(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147083
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】発泡成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 44/60 20060101AFI20231004BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20231004BHJP
B29C 39/44 20060101ALI20231004BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20231004BHJP
B29C 44/12 20060101ALI20231004BHJP
B29K 75/00 20060101ALN20231004BHJP
B29K 105/04 20060101ALN20231004BHJP
【FI】
B29C44/60
B29C39/10
B29C39/44
B29C44/00 A
B29C44/12
B29K75:00
B29K105:04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054643
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】522345803
【氏名又は名称】株式会社アーケム
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】岩成 大河
(72)【発明者】
【氏名】近藤 悠一郎
(72)【発明者】
【氏名】井樋 紀人
【テーマコード(参考)】
4F204
4F214
【Fターム(参考)】
4F204AA42
4F204AB02
4F204AC05
4F204AD03
4F204AD15
4F204AG20
4F204AH26
4F204AR02
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4F204EA01
4F204EB01
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4F204EK17
4F204EK26
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4F214AD03
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4F214AH26
4F214AR02
4F214AR20
4F214UA01
4F214UB01
4F214UB12
4F214UD11
4F214UD17
4F214UD26
4F214UD27
4F214UF05
(57)【要約】
【課題】発泡体から埋設部材の一部を露出させてなる発泡成形体を、容易に得るための、発泡成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る、発泡成形体の製造方法は、成形型1を用いることによって、発泡体から埋設部材の一部を露出させてなる発泡成形体を得るための、発泡成形体の製造方法である。成形型1のキャビティS1に、埋設部材12を配置して、キャビティS1内で発泡原料を発泡させ、埋設部材12の一部12aに向けてガスを噴射する。ガスの噴射圧は、発泡原料の発泡圧と同等の圧力であり、ガスの噴射は、発泡原料が反応を開始した時点に開始され、遅くとも当該発泡原料のライズタイムが経過するまで継続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形型を用いることによって、発泡体から埋設部材の一部を露出させてなる発泡成形体を得るための、発泡成形体の製造方法であって、
前記成形型の内部に形成されたキャビティに、前記埋設部材の前記一部が前記キャビティの下面よりも高い位置となるように、当該埋設部材を配置して、前記キャビティ内で発泡原料を発泡させる、発泡原料発泡工程と、
前記キャビティ内の、前記埋設部材の前記一部に向けてガスを噴射する、ガス噴射工程と、を含んでおり、
前記ガスの噴射圧は、前記発泡原料の発泡圧と同等の圧力であり、
前記ガスの噴射は、前記発泡原料が反応を開始した時点に開始され、遅くとも当該発泡原料のライズタイムが経過するまで継続される、発泡成形体の製造方法。
【請求項2】
