。
【0020】
次いで、図2及び図3を参照して、電子シンバル1のエッジ部分の詳細構成と、そのエッジ部分が打撃された時の作用について説明する。
【0021】
図2は、図1のII部分を拡大した電子シンバル1の部分拡大断面図である。図3(a)は、通常の打撃によってエッジ部分が打撃された状態を示す電子シンバル1の部分拡大断面図であり、図3(b)は、横方向からの打撃によってエッジ部分が打撃された状態を示す電子シンバル1の部分拡大断面図である。なお、図2,3では、図面を簡素化するために、フレーム2(ボウフレーム21)及びカバー4のハッチングを省略している。
【0022】
また、通常の打撃とは、スティックSを斜めにした(水平に近い角度にした)状態で、上カバー部41の外縁が上方から打撃されることを示し、横方向からの打撃とは、スティックSを立てた(鉛直方向に近い角度にした)状態で、上カバー部41の外縁部分が横から打撃されることを示している。また、以下に説明する電子シンバル1の各構成は、周方向に連続して形成されているが、一部の構成が周方向で断続していても良い。
【0023】
図2に示すように、カバー4は、ボウフレーム21の上面側を覆う上カバー部41と、その上カバー部41の外縁(図2の左側の端部)から下方に延びる横カバー部42と、その横カバー部42の下端から内周側(図2の右側)に延びる下カバー部43と、その下カバー部43の内縁から上方に屈曲する接合部44と、を備え、これらの各部41~44が一体に形成される。
【0024】
ボウフレーム21の上面には、上カバー部41が両面テープ6によって接合され、ボウフレーム21の下面には、接合部44の上面が接着剤によって接合される。一方、これらの接合部分よりも外周側では、上カバー部41、横カバー部42、及び下カバー部43のいずれもボウフレーム21に対して接合されていない。
【0025】
以下の説明においては、ボウフレーム21のうち、上カバー部41が接着される(上カバー部41が接触した状態で被覆される)部位を被覆部21aと記載して説明する。
【0026】
被覆部21aの外縁からは屈曲部21bが下方に屈曲しており、屈曲部21bの下端からは外周側に向けて張出部21cが張り出している。また、張出部21cの外縁側の上端部からは、センサ取付部21dが外周側に延びている。これらの被覆部21a,屈曲部21b、張出部21c、及びセンサ取付部21dの各部が一体に形成されることにより、ボウフレーム21のエッジ部分が構成されている。
【0027】
センサ取付部21dの上面にはエッジセンサ5が接着され、エッジセンサ5は、上記のベル部センサと同様のシート状の感圧センサ(例えばメンブレンスイッチなど)である。上カバー部41は、エッジセンサ5(センサ取付部21d)との間に空間S1を形成した状態でボウフレーム21を覆っている。
【0028】
上カバー部41の下面には、エッジセンサ5に向けて(下方に)突出する突起45が一体に形成されており、この突起45は、上カバー部41の外縁部分が打撃された時にエッジセンサ5を押し込むための部位である。
【0029】
突起45よりも内周側には、上カバー部41に一体に形成されたストッパ46が設けられる。ストッパ46は、上カバー部41から下方に突出する突起であり、ボウフレーム21の上面に形成された凹部21eに挿入される。凹部21eは、ボウフレーム21の屈曲部21b、張出部21c、及びセンサ取付部21dによって形成される溝である。
【0030】
上カバー部41が打撃される前の状態(以下「打撃前の状態」という)では、ストッパ46と凹部21eの底面とが接触しているか、若しくは僅かに(突起45とエッジセンサ5との間の隙間よりも小さく)離れている。
【0031】
よって、図3(a)に示すように、通常の打撃によって上カバー部41の外縁部分が上方から打撃されると、凹部21eの底面(張出部21cの上面)に接触するストッパ46が支点となり、上カバー部41が下方に撓むようにして弾性変形する。
【0032】
この上カバー部41の下方に向けた変形に伴い、横カバー部42及び下カバー部43もボウフレーム21(張出部21cやセンサ取付部21d)から離れるようにして下方に変形する。これは、上述した通り、接合部44よりも外周側では、横カバー部42や下カバー部43がボウフレーム21に接合されていないためである。
【0033】
これらの各カバー部41,42,43の下方への変形により、突起45がエッジセンサ5に押し込まれ、スティックSによるカバー4(上カバー部41)への打撃がエッジセンサ5で検出される。
