(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147032
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラム
(51)【国際特許分類】
B28C 7/00 20060101AFI20231004BHJP
B28C 5/42 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B28C7/00
B28C5/42
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054560
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣中 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高尾 篤志
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆弘
【テーマコード(参考)】
4G056
【Fターム(参考)】
4G056AA06
4G056CD64
4G056DA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より簡易にコンクリート打設を管理する装置、方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】コンクリート打設管理装置は、工場で製造された生コンクリートを施工現場へ運搬する際に利用される伝票を撮像機器で読み込んだ伝票画像データを取得する取得部と、画像データから、伝票に記載されたアジテータ車の車両番号、積載量および出荷時刻を読み取る読取部と、読み取られた内容を紐付けて記録する記録部と、現場到着後アジテータ車を撮像する撮像部と、撮像部の撮像範囲に進入した時、映像からアジテータ車の識別番号を抽出する識別番号抽出部と、識別番号が初めて抽出された時刻を荷卸開始時刻として車両番号と識別番号と紐付けて記録する開始時刻記録部と、アジテータ車が撮像範囲の外部に退出することにより識別番号を抽出することができなくなった時刻を荷卸終了時刻として、車両番号と識別番号と紐付けて記録する終了時刻記録部と、を備える。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場へ運搬する際に利用される伝票を、前記生コンクリートの出荷時に、撮像機器を用いて読み込んで生成された前記伝票の画像データを取得する取得部と、
前記画像データから前記伝票に記載された、アジテータ車の車両番号、前記生コンクリートの積載量および前記生コンクリートの出荷時刻を読み取る読取部と、
読み取られた、前記車両番号、前記積載量および前記出荷時刻と、前記アジテータ車の識別番号と、を紐付けて記録する記録部と、
前記アジテータ車が前記施工現場に到着後、前記アジテータ車を撮像する撮像部と、
前記アジテータ車が前記撮像部の撮像範囲に進入したタイミングで、前記撮像部により撮像された映像から、前記アジテータ車を識別するための識別番号を抽出する識別番号抽出部と、
前記識別番号抽出部により、前記識別番号が初めて抽出された時刻を荷卸し開始時刻として、前記車両番号および前記識別番号と紐付けて記録する開始時刻記録部と、
前記アジテータ車が前記撮像範囲の外部に退出することにより、前記撮像部で撮像された映像から前記識別番号を抽出することができなくなった時刻を荷卸し終了時刻として、前記車両番号および前記識別番号と紐付けて記録する終了時刻記録部と、
を備えたコンクリート打設管理装置。
【請求項2】
前記出荷時刻および前記到着時刻から算出される生コンクリートの運搬時間が、運搬基準時間を超えた場合にアラートを報知し、
前記到着時刻から推定されるコンクリートの打設終了時刻が、打設基準時間を超えた場合にアラートを報知する、報知部を備えた請求項1に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項3】
記録された、前記車両番号、前記積載量、前記出荷時刻、前記荷卸開始時刻および前記荷卸終了時刻の少なくともいずれかを、前記施工現場に配置された携帯端末のディスプレイに表示させる表示制御部をさらに備えた請求項1または2に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項4】
記録された、前記車両番号、前記積載量、前記出荷時刻、前記荷卸開始時刻および前記荷卸終了時刻の少なくともいずれかを、外部の記録媒体へ送信する送信部をさらに備えた請求項1~3のいずれか1項に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項5】
前記開始時刻記録部および前記終了時刻記録部は、構造物の3次元設計情報であって、前記3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報における、前記生コンクリートが打設された小ブロックの情報を、前記車両番号に紐付けて記録する請求項1~4のいずれか1項に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項6】
前記識別番号は、自動車登録番号である請求項1~5のいずれか1項に記載のコンクリート打設管理装置。
【請求項7】
生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場へ運搬する際に利用される伝票を、前記生コンクリートの出荷時に、撮像機器を用いて読み込んで生成された前記伝票の画像データを取得する取得ステップと、
前記画像データから前記伝票に記載された、アジテータ車の車両番号、前記生コンクリートの積載量および前記生コンクリートの出荷時刻を読み取る読取ステップと、
読み取られた、前記車両番号、前記積載量および前記出荷時刻と、前記アジテータ車の識別番号と、を紐付けて記録する記録ステップと、
前記アジテータ車が前記施工現場に到着後、前記アジテータ車を撮像する撮像ステップと、
前記アジテータ車が撮像部の撮像範囲に進入したタイミングで、前記撮像ステップにおいて撮像された映像から、前記アジテータ車を識別するための識別番号を抽出する識別番号抽出ステップと、
前記識別番号抽出ステップにおいて、前記識別番号が初めて抽出された時刻を荷卸し開始時刻として、前記車両番号および前記識別番号と紐付けて記録する開始時刻記録ステップと、
前記アジテータ車が前記撮像範囲の外部に退出することにより、前記撮像ステップにおいて撮像された映像から前記識別番号を抽出することができなくなった時刻を荷卸し終了時刻として、前記車両番号および前記識別番号と紐付けて記録する終了時刻記録ステップと、
を含むコンクリート打設管理方法。
【請求項8】
