(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014718
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】紫外線治療器および光源
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
A61N5/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118836
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】柴田 弘
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA03
4C082PC01
4C082PJ01
(57)【要約】
【課題】エキシマランプと比較して、同等かそれ以上の治療効果と、同等かそれ以下の副作用の少なくとも一方の達成を可能にする、LEDを備えた光源と、当該光源を用いた紫外線治療器を提供する。
【解決手段】紫外線治療器は紫外線を照射する光源部を備え、該光源部は少なくとも1つのLEDで構成され、該LEDは、波長250nm以上400nm以下の波長域での発光スペクトルにおいて、前記波長域の積分強度を1として、前記波長域の積分強度に対する波長250nm以上298nm以下の積分強度の比が0.088以下であり、波長250nm以上298nm以下の区間の積分強度に対する波長308nm以上313nm以下の区間の積分強度の比が5.2以上であるような発光スペクトルを放射するように構成されている。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射する光源部を備えた紫外線治療器であって、前記光源部は少なくとも1つのLEDで構成され、前記LEDは、
波長250nm以上400nm以下の波長域での発光スペクトルにおいて、前記波長域の積分強度を1として、
前記波長域の積分強度に対する波長250nm以上298nm以下の積分強度の比が0.088以下であり、
波長250nm以上298nm以下の区間の積分強度に対する波長308nm以上313nm以下の区間の積分強度の比が5.2以上であるような発光スペクトルを放射するように構成されている
ことを特徴とする紫外線治療器。
【請求項2】
紫外線を照射する光源部を備えた紫外線治療器であって、前記光源部は少なくとも1つのLEDで構成され、前記LEDは、
波長250nm以上400nm以下の波長域での発光スペクトルにおいて、前記波長域の積分強度を1として、
波長298nmの強度が0.0078以下であり、
波長295nmの強度が0.0055以下であり、
波長290nmの強度が0.0033以下であり、
波長280nmの強度が0.0015以下であり、
波長250nm以上298nm以下の区間の積分強度に対する波長308nm以上313nm以下の区間の積分強度の比が5.2以上であるような発光スペクトルを放射するように構成されている
ことを特徴とする紫外線治療器。
【請求項3】
紫外線を照射する光源部を備えた紫外線治療器であって、前記光源部は少なくとも1つのLEDで構成され、前記LEDは、
波長250nm以上400nm以下の波長域での紅斑紫外線スペクトルE
CIEにおいて、
前記波長域の積分値に対する波長250nm以上298nm以下の区間の積分値の比が0.44以下であるような発光スペクトルを放射するように構成されており、
前記紅斑紫外線スペクトルE
CIEは、
で表され、E
λは、前記LEDから照射される紫外線の分光放射照度であり、S
erは、
で表される紅斑作用スペクトルである
ことを特徴とする紫外線治療器。
【請求項4】
紫外線を照射する光源部を備えた紫外線治療器であって、前記光源部は少なくとも1つのLEDで構成され、前記LEDは、
波長250nm以上400nm以下の波長域での紅斑紫外線スペクトルE
CIEにおいて、
前記波長域の積分値に対する波長250nm以上298nm以下の区間の積分値の比が0.44以下であるような発光スペクトルを放射するように構成されており、
前記紅斑紫外線スペクトルE
CIEは、
で表され、Pは、波長250nm以上400nm以下の波長域で面積規格化した前記LEDの発光スペクトルであり、S
erは、
で表される紅斑作用スペクトルである
ことを特徴とする紫外線治療器。
【請求項5】
前記紅斑紫外線スペクトルECIEにおいて、波長250nm以上298nm以下の区間の積分値に対する波長308nm以上313nm以下の区間の積分値の比が0.47以上であるような発光スペクトルを放射するように構成されている
ことを特徴とする請求項3または4に記載の紫外線治療器。
【請求項6】
前記LEDの発光スペクトルのピーク波長は、308nm以上313nm以下の間に位置することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の紫外線治療器。
