(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147209
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】配管設計支援システム、配管設計支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/18 20200101AFI20231004BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20231004BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20231004BHJP
G06F 113/14 20200101ALN20231004BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F30/12
G06F30/20
G06F113:14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027227
(22)【出願日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2022054217
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022144530
(32)【優先日】2022-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】小林 潤
(72)【発明者】
【氏名】新子 忠
(72)【発明者】
【氏名】大籔 直孝
(72)【発明者】
【氏名】宮川 公彦
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA03
5B146AA04
5B146DC01
5B146DG02
5B146DG07
5B146DJ14
(57)【要約】
【課題】配管設計に関連する計算に必要な配管構造の情報の入力の省力化を図る。
【解決手段】3次元による図面に配管部材を配置して形成された配管構造から衛生器具が接続されていない配管の末端を探索し、探索された末端の端部に基づく基点から所定範囲内に存在する衛生器具を、前記探索された末端に接続された衛生器具として設定する衛生器具接続部を備えて配管設計支援システムを構成する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元による図面に配管部材を配置して形成された配管構造から衛生器具が接続されていない配管の末端を探索し、探索された末端の端部に基づく基点から所定範囲内に存在する衛生器具を、前記探索された末端に接続された衛生器具として設定する衛生器具接続部を備える
配管設計支援システム。
【請求項2】
前記衛生器具接続部は、前記配管構造における排水配管構造のうちから配管の末端を探索し、探索された配管の末端に対して衛生器具が接続されていないと判定した場合に、さらに、前記図面における配管構造から前記配管の末端に対応する位置の給水栓を探索した場合には、当該給水栓の位置に基づく基点から所定範囲内に存在する衛生器具を、前記配管の末端に接続されるとともに前記給水栓が対応する衛生器具として設定する
請求項1に記載の配管設計支援システム。
【請求項3】
3次元による図面に配管部材を配置して形成された配管構造から衛生器具が接続されていない配管の末端を探索し、探索された末端の端部に基づく基点から所定範囲内に存在する衛生器具を、前記探索された末端に接続された衛生器具として設定する衛生器具接続ステップを含む
配管設計支援方法。
【請求項4】
配管設計支援システムにおけるコンピュータを、
3次元による図面に配管部材を配置して形成された配管構造から衛生器具が接続されていない配管の末端を探索し、探索された末端の端部に基づく基点から所定範囲内に存在する衛生器具を、前記探索された末端に接続された衛生器具として設定する衛生器具接続部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管設計支援システム、配管設計支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客が顧客情報装置を操作して入力した配管に関する所定の項目ごとの情報に基づいて、中央装置が排水負荷計算を行うようにされた排水負荷計算支援システムが知られている(例えば、特許文献参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように排水負荷計算等にあたっては配管構造に関する情報の入力が必要となる。このような配管構造に関する情報の入力はできるだけ省力化されることが好ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、配管設計に関連する計算に必要な配管構造の情報の入力の省力化が図られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、3次元による図面に配管部材を配置して形成された配管構造から衛生器具が接続されていない配管の末端を探索し、探索された末端の端部に基づく基点から所定範囲内に存在する衛生器具を、前記探索された末端に接続された衛生器具として設定する衛生器具接続部を備える配管設計支援システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、3次元による図面に配管部材を配置して形成された配管構造から衛生器具が接続されていない配管の末端を探索し、探索された末端の端部に基づく基点から所定範囲内に存在する衛生器具を、前記探索された末端に接続された衛生器具として設定する衛生器具接続ステップを含む配管設計支援方法である。
