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2023-147025コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147025
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20231004BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20231004BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20231004BHJP
   E04G 21/00 20060101ALI20231004BHJP
   G16Z 99/00 20190101ALI20231004BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06F30/13
G06F30/20
E04G21/00 ESW
G16Z99/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054551
(22)【出願日】2022-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣中 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高尾 篤志
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆弘
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146AA17
5B146DE12
5B146DG02
5B146DG07
5B146DJ14
5L049CC07
5L049DD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】立案した打設計画の妥当性を検証する。
【解決手段】コンクリート打設管理装置は、所定サイズの大ブロックに区分して、夫々を所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する構造物の3次元設計情報において、大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層の所定層の第1小ブロック群に対して、コンクリートの打設順を示すブロック番号が付与された3次元デーを取得する取得部と、小ブロックの容量を導出する容量導出部と、ブロック番号、容量及び打設速度に基づいてシミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、未打設小ブロックと打設小ブロックとを識別可能に表示し、既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた打設状態及び既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた打設状態を識別可能に表示する表示制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報において、
前記分割データを有する3次元設計情報における前記大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群に対して、コンクリートの打設順を示すブロック番号が該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元デーを取得する取得部と、
前記小ブロックのそれぞれの容量を導出する容量導出部と、
取得した3次元設計情報において、付与された前記ブロック番号、導出した前記容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打設のシミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
前記シミュレーション実行部におけるシミュレーションにおいて、コンクリート打設前の未打設小ブロックと、コンクリート打設後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、前記既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する表示制御部と、
を備えたコンクリート打設管理装置。
【請求項2】
前記未打設小ブロックのそれぞれに対して、コンクリートの打重ねの管理時間より所定時間短い基準時間を設定する基準時間設定部をさらに有し、
前記表示制御部は、前記経過時間が、小ブロックの打重ね時間管理を行う面の、少なくとも1つにおいて、前記基準時間を超えた面を含む小ブロックが存在する場合に、前記基準時間を超えた小ブロックを識別可能に表示する請求項1に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項3】
前記シミュレーション実行部におけるシミュレーションにおいて、2次元表示と3次元表示との間で表示を切り替える表示切替部をさらに備えた請求項1または2に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、識別可能な表示として、前記未打設小ブロックと前記既打設小ブロックとを異なる色で表示する請求項1~3のいずれか1項に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項5】
前記所定サイズの大ブロックは、所定期間で打設可能なコンクリート量に応じて決定される請求項1~4のいずれか1項に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項6】
前記所定サイズの小ブロックは、コンクリート運搬車の運搬可能量に応じて決定される請求項1~5のいずれか1項に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項7】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報において、
前記分割データを有する3次元設計情報における前記大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群において、コンクリートの打設順を示すブロック番号が該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元デーを取得する取得ステップと、
前記小ブロックの容量を導出する容量導出ステップと、
所得した3次元設計情報において、付与された前記ブロック番号、導出した前記容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打設のシミュレーションを実行するシミュレーション実行ステップと、
前記シミュレーション実行ステップにおけるシミュレーションにおいて、コンクリート打設前の未打設小ブロックと、コンクリート打設後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、前記既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する表示制御ステップと、
を含むコンクリート打設管理方法。
【請求項8】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報において、
前記分割データを有する3次元設計情報における前記大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群において、コンクリートの打設順を示すブロック番号が該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元デーを取得する取得ステップと、
前記小ブロックの容量を導出する容量導出ステップと、
所得した3次元設計情報において、付与された前記ブロック番号、導出した前記容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打設のシミュレーションを実行するシミュレーション実行ステップと、
