(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147029
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20231004BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20231004BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/06
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054557
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣中 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高尾 篤志
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆弘
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L049CC07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡易にコンクリート打設を管理する。
【解決手段】打設管理装置は、製造された生コンクリートを施工現場へ運搬する際に利用される伝票を撮像機器により撮像した伝票の画像データを取得する取得部、伝票に記載された項目の位置関係を把握するための基準となる基準項目と、伝票から読取られる対象となる項目である必須項目の基準項目に対する位置関係を製造工場毎に記憶した複数種類の伝票マスタを格納した格納部、格納部からユーザにより指定された伝票マスタである指定伝票マスタを読出す読出部、指定伝票マスタを用いて取得した画像データの少なくとも1つの基準項目を検出する基準項目検出部、画像データにおいて基準項目を用いて伝票に記載される必須項目の記載位置を検出し、検出した記載位置から必須項目の画像データである必須項目画像データを抽出する抽出部及び抽出した必須項目画像データから記載内容を読取る必須項目読取部を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場へ運搬する際に利用される伝票を撮像機器により撮像した前記伝票の画像データを取得する取得部と、
前記伝票に記載された項目のそれぞれの位置関係を把握するための基準となる基準項目と、前記伝票から読み取られる対象となる項目である必須項目の前記基準項目に対する位置関係と、を生コンクリート製造工場ごとに記憶した、複数種類の伝票マスタを格納した格納部と、
前記格納部から、ユーザにより指定された伝票マスタである指定伝票マスタを読み出す読出部と、
前記指定伝票マスタを用いて、取得した前記画像データにおいて少なくとも1つの基準項目を検出する基準項目検出部と、
前記画像データにおいて、前記基準項目を用いて、前記伝票に記載されている必須項目の記載位置を検出して、検出された記載位置から前記必須項目の画像データである必須項目画像データを抽出する抽出部と、
抽出された前記必須項目画像データから記載内容を読み取る必須項目読取部と、
を備えたコンクリート打設管理装置。
【請求項2】
検出された前記少なくとも1つの基準項目と、前記指定伝票マスタの基準項目と、を照合することにより、前記画像データを補正する画像データ補正部をさらに備え、
前記抽出部は、補正された補正画像データにおいて、前記基準項目を用いて、前記伝票に記載されている必須項目の記載位置を検出して、検出された記載位置から前記必須項目の画像データである必須項目画像データを抽出する、請求項1に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項3】
前記指定伝票マスタの基準項目を囲む矩形枠の大きさと、前記伝票の画像データの対応する基準項目を囲む矩形枠の大きさとを比較することにより、前記伝票の画像データの縮尺を調整する縮尺調整部をさらに有する請求項1または2に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記基準項目からの方向および距離に基づいて、前記必須項目の記載位置を検出する請求項1~3のいずれか1項に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項5】
前記基準項目は、前記伝票に記載された、伝票タイトル、製造工場名および製品規格マークの少なくとも1つを含む請求項1~4のいずれか1項に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項6】
前記必須項目は、前記伝票に記載された製造工場名、施工現場名、アジテータ車の車両番号、生コンクリートの出荷時刻および生コンクリートの積載量の少なくとも1つを含む請求項1~5のいずれか1項に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項7】
生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場へ運搬する際に利用される伝票を撮像機器により撮像した前記伝票の画像データを取得する取得ステップと、
前記伝票に記載された項目のそれぞれの位置関係を把握するための基準となる基準項目と、前記伝票から抽出される対象となる項目である必須項目の前記基準項目に対する位置関係と、を生コンクリート製造工場ごとに記憶した、複数種類の伝票マスタを格納した格納部から、ユーザにより指定された伝票マスタである指定伝票マスタを読み出す読出ステップと、
