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特開2023-147121車載用モータ用充填用樹脂組成物の撹拌装置
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  • 特開-車載用モータ用充填用樹脂組成物の撹拌装置 図1
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  • 特開-車載用モータ用充填用樹脂組成物の撹拌装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147121
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】車載用モータ用充填用樹脂組成物の撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/1122 20220101AFI20231004BHJP
   B01F 27/80 20220101ALI20231004BHJP
   B01F 23/53 20220101ALI20231004BHJP
   B01F 23/57 20220101ALI20231004BHJP
   B01F 35/21 20220101ALI20231004BHJP
   B01F 35/90 20220101ALI20231004BHJP
   B29B 7/14 20060101ALI20231004BHJP
   B29B 7/22 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B01F27/1122
B01F27/80
B01F23/53
B01F23/57
B01F35/21
B01F35/90
B29B7/14
B29B7/22
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054699
(22)【出願日】2022-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000179328
【氏名又は名称】リックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 和義
(72)【発明者】
【氏名】大神 修平
(72)【発明者】
【氏名】稲毛 義樹
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼永 賢哲
【テーマコード(参考)】
4F201
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4F201AB11
4F201AJ08
4F201BA01
4F201BC02
4F201BK01
4F201BK15
4F201BK22
4F201BK25
4F201BK50
4G035AB46
4G035AE19
4G037CA18
4G037DA18
4G037EA04
4G078AA03
4G078AA26
4G078AB01
4G078AB06
4G078BA05
4G078CA05
4G078DA30
4G078EA03
4G078EA20
(57)【要約】
【課題】数千mPa・sから数万mPa・s程度(中粘度)の流体を撹拌する撹拌装置であって、接触式の液面計を備えている撹拌装置を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】フィラーと前記フィラーを分散する樹脂材料との混合物である封止材を撹拌する装置であり、内面の外周面が略円筒状の撹拌槽10と、撹拌槽10内に垂直な回転軸21をもつように配設され、撹拌槽10の内面の底面に沿って外方向に延設される基部22aと、基部22aの外方向の先端から撹拌槽10の内面の外周面に沿って上方向に延設される翼部22b及び22cとをもつ撹拌翼20と、撹拌翼20を回転駆動する駆動部50と、翼部22b及び22cより内方向に配設される接触式の液面計30と、液面計30より所定の回転方向の前側に設けられ、撹拌翼20により生じる旋回流を液面計30に当たり難くする邪魔部材40とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面の外周面が略円筒状の撹拌槽と、
