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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147184
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/09 20060101AFI20231004BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20231004BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20231004BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H03H7/09 Z
H01F27/00 S
H01F17/00 A
H01F27/28 K
H01F27/28 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003718
(22)【出願日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2022053161
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】大橋 武
(72)【発明者】
【氏名】中澤 道幸
(72)【発明者】
【氏名】大塚 隆史
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
5J024
【Fターム(参考)】
5E043AA08
5E070AA05
5E070AB03
5E070CB02
5E070CB20
5J024AA02
5J024BA11
5J024CA04
5J024CA06
5J024DA04
5J024DA29
5J024DA31
5J024DA33
5J024DA34
5J024DA35
5J024EA03
(57)【要約】
【課題】インダクタの磁気結合の微調整を行うことができる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1では、第一インダクタL1と第二インダクタL2とは、第一方向D1において並んで配置され、第一インダクタL1と第二インダクタL2とが第一方向D1において隣り合う領域Rにおいて、インダクタパターン79の上面79S1とインダクタパターン80の上面80S1との第二方向D2における位置、及び、インダクタパターン79の下面79S2とインダクタパターン80の下面80S2との第二方向D2における位置の少なくとも一方が異なる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向において互いに対向している一対の端面と、第二方向において互いに対向している一対の主面と、第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有している素体と、
前記素体内に配置されていると共に共振器を構成しているインダクタ及びキャパシタと、を備え、
前記インダクタは、第一インダクタパターンを含んで構成される第一インダクタと、第二インダクタパターンを含んで構成される第二インダクタと、を有し、
前記第一インダクタパターンは、前記第二方向において一方の前記主面寄りに位置している第一面と、前記第二方向において他方の前記主面寄りに位置している第二面と、を有し、
前記第二インダクタパターンは、前記第二方向において一方の前記主面寄りに位置している第三面と、前記第二方向において他方の前記主面寄りに位置している第四面と、を有し、
前記第一インダクタと前記第二インダクタとは、前記第二方向から見て並んで配置され、
前記第一インダクタと前記第二インダクタとが隣り合う領域において、前記第一インダクタパターンの前記第一面と前記第二インダクタパターンの前記第三面との前記第二方向における位置、及び、前記第一インダクタパターンの前記第二面と前記第二インダクタパターンの前記第四面との前記第二方向における位置の少なくとも一方が異なる、電子部品。
【請求項2】
前記第一インダクタと前記第二インダクタとが隣り合う前記領域において、前記第一インダクタパターンの数と前記第二インダクタパターンの数とが異なる、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第一インダクタと前記第二インダクタとが隣り合う前記領域において、前記第一インダクタパターンと前記第二インダクタパターンとは、前記第一方向において互いに対向する部分を有する、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第二インダクタパターンは、複数の前記第一インダクタパターンに対して対向する部分を有する、請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第一インダクタパターンと前記第二インダクタパターンとは、前記第二方向における厚みが異なる、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項6】
第一方向において互いに対向している一対の端面と、第二方向において互いに対向している一対の主面と、第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有している素体と、
前記素体内に配置されていると共に共振器を構成しているインダクタと、を備え、
前記インダクタは、第一インダクタパターンを含んで構成される第一インダクタと、第二インダクタパターンを含んで構成される第二インダクタと、を有し、
前記第一インダクタパターンは、前記第二方向において一方の前記主面寄りに位置している第一面と、前記第二方向において他方の前記主面寄りに位置している第二面と、を有し、
前記第二インダクタパターンは、前記第二方向において一方の前記主面寄りに位置している第三面と、前記第二方向において他方の前記主面寄りに位置している第四面と、を有し、
前記第一インダクタと前記第二インダクタとは、前記第二方向から見て並んで配置され、
前記第一インダクタと前記第二インダクタとが隣り合う領域において、前記第一インダクタパターンの前記第一面と前記第二インダクタパターンの前記第三面との前記第二方向における位置、及び、前記第一インダクタパターンの前記第二面と前記第二インダクタパターンの前記第四面との前記第二方向における位置の少なくとも一方が異なる、電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品として、たとえば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の電子部品は、少なくとも三つのインダクタが同一の素子本体内に形成されるように、導電パターンが形成された絶縁層が複数積層されている。電子部品では、三つのインダクタをそれぞれ形成するための第一コイルパターン(インダクタパターン)、第二コイルパターン、及び第三コイルパターンのうちのいずれか一つのパターンが、他の二つのコイルパターンとは異なる積層位置に形成してあり、これらの間の電磁結合が、それらの間に存在する絶縁層を介して積層方向に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-269653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電子部品では、インダクタは、インダクタパターンが形成された絶縁層が積層されることにより構成されている。この構成では、隣り合うインダクタにおいて、インダクタパターンは、同じ層(位置)又は異なる層に配置される。たとえば、インダクタ同士の磁気結合の結合度を低下させるために、一方のインダクタのインダクタパターンと他方のインダクタのインダクタパターンとを異なる層に配置した場合、少なくとも絶縁層の一層分の距離だけ離れる。そのため、従来の電子部品では、インダクタの磁気結合の微調整を行うことができなった。
【0005】
本発明の一側面は、インダクタの磁気結合の微調整を行うことができる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一側面に係る電子部品は、第一方向において互いに対向している一対の端面と、第二方向において互いに対向している一対の主面と、第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有している素体と、素体内に配置されていると共に共振器を構成しているインダクタ及びキャパシタと、を備え、インダクタは、第一インダクタパターンを含んで構成される第一インダクタと、第二インダクタパターンを含んで構成される第二インダクタと、を有し、第一インダクタパターンは、第二方向において一方の主面寄りに位置している第一面と、第二方向において他方の主面寄りに位置している第二面と、を有し、第二インダクタパターンは、第二方向において一方の主面寄りに位置している第三面と、第二方向において他方の主面寄りに位置している第四面と、を有し、第一インダクタと第二インダクタとは、第二方向から見て並んで配置され、第一インダクタと第二インダクタとが隣り合う領域において、第一インダクタパターンの第一面と第二インダクタパターンの第三面との第二方向における位置、及び、第一インダクタパターンの第二面と第二インダクタパターンの第四面との第二方向における位置の少なくとも一方が異なる。
【0007】
本発明の一側面に係る電子部品では、第一インダクタと第二インダクタとが隣り合う領域において、第一インダクタパターンの第一面と第二インダクタパターンの第三面との第二方向における位置、及び、第一インダクタパターンの第二面と第二インダクタパターンの第四面との第二方向における位置の少なくとも一方が異なる。このように、第一インダクタと第二インダクタとが隣り合う領域、すなわち磁気結合する部分において、第一インダクタパターンの第一面と第二インダクタパターンの第三面との位置、及び/又は、第一インダクタパターンの第二面と第二インダクタの第四面との位置を異ならせると、第一インダクタと第二インダクタとの磁気結合の結合度が変化する。このように、電子部品では、絶縁層の厚みに依存することなく、第一インダクタと第二インダクタとの磁気結合を調整することができる。したがって、電子部品では、インダクタの磁気結合の微調整することができる。
【0008】
(2)上記(1)の電子部品において、第一インダクタと第二インダクタとが隣り合う領域において、第一インダクタパターンの数と第二インダクタパターンの数とが異なっていてもよい。このように、第一インダクタパターンと第二インダクタパターンとの数を異ならせることによって、第一インダクタと第二インダクタとの磁気結合を調整することができる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)の電子部品において、第一インダクタと第二インダクタとが隣り合う領域において、第一インダクタパターンと第二インダクタパターンとは、第一方向において互いに対向する部分を有していてもよい。この構成では、第一インダクタパターンと第二インダクタパターンとが対向する部分を有しているため、第一インダクタと第二インダクタとの磁気結合を磁気結合の結合度を微調整することができる。
【0010】
(4)上記(3)の電子部品において、第二インダクタパターンは、複数の第一インダクタパターンに対して対向する部分を有していてもよい。この構成では、第一インダクタと第二インダクタとの磁気結合の結合度を高めることができる。
【0011】
(5)上記(1)~(4)のいずれか一つの電子部品において、第一インダクタパターンと第二インダクタパターンとは、第二方向における厚みが異なっていてもよい。この構成では、第一インダクタと第二インダクタとが第一方向において隣り合う領域において、第一インダクタパターンの第一面と第二インダクタパターンの第三面との第二方向における位置、及び、第一インダクタパターンの第二面と第二インダクタパターンの第四面との第二方向における位置の少なくとも一方が異なる構成とすることができる。
