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特開2023-147051インダクタおよびインダクタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147051
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】インダクタおよびインダクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20231004BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20231004BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01F41/04 B
H01F17/04 F
H01F27/29 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054586
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水越 泰孝
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E062FF02
5E062FG11
5E070AA01
5E070AB02
5E070BB03
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】素体の表面に形成された導電性樹脂層により外部電極が構成されるインダクタにおいて、素体と外部電極との間の剥離の発生を効果的に防止すること。
【解決手段】磁性粒子と樹脂とを含むコアおよびコア内に埋設された導体を含む素体と、前記コアから露出した前記導体の端部に接するように前記コアの表面に配された導電性樹脂層および導電性樹脂層の上に形成されためっき層を含む外部電極と、で構成されるインダクタであって、めっき層は、導電性樹脂層が配された範囲を超えコアの表面まで延在してコアの表面と接する結着部を有し、めっき層は、結着部においてコアの表面からコアの内部へ侵入して磁性粒子同士の間に入り込んでいる、
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子と樹脂とを含むコアおよび前記コア内に埋設された導体を含む素体と、前記コアから露出した前記導体の端部に接するように前記コアの表面に配された導電性樹脂層および前記導電性樹脂層の上に形成されためっき層を含む外部電極と、で構成されるインダクタであって、
前記めっき層は、前記導電性樹脂層が配された範囲を超え前記コアの表面まで延在して前記コアの表面と接する結着部を有し、
前記めっき層は、前記結着部において前記コアの表面から前記コアの内部へ侵入して前記磁性粒子同士の間に入り込んでいる、
インダクタ。
【請求項2】
前記磁性粒子は、平均粒径の異なる第1磁性粒子と第2磁性粒子を含み、前記第1磁性粒子の平均粒径は、前記第2磁性粒子の平均粒径より大きく、
前記めっき層の、前記結着部における前記コアの表面から前記コアの内部への侵入深さは、前記コアが含む前記第1磁性粒子の平均粒径の1/3以上3倍以下である、
請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記コアは略六面体形状であり、
前記導電性樹脂層と前記めっき層は、前記コアの少なくとも一の主面において相対向する前記コアの2つの端部のいずれかから前記一の主面に延在し、
前記コアの前記端部から延在する前記導電性樹脂層の縁部を越えて前記コア上に延在するめっき層において、前記一の主面における前記結着部の、前記端部の法線方向に沿った長さは、30μm以上600μm以下である、
請求項1または2に記載のインダクタ。
【請求項4】
表面に絶縁膜を有する磁性粒子と樹脂とを含むコアおよび前記コア内に埋設された導体を含む素体と、前記コアから露出した前記導体の端部に接するように前記コア上に配された導電性樹脂層および前記導電性樹脂層の上に形成されためっき層を含む外部電極と、で構成されるインダクタの製造方法であって、
コアの表面のうち、外部電極を形成すべき範囲である電極予定箇所において、前記コアの表面に突出した前記磁性粒子の前記絶縁膜及び前記コアの表面の樹脂を除去する工程と、
前記電極予定箇所の範囲内に前記導電性樹脂層を形成する導電性樹脂層形成工程と、
前記電極予定箇所の範囲内において前記導電性樹脂層の上にめっき層を形成するめっき層形成工程と、
を有し、
前記めっき層形成工程において、
前記めっき層は、前記導電性樹脂層形成工程で形成された前記導電性樹脂層の範囲を超え前記コアの表面まで延在して前記コアの表面と接する結着部を有するよう形成され、且つ、
