(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146976
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】駐車場管理システム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20231004BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20231004BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G07B15/00 N
G08G1/14 A
G08G1/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054457
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】521491820
【氏名又は名称】株式会社Kyuホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】廣島 将登
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
【Fターム(参考)】
3E127AA18
3E127BA10
3E127CA15
3E127CA17
3E127CA26
3E127CA36
3E127CA40
3E127CA41
3E127CA47
3E127CA50
3E127CA61
3E127EA04
3E127EA18
3E127EA33
3E127EA41
3E127EA43
3E127EA46
3E127FA09
3E127FA20
3E127FA24
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181KK01
5H181KK06
5H181KK07
5H181KK10
(57)【要約】
【課題】駐車場への設備投資を可及的に低く抑えるとともに駐車場の利用状況を確実に利用者に報知することができる駐車場管理システムを提供する。
【解決手段】管理端末と、駐車場に入退場する車両や車室に駐車中の車両を撮像可能な位置に配設された監視カメラで撮像した画像データを解析処理する画像処理端末と、が公衆通信回線網で互いに通信可能に接続され、画像処理端末は、監視カメラで撮像した駐車場の画像データに基づいて、駐車場の車両の出入口に仮想の計測線及び計測エリアを設定し、この仮想の計測線及び計測エリアを車両が通過したことを検出すると当該駐車場への車両の入退場を検出して管理端末に送信し、管理端末は、画像処理端末から送信された当該駐車場への車両の入退場を受信すると、当該駐車場の利用状況を算出し、駐車場の車両の出入口近傍に配設された表示装置に駐車場の利用状況を表示する駐車場管理システムとした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の利用状況を管理する管理端末と、
駐車場に入退場する車両や駐車場の車室に駐車中の車両を撮像可能な位置に配設された監視カメラで撮像した画像データを解析処理する画像処理端末と、
が公衆通信回線網で互いに通信可能に接続された駐車場管理システムであって、
前記画像処理端末は、
前記監視カメラで撮像した駐車場の画像データに基づいて、駐車場の車両の出入口に仮想の計測線及び計測エリアを設定し、この仮想の計測線及び計測エリアを車両が通過したことを検出すると当該駐車場への車両の入退場を検出して前記管理端末に送信し、
前記管理端末は、
前記画像処理端末から送信された当該駐車場への車両の入退場を受信すると、当該駐車場の利用状況を算出し、駐車場の車両の出入口近傍に配設された表示装置に前記利用状況を表示することを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項2】
前記管理端末は、駐車場の利用を希望する複数の利用者がそれぞれ所持する利用者端末と前記公衆通信回線網を介して互いに通信可能に接続されており、
前記管理端末は、前記利用者端末に駐車場の前記利用状況を送信することを特徴とする請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項3】
前記画像処理端末は、
前記監視カメラで撮像した駐車場の画像データに基づいて、駐車場の空いている車室を検出して前記管理端末に送信し、
前記管理端末は、
前記画像処理端末から受信した駐車場の空いている車室を前記表示装置に表示するとともに、空いている車室への車両の最適な移動ルートを表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の駐車場管理システム。
【請求項4】
前記管理端末は、駐車場の車室に事前予約専用ゾーンを設定し、前記画像処理端末から受信した駐車場の空いている車室に事前予約専用ゾーンが含まれていた場合に、当該空いている車室の駐車を事前予約可能としたことを特徴とする請求項3に記載の駐車場管理システム。
【請求項5】
前記画像処理端末は、
前記監視カメラで撮像した駐車場の画像データに基づいて、駐車場内の車両や人の動きを特定し、車上荒らし、車両盗難、車両の追突、接触事故を検出して前記管理端末に送信し、
前記管理端末は、
受信した車上荒らし、車両盗難、車両の追突、接触事故を、駐車場管理者又は車両所有者に通知することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の駐車場管理システム。
【請求項6】
前記管理端末は、駐車場を利用する車両の入場から車両の退場までの駐車時間を計測し、駐車料金を算出して駐車料金をオンラインで自動精算することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の駐車場管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場管理システムに関し、詳しくは、駐車場の各種設備(駐車料金精算機、車止め装置(ロック装置、入出庫ゲート)の設置を必要とせず、駐車場内を撮像可能な監視カメラと、この監視カメラで撮像した画像を解析する画像処理端末とにより駐車場の管理を行うことが可能な駐車場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車場の大きさに応じたロック式やゲート式の有料駐車場(コインパーキング)が知られている。ロック式の駐車場は、小規模の駐車場(5台~10台)に好適に用いられ、駐車場の各車室に車両のロック装置が設置され、車室に車両を駐車するとロック装置により車両の移動が規制され、駐車場に設けられた精算機で駐車料金を精算すると、ロック装置による車両の移動の規制が解除されて駐車場から退場できる。ゲート式の駐車場は、駐車場の出入口に設置された出入口ゲートの入口ゲートでは発行された駐車券を車両の搭乗者が受け取ると入口ゲートが開き駐車場に入場でき、出口ゲートでは精算機に駐車券を投入すると駐車料金が表示され、支払いが済むと自動的に出口ゲートが開いて退場できる。
【0003】
このような有料駐車場は、24時間営業の営業形態であり、このため、駐車場における事故や犯罪を防止するために、複数の防犯カメラが設置されていることが多い。また、近年では、撮像装置(カメラ等)やコンピュータ、携帯端末(スマートフォン等)のIT機器の高性能化、低価格化により新たな技術分野の拡大が進み、従来に無かったネットワーク対応型の多様な駐車場管理システムの提供が可能となりつつある。
【0004】
上記ネットワーク対応型の駐車場管理システムとしては、入場ゲートでの入場発券時に撮像した車両番号の画像から車両番号を抽出し、車番認証システムで車両番号を特定した情報と、駐車場の各駐車スペース1箇所当り1台ずつ設置された車両撮影用カメラによって、入庫した車両の車両番号から車番認証システムで特定した情報とをネットワーク上に設置したシステム制御用コンピュータによって管理把握し、入庫時間、料金精算、入庫場所の管理を効率化すると共に、インターネット経由で利用者の携帯端末から利用者に情報提供をする駐車場施設コンピュータ管理システムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のネットワーク対応型の駐車場管理システムは、近年高性能化、低価格化したIT機器を活用することで、各種サービス(駐車時間お知らせサービス、盗難予防システム、駐車予約システム等)の利用が出来るようになり、利用者にとって大いに利便性が向上することができる。しかしながら、駐車場の各駐車スペース1箇所当り1台ずつ車両撮影用カメラを設置する必要があり、さらに、従来のゲート式の出入口ゲートの設置が必要であり、いくら安価なIT機器を活用するとはいえ、設備投資にそれなりの費用が嵩む。さらに、設置する機器の数が多いほど動作不良や故障等のメンテナンスが必要となり、維持管理費用もかさむ恐れがある。