前記撹拌槽内に垂直な回転軸をもつように配設され、前記撹拌槽の前記内面の底面に沿って外方向に延設される基部と、前記基部の外方向の先端から前記撹拌槽の前記内面の前記外周面に沿って上方向に延設される翼部とをもつ撹拌翼と、
前記撹拌翼を回転駆動する駆動部と、
前記翼部より内方向に配設される接触式の液面計と、
前記液面計より前記撹拌翼の回転方向の前側に設けられ、前記撹拌翼により生じる旋回流を前記液面計に当たり難くする邪魔部材と、
を有し、
フィラーと前記フィラーを分散する樹脂材料との混合物である車載用モータ用充填用樹脂組成物を撹拌する撹拌装置。
【請求項2】
前記基部の上側の最も下にある部分は、前記撹拌槽内の最大液面を基準として前記撹拌槽の底面から20%以下の範囲にあり、
前記翼部の上端は、前記最大液面を基準として前記底面から80%以上の高さにあり、
前記液面計は、前記最も下にある部分の上に配置される請求項1に記載の撹拌装置。
【請求項3】
前記邪魔部材は、前記液面計を覆うパンチングメタル製の筒部材をもつ請求項1又は2に記載の撹拌装置。
【請求項4】
前記撹拌翼と前記撹拌槽の前記内面との隙間の平均値が、6mm以下である請求項1~3のうちの何れか1項に記載の撹拌装置。
【請求項5】
前記車載用モータ用充填用樹脂組成物は、前記撹拌槽内で保持する温度で、B型粘度計により測定した粘度が、2000mPa・s以上、70000mPa・s以下である請求項1~4のうちの何れか1項に記載の撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数千mPa・sから数万mPa・s程度の流体に好適な車載用モータ用充填用樹脂材料の撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用モータは、小型化が進んでおり、高い放熱性能が要求されている。放熱が充分で無いと、出力が低下するばかりか寿命の低下にも繋がる。放熱性能を向上するため、ステータ巻線などの放熱や固定が必要な部位に、無機物粒子材料などのフィラーをエポキシ樹脂やシリコーンなどの樹脂材料中に分散した車載用モータ用充填用樹脂組成物を充填することが行われる。車載用モータ用充填用樹脂組成物を充填することにより封止材、電気的又は熱的な絶縁材、伝熱材料としての作用が期待される。分散されたフィラーの種類や形態に応じて車載用モータ用充填用樹脂組成物に種々の特性を付与することが可能にある。
【0003】
車載用モータ用充填用樹脂組成物中に分散されるフィラーはそのまま放置すると沈降して分離するために適正に撹拌する必要がある。
【0004】
車載用モータ用充填用樹脂組成物に含まれる樹脂材料は、温度により粘度が大きく変化するため、その撹拌装置には幅広い粘度に対応することが要求される。幅広い粘度に対応した撹拌装置としては、羽形状が複雑となる傾向がある(特許文献1)。
【0005】
そのため羽形状が複雑であること及び旋回流の影響で接触式の液面センサーの適用が難しい。そして、撹拌対象である流体が揮発性である場合、非接触式の液面計が使用できない
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-58027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、数千mPa・sから数万mPa・s程度(中粘度)の流体を撹拌する撹拌装置であって、接触式の液面計を備えている車載用モータ用充填用樹脂組成物の撹拌装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の車載用モータ用充填用樹脂組成物の撹拌装置は、フィラーと前記フィラーを分散する樹脂材料との混合物である車載用モータ用充填用樹脂組成物を撹拌する装置であり、内面の外周面が略円筒状の撹拌槽と、
前記撹拌槽内に垂直な回転軸をもつように配設され、前記撹拌槽の前記内面の底面に沿って外方向に延設される基部と、前記基部の外方向の先端から前記撹拌槽の前記内面の前記外周面に沿って上方向に延設される翼部とをもつ撹拌翼と、
前記撹拌翼を回転駆動する駆動部と、
前記翼部より内方向に配設される接触式の液面計と、
前記液面計より前記撹拌翼所定の回転方向の前側に設けられ、前記撹拌翼により生じる旋回流を前記液面計に当たり難くする邪魔部材と、
を有する。
【0009】
フィラーと樹脂材料とは、その比重差によって底面近くに比重が高い材料が集まることになる(一般的にはフィラーとして無機材料から構成され、樹脂材料より比重が大きいものを採用することが多いため、底面近傍にはフィラーが沈んでいることが想定される)。