【請求項7】
前記LEDの発光スペクトルの半値全幅は、20nm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の紫外線治療器。
【請求項8】
被照射面におけるスペクトルが、請求項1から4のいずれか1項に記載のスペクトルとなるように構成された紫外線治療器。
【請求項9】
紫外線を照射する光源であって、前記光源は少なくとも1つのLEDで構成され、前記LEDは、
波長250nm以上400nm以下の波長域での発光スペクトルにおいて、前記波長域の積分強度を1として、
前記波長域の積分強度に対する波長250nm以上298nm以下の積分強度の比が0.088以下であり、
波長250nm以上298nm以下の区間の積分強度に対する波長308nm以上313nm以下の区間の積分強度の比が5.2以上であるような発光スペクトルを放射するように構成されている
ことを特徴とする光源。
【請求項10】
紫外線を照射する光源であって、前記光源は少なくとも1つのLEDで構成され、前記LEDは、
波長250nm以上400nm以下の波長域での発光スペクトルにおいて、前記波長域の積分強度を1として、
波長298nmの強度が0.0078以下であり、
波長295nmの強度が0.0055以下であり、
波長290nmの強度が0.0033以下であり、
波長280nmの強度が0.0015以下であり、
波長250nm以上298nm以下の区間の積分強度に対する波長308nm以上313nm以下の区間の積分強度の比が5.2以上であるような発光スペクトルを放射するように構成されている
ことを特徴とする光源。
【請求項11】
紫外線を照射する光源であって、前記光源は少なくとも1つのLEDで構成され、前記LEDは、
波長250nm以上400nm以下の波長域での紅斑紫外線スペクトルE
CIEにおいて、
前記波長域の積分値に対する波長250nm以上298nm以下の区間の積分値の比が0.44以下であるような発光スペクトルを放射するように構成されており、
前記紅斑紫外線スペクトルE
CIEは、
で表され、E
λは、前記LEDから照射される紫外線の分光放射照度であり、S
erは、
で表される紅斑作用スペクトルである
ことを特徴とする光源。
【請求項12】
紫外線を照射する光源であって、前記光源は少なくとも1つのLEDで構成され、前記LEDは、
波長250nm以上400nm以下の波長域での紅斑紫外線スペクトルE
CIEにおいて、
前記波長域の積分値に対する波長250nm以上298nm以下の区間の積分値の比が0.44以下であるような発光スペクトルを放射するように構成されており、
前記紅斑紫外線スペクトルE
CIEは、
で表され、Pは、波長250nm以上400nm以下の波長域で面積規格化した前記LEDの発光スペクトルであり、S
erは、
で表される紅斑作用スペクトルである
ことを特徴とする光源。
【請求項13】
前記紅斑紫外線スペクトルECIEにおいて、波長250nm以上298nm以下の区間の積分値に対する波長308nm以上313nm以下の区間の積分値の比が0.47以上であるような発光スペクトルを放射するように構成されている
ことを特徴とする請求項11または12に記載の光源。
【請求項14】
前記LEDの発光スペクトルのピーク波長は、308nm以上313nm以下の間に位置することを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の光源。
【請求項15】
前記LEDの発光スペクトルの半値全幅は、20nm以下であることを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載の光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とした紫外線治療技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光線治療として、UVA(波長320nm以上400nm以下)、UVB(波長280nm以上320nm以下)といった波長域の紫外線を用いる紫外線治療が存在する。紫外線治療とは、紫外線照射により免疫抑制を図り、治療効果を得るものである。
紫外線によって皮膚疾患を治療する紫外線治療器として、例えば特許文献1には、紫外線源としてランプ光源を備えた紫外線治療器が開示されている。
【0003】
一方、近時ではLED(Light Emitting Diode)の開発が著しく、一般照明のみならず、多くの工業機械機器、産業用機械においても、ランプからLEDへ光源の切り替えが進んでいる。また、LEDは、可視光域にとどまらず紫外領域においても高出力化が進み、医療分野においても光源のLED化が期待されている。
例えば、波長308nm以上313nm以下の波長域の紫外線を用いる中波紫外線療法による光線治療器では、光源として蛍光灯やメタルハライドランプ、エキシマランプなどが使用されているが、近年、LEDを光源とした紫外線発光素子(UVLED)を用いた紫外線治療器も開発されている。