前記めっき層は、前記結着部において前記コアの表面から前記コアの内部へ侵入して前記磁性粒子同士の間に入り込むよう形成される、
インダクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ及びインダクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成型体であるコアにコイル導体を埋設した素体の表面に、2つの外部電極を設けて成るインダクタが知られている(特許文献1参照)。このようなインダクタでは、例えば、コアの表面の2か所に、それぞれ露出した上記端部と接続するように、銀粉を含んだ導電性樹脂が塗布され、当該導電性樹脂の上にニッケルやスズ等の金属のめっきが施されることにより上記外部電極が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-245473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動作温度範囲の非常に広い車載用途等の環境条件においては、インダクタの故障モードとして、素体からの導電性樹脂が剥離の発生が考えられ得る。また、外部電極の電気抵抗を低減する目的で導電性樹脂に含まれる銀粉の量を多くすると、素体に対する外部電極の密着力が低下し、外部電極が素体から剥がれやすくなり得る。また、外部電極を回路基板等にはんだ付けする際のはんだ爆ぜを低減する目的で導電性樹脂の上のめっき層におけるニッケルめっきの膜厚を厚くした場合にも、ニッケルめっきの応力によって導電性樹脂が素体から剥がれやすくなることが考えられ得る。
【0005】
本発明の目的は、コアの表面に形成された導電性樹脂層とめっき層により外部電極が構成されるインダクタにおいて、コアからの外部電極の剥離の発生を効果的に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様は、磁性粒子と樹脂とを含むコアおよび前記コア内に埋設された導体を含む素体と、前記コアから露出した前記導体の端部に接するように前記コアの表面に配された導電性樹脂層および前記導電性樹脂層の上に形成されためっき層を含む外部電極と、で構成されるインダクタであって、前記めっき層は、前記導電性樹脂層が配された範囲を超え前記コアの表面まで延在して前記コアの表面と接する結着部を有し、前記めっき層は、前記結着部において前記コアの表面から前記コアの内部へ侵入して前記磁性粒子同士の間に入り込んでいる、インダクタである。
本発明の他の態様は、表面に絶縁膜を有する磁性粒子と樹脂とを含むコアおよび前記コア内に埋設された導体を含む素体と、前記コアから露出した前記導体の端部に接するように前記コア上に配された導電性樹脂層および前記導電性樹脂層の上に形成されためっき層を含む外部電極と、で構成されるインダクタの製造方法であって、コアの表面のうち、外部電極を形成すべき範囲である電極予定箇所において、前記コアの表面に突出した前記磁性粒子の前記絶縁膜及び前記コアの表面の樹脂を除去する工程と、前記電極予定箇所の範囲内に前記導電性樹脂層を形成する導電性樹脂層形成工程と、前記電極予定箇所の範囲内において前記導電性樹脂層の上にめっき層を形成するめっき層形成工程と、を有し、前記めっき層形成工程において、前記めっき層は、前記導電性樹脂層形成工程で形成された前記導電性樹脂層の範囲を超え前記コアの表面まで延在して前記コアの表面と接する結着部を有するよう形成され、且つ、前記めっき層は、前記結着部において前記コアの表面から前記コアの内部へ侵入して前記磁性粒子同士の間に入り込むよう形成される、インダクタの製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、素体の表面に形成された導電性樹脂層とめっき層とにより外部電極が構成されるインダクタにおいて、素体からの外部電極の剥離の発生を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るインダクタを上面の側から視た斜視図である。
図2】インダクタを底面の側から視た斜視図である。
図3】インダクタの内部構成を示す透視斜視図である。
図4】インダクタの製造工程の概要図である。
図5】従来のインダクタにおける素体と外部電極とが剥離した状態を示す断面拡大写真である。
図6】従来のインダクタにおける素体と外部電極とが密着した状態を示す断面拡大写真である。
図7図1に示すインダクタにおける、導電性樹脂層とめっき層との位置関係を示す図である。
図8図7に示す導電性樹脂層とめっき層とを、底面の側から視た斜視図である。
図9】結着部の断面の、顕微鏡写真の一例である。