【0010】
そのため、容器の底面近傍しか撹拌しない基部や、外周しか撹拌しない翼部しか存在しなくても十分な撹拌が実現できる。つまり、基部により底面近くに沈んだフィラーなどを遠心力により外方に押しやる流れを発生させ、その後、外方への流れは容器の外側に配設した翼部により撹拌することで、フィラーと樹脂材料は十分に撹拌混合されるようになる。
【0011】
その混合時に、翼部及び基部の回転により引き起こされた流体の旋回流は遠心力により外方に向かうため、液面計が配設された翼部の内方では旋回流が小さくなり、更にその小さな旋回流についても邪魔部材により遮るため、液面計に接触する車載用モータ用充填用樹脂組成物の液面は安定化されて正確な液面を測定することが可能になっている。
【発明の効果】
【0012】
上記構成を有することから本発明の車載用モータ用充填用樹脂組成物の撹拌装置は、十分な撹拌を行いながら液面の位置を高精度で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の車載用モータ用充填用樹脂組成物吐出システムの概略を示したフロー図である。
図2】本実施形態の車載用モータ用充填用樹脂組成物吐出システムにおける撹拌装置を説明する概略断面図である。
図3図2におけるA-A断面図である。
図4】本実施形態の撹拌装置に用いられる邪魔部材の拡大図である。
図5】変形態様の撹拌槽を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の車載用モータ用充填用樹脂組成物の撹拌装置について以下実施形態に基づき詳細に説明を行う。本実施形態の車載用モータ用充填用樹脂組成物の撹拌装置は、車載用モータ用充填用樹脂組成物を撹拌するために用いる装置であり、撹拌槽と撹拌翼と液面計と邪魔部材とを有する。車載用モータ用充填用樹脂組成物は、フィラーとそのフィラーを分散する樹脂材料との混合物である。車載用モータ用充填用樹脂組成物は、車載用モータのステータ及び/又はロータの巻線に充填されたり、車載用モータの搭載位置にて車載用モータの周囲に充填されたり、車載用モータに電力を供給する配線を充填したりする。車載用モータ用充填用樹脂組成物は、これらの位置に充填されることで車載用モータの必要な部位に対して外部から気体や液体を遮断する封止材として作用したり、充填した部位について外部から電気的及び/又は熱的に絶縁する絶縁材として作用したり、充填した位置と外部との間の熱伝導性を向上する伝熱材料として作用したりさせることができる。更に、フィラーが分散された樹脂材料が発揮できる特性を期待することも十分に可能である。
【0015】
フィラーとしてはアルミナ、シリカなどの無機物粒子材料、フッ素樹脂などの有機物粒子材料が採用できる。樹脂材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂や、それらの樹脂の重合前の前駆体を採用することができる。
【0016】
車載用モータは車両に搭載されるモータであり、特に車両の駆動用のモータである。車両に搭載されるモータは、使用条件が厳しいことが多く、適正な封止が要求されるものが多い。車両としては、自動車、自動二輪車、原動機付自転車などの一般的な車両、産業用車両、鉄道車両などに搭載されるモータである。
【0017】
本実施形態の撹拌装置は、車載用モータ用充填用樹脂組成物を吐出する車載用モータ用充填用樹脂組成物吐出システムにおける車載用モータ用充填用樹脂組成物を撹拌する装置として用いる場合に基づき説明する。
【0018】
本実施形態の車載用モータ用充填用樹脂組成物吐出システムは、図1に示すように、本実施形態の撹拌装置1と、撹拌装置1から流出する車載用モータ用充填用樹脂組成物を送出する循環ポンプ2と、循環ポンプ2により送出された車載用モータ用充填用樹脂組成物の一部乃至全部を外部に吐出するディスペンサ3と、撹拌装置1及び循環ポンプ2の間を連絡する第1配管4aと、循環ポンプ2及び吐出するディスペンサ3の間を連絡する第2配管4bと、ディスペンサ3及び撹拌装置1の間を連絡する第3配管4cと、撹拌装置1に車載用モータ用充填用樹脂組成物を第4配管4dを通じて供給する投入タンク7と、これらの装置内に存在する車載用モータ用充填用樹脂組成物を加熱する加熱装置(図略)と、これらの装置を制御する制御装置(図略)とを有する。加熱装置は特に限定しないが、撹拌装置1、循環ポンプ2、ディスペンサ3、第1配管4a~第4配管4d、投入タンク7のそれぞれを個別に加熱できることが好ましい。加熱装置は、車載用モータ用充填用樹脂組成物に直接接触することで車載用モータ用充填用樹脂組成物を加熱する手段を採用したり、撹拌装置1などを外部から加熱することで間接的に車載用モータ用充填用樹脂組成物を加熱する手段を採用したり、両者を組み合わせて採用したりできる。
