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特開2023-147054地盤注入用薬液組成物、発泡体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147054
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】地盤注入用薬液組成物、発泡体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 17/46 20060101AFI20231004BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20231004BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20231004BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20231004BHJP
   C09K 17/12 20060101ALI20231004BHJP
   C09K 17/30 20060101ALI20231004BHJP
   C09K 103/00 20060101ALN20231004BHJP
【FI】
C09K17/46 P
C08G18/00 K
C08G18/18
C08G18/48
C09K17/12 P
C09K17/30 P
C09K103:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054591
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】本村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼ 智裕
【テーマコード(参考)】
4H026
4J034
【Fターム(参考)】
4H026CA03
4H026CB08
4H026CC06
4J034BA02
4J034BA03
4J034CA04
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB05
4J034CB07
4J034CC03
4J034CC08
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB07
4J034DC02
4J034DC43
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG14
4J034DG23
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB03
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC09
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB05
4J034KD07
4J034KD12
4J034KE02
4J034MA04
4J034NA03
4J034NA08
4J034QA03
4J034QB01
4J034QB13
4J034QB16
4J034QC01
4J034RA10
(57)【要約】
【課題】安定して発泡体を形成させながら、十分な強度を有する発泡体を得ることができる地盤注入用薬液組成物、発泡体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の地盤注入用薬液組成物は、A液及びB液の2種の薬液から構成され、A液は、水溶性ケイ酸塩と、ポリオールと、触媒と、を含み、B液は、ポリイソシアネートを含み、触媒として、第1の3級アミンと、第2の3級アミンと、の2種の3級アミンを含み、第1の3級アミンは、テトラメチルヘキサメチレンジアミンであり、第2の3級アミンは、分子量80~400の3級アミンであり、ポリオールは、数平均分子量が200超のポリエーテルポリオールであり、且つ、含有量がA液全体に対して10質量%以下であることを特徴とする。本発明の発泡体は、本発明の地盤注入用薬液組成物を構成するA液とB液とを混合して得られることを特徴とする。本発明の発泡体の製造方法は、本発明の地盤注入用薬液組成物を構成するA液とB液とを混合して発泡体を形成することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A液及びB液の2種の薬液から構成される地盤注入用薬液組成物であって、
前記A液は、水溶性ケイ酸塩と、ポリオールと、触媒と、を含み、
前記B液は、ポリイソシアネートを含み、
前記触媒として、第1の3級アミンと、第2の3級アミンと、の2種の3級アミンを含み、
前記第1の3級アミンは、テトラメチルヘキサメチレンジアミンであり、
前記第2の3級アミンは、分子量80~400の前記第1の3級アミン以外の3級アミンであり、
前記ポリオールは、数平均分子量が200超のポリエーテルポリオールであり、且つ、含有量が前記A液全体に対して10質量%以下であることを特徴とする地盤注入用薬液組成物。
【請求項2】
前記第2の3級アミンは、3級アミノ基を構成する窒素原子がヘテロ原子となった複素環を備える請求項1に記載の地盤注入用薬液組成物。
【請求項3】
前記第2の3級アミンは、前記複素環を備えた3級アミンと、環構造を備えない3級アミンと、の異なる2種の3級アミンを含む請求項1又は2に記載の地盤注入用薬液組成物。
【請求項4】
前記第1の3級アミンと前記第2の3級アミンとの合計を100質量%とした場合に、前記第1の3級アミンの割合は50質量%超である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の地盤注入用薬液組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の地盤注入用薬液組成物を構成する前記A液と前記B液とを混合して得られることを特徴とする発泡体。
【請求項6】
請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の地盤注入用薬液組成物を構成する前記A液と前記B液とを混合して発泡体を形成することを特徴とする発泡体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤注入用薬液組成物、発泡体及びその製造方法に関する。更に詳しくは、ケイ酸塩とポリイソシアヌレートとを用いる地盤注入用薬液組成物、発泡体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤改良や構造物空洞充填等に用いられるグラウト材として発泡ウレタングラウトが知られている。反応生成物としての発泡ウレタングラウトは、実質的にポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得る有機材料であるため、高い難燃性を得るには難燃剤の配合が必要となる。また、発泡ウレタングラウトは、その原材料コストが高いという問題があった。
これに対して、ポリオールの一部を無機材料である水ガラス(ケイ酸塩水溶液)に置き換えた、無機材料と有機材料との複合反応生成物として得られる複合グラウトが知られている。複合グラウトは、無機材料を骨材に含むため、有機骨材のみのグラウトに比べて優れた難燃性を有する。また、複合グラウトは、原材料コストが低いという利点がある。このような複合グラウトに関する技術は、下記特許文献1において知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-233926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、発泡体の均一性、発泡倍率の適正化、反応制御、木材/土壌への浸透性(特許文献1[0003])を良好にすることを目的として、少なくとも水と触媒よりなるA液と多官能型イソシアネートにシリコーン系界面活性剤を含有するB液を混合し、尿素系発泡体を製造する方法(特許文献1[請求項1])が開示されている。
しかしながら、水溶性ケイ酸塩が高配合された組成物において、安定して発泡体を形成させながら、十分な強度を有する発泡体を得ることは容易ではない。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、安定して発泡体を形成させながら、十分な強度を有する発泡体を得ることができる地盤注入用薬液組成物、発泡体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は以下に示す通りである。