前記指定伝票マスタを用いて、取得した前記画像データにおいて少なくとも1つの基準項目を検出する基準項目検出ステップと、
前記画像データにおいて、前記基準項目を用いて、前記伝票に記載されている必須項目の記載位置を検出して、検出された記載位置から前記必須項目の画像データである必須項目画像データを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記必須項目画像データから記載内容を読み取る必須項目読取ステップと、
を含むコンクリート打設管理方法。
【請求項8】
生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場へ運搬する際に利用される伝票を撮像機器により撮像した前記伝票の画像データを取得する取得ステップと、
前記伝票に記載された項目のそれぞれの位置関係を把握するための基準となる基準項目と、前記伝票から抽出される対象となる項目である必須項目の前記基準項目に対する位置関係と、を生コンクリート製造工場ごとに記憶した、複数種類の伝票マスタを格納した格納部から、ユーザにより指定された伝票マスタである指定伝票マスタを読み出す読出ステップと、
前記指定伝票マスタを用いて、取得した前記画像データにおいて少なくとも1つの基準項目を検出する基準項目検出ステップと、
前記画像データにおいて、前記基準項目を用いて、前記伝票に記載されている必須項目の記載位置を検出して、検出された記載位置から前記必須項目の画像データである必須項目画像データを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記必須項目画像データから記載内容を読み取る必須項目読取ステップと、
をコンピュータに実行させるコンクリート打設管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、生コンクリート搬送車の運転者にICカードを所持させ、運転者が、生コンクリートの出荷時、現場到着時、打設完了時にICカードをカードリーダにかざすと、搬送車の識別情報等が管理サーバに送信される。管理サーバは、搬送車の識別情報とその受信時刻とに基づいて、出荷時刻、運搬・待機時間、打込時間、打込終了までの時間を自動計算して生コンクリートの搬送時間を管理することが開示されている(同文献段落[0041]、
図2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、ICカードなどの情報通信媒体をコンクリート車に積載し、ICカードリーダで情報を読み取ることにより、生コンクリートの搬送時間を管理していた。そのため、情報通信媒体などの新たな機器を取り付けなければならず、コストが嵩み、簡易にコンクリートの打設を管理できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート打設管理装置は、
生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場へ運搬する際に利用される伝票を撮像機器により撮像した前記伝票の画像データを取得する取得部と、
前記伝票に記載された項目のそれぞれの位置関係を把握するための基準となる基準項目と、前記伝票から読み取られる対象となる項目である必須項目の前記基準項目に対する位置関係と、を生コンクリート製造工場ごとに記憶した、複数種類の伝票マスタを格納した格納部と、
前記格納部から、ユーザにより指定された伝票マスタである指定伝票マスタを読み出す読出部と、
前記指定伝票マスタを用いて、取得した前記画像データにおいて少なくとも1つの基準項目を検出する基準項目検出部と、
前記画像データにおいて、前記基準項目を用いて、前記伝票に記載されている必須項目の記載位置を検出して、検出された記載位置から前記必須項目の画像データである必須項目画像データを抽出する抽出部と、
抽出された前記必須項目画像データから記載内容を読み取る必須項目読取部と、
を備えた。
【0006】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート打設管理方法は、
生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場へ運搬する際に利用される伝票を撮像機器により撮像した前記伝票の画像データを取得する取得ステップと、
前記伝票に記載された項目のそれぞれの位置関係を把握するための基準となる基準項目と、前記伝票から抽出される対象となる項目である必須項目の前記基準項目に対する位置関係と、を生コンクリート製造工場ごとに記憶した、複数種類の伝票マスタを格納した格納部から、ユーザにより指定された伝票マスタである指定伝票マスタを読み出す読出ステップと、
前記指定伝票マスタを用いて、取得した前記画像データにおいて少なくとも1つの基準項目を検出する基準項目検出ステップと、
前記画像データにおいて、前記基準項目を用いて、前記伝票に記載されている必須項目の記載位置を検出して、検出された記載位置から前記必須項目の画像データである必須項目画像データを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記必須項目画像データから記載内容を読み取る必須項目読取ステップと、
を含む。
【0007】
さらに、上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート打設管理プログラムは、
生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場へ運搬する際に利用される伝票を撮像機器により撮像した前記伝票の画像データを取得する取得ステップと、