【0008】
また、本発明の一態様は、配管設計支援システムにおけるコンピュータを、3次元による図面に配管部材を配置して形成された配管構造から衛生器具が接続されていない配管の末端を探索し、探索された末端の端部に基づく基点から所定範囲内に存在する衛生器具を、前記探索された末端に接続された衛生器具として設定する衛生器具接続部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、配管設計に関連する計算に必要な配管構造の情報の入力の省力化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態における配管設計支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態における設計支援サーバの構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態における排水配管構造の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態における排水負荷計算サービス画面の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態における衛生器具割り当て操作画面の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態における3次元ビューワエリアでの表示態様例を示す図である。
【
図7】本実施形態における設計支援サーバが立て管の特定に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態における設計支援サーバが横主管の特定に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態におけるサブ横主管の特定について説明する図である。
【
図10】本実施形態における設計支援サーバが衛生器具接続処理に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【
図11】本実施形態における確認用設計図として、系統のハイライト表示が行われていない平常状態のときの態様例を示す図である。
【
図12】本実施形態における確認用設計図として、系統のハイライト表示が行われているときの態様例を示す図である。
【
図13】本実施形態における系統に対応する排水配管構造に対応して設けられた給水配管構造の一例を示す図である。
【
図14】本実施形態の第2変形例における設計支援サーバが衛生器具接続処理に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【
図15】本実施形態の第3変形例における設計支援サーバが衛生器具接続処理に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【
図16】本実施形態の第4変形例における設計支援サーバが衛生器具接続処理に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
図1は、本実施形態の配管設計支援システムの構成例を示している。本実施形態の配管設計支援システムは、クライアント端末100と設計支援サーバ200とを備える。
クライアント端末100は、設計支援サーバ200が提供する配管設計支援サービスの提供を受ける施工会社等がユーザとして使用する端末である。クライアント端末100は、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末などであってよい。
【0012】
クライアント端末100には、設計図アプリケーション101(図面を作成するアプリケーションの一例)とウェブブラウザ102とがインストールされている。
設計図アプリケーション101は、BIM(Building Information Modeling)の技術により施工対象の建物を3次元モデル化した図面(設計図)を作成するアプリケーションである。設計図アプリケーション101により作成される設計図においては、排水用の配管構造も含まれる。設計図において、配管構造を形成する配管部材には、それぞれ設計図内で一意となる配管部材識別子(GUID)が付与されている。
設計図アプリケーション101により作成される図面のファイル形式は、例えばIFC(Industry Foundation Classes)であってよい。IFCは、BIMに対応して3次元モデルの図面を作成する各種の設計図アプリケーション間で共通なファイル形式である。
なお、本実施形態の設計図アプリケーション101により作成される図面は、例えば2次元によるものであってもよいが、以下の説明では、3次元による図面である場合を例に挙げる。
【0013】