LEDを光源として用いた場合、概して、ランプの電源装置よりも簡単な回路構成を実現でき、装置の小型化、軽量化が可能である。
なお、以下の説明においては、紫外線および紫外線を含む光を、単に「光」と呼ぶこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
UVAやUVBといった波長域の紫外線が皮膚へ及ぼす影響は、当該紫外線の波長毎に異なる。一般に、紫外線治療器においては、光源から放射される光の波長に応じて、患部に対して副作用の出ない範囲で光を照射して、治療効果を得るようにしている。
従来、発光スペクトル(放射スペクトル)のピーク波長が308nmの光を放射するエキシマランプを光源として用いた紫外線治療器が知られている。ところが、光源として、エキシマランプと同等のピーク波長のLEDを用いた場合、従来のエキシマランプを用いた紫外線治療器と比較して、治療効果が低かったり、副作用(紅斑の発生)が多くなったりすることがあった。
【0006】
このような課題に鑑み、本発明は、エキシマランプと比較して、同等かそれ以上の治療効果と、同等かそれ以下の副作用の少なくとも一方の達成を可能にする、LEDを備えた光源と、当該光源を用いた紫外線治療器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る紫外線治療器の一態様は、紫外線を照射する光源部を備えた紫外線治療器であって、前記光源部は少なくとも1つのLED(Light Emitting Diode)で構成され、前記LEDは、波長250nm以上400nm以下の波長域での発光スペクトルにおいて、前記波長域の積分強度を1として、 前記波長域の積分強度に対する波長250nm以上298nm以下の積分強度の比が0.088以下であり、波長250nm以上298nm以下の区間の積分強度に対する波長308nm以上313nm以下の区間の積分強度の比が5.2以上であるような発光スペクトルを放射するように構成されている。
この場合、従来のエキシマランプを光源とした紫外線治療器と比較して、治療効果が同等かそれ以上で、かつ副作用リスクが同等かそれ以下の、LEDを光源とした紫外線治療器の提供が可能となる。
【0008】
また、本発明に係る紫外線治療器の紫外線照射方法の一態様は、紫外線を照射する光源部を備えた紫外線治療器であって、前記光源部は少なくとも1つのLEDで構成され、前記LEDは、波長250nm以上400nm以下の波長域での発光スペクトルにおいて、前記波長域の積分強度を1として、波長298nmの強度が0.0078以下であり、波長295nmの強度が0.0055以下であり、波長290nmの強度が0.0033以下であり、波長280nmの強度が0.0015以下であり、波長250nm以上298nm以下の区間の積分強度に対する波長308nm以上313nm以下の区間の積分強度の比が5.2以上であるような発光スペクトルを放射するように構成されている。
この場合、従来のエキシマランプを光源とした紫外線治療器と比較して、治療効果が同等かそれ以上で、かつ副作用リスクが同等かそれ以下の、LEDを光源とした紫外線治療器の提供が可能となる。
【0009】
また、本発明に係る紫外線治療器の紫外線照射方法の一態様は、紫外線を照射する光源部を備えた紫外線治療器であって、前記光源部は少なくとも1つのLEDで構成され、前記LEDは、波長250nm以上400nm以下の波長域での紅斑紫外線スペクトルE
CIEにおいて、前記波長域の積分値に対する波長250nm以上298nm以下の区間の積分値の比が0.44以下であるような発光スペクトルを放射するように構成されており、前記紅斑紫外線スペクトルE
CIEは、
で表され、E
λは、前記LEDから照射される紫外線の分光放射照度であり、S
erは、
で表される紅斑作用スペクトルである。
また、前記紅斑紫外線スペクトルE
CIEは、
で表され、Pは、波長250nm以上400nm以下の波長域で面積規格化した前記LEDの発光スペクトルである。
また、上記の紫外線治療器において、前記紅斑紫外線スペクトルE
CIEにおいて、波長250nm以上298nm以下の区間の積分値に対する波長308nm以上313nm以下の区間の積分値の比が0.47以上であるような発光スペクトルを放射するように構成されてもよい。
この場合、従来のエキシマランプを光源とした紫外線治療器と比較して、治療効果が同等かそれ以上で、かつ副作用リスクが同等かそれ以下の、LEDを光源とした紫外線治療器の提供が可能となる。
【0010】
また、上記の紫外線治療器において、前記LEDの発光スペクトルのピーク波長は、308nm以上313nm以下の間に位置しうる。この場合、中波紫外線治療により適した紫外線治療器となる。
