(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014701
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20230124BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118801
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】500392416
【氏名又は名称】クォンツ・リサーチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 公佑
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB51
(57)【要約】
【課題】企業ごとのセグメント情報を基に、株式の検索または分析に有用な情報を提供すること。
【解決手段】情報提供装置100は、複数の企業の各々について、企業の事業活動におけるセグメントを単位とする財務データを含むセグメント情報を取得するセグメント情報取得部11と、複数の企業に共通の事業分類であってあらかじめ設定された共通事業分類に従ってセグメントに事業名を定義付け、セグメントに定義付けられた事業名に財務データが紐付けられた事業構成情報を作成する事業構成情報作成部15と、事業構成情報を使用して加工されたデータを出力する出力部18と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の企業の各々について、企業の事業活動におけるセグメントを単位とする財務データを含むセグメント情報を取得するセグメント情報取得部と、
前記複数の企業に共通の事業分類であってあらかじめ設定された共通事業分類に従って前記セグメントに事業名を定義付け、前記セグメントに定義付けられた前記事業名に財務データが紐付けられた事業構成情報を作成する事業構成情報作成部と、
前記事業構成情報を使用して加工されたデータを出力する出力部と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記複数の企業の各々の前記セグメントを前記共通事業分類にマッピングするためのマッピングデータを蓄積したマッピングデータベースを作成し、かつ設定された前記共通事業分類を管理する共通事業分類管理部を備え、
前記事業構成情報作成部は、前記セグメント情報において使用されるセグメント名を前記マッピングデータベースに基づいて前記事業名に変換することによって、前記セグメントに前記事業名を定義付けることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記共通事業分類管理部は、前記セグメント情報に含まれる文言に基づいて、前記セグメント名に対応する前記事業名を前記共通事業分類から選択することによって、前記マッピングデータを作成することを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
情報提供装置により顧客に情報を提供する情報提供方法であって、
複数の企業の各々について、企業の事業活動におけるセグメントを単位とする財務データを含むセグメント情報を取得するステップと、
前記複数の企業に共通の事業分類であってあらかじめ設定された共通事業分類に従って前記セグメントに事業名を定義付け、前記セグメントに定義付けられた前記事業名に財務データが紐付けられた事業構成情報を作成するステップと、
前記事業構成情報を使用して加工されたデータを出力するステップと、
を含むことを特徴とする情報提供方法。
【請求項5】
顧客に情報を提供する情報提供装置としてコンピュータを機能させる情報提供プログラムであって、
複数の企業の各々について、企業の事業活動におけるセグメントを単位とする財務データを含むセグメント情報を取得するステップと、
前記複数の企業に共通の事業分類であってあらかじめ設定された共通事業分類に従って前記セグメントに事業名を定義付け、前記セグメントに定義付けられた前記事業名に財務データが紐付けられた事業構成情報を作成するステップと、
前記事業構成情報を使用して加工されたデータを出力するステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投資についての情報を提供する情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
株価の展望、テクニカル分析情報、決算資料などといった、投資家の投資判断に有用な情報を提供することによって、投資家の投資判断を支援するサービスが知られている。
【0003】