【0012】
(6)本発明の一側面に係る電子部品は、第一方向において互いに対向している一対の端面と、第二方向において互いに対向している一対の主面と、第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有している素体と、素体内に配置されていると共に共振器を構成しているインダクタと、を備え、インダクタは、第一インダクタパターンを含んで構成される第一インダクタと、第二インダクタパターンを含んで構成される第二インダクタと、を有し、第一インダクタパターンは、第二方向において一方の主面寄りに位置している第一面と、第二方向において他方の主面寄りに位置している第二面と、を有し、第二インダクタパターンは、第二方向において一方の主面寄りに位置している第三面と、第二方向において他方の主面寄りに位置している第四面と、を有し、第一インダクタと第二インダクタとは、第二方向から見て並んで配置され、第一インダクタと第二インダクタとが隣り合う領域において、第一インダクタパターンの第一面と第二インダクタパターンの第三面との第二方向における位置、及び、第一インダクタパターンの第二面と第二インダクタパターンの第四面との第二方向における位置の少なくとも一方が異なる。
【0013】
本発明の一側面に係る電子部品では、第一インダクタと第二インダクタとが隣り合う領域において、第一インダクタパターンの第一面と第二インダクタパターンの第三面との第二方向における位置、及び、第一インダクタパターンの第二面と第二インダクタパターンの第四面との第二方向における位置の少なくとも一方が異なる。このように、第一インダクタと第二インダクタとが隣り合う領域、すなわち磁気結合する部分において、第一インダクタパターンの第一面と第二インダクタパターンの第三面との位置、及び/又は、第一インダクタパターンの第二面と第二インダクタの第四面との位置を異ならせると、第一インダクタと第二インダクタとの磁気結合の結合度が変化する。このように、電子部品では、絶縁層の厚みに依存することなく、第一インダクタと第二インダクタとの磁気結合を調整することができる。したがって、電子部品では、インダクタの磁気結合の微調整することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、インダクタの磁気結合の微調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第一実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図2図2は、図1に示す電子部品を絶縁体側から見た図である。
図3図3は、図1に示す電子部品を基板側からみた図である。
図4図4(a)は、電子部品の側面図であり、図4(b)は、電子部品の端面図である。
図5図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)、図5(e)、図5(f)、図5(g)及び図5(h)は、LCフィルタ部を構成する導体パターンを示す図である。
図6図6(a)は、図2におけるVI-VI線に沿った断面図であり、図6(b)は、図6(a)の一部を拡大して示す図である。
図7図7(a)は、図2におけるVII-VII線に沿った断面図であり、図7(b)は、図7(a)の一部を拡大して示す図である。
図8図8は、電子部品の等価回路図である。
図9図9(a)、図9(b)及び図9(c)は、変形例に係るインダクタパターンの配置を示す図である。
図10図10は、第二実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図11図11は、図10に示す電子部品を絶縁体側から見た図である。
図12図12(a)、図12(b)、図12(c)、図12(d)、図12(e)、図12(f)、図12(g)及び図12(h)は、LCフィルタ部を構成する導体パターンを示す図である。
図13図13は、図11におけるXIII-XIII線に沿った断面図である。
図14図14は、図10に示す電子部品の等価回路図である。
図15図15(a)は、第三実施形態に係る電子部品を示す図であり、図15(b)は、図15(a)におけるb-b線に沿った断面図である。
図16図16は、図16に示す電子部品の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る電子部品の斜視図である。図2は、図1に示す電子部品を絶縁体側から見た図である。図3は、図1に示す電子部品を基板側からみた図である。図4(a)は、電子部品の側面図であり、図4(b)は、電子部品の端面図である。
【0018】
図1に示される電子部品1は、LCフィルタである。電子部品1は、いわゆる薄膜LCフィルタである。図1及び図2に示されるように、電子部品1は、基板2と、絶縁体(素体)3と、絶縁体3に配置された第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6、第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9と、を備えている。
【0019】
基板2は、直方体形状を呈している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。基板2は、その外表面として、互いに対向している一対の端面2a,2bと、互いに対向している一対の主面2c,2dと、互いに対向している一対の側面2e,2fと、を有している。
【0020】
一対の端面2a,2bが対向している対向方向が第一方向D1である。一対の主面2c,2dが対向している対向方向が第二方向D2である。一対の側面2e,2fが対向している対向方向が第三方向D3である。本実施形態では、第一方向D1は、基板2の長手方向である。第二方向D2は、基板2の高さ方向であり、第一方向D1と直交している。第三方向D3は、基板2の幅方向であり、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。
【0021】
一対の端面2a,2bは、一対の主面2c,2dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の端面2a,2bは、第三方向D3にも延びている。一対の側面2e,2fは、一対の主面2c,2dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の側面2e,2fは、第一方向D1にも延びている。
【0022】
基板2は、化学的・熱的に安定で応力発生が少なく、表面の平滑性を保つことができる材料で形成されている。当該材料としては、特に限定されるものではないが、シリコン単結晶、アルミナ、サファイア、窒化アルミ、MgO単結晶、SrTiO単結晶、表面酸化シリコン、ガラス、石英、フェライトなどを用いることができる。
【0023】
絶縁体3は、直方体形状を呈している。絶縁体3は、その外表面として、互いに対向している一対の端面3a,3bと、互いに対向している一対の主面3c,3dと、互いに対向している一対の側面3e,3fと、を有している。一対の端面3a,3bは、第一方向D1において対向している。一対の主面3c,3dは、第二方向D2において対向している。一対の側面3e,3fは、第三方向D3において対向している。
【0024】
一対の端面3a,3bは、一対の主面3c,3dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の端面3a,3bは、第三方向D3にも延びている。一対の側面3e,3fは、一対の主面3c,3dの間を連結するように第二方向D2に延びている。一対の側面3e,3fは、第一方向D1にも延びている。絶縁体3の第一方向D1の寸法は、基板2の第一方向D1の寸法と同等である。絶縁体3の第三方向D3の寸法は、基板2の第三方向D3の寸法と同等である。
【0025】
なお、本実施形態で「同等」とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、複数の値が、当該複数の値の平均値の±5%の範囲内に含まれているのであれば、当該複数の値は同等であると規定する。
【0026】
絶縁体3は、複数の絶縁体層が積層されることによって構成されている。絶縁体層は、ポリイミドなどの有機絶縁材料からなる。絶縁体層は、第二方向D2に積層されている。すなわち、第二方向D2が積層方向である。実際の絶縁体3では、複数の絶縁体層は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0027】
基板2と絶縁体3とは、一体に設けられている。基板2と絶縁体3とは、主面2cと主面3dとが対向するように配置されている。基板2と絶縁体3との間には、平坦化層10が配置されている。平坦化層10は、基板2の主面2cと絶縁体3の主面3dとの間に配置されている。平坦化層10としては、アルミナ、酸化シリコンなどを用いることができる。
【0028】
図1及び図3に示されるように、第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6、第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9は、絶縁体3の主面3cに配置されている。第四端子電極7及び第六端子電極9は、入出力端子である。第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6及び第五端子電極8は、グラウンド端子である。
【0029】
第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6、第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9は、平面視において、略長方形状を呈している。長方形状には、角部及び稜線部が面取りされている形状、及び、角部及び稜線部が丸められている形状が含まれる。第一端子電極4、第三端子電極6、第四端子電極7及び第六端子電極9は、一つの角部が丸められている(湾曲している)形状を呈している。
【0030】
第一端子電極4は、端面3a寄りで且つ側面3e寄りの位置に配置されている。第二端子電極5は、端面3aと端面3bとの間で且つ側面3e寄りの位置に配置されている。第三端子電極6は、端面3b寄りで且つ側面3e寄りの位置に配置されている。第四端子電極7は、端面3a寄りで且つ側面3f寄りの位置に配置されている。第五端子電極8は、端面3aと端面3bとの間で且つ側面3f寄りの位置に配置されている。第六端子電極9は、端面3b寄りで且つ側面3f寄りの位置に配置されている。
【0031】
第一端子電極4、第二端子電極5及び第三端子電極6は、第一方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9は、第一方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。第一端子電極4と第四端子電極7とは、第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。第二端子電極5と第五端子電極8とは、第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。第三端子電極6と第六端子電極9とは、第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。
【0032】
第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6、第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9は、たとえば、金、ニッケル、銅、銀などで形成することができる。
【0033】