また、上記の紫外線治療器において、前記LEDの発光スペクトルの半値全幅は、20nm以下でありうる。この場合、副作用リスクの少ない発光スペクトルのLEDを光源とした紫外線治療器の提供が可能となる。
また、上記の紫外線治療器は、上記特徴のスペクトルを有する光を被照射面に照射(受光)させることができるよう構成されうる。この場合、光源部と同じもしくは同様のスペクトル特性を有する光を被照射面に照射することができ、被照射面において、従来と比較して治療効果の向上および/または副作用の低減が確認されうる。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る光源の一態様は、上記発光スペクトルを放射するLEDで構成された光源である。
この場合、エキシマランプと比較して、治療効果が同等かそれ以上で、かつ副作用リスクが同等かそれ以下の、LEDで構成された光源の提供が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、エキシマランプと比較して、同等かそれ以上の治療効果と、同等かそれ以下の副作用の少なくとも一方の達成を可能にする、LEDを備えた光源と、当該光源を用いた紫外線治療器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】CIEの紅斑作用スペクトルを示すグラフである。
【
図2A】エキシマランプの発光スペクトル特性を示すグラフである。
【
図2B】
図2Aを拡大した、エキシマランプの発光スペクトルの特性を示すグラフである。
【
図3A】CIEの紅斑作用スペクトルとエキシマランプの発光スペクトル特性を示すグラフである。
【
図3B】紅斑紫外線スペクトル積分値E
CIEのグラフである。
【
図4】紫外線治療器の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、紫外線を含む光として、例えばUVB(波長280nm以上320nm以下)の領域の紫外線を含む光を放射する光源を有する治療具を備える紫外線治療器について説明する。
【0015】
<光の波長と紅斑のできやすさとの関係>
UVB領域の紫外線を人体の皮膚に当てると、副作用として紅斑が発生しうる。紅斑とは、毛細血管の拡張などが原因で皮膚表面に発赤を伴った状態をいう。皮膚に紅斑が発生する最低の紫外線照射量を最少紅斑量(MinimalErythemaDose:MED)という。なお、MEDの単位は、mJ/cm2である。日焼けのしやすさに個人差があるように、紅斑の出やすさ、即ちMEDにも個人差がある。
また、紫外線による紅斑の出やすさ、つまり紫外線による人体への影響度は、当該紫外線の波長により異なる。波長毎の人体への相対影響度については、国際照明委員会(CIE:Commission Internationale de l'Eclairage)により紅斑作用スペクトルとして定義されている。
【0016】
図1は、紅斑作用スペクトルS
erを示すグラフである。
図1において、横軸は波長λ[nm]を表し、縦軸は相対影響度を表す。紅斑作用スペクトルS
erは、250nm以上400nm以下の波長域において定義されており、下記(1)式に定義式を示すように、波長250nm以上298nm以下の光が人体の皮膚に与える影響を1とした場合の、各波長の相対影響度として示される。
【0017】
【0018】
図1に示すグラフの概形から、波長が短い方が人体の影響が大きく、紅斑が出やすい(副作用リスクが高い)ということがわかる。具体的には、UVBの領域よりも長い波長の光、厳密に上記(1)式を適用するのであれば波長328nmよりも長波長の光は、皮膚にほとんど影響を及ぼさない。一方、波長が328nm以下になると、皮膚へ影響が生じ始め、その影響は短波長になるほど増加し、波長が298nm以下の光は、人体への影響度(紅斑のできやすさ)が最大である。すなわち、波長が298nm以下の光は、人体への副作用リスクが最も高い。
【0019】
一方、本発明者らは、光源として、エキシマランプと同等のピーク波長のLEDを用いて、紫外線治療器を試作したところ、ピーク波長が約308nmのLEDであっても、当該LEDを製造する会社の違いにより、また同じ会社であってもロットの違い等(個体差)により、ピーク波長を中心とする長波長側と短波長側の対称性や、ピーク波長の半値幅が異なることを発見した。そして、そのために、ピーク波長が約308nmのLEDを用いても、従来のエキシマランプを用いた紫外線治療器と比較して、治療効果が低かったり、副作用(紅斑の発生)が多くなったりすることを発見した。
【0020】
以上の点から、本実施形態では、
図1に示した紅斑作用スペクトルの特徴を考慮し、エキシマランプと比較して、同等かそれ以上の治療効果および/または副作用が同等かそれ以下になるようにLEDを選定すること、およびそのように選定したLEDを用いた紫外線治療器を構成することを意図する。以下では、エキシマランプの特性を考慮して、紫外線治療器に使用するLEDを選定する実施形態について説明する。