【0019】
本実施形態の車載用モータ用充填用樹脂組成物吐出システムは、撹拌装置1内に貯留する車載用モータ用充填用樹脂組成物を循環ポンプ2により第1配管4a~第3配管4cを循環させ、必要に応じてディスペンサ3により第2配管4bから車載用モータ用充填用樹脂組成物を外部に吐出するシステムである。
【0020】
車載用モータ用充填用樹脂組成物は、シリカ粒子材料からなるフィラーとそのフィラーを分散するエポキシ樹脂前駆体である樹脂材料との混合物であり、時間の経過と共にフィラーが沈降する。そのため、撹拌装置1にて車載用モータ用充填用樹脂組成物を撹拌し、フィラーが沈降しないようにする。車載用モータ用充填用樹脂組成物が少なくなると、投入タンク7から撹拌装置1に車載用モータ用充填用樹脂組成物を補充する。
【0021】
ディスペンサ3により車載用モータ用充填用樹脂組成物を外部に吐出しない場合には、車載用モータ用充填用樹脂組成物は、撹拌装置1から流出して第1配管4a~第3配管4cを通って撹拌装置1に環流する。この流れは循環ポンプ2によって行われる。車載用モータ用充填用樹脂組成物は、粘度が温度により大きく変化するため、加熱装置により一定以上に加熱される。
【0022】
車載用モータ用充填用樹脂組成物は、加熱によりエポキシ樹脂前駆体が重合して固化するため、粘度が十分に低下できる温度においての重合速度が許容できる範囲で低く且つ硬化させる際の加熱により十分な速度で重合・硬化が進行するように、エポキシ樹脂前駆体の種類が選択される。車載用モータ用充填用樹脂組成物の粘度として好ましいのは、B型粘度計により測定した粘度が、2000mPa・s以上、70000mPa・s以下である。
【0023】
循環ポンプ2としては、ダイヤフラムポンプ、チューブポンプ、プランジャーポンプ、ベローズポンプ、電磁定量ポンプなどが採用できる。ディスペンサ3としては、モーノディスペンサ、ダイヤフラムポンプ、チューブポンプ、プランジャーポンプ、ベローズポンプ、電磁定量ポンプなどが採用できる。
【0024】
撹拌装置1は、図2に示すように、撹拌槽10と撹拌翼20と液面計30と邪魔部材40と駆動部(モータ50)とこれらを制御する制御装置(図略)を有する。
【0025】
撹拌槽10は、外周面が略円筒状の槽体である。撹拌槽10の上部は、蓋体11により封止できる。蓋体11の中央にはモータ50が固定されており、蓋体11の中央下部から回転軸21が下方に突出する。モータ50は減速機(図略)を有し、回転動力を出力軸(図略)から出力する。
【0026】
撹拌槽10内では撹拌翼20が回転駆動されるため、形状が円筒状から離れるとそれだけ撹拌されない部分が増加する。そのため、撹拌槽10の外周面を円筒に近づけることにより、できるだけ撹拌されない部分が少なくなる。撹拌槽10の底面の形状は特に限定されず、球面の一部、下方に向けて縮径される円錐形、平面などが挙げられる。
【0027】
撹拌槽10には、底部中央付近に流出口(図略)、外周面上方に環流口12及び投入口13をもつ。流出口には第1配管4aの一端部が接続され、車載用モータ用充填用樹脂組成物が外部方向Fに流れ、外部に流出していく。環流口には第3配管4cの一端部が接続され、車載用モータ用充填用樹脂組成物が内部方向Rに向けて流れ、外部から撹拌槽10内に向けて環流してくる。
【0028】
撹拌翼20は、回転軸21と基部22aと翼部22b及び22cとをもつ。回転軸21は撹拌槽10の中央付近に上下方向に延びるように配設され、蓋体11の上部に固定されたモータ50の出力軸に同軸に接続されている。回転軸21の先端近傍(図面下方)には、基部22aが固定されている。特に基部22aが回転軸21に固定される位置は、撹拌槽10内の最大液面を基準として撹拌槽の底面から20%以下の範囲にすることが好ましい。
【0029】
基部22aは、回転軸21に中央部分で固定され且つその固定部分から外方に向けて撹拌槽10の底面に沿って延設される。基部22aの両方の先端から撹拌槽10の外周面に沿って翼部22bが上方向に延設される。
【0030】
撹拌翼20のうち、基部22aと翼部22b及び22cの外形は、撹拌槽10の内面形状に概ね倣った形状になっている。そのため、撹拌槽10内に貯留された車載用モータ用充填用樹脂組成物を効率よく撹拌することができる。撹拌翼20と撹拌槽10の内面との隙間の平均値が、6mm以下であることが好ましく、4mm以下であることが更に好ましい。