前記シミュレーション実行ステップにおけるシミュレーションにおいて、コンクリート打設前の未打設小ブロックと、コンクリート打設後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、前記既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させるコンクリート打設管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、管理者が、リフト領域を指定し、指定されたリフト領域について、所定値以下であって、ほぼ均等分割となる位置を指定し、指定された高さ位置を境界面として、リフト領域を各層に分割して輪切りモデルを生成し、生成した輪切りモデルの上面図において、所定の個数となるように複数のブロックに分割し、他の各層についても、同様にブロックに分割することにより、領域分割処理を行うことが開示されている(同文献段落[0056]~[0059]、図4等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-35626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、リフト領域を複数のブロックに分割して領域分割処理を行うことはできるものの、生成されたブロックについての妥当性を検証することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート打設管理装置は、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報において、
前記分割データを有する3次元設計情報における前記大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群に対して、コンクリートの打設順を示すブロック番号が該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元デーを取得する取得部と、
前記小ブロックのそれぞれの容量を導出する容量導出部と、
取得した3次元設計情報において、付与された前記ブロック番号、導出した前記容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打設のシミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
前記シミュレーション実行部におけるシミュレーションにおいて、コンクリート打設前の未打設小ブロックと、コンクリート打設後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、前記既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する表示制御部と、
を備えた。
【0006】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート打設管理方法は、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報において、
前記分割データを有する3次元設計情報における前記大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群において、コンクリートの打設順を示すブロック番号が該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元デーを取得する取得ステップと、
前記小ブロックの容量を導出する容量導出ステップと、
所得した3次元設計情報において、付与された前記ブロック番号、導出した前記容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打設のシミュレーションを実行するシミュレーション実行ステップと、
前記シミュレーション実行ステップにおけるシミュレーションにおいて、コンクリート打設前の未打設小ブロックと、コンクリート打設後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、前記既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する表示制御ステップと、
を含む。
【0007】
さらに、上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート打設管理プログラムは、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報において、
前記分割データを有する3次元設計情報における前記大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群において、コンクリートの打設順を示すブロック番号が該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元デーを取得する取得ステップと、
前記小ブロックの容量を導出する容量導出ステップと、
所得した3次元設計情報において、付与された前記ブロック番号、導出した前記容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打設のシミュレーションを実行するシミュレーション実行ステップと、
前記シミュレーション実行ステップにおけるシミュレーションにおいて、コンクリート打設前の未打設小ブロックと、コンクリート打設後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、前記既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する表示制御ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、立案した打設計画の妥当性を検証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の前提技術におけるコンクリート打設管理の概要を説明するための図である。
図1B】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置による分割基準点設定の概要を説明するための図である。
図1C】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置による軸線設定の概要を説明するための図である。
図1D】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置による分割操作の概要を説明するための図である。
図1E】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置による複数モデルを含む場合の分割基準点設定の概要を説明するための図である。
図1F】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置によるシミュレーション表示について説明するための図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置が有する管理基準テーブル、アラートテーブルおよびカラーテーブルの一例を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置による処理の概要を説明するための図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としてのコンクリート打設管理装置100について、図1A図5を用いて説明する。コンクリート打設管理装置100は、3次元設計情報120上で、所定サイズの小ブロックに分割された構造物に対して立案されたコンクリートの打設計画のシミュレーションを実行して、打設計画の妥当性を検証するための装置である。これにより、コンクリート打設管理装置100は、効率的なコンクリート打込みを管理することができる。
【0012】
通常、構造物のコンクリート打設を行う場合、アジテータ車で未硬化のコンクリートを運搬し、例えば、1日の施工領域に組み立てられた型枠内に、順次、未硬化のコンクリートを打ち込む。そして、先に打ち込まれたコンクリートが硬化する前に、次のコンクリートを打ち重ね、バイブレータなどによりコンクリートを締め固め、打ち重ねたコンクリートおよび打ち重ねられたコンクリートの両方のコンクリートを一体化させる。この打込みから一体化までの作業を繰り返すことで、施工領域へのコンクリート打込みが完了する。コンクリートの打込み完了後は、一定期間養生して硬化させ、組み立てた型枠の脱型を行う。
【0013】