生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場へ運搬する際に利用される伝票を、前記生コンクリートの出荷時に、撮像機器を用いて読み込んで生成された前記伝票の画像データを取得する取得ステップと、
前記画像データから前記伝票に記載された、アジテータ車の車両番号、前記生コンクリートの積載量および前記生コンクリートの出荷時刻を読み取る読取ステップと、
読み取られた、前記車両番号、前記積載量および前記出荷時刻と、前記アジテータ車の識別番号と、を紐付けて記録する記録ステップと、
前記アジテータ車が前記施工現場に到着後、前記アジテータ車を撮像する撮像ステップと、
前記アジテータ車が撮像部の撮像範囲に進入したタイミングで、前記撮像ステップにおいて撮像された映像から、前記アジテータ車を識別するための識別番号を抽出する識別番号抽出ステップと、
前記識別番号抽出ステップにおいて、前記識別番号が初めて抽出された時刻を荷卸し開始時刻として、前記車両番号および前記識別番号と紐付けて記録する開始時刻記録ステップと、
前記アジテータ車が前記撮像範囲の外部に退出することにより、前記撮像ステップにおいて撮像された映像から前記識別番号を抽出することができなくなった時刻を荷卸し終了時刻として、前記車両番号および前記識別番号と紐付けて記録する終了時刻記録ステップと、
をコンピュータに実行させるコンクリート打設管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打設管理装置、コンクリート打設管理方法およびコンクリート打設管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、生コンクリート搬送車の運転者にICカードを所持させ、運転者が、生コンクリートの出荷時、現場到着時、打設完了時にICカードをカードリーダにかざすと、搬送車の識別情報等が管理サーバに送信される。管理サーバは、搬送車の識別情報とその受信時刻とに基づいて、出荷時刻、運搬・待機時間、打込時間、打込終了までの時間を自動計算して生コンクリートの搬送時間を管理することが開示されている(同文献段落[0041]、
図2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、ICカードなどの情報通信媒体をコンクリート車に積載し、ICカードリーダで情報を読み取ることにより、生コンクリートの搬送時間を管理していた。そのため、情報通信媒体などの新たな機器を取り付けなければならず、コストが嵩み、簡易にコンクリートの打設を管理できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート打設管理装置は、
生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場へ運搬する際に利用される伝票を、前記生コンクリートの出荷時に、撮像機器を用いて読み込んで生成された前記伝票の画像データを取得する取得部と、
前記画像データから前記伝票に記載された、アジテータ車の車両番号、前記生コンクリートの積載量および前記生コンクリートの出荷時刻を読み取る読取部と、
読み取られた、前記車両番号、前記積載量および前記出荷時刻と、前記アジテータ車の識別番号と、を紐付けて記録する記録部と、
前記アジテータ車が前記施工現場に到着後、前記アジテータ車を撮像する撮像部と、
前記アジテータ車が前記撮像部の撮像範囲に進入したタイミングで、前記撮像部により撮像された映像から、前記アジテータ車を識別するための識別番号を抽出する識別番号抽出部と、
前記識別番号抽出部により、前記識別番号が初めて抽出された時刻を荷卸し開始時刻として、前記車両番号および前記識別番号と紐付けて記録する開始時刻記録部と、
前記アジテータ車が前記撮像範囲の外部に退出することにより、前記撮像部で撮像された映像から前記識別番号を抽出することができなくなった時刻を荷卸し終了時刻として、前記車両番号および前記識別番号と紐付けて記録する終了時刻記録部と、
を備えた。
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート打設管理方法は、
生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場へ運搬する際に利用される伝票を、前記生コンクリートの出荷時に、撮像機器を用いて読み込んで生成された前記伝票の画像データを取得する取得ステップと、
前記画像データから前記伝票に記載された、アジテータ車の車両番号、前記生コンクリートの積載量および前記生コンクリートの出荷時刻を読み取る読取ステップと、
読み取られた、前記車両番号、前記積載量および前記出荷時刻と、前記アジテータ車の識別番号と、を紐付けて記録する記録ステップと、
前記アジテータ車が前記施工現場に到着後、前記アジテータ車を撮像する撮像ステップと、
前記アジテータ車が撮像部の撮像範囲に進入したタイミングで、前記撮像ステップにおいて撮像された映像から、前記アジテータ車を識別するための識別番号を抽出する識別番号抽出ステップと、
前記識別番号抽出ステップにおいて、前記識別番号が初めて抽出された時刻を荷卸し開始時刻として、前記車両番号および前記識別番号と紐付けて記録する開始時刻記録ステップと、
前記アジテータ車が前記撮像範囲の外部に退出することにより、前記撮像ステップにおいて撮像された映像から前記識別番号を抽出することができなくなった時刻を荷卸し終了時刻として、前記車両番号および前記識別番号と紐付けて記録する終了時刻記録ステップと、
を含む。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るコンクリート打設管理プログラムは、
生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場へ運搬する際に利用される伝票を、前記生コンクリートの出荷時に、撮像機器を用いて読み込んで生成された前記伝票の画像データを取得する取得ステップと、
前記画像データから前記伝票に記載された、アジテータ車の車両番号、前記生コンクリートの積載量および前記生コンクリートの出荷時刻を読み取る読取ステップと、
読み取られた、前記車両番号、前記積載量および前記出荷時刻と、前記アジテータ車の識別番号と、を紐付けて記録する記録ステップと、
前記アジテータ車が前記施工現場に到着後、前記アジテータ車を撮像する撮像ステップと、
前記アジテータ車が撮像部の撮像範囲に進入したタイミングで、前記撮像ステップにおいて撮像された映像から、前記アジテータ車を識別するための識別番号を抽出する識別番号抽出ステップと、
前記識別番号抽出ステップにおいて、前記識別番号が初めて抽出された時刻を荷卸し開始時刻として、前記車両番号および前記識別番号と紐付けて記録する開始時刻記録ステップと、
