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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147189
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/18 20060101AFI20231004BHJP
   H05K 3/38 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H05K3/18 J
H05K3/38 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007796
(22)【出願日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2022052978
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】籠橋 進
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343AA02
5E343AA17
5E343BB24
5E343DD25
5E343DD33
5E343DD43
5E343EE36
5E343EE46
5E343GG02
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板の提供。
【解決手段】実施形態のプリント配線板は、第1導体層と、前記第1導体層上に形成されていて、前記第1導体層を露出するビア導体用の開口と第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有する樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有する。前記第2導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層とによって形成されている。前記シード層は、前記第1面上の第1部分と前記開口の内壁面上の第2部分と前記開口から露出する前記第1導体層上の第3部分とを有しており、前記第1部分は前記第2部分および前記第3部分より厚い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体層と、
前記第1導体層上に形成されていて、前記第1導体層を露出するビア導体用の開口と第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有する樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、
前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有するプリント配線板であって、
前記第2導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層とによって形成されており、
前記シード層は、前記第1面上の第1部分と前記開口の内壁面上の第2部分と前記開口から露出する前記第1導体層上の第3部分とを有しており、前記第1部分は前記第2部分および前記第3部分より厚い。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記第2部分は前記第3部分より厚い。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層は、第1層と前記第1層上に形成される第2層とを有しており、
前記第1層の前記第1部分は前記第1層の前記第2部分および前記第1層の前記第3部分より厚く、
前記第2層の前記第1部分は前記第2層の前記第2部分および前記第2層の前記第3部分より厚い。
【請求項4】
請求項3のプリント配線板であって、前記第1層の前記第2部分は前記第1層の前記第3部分より厚く、前記第2層の前記第2部分は前記第2層の前記第3部分より厚い。
【請求項5】
請求項3のプリント配線板であって、前記シード層の前記第1部分の厚さは、0.02μm以上1.0μm以下であり、前記第1層の前記第1部分の厚さは、0.01μm以上0.5μm以下であり、前記第2層の前記第1部分の厚さは、0.01μm以上0.9μm以下である。
【請求項6】
請求項3のプリント配線板であって、前記シード層の前記第2部分の厚さは、0.006μm以上0.6μm以下であり、前記第1層の前記第2部分の厚さは、0.003μm以上0.3μm以下であり、前記第2層の前記第2部分の厚さは、0.003μm以上0.6μm以下である。
【請求項7】
請求項3のプリント配線板であって、前記シード層の前記第3部分の厚さは、0.005μm以上0.4μm以下であり、前記第1層の前記第3部分の厚さは、0.002μm以上0.2μm以下であり、前記第2層の前記第3部分の厚さは、0.002μm以上0.4μm以下である。
【請求項8】
請求項1のプリント配線板であって、前記第2部分の厚さと前記第1部分の厚さとの比は0.3以上0.6以下であり、前記第3部分の厚さと前記第1部分の厚さとの比は0.25以上0.40以下である。
【請求項9】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層はスパッタリングで形成される。
【請求項10】
請求項3のプリント配線板であって、前記第1層と前記第2層は銅合金と銅の組み合わせからなる。
【請求項11】