この場合、例えば、図1Aに示したような構造物に、コンクリートを順次打ち込むときに、先行して打込んだコンクリートが硬化する前に、打ち重ねられたコンクリートと打ち重ねたコンクリートとをバイブレータなどによって一体化させる必要がある。なお、打重ね時間とは、先のコンクリートの打込が終了してから次のコンクリートの打込が始まるまでの時間をいう。打重ね時間の開始は、先の未硬化のコンクリートの流し込みが終わった時刻とし、バイブレータなどによる締固めが続いたとしても、この打重ね時間の計測はスタートさせる。これは、未硬化のコンクリートの流し込みが終了した時点から、既にコンクリートの硬化が始まっているからである。このとき、コンクリートの打重ね時間が管理時間(例えば、コンクリート標準示方書に準ずる管理時間)を超過すると、コンクリートの打継ぎ部分にコールドジョイントなどが発生し、弱部となるおそれがある。そのため、構造物のコンクリート打設においては、材料練り混ぜからの時間管理や、コンクリートの打込み順序、打重ね時間の管理などが重要となる。
【0014】
ここで、コンクリートの施工領域の規模が大きくなると、多量のコンクリートが必要となり、コンクリートを運搬するために必要となるアジテータ車の台数が多くなる。さらに、大規模構造物のコンクリートを打ち込むためには、アジテータ車の運搬可能量などに応じて、当該構造物を複数の層に分けるなどして、順序立ててコンクリートを打ち込まなければならず、コンクリートの層数も多くなる傾向にある。そのため、打ち継ぎ部も多くなるので、コールドジョイント150などの弱部が発生することがないように、コンクリートの打重ね時間や供給量などを考慮した上で、打込み速度、打込み順序や打込み層厚などを決めてコンクリートの打設計画160を立てる必要があった。
【0015】
しかしながら、コンクリートの打設計画160を立てるために、構造物をいくつかの層へ分割したり、所定サイズの小ブロックへ分割したりする作業は、構造物の2次元設計図を用いて、現場において現場作業者の手作業で行われていた。そのため、層分割や小ブロック分割を行ってどういった順序で打ち込むかという打設計画を立てることは困難な場合が多く、現場作業者の負担になっていた。そこで、ユーザは、コンクリート打設管理装置100を用いることにより、コンクリートの供給量や打込み速度などの基本条件に基づいて、層分割や小ブロック分割、各小ブロックの打込み順序の設定を容易に行えるようになる。
【0016】
次に、図1B図1Fを参照して、コンクリート打設管理装置100を用いた、打設計画の管理について説明する。まず、図1Bに示したように、3次元CAD(Computer-Aided Design)などを用いて設計した構造物の3次元設計情報120等を含む3次元設計情報120が、コンクリート打設管理装置100に接続されたモニターやディスプレイ、ユーザが所持するタブレットやスマートフォンなどの携帯端末等のディスプレイ140に表示されている。なお、3次元設計情報120には、例えば、工区や工期などの情報も含まれている。また、3次元設計情報120は、予め3次元CADなどを用いて作成されている。
【0017】
3次元設計情報120は、所定期間に打込み可能なコンクリートの量に応じて設定された施工領域であり、複数の大ブロック123,124,125,126に分けられている。施工領域は、例えば、1日で打込み可能なコンクリートの領域として設定される。例えば、大ブロック123に着目して、この大ブロック123を所定サイズの小ブロックに分割する場合を考える。
【0018】
まず、図1Bに示したように、ユーザは、小ブロックへの分割対象として着目する大ブロック123(着目大ブロック)において、小ブロックへの分割の基準となる分割基準点121を指定する。そして、コンクリート打設管理装置100は、ユーザが指定した位置に分割基準点121を設定する。ここで、分割基準点121は、大ブロック123を、どの位置を基準にどの方向へ分割するかの基準となる点である。
【0019】
図1Bに示した例では、大ブロック123の頂点部分(底面左下)に、分割基準点121を設定している。なお、分割基準点121は、頂点部分以外にも設定することが可能であり、例えば、頂点と頂点との間の辺の部分や、側面部分(表面部分)の任意の位置、大ブロック123の内部の任意の位置などに設定することができる。ユーザは、他の大ブロック124,125,126についても、大ブロック123と同様の操作を行って、分割基準点を設定することができる。
【0020】
次に、図1Cに示したように、軸線の設定を行う。すなわち、分割基準点121を原点と考えて、コンクリート打設管理装置100は、ユーザが、指定した位置にX軸方向の端点122を設定する。そして、コンクリート打設管理装置100は、分割基準点121から、端点122を通過する線分として、X軸127を生成させる。生成された軸線(X軸127)は、図示したように、例えば、大ブロック123の傍に表示しても、3次元設計情報120から離れた位置に表示してもよい。
【0021】
また、Y軸、Z軸についても同様に、ユーザが、指定した各軸線の端点の位置に基づいて、コンクリート打設管理装置100は、分割基準点121から、指定した各端点を通過する線分として、Y軸、Z軸を生成させる。そして、生成された各軸線(Y軸、Z軸)は、大ブロック123の傍に表示しても、3次元設計情報120から離れた位置に表示してもよい。各軸線(X軸127、Y軸、Z軸)は、大ブロック123の縦横高さ方向に平行な線分となっている。
【0022】
続いて、図1Dに示したように、ユーザは、3次元設計情報120を所定サイズの小ブロックに分割するために必要なパラメータの設定を行う。ユーザが設定するパラメータは、例えば、等幅分割(分割の間隔)、均等分割(分割数及び丸め幅)、層厚などである。これらのパラメータは、例えば、ディスプレイ140の右側に表示されたパラメータ設定用ウィンドウの所定のボックスに数値を入力することにより設定される。
【0023】
ここで、等幅分割は、所定幅(所定の分割間隔)で構造物を分割して、所定サイズの小ブロックを得る場合をいう。この場合、例えば、分割基準点121から、800mm間隔で構造物の分割線が生成され、表示されるようになる(図1D参照)。
【0024】
また、均等分割は、所定の分割数の小ブロックが生成されるように構造物を分割する場合をいう。丸め幅は、例えば、均等分割する際の、分割により生成される各小ブロックの大きさの単位を決めるものである。例えば、丸め幅を100mmと設定すると、生成される小ブロックの大きさの単位(1辺の長さの単位)が、100mm刻みの単位である、600mm、700mm、800mmなどのサイズの小ブロックが生成されるようになる。同様に、例えば、丸め幅を10mmと設定すると、生成されるブロックの大きさの単位(1辺の長さの単位)が、10mm刻みの単位である、810mm、820mm、830mmなどのサイズの小ブロックが生成されるようになる。
【0025】
このように、丸め幅を設定して、小ブロックのサイズの端数を調整することにより、各小ブロックの体積等の管理が容易になるため、コンクリートの打設管理を容易に行えるようになる。そして、コンクリート打設管理装置100は、設定されたパラメータに従って、3次元設計情報120を所定サイズの小ブロックに分割する。所定サイズの小ブロックに分割したら、小ブロックのそれぞれに、打込み順を設定することにより、コンクリートの打込みを適切に管理することができる。打込み順の設定は、例えば、層毎に行われるが、これには限定されない。
【0026】
図1Eに示したように、構造物全体として、複数の異なる形状を有する構造物が含まれている場合には、例えば、それぞれの構造物に対して分割基準点を設定することにより、構造物全体として、小ブロックに分割する。なお、このような、1つの構造物として、複雑な形状を有している構造物と考えられる場合には、複数の異なる形状を有する構造物同士が結合したものと考えることが可能である。
【0027】
そして、構造物全体として、複数の異なる形状を有する構造物を含む場合、それぞれの構造物の接続部分は、Z軸方向から、構造物全体を見た場合、断面変化が不連続となる位置である断面変化面となっている。
【0028】
そして、このような断面変化面が存在するときに、例えば、1つの分割基準点131を基準に、構造物を分割する場合、断面変化面を跨る部分で連続してコンクリートを打ち込むことになり、断面変化面が弱部となってしまう。そのため、この断面変化面に境界を設けて管理する必要がある。したがって、断面変化面が出現するたびに、分割基準点131の設定が必要となる。例えば、断面変化面を跨いでコンクリートを打ち込んだ場合、未硬化のコンクリートからの水分上昇(ブリーディング)等が発生し、断面変化面にブリーディングが集中して、弱部となる恐れがある。よって、断面変化面が存在する場合には、断面変化面が境界面となるように、分割基準点131を設定することが好ましい。このように、断面変化面に分割基準点131を設定することで(断面変化面を境界面とすることで)、断面変化面を跨ぐ小ブロックが生成されることを抑制することができる。