前記アジテータ車が前記撮像範囲の外部に退出することにより、前記撮像ステップにおいて撮像された映像から前記識別番号を抽出することができなくなった時刻を荷卸し終了時刻として、前記車両番号および前記識別番号と紐付けて記録する終了時刻記録ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、工場出荷時に使用する伝票および施工現場に設置されたカメラを利用するので、より簡易にコンクリート打設を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の動作の概要を説明するための図である。
【
図1B】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置における開始ボタンの操作画面を説明するための図である。
【
図2A】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図2B】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置が管理する帳票の一例を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置が有する画像データテーブルの一例を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るコンクリート打設管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置が有する送信データテーブルの一例を示す図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としてのコンクリート打設管理装置100について、
図1A~
図5を用いて説明する。コンクリート打設管理装置100は、生コンクリートの運搬や打設の作業を行う際に使用されている伝票の画像データおよび施工現場に設置されたカメラの映像を用いて、コンクリートの運搬管理や打設管理を行うための装置である。
【0012】
図1Aおよび
図1Bを参照して、コンクリート打設管理装置100の動作の概要などについて説明する。
図1Aに示したように、製造工場130で製造された生コンクリートは、製造工場130から出荷されて、施工現場160へ運搬される。この場合、製造工場130からの出荷時に製造工場130の従業員などが、紙製の伝票120に生コンクリートの出荷時刻などを含む必要事項を記入する。そして、作業者は、必要事項を記入した伝票120を生コンクリート運搬用の運搬車両であるアジテータ車140の運転手に渡し、運転手は、渡された伝票120を持って、施工現場160へ向けて出発する。
【0013】
そして、本実施形態においては、製造工場130からアジテータ車140が出発する際に、アジテータ車140の運転手や製造工場130の従業員等が、タブレット端末などの携帯端末に設けられたカメラ190で伝票120を撮像する。伝票120の撮像が完了したら、運転手等は、伝票120の画像データ191をコンクリート打設管理装置100へ無線通信または有線通信を介して送信する。
【0014】
なお、製造工場130における伝票120の撮像は、アジテータ車140の運転手や製造工場130の従業員等が、タブレット端末に設けられたカメラ190を用いても、製造工場130に備え付けられた伝票読取用のカメラを用いてもよい。
【0015】
そして、コンクリート打設管理装置100は、送信された伝票120の画像データ191を取得する。コンクリート打設管理装置100は、取得した伝票120の画像データ191をOCR(Optical Character Recоgnition:光文字認識)処理して、伝票120の記載内容を読み取る。伝票120から読み取られる記載内容は、例えば、アジテータ車140の車両番号、生コンクリートの積載量および生コンクリートの出荷時刻である。
【0016】
記載内容の読み取りが完了したら、コンクリート打設管理装置100は、伝票120から読み取った車両番号、積載量および出荷時刻と、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーとを紐付けて記録する。これらの作業が完了したら、アジテータ車140の運転手は、施工現場160へ向けて出発する。
【0017】
そして、アジテータ車140が施工現場160へ到着すると、運搬されてきた生コンクリートの荷卸し作業が開始される。荷卸し作業を行う場合、アジテータ車140の運転手は、施工現場160の作業者の誘導に従って、アジテータ車140を指定されたポンプ車150の近くまで移動させる。なお、本実施形態においては、アジテータ車140の運転手は、施工現場160の作業者による伝票120への必要事項の記入を待つ必要はない。
【0018】
通常、アジテータ車140をポンプ車150に対して所定位置にセットする場合には、アジテータ車140を後進(バック)させてポンプ車150に近づける。そして、アジテータ車140が、ポンプ車150に対して所定距離まで近づいたら、アジテータ車140の生コンクリート貯蔵用ドラムをシュートによりポンプ車150と接続する。アジテータ車140とポンプ車150との接続が完了したら、アジテータ車140からポンプ車150へ生コンクリートが流し込まれ、運搬してきた生コンクリートの全量を流し込み終わったところで、荷卸作業は終了する。
【0019】
ここで、
図1Bに示したように、本実施形態においては、ポンプ車150に対して後進(バック)で接近してくるアジテータ車140の背面に設置されたナンバープレート170を、例えば、ポンプ車150のアウトリガーに設置されたカメラ195で撮像する。そして、コンクリート打設管理装置100は、カメラ195で撮像された映像からアジテータ車140のナンバープレート170からナンバー(自動車登録番号)を読み取る。なお、
図1Bにおいては、2台のアジテータ車140が1つの枠内に収まる程度の画角のカメラ195を用いているが、カメラ195の画角は、これには限定されず、1台または3台以上のアジテータ車140が収まる画角のカメラ195を用いてもよい。
【0020】
そして、コンクリート打設管理装置100は、カメラ195で撮像した映像からアジテータ車140のナンバープレート170のナンバーを抽出する。コンクリート打設管理装置100は、カメラ195で撮像した映像からナンバープレート170のナンバーを抽出できる間は抽出を続ける。そして、コンクリート打設管理装置100は、ナンバープレート170のナンバーが初めて抽出された時刻を荷卸し開始時刻として、アジテータ車140の車両番号およびナンバープレート170のナンバーと紐付けて記録する。
【0021】