前記伝票に記載された項目のそれぞれの位置関係を把握するための基準となる基準項目と、前記伝票から抽出される対象となる項目である必須項目の前記基準項目に対する位置関係と、を生コンクリート製造工場ごとに記憶した、複数種類の伝票マスタを格納した格納部から、ユーザにより指定された伝票マスタである指定伝票マスタを読み出す読出ステップと、
前記指定伝票マスタを用いて、取得した前記画像データにおいて少なくとも1つの基準項目を検出する基準項目検出ステップと、
前記画像データにおいて、前記基準項目を用いて、前記伝票に記載されている必須項目の記載位置を検出して、検出された記載位置から前記必須項目の画像データである必須項目画像データを抽出する抽出ステップと、
抽出された前記必須項目画像データから記載内容を読み取る必須項目読取ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、工場出荷時に使用する伝票と読取機器とを利用するので、より簡易にコンクリート打設を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の動作の概要を説明するための図である。
【
図1B】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置による伝票の記載内容の読み取りの概要を説明するための図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置が有する伝票マスタテーブルの一例を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【
図8】本発明の第3実施形態に係るコンクリート打設管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るコンクリート打設管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としてのコンクリート打設管理装置100について、
図1A~
図5を用いて説明する。コンクリート打設管理装置100は、生コンクリートの運搬や打設の作業を行う際に使用されている伝票の画像データと、当該画像データから必要な情報を読み取るための伝票マスタとを用いて、コンクリートの運搬管理や打設管理を行うための装置である。
【0012】
次に、
図1Aおよび
図1Bを参照して、コンクリート打設管理装置100の動作の概要などについて説明する。生コンクリートを製造工場130から施工現場160へ向けて出荷する場合、製造工場130の従業員などが、紙製の伝票120に生コンクリートの出荷時刻などを含む必要項目をそれぞれの該当項目欄に記入する。そして、従業員は、必要項目を記入した伝票120を、生コンクリートを運搬するアジテータ車140の運転手に渡し、運転手は、伝票120を持って、施工現場160へ向けて出発する。
【0013】
アジテータ車140が施工現場160へ到着すると、運転手は、伝票120を施工現場160の作業者などに渡し、作業者は、伝票120にアジテータ車140の到着時刻などを記入する。このように、コンクリートの運搬や打設の作業においては、従来から、紙製の伝票120の受け渡しにより、様々な管理が行われている。
【0014】
そこで、コンクリート打設管理装置100においては、従来から広く使用されている紙製の伝票120(アナログデータ)を画像データ(デジタルデータ)に変換して利用することにより、コンクリートの運搬や打設の管理を行う。
【0015】
まず、製造工場130からアジテータ車140が出発する際に、アジテータ車140の運転手や製造工場130の従業員等が、タブレット端末などの携帯端末に設けられたカメラ(撮像機器)で伝票120を撮像する。伝票120の撮像が完了したら、運転手等は、伝票120の画像データをコンクリート打設管理装置100へ無線通信または有線通信を介して送信する。なお、ここでは、製造工場130の従業員等が、携帯端末のカメラで伝票120を撮像して画像データを送信する例で説明をしたが、伝票120を撮像するカメラは、コンクリート打設管理装置100に設けられたものを使用してもよい。
【0016】
そして、コンクリート打設管理装置100は、送信された伝票120の画像データを取得する。また、製造工場130の従業員などは、撮像した伝票120の画像データをコンクリート打設管理装置100へ送信する際に、使用すべき伝票マスタ111を指定する。
【0017】
ここで、コンクリート打設管理装置100によるコンクリートの打設管理における伝票マスタ111の作成の概要について説明する。伝票マスタ111は、生コンクリートの出荷時に使用される伝票120から必要な情報を読み取る際の基準となるマスタデータである。そして、コンクリート打設管理装置100は、マスタデータとなる伝票マスタ111を、マスタデータ作成用の伝票110から予め生成しておき、所定ストレージなどに格納する。コンクリート打設管理装置100は、この伝票マスタ111を利用して、伝票120の記載内容を読み取る。
【0018】
ここで、マスタデータ生成用の伝票110は、実際に使用される伝票120と同じフォーマット(形式)の伝票となっている。なお、伝票110の各項目には、必要事項が記入されているが、必要事項が記入されていなくてもよい。また、伝票110は、生コンクリートの製造工場130ごとに独自のフォーマットを有している。そのため、伝票120の記載内容を読み取る場合には、生コンクリートが製造された製造工場130に対応する伝票マスタ111を使用しなければならない。そのため、所定ストレージには、生コンクリートの製造工場130の数に応じて、複数種類の伝票マスタ111が格納されている。