【0029】
ユーザは、3次元設計情報130に対して、分割基準点131を複数設定し、設定した分割基準点131のそれぞれについて、分割幅や分割数などのパラメータを設定する。そして、コンクリート打設管理装置100は、設定された分割基準点131やパラメータに基づいて、構造物を所定サイズの小ブロックに分割する。
【0030】
以上のように、構造物を所定サイズの小ブロックに分割したら、分割された小ブロックのそれぞれについて、コンクリートの打込み順を付与して、コンクリートの打設計画を立案する。そして、付与された打込み順に従って、コンクリートの打込みが行われるが、コンクリートの打込みが行われる前に、立案した打設計画の妥当性を検証するために、コンクリート打設管理装置100においては、打設計画のシミュレーションを行うことができるようになっている。
【0031】
図1Fに示したように、シミュレーション結果は、2次元表示150と3次元表示160とで表示できるようになっている。切替ボタン151を押すと、2次元表示150から3次元表示160へと表示を切り替えることができる。また、切替ボタン161を押すと、3次元表示160から2次元表示150へと表示を切り替えることができる。3次元表示160においては、表示画像を任意の方向(360°いずれの方向)から見ることができる。
【0032】
また、シミュレーションは、動画として、所定の再生速度で再生することができるようになっている。シミュレーションの再生画面においては、早送りボタン、巻き戻しボタン、再生速度調整用のプルダウンメニュー、停止ボタンなどが表示されており、作業者などは、これらのボタンを操作しながら、シミュレーション結果を検証することができるようになっている。
【0033】
ここで、コンクリート打設管理装置100におけるシミュレーションは、生成した小ブロックの容量、小ブロックの打込み順、コンクリートの打設速度(打込み速度)に基づいて行われる。シミュレーションの結果は、時間経過に伴って、生成された小ブロックのそれぞれの表示状態が変化する形式で表示される(状態遷移図)。表示状態の変化は、例えば、色やコントラスト、模様などを変化させることにより行われる。
【0034】
コンクリート打設管理装置100におけるシミュレーションは、例えば、次の2つの観点から行われる。一方は、コンクリート打設が開始された既打設小ブロックから見たシミュレーションであり、他方は、既打設小ブロックに隣接し、コンクリート打設が開始されていない未打設小ブロックから見たシミュレーションである。すなわち、コンクリートが打ち重ねられる小ブロックと、コンクリートを打ち重ねる小ブロックとから見たシミュレーションである。つまり、大規模構造物のコンクリート打込みにおいては、構造物全体に対して、複数台のアジテータ車により、コンクリートの打込み、打重ねを繰り返すため、コンクリートを打ち込むにあたり、当該構造物を複数の小ブロックに分割し、小ブロック単位で進められる。この場合、小ブロックのそれぞれにおいて、コンクリートの打込み開始および打込み終了のタイミングが異なるため、コンクリートの硬化の進行に差が生じる。この差を起因として、例えば、ある小ブロックと、これに隣接する小ブロックとの境界部分において、コールドジョイントなどの不具合が生じ易くなる。そのため、コンクリート打設管理装置100においては、上述した2つの観点からのシミュレーションや、シミュレーション結果の識別可能表示を行っている。
【0035】
例えば、コンクリートが打ち込まれていない未打設の小ブロックについては、無色(透明)で表示される。このとき、コンクリートが打ち込まれた小ブロック(コンクリートが打ち重ねられる既打設小ブロック)については、当該小ブロックに対するコンクリート打込み開始からの経過時間に合わせて、薄い色から濃い色へと、または、これとは反対に、濃い色から薄い色へと表示が変化するようにしてもよい。これにより、打込んだコンクリートの硬化の進行状態が視覚化され、作業者は容易に確認できる。
【0036】
さらに、例えば、コンクリートが打ち込まれた小ブロックに対して、コンクリートを打ち重ねる未打設小ブロックにおいては、コンクリートが打ち重ねられる小ブロックのコンクリート打込み終了からの経過時間に応じて表示が変化する。当該経過時間が短い場合は、寒色系の色で表示し、コンクリートの硬化時間が近づくにつれて暖色系の色で表示するようにしてもよい。このように、コンクリート打設管理装置100においては、シミュレーション結果において、小ブロックのそれぞれの状態(未打設、既打設、経過時間、コンクリートを打ち重ねる側、コンクリートが打ち重ねられる側等)に応じて、各小ブロックを識別可能に表示することができる。これにより、コンクリートを打込む順番の優先度が視覚化され、作業者は容易に確認できる。
【0037】
そして、コンクリート打設管理装置100においては、作業者は、シミュレーションの検証結果に合わせて、立案した打設計画を適宜修正したり、立案し直したりすることができるようになっている。つまり、作業者などは、シミュレーションの結果に応じて、打込み順序を含む打設計画を設計し直し、再度シミュレーションを行うことで、再設計した打設計画の妥当性を検証できる。このように、作業者は、シミュレーションを繰り返しながら、打設計画を立案できるので、より好適な打設計画を設計することが可能となる。
【0038】
なお、図1Fには、構造物を区分した所定サイズの大ブロックが示されており、当該大ブロックに示されている「A〇-△」や「B□-×」などは、大ブロックを所定サイズに分割した小ブロックを識別するための識別子となっている。ここで、「A」および「B」は工区(ポンプ車ごとの打込み範囲)、「〇」および「□」は順番、「△」および「×」そのブロックが属する層を、それぞれ表す。
【0039】
次に図2を参照して、コンクリート打設管理装置100の構成について説明する。コンクリート打設管理装置100は、取得部201、容量導出部202、シミュレーション実行部203、表示制御部204および表示切替部205を有する。
【0040】
コンクリート打設管理装置100は、コンクリートを打ち込む構造物の3次元設計情報120であって、3次元設計情報120を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報120において、シミュレーションを実行する装置である。小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報120は、図1A図1Eを参照して説明した方法により生成される。
【0041】
取得部201は、分割データを有する3次元設計情報120における大ブロックの高さ方向に垂直な面で分割された各層のうち所定層における小ブロック群に対して、コンクリートの打込み順を示すブロック番号が当該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元設計情報120を取得する。3次元設計情報120は、コンクリート打設管理装置100において生成しても、コンクリート打設管理装置100とは異なる装置で生成してもよい。
【0042】
容量導出部202は、小ブロックのそれぞれの容量を導出する。容量の導出は、小ブロックのそれぞれの縦横高さの値を用いて行っても、構造物や大ブロックの全体の体積を生成された小ブロックの数で割って行ってもよく、これらの導出方法には限定されない。
【0043】
シミュレーション実行部203は、取得部201において取得した3次元設計情報120において、付与されたブロック番号、導出した容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打込みのシミュレーションを実行する。シミュレーション実行部203は、ブロック番号順に従って、設定された打設速度で小ブロックのそれぞれにコンクリートを打ち込んだ場合のシミュレーションを実行する。ここで、コンクリートの打設速度は、ポンプ車から単位時間あたりどのくらいの量[m]のコンクリートを送り出すことができるかを示す数値である。
【0044】
表示制御部204は、シミュレーション実行部203におけるシミュレーションにおいて、コンクリート打込み前の未打設小ブロックと、コンクリート打込み後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの当該既打設小ブロックに対するコンクリート打込みの終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および既打設小ブロックに対するコンクリート打込み開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する。
【0045】