なお、コンクリート打設管理装置100は、カメラ195により撮像された映像から、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーが抽出されている間は、荷卸作業が継続していると判断する。つまり、アジテータ車140のナンバーが抽出できている間は、アジテータ車140は、ポンプ車150の傍に停車していると判断できるので、ナンバーが抽出されている間は、荷卸し作業中であると判断できる。
【0022】
その後、アジテータ車140の荷卸し作業が終了し、シュートを取り外して、アジテータ車140が、ポンプ車150から離れると、カメラ195の撮像範囲の外部へ退出することとなる。このように、アジテータ車140がカメラ195の撮像範囲の外部に退出すると、カメラ195で撮像した映像からアジテータ車140のナンバーを抽出できなくなる。そのため、コンクリート打設管理装置100は、アジテータ車140のナンバーが抽出できなくなった時刻を、荷卸し終了時刻として、アジテータ車140の車両番号および識別番号と紐付けて記録する。
【0023】
以上のように、コンクリート打設管理装置100においては、製造工場130の出荷時刻から荷卸し終了時刻の記録までを、アジテータ車140の運転手や施工現場160の作業者の関与なしに、一貫して自動的に行うので、容易、確実にコンクリート打設を管理できる。
【0024】
次に
図2を参照して、コンクリート打設管理装置100の構成について説明する。コンクリート打設管理装置100は、取得部201、読取部202、記録部203、撮像部204、識別番号抽出部205、開始時刻記録部206、終了時刻記録部207および表示制御部208を有する。
【0025】
取得部201は、生コンクリート製造工場で製造された生コンクリートをコンクリートの施工現場160へ運搬する際に利用される伝票120を、生コンクリートの出荷時に、撮像機器を用いて読み込んで生成された伝票120の画像データ191を取得する。つまり、コンクリート打設管理装置100においては、生コンクリートの製造工場130で製造された生コンクリートを施工現場160へアジテータ車140により運搬する際に利用される紙製の伝票120の画像データ191を利用する。そのため、コンクリート打設管理装置100において、紙製の伝票120を利用することができるように、製造工場130の従業員やアジテータ車140の運転手などが所持する携帯端末のカメラ190(撮像機器)を用いて、紙製の伝票120を読み込んで(撮像して)、画像データ191を生成する。
【0026】
このように、紙製の伝票120をカメラ190で読み込んで、画像データ191を生成することにより、コンクリート打設管理装置100において、伝票120をデジタルデータとして取り扱うことができるようになる。生成された画像データ191は、コンクリート打設管理装置100に対して送信される。ここで、コンクリート打設管理装置100と、アジテータ車140の運転手などが所持する携帯端末とは、無線通信または有線通信を介して接続されている。
【0027】
そして、取得部201は、アジテータ車140の運転手などが所持する携帯端末から送信された画像データ191を取得する。なお、送信される画像データ191には、撮像条件や撮像時刻などの情報も含まれている。
【0028】
読取部202は、画像データ191から伝票120に記載された、アジテータ車140の車両番号、生コンクリートの積載量および生コンクリートの出荷時刻を読み取る。読取部202は、取得した画像データ191について、OCR処理を実行することにより、伝票120の記載内容を読み取る。なお、読取部202が読み取る伝票120の内容は、車両番号、積載量および出荷時刻には限定されない。
【0029】
ここで、アジテータ車140の車両番号は、例えば、アジテータ車140の車体の側面のドア部分や車体の前面などに表示されている1桁~4桁で表示される数字であり、ドアナンバーと呼ばれる番号である。ドアナンバーは、自動車登録番号(ナンバープレート170のナンバー)と比べると、見易い位置に表示されているため、製造工場130などにおいて、監視カメラを用いた監視がし易く、広く利用されている。また、見易い位置に表示されているため、生コンクリートの積み込みの車両管理や、待機車両の把握なども容易に行え、ドアナンバーは、アジテータ車140の管理番号として広く利用されている番号である。
【0030】
記録部203は、読み取られた、車両番号、積載量、出荷時刻およびアジテータ車140の識別番号を紐付けて記録する。ここで、識別番号は、アジテータ車140のそれぞれを区別して管理できる番号であれば、いずれの番号を採用してもよい。なお、伝票120の記載内容が不鮮明であったり、記載位置がずれていたりして、読取部202により、出荷時刻が読み取れない場合、記録部203は、次のような処理を行ってもよい。つまり、記録部203は、カメラ190により伝票120を読み込んだ時刻を出荷時刻として記録する。これにより、伝票120において、所定記載位置に出荷時刻が記載されていなかったり、所定記載位置からずれた位置に記載されていたりする場合などであっても、生コンクリートの運搬時間(出荷時刻)の管理を行うことができる。以上により、生コンクリートの出荷時の一連の処理が完了し、生コンクリートの運搬管理が開始される。
【0031】
撮像部204は、アジテータ車140が施工現場160に到着後、アジテータ車140を撮像する。ここで、撮像部204としてのカメラ195は、例えば、ポンプ車150のアウトリガーに設置されている。しかしながら、カメラ195の設置位置は、これには限定されず、アジテータ車140の背面にあるナンバープレート170をカメラ195の撮像範囲に収めることができる位置であれば、いずれの位置であってもよい。例えば、カメラ195は、施工現場160のいずれかの位置に設置されていればよい。なお、カメラ195をポンプ車150の近傍に設置すれば、アジテータ車140と、生コンクリートが供給されるポンプ車150との対応関係が明確となる。また、アジテータ車140のナンバープレート170は、前面にあるものをカメラ195で撮像してもよい。
【0032】
識別番号抽出部205は、アジテータ車140が撮像部204の撮像範囲に進入したタイミングで、撮像部204により撮像された映像から、アジテータ車140を識別するための識別番号を抽出する。すなわち、識別番号抽出部205は、アジテータ車140がカメラ195のフレームに収まっていなければ、カメラ195が撮像した映像には、アジテータ車140が写っていないので、識別番号を抽出できない。したがって、識別番号抽出部205は、アジテータ車140がカメラ195のフレームにフレームインしたタイミングで、識別番号の抽出を開始する。
【0033】