【0019】
次に、伝票マスタ111の生成について説明する。コンクリート打設管理装置100は、例えば、コンクリート打設管理装置100のオペレータなどが有するタブレット端末の撮像機器を用いて撮像した伝票110の画像データを取得する。オペレータは、コンクリート打設管理装置100を用いて、伝票110の画像データに対して所定の処理を行うことにより、伝票マスタ111を生成する。
【0020】
例えば、オペレータが、伝票110の画像データを見ながら、所定面積の矩形枠で画像データ中の項目を囲む。ここで、オペレータが矩形枠で囲む項目は、伝票120に記載された項目のそれぞれの位置関係を把握するための基準となる基準項目と、伝票120から読み取られる対象となる項目である必須項目とである。さらに、オペレータは、矩形枠で囲んだ項目について、分類名(基準項目、必須項目の区別)や各項目の名称等を付与する。
【0021】
そして、コンクリート打設管理装置100は、オペレータが付与した分類名や名称等を記憶し、さらに、基準項目の矩形枠と必須項目の矩形枠との間の位置関係を記憶する。矩形枠同士の位置関係は、例えば、必須項目の矩形枠の4つの頂点を基準として、各基準項目の矩形枠の4つの頂点の、必須項目の矩形枠の4つの頂点それぞれに対する距離および方向により決定できる。なお、矩形枠同士の位置関係の決定方法は、ここに示した方法には限定されず、例えば、各矩形枠の重心位置や中心位置などを基準として位置関係を決定してもよい。ここで、基準項目は、例えば、伝票110の伝票タイトルや製造工場130の名前、製品規格マークなどであるが、これらには限定されない。
【0022】
コンクリート打設管理装置100は、このようにして決定した各項目同士の位置関係などを記憶した伝票マスタ111を生成して、所定ストレージ等に格納する。伝票マスタ111は、生コンクリートの製造工場130ごとに複数種類用意されている。
【0023】
次に、コンクリート打設管理装置100による伝票120の記載内容の読み取りについて説明する。まず、製造工場130の従業員またはアジテータ車140の運転手などのユーザは、携帯端末のカメラなどの撮像機器を用いて伝票120を撮像する。撮像された伝票120の画像データは、無線通信または有線通信を介してコンクリート打設管理装置100へ送信される。なお、製造工場130の従業員等のユーザは、伝票120の画像データ送信の際に、使用すべき伝票マスタ111に関する情報も合わせて送信する。すなわち、ユーザは、使用すべき伝票マスタ111を指定する。なお、使用すべき伝票マスタ111に関する情報の送信のタイミングは、このタイミングには限定されず、伝票120の記載内容の読取開始までであれば、いずれのタイミングであってもよい。
【0024】
コンクリート打設管理装置100は、送信された伝票120の画像データを受信するとともに、使用すべき伝票マスタ111に関する情報を受信する。そして、コンクリート打設管理装置100は、ユーザにより指定された伝票マスタ111を所定ストレージなどから読み出す。
【0025】
コンクリート打設管理装置100は、読み出した伝票マスタ111を用いて、伝票120の画像データから基準項目を検出する。検出する基準項目は、1つであっても、複数であってもよい。コンクリート打設管理装置100は、検出した基準項目に基づいて、必須項目の位置を特定し、必須項目の画像データを抽出する。
【0026】
必須項目の画像データを抽出したら、コンクリート打設管理装置100は、抽出した必須項目の画像データのOCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)を実行して、必須項目の記入欄に記載されている内容を読み取る。なお、コンクリート打設管理装置100は、必須項目の画像データを抽出せずに、必須項目の位置を特定した上で、伝票120の画像データ全体をOCR処理することにより、必須項目の記載内容を読み取るようにしてもよい。
【0027】
ここで、
図1Bを参照しながら、伝票120の記載内容の読み取りについて説明する。撮像した伝票120の画像データである、伝票画像171が画面170の左側に表示され、読み取られた内容である読取画像181が画面170の右側に表示されている。
【0028】
伝票画像171には、伝票120の記載内容が表示されている。伝票画像171における、主な必須項目は、伝票タイトル172、日付173、宛先174、製造工場名175、納入場所176、アジテータ車番号177、納入時刻178、納入容積179および種類180などである。
【0029】
そして、コンクリート打設管理装置100は、ここに列挙したような必須項目の記載内容を読み取る。必須項目の記載内容のそれぞれについては、伝票画像171においては、所定面積(縦横の長さ)を有する矩形枠で囲まれている。このように、矩形枠で囲んでいるのは、OCR処理により、伝票120の記載内容を読み取る際に、この矩形枠を頼りに、矩形枠内に存在する文字を読み取ることにより、正確かつ迅速に、記載内容を読み取ることができるからである。さらに、矩形枠で囲むのは、記載内容のそれぞれを、所定面積の矩形枠で囲むことにより、記載内容同士の位置関係、例えば、距離、方向などを決める際の基準とすることができるからである。なお、この矩形枠の配置位置や大きさなどは、ユーザの経験則に基づいて設定される。
【0030】
上述した伝票マスタ111には、記載内容の位置や範囲、位置関係などが、記憶されており、コンクリート打設管理装置100は、伝票マスタ111を頼りに、伝票画像171のどの位置にその情報が記載されているのかを特定し、その記載内容を読み取る。
【0031】