【0034】
一方、図3(b)に示すように、上カバー部41が横方向から打撃されると、ストッパ46と凹部21eの壁面(屈曲部21bの外周面)との引っ掛かりによって上カバー部41の内周側に向けた変形(変位)が規制される。内周側に向けた上カバー部41の変形を規制することにより、上カバー部41や横カバー部42がセンサ取付部21dの外縁部分に接触することを抑制できるので、突起45がエッジセンサ5に押し込まれ易くなる。よって、横方向からの打撃に対するエッジセンサ5の感度を向上できる。
【0035】
また、打撃前の状態(図2の状態)でストッパ46が空間S1に対面しており、ストッパ46の外周側で空間S1を埋めるゴムが無いため、ストッパ46の根元部分を起点にして上カバー部41が折れ曲がるように変形し易くなる。これにより、例えば上カバー部41の外縁部分が横方向から弱打で打撃された場合(図3(b)参照)であっても、突起45がエッジセンサ5に押し込まれ易くなる。よって、横方向からの打撃に対するエッジセンサ5の感度を向上できる。
【0036】
更に、ストッパ46によって上カバー部41の内周側に向けた変形を規制することにより、被覆部21aと上カバー部41との接合部分(両面テープ6)に加わる力を低減できる。よって、被覆部21aから上カバー部41が剥がれることを抑制できる。
【0037】
また、接合部44とボウフレーム21の下面との接合位置P1は、ストッパ46よりも内周側に位置しており、接合位置P1よりも外周側においては、横カバー部42及び下カバー部43の各々がボウフレーム21に接合されていない。これにより、上記の通常の打撃(図3(a)参照)及び横方向からの打撃(図3(b)参照)の双方(以下「各方向からの打撃」という)において、ストッパ46を支点にした上カバー部41の変形に横カバー部42及び下カバー部43が追従し易くなる。即ち、上カバー部41の変形を横カバー部42及び下カバー部43が阻害することを抑制できるので、突起45がエッジセンサ5に向けて押し込まれ易くなる。よって、各方向の打撃に対するエッジセンサ5の感度を向上できる。
【0038】
また、横方向からの打撃時には、下カバー部43も内周側に向けて変形するが、この下カバー部43の変形は、突出部21fによって規制される。突出部21fは、ボウフレーム21の下面から下方に突出しており、屈曲部21b、張出部21c、及びセンサ取付部21dによってボウフレーム21の下面に形成される凸部分と、突出部21fとの間に接合部44が挿入される。
【0039】
これにより、横方向からの打撃時に(図3(b)参照)、下カバー部43及び接合部44の内周側に向けた変形を突出部21fによって規制できるので、上カバー部41や横カバー部42がセンサ取付部21dの外縁部分に接触することを抑制できる。よって、突起45がエッジセンサ5に押し込まれ易くなるので、横方向からの打撃に対するエッジセンサ5の感度を向上できる。更に、下カバー部43及び接合部44の内周側に向けた変形を突出部21fで規制することにより、ボウフレーム21と接合部44との接合位置P1に加わる力を低減できるので、ボウフレーム21から接合部44が剥がれることを抑制できる。
【0040】
また、本実施形態では、ストッパ46を支点にして上カバー部41を変形させ易くするために、上カバー部41に薄肉部47を形成している。より具体的には、ストッパ46よりも外周側の領域では、突起45及び薄肉部47が形成される領域を除き、上カバー部41の厚みは略一定である。略一定とは、かかる領域における上カバー部41の厚みの平均値に対し、上カバー部41の最小および最大の厚みが該平均値の±10%以内になっていることである。一方、薄肉部47が形成される領域は、他の領域に比べて上カバー部41の厚みが薄く、且つ上カバー部41の厚みがストッパ46に近付くに連れて徐々に薄くなっている。
【0041】
このような薄肉部47をストッパ46の外周面との隣接部分に形成することにより、各方向からの打撃時(図3参照)に上カバー部41がストッパ46の根元部分を起点にして変形し易くなる。よって、例えば上カバー部41の外縁部分が弱打で打撃された場合であっても、各方向からの打撃に対するエッジセンサ5の感度を向上できる。
【0042】