【0007】
また、上述した有料駐車場だけではなく、例えば、商業施設の利用者のための無料駐車場、高速道路の利用者のためのSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)の無料駐車場がある。このような無料駐車場においても、利用者がこの無料駐車場の車両の利用状況(駐車場の駐車スペースが空いているか否か)を利用者に予め報知することで利用者にとっての利便性が向上する。このため、このような無料駐車場においても、最低限の設備で利用者に駐車場の利用状況を報知できる駐車場管理システムが望まれていた。
【0008】
本発明では、上記課題を解決するためのものであり、駐車場への設備投資を可及的に低く抑えるとともに駐車場の利用状況を確実に利用者に報知することができる駐車場管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、駐車場の利用状況を管理する管理端末と、駐車場に入退場する車両や駐車場の車室に駐車中の車両を撮像可能な位置に配設された監視カメラで撮像した画像データを解析処理する画像処理端末と、が公衆通信回線網で互いに通信可能に接続された駐車場管理システムであって、前記画像処理端末は、前記監視カメラで撮像した駐車場の画像データに基づいて、駐車場の車両の出入口に仮想の計測線及び計測エリアを設定し、この仮想の計測線及び計測エリアを車両が通過したことを検出すると当該駐車場への車両の入退場を検出して前記管理端末に送信し、前記管理端末は、前記画像処理端末から送信された当該駐車場への車両の入退場を受信すると、当該駐車場の利用状況を算出し、駐車場の車両の出入口近傍に配設された表示装置に当該駐車場の利用状況を表示することを特徴とする駐車場管理システム。
【0010】
また、前記管理端末は、駐車場の利用を希望する複数の利用者がそれぞれ所持する利用者端末と前記公衆通信回線網を介して互いに通信可能に接続されており、前記管理端末は、前記利用者端末に駐車場の利用状況を送信することを特徴とする。
【0011】
また、前記画像処理端末は、前記監視カメラで撮像した駐車場の画像データに基づいて、駐車場の空いている車室を検出して前記管理端末に送信し、前記管理端末は、前記画像処理端末から受信した駐車場の空いている車室を前記表示装置に表示するとともに、空いている車室への車両の最適な移動ルートを表示することを特徴とする。
【0012】
また、前記管理端末は、駐車場の車室に事前予約専用ゾーンを設定し、前記画像処理端末から受信した駐車場の空いている車室に事前予約専用ゾーンが含まれていた場合に、当該空いている車室の駐車を事前予約可能としたことを特徴とする。
【0013】
また、前記画像処理端末は、前記監視カメラで撮像した駐車場の画像データに基づいて、駐車場内の車両や人の動きを特定し、車上荒らし、車両盗難、車両の追突、接触事故を検出して前記管理端末に送信し、前記管理端末は、受信した車上荒らし、車両盗難、車両の追突、接触事故を、駐車場管理者又は車両所有者に通知することを特徴とする。
【0014】
また、前記管理端末は、駐車場を利用する車両の入場から車両の退場までの駐車時間を計測し、駐車料金を算出して駐車料金をオンラインで自動精算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、駐車場の利用状況を管理する管理端末と、駐車場に入退場する車両や駐車場の車室に駐車中の車両を撮像可能な位置に配設された監視カメラで撮像した画像データを解析処理する画像処理端末と、が公衆通信回線網で互いに通信可能に接続された駐車場管理システムであって、前記画像処理端末は、前記監視カメラで撮像した駐車場の画像データに基づいて、駐車場の車両の出入口に仮想の計測線及び計測エリアを設定し、この仮想の計測線及び計測エリアを車両が通過したことを検出すると当該駐車場への車両の入退場を検出して前記管理端末に送信し、前記管理端末は、前記画像処理端末から送信された当該駐車場への車両の入退場を受信すると、当該駐車場の利用状況を算出し、駐車場の車両の出入口近傍に配設された表示装置に駐車場の利用状況を表示することを特徴とする駐車場管理システムである。
【0016】
本発明の画像処理端末には複数の監視カメラを接続可能としている。そして、駐車場の規模(大きさ)や形状に応じて、駐車場に入退場する車両や駐車場の車室に駐車中の車両を撮像するために必要な台数の監視カメラが駐車場に設置される。このとき、1台の画像処理端末に接続できる監視カメラの最大台数には制限があるため、1台の画像処理端末に接続可能な最大台数よりも多くの監視カメラの設置が必要な場合は、複数の画像処理端末を設置して、駐車場に入退場する車両や駐車場の車室に駐車中の車両の有無を撮像できるようにする。そして、画像処理端末は、監視カメラで撮像した画像データに基づいて、駐車場の車両の出入口に仮想の計測線及び計測エリアを設定する。仮想の計測線は、車道と駐車場の境界に設けられた出入口に設定され、計測エリアは、仮想に計測線から所定の範囲(例えば、車道と駐車場の間の幅2mの空間)が設定される。
【0017】
そして、画像処理端末は、仮想の計測線への車両の到達及び計測エリアの車両の通過及び通過方向に基づいて当該駐車場への車両の入退場を検出する。具体的には、画像処理端末は駐車場の出入口に設定した仮想の計測線に車両が到達したことを検出すると、駐車場における車両の入退場を検知し、計測エリアにおける車両の通過方向が、駐車場側への入場方向であった場合は、当該駐車場への車両の入場を管理端末へ送信する。また、計測エリアにおける車両の通過方向が、駐車場から車道への退場方向であった場合は、当該駐車場からの車両の退場を管理端末へ送信する。なお、上述したように駐車場に複数の画像処理端末が設置されている場合は、管理端末は複数の画像処理端末との通信により、当該駐車場への車両の入退場を総合管理する。
【0018】
駐車場への車両の入退場を受信した管理端末は、駐車場に入退場した車両の台数から当該駐車場の利用状況を算出し、駐車場の出入口近傍の当該駐車場の利用者が確認しやすい位置に設置された表示装置において利用状況を表示する。ここで、本発明における駐車場の利用状況とは、当該駐車場の満車・空車状況を示すものであり、満車の場合は当該駐車所に駐車スペースが無く、駐車場を利用不可であることを示している。また、空車の場合は当該駐車所に駐車スペースが有ることを示し駐車場を利用可能であることを示している。なお、この表示装置は、駐車場の出入口が複数ある場合は、この複数の出入口近傍に複数設置される。このように、本発明の駐車場管理システムによれば、駐車場への設備投資を可及的に低く抑えるとともに駐車場の利用状況を確実に利用者に報知することができる駐車場管理システムを提供することができる。
【0019】
また、管理端末は、駐車場の利用を希望する複数の利用者が所持する利用者端末と公衆通信回線網で互いに通信可能に接続されており、管理端末は利用者端末に駐車場の利用状況を送信する。これにより、本発明の駐車場管理システムを導入した駐車場の利用を所望する利用者は、所持する利用者端末により、駐車場の車両の利用状況(満車・空車)を確認することができる。このとき、管理端末は、駐車場のある地域のマップデータと連携して、駐車場の車両の利用状況を送信することで、利用者は、地域のマップデータの中で利用可能な駐車場を検索することができる。
【0020】
また、画像処理端末は、監視カメラで撮像した駐車場の画像データに基づいて、駐車場の空いている車室を検出して管理端末に送信し、管理端末は、画像処理端末から受信した駐車場の空いている車室を表示装置に表示するとともに、空いている車室への車両の最適移動ルートを表示することができる。
【0021】
本発明の駐車場は、複数の車両の駐車可能な複数の車室を有している。監視カメラは、複数の車室における車両の有無を検出可能な位置に配設されており、画像処理端末は、監視カメラで撮像した画像データを解析して車両の駐車の有無を判別する。そして、複数の車室ごとに車両の有無を管理端末に送信する。管理端末は、複数の車室における車両の有無を管理し、表示装置に空いている車室を表示するとともに、この空いた車室への出入口からの車両の最適な移動ルートを表示する。これにより、駐車場の利用者は、駐車可能な車室へ車両を効率よく移動させて駐車することができる。
【0022】