読取画像181には、伝票画像171から読み取られた内容が、読取内容182として表示されている。なお、コンクリート打設管理装置100においては、伝票120に記載されている全ての内容を読み取るのではなく、伝票120の記載内容のうち、必須の読取内容(必須読取項目)を読み取るが、必須読取項目以外の項目を読み取ってもよい。なお、コンクリート打設管理装置100においては、必須項目を設定して、記載内容の読取対象を限定しているので、迅速にOCR処理を完了できる。
【0032】
図示したように、コンクリート打設管理装置100が読み取った必須読取項目の記載内容(読取内容182)は、製造工場名175としてのプラント名(株式会社〇〇生コンクリート本社工場)、アジテータ車番号177としての車番(4598)である。また、納入容積179としての積載量(4.25)や、日付173としての納入年月日(平成31年2月12日)、納入時刻178としての出荷時刻(8時30分)、宛先174(〇〇,XXJV)、納入場所176(〇〇道路改築工事(その2))である。コンクリート打設管理装置100は、このようにして読み取られた記載内容のそれぞれを関連付けて記憶して、生コンクリートの運搬時間などを管理する。なお、伝票120から読み取る必須読取項目は、ここに示した例には、限定されない。
【0033】
その後、出荷された生コンクリートが、施工現場160へ到着すると、アジテータ車140の運転手(または施工現場160の作業者)は、出荷時と同様に、携帯端末のカメラなどを用いて伝票120を撮像する。なお、施工現場160への到着時の伝票120には、到着時刻などが施工現場160の作業者等により記入される。
【0034】
そして、アジテータ車140の運転手などは、撮像した伝票120の画像データをコンクリート打設管理装置100へ送信する。なお、現場到着時にも、アジテータ車140の運転手などは、使用すべき伝票マスタ111を指定してもよい。
【0035】
そして、コンクリート打設管理装置100は、指定された伝票マスタ111に基づいて、伝票120の記載内容を読み取る。コンクリート打設管理装置100は、例えば、アジテータ車140の施工現場160への到着時刻を読み取る。
【0036】
次に、アジテータ車140の運転手および施工現場160の作業者は、運搬された生コンクリートの荷卸し作業を開始する。ここで、コンクリート打設管理装置100は、施工現場160への到着時刻を生コンクリートの荷卸し開始時刻として管理する。なお、荷卸し開始時刻は、実際に荷卸しを開始した時刻を伝票120に記入して、記入された荷卸し開始時刻で管理してもよい。生コンクリートの荷卸しが始まると、荷卸しされた生コンクリートは、ポンプ車150から施工現場160へと供給される。
【0037】
運搬された生コンクリートの荷卸しが完了すると、施工現場160の作業者などは、伝票120を撮像して、撮像した伝票120の画像データを再びコンクリート打設管理装置100へ送信する。コンクリート打設管理装置100は、送信された画像データと伝票マスタ111とを用いて、画像データから必要な記載内容を読み取り、記録する。そして、コンクリート打設管理装置100は、画像データを読み取った時刻を、荷卸し終了時刻や生コンクリートの打設完了時刻として記録して、管理してもよい。
【0038】
このように、コンクリート打設管理装置100は、製造された生コンクリートが製造工場130から出荷される際に作成される伝票120と、予め作成して格納しておいた伝票マスタ111とを用いて、伝票120の記載内容を読み取る。そして、コンクリート打設管理装置100は、読み取った伝票120の記載内容を用いて、生コンクリートの運搬時間の管理やコンクリートの打設時間の管理を行う。
【0039】
このように、コンクリート打設管理装置100においては、以前から使用されていた伝票120を利用するので、アジテータ車140などに新たな機器を積載する必要がなく、伝票120の画像データをOCR処理するだけで、簡易かつ安価にコンクリートの運搬や打設を管理できる。
【0040】
次に
図2を参照して、コンクリート打設管理装置100の構成について説明する。コンクリート打設管理装置100は、取得部201、格納部202、読出部203、基準項目検出部204、抽出部205および必須項目読取部206を有する。
【0041】
取得部201は、生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場160へ運搬する際に利用される伝票120を撮像機器により撮像した画像データを取得する。取得部201は、例えば、製造工場130の従業員やアジテータ車140の運転手がタブレット端末などの携帯端末で撮像した伝票120の電子データを無線通信または有線通信を介して取得する。
【0042】
格納部202は、伝票110に記載された項目のそれぞれの位置関係を把握するための基準となる基準項目と、伝票110から読み取られる対象となる項目である必須項目の基準項目に対する位置関係と、を生コンクリート製造工場ごとに記憶した、複数種類の伝票マスタ111を格納する。
【0043】
上述のとおり、伝票110,120には、生コンクリートの製造工場130ごとに様々なフォーマット(形式)があるので、それぞれのフォーマットに適応できるように、製造工場130ごとに伝票マスタ111を生成し、格納しておく必要がある。そのため、格納部202は、複数種類の伝票マスタ111を格納している。
【0044】
読出部203は、製造工場130の従業員やアジテータ車140の運転手などのユーザから指定された伝票マスタ111である指定伝票マスタを読み出す。すなわち、読出部203は、指定された伝票マスタ111を、これが格納されている所定ストレージ等から読み出す。
【0045】