ここで、識別番号抽出部205は、識別番号として、アジテータ車140の自動車登録番号(ナンバープレート170のナンバー)を抽出する。識別番号抽出部205が、識別番号として自動車登録番号の抽出を行うのは、アジテータ車140の前面や側面に表示される車両番号(ドアナンバー)には、表示位置や文字サイズに決まりがなく、また、番号が重複する可能性があるからである。そのため、識別番号抽出部205は、ナンバープレート170のように設置位置がある程度決まっており、文字サイズやフォントなども統一されているナンバープレート170のナンバーを抽出する。
【0034】
そして、識別番号抽出205による識別番号の抽出は、次の手順に従って行われる。まず、識別番号抽出部205は、カメラ195で撮像した映像における、ナンバープレート170の位置を特定する。ナンバープレート170の位置の特定は、例えば、人工知能(AI:Artificial Intelligence)による画像認識を用いて行われるが、これには限定されない。例えば、OCR処理による文字認識等の技術を利用してもよい。
【0035】
すなわち、識別番号抽出部205は、アジテータ車140が後進でポンプ車150に接近して、アジテータ車140の背面が、カメラ195のフレームに収まると、ナンバープレート170の位置を特定し始める。なお、カメラ195の焦点位置は、アジテータ車140が停止すると想定される位置を含む前後の範囲に合わせられている。
【0036】
また、アジテータ車140においては、いずれの車体においても、ナンバープレート170が掲示される位置は、ほぼ決まっているため、カメラ195で撮像した映像において、ナンバープレート170の位置が比較的特定し易くなっている。なお、アジテータ車140のナンバープレート170の設置位置は、アジテータ車140のホッパーの隣の位置であることがほとんどであるが、他の場所に設置されることもある。そのため、識別番号抽出部205は、初めに、ナンバープレート170の位置を特定する。
【0037】
ナンバープレート170の位置が特定されると、識別番号抽出部205は、カメラ195で撮像した映像から、例えば、アジテータ車140のナンバープレート部分を切り抜いて、文字認識を行い、ナンバープレート170の数字(ナンバー)を抽出する。
【0038】
開始時刻記録部206は、識別番号抽出部205により、識別番号が初めて抽出された時刻を荷卸開始時刻として、車両番号および識別番号と紐付けて記録する。つまり、アジテータ車140が、ナンバープレート170のナンバーが読み取られる位置まで、ポンプ車150に接近すると、それから時間を空けずに、生コンクリートの荷卸作業が開始されることが予想できる。そのため、開始時刻記録部206は、識別番号抽出部205により、ナンバープレート170のナンバーが最初に抽出された時刻を荷卸しの開始時刻として記録する。
【0039】
終了時刻記録部207は、アジテータ車140が、撮像部204の撮像範囲の外部に退出することにより、撮像部204で撮像された映像から識別番号を抽出することができなくなった時刻を荷卸し終了時刻として、車両番号および識別番号と紐付けて記録する。アジテータ車140は、荷卸し作業が終了すると、速やかに、ポンプ車150の傍を離れる。つまり、アジテータ車140は、荷卸しが終了すると、今までアジテータ車140が停止していた位置から移動を開始する。アジテータ車140が移動すると、アジテータ車140がカメラ195のフレームからフレームアウトするので、識別番号抽出部205は、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーを抽出できなくなる。そのため、識別番号抽出部205により、アジテータ車140のナンバープレートのナンバーが抽出できなくなったタイミングを、アジテータ車140の荷卸しの終了時刻としている。
【0040】
上述したように、本実施形態においては、荷卸しの開始および終了の判定のタイミングをカメラ195のフレームへのアジテータ車140のフレームインおよびフレームアウトのタイミングとしている。そのため、コンクリート打設管理装置100では、識別番号の抽出の可否に基づいて、荷卸開始時刻および終了時刻を自動的に管理している。このように、コンクリート打設管理装置100においては、アジテータ車140の運転手や施工現場160の作業者による作業を必要としないので、操作ミスや入力ミスなんどのヒューマンエラーを限りなく低減することが可能となっている。
【0041】
表示制御部208は、記録された、車両番号、積載量、出荷時刻、荷卸開始時刻および荷卸し終了時刻の少なくともいずれかを、施工現場160に配置された携帯端末のディスプレイに表示させる。表示制御部208は、例えば、施工現場160の作業者が所持するタブレット端末やスマートフォンなどのディスプレイに記録された情報を表示させる。施工現場160の作業者などは、表示された情報に基づいて、コンクリートの打設管理を行う。
【0042】
そして、開始時刻記録部206および終了時刻記録部207は、構造物の3次元設計情報であって、3次元設計情報を所定サイズの大ブロックに区分して、区分された前記大ブロックのそれぞれを、所定サイズの小ブロックに分割した分割データを有する3次元設計情報における、生コンクリートが打設された小ブロックの情報を、前記車両番号に紐付けて記録する。そして、どの車両番号を有するアジテータ車140が、どのポンプ車150にコンクリートを荷卸しし、荷卸しされたコンクリートが打ち込まれた小ブロックの情報や、運搬時間の情報、打込み時間の情報などは、例えば、
図2Bに示したような帳票の形で記録される。なお、アジテータ車140の車両番号の他にも、ナンバープレートのナンバーなどの識別番号なども帳票に記録してもよい。
【0043】
構造物のコンクリート打込みを行う場合、アジテータ車140で未硬化のコンクリートを運搬し、例えば、1日の施工領域に組み立てられた型枠内に、順次、未硬化のコンクリートを打ち込む。そして、先に打ち込まれたコンクリートが硬化する前に、次のコンクリートを打ち重ね、バイブレータなどによりコンクリートを締め固め、打ち重ねたコンクリートと打ち重ねられたコンクリートとの両方のコンクリートを一体化させる。この打込みから一体化までの作業を繰り返すことで、施工領域へのコンクリートの打込みが完了する。コンクリートの打込み完了後は、一定期間養生して硬化させ、組み立てた型枠の脱型を行う。
【0044】
この場合、構造物にコンクリートを順次打ち込むときに、先行して打込んだコンクリートが硬化する前に、打ち重ねられたコンクリートと打ち重ねたコンクリートとをバイブレータなどによって一体化させる必要がある。このとき、コンクリートの打重ね時間が管理時間を超過すると、コンクリートの打重ね部分にコールドジョイントなどが発生し、弱部となるおそれがある。そのため、構造物のコンクリート打込みにおいては、材料練り混ぜからの時間管理や、コンクリートの打込み順序、打重ね時間の管理などが重要となる。
【0045】