図10】結着部の断面の、顕微鏡写真の他の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るインダクタ1を上面12の側から視た斜視図であり、図2はインダクタ1を上面12に対向する底面10の側から視た斜視図である。
本実施形態のインダクタ1は、表面実装型の電子部品として構成されており、略六面体形状の一態様である略直方体形状の素体2と、当該素体2の表面に設けられた一対の外部電極4とを備えている。
【0010】
以下、素体2において、実装時に図示しない実装基板に向けられる第1の主面を底面10と定義し、底面10に対向する第2の主面を上面12と言い、底面10に直交する一対の第3の主面を端面14と言い、これら底面10、及び一対の端面14に直交する一対の第4の主面を側面16と言う。
図1に示すように、底面10から上面12までの距離を素体2の厚みTと定義し、一対の側面16の間の距離を素体2の幅Wと定義し、一対の端面14の間の距離を素体2の長さLと定義する。また、厚みTの方向を厚み方向DTと定義し、幅Wの方向を幅方向DWと定義し、長さ距離の方向を長さ方向DLと定義する。
【0011】
図3は、インダクタ1の内部構成を示す透視斜視図である。
素体2は、コイル導体20と、当該コイル導体20が埋設された略六面体形状のコア30と、を備え、かかるコイル導体20をコア30に封入した導体封入型磁性部品として構成されている。
【0012】
コア30は、磁性粉と樹脂を混合した混合粉を、コイル導体20を内包した状態で加圧及び加熱することで略六面体形状に圧縮成型された成型体である。
【0013】
また、本実施形態の磁性粉は、平均粒径が比較的大きな大粒子の第1磁性粒子と、平均粒径が比較的小さな小粒子の第2磁性粒子との2種類の粒度の粒子を含んでいる。これにより、圧縮成型時において、大粒子の第1磁性粒子の間に、小粒子である第2磁性粒子が樹脂とともに入り込むことでコア30の充填率を大きくし、また透磁率も高めることができる。
【0014】
本実施形態において、第1磁性粒子および第2磁性粒子の金属粒子の平均粒径はそれぞれ24.4μmおよび4.0μmである。なお、第1磁性粒子の平均粒径は19μm以上30μm以下が好ましく、第2磁性粒子の平均粒径は3μm以上5μm以下が好ましい。
【0015】
本実施形態において、第1磁性粒子及び第2磁性粒子はいずれも、金属粒子と、その表面を覆う数nm以上数十nm以下の膜厚の絶縁膜とを有した粒子であり、金属粒子にはFe-Si系アモルファス合金粉が用いられ、絶縁膜にはリン酸亜鉛ガラスが用いられている。金属粒子が絶縁膜で覆われることで、絶縁抵抗と耐電圧とが高められる。
【0016】
なお、第1磁性粒子及び第2磁性粒子において、金属粒子には、Fe-Si-Cr合金粉、CrレスのFe-Si合金粉、Fe-Ni-Al合金粉、Fe-Cr-Al合金粉、Fe-Si-Al合金粉、Fe-Ni合金粉、Fe-Ni-Mo合金粉を用いてもよい。第2磁性粒子において、金属粒子には、カルボニル鉄粉等の純鉄を用いてもよい。
【0017】
また、第1磁性粒子及び第2磁性粒子において、絶縁膜には、他のリン酸塩(リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マンガン、リン酸カドミウムなど)、又は、樹脂材料(シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂など)を用いてもよい。
【0018】
本実施形態の混合粉において、樹脂の材料には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を主剤としたエポキシ樹脂が用いられている。混合粉における樹脂の含有量は、例えば、3wt%である。
なお、エポキシ樹脂は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂であってもよい。
また、樹脂の材料は、エポキシ樹脂以外であってもよく、また、1種ではなく2種以上であってもよい。例えば、樹脂の材料には、エポキシ樹脂の他にも、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0019】
コイル導体20は、図3に示すように、導線が巻回された巻回部22と、当該巻回部22から引き出された一対の引出部24とを備える。巻回部22は、導線の両端が外周に位置し、かつ内周で互いに繋がるように導線を渦巻き状に巻回して形成される。素体2の内部において、コイル導体20は、巻回部22の中心軸が素体2の厚み方向DTに沿う姿勢でコア30に埋設されており、また引出部24は、巻回部22から一対の端面14のそれぞれまで引き出され、外部電極4に電気的に接続されている。
【0020】
外部電極4は、端面14の全面から、当該端面14に隣接する底面10、上面12、及び一対の側面16のそれぞれの一部に亘って設けられた、いわゆる5面電極であり、はんだなどの適宜の実装手段によって回路基板の配線に電気的に接続される。