請求項10のプリント配線板であって、前記銅合金中の銅の含有量(wt%)が90%以上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、樹脂基板と樹脂基板上に形成されている樹脂絶縁層と導体回路を有するプリント配線板を開示する。導体回路は、特定の金属を含む合金層を介して樹脂絶縁層上に形成されている。例えば、特許文献1の8段落に特定の金属は示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-124602号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1の合金層を備えるプリント配線板では、導体回路と樹脂絶縁層の密着力が十分ではないと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、第1導体層と、前記第1導体層上に形成されていて、前記第1導体層を露出するビア導体用の開口と第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有する樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有する。前記第2導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層とによって形成されている。前記シード層は、前記第1面上の第1部分と前記開口の内壁面上の第2部分と前記開口から露出する前記第1導体層上の第3部分とを有しており、前記第1部分は前記第2部分および前記第3部分より厚い。
【0006】
本発明の実施形態のプリント配線板によると、樹脂絶縁層の第1面上にシード層の厚い部位(第1部分)が配置される。そのため、第2導体層と樹脂絶縁層間の密着強度を高くすることができる。安定した性能を有するプリント配線板が得られる。
【0007】
第2部分の厚みが第1部分の厚みより薄い。シード層形成後のビア導体用の開口の体積を大きくすることができる。ビア導体用の開口の径が小さくても、ビア導体用の開口を電解めっき層で充填することができる。
【0008】
第1導体層とビア導体は第3部分を介して接続される。第3部分の厚みが第1部分の厚みより小さい。第3部分の影響を小さくすることができる。第3部分を介する接続抵抗が高くなりがたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
図2】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図3】シード層の一部を模式的に示す拡大断面図。
図4A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4F】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4G】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。図2は実施形態のプリント配線板2の一部を示す拡大断面図である。図1に示されるように、プリント配線板2は、絶縁層4と第1導体層10と樹脂絶縁層20と第2導体層30とビア導体40とを有する。
【0011】
絶縁層4は樹脂を用いて形成される。絶縁層4はシリカ、アルミナ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層4は、第3面6(図中の上面)と第3面6と反対側の第4面8(図中の下面)を有する。
【0012】
第1導体層10は絶縁層4の第3面6上に形成されている。第1導体層10は信号配線12とパッド14を含む。図に示されていないが、第1導体層10は信号配線12とパッド14以外の導体回路も含んでいる。第1導体層10は主に銅によって形成される。第1導体層10は、絶縁層4上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。シード層10aは第3面6上の第1層11aと第1層11a上の第2層11bで形成されている。第1層11aは銅合金で形成されている。銅合金中の銅の含有量(wt%)は90%以上である。第2層11bは銅で形成されている。電解めっき層10bは銅で形成されている。第1層11aは絶縁層4に接している。
【0013】
樹脂絶縁層20は絶縁層4の第3面6と第1導体層10上に形成されている。樹脂絶縁層20は第1面22(図中の上面)と第1面22と反対側の第2面24(図中の下面)を有する。樹脂絶縁層20の第2面24は第1導体層10と対向する。樹脂絶縁層20はパッド14を露出する開口26を有している。樹脂絶縁層20はエポキシ系樹脂とエポキシ系樹脂内に分散されている無機粒子で形成されている。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子は、例えば、シリカやアルミナである。
【0014】
樹脂絶縁層20の第1面22はほとんど樹脂で形成されている。第1面22から無機粒子は少量露出する。樹脂絶縁層20の第1面22には凹凸が形成されていない。第1面22は荒らされていない。第1面22は平滑に形成されている。
【0015】
第2導体層30は樹脂絶縁層20の第1面22上に形成されている。第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36とを含む。図に示されていないが、第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成している。第2導体層30は主に銅によって形成される。第2導体層30は、第1面22上のシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。シード層30aは第1面22上の第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。第1層31aは銅合金で形成されている。銅合金中の銅の含有量(wt%)は90%以上である。第2層31bは銅で形成されている。電解めっき層30bは銅で形成されている。第1層31aは第1面22に接している。