特許文献1には、投資家が選んだ基準銘柄と類似の銘柄を銘柄群の中から検索する機能を備えた資産運用支援システムが開示されている。特許文献1の資産運用支援システムでは、検索対象とする株式市場と業種とを選択して、類似の銘柄を検索することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
企業は、売上高、利益または損失、資産、およびその他の財務情報を事業単位ごとにまとめたセグメント情報を公表する。上場企業は、有価証券報告書または四半期報告書などの開示書類によりセグメント情報を開示する。セグメント情報は、事業別の規模および構成比、事業別の成長性および収益性などといった経営指標を把握する上で有用な情報である。
【0006】
企業が公表するセグメント情報において、セグメントの名称や、セグメントに含める事業の範囲などは、企業によって独自に決定されている。セグメント情報におけるセグメントの分類は、通常、証券取引所が採用する業種分類、例えば東証33業種などとは異なる。また、セグメント情報におけるセグメントの分類は、企業間においても大きく異なる。
【0007】
企業における事業ごとの経営指標から銘柄を検索したい場合、または、複数の銘柄について事業ごとの経営指標を比較したい場合などにおいて、企業ごとにセグメントの分類がさまざまであることで、セグメント情報からは、投資を判断する上で有用な検索または分析を行うことが難しいという問題があった。
【0008】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、企業ごとのセグメント情報を基に、株式の検索または分析に有用な情報を提供することを可能とする情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる情報提供装置は、複数の企業の各々について、企業の事業活動におけるセグメントを単位とする財務データを含むセグメント情報を取得するセグメント情報取得部と、複数の企業に共通の事業分類であってあらかじめ設定された共通事業分類に従ってセグメントに事業名を定義付け、セグメントに定義付けられた事業名に財務データが紐付けられた事業構成情報を作成する事業構成情報作成部と、事業構成情報を使用して加工されたデータを出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示にかかる情報提供装置は、企業ごとのセグメント情報を基に、株式の検索または分析に有用な情報を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態にかかる情報提供装置の機能構成を示す図。
【
図2】実施の形態にかかる情報提供装置が実行する処理の手順を示すフローチャート。
【
図3】実施の形態にかかる情報提供装置において定義される共通事業分類の例を示す図。
【
図4】実施の形態にかかる情報提供装置が取得するセグメント情報の例を示す図。
【
図5】実施の形態にかかる情報提供装置の事業構成情報作成部によって作成される事業構成情報の例を示す図。
【
図6】実施の形態にかかる情報提供装置により顧客へ提供される情報の第1の例を示す図。
【
図7】実施の形態にかかる情報提供装置により顧客へ提供される情報の第2の例を示す図。
【
図8】実施の形態にかかる情報提供装置により顧客へ提供される情報の第3の例を示す図。
【
図9】実施の形態にかかる情報提供装置のハードウェア構成の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、実施の形態にかかる情報提供装置、情報提供方法および情報提供プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1は、実施の形態にかかる情報提供装置100の機能構成を示す図である。情報提供サービスの運営会社は、顧客の株式投資を支援するための情報を提供する。情報提供サービスの運営会社は、情報提供装置100を使用して顧客に情報を提供する。情報提供装置100は、情報提供装置100として動作するための情報提供プログラムがインストールされたコンピュータシステムである。以下の説明にて、情報提供装置100を操作する人をオペレーターと称する。
【0014】
情報提供装置100は、企業ごとのセグメントを共通事業分類にマッピングするためのマッピングデータベース20を作成する。共通事業分類は、全企業に共通の事業分類であって、あらかじめ定義された事業分類である。情報提供装置100は、マッピングデータベース20に基づいて、セグメント情報において使用されるセグメント名を共通事業分類において使用される事業名に変換する。情報提供装置100は、共通事業分類の事業名に財務データが紐付けられた事業構成情報を生成する。情報提供装置100は、事業構成情報を使用して各種データを加工して、情報を出力する。
【0015】