大規模構造物のコンクリートの打込みにおいては、当該構造物に必要な全てのコンクリートは、複数台のアジテータ車により運搬され、打込み、打重ねが繰り返されるため、当該構造物を複数の小ブロックに分割し、小ブロック単位で行われる。この場合、ある小ブロックについて、隣接する他の小ブロックの数やこれら隣接小ブロックとの位置関係に応じて、様々な打込み時間の管理が行われる。例えば、ある小ブロックについて、コンクリートを打ち込む場合、当該小ブロックにのみ注目すれば、コンクリートが硬化するまでの間に打ち込みが終了すれば問題は生じない。しかしながら、上述のように、大規模構造物の場合には、ある小ブロックには隣接小ブロックが複数存在するため、当該ある小ブロックと隣接小ブロックとの境界部分(境界面)において、コンクリートの打込み時間を管理しなければならない。つまり、ある小ブロックに打ち込んだコンクリートが硬化してから、当該ある小ブロックに隣接する小ブロックにコンクリートを打ち込むと、これらの小ブロックの境界部分において、コールドジョイントなどの不具合が発生し易くなる。なお、ある小ブロックと隣接小ブロックとの境界部分(境界面)は、複数面存在する。例えば、小ブロックが、直方体の場合、通常5面=上面+4つの側面が存在し、これら5つの面(境界部分)のコンクリート打込み時間の管理が必要となる。
【0046】
そのため、表示制御部204は、コンクリートが打ち重ねられる小ブロックおよびコンクリートを打ち重ねる小ブロックについて、それぞれの打設状態を識別可能に表示する。表示制御部204は、例えば、コンクリートが打ち重ねられる小ブロック、すなわち、当該小ブロックに対して、コンクリートが打ち込まれる場合には、当該小ブロックに対するコンクリート打込みからの経過時間に応じた表示(色表示、点滅表示など)をする。このような小ブロックにおいては、コンクリートの打込みが既に開始されており、所定の時間までに、コンクリートの打込みを終了しなければならない。そのため、表示制御部204は、このような小ブロックにおいては、コンクリートの打込み開始時間からの経過時間に応じた表示を行う。表示制御部204は、例えば、打込み開始からの経過時間に応じて、寒色系の色から暖色系の色へと表示色を変化させて表示させてもよい。
【0047】
また、表示制御部204は、コンクリートを打ち重ねる小ブロック、すなわち、当該小ブロックに隣接する小ブロックに対するコンクリート打込みが終了している場合には、隣接小ブロックのコンクリート打込み終了からの経過時間に応じた表示をする。このような小ブロックにおいては、隣接小ブロックに打ち込んだコンクリートが硬化する前に、コンクリートの打ち込みを終了しなければならない。硬化時間を超えて、当該小ブロックにコンクリートが打ち込まれると、当該小ブロックと隣接小ブロックとの境界部分において、不具合が発生し易くなる。そのため、表示制御部204は、隣接小ブロックに対するコンクリートの打込み終了からの経過時間に応じた表示(色表示、点滅表示)を行う。表示制御部204は、例えば、隣接小ブロックに対する打込み終了からの経過時間に応じて、寒色系の色から暖色系の色へと表示色を変化させて表示させてもよい。
【0048】
さらに、表示制御部204は、コンクリートが打ち重ねられる小ブロック(既打設小ブロック)またはコンクリートを打ち重ねる小ブロック(未打設小ブロック)を識別可能に表示してもよい。既打設小ブロックについては、既に、コンクリートの打込みは終了しているが、当該既打設小ブロックに隣接する未打設小ブロックが存在する場合には、やはり、所定の管理時間以内に、隣接する未打設小ブロックにコンクリートを打ち込まなければならない。そのため、表示制御部204は、このような既打設小ブロックの打設状態を識別可能に表示する。表示制御部204は、隣接する未打設小ブロックについても、同様に、打設状態を識別可能に表示する。また、表示制御部204は、コンクリートが打ち重ねられる小ブロック(既打設小ブロック)およびコンクリートを打ち重ねる小ブロック(未打設小ブロック)を識別可能に表示してもよい。このように、表示制御部204は、例えば、作業者の要望に応じて、既打設小ブロックの打設状態、または、未打設小ブロックの打設状態、あるいは、これら両方の小ブロックの打設状態を識別可能に表示することができる。
【0049】
例えば、コンクリート打込みからの経過時間が短い小ブロックは、青系の色で表示し、コンクリートが硬化するまでの時間が迫っている小ブロックは、赤系の色で表示して、打込みからの経過時間を視覚的に分かり易く表示してもよい。つまり、赤系の色で表示された小ブロックについては、隣接する小ブロックへのコンクリート打重ねまでの残り時間が少ないことを示すので、このような小ブロックが存在する場合に、打重ね時間は十分に足りているかなどを視覚的にも検証できるようになる。また、コンクリート打込み前の未打設小ブロックについては、透明で表示するか、薄い色で表示するなどして、コンクリートが打ち込まれた既打設小ブロックと区別できるように表示する。
【0050】
そして、打重ね時間が十分ではない場合には、作業者は、打込み順序を入れ替えたり、打設計画そのものを練り直したりするなどして当初の打設計画を修正することが可能となる。修正した打設計画に基づいて、再度シミュレーションを行うことで、作業者は、修正した打設計画の妥当性などを検証できる。
【0051】
このように、小ブロックの状態を識別可能に表示できるので、シミュレーションを繰り返し行うことで、より良い打設計画を立案でき、これにより、打重ね不備によるコールドジョイントなどの弱部の発生を確実に抑止することができるようになる。
【0052】
また、ここでは、小ブロックのそれぞれを識別可能に表示する方法として、各小ブロックに色を付けて表示する方法で説明をしたが、識別可能表示は、これには限定されず、例えば、色の濃淡をつけたり、コントラストを調整したりしてもよい。さらに、例えば、各小ブロックにマークを付したり、アイコンを付したりして識別できるようにしてもよい。
【0053】
表示切替部205は、シミュレーション実行部203におけるシミュレーションにおいて、2次元表示150と3次元表示160との間で表示を切り替える。2次元表示150は、構造物や大ブロックの各層を上方から見た状態として表示したものである。また、3次元表示160は、構造物や大ブロックを任意の方向から見た状態として表示することができるようになっている。これらの表示は、切替ボタン151,161を操作することにより、切り替えて表示することができるようになっている。
【0054】
図3は、コンクリート打設管理装置100が有する管理基準テーブル301、アラートテーブル302およびカラーテーブル303の一例を示す図である。管理基準テーブル301は、各状態におけるコンクリートを管理するための基準となる時間やその他の条件を管理するテーブルである。アラートテーブル302は、管理基準テーブル301の基準値に基づいて決定されたアラートを報知するための条件を管理するテーブルである。カラーテーブル303は、各色について、赤(R)、緑(G)および青(B)の各要素がどのくらい含まれているかで表したカラーモデルを管理するテーブルである。そして、コンクリート打設管理装置100は、これらのテーブルを参照して、小ブロックの状態に合わせて、表示する色や、報知するアラートを決定する。
【0055】
図4を参照して、コンクリート打設管理装置100のハードウェア構成について説明する。CPU(Central Processing Unit)410は、演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図2のコンクリート打設管理装置100の各機能構成を実現する。CPU410は複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROM(Read Only Memory)420は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインタフェース430は、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPU410は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインタフェース430は、CPU410とは独立したCPUを有して、RAM(Random Access Memory)440の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM440とストレージ450との間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい(図示なし)。さらに、CPU410は、RAM440にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU410は、処理結果をRAM440に準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインタフェース430やDMACに任せる。