ウェブブラウザ102は、ウェブサイトへのアクセス機能を有するアプリケーションである。本実施形態のウェブブラウザ102は、設計支援サーバ200が提供する配管設計支援用のウェブサイトにログイン・アクセスする。ウェブブラウザ102が設計支援サーバ200にアクセスすることにより、ユーザは、設計支援サーバ200が提供する配管設計支援のサービスの提供を受けることができる。
なお、クライアント端末100から設計支援サーバ200への接続は、クライアント端末100上で動作する専用のアプリケーション、あるいは設計図アプリケーション101にインストールされて設計図アプリケーション101上で動作するアドオンソフトが実行してもよい。
【0014】
なお、設計支援サーバ200は、それぞれが異なる施工会社等に対応する複数のクライアント端末100のそれぞれに対応して配管設計支援サービスを提供可能とされてよい。また、クライアント端末100は、設計図アプリケーション101がインストールされた端末と、ウェブブラウザ102が接続された端末とで異なる装置として備えられてもよい。
【0015】
図2は、設計支援サーバ200の構成例を示している。同図の設計支援サーバ200は、通信部201、制御部202、及び記憶部203を備える。同図に示される設計支援サーバ200としての機能は、ハードウェアとしての設計支援サーバ200において備えられるCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより実現される。
通信部201は、ネットワーク経由で通信を行う。
【0016】
制御部202は、設計支援サーバ200において各種の制御を実行する。本実施形態の設計支援サーバ200は、配管設計支援として排水負荷計算を実行可能とされる。排水負荷計算は、排水配管構造における負荷流量を算出し、算出した負荷流量に応じた配管部材の種類、管径を導出する処理である。
制御部202は、排水負荷計算に対応する機能部として、データ取得部221、衛生器具割当部222、脚部継手特定部223、系統判別処理部224、排水負荷計算部225、及びデータ提供部226を備える。
【0017】
ユーザは、配管設計支援サービスを受けるにあたり、ウェブブラウザ102を設計支援サーバ200にアクセスさせたうえで、設計図アプリケーション101の設計図ファイルをウェブブラウザ102により設計支援サーバ200にアップロードさせる。
設計支援サーバ200において、データ取得部221は、アップロードされた設計図ファイルを取得する。データ取得部221は、アップロードされた設計図ファイルを、設計図ファイル記憶部233に記憶させる。
【0018】
衛生器具割当部222は、設計図ファイルにより示される排水配管構造において存在する衛生器具ごとに種別を割り当てる処理を実行する。衛生器具は、何らかのものを水で洗浄して排水する機能を有する器具である。衛生器具の種別には、例えば便器、バスタブ、洗面器等が含まれる。
【0019】
脚部継手特定部223は、設計図ファイルにより示される排水配管構造を形成する管部材(部品)のうちから脚部継手を特定する処理を実行する。脚部継手は、排水の配管構造において立て管の最下部と横管とを接続する90度で屈曲した継手である。
【0020】
系統判別処理部224(管種別特定部、系統設定部、衛生器具接続部の一例)は、系統判別処理を実行する。
系統判別処理部224は、系統判別処理として管種別特定処理を実行する。管種別特定処理は、設計図ファイルにより示される排水配管構造における立て管と横主管とを特定する処理である。
また、系統判別処理部224は、系統判別処理として系統設定処理を実行する。系統設定処理は、設計図ファイルにより示される排水配管構造における配管系統(以下、単に「系統」とも記載する)の設定を行う処理である。排水の配管構造では、脚部継手を基点に上方向に延伸する立て管と、当該脚部継手と基点に水平方向に延伸されるサブ横主管とを含む配管部が1つの系統として扱われる。なお、本実施形態における上記の「水平方向」は、「排水勾配」による傾きも含む概念である。系統判別処理部224は、系統設定処理として、排水配管構造において系統単位で区分するとともに区分された系統ごとに系統番号(配管系統識別子の一例)を付与する。
【0021】
また、系統判別処理部224は、設計図ファイルにより示される排水配管構造における配管の上流端部に衛生器具が接続されているか否かを判定する。本来であれば、排水配管構造における配管の上流端部のそれぞれには衛生器具が接続されている。しかしながら、設計図ファイルにより示される排水配管構造においては、排水配管構造の上流端部に衛生器具が接続されていない場合がある。このため、系統判別処理部224が、配管の上流端部に衛生器具が接続されているか否かを判定するようにされる。
【0022】
系統判別処理部224は、配管の上流端部に衛生器具が接続されていないと判定した場合において、衛生器具が接続されていないと判定された配管の上流端部に衛生器具を接続する処理を実行する。配管の上流端部に衛生器具が接続されていない場合において、例えばユーザの図面の作成が不完全であったなどの理由で、配管の上流端部と接続されてはいないが、当該端部の近傍に衛生器具が配置されている状態となっている場合がある。このような衛生器具は、本来は、近傍の配管の上流端部と接続されるべきものであるとみてよい。そこで、系統判別処理部224は、配管の上流端部の近傍に配置されている衛生器具が存在する場合には、当該衛生器具を配管の上流端部に接続されているものとして設定する。