基準項目検出部204は、指定伝票マスタを用いて、取得部201により取得した画像データにおいて少なくとも1つの基準項目を検出する。つまり、基準項目検出部204は、伝票120の画像データから、必須項目の位置を特定するための基準となる項目を検出する。
【0046】
基準項目は、伝票120に記載された、伝票タイトル172、製造工場名175および製品規格マーク183の少なくとも1つを含む。つまり、基準項目検出部204は、伝票マスタ111を用いて、伝票120の画像データから、例えば、伝票タイトル172を検出する。なお、基準項目検出部204は、伝票タイトル172とともに製造工場名175を検出するなど、複数の基準項目を検出してもよい。さらに、追加したい基準項目があれば追加してもよい。
【0047】
抽出部205は、伝票120の画像データにおいて、検出した基準項目を用いて、伝票120に記載されている必須項目の位置を検出して、検出された記載位置から必須項目の画像データである必須項目画像データを抽出する。すなわち、抽出部205は、検出した基準項目からの距離や方向に基づいて、必須項目の記載位置を特定する。そして、抽出部205は、特定された記載位置から、必須項目のそれぞれの必須項目画像データを抽出する。例えば、抽出部205は、伝票120における、必須項目の記載欄部分の画像データを抽出する。
【0048】
必須項目読取部206は、抽出された必須項目画像データから記載内容を読み取る。つまり、必須項目読取部206は、抽出された必須項目画像データについて、例えば、OCR処理を行うことにより、必須項目の記載内容を読み取る。ここで、必須項目は、伝票120から読み取らなければならない項目であり、コンクリート打設管理装置100における、コンクリート打設の管理に必要な情報の一部または全部を構成する項目である。
【0049】
そして、この必須項目を伝票120から確実に読み出すことができるように、コンクリート打設管理装置100は、この基準項目を1つの基準として設定し、基準項目を用いて、必須項目を確実に読み出せるようにしている。具体的には、必須項目(例えば、伝票タイトル172)を所定面積の矩形枠で囲み、例えば、この矩形枠の四隅からの距離や方向、縮尺などにより、必須項目が記載されている伝票120中の位置を把握する。
【0050】
例えば、伝票タイトル172から日付173の記載位置を把握するためには、伝票タイトル172を囲む矩形枠の4つの頂点のそれぞれを、伝票120中において、移動させると、日付173の記載位置を矩形枠で囲めるかを示す情報が必要となる。例えば、伝票タイトル172を囲む矩形枠の左上頂点および左下頂点は、右下方向に所定距離だけ移動させ、右上頂点および右下頂点は、左下方向に所定距離だけ移動させると、日付173を囲む矩形枠を設定することができる。そして、伝票マスタ111には、このような情報が、必須項目のそれぞれについて記憶されている。
【0051】
ここで、読み取られる必須項目は、製造工場名175、施工現場名(施工現場160の名前)、アジテータ車140の車両番号(運搬車番号177)、生コンクリートの出荷時刻、生コンクリートの積載量の少なくとも1つを含む。コンクリート打設管理装置100は、読み取られた必須項目の記載内容として、例えば、出荷時刻や積載量、到着時刻、荷卸開始時刻、荷卸終了時刻などを記録する。
【0052】
次に
図3を参照して、コンクリート打設管理装置100が有する伝票マスタテーブル301の一例について説明する。伝票マスタテーブル301は、製造工場ID(Identifier)311に関連付けて、項目名312、位置(始点)313、矩形枠サイズ314、基準項目315および必須項目316を記憶する。製造工場ID311は、生コンクリートの製造工場130を識別するための識別子である。項目名312は、伝票120に記載されている項目の内容である。位置(始点)313は、伝票120に記載されている各項目の伝票120中において、囲まれる矩形枠の4つの頂点のうちの1つの頂点の位置を示す座標データである。矩形枠サイズ314は、各項目を囲んでいる矩形枠の大きさを示し、縦横のサイズで表したデータとなっている。そして、位置(始点)313と矩形枠サイズ314とを組み合わせることにより、矩形枠を生成することができる。
【0053】
基準項目315は、項目名312に列挙されている各項目のうち、基準項目となり得る項目を示したデータである。必須項目316は、項目名312に列挙されている各項目のうち、必須項目となり得る項目を示したデータである。そして、コンクリート打設管理装置100は、伝票マスタテーブル301を参照して、基準項目や必須項目の位置を特定する。
【0054】
図4を参照して、コンクリート打設管理装置100のハードウェア構成について説明する。CPU(Central Processing Unit)410は、演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで
図2のコンクリート打設管理装置100の各機能構成を実現する。CPU410は複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROM(Read Only Memory)420は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインタフェース430は、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPU410は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインタフェース430は、CPU410とは独立したCPUを有して、RAM(Random Access Memory)440の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM440とストレージ450との間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい(図示なし)。さらに、CPU410は、RAM440にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU410は、処理結果をRAM440に準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインタフェース430やDMACに任せる。