【0016】
ビア導体40は開口26内に形成されている。ビア導体40は第1導体層10と第2導体層30を接続する。図1ではビア導体40はパッド14とランド36を接続する。ビア導体40はシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。ビア導体40を形成するシード層30aと第2導体層30を形成するシード層30aは共通である。ビア導体40を形成するシード層30aは、開口26の内壁面27と開口26から露出するパッド14の上面を覆う第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。第1層31aはパッド14の上面と内壁面27に接している。
【0017】
シード層30aは、第1面22上の第1部分P1と、開口26の内壁面27上の第2部分P2と開口26から露出するパッド14上の第3部分P3とを有している。図3はシード層30aの一部を示す拡大断面図である。図3(a)は図2中の符号III-1で示される部分(第1部分P1)を示す。図3(b)は図2中の符号III-2で示される部分(第2部分P2)を示す。図3(c)は図2中の符号III-3で示される部分(第3部分P3)を示す。図3に示されるように、第1部分P1の厚さT1は、第2部分P2の厚さT2および第3部分P3の厚さT3より厚い。また、第2部分P2の厚さT2は第3部分P3の厚さT3より厚い。
【0018】
シード層30aが複数の層で形成される場合、厚さT1と厚さT2と厚さT3は各層の厚さの合計である。
【0019】
第1層31aの第1部分P1の厚さT1aは、第1層31aの第2部分P2の厚さT2aおよび第1層31aの第3部分P3の厚さT3aより厚い。また、第1層31aの第2部分P2の厚さT2aは第1層31aの第3部分P3の厚さT3aより厚い。
【0020】
他の層の厚さも第1層31aの厚さと同様な関係を有する。従って、シード層30aが2層で形成される場合、第2層31bの第1部分P1の厚さT1bは、第2層31bの第2部分P2の厚さT2bおよび第2層31bの第3部分P3の厚さT3bより厚い。また、第2層31bの第2部分P2の厚さT2bは第2層31bの第3部分P3の厚さT3bより厚い。
【0021】
第2層31bの厚さは第1層31aの厚さより厚い。厚さT1bは厚さT1aより厚い。厚さT2bは厚さT2aより厚い。厚さT3bは厚さT3aより厚い。
【0022】
樹脂絶縁層20の第1面22上のシード層30aの第1部分P1の厚さT1は、0.02μm以上1.0μm以下である。第1層31aの第1部分P1の厚さT1aは、0.01μm以上0.5μm以下である。第2層31bの第1部分P1の厚さT1bは、0.01μm以上0.9μm以下である。シード層30aの第1部分P1の厚さT1が0.02μm未満であると、例えば、樹脂絶縁層20とシード層30a間の密着強度が低い。第1部分P1の厚さT1が1.0μmをこえると、シード層のエッチング量が多くなるため、配線幅の制御が難しい。
【0023】
開口26の内壁面27上のシード層30aの第2部分P2の厚さT2は、0.006μm以上0.6μm以下である。第1層31aの第2部分P2の厚さT2aは、0.003μm以上0.3μm以下である。第2層31bの第2部分P2の厚さT2bは、0.003μm以上0.6μm以下である。開口26の内壁面27はプラズマで荒らされる。開口26の内壁面27は樹脂絶縁層20を形成する樹脂と無機粒子で形成される。シード層30aの第2部分P2の厚さT2とシード層30aの第1部分P1の厚さT1との比(T2/T1)は0.3以上、0.6以下である。
【0024】
開口26から露出するパッド14上のシード層30aの第3部分P3の厚さT3は、0.005μm以上0.4μm以下である。第1層31aの第3部分P3の厚さT3aは、0.002μm以上0.2μm以下である。第2層31bの第3部分P3の厚さT3bは、0.002μm以上0.4μm以下である。第3部分P3はビア導体40とパッド14との接続部になる。シード層30aの第3部分P3の厚さT3とシード層30aの第1部分P1の厚さT1との比(T3/T1)は0.25以上、0.40以下である。
【0025】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
図4A図4Gは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。図4A図4Gは断面図である。図4Aは絶縁層4と絶縁層4の第3面6上に形成されている第1導体層10を示す。第1導体層10はセミアディティブ法によって形成される。第1層11aと第2層11bはスパッタリングで形成される。電解めっき層10bは電解めっきで形成される。
【0026】
図4Bに示されるように、絶縁層4と第1導体層10上に樹脂絶縁層20と保護膜50が形成される。樹脂絶縁層20の第2面24が絶縁層4の第3面6と対向している。樹脂絶縁層20の第1面22上に保護膜50が形成されている。
【0027】
保護膜50は樹脂絶縁層20の第1面22を完全に覆っている。保護膜50の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜50と樹脂絶縁層20との間に離型剤が形成されている。
【0028】