【0056】
RAM440は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM440には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。3次元設計情報データ441は、コンクリートの打設対象となる構造物の3次元CADデータなどを含むデータである。ブロック番号データ442は、小ブロックのそれぞれに付与されたコンクリートの打込み順を示すデータである。容量データ443は、小ブロックのそれぞれについて、導出された容量のデータである。打設速度データ444は、コンクリートの打込みの速度に関するデータであり、単位時間当たりに供給されるコンクリートの容量で表されるデータである。経過時間データ445は、小ブロックのそれぞれについて、コンクリートを打ち込んでから経過した時間についてのデータである。
【0057】
送受信データ446は、ネットワークインタフェース430を介して送受信されるデータである。また、RAM440は、各種アプリケーションモジュールを実行するためのアプリケーション実行領域447を有する。
【0058】
ストレージ450には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ450は、管理基準テーブル301、アラートテーブル302およびカラーテーブル303を格納する。管理基準テーブル301は、管理項目と管理基準などとの関係を管理するテーブルである。アラートテーブル302は、管理すべき時間とアラート内容などとの関係を管理するテーブルである。カラーテーブル303は、色とそれを表す数値との関係を管理するテーブルである。管理基準テーブル301、アラートテーブル302およびカラーテーブル303は、いずれも図3に示したテーブルである。
【0059】
ストレージ450は、さらに、取得モジュール451、容量導出モジュール452、シミュレーション実行モジュール453、表示制御モジュール454および表示切替モジュール455を格納する。取得モジュール451は、分割データを有する3次元設計情報120における大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群に対して、コンクリートの打込み順を示すブロック番号が当該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元設計情報120を取得するモジュールである。容量導出モジュール452は、小ブロックのそれぞれの容量を導出するモジュールである。シミュレーション実行モジュール453は、取得した3次元設計情報120において、付与されたブロック番号、導出した容量およびコンクリートの打込み速度に基づいて、コンクリートの打込みのシミュレーションを実行するモジュールである。
【0060】
表示制御モジュール454は、実行されたシミュレーションにおいて、コンクリート打込み前の未打設小ブロックと、コンクリート打込み後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および既打設小ブロックに対するコンクリート打込みの開始からの経過時間に応じた既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示するモジュールである。表示切替モジュール455は、実行されたシミュレーションにおいて、2次元表示150と3次元表示160との間で表示を切り替えるモジュールである。これらのモジュール451~455は、CPU410によりRAM440のアプリケーション実行領域447に読み出され、実行される。制御プログラム456は、コンクリート打設管理装置100の全体を制御するためのプログラムである。
【0061】
入出力インタフェース460は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース460には、表示部461、操作部462、が接続される。また、入出力インタフェース460には、さらに、記憶媒体464が接続されてもよい。さらに、音声出力部であるスピーカ463や、音声入力部であるマイク(図示せず)、あるいは、GPS位置判定部が接続されてもよい。なお、図4に示したRAM440やストレージ450には、コンクリート打設管理装置100が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータは図示されていない。
【0062】
次に図5に示したフローチャートを参照して、コンクリート打設管理装置100の処理手順について説明する。このフローチャートは、図4のCPU410がRAM440を使用して実行し、図2のコンクリート打設管理装置100の各機能構成を実現する。
【0063】
ステップS501において、取得部201は、コンクリートの打設順を示すブロック番号が所定の小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元設計情報120を取得する。ステップS503において、容量導出部202は、小ブロックのそれぞれの容量を導出する。ステップS505において、シミュレーション実行部203は、取得した3次元設計情報120において、付与されたブロック番号、導出した容量およびコンクリートの打込み速度に基づいて、コンクリートの打込みのシミュレーションを実行する。ステップS507において、表示制御部204は、実行されたシミュレーションにおいて、コンクリート打込み前の未打設小ブロックと、コンクリート打込み後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および既打設小ブロックに対するコンクリート打込みの開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する。
【0064】
ステップ509において、コンクリート打設管理装置100は、2次元表示150と3次元表示160との切り替えが必要か否かを判断する。切替が必要と判断した場合(ステップS509のYES)、コンクリート打設管理装置100は、ステップS511へ進む。ステップS511において、表示切替部205は、実行されたシミュレーションにおいて、2次元表示150と3次元表示160との間で表示を切り替える。切替が必要ないと判断した場合(ステップS509のNO)、コンクリート打設管理装置100は、ステップS507へ戻り、シミュレーション結果を表示する。ステップS513において、コンクリート打設管理装置100は、処理を終了するか否かを判断する。処理を終了しないと判断した場合(ステップS513のNO)、コンクリート打設管理装置100は、ステップS507へ戻る。処理を終了すると判断した場合(ステップS513のYES)、コンクリート打設管理装置100は、処理を終了する。
【0065】
本実施形態によれば、コンクリートの打込み順を示すブロック番号が付与された小ブロックについて、コンクリート打込みのシミュレーションを実行するので、立案した打設計画の妥当性を検証することができる。
【0066】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置700について、図6図10を用いて説明する。本実施形態に係るコンクリート打設管理装置700は、上記第1実施形態と比べると、基準時間設定部を有する点で異なる。基準時間設定部では、基準時間の設定をすることができる。この基準時間とは、コンクリートの打重ね時間の管理時間に比べて、所定時間短くした時間であり、より安全側にコンクリートの打重ねの管理時間するためのものである。短くする所定時間は、例えば10分~20分程度である。その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0067】
小ブロックの打重ね時間管理を行う面について、説明する。まず、図6(a)に示したように、特殊な形状の小ブロックを除けば、小ブロック601は、基本的には、直方体であり、6面体であるので、1つの小ブロック601に接する他の小ブロックは、最大で5個存在することとなる。そのため、コンクリートの打重ね時間管理は、全ての打重ね面(5面)について、行うこととなる。
【0068】
また、図6(b)に示したように、例えば、小ブロック602のうち、型枠621に接している面や最外面については、接する小ブロックが存在しないので、コンクリートの打込み時間の管理から除外する。