電子部品1は、絶縁体3内にLCフィルタ部11が配置されている。図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)、図5(e)、図5(f)、図5(g)及び図5(h)は、LCフィルタ部11を構成する導体パターンを示す図である。電子部品1では、基板2側(絶縁体3の主面3d側)から、図5(h)、図5(g)、図5(f)、図5(e)、図5(d)、図5(c)、図5(b)及び図5(a)に示される順に導体パターンが配置されている。導体パターンには、インダクタパターン、キャパシタパターン及びスルーホールパターンが含まれている。導体パターンは、たとえば、銅で形成することができる。なお、スルーホールパターンは、ビアパターンであってもよい。
【0034】
図5(h)に示されるように、LCフィルタ部11は、導体パターン20、導体パターン21、導体パターン22、導体パターン23、導体パターン24、導体パターン25、導体パターン26、導体パターン27及び導体パターン28を有している。導体パターン20~28は、平坦化層10上に配置されている。
【0035】
図5(g)に示されるように、LCフィルタ部11は、キャパシタパターン29、キャパシタパターン30、キャパシタパターン31、キャパシタパターン32、キャパシタパターン33、キャパシタパターン34、キャパシタパターン35、キャパシタパターン36、キャパシタパターン37及びキャパシタパターン38を有している。
【0036】
図5(f)に示されるように、LCフィルタ部11は、スルーホールパターン39、スルーホールパターン40、スルーホールパターン41、スルーホールパターン42、スルーホールパターン43、スルーホールパターン44、スルーホールパターン45、スルーホールパターン46、スルーホールパターン47、スルーホールパターン48、スルーホールパターン49、スルーホールパターン50、スルーホールパターン51、スルーホールパターン52、スルーホールパターン53及びスルーホールパターン54を有している。
【0037】
図5(e)に示されるように、LCフィルタ部11は、インダクタパターン(第一インダクタパターン)55、導体パターン56A,56B,56C、インダクタパターン(第一インダクタパターン)57、導体パターン58、導体パターン59、導体パターン60、導体パターン61、導体パターン62、導体パターン63及び導体パターン64を有している。インダクタパターン55は、第一方向D1において、端面2a寄りに配置されている。インダクタパターン57は、第一方向D1において、端面2b寄りに配置されている。
【0038】
図5(d)に示されるように、LCフィルタ部11は、スルーホールパターン65、スルーホールパターン66、スルーホールパターン67、スルーホールパターン68、スルーホールパターン69、スルーホールパターン70、スルーホールパターン71、スルーホールパターン72、スルーホールパターン73、スルーホールパターン74、スルーホールパターン75、スルーホールパターン76、スルーホールパターン77及びスルーホールパターン78を有している。
【0039】
図5(c)に示されるように、LCフィルタ部11は、インダクタパターン(第一インダクタパターン)79、インダクタパターン(第二インダクタパターン)80、インダクタパターン(第一インダクタパターン)81、導体パターン82、導体パターン83及び導体パターン84を有している。
【0040】
インダクタパターン79は、第一方向D1において、端面2a寄りに配置されている。インダクタパターン81は、第一方向D1において、端面2b寄りに配置されている。インダクタパターン80は、第一方向D1において、インダクタパターン79とインダクタパターン81との間に配置されている。インダクタパターン79、インダクタパターン80及びインダクタパターン81は、第二方向D2から見て、第一方向D1において並んで配置されている。本実施形態において、並んで配置されるとは、インダクタパターンを端面3a,3b又は側面3e,3fから任意の方向に沿って見た場合に、二つのインダクタパターンの少なくとも一部が重なる(重複する部分を有する)ことを意味する。
【0041】
図5(b)に示されるように、LCフィルタ部11は、スルーホールパターン85、スルーホールパターン86、スルーホールパターン87、スルーホールパターン88、スルーホールパターン89及びスルーホールパターン90を有している。
【0042】
図5(a)に示されるように、電子部品1は、第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6、第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9を有している。
【0043】
図5(e)に示されるように、インダクタパターン55は、第三方向D3に沿って延在する第一パターン部55aと、第一パターン部55aの端部に接続されると共に第一方向D1に沿って延在する第二パターン部55bと、第二パターン部55bの端部に接続されると共に第三方向D3に沿って延在する第三パターン部55cと、第三パターン部55cの端部に接続されると共に第一方向D1に沿って延在する第四パターン部55eと、を有している。第一パターン部55aは、端面3a寄りに配置されている。第一パターン部55aと第三パターン部55cとは、第一方向D1において離間している。第二パターン部55bと第四パターン部55dとは、第三方向D3において離間している。
【0044】
インダクタパターン55には、パッド55Pが設けられている。パッド55Pは、第二パターン部55bから側面3eに向かって突出している。パッド55Pは、第二方向D2から見て、第一端子電極4と第二端子電極5との間の領域に位置している。パッド55Pは、スルーホールパターン44を介して、キャパシタパターン29に接続されている。
【0045】
インダクタパターン57は、第三方向D3に沿って延在する第一パターン部57aと、第一パターン部57aの端部に接続されると共に第一方向D1に沿って延在する第二パターン部57bと、第二パターン部57bの端部に接続されると共に第三方向D3に沿って延在する第三パターン部57cと、第三パターン部57cの端部に接続されると共に第一方向D1に沿って延在する第四パターン部57eと、を有している。第一パターン部57aは、端面3b寄りに配置されている。第一パターン部57aと第三パターン部57cとは、第一方向D1において離間している。第二パターン部57bと第四パターン部57dとは、第三方向D3において離間している。
【0046】
インダクタパターン57には、パッド57Pが設けられている。パッド57Pは、第二パターン部57bからから側面3eに向かって突出している。パッド57Pは、第二方向D2から見て、第二端子電極5と第三端子電極6との間の領域に位置している。パッド57Pは、スルーホールパターン45を介して、キャパシタパターン30に接続されている。
【0047】
図5(c)に示されるように、インダクタパターン79は、第三方向D3に沿って延在する第一パターン部79aと、第一パターン部79aの端部に接続されると共に第一方向D1に沿って延在する第二パターン部79bと、第二パターン部79bの端部に接続されると共に第三方向D3に沿って延在する第三パターン部79cと、第三パターン部79cの端部に接続されると共に第一方向D1に沿って延在する第四パターン部79dと、を有している。第一パターン部79aは、端面3a寄りに配置されている。第一パターン部79aと第三パターン部79cとは、第一方向D1において離間している。第二パターン部79bと第四パターン部79dとは、第三方向D3において離間している。
【0048】
インダクタパターン80は、第一方向D1に沿って延在する第一パターン部80aと、第一パターン部80aの一端部に接続されると共に第三方向D3に沿って延在する第二パターン部80bと、第一パターン部80aの他端部に接続されると共に第三方向D3に沿って延在する第三パターン部80cと、第二パターン部80bの端部に接続されると共に第一方向D1に沿って延在する第四パターン部80dと、第三パターン部80cの端部に接続されると共に第一方向D1に沿って延在する第五パターン部80eと、を有している。第二パターン部80bと第三パターン部80cとは、第一方向D1において離間している。
【0049】
インダクタパターン81は、第三方向D3に沿って延在する第一パターン部81aと、第一パターン部81aの端部に接続されると共に第一方向D1に沿って延在する第二パターン部81bと、第二パターン部81bの端部に接続されると共に第三方向D3に沿って延在する第三パターン部81cと、第三パターン部81cの端部に接続されると共に第一方向D1に沿って延在する第四パターン部81eと、を有している。第一パターン部81aは、端面3b寄りに配置されている。第一パターン部81aと第三パターン部81cとは、第一方向D1において離間している。第二パターン部81bと第四パターン部81dとは、第三方向D3において離間している。
【0050】
スルーホールパターン39は、導体パターン20と導体パターン58とを接続している。スルーホールパターン40は、導体パターン20と導体パターン56Aとを接続している。スルーホールパターン41は、導体パターン20と導体パターン59とを接続している。スルーホールパターン42は、導体パターン21とインダクタパターン55とを接続している。スルーホールパターン43は、導体パターン22とインダクタパターン57とを接続している。スルーホールパターン44は、キャパシタパターン29とインダクタパターン55のパッド55Pとを接続している。スルーホールパターン45は、キャパシタパターン30とインダクタパターン57のパッド57Pとを接続している。
【0051】
スルーホールパターン46は、キャパシタパターン31と導体パターン56Bとを接続している。スルーホールパターン47は、キャパシタパターン32と導体パターン56Cとを接続している。スルーホールパターン48は、キャパシタパターン33と導体パターン60とを接続している。スルーホールパターン49は、キャパシタパターン34と導体パターン61とを接続している。スルーホールパターン50は、キャパシタパターン35と導体パターン62とを接続している。スルーホールパターン51は、キャパシタパターン36と導体パターン63とを接続している。スルーホールパターン52は、キャパシタパターン37と導体パターン62とを接続している。スルーホールパターン53は、キャパシタパターン38と導体パターン63とを接続している。スルーホールパターン54は、導体パターン24と導体パターン64とを接続している。
【0052】
スルーホールパターン65は、導体パターン58とインダクタパターン79とを接続している。スルーホールパターン66は、導体パターン56Aとインダクタパターン80とを接続している。スルーホールパターン67は、導体パターン59とインダクタパターン81とを接続している。スルーホールパターン68は、インダクタパターン55と導体パターン82とを接続している。スルーホールパターン69は、導体パターン64と導体パターン84とを接続している。スルーホールパターン70は、インダクタパターン57と導体パターン83とを接続している。スルーホールパターン71は、インダクタパターン55とインダクタパターン79とを接続している。
【0053】
スルーホールパターン72は、インダクタパターン57とインダクタパターン81とを接続している。スルーホールパターン73は、インダクタパターン55とインダクタパターン79とを接続している。スルーホールパターン74は、インダクタパターン57とインダクタパターン81とを接続している。スルーホールパターン75は、導体パターン60とインダクタパターン80とを接続している。スルーホールパターン76は、導体パターン61とインダクタパターン80とを接続している。スルーホールパターン77は、導体パターン56Bとインダクタパターン80とを接続している。スルーホールパターン78は、導体パターン56Cとインダクタパターン80とを接続している。
【0054】
スルーホールパターン85は、インダクタパターン79と第一端子電極4とを接続している。スルーホールパターン86は、インダクタパターン80と第二端子電極5とを接続している。スルーホールパターン87は、インダクタパターン81と第三端子電極6とを接続している。スルーホールパターン88、導体パターン82と第四端子電極7とを接続している。スルーホールパターン89は、導体パターン84と第五端子電極8とを接続している。スルーホールパターン90は、導体パターン83と第六端子電極9とを接続している。
