(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147013
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】回転ツマミ用シャフト
(51)【国際特許分類】
G05G 1/12 20060101AFI20231004BHJP
G05G 1/08 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G05G1/12 B
G05G1/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054518
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
(74)【代理人】
【識別番号】100121599
【弁理士】
【氏名又は名称】長石 富夫
(72)【発明者】
【氏名】大垣 健
(72)【発明者】
【氏名】竹内 直和
【テーマコード(参考)】
3J070
【Fターム(参考)】
3J070AA14
3J070BA13
3J070BA66
3J070BA74
3J070CB12
3J070CB16
3J070CB22
3J070DA51
(57)【要約】
【課題】D型の軸穴を持つ回転つまみに対応した材料費、加工費を抑えたシャフトを提供する。
【解決手段】軸穴の径方向断面の内側形状が円の一部を弦としたD型形状の回転つまみの軸穴への挿入に対応したシャフト30であって、軸穴より大きい径の円筒パイプの一端部の径方向断面形状が、1回のプレス成型により、軸穴の弧の部分に対応する円弧部32と、円弧部の途中にあって該円弧部にバネ性を与える凹部33と、回転つまみの軸穴に挿入された際に、D型軸穴の弦の部分に接する箇所となる接触部34と、円弧部の内側に曲げ込まれた曲げ込み部35と、を備えた形状にされている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸穴の径方向断面の内側形状が円の一部を弦とした形状の回転つまみの前記軸穴への挿入に対応したシャフトであって、
前記軸穴より大きい径の円筒パイプの一端部の径方向断面形状が、
軸穴の弧の部分に対応するように縮径された円弧部と、
前記円弧部の途中にあって前記円弧部にバネ性を与える凹部と、
前記軸穴に挿入された際に前記弦に接する箇所となる接触部と、
前記円弧部の内側に曲げ込まれた曲げ込み部と、
を備えた形状にされている
ことを特徴とするシャフト。
【請求項2】
前記曲げ込み部は、前記円弧部の内側から前記凹部に当接する当接部を有し、
前記当接部は、前記凹部が嵌る窪みを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のシャフト。
【請求項3】
前記凹部は楔形であり、
前記窪みは、楔形の前記凹部に対応した楔形を成している
ことを特徴とする請求項2に記載のシャフト。
【請求項4】
前記接触部は、前記径方向断面において、前記軸穴の弦の部分に線状に接する形状である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のシャフト。
【請求項5】
前記接触部は、前記径方向断面において前記軸穴の弦の部分の両端部で接する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のシャフト。
【請求項6】
他端は、先端に直径方向のスリットを備えた回転軸を外嵌すると共に内側へ突起して外周側から前記スリットに嵌り込む内突起を備えた形状にされている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載のシャフト。
【請求項7】
前記一端部の前記径方向断面における前記接触部の位置を認識可能なマークを前記他端に設けた
ことを特徴とする請求項6に記載のシャフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ツマミの軸穴に挿入されるシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
図11に示すように、バランス型風呂釜100においては、点火やガス量を調整するためのガスコック101や水機構部等は装置本体内の下部に設けられており、これを利用者が操作するための回転つまみ102は、装置本体の上面に露出して設けてある。装置本体内の下部に設けられたガスコック101等の上部には上方へ数cm突出した操作軸103が設けてあり、この操作軸103と回転つまみ102は、50cm弱ほどの長さの連結シャフト104を介して接続されている。
【0003】
図12はバランス型風呂釜100の回転つまみ102の一例を示している。回転つまみ102は、所謂、D型の軸穴102a(軸穴の径方向断面の内側形状が円の一部を弦とした形状)を有し、樹脂で形成されている。また、連結シャフト104には、アルミニウムの無垢の円柱棒材が使用される。
【0004】