ここで、コンクリートの施工領域の規模が大きくなると、多量のコンクリートが必要となり、コンクリートを運搬するために必要となるアジテータ車140の台数が多くなる。さらに、大規模構造物のコンクリートを打ち込むためには、アジテータ車140の運搬可能量などに応じて、当該構造物を複数の層に分けるなどして、順序立ててコンクリートを打ち込まなければならず、コンクリートの層数も多くなる傾向にある。そのため、打ち継ぎ部も多くなるので、コールドジョイントなどの弱部が発生することがないように、コンクリートの打重ね時間などを考慮した上で、打込み順序や打込み層厚などを決めてコンクリートの打設計画を立てる必要があった。
【0046】
打設計画の立案は、例えば、3次元CAD(Computer-Aided Design)などを用いて設計した構造物の3次元データ等を含む3次元設計情報を用いて行われる。3次元設計情報には、例えば、工区や工期などの情報も含まれている。3次元設計情報は、所定期間に打設可能なコンクリートの量に応じて設定された施工領域であり、複数の大ブロックに分けられている。すなわち、構造物は、複数の大ブロックを含んでいる。そして、複数の大ブロックを、アジテータ車140の運搬可能量に応じて、いくつかの小ブロックに分割する。このように、3次元設計情報は、構造物を複数の小ブロックに分割した分割データを有しており、コンクリートの打込みは、小ブロック単位で行われることとなる。
【0047】
また、コンクリート打設管理装置100は、記録された出荷時刻および到着時刻から算出される生コンクリートの運搬時間が、運搬基準時間を超えた場合に、アラートを報知する報知部を有してもよい。このアラートが報知されることで、管理時間の接近を警告し、作業者等に対して注意喚起を促すことができる。ここで、運搬基準時間は、運搬管理時間よりも所定時間手前に設定された、アジテータ車140が、当該時間までに施工現場160へ到着しなければならない時間である。また、運搬管理時間は、製造工場130で製造された生コンクリートが施工現場160に運搬されるまでに許された時間であり、この時間を超えて施工現場160へ運搬されてきた生コンクリートを打ち込むことができなくなる時間である。すなわち、運搬管理時間は、日本産業規格(JIS)やコンクリート標準示方書などにより、定められた、コンクリートの品質を保つための1つの基準となる時間である。運搬時間が、運搬管理時間を超えた場合には、コンクリートを荷卸しせずに、返却しなければならない。そして、運搬基準時間は、運搬管理時間よりも短い時間として設定されているが、これは、コンクリート打込みに要する時間を考慮して設定された時間となっている。すなわち、運搬基準時間は、この時間までに生コンクリートが運搬されれば、コンクリートの打込み終了までの時間が、運搬管理時間以内に収まるように計算された時間となっている。運搬基準時間は、例えば、運搬管理時間よりも10分~15分短く設定された時間となっている。
【0048】
さらに、コンクリート打設管理装置100は、記録された到着時刻から推定される打込み終了時刻(荷卸し終了時刻)が、打込み基準時間を超えた場合に、アラートを報知する報知部を有してもよい。つまり、このアラートが報知された場合には、運搬されてきた生コンクリートを製造工場130へ返却しなければならない。ここで、打込み基準時間は、打込み管理時間よりも所定時間手前に設定された、運搬された生コンクリートが、当該時間までに打込みが終了しなければならない時間である。所定時間は、コンクリートの打ち込みに要する時間に基づいて決定される時間である。また、打込み管理時間は、製造工場130で製造された生コンクリートが、施工現場160において、打ち込みが終了するまでに許された時間であり、この時間を超えて打ち込みが終了すると、硬化後のコンクリートの品質が保てなくなる時間である。すなわち、打込み管理時間は、日本産業規格やコンクリート標準示方書などにより、定められた、打込み後のコンクリートの品質を保つための1つの基準となる時間である。そして、打込み基準時間は、打込み管理時間よりも短い時間として設定されているが、打ち込まれたコンクリートの安全を確保するために、設定された時間となっている。打込み基準時間は、例えば、打込み管理時間から、打ち込みに要する想定時間を引いた時間となっている。
【0049】
次に
図3を参照して、コンクリート打設管理装置100が有する画像データテーブル301の一例について説明する。画像データテーブル301は、画像データID(Identifier)311に関連付けて、画像データ情報312、読取内容データ313、自動車登録番号314、荷卸開始時刻315および荷卸終了時刻316を記憶する。画像データID311は、カメラ190で撮像して伝票120の画像データ191を識別するための識別子である。画像データ情報312は、伝票120の撮像条件や撮像時刻などについての情報である。
【0050】
読取内容データ313は、伝票120の画像データ191からOCR処理により読み取った内容についてのデータであり、車両番号や出荷時刻、積載量などを含む。自動車登録番号314は、識別番号抽出部205により抽出された、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーである。荷卸開始時刻315は、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーが初めて抽出された時刻を荷卸しの開始時刻とした時刻である。荷卸終了時刻316は、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーが抽出できなくなった時刻を荷卸しの終了時刻とした時刻である。
【0051】
図4を参照して、コンクリート打設管理装置100のハードウェア構成について説明する。CPU(Central Processing Unit)410は、演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで
図2のコンクリート打設管理装置100の各機能構成を実現する。CPU410は複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROM(Read Only Memory)420は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインタフェース430は、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPU410は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインタフェース430は、CPU410とは独立したCPUを有して、RAM(Random Access Memory)440の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM440とストレージ450との間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい(図示なし)。さらに、CPU410は、RAM440にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU410は、処理結果をRAM440に準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインタフェース430やDMACに任せる。