[1]A液及びB液の2種の薬液から構成される地盤注入用薬液組成物であって、
前記A液は、水溶性ケイ酸塩と、ポリオールと、触媒と、を含み、
前記B液は、ポリイソシアネートを含み、
前記触媒として、第1の3級アミンと、第2の3級アミンと、の2種の3級アミンを含み、
前記第1の3級アミンは、テトラメチルヘキサメチレンジアミンであり、
前記第2の3級アミンは、分子量80~400の前記第1の3級アミン以外の3級アミンであり、
前記ポリオールは、数平均分子量が200超のポリエーテルポリオールであり、且つ、含有量が前記A液全体に対して10質量%以下であることを特徴とする地盤注入用薬液組成物。
[2]前記第2の3級アミンは、3級アミノ基を構成する窒素原子がヘテロ原子となった複素環を備える上記[1]に記載の地盤注入用薬液組成物。
[3]前記第2の3級アミンは、前記複素環を備えた3級アミンと、環構造を備えない3級アミンと、の異なる2種の3級アミンを含む上記[1]又は[2]に記載の地盤注入用薬液組成物。
[4]前記第1の3級アミンと前記第2の3級アミンとの合計を100質量%とした場合に、前記第1の3級アミンの割合は50質量%超である上記[1]乃至[3]のうちのいずれかに記載の地盤注入用薬液組成物。
[5]上記[1]乃至[4]のうちのいずれかに記載の地盤注入用薬液組成物を構成する前記A液と前記B液とを混合して得られることを特徴とする発泡体。
[6]上記[1]乃至[4]のうちのいずれかに記載の地盤注入用薬液組成物を構成する前記A液と前記B液とを混合して発泡体を形成することを特徴とする発泡体の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の地盤注入用薬液組成物によれば、安定して発泡体を形成させながら、十分な強度を有する発泡体を得ることができる。
本発明の発泡体によれば、十分な強度を得ることができる。
本発明の発泡体の製造方法によれば、十分な強度を有する発泡体を安定して得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について具体的な実施形態に基づき説明する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態はあくまでも説明のために便宜的に示す例示に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらに限定されるものではなく、目的、用途に応じて本発明を種々変更することができる。また、本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
また、本明細書では「XX~YY」の記載は「XX以上YY以下」を意味するものとする。更に、本明細書で例示する化合物では、表記法が複数ある化合物名の一部にCAS登録番号を併記する場合があるが、CAS登録番号は異性体態等により異なるため、併記した化合物名のうちの一例を表すものであり、化合物名とCAS登録番号とが1対1で対応するものではない。
【0009】
〔1〕地盤注入用薬液組成物
本発明の地盤注入用薬液組成物(以下、単に「本組成物」ともいう)は、A液及びB液の2種の薬液から構成され、
A液は、水溶性ケイ酸塩と、ポリオールと、触媒と、を含み、
B液は、ポリイソシアネートを含み、
触媒として、第1の3級アミン(以下、「第1-3級アミン」ともいう)と、第2の3級アミン(以下、「第2-3級アミン」ともいう)と、の2種の3級アミンを含み、
第1の3級アミンは、テトラメチルヘキサメチレンジアミンであり、
第2の3級アミンは、分子量80~400の第1の3級アミン以外の3級アミンであり、
ポリオールは、数平均分子量が200超のポリエーテルポリオールであり、且つ、含有量がA液全体に対して10質量%以下であることを特徴とする。
【0010】
[1]A液
A液は「水溶性ケイ酸塩」、「ポリオール」及び「触媒」を含む。
【0011】
(1)水溶性ケイ酸塩
水溶性ケイ酸塩は、水溶性を呈するケイ酸塩化合物であり、一般に水ガラスと称されるものが含まれる。メタケイ酸塩、オルトケイ酸塩等も水溶性を呈する場合は利用できる。
水溶性ケイ酸塩を構成する陽イオンの種類は限定されないが、1価のアルカリ金属イオン(Liイオン、Naイオン、Kイオン等)、アンモニウムイオン等が挙げられる。即ち、水溶性ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸アンモニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。本発明では、上記のなかでも、安価且つ入手が容易である点から、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)が好ましい。
【0012】
ケイ酸ナトリウムは、一般に、NaO・nSiOと表すことができ、このうち、水溶性ケイ酸ナトリウムは、通常、n>1であり、本発明で用いる水溶性ケイ酸ナトリウムにおけるnは2.0~4.0が好ましい。この範囲では、保存安定性に優れるとともに、低温凝固を抑制できる。
また、通常、A液の調製に際して、水溶性ケイ酸塩は、その水溶液(以下、単に「ケイ酸塩水溶液」ともいう)として配合される。ケイ酸塩水溶液は、適宜、調製して用いてもよいが、ケイ酸塩水溶液(ケイ酸ナトリウム水溶液)、珪酸ソーダ、水ガラス等としても市販されているため、これらの市販品を利用できる。ケイ酸ナトリウムに関しては、JIS規格(JIS K1408)に規定された、1号、2号、3号等の各ケイ酸ナトリウムを利用できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、このJIS規格に準拠して配合された、例えば、4号、5号等、1.5号、2.5号等のものを利用できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ケイ酸塩水溶液の固形分は限定されないが、A液の安定性や固結特性等の観点から、ケイ酸塩水溶液全体に対して20~60質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましい。
【0013】
A液に含まれる水溶性ケイ酸塩の量は限定されないが、A液全体を100質量%とした場合に、水溶性ケイ酸塩と水との合計が80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上がより好ましく、88質量%以上が更に好ましく、89質量%以上が特に好ましい。一方、この含有量は、通常、99.99質量%以下であり、99.8質量%以下がより好ましく、99.6質量%以下が更に好ましく、99.4質量%以下が特に好ましい。これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。即ち、例えば、80~99.99質量%とすることができ、85~99.8質量%とすることができ、88~99.6質量%とすることができ、89~99.4質量%とすることができる。尚、上記水はA液に含まれる水の全量を意味する。即ち、このときの水とは、水溶性ケイ酸塩を水溶液(即ち、水ガラス)として用いる場合では水溶液中に含まれている水分量と、他の添加剤に含まれる水分量と、水として加えられたものの合計とする。
【0014】
(2)ポリオール
ポリオールは、数平均分子量(以下、単に「Mn」ともいう)が200超のポリエーテルポリオールである。ポリオールの数平均分子量が200以下であると、発泡安定性が悪くなり、不均一な発泡となって発泡体の発泡高さや強度が十分得られない。本組成物では、Mn>200のポリエーテルポリオールを用いることにより、それ以外のポリオールを用いる場合に比べて発泡安定性が高くて良好な発泡体を得ることができる。
【0015】
ポリエーテルポリオールの種類は限定されないが、(1)2以上の活性水素を有する化合物を開始剤としてアルキレンオキサイドとの付加反応により得られる反応物、(2)フェノール類、アルデヒド類及び第2級アミンを反応させたマンニッヒ縮合物、(3)このマンニッヒ縮合物にアルキレンオキサイドを付加させたマンニッヒ系ポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