図13に示すように、連結シャフト104の先端は、回転つまみのD型の軸穴102aに対応するようにD型にカットされ、さらにその先端を2つに割るスリット104aを入れた後、該スリット104aをやや押し広げるといった加工が施される。回転つまみ102のD型の軸穴102aに、連結シャフト104の先端を密に挿入するとスリット104aの幅がやや狭められ、その反発力で回転つまみ102の抜けが防止される。
【0005】
回転つまみ102を点火位置に回す際には、大きなトルクを要すると共にガスコック101の操作軸103が点火位置を越える際にトルクが急変して衝撃もあるので、連結シャフト104はこれに耐える強度を要する。
【0006】
ところで、回転つまみには、軸穴の径方向断面の内側形状が、円の一部を弦としたD型のもののほかに、
図14に示すような、軸穴105aの内面にギザギザ(平目ローレット)を有するタイプなどがある。このタイプの回転つまみ105は、たとえば、微調整を要するオーディオ機器の音量調整等に使用される。
図15に一例を示すように、オーディオ機器の音量調整等に使用されるボリューム抵抗器106の回転軸106aは、周面にギザギザが設けてあり、かつ、その先端を2つに割るスリット106bを備えている。
【0007】
回転つまみ105の軸穴105a側のギザギザとボリューム抵抗器106の回転軸106a側のギザギザとの嵌合により、ボリューム抵抗器106の回転軸106aと回転つまみ105との回転方向のずれが防止される。また、回転つまみ105の軸穴105aの中にボリューム抵抗器106の回転軸106aを嵌め込む際に回転軸106aのスリット106bの幅が少し狭められ、その反発力で回転つまみ105の抜けが防止される。
【0008】
D型の回転軸に対応した回転つまみには軸穴の径方向断面の内側形状を円形とし、外周から中心に向けて止めネジを差し込む構造のものがある(
図16参照)。回転つまみ107の外周から中心に向けて止めネジ108をねじ込むと、止めネジ108の先端がD型回転軸109の平坦面に当接することで、回転つまみの抜けと回転方向の位置ずれが防止される。このタイプの回転つまみでは、止めネジ108を支える部分に大きな力が掛かるので、回転つまみ全体を金属製としたり(同図(a))、同図(b)に示すように止めネジの周囲部分にインサート金具107bを設けたりしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
バランス型風呂釜で使用されている連結シャフト104は、アルミニウム無垢の棒材に、Dカットおよびスリットを設け、さらに、そのスリットの幅を広げるといった加工を要するので、強度等の要求される条件を満たしつつ、材料費、加工費を抑えた連結シャフトが望まれる。
【0011】
また、バランス型風呂釜では、点火用の回転つまみを回す際に比較的大きな力を要するため、操作者の手首への負担が大きく、この負担を軽減することも望まれる。
【0012】
さらに、
図13、
図15に例示したように、回転つまみの抜けを防止するために、スリットからの反発力を利用する場合、スリットからの反発力が、回転つまみを回していないとき(回転つまみを使用しないとき)にも常に軸穴に加わり続けるので、たとえば10年等の長期間が経過すると、たとえば、ABS樹脂製の回転つまみにあっては、応力割れが生じるといった問題があった。一方、回転つまみの素材を応力割れし難いフェノール樹脂としたり、
図16に示すような全体あるいは一部を金属にしたりすると、回転つまみのコスト高となる。
【0013】
本発明は、上記の問題を解決するために成されたものであり、D型の軸穴を持つ回転つまみに対応した材料費、加工費を抑えたシャフトを提供することを目的としている。また、回転開始時の手首への負担を軽減できることを第2の目的、回転つまみの応力割れを防ぐことを第3の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0015】
[1]軸穴の径方向断面の内側形状が円の一部を弦とした形状の回転つまみの前記軸穴への挿入に対応したシャフトであって、
前記軸穴より大きい径の円筒パイプの一端部の径方向断面形状が、
軸穴の弧の部分に対応するように縮径された円弧部と、
前記円弧部の途中にあって前記円弧部にバネ性を与える凹部と、
前記軸穴に挿入された際に前記弦に接する箇所となる接触部と、
前記円弧部の内側に曲げ込まれた曲げ込み部と、
を備えた形状にされている
ことを特徴とするシャフト。
【0016】
上記発明では、軸穴への挿入や回転つまみの回転によって軸穴から受ける力で凹部が弾性変形し、その復元力で円弧部が軸穴に押圧されることで、シャフトの抜け落ちが防止される。また、一端部は、円筒パイプにプレス成型を施すことで容易に作成可能な形状となっている。
【0017】
[2]前記曲げ込み部は、前記円弧部の内側から前記凹部に当接する当接部を有し、
前記当接部は、前記凹部が嵌る窪みを有する
ことを特徴とする[1]に記載のシャフト。
【0018】
上記発明では、曲げ込み部の当接部の窪みに凹部が嵌り込んだ状態で曲げ込み部が凹部を円弧部の内側から支える。これにより、回転つまみの回転により大きな応力が円弧部にかかっても、当接部の窪みと凹部との係合により凹部が位置ズレせず、それに伴い円弧部も変形し難くなるので、シャフトの強度が増す。