【0055】
図6(a)は、図2におけるVI-VI線に沿った断面図であり、図6(b)は、図6(a)の一部を拡大して示す図である。図6(b)に示されるように、導体パターン20とキャパシタパターン30との間には、誘電体層12が配置されている。誘電体層12は、導体パターン20~24とキャパシタパターン29、31~38との間にも配置されている。誘電体層12は、たとえば、窒化シリコン、酸化シリコンなどの常誘電体材料、強誘電体材料などからなる無機絶縁材料で形成することができる。
【0056】
図7(a)は、図2におけるVII-VII線に沿った断面図であり、図7(b)は、図7(a)の一部を拡大して示す図である。本実施形態では、インダクタパターン55、インダクタパターン57、インダクタパターン79、インダクタパターン80及びインダクタパターン81の厚み(第二方向D2の寸法)は、同等である。
【0057】
図7(a)に示されるように、インダクタパターン55及びインダクタパターン79とインダクタパターン80とは、第一方向D1において、並んで配置されている。具体的には、インダクタパターン55の第三パターン部55c及びインダクタパターン79の第三パターン部79cとインダクタパターン80の第二パターン部80bとが、第一方向D1において並んで配置されている。すなわち、インダクタパターン55及びインダクタパターン79を含んで構成される第一インダクタL1(図8参照)とインダクタパターン80を含んで構成される第二インダクタL2(図8参照)とは、第一方向D1において隣り合うように配置されている。
【0058】
第一インダクタL1と第二インダクタL2とは、隣り合う領域R(図7(b)参照)において、パターンの数が異なっている。第一インダクタL1と第二インダクタL2とが隣り合う領域Rにおいて、第一インダクタL1は、二つのインダクタパターン55及びインダクタパターン79が配置されており、第二インダクタL2は、一つのインダクタパターン80が配置されている。第一インダクタL1と第二インダクタL2とは、隣り合う領域Rにおいて磁気結合している。具体的には、インダクタパターン55及びインダクタパターン79とインダクタパターン80とが、領域Rにおいて磁気結合している。
【0059】
インダクタパターン57及びインダクタパターン81とインダクタパターン80とは、第一方向D1において、並んで配置されている。具体的には、インダクタパターン57の第三パターン部57c及びインダクタパターン81の第三パターン部81cとインダクタパターン80の第三パターン部80cとが、第一方向D1において並んで配置されている。すなわち、インダクタパターン57及びインダクタパターン81を含んで構成される第四インダクタL4(図8参照)とインダクタパターン80を含んで構成される第三インダクタL3(図8参照)とは、第一方向D1において隣り合うように配置されている。
【0060】
第四インダクタL4と第三インダクタL3とは、隣り合う領域Rにおいて、パターンの数が異なっている。第四インダクタL4と第三インダクタL3とが隣り合う領域Rにおいて、第四インダクタL4は、二つのインダクタパターン57及びインダクタパターン81が配置されており、第三インダクタL3は、一つのインダクタパターン80が配置されている。第四インダクタL4と第三インダクタL3とは、隣り合う領域Rにおいて磁気結合している。具体的には、インダクタパターン57及びインダクタパターン81とインダクタパターン80とが、領域Rにおいて磁気結合している。
【0061】
図7(b)に示されるように、インダクタパターン55は、第二方向D2において対向する上面(第一面)55S1及び下面(第二面)55S2を有している。上面55S1は、主面(一方の主面)3c寄りに位置している。下面55S2は、主面(他方の主面)3d寄りに位置している。インダクタパターン79は、第二方向D2において対向する上面(第一面)79S1及び下面(第二面)79S2を有している。上面79S1は、主面3c寄りに位置している。下面79S2は、主面3d寄りに位置している。インダクタパターン80は、第二方向D2において対向する上面(第三面)80S1及び下面(第四面)80S2を有している。上面80S1は、主面3c寄りに位置している。下面80S2は、主面3d寄りに位置している。上面55S1及び下面55S2、上面79S1及び下面79S2、並びに、上面80S1及び下面80S2は、たとえば、平坦面である。
【0062】
インダクタパターン55の上面55S1及び下面55S2と、インダクタパターン80の上面80S1及び下面80S2とは、第二方向D2において、高さ位置が異なっている。具体的には、インダクタパターン55の上面55S1は、インダクタパターン80の上面80S1よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3d側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン80の上面80S1は、インダクタパターン55の上面55S1よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3c側に位置している。インダクタパターン55の下面55S2は、インダクタパターン80の下面80S2よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3d側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン80の下面80S2は、インダクタパターン55の下面55S2よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3d側に位置している。
【0063】
インダクタパターン79の上面79S1及び下面79S2と、インダクタパターン80の上面80S1及び下面80S2とは、第二方向D2において、高さ位置が異なっている。具体的には、インダクタパターン79の上面79S1は、インダクタパターン80の上面80S1よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3c側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン80の上面80S1は、インダクタパターン79の上面79S1よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3d側に位置している。インダクタパターン79の下面79S2は、インダクタパターン80の下面80S2よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3c側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン80の下面80S2は、インダクタパターン79の下面79S2よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3c側に位置している。
【0064】
インダクタパターン55とインダクタパターン80とは、第一方向D1において互いに対向する部分を有している。インダクタパターン55とインダクタパターン80とは、第三方向D3から見て、少なくとも一部が重なっている。インダクタパターン79とインダクタパターン80とは、第一方向D1において互いに対向する部分を有している。インダクタパターン79とインダクタパターン80とは、第三方向D3から見て、少なくとも一部が第二方向D2において重なっている。インダクタパターン80は、インダクタパターン55及びインダクタパターン79の両方に対して、第一方向D1において互いに対向する部分を有している。
【0065】
図7(a)に示されるように、インダクタパターン57は、第二方向D2において対向する上面57S1及び下面57S2を有している。上面57S1は、主面3c寄りに位置している。下面57S2は、主面3d寄りに位置している。インダクタパターン81は、第二方向D2において対向する上面81S1及び下面81S2を有している。上面81S1は、主面3c寄りに位置している。下面81S2は、主面3d寄りに位置している。上面57S1及び下面57S2、並びに、上面81S1及び下面81S2は、たとえば、平坦面である。
【0066】
インダクタパターン57の上面57S1及び下面57S2と、インダクタパターン80の上面80S1及び下面80S2とは、第二方向D2において、高さ位置が異なっている。具体的には、インダクタパターン57の上面57S1は、インダクタパターン80の上面80S1よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3d側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン80の上面80S1は、インダクタパターン57の上面57S1よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3c側に位置している。インダクタパターン57の下面57S2は、インダクタパターン80の下面80S2よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3d側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン80の下面80S2は、インダクタパターン57の下面57S2よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3d側に位置している。
【0067】
インダクタパターン81の上面81S1及び下面81S2と、インダクタパターン80の上面80S1及び下面80S2とは、第二方向D2において、高さ位置が異なっている。具体的には、インダクタパターン81の上面81S1は、インダクタパターン80の上面80S1よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3c側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン80の上面80S1は、インダクタパターン81の上面81S1よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3d側に位置している。インダクタパターン81の下面81S2は、インダクタパターン80の下面80S2よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3c側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン80の下面80S2は、インダクタパターン81の下面81S2よりも第二方向D2において絶縁体3の主面3c側に位置している。
【0068】
インダクタパターン57とインダクタパターン80とは、第一方向D1において互いに対向する部分を有している。インダクタパターン57とインダクタパターン80とは、第三方向D3から見て、少なくとも一部が重なっている。インダクタパターン81とインダクタパターン80とは、第一方向D1において互いに対向する部分を有している。インダクタパターン81とインダクタパターン80とは、第三方向D3から見て、少なくとも一部が第二方向D2において重なっている。インダクタパターン80は、インダクタパターン57及びインダクタパターン81の両方に対して、第一方向D1において互いに対向する部分を有している。
【0069】
図8に示されるように、電子部品1は、第一インダクタL1と、第二インダクタL2と、第三インダクタL3と、第四インダクタL4と、第一キャパシタC1と、第二キャパシタC2と、第三キャパシタC3と、第四キャパシタC4と、第五キャパシタC12と、第六キャパシタC34と、第七キャパシタCm1と、第八キャパシタCm2と、を備えている。
【0070】