前記ガスの噴射時間は、前記埋設部材の前記一部と、前記キャビティの下面との間の高さに応じて調整されるものであり、前記埋設部材の露出寸法が異なる、2つ以上の発泡成形体を製造する場合、前記ガスの噴射時間は、前記高さが高い方を前記高さが低い方に比べて長くする、請求項1に記載された、発泡成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発泡成形体としては、例えば、車両のシートフレームに固定するためのフレーム材を発泡体から突出させた、発泡成形体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。こうした発泡成形体は、何らの対策を施さない場合、金型を用いたモールド成形時において、発泡体から突出させるべきフレーム材の周りに駄肉が生じる。このため、従来の、発泡成形体の製造方法には、例えば、特許文献1に記載の製造方法のように、前記金型のキャビティ内に、回動型のような着脱可能なクリアランス部材(入れ子)を設けることによって、発泡原料を供給する前に予め、発泡体から突出させるべきフレーム材の周囲にクリアランスを形成しておくものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の製造方法は、成形型(金型)の内部にクリアランス部材を配置するため、作業者による手作業が必要となり、作業工数も増加する。また、成形型内にクリアランス部材を配置する場合、成形型とクリアランス部材との間に発泡原料が流れた場合、発泡体が狙いと異なる形状で形成されることが懸念される。加えて、特許文献1に記載のように、クリアランス部材として回転型を用いた場合、当該回転型の回転機構に発泡体が侵入・付着するため、定期的なメンテンナンスが必要となる。
【0005】
本発明の目的は、発泡体から埋設部材の一部を露出させてなる発泡成形体を、容易に得るための、発泡成形体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、発泡成形体の製造方法は、成形型を用いることによって、発泡体から埋設部材の一部を露出させてなる発泡成形体を得るための、発泡成形体の製造方法であって、
前記成形型の内部に形成されたキャビティに、前記埋設部材の前記一部が前記キャビティの下面よりも高い位置となるように、当該埋設部材を配置して、前記キャビティ内で発泡原料を発泡させる、発泡原料発泡工程と、前記キャビティ内の、前記埋設部材の前記一部に向けてガスを噴射するガス噴射工程と、を含んでおり、前記ガスの噴射圧は、前記発泡原料の発泡圧と同等の圧力であり、 前記ガスの噴射は、前記発泡原料が反応を開始した時点に開始され、遅くとも当該発泡原料のライズタイムが経過するまで継続される。本発明に係る、発泡成形体の製造方法によれば、発泡体から埋設部材の一部を露出させてなる発泡成形体を、容易に得ることができる。
【0007】
本発明に係る、発泡成形体の製造方法は、前記ガスの噴射時間は、前記埋設部材の前記一部と、前記キャビティの下面との間の高さに応じて調整されるものであり、前記埋設部材の露出寸法が異なる、2つ以上の発泡成形体を製造する場合、前記ガスの噴射時間は、前記高さが高い方を前記高さが低い方に比べて長くすることが好ましい。この場合、埋設部材の露出寸法が異なる、発泡成形体を、容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発泡体から埋設部材の一部を露出させてなる発泡成形体を、容易に得るための、発泡成形体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、発泡成形体の製造方法に使用可能な成形型システムの一例を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図1の成形型システムを用いることによって成形可能な、発泡成形体を概略的に示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る、発泡成形体の製造方法を説明するために、
図1に記載の成形型の一部を拡大して示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る、発泡成形体の製造方法との比較のための、比較例としての、発泡成形体の製造方法を説明するために、当該比較例に係る、成形型の、
図1に記載の成形型の一部に相当する部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、発泡成形体の製造方法について説明をする。
【0011】
図1には、本発明の一実施形態に係る、発泡成形体の製造方法に使用可能な成形システム100が概略的に示されている。成形システム100は、
図1に示すように、成形型(モールド)1を備えている。
【0012】
本開示の、発泡成形体の製造方法は、
図1の成形型1を用いることによって、発泡体から埋設部材の一部を露出させてなる発泡成形体を得るための、発泡成形体の製造方法である。
【0013】
図2には、成形システム100を用いることによって成形可能な、発泡成形体10が概略的に示されている。