尚、上記(1)における2以上の活性水素を有する化合物としては、多価アルコール、アミン化合物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうち、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、アミン化合物としては、エチレンジアミン、トルエンジアミン、トリレンジアミン等のジアミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0016】
ポリエーテルポリオールのMnは、200超であればよいが、更に、250以上が好ましく、300以上がより好ましく、350以上が更に好ましい。一方、ポリエーテルポリオールのMnは、10000以下が好ましく、7000以下がより好ましく、5000以下が更に好ましく、2500以下が特に好ましい。これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。即ち、例えば、ポリエーテルポリオールのMnは、200<Mn≦10000とすることができ、250<Mn≦7000とすることができ、300<Mn≦5000とすることができ、350<Mn≦2500とすることができる。また、本組成物では、Mnが異なる2種以上のポリエーテルポリオールを併用することができる。
尚、ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、JIS K7252-2による測定や、水酸基価から算出できる。
【0017】
更に、ポリエーテルポリオールをA液に含む場合、その含有量は限定されないが、A液全体を100質量%とした場合、ポリエーテルポリオールの含有量は10質量%以下である。ポリエーテルポリオールの含有量が10質量%以下である場合には、ポリエーテルポリオールの含有量が10質量%超である場合に比べて強度(圧縮強度及び曲げ強度を含む)を向上させることができる。ポリエーテルポリオールの含有量は、更に9質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましく、7.5質量%以下が特に好ましい。一方、ポリエーテルポリオールの含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましく、1.5質量%以上が特に好ましい。これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。即ち、例えば、ポリエーテルポリオールの含有量は、A液全体を100質量%とした場合、0.1~10質量%とすることができ、0.5~9質量%とすることができ、1.0~8質量%とすることができ、1.5~7.5質量%とすることができる。
【0018】
尚、本組成物では、ポリエーテルポリオール以外の他のポリオールを含有しなくてもよいが、他のポリオールを含有してもよい。他のポリオールを含有する場合、ポリオール全体(ポリエーテルポリオールと他のポリオールとの合計)を100質量%とした場合に、他のポリオールは、20質量%以下(0質量超)に抑えることが好ましい。
【0019】
また、他のポリオールの種類は限定されず、従来、地盤注入用薬液組成物の構成分として利用されてきたポリエーテルポリオール以外のポリオールを適宜利用できる。即ち、他のポリオールとしては、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、オレフィンポリオール、アクリルポリオール、シロキサンポリオール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0020】
脂肪族ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジアルキルプロパンジオール、テトラメチレンジオール、ヘキサメチレンジオール、ノナンジオール、メチルオクタンジオール等の2つのヒドロキシ基を有する化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の3つ以上のヒドロキシ基を有する化合物;キシリトール、ソルビトール等の糖アルコール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0021】
ポリエステルポリオールとしては、脂肪族ポリオールと多価カルボン酸との縮合重合物、環状エステル(ラクトン)の開環重合物、脂肪族ポリオール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
多価カルボン酸としては、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0022】
(3)触媒
触媒は、A液とB液との混合後に、これらA液及びB液に含まれる成分から反応生成物である発泡体(発泡固結体)を形成する際に触媒として寄与する成分である。本組成物では、この触媒として「第1-3級アミン」及び「第2-3級アミン」の2種類の3級アミンを含む。
【0023】
(3-1)第1-3級アミン
第1-3級アミンは、テトラメチルヘキサメチレンジアミンである。即ち、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン(分子量172.32、CAS RN:111-18-2)である。第1-3級アミンとして、テトラメチルヘキサメチレンジアミンを用いることにより、得られる発泡体の安定性を向上させることができる。
【0024】
(3-2)第2-3級アミン
第2-3級アミンは、第1-3級アミンを除く3級アミンであり、分子量80~400の3級アミンである。第1-3級アミンと分子量80~400の3級アミンとを併用することにより、得られる発泡体の強度を向上させることができる。第2-3級アミンの分子量は80~400であればよいが、更には、85~300とすることができ、90~200とすることができる。
【0025】
また、第2-3級アミンは、3級アミノ基を1つのみ備えてもよく2つ以上を備えてもよい。従って、第2-3級アミンとしては、例えば、(1)3級アミノ基を1つ備えた化合物が挙げられる。また、(2)3級アミノ基を2つ備えた化合物が挙げられる。更に、(3)3級アミノ基を3つ備えた化合物が挙げられる。更に、(4)3級アミノ基を4つ備えた化合物が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記(1)3級アミノ基を1つ備えた第2-3級アミンとしては、2-(ジメチルアミノ)エタノール(分子量89.14、CAS RN:108-01-0)、2-(エチルメチルアミノ)エタノール(分子量103.17、CAS RN:2893-43-8)、2-(ジエチルアミノ)エタノール(分子量117.19、CAS RN:100-37-8)、3-(ジメチルアミノ)-1-プロパノール(分子量103.17、CAS RN:3179-63-3)、1-(ジメチルアミノ)-2-プロパノール(分子量103.17、CAS RN:108-16-7)、2-[エチル(メチル)アミノ]-1-プロパノール(分子量117.19、CAS RN:1060817-16-4)、3-(ジエチルアミノ)-1-プロパノール(分子量131.22、CAS RN:622-93-5)、1-(ジエチルアミノ)-2-プロパノール(分子量131.22、CAS RN:4402-32-8)、4-(ジメチルアミノ)-1-ブタノール(分子量117.19、CAS RN:13330-96-6)、3-(ジメチルアミノ)-1-ブタノール(分子量117.19、CAS RN:2893-65-4)、4-(ジエチルアミノ)-1-ブタノール(分子量145.24、CAS RN:2683-56-9)、6-(ジメチルアミノ)-1-ヘキサノール(分子量145.24、CAS RN:1862-07-3)、2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール(分子量133.19、CAS RN:1704-62-7)、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタノール(分子量161.25、CAS RN:140-82-9)、4-(ジメチルアミノ)ベンジルアルコール(分子量151.21、CAS RN:1703-46-4)、2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エタノール(分子量165.23、CAS