第一インダクタL1は、インダクタパターン55及びインダクタパターン79を含んで構成されている。第二インダクタL2は、インダクタパターン80を含んで構成されている。第三インダクタL3は、インダクタパターン80を含んで構成されている。第四インダクタL4は、インダクタパターン57及びインダクタパターン81を含んで構成されている。第一インダクタL1及び第四インダクタL4は、二つのインダクタパターンを含んで構成されている。第二インダクタL2及び第三インダクタL3は、一つのインダクタパターンを含んで構成されている。
【0071】
第一キャパシタC1は、導体パターン20及びキャパシタパターン29によって構成されている。第二キャパシタC2は、導体パターン24及びキャパシタパターン31によって構成されている。第三キャパシタC3は、導体パターン24及びキャパシタパターン32によって構成されている。第四キャパシタC4は、導体パターン20及びキャパシタパターン30によって構成されている。
【0072】
第五キャパシタC12は、導体パターン21及びキャパシタパターン33によって構成されている。第六キャパシタC34は、導体パターン22及びキャパシタパターン34によって構成されている。第七キャパシタCm1は、導体パターン21,23及びキャパシタパターン35,37によって構成されている。第八キャパシタCm2は、導体パターン22,23及びキャパシタパターン36,38によって構成されている。
【0073】
第一インダクタL1及び第一キャパシタC1は、第一LC共振器を構成している。第二インダクタL2及び第二キャパシタC2は、第二LC共振器を構成している。第三インダクタL3及び第三キャパシタC3は、第三LC共振器を構成している。第四インダクタL4及び第四キャパシタC4は、第四LC共振器を構成している。
【0074】
続いて、電子部品1の製造方法について説明する。電子部品1の製造プロセスにおいては、集合基板を用いて複数の電子部品1が多数個取りされるが、以下に説明する製造プロセスは、1個の電子部品1の製造プロセスに着目して説明する。
【0075】
最初に、基板2上にスパッタリング法などを用いて平坦化層10を形成し、その表面を研削或いはCMPなどの鏡面化処理を行なって平滑化する。続いて、平坦化層10の表面にレジスト層をスピンコートした後、導体パターン20~28の形状に対応するようにレジスト層をパターニングする。この状態で、電解めっきを行うことによりめっき層が形成される。そして、レジスト層を除去することにより、導体パターン20~28が形成される。
【0076】
続いて、導体パターン20~24上に誘電体層12を形成する。誘電体層12の形成方法としては、スパッタリング法、プラズマCVD法、MOCVD法、ゾルゲル法、電子ビーム蒸着法などを用いることができる。
【0077】
続いて、導体パターン20~28の形成方法と同様の方法を用いることによって、導体パターン20~24上に、誘電体層12を介して、キャパシタパターン29~34を形成する。次に、第一絶縁層を形成し、第一絶縁層をパターニングすることによって、第一絶縁層にスルーホールパターン39~51に対応する開口部を形成する。続いて、第一絶縁層上にレジスト層をスピンコートした後、インダクタパターン55、導体パターン56A,56B,56C、インダクタパターン57、導体パターン58~64の形状に対応するようにレジスト層をパターニングする。この状態で、電解めっきを行うことによりめっき層が形成される。そして、レジスト層を除去することにより、スルーホールパターン39~51、インダクタパターン55、導体パターン56A,56B,56C、インダクタパターン57、導体パターン58~64が形成される。
【0078】
続いて、第二絶縁層を形成し、第二絶縁層をパターニングすることによって、第二絶縁層にスルーホールパターン65~78に対応する開口部を形成する。次に、第二絶縁層上にレジスト層をスピンコートした後、インダクタパターン80の形状に対応するようにレジスト層をパターニングする。この状態で、エッチングすることにより、第二絶縁層に凹部を形成する。そして、第二絶縁層において凹部を形成した箇所に電解めっきを行うことによりめっき層が形成される。そして、レジスト層を除去することにより、インダクタパターン80が形成される。このように、第二絶縁層の凹部にインダクタパターン80を形成することにより、インダクタパターン80の下面80S2とインダクタパターン79の下面79S2とを、第二方向D2において異なる位置に形成することができる。
【0079】
続いて、第二絶縁層上にレジスト層をスピンコートした後、インダクタパターン79、インダクタパターン81、導体パターン82~84の形状に対応するようにレジスト層をパターニングする。この状態で、電解めっきを行うことによりめっき層が形成される。そして、レジスト層を除去することにより、スルーホールパターン65~78、インダクタパターン79、インダクタパターン81、導体パターン82~84が形成される。
【0080】
続いて、第三絶縁層を形成し、第三絶縁層をパターニングすることによって、第三絶縁層にスルーホールパターン85~90に対応する開口部を形成する。続いて、第三絶縁層上にレジスト層をスピンコートした後、第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6、第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9の形状に対応するようにレジスト層をパターニングする。この状態で、電解めっきを行うことによりめっき層が形成される。そして、レジスト層を除去することにより、スルーホールパターン85~90、第一端子電極4、第二端子電極5、第三端子電極6、第四端子電極7、第五端子電極8及び第六端子電極9が形成される。以上により、電子部品1が製造される。
【0081】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1では、第一インダクタL1と第二インダクタL2とが第一方向D1において隣り合う領域Rにおいて、インダクタパターン79の上面79S1とインダクタパターン80の上面80S1との第二方向D2における位置、及び、インダクタパターン79の下面79S2とインダクタパターン80の下面80S2との第二方向D2における位置の少なくとも一方が異なる。このように、第一インダクタL1と第二インダクタL2とが隣り合う領域R、すなわち磁気結合する部分において、インダクタパターン79の上面79S1とインダクタパターン80の上面80S1との位置、及び/又は、インダクタパターン79の下面79S2とインダクタパターン80の下面80S2との位置を異ならせると、第一インダクタL1と第二インダクタL2との磁気結合の結合度が変化する。このように、電子部品1では、絶縁層の厚みに依存することなく、第一インダクタL1と第二インダクタL2との磁気結合を調整することができる。したがって、電子部品1では、インダクタの磁気結合の微調整することができる。
【0082】
本実施形態に係る電子部品1では、第一インダクタL1と第二インダクタL2とが隣り合う領域Rにおいて、インダクタパターン55,79の数とインダクタパターン80の数とが異なっていている。このように、インダクタパターン55,79とインダクタパターン80との数を異ならせることによって、第一インダクタL1と第二インダクタL2との磁気結合を調整することができる。また、電子部品1では、第四インダクタL4と第三インダクタL3とが隣り合う領域Rにおいて、インダクタパターン57,81の数とインダクタパターン80の数とが異なっていている。このように、インダクタパターン57,81とインダクタパターン80との数を異ならせることによって、第四インダクタL4と第三インダクタL3との磁気結合を調整することができる。
【0083】
本実施形態に係る電子部品1では、第一インダクタL1と第二インダクタL2とが隣り合う領域Rにおいて、インダクタパターン55,79とインダクタパターン80とは、第一方向D1において互いに対向する部分を有している。この構成では、インダクタパターン55,79とインダクタパターン80とが対向する部分を有しているため、第一インダクタL1と第二インダクタL2との磁気結合を磁気結合の結合度を微調整することができる。また、電子部品1では、第四インダクタL4と第三インダクタL3とが隣り合う領域Rにおいて、インダクタパターン57,81とインダクタパターン80とは、第一方向D1において互いに対向する部分を有している。この構成では、インダクタパターン57,81とインダクタパターン80とが対向する部分を有しているため、第四インダクタL4と第三インダクタL3との磁気結合を磁気結合の結合度を微調整することができる。
【0084】
本実施形態に係る電子部品1では、インダクタパターン80は、インダクタパターン55及びインダクタパターン79に対して対向する部分を有している。この構成では、第一インダクタL1と第二インダクタL2との磁気結合の結合度を高めることができる。また、インダクタパターン80は、インダクタパターン57及びインダクタパターン81に対して対向する部分を有している。この構成では、第四インダクタL4と第三インダクタL3との磁気結合の結合度を高めることができる。
【0085】
[第二実施形態]
続いて、第二実施形態について説明する。図10は、第二実施形態に係る電子部品の斜視図である。図11は、図10に示す電子部品を絶縁体側から見た図である。
【0086】
図10に示される電子部品100は、LCフィルタである。電子部品100は、いわゆる薄膜LCフィルタである。図10及び図11に示されるように、電子部品100は、基板102と、絶縁体(素体)103と、絶縁体3に配置された第一端子電極104、第二端子電極105、第三端子電極106及び第四端子電極107と、を備えている。
【0087】
基板102は、電子部品1の基板2と同様の構成を有している。基板102は、その外表面として、互いに対向している一対の端面102a,102bと、互いに対向している一対の主面102c,102dと、互いに対向している一対の側面102e,102fと、を有している。一対の端面102a,102bが対向している対向方向が第一方向D1である。一対の主面102c,102dが対向している対向方向が第二方向D2である。一対の側面102e,102fが対向している対向方向が第三方向D3である。
【0088】
絶縁体103は、電子部品1の絶縁体3と同様の構成を有している。絶縁体103は、直方体形状を呈している。絶縁体103は、その外表面として、互いに対向している一対の端面103a,103bと、互いに対向している一対の主面103c,103dと、互いに対向している一対の側面103e,103fと、を有している。一対の端面103a,103bは、第一方向D1において対向している。一対の主面103c,103dは、第二方向D2において対向している。一対の側面103e,103fは、第三方向D3において対向している。
【0089】
基板102と絶縁体103とは、一体に設けられている。基板102と絶縁体103とは、主面102cと主面103dとが対向するように配置されている。基板102と絶縁体103との間には、平坦化層109が配置されている。平坦化層109は、基板102の主面102cと絶縁体103の主面103dとの間に配置されている。平坦化層109としては、アルミナ、酸化シリコンなどを用いることができる。
【0090】
第一端子電極104、第二端子電極105、第三端子電極106及び第四端子電極107は、絶縁体103の主面103cに配置されている。第一端子電極104及び第四端子電極107は、入出力端子である。第二端子電極105及び第三端子電極106は、グラウンド端子である。
【0091】
第一端子電極104、第二端子電極105、第三端子電極106及び第四端子電極107は、平面視において、略長方形状を呈している。長方形状には、角部及び稜線部が面取りされている形状、及び、角部及び稜線部が丸められている形状が含まれる。
【0092】
第一端子電極104は、端面103a寄りで且つ側面103e寄りの位置に配置されている。第二端子電極105は、端面103b寄りで且つ側面103e寄りの位置に配置されている。第三端子電極106は、端面103a寄りで且つ側面103f寄りの位置に配置されている。第四端子電極107は、端面103b寄りで且つ側面103f寄りの位置に配置されている。