【0021】
<エキシマランプの特性を考慮したLEDの選定基準>
図2Aと
図2Bに、ピーク波長が308nmのエキシマランプの発光スペクトル特性を示すグラフを示す。
図2Aは、エキシマランプの波長250nm以上400nm以下の発光スペクトルを示すグラフを示す。縦軸は、波長250nm以上400nm以下の発光スペクトルを、全波長域(波長250nm以上400nm以下)の総発光スペクトルを用いて正規化した発光スペクトル(強度)を示している。当該正規化した発光スペクトルを、面積規格化発光スペクトルとも称する。当該面積規格化発光スペクトルにおいて、当該全波長域の積分強度(所与の波長域に対する面積規格化発光スペクトルが占める面積)は1となっている。
また、
図2Bは、
図2Aのグラフにおける波長300nm以下の部分を拡大したグラフを示す。
【0022】
図2Aと
図2Bのグラフから、ピーク波長が308nmのエキシマランプは、人体への影響度が最大である波長298nm以下の光を放射することがわかる。
また、発明者らは、
図2Aと
図2Bのグラフから、波長250nm以上298nm以下の積分強度は、全波長域(波長250nm以上400nm以下)の積分強度の8.8%を占めている、すなわち、全波長域における波長250nm以上298nm以下の積分強度の比が0.088であることを確認した。
【0023】
このことから、LEDが放射可能な全放射域(例えば波長250nm以上400nm以下を含む波長域)において、該全波長域の積分強度に対する波長250nm以上298nm以下の積分強度の比が、0.088以下となるLEDを選定すればよいことが確認される(基準1)。これにより、副作用リスクが最も高い波長298nm以下の短波長成分の光をエキシマランプより少なく放出可能なLEDの選定が可能となる。
【0024】
さらに、前述の基準1は、波長250nm以上298nm以下の波長域を選定の指標としたが、副作用リスクが最も高い波長298nm以下の短波長成分の光をエキシマランプより少なく放出可能なLEDとして、単一の波長の指標からみた選定基準を考える。
図2Aと
図2Bのグラフから、エキシマランプでは、波長298nmの面積規格化スペクトル強度が0.0078(
図2Bの点P1に対応)、波長295nmの面積規格化スペクトル強度が0.0055(
図2Bの点P2に対応)、波長290nmの面積規格化スペクトル強度が0.0033(
図2Bの点P3に対応)、波長280nmの面積規格化スペクトル強度が0.0015(
図2Bの点P4に対応)であることがわかる。
よって、副作用リスクが最も高い波長298nm以下の短波長成分の光をエキシマランプより少なく放出可能なLEDの選定基準として、上記の基準1に代えて、もしくは基準1に加えて、次の(1)、(2)、(3)、および(4)を満たす基準である基準2を設定することができる。
【0025】
(1)LEDの面積規格化発光スペクトルにおいて、波長298nmの強度が0.0078(
図2Bの点P1に対応)以下であること。
(2)LEDの面積規格化発光スペクトルにおいて、波長295nmの強度が0.0055(
図2Bの点P2に対応)以下であること。
(3)LEDの面積規格化発光スペクトルにおいて、波長290nmの強度が0.0033(
図2Bの点P3に対応)以下であること。
(4)LEDの面積規格化発光スペクトルにおいて、波長280nmの強度が0.0015(
図2Bの点P4に対応)以下であること。
言い換えると、波長250nm以上300nm以下において、
図2Bの点P1~P4を通るグラフ(各点を結ぶ線(曲線))以下の強度特性を持つ発光スペクトルであればよい。
【0026】
ところで、中波紫外線治療においては、波長308nm以上313nm以下の波長域の光を治療のために用いる。発明者らは、エキシマランプの場合、
図2Aに示すグラフから、ランプからの出射光のうち、波長308nm以上313nm以下の波長域の積分強度は、全波長域(波長250nm以上400nm以下)の積分強度の46%を占めることを確認した。
また、前述のように、エキシマランプの場合、波長250nm以上298nm以下の積分強度は、全波長域(波長250nm以上400nm以下)の積分強度の8.8%を占めている。
【0027】
このことから、副作用リスクと治療効果とのバランスを考えた場合、全波長域(波長250nm以上400nm以下)に対して、波長250nm以上298nm以下の積分強度が8.8%以下、かつ波長308nm以上313nm以下の積分強度が46.0%以上となる発光スペクトルを有するLEDを選定することが有効である。
すなわち、発光スペクトルにおいて、波長域250nm以上298nm以下の積分強度に対する、波長域308nm以上313nm以下の積分強度の比が5.2(=46.0/8.8)以上となるLEDを選定すればよい(基準3)。このように選定されたLEDを用いることにより、エキシマランプを用いる場合よりも副作用リスクが少なく、治療効果の高い治療器を構成できる。