RN:50438-75-0)、1-メチル-4-ピペリジンメタノール(分子量129.20、CAS RN:20691-89-8)、1-メチル-3-ピペリジンメタノール(分子量129.20、CAS RN:7583-53-1)、1-メチル-2-ピペリジンメタノール(分子量129.20、CAS RN:20845-34-5)、3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオール(分子量119.16、CAS RN:623-57-4)、3-(ジエチルアミノ)-1,2-プロパンジオール(分子量147.22、CAS RN:621-56-7)、N-メチルジエタノールアミン(分子量119.16、CAS RN:105-59-9)、N-エチルジエタノールアミン(分子量133.19、CAS RN:139-87-7)、N,N-ジメチルブチルアミン(分子量101.19、CAS RN:927-62-8)、N,N-ジエチルブチルアミン(分子量129.24、CAS RN:4444-68-2)、N,N-ジメチルヘキシルアミン(分子量129.24、CAS RN:4385-04-0)、N,N-ジメチルオクチルアミン(分子量157.30、CAS RN:7378-99-6)、N,N-ジメチルデシルアミン(分子量185.36、CAS RN:1120-24-7)、N,N-ジメチルドデシルアミン(分子量213.41、CAS RN:112-18-5)、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン(分子量269.52、CAS RN:112-69-6)等のN,N-ジアルキル-アルキルアミン類、2-(ジメチルアミノ)エチルアミン(分子量88.15、CAS RN:108-00-9)、2-(ジエチルアミノ)エチルアミン(分子量116.21、CAS RN:100-36-7)、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン(分子量102.18、CAS RN:109-55-7)3-(ジエチルアミノ)プロピルアミン(分子量130.24、CAS RN:104-78-9)等の(ジアルキルアミノ)アルキルアミン類、トリエチレンジアミン(分子量112.18、CAS RN:280-57-9)、(ジメチルアミノ)アセトニトリル(分子量84.12、CAS RN:926-64-7)、N,N,N’-トリメチルエチレンジアミン(分子量102.18、CAS RN:142-25-6)、トリエチルアミン(分子量101.19、CAS RN:121-44-8)、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(分子量127.23、CAS RN:98-94-2)、N,N-ジエチルシクロヘキシルアミン(分子量155.29、CAS RN:91-65-6)、1,2-ジメチルイミダゾール(分子量96.13、CAS RN:1739-84-0)、1-(ジメチルアミノ)ピロール(分子量110.16、CAS RN:78307-76-3)、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(分子量112.17、CAS RN:4271-96-9)、4-ジメチルアミノトルエン(分子量135.21、CAS RN:99-97-8)、ジメチルアニリン(分子量121.18、CAS RN:121-69-7)、4-ジメチルアミノアニリン(分子量136.20、CAS RN:99-98-9)、2-(ジメチルアミノ)ピリジン(分子量122.17、CAS RN:5683-33-0)、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(分子量122.17、CAS RN:1122-58-3)、4-(ジメチルアミノ)ベンゾニトリル(分子量146.19、CAS RN:1197-19-9)、N,N-ジメチルベンジルアミン(分子量135.21、CAS RN:103-83-3)、4-メチルモルホリン(分子量101.15、CAS RN:109-02-4)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0027】
上記(2)3級アミノ基を2つ備えた第2-3級アミンとしては、1,3-ビス(ジメチルアミノ)-2-プロパノール(分子量146.23、CAS RN:5966-51-8)、1,3-ビス(ジエチルアミノ)-2-プロパノール(分子量202.34、CAS RN:3492-47-5)、2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール(分子量146.23、CAS RN:2212-32-0)、N,N,N’-トリメチル-n’-(2-ヒドロキシエチル)ビス(2-アミノエチル)エーテル(分子量190.28、CAS RN:83016-70-0)、N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノメタン(分子量102.16、CAS RN:51-80-9)、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(分子量116.21、CAS RN:110-18-9)、N,N,N’,N’-テトラエチルエタン-1,2-ジアミン(分子量172.23、CAS RN:150-77-6)、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ブタンジアミン(分子量144.26、CAS RN:111-51-3)等のテトラアルキルアルカンジアミン類、ビス(2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル)エーテル(分子量160.26、CAS RN:3033-62-3)、tert-ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(分子量174.28、CAS RN:5815-08-7)、4,4’-ビス-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(分子量268.36、CAS RN:90-94-8)、3,3’-イミノビス(N,N-ジメチルプロピルアミン)(分子量187.33、CAS RN:6711-48-4)、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノブタン(分子量144.26、CAS RN:97-84-7)、N,N’-ジメチルピペラジン(分子量114.19、CAS RN:106-58-1)、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン(分子量214.31、CAS RN:20734-58-1)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0028】
上記(3)3級アミノ基を3つ備えた第2-3級アミンとしては、1-[ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-2-プロパノール(分子量245.40、CAS RN:67151-63-7)、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(分子量265.40、CAS RN:90-72-2)、1-(2-ジメチルアミノエチル)-4-メチルピペラジン(分子量171.29、CAS RN:104-19-8)、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(分子量173.30、CAS RN:3030-47-5)、トリス(ジメチルアミノ)メタン(分子量145.25、CAS RN:5762-56-1)、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)-4-ジメチルアミノ-d6-フェニルメタン(分子量379.57、CAS RN:1173023-92-1)
【0029】
上記(4)3級アミノ基を4つ備えた第2-3級アミンとしては、トリス[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミン(分子量230.40、CAS RN:33527-91-2)、テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン(分子量200.33、CAS RN:996-70-3)、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(分子量230.40、CAS RN:3083-10-1)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0030】