また、管理端末は、駐車場の車室に事前予約専用ゾーンを設定し、画像処理端末から受信した駐車場の空いている車室に事前予約専用ゾーンが含まれていた場合に、当該空いている車室の駐車を事前予約可能としている。これにより、利用者は駐車を所望する駐車場に駐車可能であり、なおかつ、事前予約可能な車室を利用者端末で検索し、駐車の事前予約を、利用者端末を介して管理端末に登録することができる。なお、この駐車場の事前予約は、会員制の時間貸し駐車場で有効であり、予め自身の車両や車両ナンバープレート(自動車登録番号標)を駐車場管理システムに登録して会員となった利用者のみが利用可能としている。
【0023】
また、画像処理端末は、監視カメラで撮像した駐車場の画像データに基づいて、駐車場内の車両や人の動きを特定し、車上荒らし、車両盗難、車両の追突、接触事故を検出して管理端末に送信し、管理端末は、受信した車上荒らし、車両盗難、車両の追突、接触事故を、駐車場管理者又は車両所有者に通知することができる。
【0024】
駐車場における人の動作には所定のパターンがある。例えば、駐車場の利用者は、空いている車室に車両を駐車すると車両から降りて駐車場の人の出入口に移動する。また、駐車場の人の出入口から自身の車両が駐車している車室に移動して、車両に乗り込み車両を移動して駐車場を退場する。ところが、例えば、駐車場に侵入して駐車している車両に近づいて所定時間停止し、次の駐車中の車両に移動する等の動作を繰り返す人は、車上荒らしや車両盗難を画策している可能性がある。すなわち、画像処理端末には、駐車場における人の行動パターンが複数登録されており、この行動パターンが車上荒らしや車両盗難を企む人の行動パターンに適合しているか否かを判別し、適合している可能性が高いと判断した場合はその旨を管理端末に送信する。そして、管理端末は駐車場管理者又は車両所有者に通知する。これにより、本駐車場管理システムを導入している駐車場においては、車上荒らしや車両盗難を未然に防ぐことが可能となる。
【0025】
また、画像処理端末は、監視カメラで撮像した画像に、車両の追突や接触事故(駐車場内での人と車両との衝突や接触も含む)を検出すると、その旨を管理端末に送信し、管理端末は駐車場管理者又は車両所有者に通知する。これにより、本駐車場管理システムを導入している駐車場においては、車両の追突や接触事故を速やかに検出することが可能となる。特に、車両と人との衝突や接触事故を検出した場合は、管理端末は駐車場管理者だけではなく警察や消防(救急車の手配)に通知するようにしてもよい。
【0026】
また、管理端末は、駐車場を利用する車両の入場から車両の退場までの駐車時間を計測し、駐車料金を算出して駐車料金をオンラインで自動精算することもできる。なお、この場合も会員制の時間貸し駐車場で有効であり、予め自身の車両や車両ナンバープレート、オンラインの決済方法(カード決済、電子マネー決済等)を駐車場管理システムの管理端末に登録して会員となった利用者のみが利用可能である。
【0027】
また、駐車場における車両の駐車時間を検出することで、違法駐車等も検出することができる。この場合は、例えば、高速道路のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)において、朝6時から夕方17時まで駐車している車両を検出し、なおかつ、この車両が無人だった場合は、この車両は、例えば、レジャー施設(ゴルフ場、遊園地等)を利用する利用者が、高速料金を節約するために他の車両を乗り合いで移動し、車両を放置したままSA・PAから立ち去った可能性がある。この行為は、高速道路営業規則に対する違反行為(車両を放置したままSA・PAから立ち去ること)である。
【0028】
また、高速道路のSA・PAにおいては、大型トラック(大型車)を駐車可能な車室と普通乗用車(小型車)を駐車可能な車室とは別々に設置されている。このため、小型車が大型車の車室に駐車すると駐車スペースが有効活用されず、逆の場合は、大型車は小型車等の車室からはみ出るため事故の危険性が高まる。この行為も高速道路営業規則に対する違反行為(駐車禁止場所、車路又は所定の区分(小型車、大型車、特殊大型車及び障がい者等)以外の駐車ます(車室)に駐車する)である。このように、本発明の駐車場管理システムを、無料の高速道路のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)に導入すると、駐車場における違法行為も検出することができ、違法行為を検出した管理端末は駐車場管理者にその旨通知することで、違法行為を行っている車両(利用者)に駐車場管理者が注意をして違法改善を促すことで、高速道路のSA・PAを安全に運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施形態の駐車場管理システムの構成を示す図である。
【
図2】本実施形態の駐車場管理システムの管理端末の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態の駐車場管理システムの画像処理端末の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態の駐車場管理システムの会員登録時の情報登録処理を説明するフローチャートである。
【
図5】本実施形態の駐車場管理システムの会員登録時の個人情報を含む車両情報を説明する図である。
【
図6】本実施形態の駐車場管理システムの無料駐車場の構成を説明する図である。
【
図7】本実施形態の駐車場管理システムの無料駐車場における画像処理端末と管理端末で実行される処理を説明するフローチャートである。
【
図8】本実施形態の駐車場管理システムの有料駐車場の構成を説明する図である。
【
図9】本実施形態の駐車場管理システムの有料駐車場における画像処理端末と管理端末で実行される処理を説明するフローチャートである。
【
図10】本実施形態の駐車場管理システムの有料駐車場への車両の入退場時のナンバープレートの撮像を説明する図である。
【
図11】本実施形態の駐車場管理システムの有料駐車場における表示装置の表示態様を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、駐車場の利用状況を管理する管理端末と、駐車場に入退場する車両や駐車場の車室に駐車中の車両を撮像可能な位置に配設された監視カメラで撮像した画像データを解析処理する画像処理端末と、が公衆通信回線網で互いに通信可能に接続された駐車場管理システムであって、前記画像処理端末は、前記監視カメラで撮像した駐車場の画像データに基づいて、駐車場の車両の出入口に仮想の計測線及び計測エリアを設定し、この仮想の計測線及び計測エリアを車両が通過したことを検出すると当該駐車場への車両の入退場を検出して前記管理端末に送信し、前記管理端末は、前記画像処理端末から送信された当該駐車場への車両の入退場を受信すると、当該駐車場の利用状況を算出し、駐車場の車両の出入口近傍に配設された表示装置に駐車場の利用状況を表示することを特徴とする駐車場管理システムに関する。
【0031】
以下、本実施形態に係る駐車場管理システムの一例について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の駐車場管理システムの構成を示す図である。
図2は、本実施形態の駐車場管理システムの管理端末の電気的構成を示すブロック図である。
図3は、本実施形態の駐車場管理システムの画像処理端末の電気的構成を示すブロック図である。
図4は、本実施形態の駐車場管理システムの会員登録時の情報登録処理を説明するフローチャートである。
図5は、本実施形態の駐車場管理システムの会員登録時の個人情報を含む車両情報を説明する図である。
図6は、本実施形態の駐車場管理システムの無料駐車場の構成を説明する図である。
図7は、本実施形態の駐車場管理システムの無料駐車場における画像処理端末と管理端末で実行される処理を説明するフローチャートである。
図8は、本実施形態の駐車場管理システムの有料駐車場の構成を説明する図である。
図9、本実施形態の駐車場管理システムの有料駐車場における画像処理端末と管理端末で実行される処理を説明するフローチャートである。
図10は、本実施形態の駐車場管理システムの有料駐車場への車両の入退場時のナンバープレートの撮像を説明する図である。
図11は、本実施形態の駐車場管理システムの有料駐車場における表示装置の表示態様を説明する図である。
【0032】
[1.駐車場管理システムの構成]
図1に示すように、駐車場管理システム1は、駐車場管理システム1を運営する管理業者100が管理する管理端末10と、駐車場管理システム1で管理される駐車場に設置された複数の画像処理端末20、複数の監視カメラ25、駐車場の利用状況(所謂、満車/空車)を表示する表示装置26と、駐車場管理システム1が導入された駐車場を利用する複数の利用者300がそれぞれ所持する複数の利用者端末30とにより構成され、管理端末10、画像処理端末20と複数の利用者端末30とは、公衆通信回線網60を介してそれぞれ相互に通信可能に接続されている。