情報提供装置100は、情報提供装置100を操作するための操作部10と、セグメント情報を取得するセグメント情報取得部11と、株式情報を取得する株式情報取得部12と、顧客から送信された情報が入力される入力部13と、顧客へ提供する情報を出力する出力部18とを有する。また、情報提供装置100は、共通事業分類管理部14と、事業構成情報作成部15と、データ加工部16と、記憶部17とを有する。
【0016】
オペレーターは、操作部10を操作することによって情報提供装置100へ情報を入力する。セグメント情報取得部11は、上場企業のセグメント情報を情報提供装置100の外部から取得する。セグメント情報は、企業の事業活動におけるセグメントを単位とする財務データと、セグメント詳細とを含む。セグメント詳細は、セグメントごとの詳細な事業内容を示す情報である。株式情報取得部12は、情報提供装置100の外部から株式情報を取得する。株式情報は、株価データなどの、株式に関する情報である。
【0017】
顧客は、顧客の通信端末を操作することによって、通信ネットワークを介して、情報提供の依頼または検索指示などを情報提供装置100へ送る。入力部13には、顧客の通信端末から送信された情報が入力される。このように、入力部13は、通信ネットワークを介した顧客からのアクセスを受け付ける。
【0018】
共通事業分類管理部14は、オペレーターによる操作に従って、共通事業分類データベース19に共通事業分類データを保存する。共通事業分類データは、共通事業分類の構成に関するデータであって、共通事業分類において使用される事業名などのデータである。記憶部17は、共通事業分類データベース19を保持する。共通事業分類を更新する場合は、共通事業分類管理部14は、オペレーターによる操作に従って共通事業分類データベース19の情報を書き換えることによって、共通事業分類データベース19を更新する。このように、共通事業分類管理部14は、全企業に適用される共通事業分類を管理する。
【0019】
また、共通事業分類管理部14は、各企業が定義するセグメント名の共通事業分類へのマッピングに使用されるマッピングデータベース20を作成する。マッピングとは、セグメント名を共通事業分類の事業名に変換することを指す。記憶部17は、マッピングデータベース20を保持する。マッピングデータベース20には、各企業のセグメント名に共通事業分類の事業名を紐付けたマッピングデータが蓄積される。さらに、企業によってセグメント名が変更または追加された場合、共通事業分類管理部14は、セグメント情報に基づいてマッピングデータのセグメント名を変更または追加する。このように、共通事業分類管理部14は、セグメント名が変更または追加された場合に、マッピングデータを書き換えることによってマッピングデータベース20を更新する。
【0020】
事業構成情報作成部15は、セグメント情報取得部11においてセグメント情報が取得されると、セグメント情報に使用されるセグメント名をマッピングデータベース20に基づいて共通事業分類の事業名に変換する。これにより、事業構成情報作成部15は、共通事業分類に従ってセグメントに事業名を定義付ける。事業構成情報作成部15は、共通事業分類に基づいた事業構成情報を作成する。具体的には、事業構成情報作成部15は、セグメント情報の内容である、セグメント名と各セグメントの財務データとを基に、共通事業分類の事業名に財務データが紐付けられた事業構成情報を作成する。作成された事業構成情報は、事業構成データベース21に保存される。記憶部17は、事業構成データベース21を保持する。
【0021】
マッピングデータは、オペレーターの操作によって作成されて、共通事業分類管理部14によってマッピングデータベース20に保存される。または、マッピングデータは、共通事業分類管理部14によって作成されても良い。この場合、共通事業分類管理部14は、セグメント情報に含まれる文言に基づいて、セグメント名に対応する事業名を共通事業分類から選択することによってマッピングデータを作成する。
【0022】
共通事業分類管理部14は、セグメント詳細における事業内容の文言と共通事業分類の事業名との関係を人工知能(Artificial Intelligence:AI)が学習した結果に基づいて、セグメント名に対応する事業名を選択しても良い。学習は、情報提供装置100において共通事業分類管理部14または共通事業分類管理部14以外の機能部が行うか、あるいは情報提供装置100の外部の装置が行う。
【0023】
事業構成情報作成部15は、マッピングデータベース20の使用によって、セグメントに定義付けられる共通事業分類の事業名を選択するものに限られない。事業構成情報作成部15は、セグメント情報に含まれる文言に基づいて、セグメント名に対応する事業名を共通事業分類から選択することとしても良い。この場合、情報提供装置100は、マッピングデータベース20の作成および保存を省略しても良い。