【0093】
第一端子電極104及び第二端子電極105は、第一方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。第三端子電極106及び第四端子電極107は、第一方向D1において所定の間隔をあけて配置されている。第一端子電極104と第三端子電極106とは、第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。第二端子電極105と第四端子電極107とは、第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。
【0094】
第一端子電極104、第二端子電極105、第三端子電極106及び第四端子電極107は、たとえば、金、ニッケル、銅、銀などで形成することができる。
【0095】
電子部品100は、絶縁体103内にLCフィルタ部108が配置されている。図12(a)、図12(b)、図12(c)、図12(d)、図12(e)、図12(f)、図12(g)及び図12(h)は、LCフィルタ部108を構成する導体パターンを示す図である。電子部品100では、基板102側(絶縁体103の主面103d側)から、図12(h)、図12(g)、図12(f)、図12(e)、図12(d)、図12(c)、図12(b)及び図12(a)に示される順に導体パターンが配置されている。導体パターンには、インダクタパターン、キャパシタパターン及びスルーホールパターンが含まれている。導体パターンは、たとえば、銅で形成することができる。
【0096】
図12(h)に示されるように、LCフィルタ部108は、導体パターン110、導体パターン111、導体パターン112、導体パターン113、キャパシタパターン114、キャパシタパターン115、キャパシタパターン116、キャパシタパターン117及びキャパシタパターン118を有している。導体パターン110~112及びキャパシタパターン114~118は、平坦化層109上に配置されている。
【0097】
図12(g)に示されるように、LCフィルタ部108は、キャパシタパターン119、キャパシタパターン120、キャパシタパターン121、キャパシタパターン122及びキャパシタパターン123を有している。
【0098】
図12(f)に示されるように、LCフィルタ部108は、スルーホールパターン124、スルーホールパターン125、スルーホールパターン126、スルーホールパターン127、スルーホールパターン128、スルーホールパターン129、スルーホールパターン130、スルーホールパターン131、スルーホールパターン132、スルーホールパターン133、スルーホールパターン134、スルーホールパターン135、スルーホールパターン136及びスルーホールパターン137を有している。
【0099】
図12(e)に示されるように、LCフィルタ部108は、導体パターン138、導体パターン139、導体パターン140、導体パターン141及び導体パターン142を有している。
【0100】
図12(d)に示されるように、LCフィルタ部108は、スルーホールパターン143、スルーホールパターン144、スルーホールパターン145、スルーホールパターン146、スルーホールパターン147、スルーホールパターン148及びスルーホールパターン149を有している。
【0101】
図12(c)に示されるように、LCフィルタ部108は、導体パターン150、導体パターン151、導体パターン152及び導体パターン153を有している。
【0102】
図12(b)に示されるように、LCフィルタ部108は、スルーホールパターン154、スルーホールパターン155、スルーホールパターン156及びスルーホールパターン157を有している。
【0103】
図12(a)に示されるように、電子部品100は、第一端子電極104、第二端子電極105、第三端子電極106及び第四端子電極107を有している。
【0104】
図12(e)に示されるように、導体パターン138は、インダクタパターン(第一インダクタパターン)138A、接続パターン138B、接続パターン138C及び接続パターン138Dを有している。インダクタパターン138Aは、第一パターン部138Aaと、第一パターン部138Aaの端部に接続される第二パターン部138Abと、を有している。導体パターン141は、インダクタパターン141A、接続パターン141B、接続パターン141C及び接続パターン141Dを有している。インダクタパターン141Aは、第一パターン部141Aaと、第一パターン部141Aaの端部に接続される第二パターン部141Abと、を有している。導体パターン142は、インダクタパターン142A、接続パターン142B、接続パターン142C及び導体パターン142Dを有している。インダクタパターン142Aは、第一パターン部142Aaと、第一パターン部142Aaの端部に接続される第二パターン部142Abと、を有している。
【0105】
図12(c)に示されるように、導体パターン152は、インダクタパターン(第一インダクタパターン)152A、インダクタパターン(第二インダクタパターン)152B、インダクタパターン152C及び接続パターン152Dを有している。
【0106】
インダクタパターン152Aは、第一パターン部152Aaと、第一パターン部152Aaの端部に接続される第二パターン部152Abと、第二パターン部152Abの端部に接続される第三パターン部152Acと、を有している。インダクタパターン152Bは、第一パターン部152Baと、第一パターン部152Baの端部に接続される第二パターン部152Bbと、第二パターン部152Bbの端部に接続される第三パターン部152Bcと、を有している。インダクタパターン152Cは、第一パターン部152Caと、第一パターン部152Caの端部に接続される第二パターン部152Cbと、第二パターン部152Cbの端部に接続される第三パターン部152Ccと、を有している。
【0107】
図12(f)に示されるように、スルーホールパターン124は、導体パターン110と接続パターン138Dとを接続している。スルーホールパターン125は、導体パターン111と導体パターン139とを接続している。スルーホールパターン126は、導体パターン112と導体パターン140とを接続している。スルーホールパターン127は、導体パターン113と接続パターン141Dとを接続している。
【0108】
スルーホールパターン128は、キャパシタパターン119と接続パターン138Cとを接続している。スルーホールパターン129は、キャパシタパターン114と導体パターン142Dとを接続している。スルーホールパターン130は、キャパシタパターン120と接続パターン142Bとを接続している。スルーホールパターン131は、キャパシタパターン115と接続パターン141Cとを接続している。スルーホールパターン132は、キャパシタパターン121と接続パターン138Bとを接続している。スルーホールパターン133は、キャパシタパターン122と接続パターン142Cとを接続している。スルーホールパターン134は、キャパシタパターン123と接続パターン141Bとを接続している。スルーホールパターン135は、キャパシタパターン116と導体パターン139とを接続している。スルーホールパターン136は、キャパシタパターン117と導体パターン139とを接続している。スルーホールパターン137は、キャパシタパターン118と導体パターン139とを接続している。
【0109】
図12(d)に示されるように、スルーホールパターン143は、接続パターン138Dと導体パターン150とを接続している。スルーホールパターン144は、導体パターン139と導体パターン151とを接続している。スルーホールパターン145は、導体パターン140と接続パターン152Dとを接続している。スルーホールパターン146は、接続パターン141Dと導体パターン153とを接続している。
【0110】
図12(b)に示されるように、スルーホールパターン154は、導体パターン150と第一端子電極104とを接続している。スルーホールパターン155は、導体パターン151と第二端子電極105とを接続している。スルーホールパターン156は、接続パターン152Dと第三端子電極106とを接続している。スルーホールパターン157は、導体パターン153と第四端子電極107とを接続している。
【0111】
図12(e)に示されるように、インダクタパターン138A、インダクタパターン142A及びインダクタパターン141Aは、並んで配置されている。本実施形態では、インダクタパターン138A、インダクタパターン142A及びインダクタパターン141Aは、第二方向D2から見て、第一方向D1及び第三方向D3に交差する方向において並んで配置されている。
【0112】
図12(c)に示されるように、インダクタパターン152A、インダクタパターン152B及びインダクタパターン152Cは、並んで配置されている。本実施形態では、インダクタパターン152A、インダクタパターン152B及びインダクタパターン152Cは、第二方向D2から見て、第一方向D1及び第三方向D3に交差する方向において並んで配置されている。
【0113】
図13は、図11におけるXIII-XIII線に沿った断面図である。本実施形態では、インダクタパターン138A、インダクタパターン141A、インダクタパターン142A、インダクタパターン152A、インダクタパターン152B及びインダクタパターン152Cの厚み(第二方向D2の寸法)は、同等である。なお、以下において、図11におけるXIII-XIII線に沿って方向を、第四方向と記載することがある。
【0114】
インダクタパターン138A及びインダクタパターン152Aとインダクタパターン152Bとは、並んで配置されている。具体的には、インダクタパターン138Aの第一パターン部138Aa及びインダクタパターン152Aの第一パターン部152Aaとインダクタパターン152Bの第三パターン部152Bcとが、並んで配置されている。すなわち、インダクタパターン138A及びインダクタパターン152Aを含んで構成される第一インダクタL10(図14参照)とインダクタパターン152Bを含んで構成される第二インダクタL20(図14参照)とは、隣り合うように配置されている。
【0115】
第一インダクタL10と第二インダクタL20とは、隣り合う領域Rにおいて、パターンの数が異なっている。第一インダクタL10と第二インダクタL20とが隣り合う領域Rにおいて、第一インダクタL10は、二つのインダクタパターン138A及びインダクタパターン152Aが配置されており、第二インダクタL20は、一つのインダクタパターン152Bが配置されている。第一インダクタL10と第二インダクタL20とは、隣り合う領域Rにおいて磁気結合している。具体的には、インダクタパターン138A及びインダクタパターン152Aとインダクタパターン152Bとが、領域Rにおいて磁気結合している。
【0116】
インダクタパターン142A及びインダクタパターン152Bとインダクタパターン152Cとは、並んで配置されている。具体的には、インダクタパターン142Aの第一パターン部142Aa及びインダクタパターン152Bの第一パターン部152Baとインダクタパターン152Cの第三パターン部152Ccとが、並んで配置されている。すなわち、インダクタパターン142A及びインダクタパターン152Bを含んで構成される第二インダクタL20(図14参照)とインダクタパターン152Cを含んで構成される第三インダクタL30(図14参照)とは、隣り合うように配置されている。
【0117】
第二インダクタL20と第三インダクタL30とは、隣り合う領域Rにおいて、パターンの数が異なっている。第二インダクタL20と第三インダクタL30とが隣り合う領域Rにおいて、第二インダクタL20は、二つのインダクタパターン142A及びインダクタパターン152Bが配置されており、第三インダクタL30は、一つのインダクタパターン152Cが配置されている。第二インダクタL20と第三インダクタL30とは、隣り合う領域Rにおいて磁気結合している。具体的には、インダクタパターン142A及びインダクタパターン152Bとインダクタパターン152Cとが、領域Rにおいて磁気結合している。