図2に示すように、発泡成形体10は、発泡体11から埋設部材12の一部12aを露出させてなる。
【0014】
本開示の、発泡成形体の製造方法によって得られる、発泡成形体10としては、例えば、車両座席用のパッドが挙げられる。本開示において、発泡成形体10は、自動車に用いられる、バックパッドである。ただし、発泡成形体10は、自動車のバックパッドに限定されるものではない。例えば、発泡成形体10は、自動車座席用のシートパッドとすることができる。また、発泡成形体10は、自動車座席用に限定されるものではなく、自動車以外の車両に適用することができる。さらに、発泡成形体10は、車両以外の座席用のパッドに適用することができる。
【0015】
本開示において、発泡体11の前面F11aは、乗員の背中が当たる背もたれ面となる。また、本開示において、発泡体11の後面F11bは、車両のシートフレームに取り付けられる取付面となる。
【0016】
発泡体11は、発泡原料を発泡させることによって形成されている。発泡原料としては、例えば、ポリウレタンが挙げられる。本開示において、発泡体11は、ポリウレタンフォームによって形成されている。ポリウレタンフォームとしては、例えば、硬質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォームが挙げられる。
【0017】
発泡体11には、埋設部材12が埋設されている。本開示において、埋設部材12は、発泡成形体10の基本構造となるフレーム部材である。本開示において、埋設部材12の一部12aは、発泡体11における上部11аの後面F11b1から後側に突出している。本開示において、埋設部材12は、発泡体11よりも高い強度を有する材料、例えば、金属、樹脂(例えば、エンジニアリングプラスチック)によって形成されている。
【0018】
本開示の、発泡成形体の製造方法には、
図1の成形型1のキャビティS1内で発泡原料Mを発泡させることによって、発泡体11の成形を行う、モールド成形が用いられる。本開示において、前記モールド成形は、成形型1を用いることによって、成形型1の内部に形成されたキャビティS1に埋設部材12を配置し、キャビティS1内で発泡原料Mを発泡させることによって、発泡体11から埋設部材12の一部12aを露出させてなる発泡成形体10を得るための、成形方法である。具体的には、本開示の、発泡成形体の製造方法は、少なくとも以下の2つの工程を含んでいる。
【0019】
(発泡原料発泡工程)
発泡原料発泡工程は、本開示の、発泡成形体の製造方法の第1の工程に相当する。発泡原料発泡工程では、成形型1の内部に形成されたキャビティS1内に、埋設部材12の一部12aがキャビティS1の下面FLよりも高い位置となるように、当該埋設部材12を配置して、このキャビティS1内で発泡原料Mを発泡させる。
【0020】
本開示において、成形型1は、上型2と下型3とを備えている。上型2と下型3とは、互いに上下方向に離間させることによって分離させることができる。また、上型2と下型3とは、上下方向において、互いに接近させることによって合わせることができる。本開示において、キャビティS1は、上型2と下型3とを合わせることによって、上型2と下型3との間に形成される。
【0021】
本開示において、上型2の下面には、
図1に示すように、例えば、既存の手段を用いることによって、埋設部材12を所定位置に取外し可能に取り付けることができる。これによって、埋設部材12は、上型2と下型3とを合わせることによって、
図1に示すように、キャビティS1内の所定位置に配置することができる。即ち、本開示において、埋設部材12は、モールド成形のインサート品として、キャビティS1内に収容させることができる。本開示では、
図1に示すように、上型2と下型3とを合わせて型締めしたとき、埋設部材12は、その一部12aが下型3の下型面(FL)よりも高い位置となるように、キャビティS1内に配置される。
【0022】
また、本開示において、発泡原料Mは、埋設部材12が配置されたキャビティS1内で発泡させる。発泡原料Mは、上型2を下型3から分離させることによって、キャビティS1の下面FLに投入することができる。具体例としては、上型2と下型3とを合わせる前に、下型3の下型面(キャビティS1の下面FL)に、未発泡の液状の発泡原料Mを注入する。発泡原料Mを下型3に注入した後、下型3には、上型2が合わせられる。即ち、本開示において、上型2と下型3との型締めは、発泡原料Mを下型3に供給した後に行われる。
【0023】
(ガス噴射工程)
ガス噴射工程は、本開示の、発泡成形体の製造方法の第2の工程に相当する。ガス噴射工程では、キャビティS1内の、埋設部材12の一部12aに向けてガスGを噴射する。
【0024】