このように、本実施形態では、上カバー部41に形成したストッパ46によって上カバー部41の内周側への変形を規制しているが、例えば後述する第2実施形態(図4(a)参照)のように、ボウフレーム221から上方に突出させたストッパ221gをカバー204の凹部249に嵌め込む構成でも、上カバー部41の内周側への変形を規制できる。しかしながら、このような構成では、凹部249を形成した領域のカバー204の厚みが薄くなるため、打撃に対するカバー204の耐久性が低下する。この耐久性を確保するためにカバー204の厚みを厚くすると、電子シンバル201の全体として厚みが厚くなり、シンバルに近い扁平な形状にすることが難しくなる。
【0043】
これに対して本実施形態では、被覆部21aの外縁から下方に屈曲する屈曲部21bをボウフレーム21に形成する一方、屈曲部21bの外周側に位置するストッパ46を上カバー部41に形成し、それらの屈曲部21b及びストッパ46によって内周側に向けた上カバー部41の変形を規制する構成である。これにより、第2実施形態のようにカバー204の凹部249にボウフレーム221のストッパ221gを挿入する構成に比べ、カバー4の厚みを確保しつつ、ボウフレーム21及びカバー4の全体としての厚みを薄くできる。よって、電子シンバル1をシンバルに近い形状にできる。
【0044】
ここで、上カバー部41の内周側に向けた変形は、ストッパ46によって概ね規制できるが、例えば横方向から強打された時等に、上カバー部41の突起45が下方ではなく内周側に(左右方向に沿って内側に)変位することがある。突起45が内周側に変位した場合、センサ取付部21d(エッジセンサ5)の上面の角度が水平に近いほど、突起45によるエッジセンサ5の押し込みが不十分になり易い。
【0045】
これに対して本実施形態では、センサ取付部21d(エッジセンサ5)の上面と突起45の下面とが平行に形成されると共に、それらの各面が被覆部21aの上面よりも大きい勾配で外周側に向けて下降傾斜している。これにより、左右方向(水平方向)に対するセンサ取付部21d(エッジセンサ5)の上面の角度を大きく確保できる。よって、横方向からの打撃によって突起45が内周側に変位した場合であっても、突起45によってエッジセンサ5が押し込まれ易くなるので、横方向からの打撃に対するエッジセンサ5の感度を向上できる。
【0046】
また、センサ取付部21dの上面が被覆部21aの上面よりも大きい勾配である一方、上カバー部41の下面(突起45及び薄肉部47が形成されてない領域)は、被覆部21aの上面と平行である。即ち、上カバー部41の下面は、センサ取付部21dの上面よりも小さい勾配で外周側に向けて下降傾斜している。
【0047】
これにより、センサ取付部21dの上面と上カバー部41の下面との間隔を内周側から外周側にかけて徐々に大きくできるので、上カバー部41と横カバー部42との接続位置P2をセンサ取付部21dの外縁から離すことができる。よって、横方向からの打撃時に、上カバー部41や横カバー部42がセンサ取付部21dの外縁部分に接触することを抑制できる。従って、突起45がエッジセンサ5に押し込まれ易くなるので、横方向からの打撃に対するエッジセンサ5の感度を向上できる。
【0048】
このように、本実施形態では、ストッパ46によって上カバー部41の内周側への変形を規制することや、センサ取付部21d(エッジセンサ5)の上面の勾配を大きくすることにより、横方向からの打撃に対するエッジセンサ5の感度を向上させている。
【0049】
これに対し、例えば後述する第3実施形態(図4(b)参照)のように、張出部21cを省略して屈曲部21bの下端にセンサ取付部21dを設ける構成であっても、ストッパ46の機能を発揮させることは可能である。しかしながら、勾配を大きくしたセンサ取付部21dを屈曲部21bの下部に接続する構成であると、ボウフレーム21からセンサ取付部21dが下方に大きく突出してしまう。即ち、ボウフレーム21のエッジ部分の厚みが厚くなるため、電子シンバル301をシンバルに近い扁平な形状にすることが難しくなる。
【0050】
これに対して本実施形態では、屈曲部21bの下端から外周側に張り出す張出部21cを設け、張出部21cの外縁側の上端部にセンサ取付部21dを設ける構成である。これにより、張出部21cを省略する構成に比べ、センサ取付部21dの配置(高さ)を嵩上げできるので、センサ取付部21dが下方に大きく突出することを抑制できる。よって、ボウフレーム21のエッジ部分の厚みを薄くできるので、電子シンバル1をシンバルに近い扁平な形状にできる。
【0051】