【0021】
かかる構成のインダクタ1は、磁性粉に軟磁性粉を用いることにより、直流重畳特性を改善できるので、大電流が流れる電気回路の電子部品、DC-DCコンバータ回路や電源回路のチョークコイルとして用いられ、また、パソコン、DVDプレーヤー、デジカメ、TV、携帯電話、スマートフォン、カーエレクトロニクス、医療用・産業用機械などの電子機器の電子部品に用いられる。ただし、インダクタ1の用途はこれに限られず、例えば、同調回路、フィルタ回路や整流平滑回路などにも用いることもできる。
【0022】
なお、インダクタ1において、外部電極4の範囲を除く素体2の表面全体に、素体保護層を形成してもよい。素体保護層の材料には、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、又は、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。なお、これらの樹脂は酸化ケイ素、酸化チタン等を含むフィラーを更に含んでいても良い。
【0023】
図4は、インダクタ1の製造工程の概要図である。
同図に示すように、インダクタ1の製造工程は、コイル導体形成工程、予備成型体形成工程、熱成型・硬化工程、バレル研磨工程、及び、外部電極形成工程を含んでいる。
【0024】
コイル導体形成工程は、導線からコイル導体20を形成する工程である。当該工程において、コイル導体20は、「アルファ巻」と称される巻き方で導線を巻回することにより、上述した巻回部22、及び一対の引出部24を有した形状に形成される。アルファ巻とは、導体として機能する導線の巻始めと巻終わりの引出部24が外周に位置するように渦巻き状に2段に巻回された状態を言う。コイル導体20のターン数は、特に限定されるものではない。
【0025】
予備成型体形成工程は、タブレットと称される予備成型体を形成する工程である。
予備成型体は、素体2の材料である上記混合粉を加圧することで、取り扱いが容易な固形状に成型したものであり、本実施形態では、コイル導体20が入り込む溝を有した適宜形状(例えばE型など)の第1タブレットと、この第1タブレットの溝を覆う適宜形状(例えばI型や板状など)の第2タブレットとの2種類のタブレットが形成される。
【0026】
熱成型・硬化工程は、第1タブレット、コイル導体、及び第2タブレットを成型金型にセットし、熱を加えながら、第1タブレットと第2タブレットの重なり方向に加圧し、これらを硬化させることとで、第1タブレット、コイル導体、及び第2タブレットを一体化する。これにより、コイル導体20をコア30に内包した素体2が成型される。
【0027】
バレル研磨工程は、この成型体をバレル研磨する工程であり、当該工程により、素体2の角部へのR付けが行われる。
【0028】
外部電極形成工程は、外部電極4をコア30に形成する工程であり、表面処理工程と、導電性樹脂層形成工程と、めっき層形成工程と、を含んでいる。
【0029】
表面処理工程は、コア30の表面の電極予定箇所にレーザ光を照射することで電極予定箇所の表面を改質する工程である。ここで、電極予定箇所とは、コア30の表面のうち外部電極4を形成すべき範囲をいい、引出部24が露出されている部分を含む。具体的には、レーザ光を照射することにより、電極予定箇所の範囲において、コア30の表面の樹脂を除去すると共に、コア30から突出している磁性粒子の表面の絶縁膜を除去する。これにより、コア30の表面のうち電極予定箇所の部分は、コア30の他の表面部分に比べて、コア30の表面の単位面積あたりの磁性粒子の金属の露出面積が大きくなる。なお、レーザ照射後に、電極予定箇所の表面を清浄するための洗浄処理(例えばエッチング処理)を行っても良い。
【0030】
導電性樹脂層形成工程では、電極予定箇所に、導電粉と樹脂とを含むペースト状の導電性樹脂を塗布し乾燥硬化させることで、導電性樹脂層を形成する。具体的には、導電性樹脂ペーストの中に、コア30を、端面14の側からディップして引き上げることにより、端面14を含む所望の塗布範囲に導電性樹脂を塗布する。
【0031】
このような導電性樹脂層は、導電粉を含有するため、後述するめっき層形成工程において電極予定箇所に一様な電位分布を形成し得るので、導電性樹脂層の上に形成されるめっき層の均質性を向上することができる。
【0032】
本実施形態では、導電性樹脂として、粒径が数10nmの銀(Ag)の微細粉末(いわゆるナノ銀)とアクリル樹脂との混合物を用いている。当該混合物における銀の重量比は、例えば88%である。このような銀の微細粉末を用いることにより、上述しためっき層の均質性向上に加えて、導電性樹脂層における銀の充填率を上げて外部電極4と引出部24との間の直流抵抗値を低減することができる。