【0019】
[3]前記凹部は楔形であり、
前記窪みは、楔形の前記凹部に対応した楔形を成している
ことを特徴とする[2]に記載のシャフト。
【0020】
上記発明では、凹部を楔形とし、かつ、当接部側の窪みを楔形とすることで、たとえば、これらを丸みのある形状とする場合に比べて、凹部の位置ズレをより確実に防ぐことができる。
【0021】
[4]前記接触部は、前記径方向断面において、前記軸穴の弦の部分に線状に接する形状である
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のシャフト。
【0022】
上記発明では、径方向断面において、接触部が軸穴の弦の部分に線状に接する(軸方向を加えた3次元では接触部が軸穴の平坦部に面で接する)ので、回転つまみを強い力で回した場合にも変形が生じ難い。
【0023】
[5]前記接触部は、前記径方向断面において前記軸穴の弦の部分の両端部で接する
ことを特徴とする[4]に記載のシャフト。
【0024】
上記発明では、回転つまみを、左右いずれに回したときも、接触部が、径方向断面において軸穴の弦の部分に接して力を受けることができる。
【0025】
[6]他端は、先端に直径方向のスリットを備えた回転軸を外嵌すると共に内側へ突起して外周側から前記スリットに嵌り込む内突起を備えた形状にされている
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1つに記載のシャフト。
【0026】
上記発明では、他端は、円筒パイプにプレス成型を施すことで容易に作成可能な形状であると共に、先端に直径方向のスリットを備えた回転軸への接続が容易(向きの調整等が容易)な形状となっている。
【0027】
[7]前記一端部の前記径方向断面における前記接触部の位置を認識可能なマークを前記他端に設けた
ことを特徴とする[6]に記載のシャフト。
【0028】
上記発明では、他端に設けたマークを頼りに、一端部側の向きを確認することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、材料費、加工費を抑えつつ、D型の軸穴を持つ回転つまみに対応したシャフトを提供することができる。また、回転開始時の手首への負担を軽減できる。また、長期の使用においても回転つまみの応力割れを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る連結シャフトを示す図である。
【
図2】連結シャフトの
図1におけるA-A断面図である。
【
図3】連結シャフトの第1端部を回転つまみのD型の軸穴に挿入した状態を示す図である。
【
図4】従来の連結シャフトとバランス型風呂釜のガスコックの操作軸との接続を示す説明図である。
【
図5】連結シャフトの第2端部の
図1におけるB-B断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係る連結シャフトの第2端部の
図1におけるC-C断面図である。
【
図7】連結シャフトの第2端部と、バランス型風呂釜のガスコックの操作軸との接続を示す説明図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態に係る連結シャフトの第1端部とその近傍の部分を示す正面図である。
【
図9】連結シャフトの
図8におけるA-A断面図である。
【
図10】連結シャフトの第1端部を回転つまみのD型の軸穴に挿入した状態を示す図である。
【
図12】バランス型風呂釜で使用される回転つまみの一例を示す図である。
【
図13】従来の連結シャフトの回転つまみの軸穴に挿入される側の端部を示す図である。
【
図15】オーディオ機器の音量調整等に使用されるボリューム抵抗器の一例を示す図である。
【
図16】外周から中心に向けて止めネジを差し込む構造の回転つまみを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る連結シャフト10を示す図である。同図(a)は連結シャフト10の正面図、同図(b)は連結シャフト10の底面図である。
図2は連結シャフト10の
図1におけるA-A断面図である。なお、
図1に対して
図2では縮尺を拡大してある。
【0033】
連結シャフト10は、
図11に示すバランス型風呂釜100において従来使用されていた連結シャフト104に代えて使用されるシャフトである。連結シャフト10は、ステンレス製の円筒パイプ(直径10mm)の両端部をそれぞれ1回のプレス加工(ワンストロークのプレス加工)をして形成されている。
【0034】
連結シャフト10のうち、
図2に示す側の端部(第1端部11とする)は、バランス型風呂釜100の回転つまみ102のD型の軸穴102aに挿入される。ここでは、回転つまみ102のD型の軸穴102aの直径は8mmであり、連結シャフト10の第1端部11は、プレス加工により、直径10mmから8mmに縮径されながら
図2に示す断面形状にされる。
図2では連結シャフト10の両端部以外の部分(プレス加工されていない部分)の外形を二点鎖線で示してある。