【0033】
管理端末10としては、周知のコンピュータ(サーバやデスクトップパソコン等)が好適に用いられるが、公衆通信回線網60を介して利用者端末30と相互に通信可能な機能を備えたものであればよい。また、画像処理端末20は、本システムにおける専用のコンピュータであり、駐車場に設置された複数の監視カメラ25で撮像した画像(本実施形態の画像は、監視カメラで撮像した動画を含み、以下、単に画像という。)を記録し、この画像を解析することで、駐車場への車両の入退場等の駐車場の利用状況を検出する。また、利用者端末30は、公衆通信回線網60を介して管理端末10と相互に通信可能な機能を備えた周知のデスクトップパソコン、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末等であり、特に携帯に優れたスマートフォンが好適に用いられる。また、公衆通信回線網60は、周知の通信キャリア(電気通信事業者)が提供しているWAN(Wide Area Network)、インターネット回線、携帯電話通信回線、電話回線、通信衛星回線等である。
【0034】
上記構成において、画像処理端末20には、複数の監視カメラ25を接続可能としている。そして、駐車場の規模(大きさ)や形状に応じて、駐車場に入退場する車両や駐車場の車室に駐車中の車両を撮像するために必要な台数の監視カメラ25が駐車場に設置される。このとき、1台の画像処理端末20に接続できる監視カメラ25の最大台数には制限があるため、1台の画像処理端末20に接続可能な最大台数よりも多くの監視カメラ25の設置が必要な場合は、複数の画像処理端末20を設置して、駐車場に入退場する車両や駐車場の車室に駐車中の車両の有無を撮像できるようにする。
【0035】
画像処理端末20は、監視カメラ25で撮像した画像データにおいて、駐車場の車両の出入口に仮想の計測線L及び計測エリアA(
図6、
図8参照)を設定する。そして、画像処理端末20は、仮想の計測線Lへの車両の到達及び計測エリアAの車両の通過及び通過方向に基づいて、駐車場への車両の入退場を検出する。具体的には、画像処理端末20は、監視カメラで撮像した駐車場の出入口の画像を解析して、設定した仮想の計測線Lに車両が到達したことを検出すると、駐車場における車両の入退場を検知し、計測エリアAにおける車両の通過方向が、駐車場側への入場方向であった場合は、当該駐車場への車両の入場を管理端末10へ送信する。また、計測エリアAにおける車両の通過方向が、駐車場から車道への退場方向であった場合は、当該駐車場からの車両の退場を管理端末10へ送信する。なお、上述したように駐車場に複数の画像処理端末20が設置されている場合は、管理端末10は複数の画像処理端末20との通信により、当該駐車場への車両の入退場を総合管理することになる。
【0036】
駐車場への車両の入退場を受信した管理端末10は、駐車場に入退場した車両の台数から駐車場の利用率を算出し、満車率以上の閾値を超えた場合は、駐車場の出入口の利用者300が確認(視認)し易い位置に設置された表示装置26において駐車場の利用状況(空車や満車)を利用者300に報知する。なお、この表示装置26は、駐車場の出入口が複数ある場合は、この複数の出入口近傍に複数設置される。このように、本実施形態の駐車場管理システム1によれば、監視カメラ25と、監視カメラで撮像された画像を処理する画像処理端末20と、表示装置26とを駐車場に配設し、管理端末10により駐車場の利用状況(空車や満車)を管理することができる。
【0037】
管理業者100は、管理端末10において駐車場管理システム1の専用のWebサイトを開設している。そして、このWebサイトで利用者300を会員として募集し、会員となった利用者の個人情報を含む車両情報を登録する。具体的には、駐車場管理システム1のWebサイトへの入会を希望する利用者300は、所持する利用者端末30を介して管理端末10のECサイトにアクセスして、自身の個人情報(車両情報を含む)を入力して会員登録する。
【0038】
会員登録を希望する利用者300は、利用者端末30により管理端末10にアクセスし会員登録が完了すると、利用者端末30に対して管理端末10から専用の会員IDとパスワードが発行される。以後、この会員IDやパスワードにより、利用者300は利用者端末30から管理端末10にアクセスすることで、詳細は後述するが、駐車場管理システム1におけるWebの利用、つまり、有料駐車場における駐車料金のオンライン決済、本駐車場管理システム1を導入している駐車場の利用状況の閲覧、車上荒らし、車両盗難、車両の追突、接触事故の受信等の各種サービスの提供を受けることが可能となる。
【0039】
また、利用者300が駐車場管理システム1に会員登録する際に、利用者300の利用者端末30に、専用のアイコンが管理端末10からダウンロードされ、この専用のアイコンを選択することで管理端末10とのアクセスが可能なように構成してもよい。これにより、利用者300は、利用者端末30を介した管理端末10のWebサイトへのアクセスが容易となる。
【0040】
[2.管理端末の電気的構成]
以下、
図2を参照して、本実施形態の駐車場管理システム1における管理端末10の電気的構成を説明する。
図2に示すように、管理端末10は、記憶部11、入出力制御部12、制御部13、外部通信制御部14などから構成されている。
【0041】
記憶部11は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の大容量記憶装置により構成されている。記憶部11は、会員登録した利用者300の車両情報を含む個人情報を記憶する会員の車両情報記憶領域、管理端末10の管理下の駐車場の利用状況記憶領域、管理端末10の管理下の駐車場の予約情報記憶領域等が設けられている。
【0042】
入出力制御部12は、管理端末10に接続されている図示しない液晶表示装置、キーボード/マウス、プリンタなどの外部入出力装置との通信を制御する。
【0043】
制御部13は、図示しないCPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどで構成されている。また、この制御部13のCPUは、ROM又は記憶部11に予め記憶されている各種プログラムを実行することにより、本実施形態における後述する各種処理(駐車場の利用率の算出処理、表示装置26の表示処理、駐車料金の精算処理等)を実行することになる。
【0044】
外部通信制御部14は、外部の公衆通信回線網60と接続され、制御部13の指示に基づいて、駐車場管理システム1における、複数の画像処理端末20、複数の表示装置26、複数の利用者端末30との通信を制御する。すなわち、外部通信制御部14は、詳細は後述するが、制御部13の指示に基づいて、各捜索者が所持する利用者端末30からのECサイトへのアクセスに応じて、会員登録した利用者300の車両情報の登録、利用者300への駐車場の利用状況の送信、画像処理端末20からの車両の駐車場への入退場の受信等を制御する。
【0045】
[3.画像処理端末の電気的構成]
以下、
図3を参照して、本実施形態の駐車場管理システム1における画像処理端末20の電気的構成を説明する。
図3に示すように、画像処理端末20は、記憶部21、入出力制御部22、制御部23、外部通信制御部24などから構成されている。
【0046】
記憶部21は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の大容量記憶装置により構成されている。記憶部21は、監視カメラ25で撮像した画像(動画も含む)を記憶する画像記憶部、駐車場における人の行動パターンを記憶する行動パターン記憶部、駐車場の車室における車両の有無を記憶する車室状態記憶部等が設けられている。
【0047】
入出力制御部22は、画像処理端末20に接続されている図示しない液晶表示装置、キーボード/マウス、プリンタなどの外部入出力装置との通信を制御する。また、画像処理端末20に接続されている複数の監視カメラ25からの画像の入力を制御する。なお、画像処理端末20と監視カメラ25との接続は有線でもよいし、例えば、画像処理端末20と監視カメラ25に近距離無線の送受信機能を付設して近距離無線による通信で接続してもよい。
【0048】
制御部23は、図示しないCPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどで構成されている。また、この制御部23のCPUは、ROM又は記憶部21に予め記憶されている各種プログラムを実行することにより、本実施形態における後述する各種処理(駐車場への車両の入退場の検出処理、駐車場における車両の盗難・事故の検出処理等)を実行することになる。
【0049】