本開示において、ガスGは、ガス供給部4を通して成形型1の内部に供給される。本開示において、成形型1は、クリアランス形成部5を備えている。クリアランス形成部5には、ガス供給部4が接続されている。
【0025】
【0026】
クリアランス形成部5は、埋設部材12の一部12aに発泡原料Mを付着させないためのクリアランス空間S2を形成する。クリアランス空間S2は、発泡体11の外形形状を形作るキャビティS1に通じ、かつ、ガス供給部4を通して供給されたガスGが充填される空間である。
【0027】
クリアランス形成部5は、埋設部材12の一部12aを取り囲むように形成されている。本開示において、クリアランス形成部5は、上型2に形成されている。本開示において、ガス供給部4は、ガス供給部4の供給口4aが埋設部材12の一部12aの先端12a1と対向する位置に配置されている。これによって、本開示において、ガスGは、埋設部材12の一部12aの先端12a1から当該埋設部材12の一部12aの延在方向に沿ってクリアランス空間S2に充填される。この場合、発泡原料Mが埋設部材12の一部12aに付着することを効率的に防止することができる。
【0028】
本開示において、ガスGの供給は、発泡原料Mが反応(発泡)を開始した時点で開始する。具体例としては、ガスGの供給は、上型2と下型3との型締めを完了した時点を、発泡原料Mが反応を開始した時点として、開始させることができる。或いは、ガスGの供給は、上型2と下型3との型締めを完了した時点から所定時間を経過した後を、発泡原料Mが反応を開始した時点として、開始させることができる。ここで、前記所定時間としては、キャビティS1内で発泡原料Mが発泡を開始すると予測される時間を考慮して設定することができる。
【0029】
図1を参照すれば、本開示において、ガスGは、ガス供給源6から供給される。本開示において、ガス供給源6は、エアータンクである。即ち、本開示において、ガスGは、エアータンクに充填された空気である。ただし、ガスGは、空気に限定されるものではない。ガスGとしては、発泡原料Mが化学反応を起こし難いガス、例えば、窒素ガス等であってもよい。
【0030】
ガスGの噴射圧Pは、発泡原料Mの発泡圧Pfと同等の圧力である。
【0031】
ここで、「発泡原料Mの発泡圧Pfと同等の圧力」とは、発泡原料Mの発泡圧Pfと同一の圧力と、発泡原料Mの発泡圧Pfとして許容される圧力と、の両方を含む。発泡原料Mの発泡圧Pfは、発泡原料Mの種類に依存する。
【0032】
ここで、発泡原料Mの発泡圧Pfとして許容される圧力は、発泡原料Mの発泡圧Pf±許容範囲圧力ΔP(≠Pf)である。即ち、Pについて、数式として表すと、以下のとおりである。
【0033】
[数1]
Pf-ΔP≦P≦Pf+ΔP
【0034】
本開示において、発泡原料Mの発泡圧Pfは、ポリウレタンの発泡圧Pf1(MPa)である。また、本開示において、許容範囲圧力ΔPは、0.03(MPa)である。
【0035】
ガスGの噴射は、発泡原料Mが反応を開始した時点に開始され、遅くとも当該発泡原料MのライズタイムTRが経過するまで継続される。
【0036】
ここで、ガスGの噴射開始は、上述のとおり、発泡原料Mが反応を開始した時点である。また、ライズタイムTRとは、発泡原料Mが発泡を開始してから最高の高さに達するまで(即ち、発泡原料Mの発泡が停止するまで)の時間をいう。ライズタイムTRは、発泡原料Mの種類に依存する。
【0037】
本開示において、ガスGの噴射は、液状の未発泡ポリウレタンが発泡を開始した時点に開始され、遅くとも当該ポリウレタンのライズタイムTR1が経過するまで継続される。
【0038】
本開示の、発泡成形体の製造方法によれば、発泡原料Mの反応に合わせて、成形型1のクリアランス空間S2にガスGを供給することによって、当該クリアランス空間S2での発泡原料Mの成長を抑制することができる。これによって、
図3に示すように、埋設部材12の大半に発泡原料Mを付着させる一方、埋設部材12の一部12aには、発泡原料Mが付着しないようにすることができる。
【0039】
図4には、本発明の一実施形態に係る、発泡成形体の製造方法との比較のために、当該比較例に係る、成形型1Mの、
図1に記載の成形型1の一部に相当する部分が拡大して示されている。
【0040】
この比較例では、モールド成形時において、クリアランス空間S2を埋めるためにクリアランス部材C1を用いる必要がある。このため、
図4に示すように、クリアランス部材C1をクリアランス空間S2に配置することによって、埋設部材12の一部12aに発泡原料Mが付着しないようにしている。しかしながら、この比較例の場合、モールド成形後に、クリアランス部材C1を埋設部材12の一部12aまたはクリアランス空間S2から取り外さなければならない。
【0041】
これに対し、本開示の、発泡成形体の製造方法によれば、発泡体11から埋設部材12の一部12aを露出させてなる発泡成形体10を、容易に得ることができる。