【0024】
事業構成情報作成部15は、セグメント詳細における事業内容の文言と共通事業分類の事業名との関係をAIが学習した結果に基づいて、セグメント名に対応する事業名を選択しても良い。学習は、情報提供装置100において事業構成情報作成部15または事業構成情報作成部15以外の機能部が行うか、あるいは情報提供装置100の外部の装置が行う。
【0025】
情報提供装置100の外部の装置による学習の結果を共通事業分類管理部14または事業構成情報作成部15が利用する場合、情報提供装置100は、情報提供装置100の外部の装置から学習の結果を取得する。情報提供装置100の外部の装置は、通信ネットワークを介して情報提供装置100に接続可能な装置であっても良く、クラウドサーバ上に存在する装置であっても良い。
【0026】
データ加工部16は、事業構成データベース21から事業構成情報を読み出し、事業構成情報を提供用のデータに加工する。データ加工部16は、事業構成情報の加工によって、例えば、共通事業分類の事業名ごとの該当銘柄数のリストを生成する。また、データ加工部16は、株式情報取得部12において取得された株式情報のデータを、事業構成情報を使用して加工する。データ加工部16は、事業構成情報を使用して株式情報のデータを加工することによって、例えば、共通事業分類における同一の事業名が定義付けられた銘柄のリスト、共通事業分類における事業別のパフォーマンスと個別銘柄のパフォーマンスとを比較したデータ、共通事業分類における事業ごとのパフォーマンスのランキングなどを生成する。データ加工部16は、株式情報が取得されたときに、事業構成情報を使用して株式情報のデータを加工する。データ加工部16によって加工されたデータは、記憶部17内の加工データ保持部22に保持される。なお、データ加工部16は、顧客による検索指示などのアクセスを入力部13が受け付けたときに、データの加工を行っても良い。
【0027】
データ加工部16は、加工されたデータを含む提供用の情報を生成し、生成された情報を出力部18へ送る。出力部18は、顧客への情報の提供のために、情報を出力する。出力部18は、顧客によるアクセスに対し、加工された情報を返信する。または、出力部18は、加工された情報を顧客に販売するために出力する。情報の提供は、通信ネットワークを介した送信、情報が保存された記憶媒体の提供、情報の内容を印刷した印刷物の提供など、いずれの態様によるものであっても良い。
【0028】
次に、情報提供装置100が実行する処理について説明する。
図2は、実施の形態にかかる情報提供装置100が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【0029】
オペレーターは、操作部10を操作することによって、情報提供装置100へ共通事業分類データを入力する。ステップS1において、共通事業分類管理部14は、入力された共通事業分類データを共通事業分類データベース19に書き込むことによって、共通事業分類データを保存する。
【0030】
ここで、共通事業分類について説明する。
図3は、実施の形態にかかる情報提供装置100において定義される共通事業分類の例を示す図である。共通事業分類は、情報提供装置100によってセグメント情報が取得される全ての企業の事業を網羅するように定義される。
図3には、共通事業分類のうちの一部を示す。
【0031】
共通事業分類では、事業の種類が、複数の階層により分類されている。
図3に示す共通事業分類では、第1分類、第2分類および第3分類の順に、事業の種類が細かく分類されている。事業名は、階層ごとに付与される。例えば、「電気機器/家電/テレビ」は、第1分類、第2分類および第3分類の3つの階層の各事業名を表す。なお、事業の種類を分類するための階層の数は、3つに限られず任意であるものとする。
【0032】
また、共通事業分類では、全ての事業が同じ数の階層により分類されている必要は無いものとする。共通事業分類には、互いに異なる数の階層によって分類が定義された事業同士が含まれても良い。例えば、共通事業分類には、第1分類、第2分類および第3分類の3つの階層によって分類される事業と、第1分類および第2分類の2つの階層によって分類される事業とが混在しても良い。
【0033】
共通事業分類に使用される全ての事業名には、事業名同士を識別するための事業コードが付与される。事業コードは、各階層の事業名に付与される。例えば、「家電」は、「電気機器」に包含される事業名であるが、「電気機器」には「XX0101」、「家電」には「XX0102」というように、各階層の事業名に事業コードが付与される。共通事業分類データは、各階層の事業名と、事業名に付与された事業コードとを含む。共通事業分類データベース19には、階層構造に対応付けられた事業名と、事業名に付与された事業コードとが格納される。