【0028】
以上のことから、基準1と基準3とを満たすLED、または基準2と基準3とを満たすLEDを選定することにより、エキシマランプを光源として使用する場合と比較して副作用リスクが同等以下であり、かつ治療効果が同等以上の紫外線治療器を提供することが可能となる。
なお、副作用リスク軽減の観点から、上記の基準2は、基準1に追加される基準となりうる。すなわち、基準1、基準2、および基準3を満たすLEDを選定してもよい。
【0029】
次に、紫外線による人体への影響度を定量的に考える。
紫外線による人体への総合的な影響度は、照射される紫外線の分光放射照度(光の波長ごとの放射照度)E
λと紅斑作用スペクトルS
erとの積を、250nm以上400nm以下の区間で波長積分することにより得られる。紅斑作用スペクトルS
erは、(1)式と
図1に示す通りである。
このようにして求められる人体への影響度を、紅斑紫外線量I
CIEといい、下記(2)式のように表される。
【0030】
【数2】
紅斑紫外線量I
CIEの値が大きいほど、紅斑の出やすい光である。
【0031】
続いて、紅斑紫外線量ICIEのうち、光源スペクトルの違いによる紅斑のできやすさの違いを考える。
面積規格化した分光放射照度Eλに、紅斑作用スペクトルSerを乗じた、紅斑紫外線スペクトルECIEは、上記(2)式と関連して、下記(3)式のように求められる。
【0032】
【数3】
上記(3)式において、Pは面積規格化した光源スペクトルを表す。
【0033】
紅斑作用スペクトルSerは、波長による紅斑の出やすさを示し、分光放射照度Eλは、波長による強度を示すものであるから、これらを乗じた値である紅斑紫外線スペクトルECIEは、分光放射照度Eλをもつ光の、波長毎の紅斑の出やすさ(人体への相対影響度)を示す。すなわち、紅斑紫外線スペクトルECIEの積分値が大きいほど、紅斑が生じやすいスペクトルを有する光であることを意味する。なお、紅斑紫外線スペクトルECIEは、面積規格化した光源スペクトルをもとに算出できるため、分光放射照度Eλに限らず任意の光源スペクトルから求めることができる。
【0034】
式(3)が示す特性を、グラフを参照して説明する。
図3Aに、紅斑作用スペクトルとエキシマランプの発光スペクトル特性を示すグラフを示し、
図3Bに、エキシマランプにおける、(3)式に示す紅斑紫外線スペクトルE
CIEのグラフを示す。
図3Aにおいて、実線は、
図1に示した紅斑作用スペクトルを示すグラフに対応し、点線は、
図2Aに示した面積規格化発光スペクトルに対応する。
(3)式における、面積規格化した光源スペクトルPのグラフは、
図2Aに示した面積規格化発光スペクトルに対応する。よって、
図3Bに示す紅斑紫外線スペクトルE
CIEのグラフは、
図3Aの実線のグラフと点線のグラフが示す値を掛け合わせたものに相当する。
【0035】
エキシマランプと比べて副作用リスクの低減を図るには、上記(1)式を参照すると、波長が298nm以下の波長域の紅斑紫外線量が小さい光源を選定することが求められる。
図3Bから、本発明者らは、エキシマランプの場合、紅斑紫外線スペクトルE
CIEにおいて、波長250nm以上400nm以下の区間の積分値に対する、250nm以上298nm以下の区間の積分値の比は、0.44であることを確認した。このことから、治療効果がなく副作用リスクが最大となる光の寄与を、エキシマランプと同等もしくはそれよりも低減するためには、当該比が0.44以下となるLEDを選定すればよいことがわかる(基準4)。
【0036】
中波紫外線治療においては、波長308nm以上313nm以下の波長域の光を治療のために用いるが、上記(1)式からも明らかなように、エキシマランプでは、治療に有効な当該波長域の光にも、紅斑作用が生じている。副作用が主となる波長(298nm以下)の光による紅斑作用に対して、治療効果を有する波長(308nm以上313nm以下)の光による紅斑作用の比が、より大きい光源を選ぶことで、より治療効果(治療効率)が高い装置を構成することができる。
エキシマランプとの比でこれを実現するためには、紅斑紫外線スペクトルECIEにおいて、250nm以上298nm以下の積分値に対する308nm以上313nm以下の積分値の比が、0.47以上となるLEDを選べばよい(基準5)。
【0037】
ここまでの説明において、紫外線治療器の光源として用いるLEDの選定基準として、いくつかの基準について説明した。これらの基準において、基準1、基準2、基準3、基準4、または基準5を満たすLEDを用いることにより、エキシマランプと同等かそれ以上の治療効果と、同等かそれ以下の副作用の少なくとも一方を達成する紫外線治療器を構成することが可能となる。
以下、このような、エキシマランプと同等かそれ以上の治療効果と、同等かそれ以下の副作用の少なくとも一方を達成することが可能なLEDの選定基準(上記単一の基準または基準の組み合わせ)を、LED選定基準と称する。
【0038】