外部通信制御部24は、外部の公衆通信回線網60と接続され、制御部23の指示に基づいて、駐車場管理システム1における管理端末10との通信を制御する。すなわち、外部通信制御部24は、詳細は後述するが、制御部23の指示に基づいて、駐車場への車両の入退場や駐車場の車室における車両の有無(車室の利用状況)を管理端末10への送信する通信を制御する。
【0050】
[4.駐車場管理システムの会員登録処理]
以下、
図4及び
図5を参照して、本実施形態の駐車場管理システム1のWebサイトへの利用者300の会員登録処理を説明する。
【0051】
最初に、利用者300は、利用者端末30により公衆通信回線網60(例えば、インターネット回線)を介して、管理端末10にアクセス(接続)する(ステップS1)。本実施形態の駐車場管理システム1の管理下の駐車場(主に、有料駐車場)の利用を希望する利用者300は、予め管理端末10で開設されているWebサイトに会員登録する必要がある。このため、利用者300が利用者端末30により管理端末10にアクセスすると、Webサイトの初期画面(図示せず)が利用者端末30に表示される(ステップS2)。このWebサイトの初期画面は、例えば、本実施形態の駐車場管理システム1のシステム構成、Webサイトの利用方法、会員登録の案内等で構成されている。
【0052】
本実施形態の駐車場管理システム1の利用を希望する利用者300は、利用者端末30に表示される初期画面から会員登録を選択する(ステップS3)。管理端末10は、会員登録のための車両情報入力フォーマットを利用者端末30に送信する(ステップS4)。
【0053】
個人情報入力フォーマットを受信した利用者端末30は、
図5に示すように利用者端末30の表示装置31(液晶表示装置等)に車両情報入力フォーマットを表示する。車両情報入力フォーマットは、左側に複数の入力項目が表示され、右側に利用者300による複数の入力項目に対応した入力欄から形成される一覧表31aとして表示される。一覧表31aの左側の複数の入力項目に応じた車両情報を含む個人情報を利用者300が右側の入力欄に入力する。なお、
図5中の右側の入力欄における下線部は、利用者300が入力した車両情報を含む個人情報を示している。また、一覧表31aの下部には、入力完了ボタン31bが表示されている。
【0054】
左側の複数の入力項目は、最上段から順に、利用者300の「氏名」、「読み仮名(カナ)」、「住所」、利用者300の利用者端末30の「電話番号」、利用者300の利用者端末30の「メールアドレス」、利用者300が設定する「パスワード」、「生年月日」、「性別」の順で表示されている。利用者300は複数の入力項目に対応した入力欄に各種個人情報(図中下線部)を入力する。上記複数の項目のうちの「パスワード」は、利用者300が会員登録した後に、管理端末10のWebサイトを利用(接続)するためのものである。
【0055】
左側の複数の入力項目の「性別」の下段には、利用者300が所持する車両の情報(車両情報)が「車種」、「車の色」、「車両ナンバー」の順で設定されている。「車種」は、利用者300が所持する車両の種類であり、「普通乗用車」・「小型乗用車」・「軽四輪乗用車」・「小型貨物車」・「軽四輪貨物車」等で区分される。
図5においては「普通乗用車」が入力されている。なお、この「車種」の項目は、メーカが名付けた「車名」でもよい。
【0056】
「車の色」は、利用者300が所持する車両の色であり、
図5においては「白」が入力されている。「車両ナンバー」は、利用者300が所持する車両のナンバープレート(自動車登録番号標)であり、車の用途区分を区別するための車両の固有番号である。
【0057】
利用者300が一覧表31aの左側の複数の入力項目に応じた右側の複数の入力欄への車両情報を含む個人情報の入力を終了して、その下部の入力完了ボタン31bを選択(クリック)すると、利用者300が所有する車両情報を含む個人情報を入力した車両情報入力フォーマットは、利用者端末30から管理端末10に送信される(ステップS5)。
【0058】
管理端末10は、利用者端末30から受信した利用者300の車両情報を含む個人情報を、記憶部11の会員の車両情報記憶領域に登録(ステップS6)して、利用者300の利用者端末30に会員登録の完了を送信する(ステップS7)。このとき、正規会員の会員ID及びパスワードも送信する。会員IDは、ECサイトにおいて会員毎に自動で割り当てられる番号(例えば、5桁の数字)である。パスワードは、車両情報入力フォーマットにおいて、利用者300が任意に「パスワード」として設定した8桁の英数字である。なお、利用者300が個人情報入力フォーマットの「パスワード」を設定しなかった場合は、Webサイトにおいて会員毎に「パスワード」として、8桁の英数字が自動で割り当てられる場合がある。
【0059】
利用者300は、利用者端末30で会員登録の完了、会員ID、パスワードを受信(ステップS8)すると、会員登録を終了して、管理端末10との接続を切断する。そして、次回以降受信した会員ID、パスワードを用いて管理端末10にアクセス(接続)すると、Webサイトの会員専用のホームページに接続され、駐車場管理システム1の利用、つまり、Webサイトにおいて、駐車場の利用率の受信、駐車料金のオンライン精算等の各種サービスを受けることが可能となる。
【0060】
[5.駐車場管理システムの無料駐車場における運用]
【0061】
以下、
図6及び
図7を参照して、本実施形態の駐車場管理システム1を無料駐車場に設置した場合を一例として、駐車場管理システム1の運用を説明する。なお、以下の説明では、高速道路のPA(パーキングエリア)に、駐車場管理システム1を構成する複数の監視カメラ25(25a、25b、25c)、この監視カメラ25で撮像された画像(動画)を解析する画像処理端末20、当該PAの車両の利用状況(満車・空車)を表示する表示装置26を設置した場合を一例として説明する。
【0062】
図6に示すように、高速道路のPA(パーキングエリア)は、車両が駐車可能な複数の車室Rが設けられた駐車スペースPと、車道Sから駐車スペースPに車両が入場する入場路S1、駐車スペースPから車道Sに車両が退場する退場路S2とにより構成されている。駐車スペースPには、複数の車室Rが設けられている。車室Rは、普通乗用車の駐車スペースで構成されたゾーンZ1と、大型車(バスやトラック等)の駐車スペースで構成されたゾーンZ2とに分かれて設けられている。
【0063】
ゾーンZ1は7台分の車室Rで構成されており、車室Rは、A1~A7の番号が付されている。ゾーンZ2は5台分の車室Rで構成されており、車室Rは、B1~B5の番号が付されている。この車室Rに付された番号は、本実施形態の駐車場管理システム1において、管理端末10や画像処理端末20において、車室Rにおける駐車車両の有無を管理するために付された番号である。
図6では、ゾーンZ1の7台の車室RのうちのA2、A3、A5、A6は、車両Cが駐車した状態を示しており、7台の車室RのうちのA1、A4、A7は、車両Cが駐車していない状態(つまり、空車)であることを示している。また、ゾーンZ2の5台の車室RのうちのB1、B2、B4、B5は、車両Cが駐車した状態を示しており、5台の車室RのうちのB3は、車両Cが駐車していない状態(つまり、空車)であることを示している。
【0064】
図6に示す高速道路では、車両Cは車道Sを右から左に走行する。このため、入場路S1は車道Sから駐車スペースPへの車両Cの入場専用の道路であり、退場路S2は駐車スペースPから車道Sへの車両Cの退場専用の道路である。駐車スペースPの7台分の車室Rで構成されたゾーンZ1の左側には、ガソリンスタンドGSや売店・トイレWCが設置されている。
【0065】
上記構成のPAにおいて、入場路S1には、車道Sから駐車スペースPへの車両の入場を検出する仮想の計測線L及び計測エリアAが設定されている。退場路S2には、駐車スペースPから車道Sへの車両の退場を検出する仮想の計測線L及び計測エリアAが設定されている。この仮想の計測線L及び計測エリアAは、PAの駐車スペースPへの車両の入退場を検知するために、画像処理端末20において設定されるものである。入場路S1の上流側の車道Sには、PAの駐車スペースPにおける車両の利用状況(満車・空車)を利用者に報知する表示装置26が設置されている。この表示装置26により、高速道路の車道Sを走行中の車両Cの運転者は、当該PAが利用可能(駐車可能)か否かを判断することができるようにしている。
【0066】
PAにおける監視カメラ25aは、入場路S1に設定された仮想の計測線L及び計測エリアAを通過する車両Cを撮像可能な位置に設置されている。監視カメラ25bは、PAの駐車スペースPにおけるゾーンZ1及びゾーンZ2の車室Rにおける車両Cが駐車されているか否かを撮像可能な位置に設置されている。監視カメラ25cは、退場路S2に設定された仮想の計測線L及び計測エリアAを通過する車両Cを撮像可能な位置に設置されている。このため、監視カメラ25(25a、25b、25c)は、PAに垂直に立設された所定高さ(例えば、5m)のポールの上部に、斜め下方を撮像できるように設置されている。