図4Cに示されるように、保護膜50の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜50と樹脂絶縁層20を同時に貫通する。第1導体層10のパッド14に至るビア導体用の開口26が形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。開口26によりパッド14が露出される。開口26が形成される時、第1面22は保護膜50で覆われている。そのため、開口26が形成される時、樹脂が飛散しても、第1面22に樹脂が付着することが抑制される。
【0029】
その後、開口26内が洗浄される。開口26形成時に発生する樹脂残渣が除去される。開口26内の洗浄はプラズマによって行われる。即ち洗浄はドライプロセスで行われる。洗浄はデスミア処理を含む。開口26の内壁面27はプラズマで荒らされる。開口26の内壁面27は樹脂絶縁層20を形成する樹脂と無機粒子で形成される。一方、樹脂絶縁層20の第1面22は保護膜50で覆われている。第1面22はプラズマの影響を受けない。樹脂絶縁層20の第1面22には凹凸が形成されない。第1面22は荒らされない。第1面22は平滑に形成されている。
【0030】
図4Dに示されるように、樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。保護膜50除去後、樹脂絶縁層20の第1面22を荒らすことは行われない。
【0031】
図4Eに示されるように、樹脂絶縁層20の第1面22上にシード層30aが形成される。シード層30aはスパッタリングによって形成される。シード層30aの形成はドライプロセスで行われる。例えば、スパッタリングはマスクを介して行われる。まず、各ビア導体用の開口26を覆う第1マスクが樹脂絶縁層20上に配置される。第1マスクは樹脂絶縁層20の第1面22のみを露出する。第1マスクを介して樹脂絶縁層20の第1面22上に厚さT1aを有する第1部分P1が形成される。第1マスクが除去される。各ビア導体用の開口26の内壁面27のみを露出する第2マスクが樹脂絶縁層20上に配置される。第2マスクを介して内壁面27上に厚さT2aを有する第2部分P2が形成される。第2マスクが除去される。各ビア導体用の開口26から露出されるパッド14のみを露出する第3マスクが樹脂絶縁層20上に配置される。第3マスクを介してパッド14上に厚さT3aを有する第3部分P3が形成される。第3マスクが除去される。これにより、第1層31aが第1面22上に形成される。開口26から露出する内壁面27とパッド14上に第1層31aが形成される。その後、第1層31a上に第2層31bが形成される。第1層31aの形成方法と第2層31bの形成方法は同様である。第1層31aは銅合金で形成される。第2層31bは銅で形成される。
【0032】
スパッタリングで第1層31aと第2層31bが形成される。スパッタリングの条件の例が次に示される。ターゲットと樹脂絶縁層20の第1面22間の距離が50mm以上250mm以下である。電圧が15eV以上50eV以下である。ガス濃度が0.1Pa以上1.0Pa以下である。例えば、処理時間を変えることで、シード層30aの第1部分P1の厚さT1と第2部分P2の厚さT2と第3部分P3の厚さT3を調整することができる。第1層31aの第1部分P1の厚さT1aは、第1層31aの第2部分P2の厚さT2aおよび第1層31aの第3部分P3の厚さT3aより厚い(図3参照)。また、第1層31aの第2部分P2の厚さT2aは第1層31aの第3部分P3の厚さT3aより厚い。第2層31bの第1部分P1の厚さT1bは、第2層31bの第2部分P2の厚さT2bおよび第2層31bの第3部分P3の厚さT3bより厚い。また、第2層31bの第2部分P2の厚さT2bは第2層31bの第3部分P3の厚さT3bより厚い。この結果、シード層30aの第1部分P1の厚さT1は第2部分P2の厚さT2および第3部分P3の厚さT3より厚い。シード層30aの第2部分P2の厚さT2は第3部分P3の厚さT3より厚い。
【0033】
第2層31bの厚さと第1層31aの厚さとの比(第2層31bの厚さ/第1層31aの厚さ)は1.2以上2以下である。比(厚さT1b/厚さT1a)と比(厚さT2b/厚さT2a)、比(厚さT3b/厚さT3a)は1.2以上2以下である。
【0034】
第1部分P1は樹脂絶縁層20の第1面22上に形成され、第2部分P2は樹脂絶縁層20の内壁面27上に形成されている。第1部分P1と第2部分P2は共に樹脂絶縁層20上に形成されている。第1部分P1はランド36と第1信号配線32、第2信号配線34のシード層30aを形成する。第2部分P2はビア導体40のシード層30aを形成する。樹脂絶縁層20の熱膨張係数とシード層30aの熱膨張係数は異なる。そのため、プリント配線板2が熱衝撃を受けると、シード層30aにストレスが働くと考えられる。普通、第1信号配線32と第2信号配線34はビア導体40よりかなり長く曲がっている部分を含む。そのため、大きなストレスが第1信号配線32と第2信号配線34内の曲がっている部分に集中するはずである。それに対し、ビア導体40は短く、ほぼ真っすぐに形成されている。そのため、ビア導体40に関しては、ストレスの集中は起こりがたい。従って、樹脂絶縁層20の第1面22上のシード層30aの破断を避けるために、第1信号配線32と第2信号配線34を形成するシード層30aの厚さは大きいことが好ましい。それに対し、ビア導体40を形成する内壁面27上のシード層30aの厚みは小さくてもよい。そのため、実施形態は、厚さT1を厚さT2より大きくしている。
【0035】
第2部分P2の厚さT2を薄くすることで、シード層30aを形成するために必要な時間を短縮することができる。
【0036】