なお、上記説明では、LED自体の発光スペクトルについて説明したが、例えば298nm以下の少なくとも一部の波長をフィルタリング可能なフィルタなどの光学素子を組み合わせて、光源として用いてもよい。すなわち、LEDと、そのようなフィルタを用いることにより、LED選定基準を満たすような発光スペクトルが構成されるようにしてもよい。
【0039】
また、上記説明では、おもに紫外線照射側としてのLEDの選定について述べたが、LED選定基準を満たすようなスペクトルを有する光を、人体の皮膚といった被照射面に照射(受光)させることが可能な紫外線治療器を構成すればよい。言い換えると、被照射面におけるスペクトルが、LED選定基準を満たすスペクトルとなるように、紫外線治療器を構成すればよい。紫外線治療器の光源部におけるスペクトルと被照射面におけるスペクトルは、紫外線治療器と被照射面の位置関係(下記参照)等から、同じもしくは同様のスペクトル特性を有する。よって、LED選定基準を満たすようなLEDを選定することにより、被照射面におけるスペクトルも、発光スペクトルと同じ(同様な)スペクトルとなる。
【0040】
また、LED選定基準を満たす発光スペクトルのうち、ピーク波長が308nm以上313nm以下の間に位置する発光スペクトルをさらに選定してもよい。これにより、中波紫外線治療により適したLEDの選定が可能となる。
また、LED選定基準を満たす発光スペクトルのうち、半値全幅が20nm以下である発光スペクトルをさらに選定してもよい。すなわち、発光スペクトルの拡がりが所定範囲のスペクトルのLEDを用いることにより、副作用リスクが最も高い波長298nm以下の短波長成分が少ない発光スペクトルの光を放射するLEDを選定することが可能となる。
【0041】
<性能評価>
続いて、上記のLED選定基準を満たすLEDについての性能評価について説明する。一般に、紫外線治療器においてLEDを光源として用いる場合、複数(例えば20個~30個程度)のLEDを用いる。本実施形態では、紫外線治療器において、当該複数のLEDから放射される光(もしくは被照射面で受ける光)が上記のLED選定基準を満たすように構成される。したがって、当該複数のLEDのすべてがLED選定基準を満たさなくてもよい(少なくとも1つのLEDがLED選定基準を満たすことにより、紫外線治療器として放射される光がLED選定基準を満たせばよい)。あるいは、当該紫外線治療器から放射された光が、被照射面においてLED選定基準を満たせばよい。
【0042】
表1に、LED選定基準を満たすLEDを用いた紫外線治療器と、エキシマランプを用いた紫外線治療器のそれぞれで、紅斑が生じる最少照射量(MED)を測定した結果を示す。具体的には、表1は、紫外線治療器の光源としてエキシマランプを用いた場合とLEDを用いた場合とでの、照射量[mJ/cm2]と耐副作用の評価結果を示す。耐副作用の評価とは、ある照射量で照射した場合に紅斑ができなかった場合を「〇」とし、紅斑ができた場合を「×」としている。
【0043】
【0044】
表1の(a)から、エキシマランプを用いた場合は、220[mJ/cm2]で紅斑が確認されており、MEDは220mJ/cm2であることがわかる。一方、表1の(b)から、LED選定基準を満たすLEDを用いた場合は、400[mJ/cm2]で紅斑が確認されており、MEDは400mJ/cm2であることがわかる。
この結果から、LED選定基準に基づき選定したLEDを用いることで、従来のエキシマランプを用いる場合よりも、紅斑作用(副作用)が生じにくくなっていることが確認された。
【0045】
次に、表1の結果から求められたMEDのうち、治療に有効な波長域(308nm以上313nm以下)の照射量を算出する。
治療に有効な波長域の照射量は、表1に示す評価結果により得られたMEDと、放射される全波長域における治療に有効な波長(波長308nm以上313nm以下)の含有比から求められる。エキシマランプの場合、当該治療に有効な波長の含有比は、上述したように46%である。また、本性能評価に用いたLEDの場合、当該治療に有効な波長の含有比は、28%であったとする。
【0046】
このような条件のもと、1MEDのうち治療に有効な波長域は、エキシマランプの場合、
220mJ/cm2×0.46=101mJ/cm2
と、算出することができる。
また、1MEDのうち治療に有効な波長域は、LEDの場合、
400mJ/cm2×0.28=112mJ/cm2
と、算出することができる。
この結果から、LED選定基準を満たすようにLEDを選定することで、治療効果を有する波長域の光を、エキシマランプよりも約11%多く照射できることが確認された。
【0047】
このように、上記に説明したLED選定基準をもとに光源としてのLEDの選定を行うことで、従来よりも、同等かそれ以下の紅斑(副作用)リスクと、同等かそれ以上の治療効果の少なくとも一方の達成を可能とする紫外線治療器を実現することが可能となる。