【0035】
図3は、連結シャフト10の第1端部11を回転つまみ102のD型の軸穴102aに挿入した状態を示す説明図である。軸穴102aは破線で示してある。
【0036】
連結シャフト10の第1端部11の径方向断面形状は、回転つまみ102のD型の軸穴102aの弧の部分に対応する(軸穴の内側に丁度嵌る)ように縮径された円弧状の円弧部12と、円弧部12の途中にあって円弧部12にバネ性を与える凹部13と、当該連結シャフト10の第1端部11が回転つまみ102の軸穴102aに挿入された際に、該軸穴102aの弦の部分に接する箇所となる接触部14と、円弧部12の内側に曲げ込まれた曲げ込み部15とを備えた形状となっている。第1端部11は、円筒パイプにプレス成型を施すことで容易に作成可能な形状となっている。
【0037】
凹部13は、この例ではUの字状に凹んだ形状を成しており、円弧部12の丁度、中央位置に1つ設けてある。なお、凹部13を複数設ける構成でもよい。たとえば、円弧部12の弧の部分を三等分するように2つの凹部13を設けてもよい。凹部13の凹みの形状はU字状に限定されず、半円状、V字状、W字状などでもよい。
【0038】
この例では、接触部14は、D型の軸穴102aの弦の部分の両端部に対応する2箇所(14a、14b)にある。両端に設けることで、回転つまみを左右いずれに回したときにも、接触部14が、径方向断面における軸穴の弦の部分と接触して力を受けることができる。接触部14は、3箇所以上としてもよい。
【0039】
曲げ込み部15は、連結シャフト10の一周から円弧部12、凹部13、接触部14に費やす部分以外の余りの部分に相当する。第1端部11がD型の軸穴102a内側に収まるように、この余りの部分を円弧部12の内側に曲げ込んである。この例では曲げ込み部15は略Mの字型に曲げ込まれており、径方向断面において、回転つまみ102のD型の軸穴102aの弦の部分に点で接する(軸方向を加えた3次元では接触部は軸穴の平坦部に線で接する)形状にされているが、曲げ込み部15の形状はこれに限定されるものではない。
【0040】
次に、連結シャフト10の第1端部11が果たす機能について説明する。
【0041】
連結シャフト10の第1端部11は、回転つまみ102のD型の軸穴102aに少しきつめに挿入されるサイズになっており、挿入されると、第1端部11(特に円弧部12)は、軸穴102aの内面から縮径される方向の力を受ける。この力を受けて凹部13が少し弾性変形し、その反発力により、連結シャフト10の第1端部11が回転つまみ102の軸穴102aから抜け落ちることが防止される。なお、Mの字状に曲げ込まれた曲げ込み部15も凹部13と同様にバネ性を果たし、第1端部11が回転つまみ102の軸穴102aから抜け落ちることの防止に寄与する。
【0042】
回転つまみ102を、たとえば、
図3の矢印P方向に回し始めると、D型の軸穴102aの弦(軸方向を加えた3次元では平坦面)の部分に接触部14(特に接触部14bの部分)が押圧され、それに伴って接触部14b側の円弧部12bには軸穴102aの内面を押し付ける力と該内面に沿って凹部13側へ向かう力が加わる。円弧部12bが軸穴の内面に沿って凹部13側へ向かう力は凹部13が歪む(U字の幅が狭くなるように弾性変形する)ことで受け止められ、回し始めの当初は連結シャフト10自体は回転しない。このように、回し始めの極初期には、回転つまみ102を回す力を、バネ性を持つ凹部13が吸収するので、回転つまみ102を回す操作者の手首には、じんわりと力が加わり(トルクが少しずつ上がることになり)、手首への負担が軽減される。
【0043】
さらに回転つまみ102を矢印P方向に回すと、凹部13が少し弾性変形した状態のまま、連結シャフト10全体が回転つまみ102と共に回転する。回転つまみを回している間は、凹部13の復元力により、円弧部12が軸穴102aの内面に押し付けられる。これにより、連結シャフト10の第1端部11が回転つまみ102の軸穴102aの内面に食い付き、回転つまみの抜けがさらに強く防止される。
【0044】
このように、回転中は抜け落ち防止の力が強く作用するので、回転つまみ102を回していない待機時には、抜け落ち防止のために軸穴102aに加える応力を小さくすることができる。すなわち、連結シャフト10の第1端部11のサイズは、回転つまみ102のD型の軸穴102aに少しきつめに挿入されるサイズになっていると先に説明したが、その「きつめ」の度合いを小さくすることができる。その結果、D型の軸穴102aに常時かかる応力を小さくでき、長期の使用においても軸穴102a部分の応力割れを防ぐことができる。
【0045】
なお、応力割れを防ぐには、力が加わっている時間を短くすることが重要である。従来は、応力割れに耐えるために、回転つまみを、たとえば、フェノール樹脂で製作することを要したが、本発明に係る連結シャフト10を使用すれば、回転つまみをPOMのみならずABS樹脂製とすることもできる。
【0046】
次に、連結シャフト10の第1端部11と反対側の端部(第2端部21とする)について説明するが、それに先立ち、アルミニウム無垢の円柱棒材を加工して作成される従来の連結シャフト104とバランス型風呂釜100のガスコック101の操作軸103との接続について、