【0055】
RAM440は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM440には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。伝票画像データ441は、伝票120を撮像機器で撮像した画像データである。必須項目位置データ442は、伝票120の画像データにおける、必須項目の位置を示したデータである。矩形枠サイズデータ443は、矩形枠のサイズに関するデータである。読取データ444は、伝票120の画像データから読み取られた必須項目の記載内容のデータである。
【0056】
送受信データ445は、ネットワークインタフェース430を介して送受信されるデータである。また、RAM440は、各種アプリケーションモジュールを実行するためのアプリケーション実行領域446を有する。
【0057】
ストレージ450には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ450は、伝票マスタテーブル301を格納する。伝票マスタテーブル301は、
図3に示した、製造工場ID311と項目名312などとの関係を管理するテーブルである。
【0058】
ストレージ450は、さらに、取得モジュール451、読出モジュール452、基準項目検出モジュール453、抽出モジュール454および必須項目読取モジュール455を格納する。取得モジュール451は、伝票120の画像データを取得するモジュールである。読出モジュール452は、ユーザにより指定された伝票マスタ111を読み出すモジュールである。基準項目検出モジュール453は、指定された伝票マスタ111を用いて、取得した画像データから少なくとも1つの基準項目を検出するモジュールである。抽出モジュール454は、検出された基準項目の記載位置に基づいて、必須項目の画像データを抽出するモジュールである。必須項目読取モジュール455は、抽出された必須項目画像データから記載内容を読み取るモジュールである。これらのモジュール451~455は、CPU410によりRAM440のアプリケーション実行領域446に読み出され、実行される。制御プログラム456は、コンクリート打設管理装置100の全体を制御するためのプログラムである。
【0059】
入出力インタフェース460は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース460には、表示部461、操作部462、が接続される。また、入出力インタフェース460には、さらに、記憶媒体464が接続されてもよい。さらに、音声出力部であるスピーカ463や、音声入力部であるマイク(図示せず)、あるいは、GPS位置判定部が接続されてもよい。なお、
図4に示したRAM440やストレージ450には、コンクリート打設管理装置100が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータは図示されていない。
【0060】
次に
図5に示したフローチャートを参照して、コンクリート打設管理装置100の処理手順について説明する。このフローチャートは、
図4のCPU410がRAM440を使用して実行し、
図2のコンクリート打設管理装置100の各機能構成を実現する。
【0061】
ステップS501において、取得部201は、伝票120を撮像機器により撮像した画像データを取得する。ステップS503において、読出部203は、ユーザにより指定された伝票マスタ111である指定伝票マスタを読み出す。ステップS505において、基準項目検出部204は、取得した伝票120の画像データにおいて、少なくとも1つの基準項目を検出する。
【0062】
ステップS507において、抽出部205は、検出した基準項目を用いて、伝票120に記載されている必須項目の位置を特定し、特定した位置から必須項目の画像データを抽出する。ステップS509において、必須項目読取部206は、抽出された必須項目の画像データから必須項目の記載内容を読み取る。ステップS511において、コンクリート打設管理装置100は、読み取った必須項目の記載内容を記録する。
【0063】
本実施形態によれば、以前から使用されていた伝票をそのまま利用するので、情報通信媒体や受信装置などの新たな機器を取り付ける必要がないので、コンクリートの打設や運搬をより簡便に管理することができる。また、生コンクリート搬送の際に使用している伝票の画像データから記載内容を読み取って、そのまま使用するため、データの入力ミスなどの人為的ミスを防止することができ、コンクリート打設を確実に管理することができる。
【0064】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置について、
図6および
図7を用いて説明する。