【0033】
めっき層形成工程では、導電性樹脂層の表面上に、めっき層を形成する。めっき層は、導電性樹脂層の表面に直接に形成される第1めっき層と、第1めっき層の上に形成される第2めっき層とで構成される。本実施形態では、第1めっき層は、厚み4.0μm以上15μm以下のニッケル(Ni)めっき層であり、第2めっき層は、厚み4μm以上8μm以下のスズ(Sn)めっき層である。めっき層は、電解めっき(例えば、バレルめっき)により形成され得る。なお、めっき層は、本実施形態では2層で構成されるものとしたが、これに限らず、任意の層数で構成されるものとすることができる。
【0034】
上記の外部電極形成工程により、導電性樹脂層と、めっき層と、で構成される外部電極4が形成される。
【0035】
一般に、上記のように形成される外部電極においては、コア表面の電極予定箇所に導電性樹脂層を形成することで、電極予定箇所におけるめっきの成長が容易になる。また、コア表面と導電性樹脂層との間の固着強度により、当該導電性樹脂層を含む外部電極が、コアの表面に固定される。
【0036】
しかしながら、例えば、インダクタの外部電極がはんだ付けされた基板にたわみ応力が発生した場合、たわみ応力の大きさによっては、基板から外部電極に加わる引張応力により導電性樹脂層が素体から剥離する現象が観測される場合がある。
【0037】
図5は、従来のインダクタにおいて観測され得る、素体の底面における外部電極の剥離状態を示す断面拡大写真である。図6は、図5との比較のための、従来のインダクタにおける、素体の底面の、剥離のない正常な外部電極の状態を示す断面拡大写真である。図5および図6において、外部電極81は、導電性樹脂層82と、めっき層83と、で構成されている。
【0038】
図6に示す断面写真では、素体80と導電性樹脂層82とが接しているのに対し、図5の断面写真では、図示点線楕円で示すA部において、素体80と導電性樹脂層82との間が剥離していることが判る。このような導電性樹脂の剥離は、回路基板の配線パターンとインダクタとの間の断線故障(オープン故障)のみならず、インダクタンス変動等の特性変動にもつながることから、これを回避するための効果的な対策が求められる。
【0039】
このため、本実施形態のインダクタ1では、特に、めっき層は、導電性樹脂層が配された範囲を超え、コア30の表面まで延在して当該コア30の表面と接する結着部を有するように形成されている。そして、さらに、めっき層は、上記結着部においてコア30の表面から当該コア30の内部へ侵入して磁性粒子の間に入り込んだ状態となるように形成されている。
【0040】
図7は、導電性樹脂層とめっき層との位置関係を説明するための図であり、図7の上段および下段は、それぞれ、インダクタ1の底面10および側面16を視た平面図である。また、図8は、図7に示す導電性樹脂層とめっき層とを底面10の側から視た斜視図である。上述したように、本実施形態では、めっき層は、第1めっき層であるニッケルめっき層と、第2めっき層であるスズめっき層で構成されている。
【0041】
図7の上段および図8に示すように、導電性樹脂層41は、略矩形を成すコア30の底面10において、相対向する2つの第1端部31から、底面10上に延在する。本実施形態では、第1端部31は、底面10と端面14とが成す稜線である。めっき層42は、導電性樹脂層41が配された範囲を超えてコア30の表面まで延在するように形成されている。これにより、めっき層42は、導電性樹脂層41の縁部を覆って、コア30の表面と直接に接する結着部44を有する。
【0042】
同様に、図7の下段および図8に示すように、導電性樹脂層41は、略矩形を成すコア30の側面16の、相対向する2つの第2端部32から側面16上に延在する。本実施形態では、第2端部32は、側面16と端面14とが成す稜線である。めっき層42は、導電性樹脂層41が配された範囲を超えてコア30の表面まで延在するように形成されている。これにより、めっき層42は、導電性樹脂層41の縁部を覆って、コア30の表面と直接に接する結着部45を含む。
【0043】
図7に示されていない上面12及び反対側の側面16も、それぞれ、図7に示す底面10および側面16と同様に構成される。
【0044】
ここで、めっき層42は、電極予定箇所の範囲に形成されており、電極予定範囲は、上述した表面処理工程において、コア30から突出する磁性粒子の表面の絶縁膜及びコア30の表面の樹脂がレーザ光照射により除去されている。したがって、導電性樹脂層41の範囲を超えてめっき層42が形成されているコア30の表面の部分、すなわち結着部44および45は、コア30の表面の他の部分に比べて、コア30の表面における単位面積あたりの、磁性粒子の金属の露出面積が大きくなっている。
【0045】