図4を参照して説明する。
【0047】
ガスコック101の操作軸103の基端部は円柱状をなし、先端部は、直径方向のスリット103aを有しこのスリット103aを挟んで対向する2つの立設片103bに分かれている。対向する2つの立設片103bには、これらを貫通して1本のピンを通すための貫通穴103cが設けてある。
【0048】
従来の連結シャフト104の下端部には、その底面の直径に対応する箇所から下方に向けて、操作軸103のスリット103aに挿入される嵌合片104bが立設されている。嵌合片104bにも、ピンを通すための貫通穴104cが設けてある。
【0049】
嵌合片104bには、径方向に位置合わせして嵌合片104bを操作軸103のスリット103aに連結シャフト104の下端部の底面が操作軸103に当接するまで挿入したときに操作軸103側の貫通穴103cと連通する位置に、ピンを通すための貫通穴104cが設けてある。
【0050】
連結シャフト104の下端部の嵌合片104bを操作軸103のスリット103aに、下端部の底面が操作軸103に当接するまで挿入して径方向の位置合わせをすると、操作軸103側の貫通穴103cと嵌合片104b側の貫通穴104cとの位置が一致して連通するので、作業者は、これらの貫通穴103c、104cを貫くように割ピンを通して接続作業を完了する。
【0051】
なお、従来は、連結シャフト104の下端部を操作軸103に取り付ける際には、連結シャフト104の回転つまみ102が取り付けられる側の上端部の向き(
図13のDカットされた部分の向き)が正しいか否かを、該上端部を目で見て確認していた。この確認作業は、バランス型風呂釜100の装置本体内部の下部にある連結シャフト104の下端と、装置本体上部の操作パネルに設けた穴から上方へ突き出た連結シャフト104の上端とを見比べるという煩雑な作業であった。
【0052】
図5は、本発明に係る連結シャフト10の第2端部21の断面図(
図1におけるB-B断面図)、
図6は、連結シャフト10の
図1におけるC-C断面図である。なお、
図1に対して
図5、
図6では縮尺を拡大してある。
図7は、連結シャフト10の第2端部21と、バランス型風呂釜100のガスコック101の操作軸103との接続を説明するための図である。
【0053】
プレス成型前の連結シャフト10の内径(約10mm)は、操作軸103の直径(約8mm)より大きい。この連結シャフト10の端部をプレス成型することで、バランス型風呂釜100のガスコック101の操作軸103に丁度、外嵌する
図5等に示す形状の第2端部21を形成する。
【0054】
詳細には、第2端部21の径方向断面の形状は、操作軸103を丁度外嵌する直径の円(
図5の破線の円110)に4つの角部22を持たせた形状となっている。操作軸103の外周長に対してプレス成型前の連結シャフト10の内周長が余る分を、4つの角部22を作ることで吸収している。
【0055】
また、第2端部21は、ガスコック101の操作軸103に接続した際に外周側から操作軸103のスリット103aに嵌り込む、内側に突起した一対の内突起23を備えている。一対の内突起23は連結シャフト10の軸を中心に点対象となる位置に設けてある。
【0056】
さらに、第2端部21の近傍の連結シャフト10の外周面には、第1端部11の径方向断面における接触部14の位置(外周面一周の中での位置)を認識可能なマーク25が設けてある(
図1、
図7参照)。この例では、マーク25として連結シャフト10の外周面の一か所に小さな凹みをプレス成型で設けてある。マークの付け方はこれに限定されるものではない。マークは、プリントしたり、人が手作業で付けたりしてもよい。
【0057】
連結シャフト10の第2端部21には、操作軸103に接続した際に、操作軸103側の貫通穴103cと一致する位置に、割りピンを通すための一対の貫通穴24が設けてある。連結シャフト10の第2端部21は、円筒パイプにプレス成型を施すことで容易に作成可能な形状となっている。
【0058】
連結シャフト10と操作軸103との接続作業において、作業者は、連結シャフト10の第2端部21を、
図7に示すように、内突起23が操作軸103のスリット103aに嵌り込む向きにし、内突起23の下端がスリット103aの底部に到達する深さまで操作軸103に外嵌させる。
【0059】
連結シャフト10の内突起23が操作軸103のスリット103aに嵌り込む向きには、180度異なる2つの向きがあるが、作業者は、マーク25を頼りに、第1端部11側の接触部14のある向き(第1端部11側の回転つまみ102の向き)を認識できるので、連結シャフト10を所定の正しい向きで操作軸103に嵌め込むことができる。
【0060】
連結シャフト10の第2端部21を、前述した向きで前述した深さまで操作軸103に嵌め込んだとき、操作軸103側の貫通穴103cと連結シャフト10の第2端部21側にある貫通穴24との位置が自ずと一致するので、作業者は、これらの貫通穴24、103cに割ピンを通して、接続作業を完了する。このように、連結シャフト10の第2端部21は、ガスコック101の操作軸103に接続する際の向きや貫通穴の位置合わせが容易となるように構成されている。