【0052】
RAM440は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM440には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。伝票画像データ441は、伝票120を撮像機器で撮像した画像データ191であり、製造工場130からの出荷時に撮像された伝票120の画像に関するデータである。画像データ情報442は、伝票120を撮像した際の撮像条件や撮像時刻などを含む情報である。読取データ443は、画像データ191から読み取った伝票120の記載内容に関するデータである。自動車登録番号データ444は、識別番号抽出部205により抽出された、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーに関するデータである。開始終了時刻データ445は、識別番号抽出部205により、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーを初めて抽出することができた時刻および当該ナンバーを抽出することができなくなった時刻に関するデータである。
【0053】
送受信データ446は、ネットワークインタフェース430を介して送受信されるデータである。また、RAM440は、各種アプリケーションモジュールを実行するためのアプリケーション実行領域447を有する。
【0054】
ストレージ450には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ450は、画像データテーブル301を格納する。画像データテーブル301は、
図3に示した、画像データID311と画像データ情報312などとの関係を管理するテーブルである。
【0055】
ストレージ450は、さらに、取得モジュール451、読取モジュール452、記録モジュール453、撮像モジュール454、識別番号抽出モジュール455、開始時刻記録モジュール456、終了時刻記録モジュール457および表示制御モジュール458を格納する。
【0056】
取得モジュール451は、伝票120の画像データ191を取得するモジュールである。読取モジュール452は、画像データ191から伝票120に記載された、車両番号、積載量および出荷時刻などを読み取るモジュールである。記録モジュール453は、読み取られた、車両番号、積載量および出荷時刻を紐付けて記録するモジュールである。
【0057】
撮像モジュール454は、アジテータ車140を撮像するモジュールである。識別番号抽出モジュール455は、撮像部204により撮像された映像から、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーを抽出するモジュールである。開始時刻記録モジュール456は、識別番号抽出部205により、ナンバープレート170のナンバーが初めて抽出された時刻を荷卸開始時刻として、車両番号およびナンバーと紐付けて記録するモジュールである。
【0058】
終了時刻記録モジュール457は、識別番号抽出部205により、ナンバープレート170のナンバーを抽出することができなくなった時刻を、荷卸終了時刻として車両番号およびナンバーと紐付けて記録するモジュールである。表示制御モジュール458は、車両番号、積載量、出荷時刻、荷卸し開始時刻および荷卸し終了時刻の少なくともいずれかを、施工現場160に配置された携帯端末のディスプレイに表示させるモジュールである。これらのモジュール451~458は、CPU410によりRAM440のアプリケーション実行領域447に読み出され、実行される。制御プログラム459は、コンクリート打設管理装置100の全体を制御するためのプログラムである。
【0059】
入出力インタフェース460は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース460には、表示部461、操作部462、が接続される。また、入出力インタフェース460には、さらに、記憶媒体464が接続されてもよい。さらに、音声出力部であるスピーカ463や、音声入力部であるマイク(図示せず)、あるいは、GPS位置判定部が接続されてもよい。なお、
図4に示したRAM440やストレージ450には、コンクリート打設管理装置100が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータは図示されていない。
【0060】
次に
図5に示したフローチャートを参照して、コンクリート打設管理装置100の処理手順について説明する。このフローチャートは、
図4のCPU410がRAM440を使用して実行し、
図2のコンクリート打設管理装置100の各機能構成を実現する。
【0061】
ステップS501において、取得部201は、製造工場130の出荷時にカメラ190を用いて読み込んで生成された伝票120の画像データ191を取得する。ステップS503において、読取部202は、画像データ191から伝票120に記載された、アジテータ車140の車両番号、生コンクリートの積載量、生コンクリートの出荷時刻などを読み取る。
【0062】
ステップS505において、記録部203は、出荷時刻が読み取れるか否かを判定する。出荷時刻が読み取れると判定した場合(ステップS505のYES)、記録部203は、ステップS507へ進む。ステップS507において、記録部203は、読み取られた、車両番号、積載量および出荷時刻を紐付けて記録する。
【0063】
出荷時刻が読み取れないと判定した場合(ステップS505のNO)、記録部203は、ステップS509へ進む。ステップS509において、記録部203は、カメラ190で伝票120を読み込んだ時刻を、生コンクリートの出荷時刻として、車両番号などと紐付けて記録する。
【0064】
ステップS511において、撮像部204は、施工現場160に到着したアジテータ車140を撮像する。ステップS513において、コンクリート打設管理装置100は、撮像部204により撮像された映像からアジテータ車140のナンバープレート170のナンバーが抽出できるか否かを判定する。ナンバーが抽出できないと判定した場合(ステップS513のNO)、コンクリート打設管理装置100は、撮像および抽出を継続する。ナンバーが抽出できたと判定した場合、コンクリート打設管理装置100は、ステップS515へ進む。