これらのなかでも、第2-3級アミンとしては、3級アミノ基を構成する窒素原子がヘテロ原子となった複素環を備える化合物が好ましい。即ち、3級アミノ基を構成する窒素原子がヘテロ原子となった複素環を備える3級アミンとしては、1-メチル-4-ピペリジンメタノール(分子量129.20、CAS RN:20691-89-8)、1-メチル-3-ピペリジンメタノール(分子量129.20、CAS RN:7583-53-1)、1-メチル-2-ピペリジンメタノール(分子量129.20、CAS RN:20845-34-5)、トリエチレンジアミン(分子量112.18、CAS RN:280-57-9)、1,2-ジメチルイミダゾール(分子量96.13、CAS RN:1739-84-0)、1-(ジメチルアミノ)ピロール(分子量110.16、CAS RN:78307-76-3)、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(分子量114.19、CAS RN:4271-96-9)、N,N’-ジメチルピペラジン(分子量112.17、CAS RN:106-58-1)、1-(2-ジメチルアミノエチル)-4-メチルピペラジン(分子量171.29、CAS RN:104-19-8)、4-メチルモルホリン(分子量101.15、CAS RN:109-02-4)等が挙げられる。
【0031】
また、上記の好ましい化合物のなかでも、更に、ヒドロキシ基を備えない化合物が好ましい。即ち、3級アミノ基を構成する窒素原子がヘテロ原子となった複素環を備えつつ、ヒドロキシ基を有さない3級アミンとしては、トリエチレンジアミン(分子量112.18、CAS RN:280-57-9)、1,2-ジメチルイミダゾール(分子量96.13、CAS RN:1739-84-0)、1-(ジメチルアミノ)ピロール(分子量110.16、CAS RN:78307-76-3)、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(分子量112.17、CAS RN:4271-96-9)、N,N’-ジメチルピペラジン(分子量114.19、CAS RN:106-58-1)、1-(2-ジメチルアミノエチル)-4-メチルピペラジン(分子量171.29、CAS RN:104-19-8)、4-メチルモルホリン(分子量101.15、CAS RN:109-02-4)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0032】
更に、第2-3級アミンとして、上述した3級アミノ基を構成する窒素原子がヘテロ原子となった複素環を備えた3級アミンを用いる場合、環構造を備えない3級アミンを併用することが好ましい。即ち、複素環を備えた3級アミンと、環構造を備えない3級アミンと、の異なる2種の3級アミンを第2-3級アミンとして併用することが好ましい。
【0033】
上記の環構造を備えない3級アミンは、更に、ヒドロキシ基を備える化合物であることが好ましい。ヒドロキシ基を有する第2-3級アミンは、ヒドロキシ基を有さない3級アミンに比べて、水溶性ケイ酸塩に対する親和性が向上され、水溶性ケイ酸塩とポリイソシアネートとの反応を促進できるため、より優れた発泡体強度が得られるものと考えられる。加えて、環構造を備えない3級アミンがヒドロキシ基を備える場合、3級アミノ基とヒドロキシ基とを備える主鎖内に酸素原子及び/又は窒素原子を有する化合物であることが好ましい。主鎖内に酸素原子及び/又は窒素原子を備える場合、水溶性ケイ酸塩に対する親和性が更に向上され、水溶性ケイ酸塩とポリイソシアネートとの反応がより促進していると考えられる。
このように、環構造を備えず、ヒドロキシ基を備え、3級アミノ基とヒドロキシ基とを繋ぐ主鎖内に酸素原子及び/又は窒素原子を有する3級アミンとしては、2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール(分子量133.19、CAS RN:1704-62-7)、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタノール(分子量161.25、CAS RN:140-82-9)、2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール(分子量146.23、CAS RN:2212-32-0)、1-[ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-2-プロパノール(分子量245.40、CAS RN:67151-63-7)、N,N,N’-トリメチル-n’-(2-ヒドロキシエチル)ビス(2-アミノエチル)エーテル(分子量190.28、CAS RN:83016-70-0)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0034】
更に、環構造を備えない3級アミンは、窒素原子に直結されたメチル基を有する3級アミノ基(以下、単に「メチル3級アミノ基」ともいう)を備えることが好ましく、窒素原子に直結されたメチル基を2つ有する3級アミノ基(以下、単に「ジメチル3級アミノ基」ともいう)を備えることがより好ましい。ジメチル3級アミノ基を有する場合には、3級アミノ基が化合物の末端を構成することとなる。そして、3級アミノ基を構成する炭化水素基の炭素数が小さいことにより、末端3級アミノ基の立体障害を小さくできるため、第2-3級アミンの反応初期の触媒活性を更に向上されることができると考えられる。
従って、環構造を備えず、ヒドロキシ基を備え、3級アミノ基とヒドロキシ基とを繋ぐ主鎖内に酸素原子及び/又は窒素原子を有し、ジメチル3級アミノ基を有する3級アミンとしては、2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール(分子量133.19、CAS RN:1704-62-7)、2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール(分子量146.23、CAS RN:2212-32-0)、1-[ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-2-プロパノール(分子量245.40、CAS RN:67151-63-7)、N,N,N’-トリメチル-n’-(2-ヒドロキシエチル)ビス(2-アミノエチル)エーテル(分子量190.28、CAS RN:83016-70-0)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0035】
(3-3)触媒の量
A液に含まれる触媒の量(第1-3級アミンと第2-3級アミンとの合計量)は限定されないが、B液に含まれるポリイソシアネートの100質量部に対して0.05質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上とすることができ、0.2質量部以上とすることができ、0.3質量部以上とすることができ、0.4質量部以上とすることができる。一方、この含有量は、7質量部以下であることが好ましく、5質量部以下とすることができ、4.5質量部以下とすることができ、3.5質量部以下とすることができ、2.5質量部以下とすることができる。これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。即ち、例えば、0.05~7質量部であることが好ましく、0.1~5質量部とすることができ、0.2~4.5質量部とすることができ、0.3~3.5質量部とすることができ、0.4~2.5質量部とすることができる。好ましい範囲では、良好な発泡倍率を発現させながら、反応温度依存を低減して発泡不良を防止できる。
【0036】