【0061】
なお、操作軸103に連結シャフト10の第2端部21を嵌め込むだけで、操作軸103側のスリット103aと第2端部21側の内突起23とが嵌合するので、操作軸103と連結シャフト10とは回転方向にズレることはない。割ピンは抜け防止の役割を果たしており、抜ける心配が不要ならば無くてもよい。
【0062】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る連結シャフト30について説明する。第1の実施の形態に係る連結シャフト10と第2の実施の形態に係る連結シャフト30とは、第1端部(回転つまみ102のD型の軸穴102aに挿入される側の端部)の構造が相違し、その余は同一であるので、同一箇所についての説明は適宜省略する。
【0063】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る連結シャフト30の第1端部31とその近傍の部分を示す正面図である。
図9は、連結シャフト30の
図8におけるA-A断面図である。
図9では連結シャフト30のプレス加工されていない部分の外形を二点鎖線で示してある。
図10は、連結シャフト30の第1端部31を回転つまみ102のD型の軸穴102aに挿入した状態を示す図である。軸穴102aは破線で示してある。
【0064】
連結シャフト30の第1端部31の径方向断面形状は、回転つまみ102のD型の軸穴102aの弧の部分に対応する(軸穴の内側に丁度嵌る)ように縮径された円弧状の円弧部32と、円弧部32の途中にあって円弧部32にバネ性を与える楔型の凹部33と、当該連結シャフト30の第1端部31が回転つまみ102の軸穴102aに挿入された際に、該軸穴102aの弦の部分に接する箇所となる接触部34と、円弧部32の内側に曲げ込まれた曲げ込み部35とを備えた形状となっている。第1端部31は、円筒パイプにプレス成型を施すことで容易に作成可能な形状となっている。
【0065】
楔形の凹部33は、第1の実施の形態に係る連結シャフト10の第1端部11にあったUの字型の凹部13に比べて、小さく、かつVの字状(楔形)に凹んだ形状を成している。楔型の凹部33は円弧部32の丁度、中央位置に1つ設けてある。なお、楔型の凹部33を複数設ける構成でもよい。たとえば、円弧部32の弧の部分を三等分するように2つの凹部33を設けてもよい。
【0066】
接触部34は、第1端部31の径方向断面において、回転つまみ102のD型の軸穴102aの弦の部分に線状に接する形状(軸方向を加えた3次元では軸穴の平坦部に面で接する形状)にされている。
図10では接触部34は軸穴102aの弦の部分に略点で接しているが、回転つまみ102を回す際には、第1端部31が弾性変形し、接触部34は、第1端部31の径方向断面において、回転つまみ102のD型の軸穴102aの弦の部分に線で接するようになる。なお、回転つまみ102に回す力を加えていない状態から、第1端部31の径方向断面において、回転つまみ102のD型の軸穴102aの弦の部分に線状に接する形状であってもよい。
【0067】
図8~
図10に示す例では、接触部34は、D型の軸穴102aの弦の部分の両端に対応する2箇所(34a、34b)に設けてある。弦の部分の両端に設けることで、回転つまみを左右いずれに回したときにも、接触部14が、径方向断面における軸穴の弦の部分と線状に接触して力を受けることができる。接触部14は、3箇所以上としてもよい。
【0068】
曲げ込み部35は、連結シャフト30の一周から円弧部32、楔型の凹部33、接触部34に費やす部分以外の余りの部分に相当する。連結シャフト30の第1端部31が回転つまみ102の軸穴102aの内側に収まるように、この余りの部分を円弧部32の内側に山形に曲げ込んである。
【0069】
曲げ込み部35の山形の頂上部は、円弧部32の内側から楔型の凹部33に当接する当接部35aとなっている。当接部35aは、楔型の凹部33が嵌る窪みを備えている。この窪みは楔形の凹部33に対応した楔型を成している。曲げ込み部35は、楔型の凹部33が当接部35aの楔形の窪みに嵌りこむように楔型の凹部33に円弧部32の内側から当接して、これを支える役割を果たす。
【0070】
次に、連結シャフト30の第1端部31が果たす機能について説明する。
【0071】
連結シャフト30の第1端部31は、回転つまみ102のD型の軸穴102aに少しきつめに挿入されるサイズになっており、挿入されると、第1端部31(特に円弧部32)は、軸穴102aの内面から縮径される方向の力を受ける。この力を受けて凹部33が少し弾性変形し、その反発力により、連結シャフト30の第1端部31が回転つまみ102の軸穴102aから抜け落ちることが防止される。
【0072】
なお、曲げ込み部35もバネ性を果たし、接触部34も板ばねの機能を果たす。これらは、第1端部31が回転つまみ102の軸穴102aから抜け落ちることの防止に寄与する。
【0073】
回転つまみ102を、たとえば、