【0118】
インダクタパターン138Aは、第二方向D2において対向する上面(第一面)S11及び下面(第二面)S12を有している。上面S11は、主面(一方の主面)103c寄りに位置している。下面S12は、主面(他方の主面)103d寄りに位置している。インダクタパターン152Aは、第二方向D2において対向する上面(第一面)S21及び下面(第二面)S22を有している。上面S21は、主面103c寄りに位置している。下面S22は、主面103d寄りに位置している。インダクタパターン152Bは、第二方向D2において対向する上面(第三面)S31及び下面(第四面)S32を有している。上面S31は、主面103c寄りに位置している。下面S32は、主面103d寄りに位置している。上面S11及び下面S12、上面S21及び下面S22、並びに、上面S31及び下面S32は、たとえば、平坦面である。
【0119】
インダクタパターン138Aの上面S11及び下面S12と、インダクタパターン152Bの上面S31及び下面S32とは、第二方向D2において、高さ位置が異なっている。具体的には、インダクタパターン138Aの上面S11は、インダクタパターン152Bの上面S31よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103d側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン152Bの上面S31は、インダクタパターン138Aの上面S11よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103c側に位置している。インダクタパターン138Aの下面S12は、インダクタパターン152Bの下面S32よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103d側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン152Bの下面S32は、インダクタパターン138Aの下面S12よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103c側に位置している。
【0120】
インダクタパターン152Aの上面S21及び下面S22と、インダクタパターン152Bの上面S31及び下面S32とは、第二方向D2において、高さ位置が異なっている。具体的には、インダクタパターン152Aの上面S21は、インダクタパターン152Bの上面S31よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103c側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン152Bの上面S31は、インダクタパターン152Aの上面S21よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103d側に位置している。インダクタパターン152Aの下面S22は、インダクタパターン152Bの下面S32よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103c側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン152Bの下面S32は、インダクタパターン152Aの下面S22よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103d側に位置している。
【0121】
インダクタパターン152Aとインダクタパターン152Bとは、第一方向D1において互いに対向する部分を有している。インダクタパターン152Aとインダクタパターン152Bとは、第一方向D1から見て、少なくとも一部が重なっている。なお、インダクタパターン152Aとインダクタパターン152Bとは、第四方向から見て、少なくとも一部が重なっているとも言える。
【0122】
インダクタパターン142Aは、第二方向D2において対向する上面S41及び下面S42を有している。上面S41は、主面103c寄りに位置している。下面S42は、主面103d寄りに位置している。インダクタパターン152Cは、第二方向D2において対向する上面S51及び下面S52を有している。上面S51は、主面103c寄りに位置している。下面S52は、主面103d寄りに位置している。上面S41及び下面S42、並びに、上面S51及び下面S52は、たとえば、平坦面である。
【0123】
インダクタパターン142Aの上面S41及び下面S42と、インダクタパターン152Cの上面S51及び下面S52とは、第二方向D2において、高さ位置が異なっている。具体的には、インダクタパターン142Aの上面S41は、インダクタパターン152Cの上面S51よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103d側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン152Cの上面S51は、インダクタパターン142Aの上面S41よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103c側に位置している。インダクタパターン142Aの下面S42は、インダクタパターン152Cの下面S52よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103d側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン152Cの下面S52は、インダクタパターン142Aの下面S42よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103c側に位置している。
【0124】
インダクタパターン152Bの上面S31及び下面S32と、インダクタパターン152Cの上面S51及び下面S52とは、第二方向D2において、高さ位置が異なっている。具体的には、インダクタパターン152Bの上面S31は、インダクタパターン152Cの上面S51よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103d側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン152Cの上面S51は、インダクタパターン152Bの上面S31よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103c側に位置している。インダクタパターン152Bの下面S32は、インダクタパターン152Cの下面S52よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103d側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン152Cの下面S52は、インダクタパターン152Bの下面S32よりも第二方向D2において絶縁体103の主面103c側に位置している。
【0125】
インダクタパターン152Bとインダクタパターン152Cとは、第一方向D1において互いに対向する部分を有している。インダクタパターン152Bとインダクタパターン152Cとは、第一方向D1から見て、少なくとも一部が重なっている。なお、インダクタパターン152Bとインダクタパターン152Cとは、第四方向から見て、少なくとも一部が重なっているとも言える。
【0126】
図14に示されるように、電子部品100は、第一インダクタL10と、第二インダクタL20と、第三インダクタL30と、第一キャパシタC10と、第二キャパシタC20と、第三キャパシタC30と、第四キャパシタC120と、第五キャパシタC230と、を備えている。
【0127】
第一インダクタL10は、インダクタパターン138A及びインダクタパターン152Aを含んで構成されている。第二インダクタL20は、インダクタパターン142A及びインダクタパターン152Bを含んで構成されている。第三インダクタL30は、インダクタパターン141A及びインダクタパターン152Cを含んで構成されている。
【0128】
第一キャパシタC10は、キャパシタパターン116及びキャパシタパターン121によって構成されている。第二キャパシタC20は、キャパシタパターン117及びキャパシタパターン122によって構成されている。第三キャパシタC30は、キャパシタパターン118及びキャパシタパターン123によって構成されている。
【0129】
第四キャパシタC120は、キャパシタパターン114及びキャパシタパターン119によって構成されている。第五キャパシタC230は、キャパシタパターン115及びキャパシタパターン120によって構成されている。
【0130】
第一インダクタL10及び第一キャパシタC10は、第一LC共振器を構成している。第二インダクタL20及び第二キャパシタC20は、第二LC共振器を構成している。第三インダクタL30及び第三キャパシタC30は、第三LC共振器を構成している。
【0131】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品100では、第一インダクタL10と第二インダクタL20とが隣り合う領域Rにおいて、インダクタパターン152Aの上面S21とインダクタパターン152Bの上面S31との第二方向D2における位置、及び、インダクタパターン152Aの下面S22とインダクタパターン152Bの下面S32との第二方向D2における位置の少なくとも一方が異なる。このように、第一インダクタL10と第二インダクタL20とが隣り合う領域R、すなわち磁気結合する部分において、インダクタパターン152Aの上面S21とインダクタパターン152Bの上面S31との位置、及び/又は、インダクタパターン152Aの下面S22とインダクタパターン152Bの下面S32との位置を異ならせると、第一インダクタL10と第二インダクタL20との磁気結合の結合度が変化する。このように、電子部品100では、絶縁層の厚みに依存することなく、第一インダクタL10と第二インダクタL20との磁気結合を調整することができる。したがって、電子部品100では、インダクタの磁気結合の微調整することができる。
【0132】
[第三実施形態]
続いて、第三実施形態について説明する。図15(a)は、第三実施形態に係る電子部品を示す図であり、図15(b)は、図15(a)におけるb-b線に沿った断面図である。
【0133】
図15(a)に示される電子部品200は、ストリップライン型のフィルタである。図15(a)に示されるように、電子部品200は、絶縁体(素体)201と、第一端子202及び第二端子203と、インダクタパターン(第一インダクタパターン)204及びインダクタパターン(第二インダクタパターン)205と、を備えている。第一端子202は、入力端子である。第二端子203は、出力端子である。
【0134】
絶縁体201は、直方体形状を呈している。絶縁体201は、その外表面として、互いに対向している一対の端面201a,201bと、互いに対向している一対の主面201c,201dと、互いに対向している一対の側面201e,201fと、を有している。一対の端面201a,201bは、第一方向D1において対向している。一対の主面201c,201dは、第二方向D2において対向している。一対の側面201e,201fは、第三方向D3において対向している。
【0135】
絶縁体201は、複数の絶縁体層が積層されることによって構成されている。絶縁体層は、ポリイミドなどの有機絶縁材料からなる。絶縁体層は、第二方向D2に積層されている。すなわち、第二方向D2が積層方向である。実際の絶縁体201では、複数の絶縁体層は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0136】