【0067】
そして、この監視カメラ25(25a、25b、25c)で撮像された画像(動画を含む)は、画像処理端末20で記憶され、この画像に基づいて、画像処理端末20は、PAの駐車スペースPへの車両Cの入退場及び駐車スペースPにおけるゾーンZ1及びゾーンZ2の車室Rにおける車両Cの駐車の有無を判断する。なお、監視カメラ25としては、設置位置の調整が容易で、暗所でも赤外線等により高感度で撮像でき、画像のフォーカス機能を備えたカメラが好適に用いられる。
【0068】
上記構成の無料駐車場(高速道路のPA)において、
図7に示すように、画像処理端末20は、監視カメラ25(25a、25b、25c)で撮像された画像を録画(記憶)する(ステップS10)。そして、録画された監視カメラ25の画像を解析する(ステップS11)。そして、PAの駐車スペースPへの車両Cの入退場を検出したか否かを判別(ステップS12)し、入退場を検出したと判断した場合(ステップS12:Yes)は、駐車スペースPへの車両の入退場を管理端末10に送信する。一方、入退場を検出していないと判断した場合(ステップS12:No)は、ステップS15に処理を移す。
【0069】
このPAの駐車スペースPへの車両Cの入退場の検出は、画像処理端末20に記憶された監視カメラ25(25a、25c)で撮像された画像を分析することで行われる。具体的には、監視カメラ25aで撮像された画像を解析して、入場路S1に設定された仮想の計測線Lに車両Cが到達し、その後、駐車スペースP側に車両Cが計測エリアAを通過したことを検出した画像処理端末20は、PAの駐車スペースPへの車両Cの1台入場を管理端末10に送信する。また、監視カメラ25cで撮像された画像を解析して、退場路S2に設定された仮想の計測線Lに車両Cが到達し、その後、車道S側に車両Cが計測エリアAを通過したことを検出した画像処理端末20は、PAの駐車スペースPからの車両Cの1台退場を管理端末10に送信する。
【0070】
PAの駐車スペースPへの車両Cの入退場を受信した管理端末10は、PAの駐車スペースPの利用率を算出する(ステップS13)。そして、PAの駐車スペースPの車室Rの数(ゾーンZ1:7台、ゾーンZ2:5台の合計12台)に対して、所定の閾値(例えば、90%)に達したか否かを判別し、達した場合は表示装置26にPAの駐車スペースPの満車を表示し、達していない場合は表示装置26にPAの駐車スペースPの空車を表示する(ステップS14)。このとき、画像処理端末20は、監視カメラ25bで撮像された画像を解析し、ゾーンZ1又はゾーンZ2別に車室Rにおける車両Cの利用状況を判別して管理端末10に送信し、管理端末10は、車室RのゾーンZ1又はゾーンZ2別に表示装置26において空車・満車を分けて表示してもよい。これにより、大型車の車室Rで構成されたゾーンZ2は満車、小型車の車室Rで構成されたゾーンZ1には空きがある等のPAの駐車スペースPにおける詳細な利用状況を利用者300に知らせることができるので、利用者300の利便性が向上する。また、空車・満車の表示だけではなく、空車の車室Rの数をゾーンZ1又はゾーンZ2毎に表示してもよい。
【0071】
画像処理端末20は、監視カメラ25bで撮像された画像を解析し、PAの駐車スペースPにおける人の行動パターンを記憶部21の行動パターン記憶部に記憶されている車上荒らし、車両盗難を企む人の行動パターンと比較する。具体的には、駐車スペースPに侵入して駐車している車両Cに近づいて所定時間停止し、次の駐車中の車両に移動する等の動作パターンを繰り返す人を検出した場合は、車上荒らしや車両盗難を画策していると判断する。また、車両Cと車両Cとの追突や接触、又は、人と車両Cとの衝突や接触を検出すると事故発生と判断する。そして、画像処理端末20は、車両Cの盗難(車上荒らしも含む)や事故を検出したか否かを判別(ステップS15)し、盗難・事故を検出したと判断した場合(ステップS15:Yes)は、駐車スペースPにおける盗難・事故を管理端末10に送信する。一方、盗難・事故を検出していないと判断した場合(ステップS15:No)は、上述したステップS10からの処理を繰り返す。
【0072】
PAの駐車スペースPにおける車両Cの盗難・事故の検出を受信した管理端末10は、PAの管理者にその旨を送信する(ステップS15)。これにより、PAの管理者により、駐車場管理システム1を導入している無料駐車場においては、車上荒らしや車両盗難を未然に防ぐことが可能となるとともに、事故等への対処も速やかに行うことができる。特に、車両Cと人との衝突や接触事故を検出した場合は、管理端末10は駐車場管理者だけではなく管轄の警察や消防(救急車の手配)に通知するようにしてもよい。
【0073】
[6.駐車場管理システムの有料駐車場における運用]
【0074】
以下、
図8、
図9及び
図10を参照して、本実施形態の駐車場管理システム1を有料駐車場に設置した場合を一例として、駐車場管理システム1の運用を説明する。なお、以下の説明では、一般の有料駐車場に、駐車場管理システム1を構成する複数の監視カメラ25(25a、25b)、この監視カメラ25で撮像された画像(動画)を解析する画像処理端末20、当該有料駐車場の車両の利用状況(満車・空車)を表示する表示装置26を設置した場合を一例として説明する。なお、この有料駐車場の利用者300は、予め駐車場管理システム1に会員登録した利用者300である。
【0075】
図8に示すように、有料駐車場PKは、車両が駐車可能な複数の車室Rが設けられた駐車スペースPと、車道Sから駐車スペースPに車両が入退場する2か所の出入口S1、S2とにより構成されている。駐車スペースPには、複数(4台、4列の合計16箇所))の車室Rが設けられている。車室Rは、4台の駐車スペースで構成されたゾーンZ1、ゾーンZ2、ゾーンZ3、ゾーンZ4との4列で構成されている。
【0076】
ゾーンZ1は4台分の車室Rで構成されており、車室Rは、A1~A4の番号が付されている。ゾーンZ2は4台分の車室Rで構成されており、車室Rは、B1~B4の番号が付されている。ゾーンZ3は4台分の車室Rで構成されており、車室Rは、C1~C4の番号が付されている。ゾーンZ4は4台分の車室Rで構成されており、車室Rは、D1~D4の番号が付されている。この車室Rに付された番号は、本実施形態の駐車場管理システム1において、管理端末10や画像処理端末20において、車室Rにおける駐車車両の有無を管理するために付された番号である。
【0077】
図8では、ゾーンZ1の車室RのうちのA1、A3、A4は、車両Cが駐車した状態を示しており、A2は、車両Cが駐車していない状態(つまり、空車)である。ゾーンZ2の車室RのうちのB1、B4は、車両Cが駐車した状態を示しており、B2、B3は、車両Cが駐車していない状態(つまり、空車)である。ゾーンZ3の車室RのうちのC1、C3、C4は、車両Cが駐車した状態を示しており、C2は、車両Cが駐車していない状態(つまり、空車)である。ゾーンZ4の車室Rは全て車両Cが駐車した状態を示しており、空車の車室Rはない。
【0078】
図6に示す有料駐車場PKは、2箇所の車両Cの出入口S1、S2には、車道Sから駐車スペースPへの車両の入退場を検出する仮想の計測線L及び計測エリアAが設定されている。この仮想の計測線L及び計測エリアAは、有料駐車場PKの駐車スペースPへの車両の入退場を検知するために、画像処理端末20において設定されるものである。出入口S1、S2の近傍には、有料駐車場PKの駐車スペースPにおける車両の利用状況(満車・空車)を利用者300に報知する表示装置26がそれぞれ設置されている。この表示装置26により、車道Sを走行中の車両Cの運転する利用者300は、有料駐車場PKが利用可能(駐車可能)か否かを判断することができるようにしている。
【0079】
有料駐車場PKにおける監視カメラ25aは、出入口S1に設定された仮想の計測線L及び計測エリアAを通過する車両Cを撮像可能な位置、及び、出入口S1を中心として両側に設けられた駐車スペースPにおける2列のゾーンZ1及びゾーンZ2の車室Rにおける車両Cが駐車されているか否かを撮像可能な位置に設置されている。また、監視カメラ25bは、出入口S2に設定された仮想の計測線L及び計測エリアAを通過する車両Cを撮像可能な位置、及び、出入口S2を中心として両側に設けられた駐車スペースPにおける2列のゾーンZ3及びゾーンZ4の車室Rにおける車両Cが駐車されているか否かを撮像可能な位置に設置されている。このため、監視カメラ25(25a、25b)は、有料駐車場PKに垂直に立設された所定高さ(5m)のポールの上部に、斜め下方を撮像できるように設置されている。