また、本実施形態では、表面処理工程において、通常は、磁性粒子間の短絡を考慮して、磁性粒子間に位置する絶縁膜や樹脂までは除去しないが、上記レーザ光の照射エネルギーを調整して電極予定範囲におけるコア30の表面粗さを意識的に粗くし、結着部44、45においてめっき層42がコア30の表面からコア30の内部へ侵入して磁性粒子同士の間に入り込むようにしている。
【0046】
図9は、インダクタ1の側面16に平行な切断面で見た結着部44の顕微鏡写真の一例である。結着部44のめっき層42は、コア30上に形成された第1めっき層であるニッケルめっき層42aと、その上に形成された第2めっき層であるスズめっき層42bとで構成されている。そして、図示一点鎖線で示すコア30の表面位置に対し、図示下方向の矢印で例示するように、結着部44のめっき層42が、コア30の内部に向かって、2つの磁性粒子50の最外端を繋いだ直線よりも内側までへ侵入し、磁性粒子50と磁性粒子50の間に入り込んでいる。このめっき層42の侵入部分は、磁性粒子50の表面の絶縁膜及び磁性粒子50と磁性粒子50の間を埋める樹脂51が上述したレーザ光照射により除去された部分に対応する。
【0047】
図10は、インダクタ1の側面16に平行な切断面で見た結着部44の顕微鏡写真の他の一例である。図9と同様に、図示一点鎖線で示すコア30の表面位置に対し、図示下方向の矢印で例示するように、結着部44のめっき層42がコア30の内部へ侵入して磁性粒子50と磁性粒子50の間に入り込んでいるのがわかる。
【0048】
上記の構成を有するインダクタ1では、めっき層42は、導電性樹脂層41が配された範囲を超え、コア30の表面まで延在して当該コア30の表面と接する結着部44、45を有するように形成されている。そして、さらに、めっき層42は、上記結着部44、45においてコア30の表面から当該コア30の内部へ侵入して磁性粒子50の間に入り込んでいる。このため、インダクタ1では、めっき層42は、結着部44、45において、その一部が磁性粒子50の間に入り込むことによって生じ得るアンカー効果により、コア30に対する結着力が向上する。その結果、インダクタ1では、例えば、インダクタ1が実装される回路基板等からの機械的応力等に起因する外部電極4のコア30からの剥がれを抑制することができる。
【0049】
また、従来のインダクタでは、一般に、素体からの導電性樹脂層の剥離は、導電性樹脂層の縁部から始まって進行するのに対し、インダクタ1では、めっき層42は、導電性樹脂層41の縁部を覆うように形成されているので、結着部44、45におけるコア30に対する結着力の向上とあいまって、導電性樹脂層41の縁部における素体2からの剥離の開始が効果的に防止され得る。このため、インダクタ1では、ニッケルめっき層42aの膜厚を厚くしても、素体2からの導電性樹脂層41の剥離を十分に抑制することができる。したがって、インダクタ1では、ニッケルめっき層42aの膜厚を厚くして、はんだ田爆ぜなどの、配線基板上への実装の際における不具合の発生を防止することができる。また、インダクタ1では、上述のようにめっき層42の膜厚を厚くできるので、はんだ付けの際の熱拡散やイオンマイグレーションなどに起因する電極破壊の発生も抑制することができる。
【0050】
ここで、素体2からの外部電極4の剥離の防止効果は、導電性樹脂層41の縁部を越えてコア30上に延在するめっき層42の結着部44、45の長さ、および、結着部44、45におけるコア30の内部へのめっき層42の侵入深さに依存し得る。上記長さの観点では、短すぎると結着力が低下し、長すぎると対向する外部電極4間の距離が短くなって耐電圧が低下し得る。このため、コア30の第1端部31又は第2端部32から延在するめっき層42のそれぞれにおいて、底面10上の結着部44又は側面16上の結着部45の、第1端部31又は第2端部32の法線方向に沿った長さLfは、30μm以上600μm以下であることが好ましい。
【0051】
なお、底面10および側面16のぞれぞれにおいて、結着部44および45のそれぞれの縁は必ずしも直線とはならず、長さLfはその測定箇所に依存して変動し得る。この場合、結着部44および45の長さLfは、例えば、底面10および側面16において、それぞれ幅方向DWおよび厚み方向DTの中心と、その中心から幅方向DWおよび厚み方向DTに沿って所定の距離間隔で離れた2か所以上で、長さLfを測定した測定値の平均値とすることができる。
【0052】
結着部44、45におけるめっき層42のコア30の内部への侵入深さP(例えば、図10における図示矢印部分の長さ)は、浅すぎれば結着力の向上効果が小さくなり、深すぎると、インダクタ1の全体としての磁性粒子50間の絶縁性が低下して耐電圧が低下することとなり得る。
以下、結着部44等におけるコア30の内部へのめっき層42の侵入深さと、結着部44等の固着強度との関係についての評価結果について説明する。