インダクタパターン204は、長方形状を呈している。インダクタパターン204は、第一端子202に接続されている。インダクタパターン205は、長方形状を呈している。インダクタパターン205は、第二端子203に接続されている。インダクタパターン204は、第一方向D1において、端面201a寄りに配置されている。インダクタパターン205は、第一方向D1において、端面201b寄りに配置されている。
【0137】
図15(b)に示されるように、本実施形態では、インダクタパターン204及びインダクタパターン205の厚み(第二方向D2の寸法)は、同等である。
【0138】
インダクタパターン204とインダクタパターン205とは、第二方向D2から見て、第一方向D1において並んで配置されている。すなわち、インダクタパターン204を含んで構成される第一インダクタL21(図16参照)とインダクタパターン205を含んで構成される第二インダクタL22(図16参照)とは、隣り合うように配置されている。第一インダクタL21と第二インダクタL22とは、隣り合う領域Rにおいて磁気結合している。
【0139】
インダクタパターン204は、第二方向D2において対向する上面204S1及び下面204S2を有している。上面204S1は、主面201c寄りに位置している。下面204S2は、主面201d寄りに位置している。インダクタパターン205は、第二方向D2において対向する上面205S1及び下面205S2を有している。上面205S1は、主面201c寄りに位置している。下面205S2は、主面201d寄りに位置している。上面204S1及び下面204S2、並びに、上面205S1及び下面205S2は、たとえば、平坦面である。
【0140】
インダクタパターン204の上面204S1及び下面204S2と、インダクタパターン205の上面205S1及び下面205S2とは、第二方向D2において、高さ位置が異なっている。具体的には、インダクタパターン204の上面204S1は、インダクタパターン205の上面205S1よりも第二方向D2において絶縁体201の主面201c側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン205の上面205S1は、インダクタパターン204の上面204S1よりも第二方向D2において絶縁体201の主面201d側に位置している。インダクタパターン204の下面204S2は、インダクタパターン205の下面205S2よりも第二方向D2において絶縁体201の主面201c側に位置している。言い換えれば、インダクタパターン205の下面205S2は、インダクタパターン204の下面204S2よりも第二方向D2において絶縁体201の主面201d側に位置している。
【0141】
インダクタパターン204とインダクタパターン205とは、第一方向D1において互いに対向する部分を有している。インダクタパターン204とインダクタパターン205とは、第一方向D1から見て、少なくとも一部が重なっている。
【0142】
図16に示されるように、電子部品200は、第一インダクタL21と、第二インダクタL22と、を備えている。
【0143】
第一インダクタL21は、インダクタパターン204を含んで構成されている。第二インダクタL22は、インダクタパターン205を含んで構成されている。第一インダクタL21及び第二インダクタL22は、両端開放のλ/2共振器を構成している。
【0144】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品200では、第一インダクタL21と第二インダクタL22とが隣り合う領域Rにおいて、インダクタパターン204の上面204S1とインダクタパターン205の上面205S1との第二方向D2における位置、及び、インダクタパターン204の下面204S2とインダクタパターン205の下面205S2との第二方向D2における位置の少なくとも一方が異なる。このように、第一インダクタL21と第二インダクタL22とが隣り合う領域R、すなわち磁気結合する部分において、インダクタパターン204の上面204S1とインダクタパターン205の上面205S1との位置、及び/又は、インダクタパターン204の下面204S2とインダクタパターン205の下面205S2との位置を異ならせると、第一インダクタL21と第二インダクタL22との磁気結合の結合度が変化する。このように、電子部品200では、絶縁層の厚みに依存することなく、第一インダクタL21と第二インダクタL22との磁気結合を調整することができる。したがって、電子部品200では、インダクタの磁気結合の微調整することができる。
【0145】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0146】
上記第一実施形態では、第一インダクタL1がインダクタパターン55及びインダクタパターン79によって構成される形態を一例説明した。しかし、第一インダクタL1は、インダクタパターン79のみによって構成されていてもよい。この構成において、図9(a)に示されるように、インダクタパターン79とインダクタパターン80とが、第一方向D1又は第三方向D3から見て、第二方向D2において重なっている。この構成において、インダクタパターン79の上面79S1及び下面79S2と、インダクタパターン80の上面80S1及び下面80S2とが、第二方向D2において、高さ位置が異なっている。この構成では、インダクタパターン79とインダクタパターン80とが第二方向D2において同じ位置の場合、すなわち、インダクタパターン79の上面79S1及び下面79S2と、インダクタパターン80の上面80S1及び下面80S2とが第二方向D2において同じ高さ位置である場合に比べて、第一インダクタL1と第二インダクタL2との磁気結合の結合度を低下させることができる。
【0147】
上記第一実施形態では、インダクタパターン55及びインダクタパターン79とインダクタパターン80とが、第一方向D1において対向している部分を有する形態を一例に説明した。しかし、図9(b)に示されるように、インダクタパターン80は、第一方向D1においてインダクタパターン79のみと対向していてもよい。この構成では、第一インダクタL1と第二インダクタL2との磁気結合の結合度を低下させることができる。
【0148】
上記第一実施形態では、インダクタパターン55、インダクタパターン57、インダクタパターン79、インダクタパターン80及びインダクタパターン81の厚みが同等である形態を一例に説明した。しかし、図9(c)に示されるように、たとえば、インダクタパターン80の厚みが、インダクタパターン55、インダクタパターン57、インダクタパターン79及びインダクタパターン81の厚みよりも厚くてもよい。これにより、たとえば、インダクタパターン79の上面79S1と、インダクタパターン80の上面80S1との第二方向D2における高さ位置を異ならせることができる。この構成では、インダクタパターン80が、インダクタパターン79及びインダクタパターン55と磁気結合するため、第一インダクタL1と第二インダクタL2との磁気結合の結合度を高くすることができる。
【0149】
上記第一実施形態では、第一インダクタL1がインダクタパターン55及びインダクタパターン79により構成されており、第二インダクタL2及び第三インダクタL3がインダクタパターン80により構成されており、第四インダクタL4がインダクタパターン57及びインダクタパターン81により構成されている形態を一例に説明した。しかし、インダクタを構成するインダクタパターンの数は、設計に応じて適宜設定されればよい。
【0150】
この構成では、たとえば、第一インダクタが複数のインダクタパターンにより構成され、第二インダクタが複数のインダクタパターンにより構成される場合、第一インダクタと第二インダクタとが第一方向において隣り合う領域において、複数の第一インダクタパターンのうちの一つの第一インダクタパターンと、複数の第二インダクタパターンのうちの一つの第二インダクタパターンとの上面及び/又は下面の位置が少なくとも異なっていればよい。
【0151】
上記第一実施形態では、インダクタパターン55の上面55S1及び下面55S2が平坦面である形態を一例に説明した。しかし、上面55S1及び下面55S2は、湾曲面、凹凸面であってもよい。インダクタパターン57、インダクタパターン79、インダクタパターン80及びインダクタパターン81についても同様である。第二実施形態、第三実施形態において例示した各インダクタパターンについても、同様である。すなわち、第二実施形態において、インダクタパターン138Aの上面S11及び下面S12は、湾曲面、凹凸面であってもよい。インダクタパターン141A、インダクタパターン142A、インダクタパターン152A、インダクタパターン152B及びインダクタパターン152Cについても同様である。また、第三実施形態において、インダクタパターン204の上面204S1及び下面204S2は、湾曲面、凹凸面であってもよい。インダクタパターン205についても同様である。
【0152】
上記第一実施形態では、第一インダクタL1がインダクタパターン55及びインダクタパターン79を含んで構成され、第二インダクタL2がインダクタパターンを構成されており、第一インダクタL1と第二インダクタL2とにおいてインダクタパターンの数が異なる形態を一例に説明した。しかし、第一インダクタ及び第二インダクタのそれぞれのインダクタパターンの数は同じであってもよい。この構成では、第一インダクタと第二インダクタとが隣り合う領域において、インダクタパターンの数が異なっていてもよい。
【0153】
上記実施形態では、電子部品1,100,200がチップ部品である形態を一例に説明した。しかし、電子部品の形態はこれに限定されない。たとえば、電子部品は、複数の電子部品を含む集合体の中に含まれる一つの要素であってもよい。具体的には、電子部品は、たとえば、当該電子部品の製造プロセスにおいて集合基板(ウエハ)を用いて複数の電子部品を多数個取りする場合、一つの電子部品に個片化する前の複数の電子部品の集合体の中に含まれていてもよい。
【0154】
上記第三実施形態では、電子部品200において、第一インダクタL21及び第二インダクタL22が両端開放のλ/2共振器を構成している形態を一例に説明した。しかし、第一インダクタL21及び第二インダクタL22は、両端短絡のλ/2共振器を構成していてもいし、λ/4共振器を構成していてもよい。
【0155】
上記第三実施形態では、インダクタパターン204及びインダクタパターン205が長方形状を呈する形態を一例に説明した。しかし、インダクタパターン204及びインダクタパターン205の形状は、他の形状であってもよい。たとえば、インダクタパターン204及びインダクタパターン205は、円環状を呈していてもよい。この場合、一方のインダクタパターンの内側に、他方のインダクタパターンが配置されてもよい。
【0156】
上記電子部品は、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics:低温同時焼成セラミックス)フィルタに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0157】
1,100,200…電子部品、3,103,201…絶縁体(素体)、3a,3b,103a,103b,201a,201b…端面、3c,3d,103c,103d,201c,201d…主面、3e,3f,103e,103f,201e,201f…側面、55,79,138A,152A、204…インダクタパターン(第一インダクタパターン)、55S1…上面(第一面)、55S2…下面(第二面)、79S1…上面(第一面)、79S2…下面(第二面)、80,152B,205…インダクタパターン(第二インダクタパターン)、80S1…上面(第三面)、80S2…下面(第四面)、204S1…上面(第一面)、204S2…下面(第二面)、205S1…上面(第一面)、205S2…下面(第二面)、C1…第一キャパシタ、C2…第二キャパシタ、D1…第一方向、D2…第二方向、D3…第三方向、L1,L10…第一インダクタ、L2,L20…第二インダクタ、R…領域、S11,S21,S31…上面(第一面)、S12,S22,S32…下面(第二面)。
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