【0042】
例えば、本開示の、発泡成形体の製造方法によれば、ガスGを噴射させるだけで埋設部材12の一部12aへの発泡原料Mの付着を防止することできる。この場合、
図3の比較例のように、成形型1の内部にクリアランス部材C1を配置する必要がない。このため、
図3の比較例で行われていた、作業者による手作業が不要となり、作業工数も削減することができる。また、本開示の、発泡成形体の製造方法によれば、
図3の比較例のように、成形型1内にクリアランス部材C1を配置する必要がないため、成形型1とクリアランス部材C1との間に発泡原料Mが流れるようなことがない。このため、本開示の、発泡成形体の製造方法によれば、発泡体11を設計時に狙いとする形状に形成することができる。加えて、本開示の、発泡成形体の製造方法によれば、特許文献1に記載のように、クリアランス部材C1を回転型とする必要がない。このため、本開示の、発泡成形体の製造方法によれば、前記回転型の回転機構に発泡原料Mが侵入・付着することがないから、定期的なメンテンナンスも不要となる。
【0043】
ところで、本開示において、ガスGの噴射時間(ガスGの噴射継続時間)Tは、埋設部材12の一部12aと、キャビティS1の下面FLとの間の高さHに応じて調整されるものである。本開示において、埋設部材12の露出寸法Lが異なる、2つ以上の発泡成形体10を製造する場合、ガスGの噴射時間Tは、高さHが高い方を当該高さHが低い方に比べて長くすることが好ましい。この場合、埋設部材12の露出寸法が異なる、発泡成形体を、容易に得ることができる。
【0044】
具体例としては、以下の場合が挙げられる。
【0045】
図2を参照すれば、本開示において、発泡成形体10は、
図2に示すように、埋設部材12の一部12aが発泡体11における上部11аの後面F11b1から、露出寸法Lだけ突出(露出)している。
【0046】
本開示の、発泡成形体の製造方法において、露出寸法Lは、ガスGの噴射時間Tに応じて変化する。本開示の、発泡成形体の製造方法を用いて、露出寸法Lが異なる、2つの発泡成形体10を製造する場合、ガスGの噴射時間Tは、露出寸法Lが長い方の発泡成形体10を製造するときには、露出寸法Lが短い方の発泡成形体10を製造するときよりも長くする。この場合、ガスGの噴射時間Tには、発泡時における発泡原料Mの成長が加味されることになる。これによって、同じ成形システム100、つまり、同じ製造方法を用いることによって、埋設部材12の露出寸法が異なる、発泡成形体を、容易に得ることができる。
【0047】
ここで、高さHは、
図1に示すように、キャビティS1の下面FLのうち、埋設部材12の一部12aの直下の、キャビティS1の直下面FL1からの高さである。本開示において、高さHは、キャビティS1の直下面FL1から、埋設部材12の一部12aの先端12a1までの高さである。
【0048】
なお、
図1に示すように、本開示において、成形システム100は、ガス供給源6に加えて、圧力レギュレータ7と、開閉弁8とを備えている。
【0049】
本開示において、ガスGの噴射圧Pは、例えば、ガス供給源6の下流側に配置された圧力レギュレータ7によって調整することができる。この場合、ガスGは、圧力レギュレータ7によって調整された圧力で、クリアランス空間S2に噴射させることができる。また、本開示において、圧力レギュレータ7とガス供給部4との間には、開閉弁8が配置されている。この場合、開閉弁8を開閉することによって、ガスGの噴射と、当該ガスGの噴射停止とを制御することができる。開閉弁8は、手動または自動で操作することができる。
【0050】
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。例えば、本開示において、埋設部材12の一部12aは、上下方向に延在する構成としたが、埋設部材12の一部12aが指向する向きは、上下方向に限定されるものではない。また、埋設部材12は、フレーム部材に限定されるものではない。即ち、埋設部材12の外形形状は、発泡体11の外形形状とともに、様々な外形形状に変更することができる。
【符号の説明】
【0051】
1:成形型, 2:上型, 3:下型, 4:ガス供給部, 5:クリアランス形状部, 6:ガス供給源, 7:圧力レギュレータ, 8:開閉弁, 10:発泡成形体, 11:発泡体, 12:埋設部材, 12a:埋設部材の一部, 100:成形システム, G:ガス, H:埋設部材の一部とキャビティの下面との間の高さ, M:発泡原料, S1:キャビティ, FL:キャビティの下面, FL1:キャビティの直下面, S2:クリアランス空間, P:ガスの噴射圧, Pf:発泡原料の発泡圧, Pf1:ポリウレタンの発泡圧, ΔP:許容範囲圧力, T:ガスの噴射時間, TR:発泡体のライズタイム, TR1:ポリウレタンのライズタイム