【0034】
図2に示すステップS2において、セグメント情報取得部11は、情報提供装置100の外部からセグメント情報を取得する。
【0035】
ここで、情報提供装置100が取得するセグメント情報について説明する。
図4は、実施の形態にかかる情報提供装置100が取得するセグメント情報の例を示す図である。
図4には、ある1つの企業によって公表されたセグメント情報の主な内容を示す。
【0036】
図4に示すセグメント情報には、企業の事業活動におけるセグメントの名称であるセグメント名と、各セグメントのセグメント詳細と、各セグメントの財務データとが含まれる。
図4に示す売上高は、財務データの代表例とする。セグメント情報の財務データには、売上高の他に、利益または損失、資産、あるいはその他の財務情報などのデータが含まれる。
【0037】
図4に示す「ホームメディアシステム」および「生活家電」の各々は、企業によって定義されたセグメント名の例である。また、セグメント詳細は、セグメントごとの詳細な事業内容を表す。例えば、「ホームメディアシステム」のセグメント詳細である「液晶カラーテレビ、DVDレコーダー、車載カメラ、太陽光発電、・・・」は、「ホームメディアシステム」の詳細な事業内容を表す。
【0038】
図2に示すステップS3において、事業構成情報作成部15は、セグメント情報に基づいて事業構成情報を作成する。事業構成情報を作成する際に、事業構成情報作成部15は、マッピングデータベース20に基づいて、セグメント情報に使用されるセグメント名を共通事業分類の事業名に変換する。
【0039】
マッピングデータベース20には、例えば、セグメント名である「ホームメディアシステム」に、「液晶カラーテレビ」、「DVDレコーダー」、「車載カメラ」、および「太陽光発電」の各々に対応する事業名である「テレビ」、「ビデオ」、「車載機器」、および「発電」が紐付けられている。事業構成情報作成部15は、セグメント情報に使用されるセグメント名である「ホームメディアシステム」とマッピングデータベース20とに基づいて、セグメント名である「ホームメディアシステム」を、共通事業分類の事業名である「テレビ」、「ビデオ」、「車載機器」、および「発電」に変換する。このように、事業構成情報作成部15は、マッピングデータベース20を使用することによって、共通事業分類に従ってセグメントに事業名を定義付ける。事業構成情報作成部15は、共通事業分類における複数の階層のうち最も下位の階層の事業名を、セグメントに定義付ける。
【0040】
事業構成情報作成部15は、マッピングデータベース20を使用してセグメント名を共通事業分類の事業名に変換する代わりに、セグメント詳細に使用されている文言に基づいて、セグメント名に対応する事業名を共通事業分類から選択しても良い。事業構成情報作成部15は、「ホームメディアシステム」のセグメント詳細に使用されている「液晶カラーテレビ」、「DVDレコーダー」、「車載カメラ」、および「太陽光発電」の文言に基づいて、「ホームメディアシステム」に対応する事業名である「テレビ」、「ビデオ」、「車載機器」、および「発電」を共通事業分類から選択する。このように、事業構成情報作成部15は、セグメント名に対応する事業名を選択することによって、共通事業分類に従った事業名の定義付けを行っても良い。
【0041】
ここでは、1つのセグメントである「ホームメディアシステム」に、共通事業分類の4つの事業名である「テレビ」、「ビデオ」、「車載機器」、および「発電」が定義付けられる例を説明した。1つのセグメントに定義付けられる事業名の数は、当該セグメントに包含される事業内容、すなわちセグメント詳細の内容によって変わり得る。
【0042】
ここで、事業構成情報作成部15によって作成される事業構成情報について説明する。
図5は、実施の形態にかかる情報提供装置100の事業構成情報作成部15によって作成される事業構成情報の例を示す図である。
【0043】
事業構成情報には、セグメント情報におけるセグメントの名称であるセグメント名と、共通事業分類に従ってセグメントに定義付けられた事業名と、セグメント情報に含まれるセグメント詳細と、事業ごとの財務データとが含まれる。
【0044】
図5には、
図4に示されるセグメント情報を基に作成された事業構成情報の例を示す。
図5において、例えば、事業1の「テレビ」、事業2の「ビデオ」、事業3の「車載機器」、および事業4の「発電」は、「ホームメディアシステム」のセグメントに定義付けられた事業名である。「ホームメディアシステム」についての事業構成情報には、これらの事業名と、事業1,2,3および4の各々の売上高が含まれる。これらの売上高は、共通事業分類の事業別の売上高を表す。
【0045】