ここで、エッジセンサ5は、上カバー部41への打撃を検出する機能に加え、演奏者がボウフレーム21のエッジ部分を掴むチョーク奏法を検出する機能も有している。上カバー部41への打撃とチョーク奏法との判別方法は、公知の方法が採用可能であるので詳細な説明を省略する。なお、公知の方法としては、例えば特開平06-035450号公報の段落0005~0008等に記載された方法が例示される。
【0052】
このようなチョーク奏法は、上記の通りボウフレーム21のエッジ部分が演奏者によって掴まれる。この場合、本実施形態のように張出部21cの外縁側の上端部にセンサ取付部21dを設けると、張出部21cとセンサ取付部21dとの接続部分に段差が形成され、この段差部分と下カバー部43との間に空間S2(図2参照)が生じるため、チョーク奏法を行った時の感触が悪くなる。つまり、空間S2が大きく形成されていると、シンバルのような硬い感触が得られなくなる。
【0053】
これに対して本実施形態の下カバー部43は、張出部21cとセンサ取付部21dとによって形成される段差の一部を埋める接触部48を備えている。接触部48は、下カバー部43の上面に一体に形成される突起であり、打撃前の状態(図2の状態)でセンサ取付部21dの下面に接触する。これにより、演奏者が接触部48の近傍を掴んでチョーク奏法を行った時に、比較的硬い感触を付与することができるので、シンバルに近い演奏感を付与できる。
【0054】
このようなシンバルに近い硬い感触を付与するためには、空間S2の全てを接触部48で埋めることが好ましい。しかし、接触部48によって空間S2の全てを埋めてしまうと、フレーム2やカバー4の寸法誤差により、張出部21cとセンサ取付部21dとの段差部分に接触部48を適切に嵌め込むことが困難になる。また、空間S2の全てを接触部48で埋めると、上カバー部41の変形が張出部21cと接触部48との引っ掛かりによって阻害され、突起45がエッジセンサ5に押し込まれ難くなる。
【0055】
これに対して本実施形態では、張出部21cと接触部48との間に隙間を形成し、空間S2の一部を残している。これにより、フレーム2やカバー4に寸法誤差が生じても、張出部21cとセンサ取付部21dとの段差部分に接触部48を適切に嵌め込むことができるので、カバー4の組み付け性を向上できる。更に、空間S2を残すことにより、各方向からの打撃時に(図3参照)、接触部48が張出部21cに引っ掛かることを抑制できるので、ストッパ46を支点にして上カバー部41が変形し易くなる。よって、突起45がエッジセンサ5に押し込まれ易くなるので、各方向からの打撃に対するエッジセンサ5の感度を向上できる。
【0056】
また、上述した通り、ストッパ46が凹部21eに挿入されているが、このストッパ46と凹部21eの外周側の壁面(センサ取付部21d)との間にも、打撃前の状態で隙間が形成される。これにより、フレーム2やカバー4に寸法誤差が生じても、凹部21eにストッパ46を適切に挿入できるので、カバー4の組み付け性を向上できる。
【0057】
次いで、図4(a)を参照して、第2実施形態の電子シンバル201について説明する。第1実施形態では、カバー4にストッパ46が形成される場合を説明したが、第2実施形態では、ボウフレーム221にストッパ221gが形成される場合について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図4(a)は、第2実施形態における電子シンバル201の部分拡大断面図である。なお、図4(a)では、図面を簡素化するためにフレーム2(ボウフレーム221)及びカバー204のハッチングを省略している。
【0058】
図4(a)に示すように、第2実施形態の電子シンバル201のボウフレーム221は、第1実施形態の凹部21e(図2参照)に替えてストッパ221gが一体に形成される点を除き、第1実施形態のボウフレーム21と同一の構成である。また、カバー204は、第1実施形態のストッパ46(図2参照)に替えて上カバー部41に凹部249が形成される点を除き、第1実施形態のカバー4と同一の構成である。
【0059】
ストッパ221gは、ボウフレーム221から上方に突出すると共に、上カバー部41の下面に形成された凹部249に挿入される。これにより、横方向からの打撃時に、ストッパ221gと凹部249との引っ掛かりによって上カバー部41の内周側に向けた変形を規制できる。よって、横方向からの打撃時に上カバー部41や横カバー部42がセンサ取付部21dに接触することを抑制できるので、突起45がエッジセンサ5に押し込まれ易くなる。
【0060】