また、上記基準を満たすLEDを光源として用いることにより、従来と同等以上の性能を満たしつつ、紫外線治療器の小型化や軽量化が可能となる。これにより、治療用途の拡大や操作者による操作性の向上が期待される。また、LEDを用いることにより、ランプを用いるより省エネルギーであることから、使用電気量の削減につながる。さらに、LEDを用いることにより、エキシマランプと比較して長寿命であり、光源の交換頻度が少なくて済むという効果もある。
【0048】
<紫外線治療器の構成>
図4は、本実施形態における紫外線治療器1の構成例を示すブロック図である。
紫外線治療器1は、紫外線を含む光を放射するLED光源を有する治療具(光源部)2と、治療具2が有するLED光源を制御する本体部4と、を備える。
本体部4は、入力部41と、表示部42と、電源ユニット43と、制御ユニット(制御部)44と、LED駆動ユニット45と、を備える。治療具2と本体部4とは接続線6により接続されており、当該接続線6は、太線で示す電源線6aと、細線で示す信号線6bとを備える。
【0049】
入力部41は、操作者(例えば医師)により入力された設定照射量を取得し、その情報を制御ユニット44に出力する。
表示部42は、紫外線の照射強度や照射時間、紫外線照射中の経過時間などを表示することができる。また、表示部42は、紫外線治療器1において何らかの異常が発生した場合には、異常が発生していることを示す情報(エラーメッセージなど)を表示することもできる。
【0050】
電源ユニット43は、外部電源8から供給された電力を、後段の各ユニットに適切な電圧に変換し、供給する。
制御ユニット44は、入力部41から入力された情報をもとに、LED駆動ユニット45を制御し、治療具2が有するLED光源の照射量(放射照度または照射時間)を制御する。
LED駆動ユニット45は、制御ユニット44からの制御信号に従い、LED光源に給電を行う。
【0051】
以下、治療具2の構成例について、
図5~
図7を参照しながら詳細に説明する。
図5~
図7に示すように、一例として、治療具2は、紫外線を含む光を放射する光源部24と、光源部24から放射された光を筐体21の外部に放射するための放射窓25と、光源部24から放射された光を放射窓25へ導く導光部26と、操作者が光源部24の点灯を指示するための指示部27と、を備える。
【0052】
光源部24は、筐体21に収容されている。この光源部24は、紫外線を出射する複数のLED(UVLED)24aを備える。UVLED24aは、LED基板24b上に取り付けられている。
複数のUVLED24aのうちの少なくとも1つは、LED選定基準を満たすように構成され、複数のUVLED24aから放射される光(もしくは被照射面で受ける光)がLED選定基準を満たすように構成される。UVLED24aは、治療対象とする皮膚疾患に応じた波長を有する紫外線を出射する。
【0053】
導光部26は、光源部24を内部に配置する筒状の反射体26aと、光源部24から放射された光および反射体26aの内周面で反射された光を放射窓25に導く導光路26bとを備えている。導光路26bの一部には、当該導光路26bの内部を視認可能な視認窓26cが形成されている。
操作者は、この視認窓26cから、放射窓25を介して患部を視認することができる。
【0054】
指示部27は、把持部23の一方側(
図6および
図7の上方側)に配置されている。具体的には、指示部27は、操作者が把持部23を握っている手の親指で操作できるように、把持部23の一方側に配置されている。例えば、指示部27は、押し釦スイッチであって、操作者に接触される釦27aと、釦27aを付勢する付勢体(例えば、バネ)27bとを備える。
【0055】
以下、操作者が本実施形態の紫外線治療器1を用いて患部に紫外線を照射する手順について説明する。
まず、操作者は、入力部41を操作して、患部に照射する紫外線の照射量(設定時間および照射強度)に関する情報を入力する。次に操作者は、治療具の把持部23を持ち、放射面25を患部に当接または近接させる。
そして、操作者は、把持部23に設けられた指示部27の釦27aを押す。すると、複数のUVLED24aが点灯し、患部への紫外線照射が開始される。
その後、紫外線照射が入力された照射量に達する(入力された照射時間に達する)と、自動的に複数のUVLED24aが消灯する。
【0056】
以上説明したように、本発明によれば、従来のエキシマランプを光源として使用する紫外線治療器と比較して、同等かそれ以上の治療効果と、同等かそれ以下の副作用の少なくとも一方を達成可能な、LEDを光源として用いた紫外線治療器の提供が可能となる。
本発明の紫外線治療器においては、上記の実施形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
【0057】
1…紫外線治療器、2…治療具、4…本体部、41…入力部、42…表示部、43…電源ユニット、44…制御ユニット、45…LED駆動ユニット