1つのセグメントに定義付けられている事業名が1つである場合は、セグメントの売上高の値が、そのまま事業別の売上高の値となる。1つのセグメントに定義付けられている事業名が複数である場合は、事業別の売上高の値は、セグメントの売上高の値を事業ごとに分割した値とする。事業構成情報作成部15は、例えば、セグメントの売上高を事業の数で等分した値を、事業別の売上高の推定値として求める。そして、事業構成情報作成部15は、求めた推定値を、事業別の売上高として扱う。なお、事業構成情報には、事業別の売上高以外の財務データが含まれても良い。事業構成情報には、事業別の財務データとして、事業別の利益または損失、事業別の資産、あるいは事業別のその他の財務情報などが含まれても良い。
【0046】
図2に示すステップS4において、事業構成情報作成部15は、作成された事業構成情報を事業構成データベース21に保存する。
【0047】
次に、ステップS5において、データ加工部16は、事業構成データベース21から事業構成情報を読み出し、事業構成情報を使用してデータの加工を行う。データ加工部16は、事業構成情報を提供用のデータに加工する。または、データ加工部16は、株式情報取得部12において取得された株式情報のデータを、事業構成情報を使用して加工する。データ加工部16は、加工されたデータを加工データ保持部22に保存する。
【0048】
データ加工部16は、加工データ保持部22からデータを適宜読み出して、加工されたデータを含めた提供用の情報を生成する。データ加工部16は、生成された提供用の情報を出力部18へ送る。ステップS6において、出力部18は、加工されたデータを含めた情報を、顧客への提供のために出力する。以上により、情報提供装置100は、
図2に示す手順による処理を終了する。
【0049】
次に、情報提供装置100により顧客へ提供される情報の例を説明する。
図6は、実施の形態にかかる情報提供装置100により顧客へ提供される情報の第1の例を示す図である。第1の例では、共通事業分類における同一の事業名が定義付けられた銘柄のリストを示す。
【0050】
図6に示すリストは、全銘柄の中で、事業名に「電気機器/家電」が含まれる複数の企業の銘柄を示す。リストには、銘柄コードと、銘柄名と、セグメント名と、事業名と、セグメント詳細とが示される。リストにおける事業名は、事業構成情報に含まれる事業名であって、「電気機器/家電」に包含される事業名である。
【0051】
例えば、
図5に示す事業構成情報は、
図6に示す銘柄名「AAA」の企業の事業構成情報とする。
図6において、銘柄名「AAA」およびセグメント名「ホームメディアシステム」に対応する事業名として、「テレビ」、「ビデオ」および「車載機器」が示される。なお、
図5における「発電」は、「電気機器/家電」とは別の「エネルギー/電力」に包含される事業名とする。「発電」は、「電気機器/家電」には包含されない事業名であることから、
図6に示すリストからは除外されている。
【0052】
また、銘柄名「AAA」の企業のセグメントである「生活家電」は、「電気機器/家電」に包含される事業名である。
図6において、銘柄名「AAA」およびセグメント名「生活家電」に対応する事業名として、「調理関連機器」および「健康家電」が示される。なお、
図5における「空調」は、「電気機器/家電」とは別の「建設/設備機器」に包含される事業名とする。「空調」は、「電気機器/家電」には包含されない事業名であることから、
図6に示すリストからは除外されている。
【0053】
データ加工部16は、全企業の事業構成情報の中から、指定された事業名を含む事業構成情報を事業構成データベース21から読み出して、読み出された事業構成情報をまとめるデータ加工によって、
図6に示すようなリストを作成する。なお、
図6に示すリストでは、上記の第1分類、第2分類および第3分類などの、各階層の事業名のうち任意の事業名を指定することができる。
【0054】
また、
図6に示す例では、共通事業分類における同一の事業名が定義付けられた銘柄のリストと併せて、「電気機器/家電」の事業コードおよび事業名と、該当データ数と、売上高と、株価のパフォーマンスとが示されている。該当データ数は、リストに含められている各銘柄のデータ数である。データ数はセグメントごとにカウントされる。例えば、銘柄名「AAA」については「ホームメディアシステム」のデータと「生活家電」のデータとが含まれることから、銘柄名「AAA」のデータ数は2とカウントされる。
【0055】
図6に示す売上高は、各企業における「電気機器/家電」の事業の平均売上高を表す。データ加工部16は、各企業の事業構成情報のうち「電気機器/家電」の事業における売上高のデータに基づいて、「電気機器/家電」の平均売上高を求める。
【0056】
図6に示すパフォーマンスは、リストにある各銘柄についての平均騰落率を表す。