また、打撃前の状態(図4(a)の状態)では、センサ取付部21dと上カバー部41との間の空間S1にストッパ221gが対面しており、ストッパ221gの外周側を埋めるゴムが無い。これにより、ストッパ221gを支点にして上カバー部41が変形し易くなるので、各方向からの打撃時に突起45がエッジセンサ5に押し込まれ易くなる。
【0061】
また、第1実施形態と同様、センサ取付部21d(エッジセンサ5)の上面と突起45の下面とが平行に形成されると共に、それらの各面の角度が被覆部21aの上面よりも大きい勾配になっている。これにより、水平方向に対するセンサ取付部21d(エッジセンサ5)の上面の角度を大きくできるので、横方向からの打撃によって突起45が内周側に変位しても、突起45によってエッジセンサ5が押し込まれ易くなる。
【0062】
また、センサ取付部21dと上カバー部41との間隔が外周側に向けて徐々に大きくなっているので、上カバー部41と横カバー部42との接続位置P2をセンサ取付部21dの外縁から離すことができる。よって、横方向からの打撃時に、上カバー部41や横カバー部42がセンサ取付部21dに接触することを抑制できるので、突起45がエッジセンサ5に押し込まれ易くなる。よって、横方向からの打撃に対するエッジセンサ5の感度を向上できる。
【0063】
次いで、図4(b)を参照して、第3実施形態の電子シンバル301について説明する。上述した第1実施形態では、張出部21cにセンサ取付部21dが接続される場合を説明したが、第3実施形態では、屈曲部21bの下端にセンサ取付部21dが接続される場合について説明する。図4(b)は、第3実施形態における電子シンバル301の部分拡大断面図である。なお、図4(b)では、図面を簡素化するためにフレーム2(ボウフレーム321)及びカバー304のハッチングを省略している。
【0064】
図4(b)に示すように、第3実施形態の電子シンバル301のボウフレーム321は、第1実施形態の張出部21c(図2参照)が省略され、屈曲部21bの下端にセンサ取付部21dが一体に形成される点を除き、第1実施形態のボウフレーム21と同一の構成である。
【0065】
また、カバー304は、上カバー部41(ストッパ46よりも外周側の部位)や突起45の厚みが厚く形成される点と、接触部48(図2参照)が省略された下カバー部43がセンサ取付部21dの下面に沿って接触する点とを除き、第1実施形態のカバー4と同一の構成である。
【0066】
本実施形態においても、横方向からの打撃時にストッパ46と屈曲部21bとの引っ掛かりによって上カバー部41の内周側に向けた変形を規制できる。これにより、横方向からの打撃時に、上カバー部41や横カバー部42がセンサ取付部21dの外縁部分に接触することを抑制できるので、突起45がエッジセンサ5に押し込まれ易くなる。
【0067】
また、打撃前の状態(図4(b)の状態)では、センサ取付部21dと上カバー部41との間の空間S1にストッパ46が対面しており、ストッパ46の外周側を埋めるゴムが無い。これにより、ストッパ46を支点にして上カバー部41が変形し易くなるので、各方向からの打撃時に突起45がエッジセンサ5に押し込まれ易くなる。
【0068】
また、第1実施形態と同様、センサ取付部21d(エッジセンサ5)の上面と突起45の下面とが平行に形成されると共に、それらの各面の角度が被覆部21aの上面よりも大きい勾配になっている。これにより、水平方向に対するセンサ取付部21d(エッジセンサ5)の上面の角度を大きく確保できるので、横方向からの打撃によって突起45が内周側に変位しても、突起45によってエッジセンサ5が押し込まれ易くなる。
【0069】
また、センサ取付部21dと上カバー部41との間隔が外周側に向けて徐々に大きくなっているので、上カバー部41と横カバー部42との接続位置P2をセンサ取付部21dの外縁から離すことができる。よって、横方向からの打撃時に、上カバー部41や横カバー部42がセンサ取付部21dに接触することを抑制できるので、突起45がエッジセンサ5に押し込まれ易くなる。よって、横方向からの打撃に対するエッジセンサ5の感度を向上できる。
【0070】
以上、上記実施形態に基づき説明をしたが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0071】