【0069】
さらに、図6(c)に示したように、打込み済みの小ブロック604と接している小ブロック603の面631は、コンクリートの打込み時間の管理から除外する。また、図6(d)に示したように、例えば、ある小ブロック605が、最上層の小ブロックである場合、小ブロック605の仕上がり面651(上面)は、コンクリートの打込み時間の管理から除外する。
【0070】
このように、小ブロックのおかれた位置、すなわち、接する小ブロックの数などにより、コンクリート打込みの時間管理を行う面の数が異なってくる。また、小ブロックの打重ね時間管理を行う面が全て埋まると、その小ブロックの打込みが完了となる。このとき、コンクリート打設管理装置700においては、ある小ブロックについて、コンクリートの打込み時間の管理を行う場合には、基準時間を設定することで、より安全側に打込み時間の管理をすることができる。
【0071】
例えば、コンクリートの打重ね時間の管理時間が120分とされるコンクリートを扱うとき、この管理時間よりも短い110分と設定し、安全側で打重ね時間を管理することができる。
【0072】
次に、図7は、本実施形態に係るコンクリート打設管理装置700の構成を説明するためのブロック図である。コンクリート打設管理装置700は、基準時間設定部701を有する。基準時間設定部701は、小ブロックのそれぞれに対して、コンクリートの特性に応じて決定された基準時間を設定する。
【0073】
そして、コンクリートの硬化時間を超えると、隣接する小ブロック等にコンクリートを打ち重ねたとしても、既に、コンクリートが硬化してしまっているため、小ブロック同士の接合部分にコールドジョイント等の弱部が発生してしまう。よって、コンクリートの打重ねの管理時間よりも所定時間短い基準時間を設けておき、この基準時間に基づいて、コンクリートの打重ねなどの打設管理を行うとコールドジョイントなどの弱部の発生を効果的に抑制することができる。
【0074】
そのため、基準時間設定部701は、コンクリートの特性(気温や湿度などの環境条件)により、コンクリートの硬化時間が異なるため、コンクリートの打込み時間管理のための基準時間に違いが生じる。そのため、基準時間設定部701は、コンクリートの特性に応じて基準時間を設定する。ここで、基準時間は、例えば、図3に示した管理基準テーブル301などを基に決定されるが、基準時間の決定方法は、これには限定されない。
【0075】
そして、表示制御部204は、コンクリートを打ち込んでからの経過時間が基準時間を超えるような面を有する小ブロックが存在する場合に、基準時間を超えた小ブロックを識別可能に表示する。例えば、基準時間を超えた後、コンクリートが硬化する時間までの残り時間に応じて、対象となる小ブロックの色を、例えば、寒色系の色から暖色系の色へと変化させて、基準時間を超えている小ブロックを目立つように表示する。また、例えば、コンクリートの基準時間までの残り時間に応じて、対象の小ブロックに色を付けて表示するとともに、対象の小ブロックを点滅させて表示してもよい。さらに、残り時間に応じて、点滅の間隔を徐々に短くしてもよい。
【0076】
図8を参照して、コンクリート打設管理装置700のハードウェア構成について説明する。RAM840は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM840には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。基準時間データ841は、小ブロックのそれぞれに対して、コンクリートの特性に応じて決定された時間であり、コンクリートの打設管理の基準となる時間である。そして、基準時間データ841は、例えば、管理基準テーブル301などから読み出される。
【0077】
ストレージ850には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ850は、基準時間設定モジュール851を格納する。基準時間設定モジュール851は、小ブロックのそれぞれに対して、コンクリートの特性に応じて決定された基準時間を設定するモジュールである。このモジュール851は、PU410によりRAM840のアプリケーション実行領域447に読み出され、実行される。
【0078】
次に図9に示したフローチャートを参照して、コンクリート打設管理装置700の処理手順について説明する。ステップS901において、基準時間設定部701は、小ブロックのそれぞれに対して、コンクリートの特性に応じて決定された基準時間を設定する。ステップS903において、コンクリート打設管理装置700は、基準時間を超えている小ブロックがあるか否かを判断する。基準時間を超えている小ブロックがないと判断した場合(ステップS903のNO)、コンクリート打設管理装置700は、ステップS507へ戻る。基準時間を超えている小ブロックがあると判断した場合(ステップS903のYES)、コンクリート打設管理装置700は、次のステップへ進む。ステップS905において、表示制御部204は、基準時間を超えた小ブロックを識別可能に表示する。
【0079】
本実施形態によれば、基準時間を超えた小ブロックを識別可能に表示するので、シミュレーション結果の検証において、打設計画のうち改善すべき事項や打設計画の不備を視覚的に認識することができる。
【0080】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0081】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報において、
前記分割データを有する3次元設計情報における前記大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群に対して、コンクリートの打設順を示すブロック番号が該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元デーを取得する取得部と、
前記小ブロックのそれぞれの容量を導出する容量導出部と、
取得した3次元設計情報において、付与された前記ブロック番号、導出した前記容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打設のシミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
前記シミュレーション実行部におけるシミュレーションにおいて、コンクリート打設前の未打設小ブロックと、コンクリート打設後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、前記既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する表示制御部と、
前記未打設小ブロックのそれぞれに対して、コンクリートの打重ねの管理時間より所定時間短い基準時間を設定する基準時間設定部と、
を備え
前記表示制御部は、前記経過時間が、小ブロックの打重ね時間管理を行う面の、少なくとも1つにおいて、前記基準時間を超えた面を含む小ブロックが存在する場合に、前記基準時間を超えた小ブロックを識別可能に表示するコンクリート打設管理装置。
【請求項2】
前記シミュレーション実行部におけるシミュレーションにおいて、2次元表示と3次元表示との間で表示を切り替える表示切替部をさらに備えた請求項に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、識別可能な表示として、前記未打設小ブロックと前記既打設小ブロックとを異なる色で表示する請求項1または2に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項4】
前記所定サイズの大ブロックは、所定期間で打設可能なコンクリート量に応じて決定される請求項1~のいずれか1項に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項5】
前記所定サイズの小ブロックは、コンクリート運搬車の運搬可能量に応じて決定される請求項1~のいずれか1項に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項6】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報において、
前記分割データを有する3次元設計情報における前記大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群において、コンクリートの打設順を示すブロック番号が該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元デーを取得する取得ステップと、