図6に示す例では、過去1日、過去1週、過去1か月、過去6か月および過去1年の各々についての平均騰落率が示される。データ加工部16は、リストにある全銘柄についての株式情報に基づいて、「電気機器/家電」に包含される全銘柄の平均騰落率を求める。
【0057】
顧客は、
図6に示されるリストから、共通事業分類における同一の事業名が定義付けられた各銘柄を容易に確認することができる。また、顧客は、リストとともに示される情報から、リストに含められている各銘柄の株式に関するデータを容易に確認することができる。なお、リストには、
図6に示す情報以外の情報が含められても良い。また、リストとともに示される情報は
図6に示すものに限られない。リストに含められる情報、またはリストとともに示される情報は、各企業についての事業構成情報と各銘柄についての株式情報とのうちの少なくとも一方に基づいて得られる情報であれば良く、任意であるものとする。
【0058】
図7は、実施の形態にかかる情報提供装置100により顧客へ提供される情報の第2の例を示す図である。第2の例は、同一事業の銘柄のパフォーマンスと個別銘柄のパフォーマンスとを比較した結果を表したものである。
図7には、顧客の通信端末から銘柄を検索することによって当該通信端末の画面に表示される情報の例を示す。
【0059】
図7では、銘柄名「AAA」の企業を例として、事業構成情報と、事業構成銘柄の平均騰落率とを示す。
図7における事業構成情報は、銘柄名「AAA」の企業についての
図5に示す事業構成情報を事業構成データベース21から読み出したものである。
図7に示す例では、事業構成情報における各事業名について、事業構成銘柄のサンプル数と、事業構成銘柄の平均騰落率とが示される。事業構成銘柄とは、事業構成情報に示される事業名と同一の事業名が定義付けられた銘柄とする。事業構成銘柄のサンプル数とは、該当する事業構成銘柄の数である。データ加工部16は、事業構成銘柄である各銘柄についての株式情報に基づいて、事業構成銘柄の平均騰落率を求める。
【0060】
また、
図7に示す例では、銘柄名「AAA」のパフォーマンス(騰落率)について、事業構成別平均値から算出した騰落率の理論値と、銘柄名「AAA」の騰落率である実績値と、理論値から実績値を差し引いた値とが示される。データ加工部16は、銘柄名「AAA」の株式情報と事業構成銘柄の平均騰落率とに基づいて、これらの各値を求める。
【0061】
顧客は、
図7に示されるデータから、検索した銘柄のパフォーマンスと、事業構成銘柄のパフォーマンスとを容易に比較することができる。なお、検索された銘柄の事業構成情報として示される情報は、
図7に示すものに限られない。事業構成情報として示される情報には、
図7に示す情報以外の情報が含められても良い。また、個別銘柄のパフォーマンスと事業構成銘柄のパフォーマンスとを比較した結果として示される情報は、個別銘柄の株式情報と事業構成銘柄の株式情報とに基づいて得られる情報であれば良く、任意であるものとする。
【0062】
図8は、実施の形態にかかる情報提供装置100により顧客へ提供される情報の第3の例を示す図である。第3の例では、事業名ごとのパフォーマンスのランキングを示す。
図8には、顧客の通信端末からランキングの表示を指示することによって当該通信端末の画面に表示される情報の例を示す。
【0063】
図8には、事業コードおよび事業名とともに、該当社数と、売上高と、パフォーマンスとの各データを表したリストを示す。
図8に示す例において、リストは、過去1年の騰落率が高い順にソートされている。
図8に示す売上高は、各企業の事業別の売上高の合計値を表す。データ加工部16は、各企業の事業構成情報に基づいて売上高の合計値を求める。
図8に示すパフォーマンスは、各企業の銘柄である事業構成銘柄の平均騰落率を表す。
図8に示す例では、過去1日、過去1週、過去1か月、過去6か月および過去1年の各々についての平均騰落率が示される。データ加工部16は、事業構成銘柄である各銘柄についての株式情報に基づいて、平均騰落率を求める。
【0064】
図8に示すリストでは、売上高、過去1日騰落率、過去1週騰落率、過去1か月騰落率、過去6か月騰落率および過去1年騰落率の各項目の中からソートの優先項目を指定することができる。また、事業名ごとの各行には、銘柄リストを表示するためのリンクが付与されている。事業名ごとの各行における「銘柄リスト」の表示がクリックされることによって、
図6に示すような銘柄リストに、画面の表示が切り替わる。
【0065】
顧客は、
図8に示されるリストから、共通事業分類における事業名ごとにパフォーマンスを容易に確認することができる。また、顧客は、事業名ごとのパフォーマンスを容易に比較することができる。なお、事業名ごとのパフォーマンスについての情報は、
図8に示されるものに限られない。パフォーマンスについての情報には、