図6は、本実施形態に係るコンクリート打設管理装置の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係るコンクリート打設管理装置は、上記第1実施形態と比べると、画像データ補正部を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0065】
コンクリート打設管理装置600は、画像データ補正部601をさらに有する。画像データ補正部601は、基準項目検出部204により検出された少なくとも1つの基準項目と、指定伝票マスタの基準項目とを照合することにより、伝票120の画像データを補正する。
【0066】
例えば、アジテータ車140の運転手が、伝票120の画像を撮像する場合、タブレット端末などの携帯端末のカメラを利用することが多く、この場合、画像が傾くことがあった。このような場合、傾いたままの画像データを用いて、必須項目の抽出や、記載内容の読み取りを行うと、誤った必須項目を抽出することや、記載内容の読み取りが不正確になることがある。このような、不具合が生じないようにするために、画像データ補正部601は、伝票120の画像データの補正を行う。
【0067】
画像データ補正部601は、例えば、基準項目検出部204により検出された基準項目を囲む矩形枠と、ユーザに指定された伝票マスタ111の基準項目を囲む矩形枠とを照合して、伝票120の画像データの傾き補正などを行う。例えば、画像データ補正部601は、伝票120の画像データと、伝票マスタ111との矩形枠同士が重なるように、伝票120の画像データの向きを調整することで、伝票120の画像データの傾きを補正する。なお、矩形枠同士が一部でも重複する場合、検出された基準項目を囲む矩形枠の内部の文字を認識して、読み取る。このように、伝票120の画像データの傾き補正などを行うことにより、より正確に必須項目を特定して、抽出することができる。また、OCR処理においても正確に記載内容(文字)を認識させることが可能となる。
【0068】
そして、抽出部205は、補正された補正画像データにおいて、基準項目検出部204により検出された基準項目を用いて、伝票120に記載されている必須項目の位置を検出して、検出された記載位置から必須項目の画像データである必須項目画像データを抽出する。
【0069】
次に
図7に示したフローチャートを参照して、コンクリート打設管理装置600の処理手順について説明する。このフローチャートは、
図4のCPU410がRAM440を使用して実行し、
図6のコンクリート打設管理装置600の各機能構成を実現する。
【0070】
ステップS701において、画像データ補正部601は、伝票120の画像データを補正する。画像データ補正部601は、基準項目検出部204により検出された基準項目と、指定された伝票マスタ111の基準項目を照合することにより画像データを補正する。
【0071】
本実施形態によれば、伝票の画像データを補正するので、より迅速に必須項目を抽出でき、さらに、より正確に記載内容を読み取ることができる。
【0072】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係るコンクリート打設管理装置について、
図8および
図9を用いて説明する。
図8は、本実施形態に係るコンクリート打設管理装置の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係るコンクリート打設管理装置は、上記第1実施形態および第2実施形態と比べると、縮尺調整部を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0073】
コンクリート打設管理装置800は、縮尺調整部801をさらに有する。縮尺調整部801は、指定伝票マスタの基準項目を囲む矩形枠の大きさと、伝票120の画像データの対応する基準項目を囲む矩形枠の大きさとを比較することにより、伝票120の画像データの縮尺を調整する。
【0074】
つまり、伝票120の画像を撮像するアジテータ車140の運転手や製造工場130の従業員には、携帯端末による伝票120の撮像に慣れている人物や慣れていない人物など、様々な人物がいる。そのため、伝票120を撮像する場合の、撮像条件、例えば、撮像距離などを正確に合わせることは困難である。
【0075】
そうすると、同じ基準項目や必須項目に対する、伝票マスタ111における矩形枠の大きさと、伝票120の画像データにおける矩形枠の大きさに違いが生じる。このような、矩形枠の大きさに違いが生じると、必須項目を正確に抽出することが困難となる。そのため、縮尺調整部801は、伝票マスタ111の基準項目を囲む矩形枠の大きさと、伝票120の画像データの対応する基準項目を囲む矩形枠の大きさとを比較して、これらが同じ大きさとなるように、伝票120の画像データの縮尺を調整する。
【0076】
次に
図9に示したフローチャートを参照して、コンクリート打設管理装置800の処理手順について説明する。このフローチャートは、
図4のCPU410がRAM440を使用して実行し、
図8のコンクリート打設管理装置800の各機能構成を実現する。
【0077】
ステップS901において、縮尺調整部801は、伝票120の画像データの縮尺を調整する。縮尺調整部801は、伝票マスタ111の基準項目を囲む矩形枠の大きさと、伝票120の画像データの対応する基準項目を囲む矩形枠の大きさとを比較して、画像データの縮尺を調整する。
【0078】
本実施形態によれば、伝票の画像データの縮尺を調整するので、迅速かつ容易に必須項目を抽出することが可能となる。
【0079】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0080】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。