また、第1-3級アミンと第2-3級アミンとの量比は限定されないが、第1-3級アミンと第2-3級アミンとは質量比で同量は、又は、第1-3級アミンが多い方が好ましい。具体的には、第1-3級アミンと第2-3級アミンとの合計を100質量%とした場合に、第1-3級アミンの割合は50質量%以上であることが好ましく、51質量%以上とすることができ、52質量%以上とすることができる。一方、この割合は、90質量%以下とすることが好ましく、70質量%以下とすることができ、60質量%以下とすることができる。これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。即ち、例えば、50~90質量%とすることができ、51~70質量%とすることができ、52~60質量%とすることができる。
【0037】
(3-4)他の触媒
尚、A液には、上述した第1-3級アミン及び第2-3級アミン以外の他の触媒を配合することができる。但し、他の触媒は、第1-3級アミンと第2-3級アミンとの合計量を100質量部とした場合に、通常、30質量部以下である。
他の触媒としては、金属触媒、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0038】
金属触媒としては、有機酸金属塩や有機金属錯体が挙げられる。
有機酸金属塩を構成する金属種としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、錫、鉛、ビスマス等が挙げられる。また、有機酸金属塩を構成する有機酸としては、酢酸、オクチル酸、ネオデカン酸、ナフテン酸、ロジン酸が挙げられる。具体的には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ビスマス、オクチル酸鉛、オクチル酸鉄、オクチル酸錫、オクチル酸カルシウム、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、ネオデカン酸ビスマス、ネオデカン酸亜鉛、ネオデカン酸鉛、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸ビスマス、ジラウリン酸ジブチル錫等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、有機金属錯体を構成する金属種としては、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、錫、鉛、ビスマス等が挙げられる。また、有機金属錯体を構成する配位子としては、アセチルアセトン等が挙げられる。アセチルアセトン鉄、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンジルコニウム、アセチルアセトン錫等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0039】
第4級アンモニウム塩を構成するカチオン種としては、アルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等)、ヒドロキシアルキルアンモニウム塩(ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム等)などが挙げられる。第4級アンモニウム塩を構成するアニオン種としては、これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。第4級アンモニウム塩を構成するアニオン種としては、ギ酸基、酢酸基、2-エチルヘキサン酸基、2,2-ジメチルプロパン酸基、オクチル酸基、リン酸エステル基等の有機基;ハロゲン基、ヒドロキシ基、炭酸水素基、炭酸基等の無機基等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0040】
(4)A液の粘度
本組成物のうちA液の粘度は限定されず、また、B液と同じであってもよく異なってもよいが、25℃における粘度は400mPa・s以下であることが好ましく、5~300mPa・sであることがより好ましく、10~200mPa・sであることが更に好ましい。この範囲では、適切な注入時の圧力という観点において作業性に優れ、尚且つ、水に希釈され難くなり、より清浄な排水が可能となる。
尚、A液の粘度は、JIS K7117-1に準拠してB型粘度計を用いて25℃で測定できる。
【0041】
[2]B液
(1)ポリイソシアネート
B液は「ポリイソシアネート」を含む。ポリイソシアネートは、分子中に2以上のイソシアネート基(NCO基)を有する有機化合物である。ポリイソシアネートとしては、分子中に2以上のイソシアネート基(NCO基)を有する単量体を用いてもよいし、多量体(プレポリマー等)を用いてもよい。更に、多量体である場合、多量体を構成する化合物(モノマー)は1種のみ(単核)であってもよいし、2種以上(多核)であってもよい。更に、単量体と多量体との混合物を用いてもよい。このようなポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0042】
芳香族ポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート〔2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート〕、トリレンジイソシアネート〔2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート〕、フェニレンジイソシアネート〔1,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート〕、キシリレンジイソシアネート〔1,4-キシリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート〕、テトラメチルキシリレンジイソシアネート〔1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート〕、3,3’-ジメチルジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート〔1,5-ナフタレンジイソシアネート等〕、ジアニシジンジイソシアネート、イソプロピリデンビス〔4-シクロヘキシルイソシアネート〕、トリフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)-チオリン酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0043】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート〔1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート〕、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート〔2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート〕、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
脂環式ポリイソシアネートとしては、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、trans-1,4-シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート〔メチルシクロヘキサン-2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート〕、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン〔cis-1,3-(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、trans-1,3-(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン〕等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、上述の各種モノマー体は、これらの変性体(イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等)、これらのブロック化物、これらの水添物等であってもよい。また、活性水素基含有化合物と前記ポリイソシアネートを、公知の方法で反応させて得られるイソシアネート基含有プレポリマーを用いても良い。これらは各々1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