【0023】
排水負荷計算部225は、排水負荷計算を実行する。排水負荷計算部225は、排水負荷計算として、排水配管構造における衛生器具の数、立て管、横主管等の配置状況に基づいて排水配管における負荷流量を算出し、算出した負荷流量に応じた管部材の種類、管径を導出する。
【0024】
データ提供部226は、系統判別処理部224により排水配管構造に対して設定された系統番号を示す系統番号情報や、排水負荷計算部225による導出結果に基づく各種の排水負荷関連情報(排水負荷計算、見積書、部材リスト、対策提案書等)を、クライアント端末100に提供する。
具体的に、データ提供部226は、クライアント端末100のウェブブラウザ102からのダウンロード要求に応じて、系統番号情報や排水負荷関連情報等のデータをウェブブラウザ102に送信するようにされてよい。ウェブブラウザ102は、送信されたデータをローカルに保存してよい。
【0025】
記憶部203は、設計支援サーバ200が対応する各種の情報を記憶する。記憶部203は、配管部材マスタ記憶部231、衛生器具マスタ記憶部232、設計図ファイル記憶部233、系統番号情報記憶部234、及び処理経過情報記憶部235を備える。
【0026】
配管部材マスタ記憶部231(配管部材情報記憶部の一例)は、配管部材マスタ(配管部材情報の一例)を記憶する。配管部材マスタは、排水配管に用いられる部品である配管部材ごとの所定の情報を格納したデータベースである。配管部材は、配管に用いられる部材であり、管状の管部材、継手、エルボ、脚部継手等が含まれる。
配管部材マスタにおいて1の配管部材に対応する情報は、例えば名称、メーカ、型番、種別分類、仕様等の情報を含んでよい。仕様の情報には、長さ、管径(内径、外径)等のサイズに関する情報が含まれてよい。
【0027】
衛生器具マスタ記憶部232は、衛生器具マスタを記憶する。衛生器具マスタは、衛生器具ごとの所定の情報を格納したデータベースである。衛生器具マスタにおいて1の衛生器具に対応する情報は、例えば名称、メーカ、型番、種別分類、仕様等の情報を含んでよい。
【0028】
設計図ファイル記憶部233は、クライアント端末100からアップロードされた設計図ファイルを記憶する。
【0029】
系統番号情報記憶部234は、系統番号情報を記憶する。系統番号情報は、排水配管構造における配管の系統ごとに対応付けられた(設定された)系統番号を示す情報である。
【0030】
処理経過情報記憶部235は、処理経過情報を記憶する。処理経過情報は、排水負荷計算のための手順の実行に応じて得られる情報である。
【0031】
上記構成による本実施形態の設計支援サーバ200は、配管設計支援サービスとして排水負荷計算サービスを提供可能とされている。排水負荷計算サービスは、ユーザが設計図アプリケーション101を使用して設計した排水配管構造を対象に排水負荷計算を行い、排水負荷計算結果に基づく情報をユーザに提供するサービスである。
【0032】
図3は、1つの系統に対応する排水配管構造の一例を示している。同図は、排水配管構造を2次元的に側面方向からみた図となる。
同図の排水配管構造における最下部分には、脚部継手LPJが設けられる。脚部継手LPJに対しては、上方向に沿って鉛直に配管(立て管)が延伸されている。立て管は、脚部継手LPJの上側鉛直方向に対して、立て管DPvと、立て管DPvどうしを接続する継手と、階ごとに対応して設けられる集合管継手CPJとを接続して形成される。また、配管の上側端部には、通気管VPが設けられる。
【0033】
集合管継手CPJは、対応の階における衛生器具からの排水を縦配管に合流させる継手である。集合管継手CPJの合流側の接続部は横枝管部BPhが接続される。横枝管部BPhには、対応の階に設置される衛生器具SNごとに対応する横枝管BPvがさらに接続され、当該横枝管BPvの上流端部には衛生器具SNが接続される。
【0034】
脚部継手LPJの水平方向に対しては、サブ横主管DPh-Sが接続される。同図では、2本のサブ横主管DPh-SがソケットSKにより連結されている場合が示されている。サブ横主管DPh-Sは、他の系統のサブ横主管DPh-S1と合流するチーズCHuまでの横主管部分であり、チーズCHuより下流の横主管部分は、メイン横主管DPh-Mとなる。
【0035】
図3から理解されるように、排水配管構造における1つの系統は、1つの脚部継手LPJを基点として上方向に延伸される配管構造部分と、同じ脚部継手LPJを基点として水平方向に延伸されるサブ横主管DPh-Sとを有して形成される。つまり、排水配管構造における系統は、それぞれ特定の1つの脚部継手を有して形成されるものとなる。従って、1の系統は、1の脚部継手によって特定されるものとなる。
【0036】
設計図ファイルにおいては、
図3に示されるような系統が複数設けられた排水管構造が示される。本実施形態における排水負荷計算は、
図3において示されるような系統ごとの排水配管構造を特定し、特定された排水配管構造において設けられる配管部材の種類、管径を導出する処理となる。
【0037】
そこで、以下に、排水負荷計算サービスに対応してユーザがクライアント端末100に対して行う操作と、設計支援サーバ200が実行する処理とについて、手順を追って説明する。
【0038】