上記各実施形態では、フレーム2が円板状のベルフレーム20及びボウフレーム21,221,321を備える構成、即ち、電子シンバル1,201,301がシンバルを模す電子打楽器である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、他の円板形状の電子打楽器のエッジ部分に本発明を適用しても良い。また、フレーム2の外形は円形(円板)に限定されるものではなく、例えば多角形であっても良い。
【0072】
上記各実施形態では、上カバー部41の突起45の下面とセンサ取付部21d(エッジセンサ5)の上面とが平行である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、突起45の下面の勾配を、センサ取付部21d(エッジセンサ5)の上面よりも大きく又は小さくする構成でも良いし、突起45を省略しても良い。
【0073】
上記各実施形態では、センサ取付部21d(エッジセンサ5)の上面の勾配が被覆部21aの上面よりも大きい場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、センサ取付部21dの上面の勾配が被覆部21aの上面と同一またはそれよりも小さい構成でも良い。
【0074】
上記各実施形態では、センサ取付部21d(エッジセンサ5)と上カバー部41との間隔が外周側に向けて徐々に大きくなる構成を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、センサ取付部21d(エッジセンサ5)と上カバー部41との間隔が内周側から外周側にかけて一定または徐々に小さくなる構成でも良い。
【0075】
上記各実施形態では、ボウフレーム21,221,321と接合部44との接合位置P1がストッパ46,221gよりも内周側である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、接合位置P1がストッパ46,221gよりも外周側であっても良いし、接合部44を省略し、下カバー部43の内縁をボウフレーム21,221,321の下面に直接接合しても良い。
【0076】
上記各実施形態では、上カバー部41又はボウフレーム221(フレーム2)が、上カバー部41の内周側に向けた変形を規制するストッパ46,221gを備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ストッパ46,221gを省略しても良い。
【0077】
上記第1,2実施形態では、張出部21cとセンサ取付部21dとの段差部分(空間S2)の一部を接触部48で埋める場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、かかる段差部分(空間S2)の全てを接触部48で埋めても良いし、接触部48を省略しても良い。
【0078】
上記第1,3実施形態では説明を省略したが、ストッパ46は、打撃前の状態で凹部21eの内周側の壁面(屈曲部21bの外周面)に接触することが好ましい。但し、突起45によるエッジセンサ5の押し込みが不十分にならない程度であれば、凹部21eの内周側の壁面(屈曲部21bの外周面)とストッパ46とが離れていても良い。
【0079】
上記第1実施形態では、センサ取付部21dとストッパ46との間に隙間が形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、センサ取付部21dとストッパ46とが打撃前の状態で接していても良い。
【0080】
上記第1実施形態では、薄肉部47における上カバー部41の厚みがストッパ46に近付くに連れて徐々に薄くなる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、薄肉部47における上カバー部41の厚みが一定であっても良い。また、薄肉部47を省略し、上カバー部41(突起45やストッパ46が形成されていない領域)の厚みが一定であっても良い。即ち、横方向からの打撃時に、ストッパ46を支点にして上カバー部41(突起45)をエッジセンサ5側に変形させることができる構成であれば、上カバー部41の厚みは適宜設定できる。
【符号の説明】
【0081】
1,201,301 電子シンバル
2 フレーム
21,221,321 ボウフレーム(フレームの一部)
21a 被覆部
21b 屈曲部
21c 張出部
21d センサ取付部
46,221g ストッパ
4 カバー
41 上カバー部
42 横カバー部
43 下カバー部
45 突起
47 薄肉部
48 接触部
5 エッジセンサ(センサ)

図1
図2
図3
図4