【0065】
ステップS515において、開始時刻記録部206は、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーが初めて抽出された時刻を、荷卸し開始時刻として、アジテータ車140の車両番号およびナンバーと紐付けて記録する。ステップS517において、コンクリート打設管理装置100は、撮像部204により撮像された映像から、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーが抽出できなくなっているか否かを判定する。ナンバーが抽出できていると判定した場合(ステップS517のNO)、コンクリート打設管理装置100は、処理を継続する。ナンバーが抽出できなくなったと判定した場合(ステップS517のYES)、コンクリート打設管理装置100は、ステップS519へ進む。
【0066】
ステップS519において、終了時刻記録部207は、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーが抽出できなくなった時刻を荷卸し終了時刻として、アジテータ車140の車両番号およびナンバーと紐付けて記録する。ステップS521において、表示制御部208は、記録された、車両番号、積載量、出荷時刻、荷卸し開始時刻および荷卸し終了時刻の少なくともいずれかを、施工現場160に配置された携帯端末のディスプレイに表示させる。
【0067】
本実施形態によれば、コンクリートの出荷時に伝票に記入された記載内容をそのまま利用しつつ、アジテータ車が施工現場へ到着した後は、カメラの映像を利用して荷卸しの開始および終了を管理するので、人為的ミスの発生する余地がない。また、伝票の画像データおよびカメラで撮像した映像を利用するので、簡便な方法でありながら、迅速かつ確実にコンクリート打設を管理することができる。
【0068】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係るコンクリート打設管理装置について、
図6~
図9を用いて説明する。
図6は、本実施形態に係るコンクリート打設管理装置600の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係るコンクリート打設管理装置600は、上記第1実施形態と比べると、送信部601を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0069】
コンクリート打設管理装置600は、送信部601をさらに有する。送信部601は、記録された、車両番号、積載量、出荷時刻、荷卸し開始時刻および荷卸し終了時刻の少なくともいずれかを、外部の記録媒体へ送信する。送信されたこれらのデータは、外部記録媒体に格納される。外部記録媒体は、例えば、クラウド上に存在するストレージや他のサーバコンピュータのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記録媒体であり、送信部601は、無線通信または有線通信を介して、記録されたデータを外部記録媒体へ送信する。
【0070】
次に
図7を参照して、コンクリート打設管理装置600が有する送信データテーブル701の一例について説明する。送信データテーブル701は、車両番号711に関連付けて出荷時刻712、積載量713、自動車登録番号714、荷卸開始時刻715および荷卸終了時刻716を格納する。車両番号711は、アジテータ車140のドアナンバーなどの番号である。出荷時刻712は、アジテータ車140が製造工場130を出発した時刻である。積載量713は、アジテータ車140が運搬する生コンクリートの量である。自動車登録番号714は、アジテータ車140のナンバープレート170のナンバーである。荷卸開始時刻715は、アジテータ車140がポンプ車150に対して運搬してきた生コンクリートの供給を開始した時刻である。荷卸終了時刻716は、アジテータ車140がポンプ車150に対して運搬してきた生コンクリートの供給を終了した時刻である。
【0071】
図8を参照して、コンクリート打設管理装置600のハードウェア構成について説明する。RAM840は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM840には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。記録データ841は、記録された、車両番号、積載量、出荷時刻、荷卸し開始時刻および荷卸し終了時刻に関するデータである。
【0072】
ストレージ850には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ850は、送信データテーブル701を格納する。送信データテーブル701は、
図7に示した、車両番号711と出荷時刻712などとの関係を管理するテーブルである。
【0073】
ストレージ850は、さらに、送信モジュール851を格納する。送信モジュール851は、記録された、車両番号、積載量、出荷時刻、荷卸し開始時刻および荷卸し終了時刻の少なくともいずれかを外部の記録媒体へ送信するモジュールである。このモジュール851は、CPU410によりRAM840のアプリケーション実行領域447に読み出され、実行される。
【0074】
次に
図9に示したフローチャートを参照して、コンクリート打設管理装置600の処理手順について説明する。このフローチャートは、
図8のCPU410がRAM840を使用して実行し、
図6のコンクリート打設管理装置600の各機能構成を実現する。
【0075】
ステップS901において、送信部601は、記憶された、車両番号、積載量、出荷時刻、荷卸し開始時刻および荷卸し終了時刻の少なくともいずれかを、外部の記録媒体へ送信する。これらのデータが送信される外部記録媒体は、例えば、クラウド上に存在するストレージや他のサーバコンピュータのHDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリなどであるが、これらには限定されない。
【0076】
本実施形態によれば、クラウドなどに存在するストレージに記録されたデータを格納することにより、施工現場160のみならず、あらゆる場所から記録されたデータにアクセスして、参照できるようになり、データ利用の利便性が大幅に向上する。
【0077】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0078】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。