【0053】
上述したインダクタ1と同様の構成により、結着部44におけるコア30の内部へのめっき層42の侵入深さPの異なる試験サンプルを作成し、各試験サンプルについて、結着部44における外部電極4の、コア30に対する固着強度と、耐電圧と、を評価した。
【0054】
試験サンプルにおける素体2のサイズは、長さLが3.55mm、幅Wが2.55mm、厚みTが1.93mmである。試験サンプルの素体2のコア30に含まれる第1磁性粒子および第2磁性粒子において、金属粒子には、Fe-Si-Cr合金粉を用いた。第1磁性粒子および第2磁性粒子の金属粒子の平均粒径は、上述と同様に、それぞれ24.4μmおよび4.0μmである。外部電極4の幅Wは2.85mm、導電性樹脂層41の長さLは210μmである。また、試験サンプルの結着部44における長さLfは、100μmである。
【0055】
第1軟磁性粒子及び第2軟磁性粒子のそれぞれの平均粒径は、これらを互いに混合する前において、それぞれ粒度分布計を用いて測定することができる。また、混合粉を圧縮成型した成型体としてのコアの状態において測定する場合には、コアを研磨して得られる軟磁性粒子の断面の電子顕微鏡画像を解析することにより測定することができる。例えば、上記電子顕微鏡写真から各軟磁性粒子断面の円相当径を求め、各軟磁性粒子が上記円相当径を有する球であるものと仮定して、各球の体積を求め、その体積値分布の中央値から平均粒径を算出することができる。
【0056】
ここで、上記侵入深さPは、上述したように、表面処理工程においてコア30の表面の電極予定箇所に照射するレーザ光の照射エネルギーを変化させてコア30の表面粗さを変えることで制御できる。めっき層42の侵入深さPの測定は、素体2を、長さ方向DLに沿って底面10と直交する方向であって、且つ、素体2上面から見てコイル導体20の巻回部22の巻軸を通り、素体2の長手方向に切断して、外部電極4のめっき層42の結着部44の断面を観察することで行った。具体的には、4つある結着部44のいずれか1つの結着部44の中央部の断面をSEM(走査電子顕微鏡)で撮影すると共に、当該断面の各部分の成分を成分分析装置にて分析し、ニッケルが入り込んでいる位置をSEM画像と対比することにより計測されるニッケルめっき層の侵入の深さを測定した。この時、SEM画像は、500倍の倍率で、L方向の長さをコア30の表面に近接する第1磁性粒子が5個以上映る長さに設定して撮影した。測定にあたっては、撮影視野に入ったニッケルめっき層が侵入している部分を特定し、コア30の表面に沿って一番離れている2つの第1磁性粒子を特定し、2つの第1磁性粒子の上面を繋いだ直線より内側に入り込んでいる、磁性粒子間のめっき層42について2つの第1磁性粒子の上面を繋いだ直線からの深さを複数測定し、その平均値を算出して侵入深さPとした。評価験結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1において、最も左側の第1列は、めっき層42の侵入深さPを示す。第2列は、磁性粒子50に含まれる粒度の異なる2種類の磁性粒子のうち、粒度の大きい第1磁性粒子の平均粒径D(本実施形態では24.4μm)に対する、上記侵入深さPの比(P/D)を示している。また、第3列および第4列は、それぞれ、コア30に対する結着部44の固着強度、および耐電圧を示している。固着強度は、試験サンプルを補助基板に実装し、補助基板を介して試験サンプルをたわませ、試験サンプルにおいて外部電極が剥離したときの補助基板のたわみ量により評価した。評価結果として、上記たわみ量が2mm未満を「可」、2mm以上3mm未満を「良」、4mm以上のものを「優」とした。また、耐電圧は、試験サンプルにおいて外部電極間にインパルス電圧を印加し、外部電極間において絶縁破壊が発生した電圧として測定した。
【0059】
表1に示すように、比P/Dが1/3未満では固着強度が弱くなり、比P/Dが3を超えると、耐電圧が、範囲内のものより低くなってしまう。
したがって、表1の結果より、固着強度及び耐電圧の観点からは、比P/Dは、1/3以上3以下が好ましいことが判る。すなわち、結着部44におけるコア30の表面からコア30の内部への侵入深さPは、コア30が含む第1磁性粒子の平均粒径の1/3以上3倍以下であることが好ましい。
【0060】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
【0061】
例えば、磁性粉は、上述した実施形態では、粒度の異なる2種類の粒子である第1磁性粒子および第2磁性粒子を含むものとしたが、これに限らず、第1磁性粒子および第2磁性粒子のそれぞれの平均粒径と異なる平均粒径の粒子を含むことで、3種類以上の粒度の粒子を含んでもよい。この場合、第1磁性粒子は、一番粒度の大きい粒子を指すものとする。