前記小ブロックの容量を導出する容量導出ステップと、
取得した3次元設計情報において、付与された前記ブロック番号、導出した前記容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打設のシミュレーションを実行するシミュレーション実行ステップと、
前記シミュレーション実行ステップにおけるシミュレーションにおいて、コンクリート打設前の未打設小ブロックと、コンクリート打設後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、前記既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する表示制御ステップと、
前記未打設小ブロックのそれぞれに対して、コンクリートの打重ねの管理時間より所定時間短い基準時間を設定する基準時間設定ステップと、
を含み、
前記表示制御ステップにおいて、前記経過時間が、小ブロックの打重ね時間管理を行う面の、少なくとも1つにおいて、前記基準時間を超えた面を含む小ブロックが存在する場合に、前記基準時間を超えた小ブロックを識別可能に表示するコンクリート打設管理方法。
【請求項7】
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報において、
前記分割データを有する3次元設計情報における前記大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群において、コンクリートの打設順を示すブロック番号が該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元デーを取得する取得ステップと、
前記小ブロックの容量を導出する容量導出ステップと、
取得した3次元設計情報において、付与された前記ブロック番号、導出した前記容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打設のシミュレーションを実行するシミュレーション実行ステップと、
前記シミュレーション実行ステップにおけるシミュレーションにおいて、コンクリート打設前の未打設小ブロックと、コンクリート打設後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、前記既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する表示制御ステップと、
前記未打設小ブロックのそれぞれに対して、コンクリートの打重ねの管理時間より所定時間短い基準時間を設定する基準時間設定ステップと、
をコンピュータに実行させ
前記表示制御ステップにおいて、前記経過時間が、小ブロックの打重ね時間管理を行う面の、少なくとも1つにおいて、前記基準時間を超えた面を含む小ブロックが存在する場合に、前記基準時間を超えた小ブロックを識別可能に表示するコンクリート打設管理プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート打設管理装置は、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報において、
前記分割データを有する3次元設計情報における前記大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群に対して、コンクリートの打設順を示すブロック番号が該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元デーを取得する取得部と、
前記小ブロックのそれぞれの容量を導出する容量導出部と、
取得した3次元設計情報において、付与された前記ブロック番号、導出した前記容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打設のシミュレーションを実行するシミュレーション実行部と、
前記シミュレーション実行部におけるシミュレーションにおいて、コンクリート打設前の未打設小ブロックと、コンクリート打設後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、前記既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する表示制御部と、
前記未打設小ブロックのそれぞれに対して、コンクリートの打重ねの管理時間より所定時間短い基準時間を設定する基準時間設定部と、
を備え
前記表示制御部は、前記経過時間が、小ブロックの打重ね時間管理を行う面の、少なくとも1つにおいて、前記基準時間を超えた面を含む小ブロックが存在する場合に、前記基準時間を超えた小ブロックを識別可能に表示する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート打設管理方法は、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報において、
前記分割データを有する3次元設計情報における前記大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群において、コンクリートの打設順を示すブロック番号が該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元デーを取得する取得ステップと、
前記小ブロックの容量を導出する容量導出ステップと、
取得した3次元設計情報において、付与された前記ブロック番号、導出した前記容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打設のシミュレーションを実行するシミュレーション実行ステップと、
前記シミュレーション実行ステップにおけるシミュレーションにおいて、コンクリート打設前の未打設小ブロックと、コンクリート打設後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、前記既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する表示制御ステップと、
前記未打設小ブロックのそれぞれに対して、コンクリートの打重ねの管理時間より所定時間短い基準時間を設定する基準時間設定ステップと、
を含み、
前記表示制御ステップにおいて、前記経過時間が、小ブロックの打重ね時間管理を行う面の、少なくとも1つにおいて、前記基準時間を超えた面を含む小ブロックが存在する場合に、前記基準時間を超えた小ブロックを識別可能に表示する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
さらに、上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート打設管理プログラムは、
構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報において、
前記分割データを有する3次元設計情報における前記大ブロックの高さ方向に垂直な平面で分割された各層のうち所定層における第1小ブロック群において、コンクリートの打設順を示すブロック番号が該小ブロック群に属する小ブロックのそれぞれに付与された3次元デーを取得する取得ステップと、
前記小ブロックの容量を導出する容量導出ステップと、
取得した3次元設計情報において、付与された前記ブロック番号、導出した前記容量およびコンクリートの打設速度に基づいて、コンクリートの打設のシミュレーションを実行するシミュレーション実行ステップと、
前記シミュレーション実行ステップにおけるシミュレーションにおいて、コンクリート打設前の未打設小ブロックと、コンクリート打設後の既打設小ブロックとを識別可能に表示するとともに、前記既打設小ブロックと隣接する未打設小ブロックの前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の終了からの経過時間に応じた当該未打設小ブロックの打設状態および前記既打設小ブロックに対するコンクリート打設の開始からの経過時間に応じた当該既打設小ブロックの打設状態の少なくともいずれかを識別可能に表示する表示制御ステップと、
前記未打設小ブロックのそれぞれに対して、コンクリートの打重ねの管理時間より所定時間短い基準時間を設定する基準時間設定ステップと、
をコンピュータに実行させ
前記表示制御ステップにおいて、前記経過時間が、小ブロックの打重ね時間管理を行う面の、少なくとも1つにおいて、前記基準時間を超えた面を含む小ブロックが存在する場合に、前記基準時間を超えた小ブロックを識別可能に表示する。