【0080】
そして、この監視カメラ25(25a、25b)で撮像された画像(動画を含む)は、画像処理端末20で記憶され、この画像に基づいて、画像処理端末20は、有料駐車場PKの駐車スペースPへの車両Cの入退場及び駐車スペースPにおけるゾーンZ1~ゾーンZ4の車室Rにおける車両Cの駐車の有無を判断する。なお、監視カメラ25としては、設置位置の調整が容易で、暗所でも赤外線等により高感度で撮像でき、画像のフォーカス機能を備えたカメラが好適に用いられる。
【0081】
上記構成の有料駐車場PKにおいて、
図9に示すように、画像処理端末20は、監視カメラ25(25a、25b)で撮像された画像を録画(記憶)する(ステップS20)。そして、録画された監視カメラ25の画像を解析する(ステップS21)。そして、PAの駐車スペースPへの車両Cの入退場を検出したか否かを判別(ステップS22)し、入退場を検出したと判断した場合(ステップS22:Yes)は、駐車スペースPへの車両の入退場を管理端末10に送信する。一方、入退場を検出していないと判断した場合(ステップS22:No)は、ステップS26に処理を移す。このとき、画像処理端末20は、有料駐車場PKの駐車スペースPにおけるゾーンZ1~ゾーンZ4の車室Rにおける車両Cの駐車の有無も管理端末10に送信する。
【0082】
この有料駐車場PKの駐車スペースPへの車両Cの入退場の検出は、画像処理端末20に記憶された監視カメラ25(25a、25b)で撮像された画像を分析することで行われる。具体的には、出入口S1、S2に設定された仮想の計測線Lに車両Cが到達し、その後、駐車スペースP側に車両Cが計測エリアAを通過したことを検出した画像処理端末20は、駐車スペースPへの車両Cの1台入場を管理端末10に送信する。また、出入口S1、S2に設定された仮想の計測線Lに車両Cが到達し、その後、車道S側に車両Cが計測エリアAを通過したことを検出した画像処理端末20は、PAの駐車スペースPからの車両Cの1台退場を管理端末10に送信する。
【0083】
画像処理端末20は、
図10に示すように、監視カメラ25(25a、25b)で撮像した入退場した車両CのナンバープレートNPの数字を識別して管理端末10に送信する。
図10においては、車両Cが有料駐車場PKの駐車スペースPに、出入口S1、S2の計測エリアAを通過して入場した場合の車両Cの前部に設置されたナンバープレートNPを識別した状態を示している。なお、有料駐車場PKの駐車スペースPから出入口S1、S2の計測エリアAを通過して車両Cが退場した場合は、車両Cの後部に設置されたナンバープレートNPが識別される。そして、管理端末10は、有料駐車場PKの駐車スペースPへの車両Cの入退場とナンバープレートNPの識別情報を受信すると、受信した時間をナンバープレートNPの識別情報に紐づけて管理端末10の記憶部11に記憶する。ここで、管理端末10の記憶部11に記憶された車両Cの入退場時間とナンバープレートNPの識別情報は、後述の駐車料金清算処理で参照されて、有料駐車場PKにおける駐車料金のオンラインによる自動精算処理が実行される。
【0084】
上述したように、本実施形態の有料駐車場PKの利用者300は、予め駐車場管理システム1に会員登録している。そして、会員登録した利用者300が運転する車両CのナンバープレートNPは、管理端末10の記憶部11の会員の車両情報記憶領域に車両ナンバー(
図5参照)として登録されている。そして、管理端末10は、車両Cが有料駐車場PKの駐車スペースPに入場した時の車両CのナンバープレートNPの識別情報を画像処理端末20から受信すると、このナンバープレートNPの識別情報が車両情報記憶領域に記憶されている車両ナンバー(
図5参照)に該当するか否かを判別する。そして、入場した時の車両CのナンバープレートNPの識別情報が、記憶部11の車両情報記憶領域に記憶されている車両ナンバー(
図5参照)に該当しなかった場合は、入場した車両Cは、駐車場管理システム1に会員登録している利用者300ではないと判断して、当該車両Cの運転手に対して、有料駐車場PKの利用ができないことを報知して、当該有料駐車場PKからの退場を運転手に促す。この有料駐車場PKの利用不可の報知は、例えば、有料駐車場PKの出入口S1、S2近傍に設置された表示装置26で行ってもよいし、専用の報知手段(警報等)を設けて報知してもよい。
【0085】
有料駐車場PKの駐車スペースPへの車両Cの入退場を受信した管理端末10は、駐車スペースPの利用率を算出する(ステップS23)。そして、有料駐車場PKの駐車スペースPの車室Rの数(ゾーンZ1:4台、ゾーンZ2:4台、ゾーンZ3:4台、ゾーンZ4:4台の合計16台)に対して、所定の閾値(例えば、90%)に達したか否かを判別し、達した場合は表示装置26に有料駐車場PKの駐車スペースPの利用状況が利用不可(つまり、満車)であることを表示し、達していない場合は表示装置26に有料駐車場PKの駐車スペースPの利用状況が利用可能(つまり、空車)を表示する(ステップS24)。表示装置26における満車・空車の表示は、表示装置26に満車ランプと空車ランプ(図示せず)を設け、例えば、満車ランプを赤色灯で空車ランプを緑色灯で点灯することで、利用者300に駐車場の利用状況(満車・空車)が判別し易く表示される。このとき、表示装置26においては、車室RのゾーンZ1~ゾーンZ4毎に、空車・満車を分けて表示してもよい。これにより、利用者300の利便性が向上する。また、空車・満車の表示だけではなく、空車の車室Rの数をゾーンZ1~ゾーンZ4毎に表示してもよい。
【0086】
ここで、有料駐車場PKの駐車スペースPの利用状況(満車・空車)は、会員である利用者300は管理端末10が運用するWebサイトにおいて、利用者端末30を介していつでも確認可能としている。つまり、利用者端末30を管理端末10のWebサイトに接続することで、有料駐車場PKの駐車スペースPの利用状況は、管理端末10から利用者端末30に送信され、利用者300は、利用者端末30の表示装置31において、有料駐車場PKの駐車スペースPの利用状況を確認することができる。このとき、管理端末10は、有料駐車場PKのある地域のマップデータと連携して、有料駐車場PKの車両の利用状況を送信することで、利用者300は、地域のマップデータの中で利用可能な有料駐車場PKを検索することができる。
【0087】
管理端末10は、入退場を検出した時間と車両ナンバーに基づいて、会員を特定し駐車料金の精算処理(オンライン精算)を行う(ステップS25)。有料駐車場PKを利用する利用者300は、予め駐車場管理システム1に会員登録した利用者300である。このため、利用者300の車両ナンバー(
図5参照)は上述した会員登録処理により管理端末10の記憶部11の会員の車両情報記憶領域に登録されている。このため、会員である利用者300毎に有料駐車場PKの利用時間(入場時間から退場時間)を算出し、自動的に清算処理を行う。この清算処理は、例えば、カード決済(クレジットカード)、電子マネー決済、後払い決済(銀行振込)等の複数の決済から利用者300が望む決済方法を選択的に設定可能としている。
【0088】
管理端末10は、車室RのゾーンZ1~ゾーンZ4のうち、特定のゾーンを予約可能な事前予約専用ゾーンとし、会員である利用者300による事前予約を可能とする駐車予約処理(ステップS26)を行う。つまり、有料駐車場PKの駐車スペースPのうちゾーンZ1が事前予約専用ゾーンに設定されていた場合は、ゾーンZ1の空いている車室R(
図8中ではA2の車室R)を会員である利用者300は予め予約しておくことができる。この場合は、利用者300は、利用者端末30を介して管理端末10のWebサイトに接続し、ゾーンZ1の空いている車室R(
図8中ではA2の車室R)を事前予約する。これにより、管理端末10は、ゾーンZ1の空いているA2の車室Rは車両Cが駐車されているものとみなし、ゾーンZ1は満車の表示がされる。
【0089】
管理端末10は、駐車スペースPの車室RのゾーンZ1~ゾーンZ4に駐車されている車両CのナンバープレートNPの識別情報に基づいて、当該車両Cの駐車が妥当か否かを判断する違法駐車検出処理(ステップS27)を行う。有料駐車場PKの駐車スペースPを利用可能な利用者300は、予め駐車場管理システム1に会員登録した利用者300である。このため、利用者300の車両ナンバーは上述した会員登録処理により管理端末10の記憶部11の会員の車両情報記憶領域に登録されている。そして、管理端末10は、駐車スペースPのゾーンZ1~ゾーンZ4の車室Rに駐車されている車両CのナンバープレートNPの識別情報が登録者以外であることを検出した場合は、違法駐車とみなして有料駐車場PKの管理者に報告する。これにより、違法駐車の報告を受けた管理者は、有料駐車場PKの駐車スペースPにおける違法駐車を摘発し、再発を防止することができる。