【0031】
撹拌翼20の撹拌方向は特に限定されないが、撹拌翼20の撹拌方向により後述する邪魔部材40の適正な形状が異なるため同一の装置については同一の撹拌方向を採用することが好ましい。
【0032】
基部22aの上側の最も下にある部分(図2においてはW、後述する図5においてはX)は、撹拌槽10内の最大液面を基準として撹拌槽10の底面から20%以下の範囲にあることが好ましい。この位置が低いほど液面計30を深く挿入することが可能になる。翼部22b及び22cの上端は、最大液面を基準として撹拌槽10の底面から80%以上にすることが好ましい。
【0033】
液面計30は、静電容量式などの車載用モータ用充填用樹脂組成物に接触することで液面の高さを測定するセンサである。液面計30は、図3に示すように、翼部22b及び22cが回転しても干渉しない位置に配設される。そして翼部22b及び22cの回転により上方から見て反時計回りに発生する車載用モータ用充填用樹脂組成物の旋回流が直接液面計30にあたらないように、邪魔部材40を液面計30に対して撹拌翼20の回転方向の前側(図3では時計回り方向)に配設する。邪魔部材40は、板状邪魔部材41と筒状邪魔部材42とをもつ。板状邪魔部材41は、図4に示すように、水平方向の断面がL字状になるように折り曲げられた上下方向に長い方形の部材である。そして、最大液面の少し上から液面計30の最下部の少し下までの範囲を液面計30の周囲を覆う、パンチングメタルから構成された筒状邪魔部材42にて囲っている。パンチングメタルの孔径は、1mm~10mm程度にすることで、車載用モータ用充填用樹脂組成物の通過はある程度許容しながら、車載用モータ用充填用樹脂組成物が液面計30にぶつかって液面計30が測定する見かけの車載用モータ用充填用樹脂組成物の液面が上昇することが抑制できる。
【0034】
・変形態様
上記実施形態の撹拌装置における撹拌翼20に代えて、図5に示すような撹拌翼25を採用することができる。撹拌翼25は、回転軸26、基部27a及び27b、翼部27c及び27dをもつ。回転軸26は、回転軸21と比べて短く、そのかわりに基部27a及び27bの上下方向の幅が大きくなっている。但し、基部27a及び27bの全体において上下方向の幅が大きくなっているのではなく、中央近傍のみ幅が大きくなっており、基部27a及び27bの上側の最も下にある部分Xの位置はできるだけ低くなっている。
【符号の説明】
【0035】
1…撹拌装置 2…循環ポンプ 3…ディスペンサ 4a~4d…第1配管~第4配管
10…撹拌槽 11…蓋体
20、25…撹拌翼 21、26…回転軸 22a、27a、27b…基部 22b、22c、27c、27d…翼部
30…液面計
51、52…邪魔部材(51…板状邪魔部材、52…筒状邪魔部材)
50…モータ(駆動部)
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面の外周面が略円筒状の撹拌槽と、
前記撹拌槽内に垂直な回転軸をもつように配設され、前記撹拌槽の前記内面の底面に沿って外方向に延設される基部と、前記基部の外方向の先端から前記撹拌槽の前記内面の前記外周面に沿って上方向に延設される翼部とをもつ撹拌翼と、
前記撹拌翼を回転駆動する駆動部と、
前記翼部より内方向に配設される接触式の液面計と、
前記液面計より前記撹拌翼の回転方向の上流側に設けられ、前記撹拌翼により生じる旋回流を前記液面計に当たり難くする邪魔部材と、
を有し、
前記邪魔部材は、前記液面計を覆うパンチングメタル製の筒部材をもつ、
フィラーと前記フィラーを分散する樹脂材料との混合物である車載用モータ用充填用樹脂組成物を撹拌する撹拌装置。
【請求項2】
前記基部の上側の最も下にある部分は、前記撹拌槽内の最大液面を基準として前記撹拌槽の底面から20%以下の範囲にあり、
前記翼部の上端は、前記最大液面を基準として前記底面から80%以上の高さにあり、
前記液面計は、前記最も下にある部分の上に配置される請求項1に記載の撹拌装置。
【請求項3】
前記撹拌翼と前記撹拌槽の前記内面との隙間の平均値が、6mm以下である請求項1又は2に記載の撹拌装置。
【請求項4】
前記車載用モータ用充填用樹脂組成物は、前記撹拌槽内で保持する温度で、B型粘度計により測定した粘度が、2000mPa・s以上、70000mPa・s以下である請求項1~のうちの何れか1項に記載の撹拌装置。