図10の矢印P方向に回し始めると、D型の軸穴102aの弦(軸方向を加えた3次元では平坦面)の部分に接触部34(特に接触部34bの部分)が押圧され、それに伴って接触部34b側の円弧部32bには軸穴102aの内面を押し付ける力と該内面に沿って楔型の凹部33側へ向かう力が加わる。円弧部32bが軸穴の内面に沿って楔型の凹部33へ向かう力は凹部33が歪む(V字の幅が狭くなるように弾性変形する)ことで受け止められ、回し始めの当初は連結シャフト10自体は回転しない。このように、回し始めの極初期には、回転つまみ102を回す力を、バネ性を持つ凹部33が吸収するので、回転つまみ102を回す操作者の手首には、じんわりと力が加わり(トルクが少しずつ上がり)、手首への負担が軽減される。
【0074】
さらに回転つまみ102を矢印P方向に回すと、凹部33が少し弾性変形した状態のまま、連結シャフト30全体が回転つまみ102と共に回転する。回転つまみを回している間は、凹部33の復元力により、円弧部32が軸穴102aの内面に押し付けられる。これにより、連結シャフト30の第1端部31が回転つまみ102の軸穴102aの内面に食い付き、回転つまみの抜けがさらに強く防止される。
【0075】
このように、回転中は抜け落ち防止の力が強く作用するので、回転つまみ102を回していない待機時には、抜け落ち防止のために軸穴102aに加える応力を小さくすることができる。すなわち、連結シャフト30の第1端部31のサイズは、回転つまみ102のD型の軸穴102aに少しきつめに挿入されるサイズになっていると先に説明したが、その「きつめ」の度合いを小さくすることができる。その結果、D型の軸穴102aに常時かかる応力を小さくでき、長期の使用においても軸穴102a部分の応力割れを防ぐことができる。
【0076】
なお、応力割れを防ぐには、力が加わっている時間を短くすることが重要である。従来は、応力割れに耐えるために、回転つまみを、たとえば、フェノール樹脂で製作することを要したが、本発明に係る連結シャフト10を使用すれば、回転つまみをABS樹脂製とすることができる。
【0077】
第2の実施の形態に係る連結シャフト30は、第1の実施の形態に係る連結シャフト10に比べて、回転つまみ102のD型の軸穴102aからより大きな回転力を受けても耐える(塑性変形しない)構造となっている。
【0078】
詳細には、第1の実施の形態に係る連結シャフト10の第1端部11では接触部14が、回転つまみ102のD型の軸穴102aの弦の部分と、径方向断面において点で接するが、第2の実施の形態に係る連結シャフト30では接触部34が、回転つまみ102のD型の軸穴102aの弦の部分と線状に接する(軸方向を加えた3次元では軸穴の平坦面に面で接する)ので、回転つまみ102を強い力で回した場合にも変形が少ない。
【0079】
また、
図9、
図10に示すように、接触部34bと円弧部32bと接触部34bから当接部35aに到達するまでの曲げ込み部35とで略三角形のトラス構造をなしており、同様に、接触部34aと円弧部32aと接触部34aから当接部35aに到達するまでの曲げ込み部35とで略三角形のトラス構造をなしている。
【0080】
さらに、曲げ込み部35が、その当接部35aの楔形の窪みに楔型の凹部33が嵌り込むようにして楔型の凹部33を支えるので、回転つまみ102の回転により大きな応力が円弧部32に掛かっても、楔型の凹部33の位置がズレないので、それに伴って円弧部32も変形し難くなる。また、前述のトラス構造も維持される。
【0081】
これにより、連結シャフト30を薄肉にしても、強度を確保することができる。
【0082】
本発明に係る連結シャフト10、30は、従来のアルミニウムの無垢の円柱棒材に代えてステンレス製の円筒パイプを利用するので、材料費を抑えることができる。また、端部の形状を、前述した機能(強度を確保し、手首への負担を減らし、抜け落ちを防止しつつ軸穴に掛かる応力を小さくできる等)を果たしつつ、1回のプレス加工(ワンストロークのプレス加工)で成形可能な形状としたので、加工費も低く抑えることができる。
【0083】
ところで、回転つまみ102の軸穴102aと連結シャフト10、30との嵌合を、
図14、15に示すようなギザギザによる嵌合とすることも考えられる。しかし、その場合、回転つまみ102を製作するための樹脂金型の方にも、軸穴側のギザギザに対応するギザギザを作る必要があり、金型が複雑・高価になってしまう。また、連結シャフト側のギザギザをアルミニウム無垢の棒材切削では作りにくいので、例えば、ギザギザのある先端部だけをアルミダイカストで別途作り、これをアルミニウム無垢の棒材の端部に接合するという方法が考えられるが、コスト高は免れない。
【0084】
他方、ギザギザによる嵌合に対応した連結シャフトを、本願発明に係る連結シャフトのように、円筒中空パイプから作成することも考えられる。円筒中空パイプ自体の製作方法は2種類ある。例えばセミシームレスパイプと呼ばれるものは、薄板を円筒状に加工し、端面どうしを溶接したあと引抜き加工などをして、外観では継ぎ目が目立たないようにする方法で作成される。シームレス配管(シームレスパイプ)と呼ばれるものは、例えばマンネスマン法を用い、丸棒形状のビレットを高温に加熱し、外周より圧縮しながらその中心をプラグという工具を押しあててビレットに穴を開けパイプにする方法で作成される。