【0090】
画像処理端末20は、監視カメラ25(25a、25b)で撮像された画像を解析し、有料駐車場PKの駐車スペースPにおける人の行動パターンを記憶部21の行動パターン記憶部に記憶されている車上荒らし、車両盗難を企む人の行動パターンと比較する。具体的には、駐車スペースPに侵入して駐車している車両Cに近づいて所定時間停止し、次の駐車中の車両に移動する等の動作パターンを繰り返す人を検出した場合は、車上荒らしや車両盗難を画策していると判断する。なお、画像処理端末20の記憶部21の行動パターン記憶部に記憶されている人の行動パターンは、管理端末10と画像処理端末20との間で、常に最新の車上荒らしや車両盗難に関連する人の行動パターンが記憶更新される。また、車両Cと車両Cとの追突や接触、又は、人と車両Cとの衝突や接触を検出すると事故発生と判断する。そして、画像処理端末20は、車両Cの盗難(車上荒らしも含む)や事故を検出したか否かを判別(ステップS28)し、盗難・事故を検出したと判断した場合(ステップS28:Yes)は、駐車スペースPにおける盗難・事故を管理端末10に送信する。一方、盗難・事故を検出していないと判断した場合(ステップS28:No)は、上述したステップS20からの処理を繰り返す。
【0091】
有料駐車場PKの駐車スペースPにおける車両Cの盗難・事故の検出を受信した管理端末10は、有料駐車場PKの管理者や会員である駐車場の利用者300の利用者端末30にその旨を送信する(ステップS29)。これにより、管理者や会員である利用者300により、駐車場管理システム1を導入している有料駐車場PKにおいては、車上荒らしや車両盗難を未然に防ぐことが可能となるとともに、事故等への対処も速やかに行うことができる。特に、車両Cと人との衝突や接触事故を検出した場合は、管理端末10は駐車場管理者だけではなく管轄の警察や消防(救急車の手配)に通知するようにしてもよい。
【0092】
以下、
図11を参照して、本実施形態の駐車場管理システム1における駐車場の利用状況(所謂、満車/空車)を表示する表示装置26の異なる表示形態を説明する。上述してきた実施形態では、有料駐車場の車両の利用状況を満車や空車の表示で説明してきたが、表示装置26においては、空いている車室Rの数を複数の車室R別に表示することができる。また、空いている車室Rの数に応じて、ゾーン別に満車率が視覚的に視認できるように色分けして表示することもできる。なお、以下の説明の表示装置26は、上述した高速道路等の無料駐車場や有料駐車場のどちらにも適用することができる。
【0093】
図11(a)に示すように、表示装置26は、上段左右に車場の利用状況を表示する満車ランプ26aと空車ランプ26bが配設されている。満車ランプ26aは、例えば、赤色で点灯することで当該駐車場の駐車スペース(空車の車室R)に空きが無いことを利用者300に示し、空車ランプ26bは、例えば、緑色で点灯することで当該駐車場の駐車スペース(空車の車室R)に空きが有ることを利用者300に示す。これにより、利用者300に駐車場の利用状況(満車・空車)を視認し易く表示する。
【0094】
満車ランプ26aと空車ランプ26bの下部には駐車エリア混雑マップMP1が表示されている。駐車エリア混雑マップMP1は、駐車場の複数の車室Rにおける車両Cの駐車の有無が表示されるものであり、駐車場を上方から鳥瞰した平面図(鳥瞰図)である。駐車エリア混雑マップMP1は、駐車スペースPを構成する車両Cが駐車可能な複数の車室Rと、駐車スペースPの下段中央部から車両Cが入退場する1か所の出入口S1とが表示されている。駐車スペースPの車室Rは、4個のゾーンで構成されており、出入口S1の左側に4台分の車室Rで構成されたゾーンZ1、右側に5台分の車室Rで構成されたゾーンZ2、略中央部に6台分の車室Rで構成されたゾーンZ3、出入口S1と対応する奥側に10台分の車室Rで構成されたゾーンZ4との合計24台分の車室Rが表示されている。
【0095】
各ゾーンの車室Rには、車両Cが駐車している場合は車両の図が、車両Cが駐車していない場合は空車を示す「空」の文字が車室R毎の車両Cの利用状況として表示されている。このように、駐車スペースPの車室R毎の車両Cの利用状況を表示装置26に表示することで、当該駐車場の利用者300は、空いている車室Rを容易に見つけることができる。さらに、この空いた車室Rへの出入口S1からの車両Cの最適な移動ルートを黒矢印26cで表示している。具体的には
図11(a)に示す様に、ゾーンZ1の左側に2台分の空いている車室Rがあるため、出入口S1から左方向への車両Cの移動を表示し、ゾーンZ4の左側に多く(図中は5台分)の空いている車室Rがあるため、さらに、このゾーンZ4への車両Cの移動を表示している。これにより、当該駐車状の利用者300は、駐車スペースP内において空いている車室Rを見つけるために、車両Cを無駄に移動(巡回)することなく駐車可能な車室Rへ車両Cを効率よく移動させて駐車することを可能としている。
【0096】
また、
図11(b)に示すように、上述した駐車エリア混雑マップMP1とは表示方法の異なる駐車エリア混雑マップMP2により、駐車場の駐車スペースPの駐車状況を表示することができる。駐車エリア混雑マップMP2は、上述した駐車エリア混雑マップMP1とは異なり、駐車場の複数のゾーン(図中は、ゾーンZ1~Z4)毎に、車両Cの駐車状況を色分け(又は、色の濃淡)した満車率26dと対応した色で塗りつぶして表示している以外は、
図11(a)に示す表示装置26と構成は同じである。
【0097】
この満車率26dは、単色の濃淡の異なる色で表示してもよいし、異なる色(例えば、満車率26dが高い場合は赤色、満車率26dが低い場合は青色等)で表示してもよい。具体的には、単色の濃淡の異なる色で表示する場合は、空いている車室Rがないゾーン(図中はゾーンZ3)が最も色濃く塗りつぶされ、空いている車室Rの数が多いゾーン(図中はゾーンZ4)の左側が最も淡い色で塗りつぶされている。このように、満車率26dと対応した色の濃淡でゾーン毎に利用状況を段階的に塗りつぶして表示することで、利用者300に空いている車室Rの数の多いゾーンを視覚的に識別可能としている。
【0098】
また、
図11(b)に示す駐車エリア混雑マップMP2においても、淡い色で塗りつぶされたゾーンへの出入口S1からの車両Cの最適な移動ルートを黒矢印26cで表示している。これにより、当該駐車状の利用者300は、駐車スペースP内において空いている車室Rの多いゾーンを見つけるために、車両Cを無駄に移動(巡回)することなく駐車可能なゾーンへ車両Cを効率よく移動させて駐車することを可能としている。
【0099】
上述してきたように、本実施形態の駐車場管理システム1によれば、駐車場(有料又は無料駐車場)への設備投資を可及的に低く抑えるとともに駐車場の利用状況(満車・空車)を確実に利用者300に報知することができる。
【0100】
また、管理端末10は、表示装置26に空いている車室Rの表示や複数の車室Rで構成されたゾーンの満車率を色により表示するとともに、この空いた車室Rへの出入口S1からの車両Cの最適な移動ルートを表示する。これにより、駐車場(有料又は無料駐車場)の利用者300は、駐車場内を空いている車室Rを見つけるために無駄に移動(巡廻)することなく駐車可能な車室Rへ車両を効率よく移動させて駐車することができる。
【0101】
上述してきたように、本実施形態の駐車場管理システム1によれば、駐車場の規模(大きさ)や形状に応じて、駐車場に入退場する車両Cや駐車場の車室Rに駐車中の車両Cを撮像するために必要な台数の監視カメラ25と、複数の監視カメラ25に接続され監視カメラ25で撮像した画像を解析する複数の画像処理端末20と、複数の表示装置26を駐車場に設置し、複数の画像処理端末20との通信により当該駐車場の利用状況を管理端末10により総合管理することで、駐車場への設備投資を可及的に低く抑えるとともに駐車場の利用状況を確実に利用者に報知することができる駐車場管理システム1を提供することができる。
【0102】
以上、上記実施形態を通して本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、上述した各効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0103】
1 駐車場管理システム
10 管理端末
11 記憶部
12 入出力制御部
13 制御部
14 外部通信制御部
20 画像処理端末
21 記憶部
22 入出力制御部
23 制御部
24 外部通信制御部
25 監視カメラ
26 表示装置
30 利用者端末
100 管理業者
300 利用者