本組成物のB液に含まれるポリイソシアネートとしては、上述のなかでも、得られる発泡体の強度、及び、反応速度の観点から芳香族ポリイソシアネートが好ましく、更には、ジフェニルメタンジイソシアネート(モノメリックMDI、ポリメリックMDI、クルードMDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)がより好ましく、更には、ジフェニルメタンジイソシアネート(モノメリックMDI、ポリメリックMDI、クルードMDI)が更に好ましい。
【0045】
B液に含まれるポリイソシアネートの量は限定されず、例えば、B液はポリイソシアネートのみから構成できる。この場合、B液全体を100質量%とすると、ポリイソシアネートの量は100質量%となる。一方、B液にポリイソシアネート以外の他の成分(例えば、添加剤等)を加える場合、B液全体を100質量%とすると、ポリイソシアネートの量は85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上がより好ましく、91質量%以上が更に好ましく、92質量%以上が特に好ましい。一方、この含有量は、通常、99.99質量%以下であり、99.8質量%以下がより好ましく、99.6質量%以下が更に好ましく、99.4質量%以下が特に好ましい。これらの上下限値は任意に組み合わせることができる。即ち、例えば、85~99.99質量%とすることができ、90~99.8質量%とすることができ、91~99.6質量%とすることができ、82~99.4質量%とすることができる。
【0046】
(2)B液の粘度
本組成物のうちB液の粘度は限定されず、また、A液と同じであってもよく異なってもよいが、25℃における粘度は400mPa・s以下であることが好ましく、5~300mPa・sであることがより好ましく、10~200mPa・sであることが更に好ましい。この範囲では、適切な注入時の圧力という観点において作業性に優れ、尚且つ、水に希釈され難くなり、より清浄な排水が可能となる。
尚、B液の粘度は、JIS K7117-1に準拠してB型粘度計を用いて25℃で測定できる。
【0047】
[3]他の成分
本組成物のA液及びB液には、必要に応じて他の成分を配合できる。他の成分としては、発泡剤、整泡剤、難燃剤、粘度調整剤(減粘剤、増粘剤等)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0048】
発泡剤は、得られる固結体(発泡体)の発泡状態を形成する成分である。発泡剤の種類は限定されないが、発泡剤としては、無機発泡剤、有機発泡剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。無機発泡剤としては、水、二酸化炭素等が挙げられる。このうち、水は、ポリイソシアネートとの共存により発泡剤として機能するため、本組成物で水を発泡剤として利用する場合にはA液に配合できる。また、水溶性ケイ酸塩を水ガラス(ケイ酸塩水溶液)として用いる場合は、水ガラスを構成する水を発泡剤として機能させることができる。有機発泡剤としては、非フロン系・フロン系発泡剤を用いることができる。有機発泡剤は、非フロン系が好ましく、ハイドロフルオロオレフィンやハイドロクロロフルオロオレフィン等のハロゲン化アルケンがより好ましい。
発泡剤を用いる場合、本組成物に含まれるポリイソシアネート全体を100質量部とすると、発泡剤は0.01~50質量部とすることができ、0.1~25質量部とすることができ、0.5~10質量部とすることができる。
【0049】
整泡剤は、得られる固結体(発泡体)を構成する発泡セルの均一性を向上させる成分である。整泡剤の種類は限定されないが、整泡剤としては、シリコーン系整泡剤(シリコーン等)、非イオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ラウリル脂肪酸エチレンオキシド付加物等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
整泡剤を用いる場合、本組成物に含まれるポリイソシアネート全体を100質量部とすると、整泡剤は0.05~5質量部とすることができ、0.1~4質量部とすることができ、0.1~3質量部とすることができる。この範囲では、適切な整泡作用を得つつ、清浄な排水が可能となる。
【0050】
粘度調整剤は、本組成物を構成するA液及び/又はB液の粘度を調節できる成分である。粘度調整剤の種類は限定されないが、粘度調整剤としては、減粘剤、増粘剤等が挙げられ、本組成物では、減粘剤を好適に利用できる。減粘剤としては、アルコール類、エーテル類、エステル類、石油系炭化水素類等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等が挙げられる。エーテル類としては、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等が挙げられる。エステル類としては、プロピレンカーボネート等の環状エステル類;ジカルボン酸メチルエステル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類(非環状エステル類)等が挙げられる。
粘度調整剤を用いる場合、本組成物に含まれるポリイソシアネート全体を100質量部とすると、減粘剤は0.1~15質量部とすることができ、0.5~10質量部とすることができ、1~8質量部とすることができる。
【0051】
難燃剤は、得られる固結体(発泡体)の難燃性を向上させる成分である。難燃剤の種類は限定されないが、難燃剤としては、リン酸エステル(モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル、有機リン酸モノエステル、有機リン酸ジエステル、有機リン酸トリエステル、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、有機ホスフィン酸塩等)、赤リン、ホウ素系難燃剤、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤(ハロゲン化パラフィン等)、スズ酸金属塩、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物、金属化合物の水和物、粘土鉱物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
難燃剤を用いる場合、本組成物に含まれるポリイソシアネート全体を100質量部とすると、難燃剤は0.1~100質量部とすることができ、0.5~50質量部とすることができ、1~10質量部とすることができる。
【0052】
[4]地盤注入用薬液組成物の用途
本組成物の用途は限定されないが、その性質から特に、建築土木分野(建築分野及び土木分野)等において好適に利用される。即ち、本組成物は、建築土木分野の地盤注入用薬液組成物として利用できる。このうち、例えば、建築分野においては、壁用難燃性発泡体、天井用難燃性発泡体、床用難燃性発泡体、壁用断熱材、天井用断熱材、床用断熱材、構造物製造時の現場吹付、内部間隙の充填、経時劣化した構造物の補強等に利用することができる。また、土木分野においては、地山、地中、土壌、地盤、岩盤、これらと構造物(建築構造物)との間隙、更には、構造物内の間隙等へ本組成物を注入し、発泡硬化させることにより、注入箇所を充填、補強することができる。
【0053】
〔2〕発泡体(発泡固結体)及びその製造方法
本発明の発泡体は、A液とB液とを混合して得られることを特徴とする。
A液とB液との混合は、発泡体の形成時に行うことができる。即ち、本組成物の注入を目的とする箇所への注入前混合、注入中混合、注入後混合のいずれでもよく、これらの2以上の混合が複合されてもよい。より具体的には、配管の吐出ノズルの手前でA液とB液を合流させて吐出される直前に混合されることが望ましい。これにより、混合量比を所望の範囲に制御し易くできる。
【0054】
また、A液とB液との混合比は、限定されず、A液とB液が反応してできる発泡体の物性に応じて適宜の範囲とすることができるが、通常、質量基準において、A液:B液=2:1~1:3とすることが好ましく、1.5:1~1:2とすることがより好ましい。
【0055】
本組成物を用いて得られる発泡体の発泡倍率は限定されないが、20℃において、20倍以下であることが好ましく、3~15倍であることがより好ましい。この範囲では、得られる発泡体に十分な強度を得ることができると共に、経済性にも優れる。