【0062】
例えば、上述した実施形態では、コア30の底面10、上面12、および側面16のそれぞれに、結着部44または45が形成されるものとしたが、結着部は、インダクタ1の少なくとも一の面において形成されているものとすることができる。例えば、インダクタ1は、上記一の面として、少なくとも回路基板にはんだ付けされ得る底面10において形成されているものとすることができる。
【0063】
また、上述した実施形態における水平、及び垂直等の方向や各種の数値、形状、材料は、特段の断りがない限り、それら方向や数値、形状、材料と同じ作用効果を奏する範囲(いわゆる均等の範囲)を含む。
【0064】
以上説明したように、上述した実施形態に係るインダクタ1は、磁性粒子50と樹脂51とを含むコア30と、コア30内に埋設されたコイル導体20と、を含む素体2を有する。また、インダクタ1は、コア30から露出したコイル導体20の端部である引出部24に接するようにコア30の表面に配された導電性樹脂層41と、導電性樹脂層41の上に形成されためっき層42と、を含む外部電極4を有する。めっき層42は、導電性樹脂層41が配された範囲を超えコア30の表面まで延在して、コア30の表面と接する結着部44、45を有する。そして、めっき層42は、結着部44、45においてコア30の表面からコア30の内部へ侵入して磁性粒子50と磁性粒子50の間に入り込んでいる。この構成によれば、素体2と、外部電極4のめっき層42と、の間の剥離の発生を効果的に防止することができる。
【0065】
また、インダクタ1では、磁性粒子は、平均粒径の異なる第1磁性粒子と第2磁性粒子を含み、第1磁性粒子の平均粒径は、第2磁性粒子の平均粒径より大きい。そして、めっき層42の、結着部44、45における、コア30の表面からコア30の内部への侵入深さPは、コア30が含む第1磁性粒子の平均粒径Dの1/3以上3倍以下であることが好ましい。この構成によれば、素体2とめっき層42との間の剥離の発生をより効果的に防止することができる。
【0066】
また、インダクタ1では、コア30は略六面体形状であり、導電性樹脂層41とめっき層42は、コア30の少なくとも一の主面である底面10の、相対向する2つの第1端部31のいずれかから底面10上に延在する。そして、コア30の第1端部31から延在する導電性樹脂層41の縁部を越えてコア30上に延在するめっき層42のそれぞれにおいて、底面10上における結着部44の、第1端部31の法線方向に沿った長さは、30μm以上600μm以下であることが好ましい。この構成によれば、素体2とめっき層42との間の剥離の発生をさらに効果的に防止することができる。
【0067】
また、上述した実施形態に係る製造方法は、素体2と外部電極4とを含むインダクタ1の製造方法である。素体2は、表面に絶縁膜を有する磁性粒子50と樹脂51とを含むコア30と、コア30内に埋設されたコイル導体20と、を含む。外部電極4は、コア30から露出したコイル導体20の端部である引出部24に接するようにコア30上に配された導電性樹脂層41と、導電性樹脂層41の上に形成されためっき層42と、を含む。この製造方法は、コア30の表面のうち、外部電極4を形成すべき範囲である電極予定箇所において、コア30の表面に突出した磁性粒子50の絶縁膜及びコア30の表面の樹脂を除去する工程と、電極予定箇所の範囲内に導電性樹脂層41を形成する導電性樹脂層形成工程と、電極予定箇所の範囲内において導電性樹脂層41の上にめっき層42を形成するめっき層形成工程と、を有する。そして、めっき層形成工程においては、めっき層42は、導電性樹脂層形成工程で形成された導電性樹脂層41の範囲を超えてコア30の表面まで延在し、コア30の表面と接する結着部44、45を有するよう形成される。また、めっき層形成工程では、めっき層42は、結着部44、45においてコア30の表面からコア30の内部へ侵入して磁性粒子50と磁性粒子50の間に入り込むよう形成される。この製造方法によれば、素体2と、外部電極4のめっき層42と、の間の剥離の発生を効果的に防止することのできるインダクタ1を容易に製造することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…インダクタ、2、80…素体、4、81…外部電極、10…底面、12…上面、14…端面、16…側面、20…コイル導体、22…巻回部、24…引出部、30…コア、31…第1端部、32…第2端部、41、82…導電性樹脂層、42、83…めっき層、42a…ニッケルめっき層、42b…スズめっき層、44、45…結着部、50…磁性粒子、51…樹脂。
図1
図2
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図10