図4Fに示されるように、シード層30a上にめっきレジスト60が形成される。めっきレジスト60は、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36(図1)を形成するための開口を有する。
【0037】
図4Gに示されるように、めっきレジスト60から露出するシード層30a上に電解めっき層30bが形成される。電解めっき層30bは銅で形成される。電解めっき層30bは開口26を充填する。第1面22上のシード層30aと電解めっき層30bによって、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36が形成される。第2導体層30が形成される。開口26内のシード層30aと電解めっき層30bによって、ビア導体40が形成される。ビア導体40は、パッド14とランド36を接続する。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成する。
【0038】
厚さT2が薄いと、シード層30a形成後のビア導体40用の開口26の体積を大きくすることができる。そのため、電解めっき液が開口26内に入りやすい。ビア導体40を形成する電解めっき層30b内にボイドが形成され難い。低い抵抗を有するビア導体40を形成することができる。開口26の開口径(パッド14上の径)D(図4E参照)が30μm以下でも、ボイドを含まないビア導体40を形成することができる。開口径Dが10μm以上、25μm以下であっても、ビア導体40を介する接続信頼性が長期間安定である。このように、第2部分P2の厚さT2を小さくすることで、コストや生産性、信頼性を改善することができる。従って、厚さT2は厚さT1より小さいことが好ましい。
【0039】
その後、めっきレジスト60が除去される。電解めっき層30bから露出するシード層30aが除去される。第2導体層30とビア導体40は同時に形成される。実施形態のプリント配線板2(図1)が得られる。
【0040】
パッド14を形成する電解めっき層10bとビア導体40を形成する電解めっき層30bは第3部分P3を形成するシード層30aを挟んでいる。シード層30aはスパッタリングを用いて形成される。電解めっきとスパッタリング(スパッタ)は異なる手法なので、プリント配線板2が熱衝撃を受けると、両者の収縮量や膨張量は異なると考えられる。そのため、ビア導体40を介する接続信頼性はシード層30aとパッド14を形成する電解めっき層10b間で低下しやすい。あるいは、シード層30aとビア導体40を形成する電解めっき層30b間で低下しやすい。接続信頼性に対するスパッタ製シード層30aの影響度を小さくするため、パッド14上のスパッタ製シード層30aの厚さは薄いことが好ましい。そのため、実施形態は、第3部分P3の厚さT3を薄くする。具体的には、実施形態は厚さT3を厚さT1より小さくする。実施形態は厚さT3を厚さT2より小さくする。これにより、ビア導体40がスパッタ製シード層30aと電解めっき層30bで形成されても、高い接続信頼性を有するプリント配線板2を提供することができる。
【0041】
実施形態のプリント配線板2(図1図2)によると、樹脂絶縁層20の第1面22上にシード層30aの厚い部位(第1部分P1)が配置される。そのため、第2導体層30と樹脂絶縁層20間の密着強度を高くすることができる。安定した性能を有するプリント配線板1が提供される。
【0042】
実施形態のプリント配線板2では樹脂絶縁層20の第1面22はほとんど樹脂で形成されている。第1面22から無機粒子は少量露出する。第1面22には凹凸が形成されない。樹脂絶縁層20の第1面22近傍部分の比誘電率の標準偏差が大きくなることが抑制される。第1面22の比誘電率は場所によって大きく変わらない。第1信号配線32と第2信号配線34が第1面22に接していても、第1信号配線32と第2信号配線34間の電気信号の伝搬速度の差を小さくすることができる。そのため、実施形態のプリント配線板2ではノイズが抑制される。実施形態のプリント配線板2にロジックICが実装されても、第1信号配線32で伝達されるデータと第2信号配線34で伝達されるデータがロジックICにほぼ遅延なく到達する。ロジックICの誤動作を抑制することができる。第1信号配線32の長さと第2信号配線34の長さが5mm以上であっても、両者の伝搬速度の差を小さくすることができる。第1信号配線32の長さと第2信号配線34の長さが10mm以上、20mm以下であっても、ロジックICの誤動作を抑制することができる。図に示されないが、プリント配線板2の各辺の長さは50mm以上である。各辺の長さは100mm以上であることが好ましい。各辺の長さは250mm以下である。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0043】
[実施形態の別例]
実施形態の別例では、シード層10a、30aの第1層11a、31aは、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、カルシウム、マグネシウム、鉄、モリブデン、銀、のうちのいずれか1つの金属で形成されている。
【符号の説明】
【0044】
2 :プリント配線板
4 :絶縁層
10 :第1導体層
12 :信号配線
14 :パッド
20 :樹脂絶縁層
22 :第1面
24 :第2面
26 :開口
27 :内壁面
30 :第2導体層
30a :シード層
30b :電解めっき層
31a :第1層
31b :第2層
32 :第1信号配線
34 :第2信号配線
36 :ランド
40 :ビア導体
P1 :第1部分
P2 :第2部分
P3 :第3部分
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G