【0085】
シームレス配管では溶接個所がないので、素材は均一であり、例えば先端部分をプレス加工しても加工された外周は、大量生産してもほぼ同じ仕上がりとなる。しかしセミシームレスパイプを用いる場合には外観では継ぎ目が目立たないが、溶接個所は他の部分と組成が異なるが故に、先端部分をプレス加工すると、外周部分において溶接個所のみ異なる硬さ、形状となりやすく、大量生産する場合には、溶接個所がどこに面するかで同じ性質を持たせるのが難しいという問題がある。
【0086】
換言すれば、ギザギザによる嵌合に対応した連結シャフトをセミシームレスパイプから製作すると、ギザギザの先端(山の頂)に溶接個所が来るものと、谷に溶接個所が来るものと、先端と谷との中間部分に溶接個所が来るものとでは出来上がりが異なり、回転つまみの軸穴側のギザギザに嵌合しにくいという問題が発生する。
【0087】
本願発明に係る連結シャフトにおいては、ギザギザによる嵌合を採用せず、D型の嵌合とした。これにより、回転つまみ102を製作するための樹脂金型の形状も簡素となり金型費用を抑えることができる。
【0088】
本願発明に係る連結シャフトには、素材の円筒中空パイプとして、シームレス配管を用いても、セミシームレスパイプを用いてもよい。本願発明に係る連結シャフトは、セミシームレスパイプ特有の溶接個所がどこにくるのかが判らないという問題にも対応済みである。すなわち、本願発明に係る連結シャフト10(30)では、凹部13(33)を挟んで少なくとも(左右対称の)2面の円弧部12a、12b(32a、32b)を有するので、一方の面に溶接個所が来ても他方の面が、D型の軸穴102aの接触面(平坦部ではなく、弧の部分)に対し有効に力を与える(回転つまみ102の軸穴102aの内面に食い付く)ことができる。なお、第1、第2の実施の形態では、接触面である円弧部12(32)は2面であったが、より多くとしても良い。
【0089】
また、シームレス配管を用いようが、セミシームレスパイプを用いようが、上記構造(少なくとも(左右対称の)2面の円弧部12a、12b(32a、32b)を有する構造)とすれば、回転つまみ102の軸穴102aの内面に食い付きやすい構造とすることが出来る。すなわち、シームレス配管専用で設計してしまうと、後に事情を知らない人が、コストダウンの為にセミシームレスパイプに変更を行った時にトラブルが発生するが、本願発明に係る連結シャフトにおいては、元々、セミシームレスパイプでも大丈夫な構造なので、上記のような変更が成されても後日のトラブルを防止することができる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0091】
実施の形態では、本発明に係るシャフトを、バランス型風呂釜100のガスコック101の操作軸103と回転つまみ102とを繋ぐ連結シャフトとして説明したが、本発明に係るシャフトの用途はこれに限定されるものではない。D型の軸穴あるいはこれに類似の軸穴を備えた回転つまみの軸穴に挿入されて使用される各種のシャフトに本発明は適用される。
【0092】
実施の形態で示した第1端部11、31、第2端部21の形状は一例であり、これらに限定されるものではない。実施の形態では、連結シャフト10、30の第1端部11、31や第2端部21をそれぞれ1工程のプレス成型で形成したが、2工程以上としてもよい。いずれにせよ、円柱パイプの外周の一周を使って成形し、切込みなどを入れないことが強度の確保に繋がる。
【0093】
従来は、回転つまみが簡単に抜けないように、無垢のアルミニウム棒材の先端にスリットを入れてバネ性を確保していたが、実施の形態に示す連結シャフト10、30の第1端部11、31においては、切込みを入れることなく、凹部13、33等によってバネ性を与えている(スリットの代替)ので、パイプ材を使用したシャフトの強度を確保しつつ、バネ性を与えることが可能となっている。
【0094】
実施の形態では、連結シャフト10、30をステンレス製のパイプからプレス成型で作成したが、シャフトの材質はステンレスに限定されるものではなく、アルミニウム等の他の種類の金属パイプから作成されてもよい。
【0095】
縮径の度合いは実施の形態に例示したものに限定されず、軸穴サイズと使用するパイプの径に応じて任意でよく、連結シャフトの一周から円弧部、凹部、接触部に費やす部分以外の余りの部分の量の相違は、曲げ込み部の形状で調整すればよい。
【符号の説明】
【0096】
10…連結シャフト
11…第1端部
12…円弧部
13…凹部
14…接触部
15…曲げ込み部
21…第2端部
22…角部
23…内突起
24…貫通穴
25…マーク
30…連結シャフト
31…第1端部
32…円弧部
33…楔型の凹部
34…接触部
35…曲げ込み部
35a…当接部
100…バランス型風呂釜
101…ガスコック
102…回転つまみ
102a…D型の軸穴
103…ガスコックの操作軸
103a…スリット
103b…立設片
103c…貫通穴
104…連結シャフト
104a…スリット
104b…嵌合片
104c…貫通穴