図8に示す情報以外の情報が含められても良い。また、パフォーマンスについての情報とともに、パフォーマンスについての情報以外の情報が示されても良い。パフォーマンスについての情報とともに示される情報は、各企業についての事業構成情報と事業構成銘柄である各銘柄の株式情報とのうちの少なくとも一方に基づいて得られる情報であれば良く、任意であるものとする。
【0066】
なお、情報提供装置100が提供する情報は、
図6、
図7または
図8に示す情報に限られない。情報提供装置100が提供する情報は、各企業についての事業構成情報と各銘柄についての株式情報とのうちの少なくとも一方を使用して加工された情報を含むものであれば良く、任意であるものとする。
【0067】
次に、情報提供装置100のハードウェア構成について説明する。
図9は、実施の形態にかかる情報提供装置100のハードウェア構成の例を示す図である。情報提供装置100は、
図9に示すハードウェア構成であるコンピュータシステムを使用して実現される。情報提供装置100の要部である共通事業分類管理部14、事業構成情報作成部15およびデータ加工部16は、プロセッサ31とメモリ32とを有する処理回路30によって実現される。
【0068】
プロセッサ31は、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ31は、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)でも良い。メモリ32は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などである。
【0069】
メモリ32には、情報提供装置100として動作するためのプログラムである情報提供プログラムが格納される。プロセッサ31が情報提供プログラムを読み出して実行することにより、情報提供装置100としてコンピュータシステムを動作させることが可能である。なお、メモリ32に格納される情報提供プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROMなどの記憶媒体に書き込まれた状態で提供される形態であっても良く、通信回線を介して提供される形態であっても良い。なお、情報提供装置100は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)といった集積回路を有しても良い。
【0070】
インタフェース回路33は、情報提供装置100と、情報提供装置100の外部の装置との接続インタフェースである。すなわち、インタフェース回路33には、情報提供装置100の外部の装置からの信号が入力される。また、インタフェース回路33は、情報提供装置100の外部の装置へ信号を出力する。セグメント情報取得部11、株式情報取得部12、入力部13および出力部18の各々は、インタフェース回路33により実現される。
【0071】
入力装置34は、オペレーターが情報を入力するためのユーザインタフェースである。入力装置34は、マウスまたはタッチパネルといったポインティングデバイス、あるいはキーボード等である。操作部10は、入力装置34により実現される。記憶装置35は、各種情報を記憶する。記憶装置35は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などである。記憶部17は、記憶装置35により実現される。表示装置36は、各種情報を表示するディスプレイまたはモニタ等である。表示装置36は、オペレーターが情報を入力する際の入力画面等を表示する。
【0072】
実施の形態にかかる情報提供装置100は、セグメント情報のセグメントに共通事業分類の事業名を定義付け、セグメントに定義付けられた事業名に財務データが紐付けられた事業構成情報を作成する。また、情報提供装置100は、事業構成情報を使用して加工されたデータを出力する。これにより、さまざまな態様で分類されたセグメントの財務情報がセグメント情報に含まれていても、情報提供装置100は、セグメント情報に基づいて、投資の判断に有用な情報を顧客に提供することができる。以上により、情報提供装置100は、企業ごとのセグメント情報を基に、株式の検索または分析に有用な情報を提供することができるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0073】
10 操作部
11 セグメント情報取得部
12 株式情報取得部
13 入力部
14 共通事業分類管理部
15 事業構成情報作成部
16 データ加工部
17 記憶部
18 出力部
19 共通事業分類データベース
20 マッピングデータベース
21 事業構成データベース
22 加工データ保持部
30 処理回路
31 プロセッサ
32 メモリ
33 インタフェース回路
34 入力装置
35 記憶装置
36 表示装置
100 情報提供装置