尚、発泡倍率は以下の通りに測定される。即ち、カップ内でA液とB液を混ぜ終えた時の混合液のカップ内での液面の高さをH1として測定し、次いで、発泡が開始されてカップ内に発泡体が形成され、硬化反応が終了された際の発泡体の高さをH2として測定し、得られたH1及びH2の値を用いて、H2/H1として発泡倍率を算出する。この測定に際しては、各高さはゲージを用いて目視で測定できる。
【0056】
また、本組成物を用いて得られる発泡体は、その圧縮強度を4.0~6.0N/cmにすることができる。更に、4.1~5.8N/cmにすることができ、4.2~5.5N/cmにすることができ、4.3~5.3N/cmにすることができる。
更に、本組成物を用いて得られる発泡体は、その曲げ強度を3.9~6.0N/cmにすることができる。更に、4.0~5.8N/cmにすることができ、4.1~5.5N/cmにすることができ、4.1~5.3N/cmにすることができる。
A液とB液との混合によって泡立ちが始まる時間を「発泡開始時間」とし、発泡高さが最大になる時間を「発泡終了時間」とし、発泡開始時間と発泡終了時間との差をライズタイムとした場合に、20℃におけるライズタイムは、20~300秒が好ましい。
【実施例0057】
以下、本発明を実施例に則して更に詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
[1]組成物の調製
下記各成分を、各々、下記表1及び表2に示す組合せ及び配合で混合し、実施例1~13及び比較例1~8の各A液及びB液を有する地盤注入用薬液組成物を得た。
【0059】
(1)水溶性ケイ酸塩(ケイ酸塩水溶液)
・2号ケイ酸Na:2号ケイ酸ソーダ、富士化学株式会社製、固形分40%
・1号ケイ酸Na:1号ケイ酸ソーダ、富士化学株式会社製、固形分48%(使用時に加水により固形分40%に調整して使用)
【0060】
(2)ポリオール
・PP400:ポリエーテルポリオール、三洋化成株式会社製、品名「サンニックス PP-400」、数平均分子量400、官能基数2
・PP1000:ポリエーテルポリオール、三洋化成株式会社製、品名「サンニックス PP-1000」、数平均分子量1000、官能基数2
【0061】
(3)触媒
(3-1)第1の3級アミン
・テトラメチルヘキサメチレンジアミン:N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン(分子量172.32、CAS RN:111-18-2)、花王株式会社製、品名「カオーライザー No.1」
【0062】
(3-2)第2の3級アミン
・トリエチレンジアミン:33% トリエチレンジアミン(分子量112.18、CAS RN:280-57-9) ジプロピレングリコール溶液、花王株式会社製、品名「カオーライザー No.31」
・ジメチルイミダゾール:70% 1,2-ジメチルイミダゾール(分子量96.13、CAS RN:1739-84-0) エチレングリコール溶液、花王株式会社製、品名「カオーライザー No.350」
・トリメチルアミノエチルピペラジン:1-(2-ジメチルアミノエチル)-4-メチルピペラジン(分子量171.29、CAS RN:104-19-8)、花王株式会社製、品名「カオーライザー No.8」
・トリメチルアミノエチルエタノールアミン:2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール(分子量146.23、CAS RN:2212-32-0)、東ソー株式会社製、品名「トヨキャット RX-5」
・トリドデシルアミン:トリドデシルアミン(分子量522.00、CAS RN: 102-87-4)、東京化成工業株式会社
【0063】
(4)ポリイソシアネート
・MDI(M100):ポリメリックMDI、錦湖三井化学社製、品名「コスモネート M100」
・MDI(M200):ポリメリックMDI、錦湖三井化学社製、品名「コスモネート M200」
【0064】
(5)整泡剤
・整泡剤:ポリエーテル変性シロキサン、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、品名「Niax Silicone L-6970」)
【0065】
(6)減粘剤
・減粘剤:プロピレンカーボネート、東京化成工業株式会社製
【0066】
(7)難燃剤
・難燃剤:トリス(クロロプロピル)ホスフェート、大八化学工業株式会社製
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
[2]測定及び評価
(1)A液及びB液の粘度測定
B型粘度計を用いて、25℃において、JIS K7117-1に準拠して、実施例1~13及び比較例1~8の各地盤注入用薬液組成物を構成するA液及びB液の粘度を測定した。その結果を、表1及び表2に示した。
【0070】
(2)発泡体の評価
上記[1]で得た実施例1~13及び比較例1~8の各地盤注入用薬液組成物を用い、以下の要領で発泡体を作製した。そして、得られた発泡体を以下の要領により評価した。
【0071】
(2-1)圧縮強度の評価
実施例1~13及び比較例1~8の各地盤注入用薬液組成物から、A液とB液との質量比が1:1となるように、A液とB液とを分取した。これらA液とB液とを温度を20℃に調整した後、内径50mm×高さ100mmの有底円筒容器に発泡倍率が3倍となるように投入し、蓋をした後、2時間以上養生した。その後、脱型し、更に、20℃において24時間以上養生し、評価用発泡体を得た。
得られた各評価用発泡体の圧縮強度をJIS K7220に従って測定し、表1及び表2に示した。尚、表1及び表2の圧縮強度の評価欄において「×」は、得られた発泡体が軟弱であるために測定不可能であったことを示している。
【0072】
(2-2)曲げ強度の評価
実施例1~13及び比較例1~8の各地盤注入用薬液組成物から、A液とB液との質量比が1:1となるように、A液とB液とを分取した。これらA液とB液とを温度を20℃に調整した後、縦180mm×幅170mm×厚み20mmの金型に発泡倍率が3倍となるように投入し、蓋をした後、2時間以上養生した。その後、脱型し、更に、20℃において24時間以上養生して発泡体を得た。得られた発泡体から、縦150mm×幅25mm×厚み20mmの評価用発泡体を切り出した。
得られた各評価用発泡体の曲げ強度をJIS K7221に従って測定し、表1及び表2に示した。尚、表1及び表2の曲げ強度の評価欄において「×」は、得られた発泡体が軟弱であるために測定不可能であったことを示している。
【0073】
[3]実施例の効果
表1及び表2から、A液に第2-3級アミンが含まれていない比較例1の組成物では、発泡体が得られるものの、圧縮強度及び曲げ強度がいずれも4.0N/cm未満の発泡体となることが分かる。また、A液に第1-3級アミンが含まれていない比較例2~4及び比較例6の組成物では、発泡体が得られるものの、圧縮強度及び曲げ強度のいずれもが測定不可能な軟弱な発泡体であることが分かる。更に、A液に第1-3級アミンが含まれていない比較例5の組成物では、発泡体が得られるものの、圧縮強度及び曲げ強度がいずれも4.0N/cm未満の発泡体となることが分かる。また、A液に含まれるポリオールの量が10質量%を超えて過剰である比較例7の組成物では、発泡体が得られるものの、圧縮強度及び曲げ強度がいずれも4.0N/cm未満の発泡体となることが分かる。更に、A液に含まれる第2-3級アミンの分子量が400を超えている比較例8の組成物では、発泡体が得られるものの、圧縮強度及び曲げ強度がいずれも4.0N/cm未満の発泡体となることが分かる。
これに対して、A液が、水溶性ケイ酸塩、所定量のポリオール、第1-3級アミン及び第2-3級アミンを含んだ実施例1~13の組成物では、安定して発泡体を形成させながら、十分な強度を有する発泡体を得ることができることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
建築土木分野(建築分野及び土木分野)等において好適に利用される。このうち、例えば、建築分野においては、壁用充填発泡体、天井用充填発泡体、床用充填発泡体、壁用断熱材、天井用断熱材、床用断熱材、構造物製造時の内部間隙の充填、経時劣化した構造物の補強等に利用することができる。また、土木分野においては、地山、地中、土壌、地盤、岩盤、これらと構造物(建築構造物)との間隙、更には、構造物内の間隙等へ本組成物を注入し、発泡硬化させることにより、注入箇所を充填、補強することができる。