ユーザは、排水負荷計算サービスを受けるにあたり、ウェブブラウザ102を設計支援サーバ200が提供する配管設計支援サービスのウェブサイトにログインさせ、ウェブブラウザ102がウェブサイトにアクセスした状態とする。そのうえで、ユーザは、ウェブブラウザ102により、排水負荷計算の対象となる排水配管構造が示される設計図のファイル(設計図ファイル)を排水負荷計算サイトにアップロードしておく。
なお、排水負荷計算サイトにアップロードする設計図ファイルは、アップロード元の設計図に含まれる設計内容の全体を含むものであってもよいし、排水負荷計算に必要とされる配管部材や衛生器具等の配管構造に関連する一部分を抽出したものであってもよい。
この際、設計支援サーバ200のデータ取得部221は、アップロードデータとしてウェブブラウザ102から送信された設計図ファイルを取得し、取得した設計図ファイルを設計図ファイル記憶部233に記憶させる。
【0039】
ユーザは、アクセスしたウェブサイトに対して操作を行って、配管設計支援サービスにおける複数のサービス項目のうちから排水負荷計算サービスを選択し、3次元ビューワを起動させる操作を行う。ここまでの操作に応じて、クライアント端末100には、アップロードされた設計図ファイルにより示される排水配管構造を3次元で表示した3次元ビューワ画面を含む排水負荷計算サービス画面が表示される。
【0040】
図4は、排水負荷計算サービス画面の一例を示している。同図の排水負荷計算サービス画面は、3次元ビューワエリアAR1と手順項目エリアAR2とが配置された態様である。
3次元ビューワエリアAR1においては、アップロードされた設計図ファイルによる設計図において示される排水配管構造が3次元空間にて表示されるエリアである。
【0041】
手順項目エリアAR2は、排水負荷計算サービスにおける手順と手順単位での進捗状況とを示すエリアである。
手順項目エリアAR2においては、手順ごとに対応する手順項目ボタンBT1(BT1-1~BT1-6)が配置されている。排水負荷計算サービスのもとでは、ユーザが手順項目ボタンBT1のうちから操作可能なもののいずれかを操作することで、操作された手順項目ボタンBT1に対応する手順に対応する処理が実行される。
【0042】
手順項目ボタンBT1-1が対応する1番目の手順項目は、衛生器具割り当てである。衛生器具割り当てについては後述する。
手順項目ボタンBT1-2が対応する2番目の手順項目は、脚部継手特定である。脚部継手特定については後述する。
手順項目ボタンBT1-3が対応する3番目の手順項目は、系統判別処理である。系統判別処理については後述する。
手順項目ボタンBT1-4が対応する4番目の手順項目は、横主管/立て管情報確認・入力である。横主管/立て管情報確認・入力については後述する。
手順項目ボタンBT1-5が対応する5番目の手順項目は、排水負荷計算の処理である。排水負荷計算の処理については後述する。
手順項目ボタンBT1-6が対応する6番目の手順項目は、成果物生成の処理である。成果物生成の処理については後述する。
【0043】
手順項目ボタンBT1ごとに対応する手順のうちには、先に実行された手順における処理結果を用いるものがある。つまり、手順項目ボタンBT1ごとに対応する手順のうちには、先に所定の手順が完了していなければ実行できないものがある。そこで、手順項目ボタンBT1は、現段階において対応の手順が実行可能なものについては操作可能であることを示す態様で表示され、現段階において対応の手順が実行不可のものについては、例えばグレーアウト等により操作が不可な態様で表示される。
【0044】
手順項目ボタンBT1(BT1-1~BT1-6)に対しては、それぞれ左側にて進捗表示エリアAR11(AR11-1~AR11-6)が配置されている。進捗表示エリアAR11は、対応の手順が完了しているか否かを示す。例えば、1つの進捗表示エリアAR11は、対応の手順が完了していなければ「未」が表示され、対応の手順が完了していれば「済」が表示される。
【0045】
また、手順項目エリアAR2においては、一時保存ボタンBT2が配置されている。一時保存ボタンBT2は、排水負荷計算サービスのもとで手順が進捗している過程において、これまでの手順を経て得られた結果を一時的に保存させる場合にユーザが操作するボタンである。
【0046】
ユーザは、まず、手順項目ボタンBT1のうち、衛生器具割り当ての手順項目が対応する手順項目ボタンBT1-1を操作する。手順項目ボタンBT1-1が操作されたことに応じて、ウェブブラウザ102は、衛生器具割り当て実行要求を設計支援サーバ200に送信する。
【0047】
設計支援サーバ200の衛生器具割当部222は、衛生器具割り当て実行要求の受信に応じて、以下のように衛生器具割り当てに対応する処理を実行する。
つまり、衛生器具割当部222は、設計図ファイル記憶部233が記憶する設計図ファイルの設計図から衛生器具を検索する。衛生器具割当部222は、衛生器具マスタ記憶部232が記憶する衛生器具マスタにおいて示される衛生器具の名称(あるいは型番でもよい)と、設計図において配置されるオブジェクトに付されている名称(あるいは型番)とを照合することで、設計図に配置されるオブジェクトのうちから衛生器具を検索してよい。また、衛生器具割当部222は、検索した衛生器具ごとに、衛生器具マスタにおいて示される該当の衛生器具(衛生器具種別)の種別を割り当てる。
【0048】
衛生器具割当部222は、3次元ビューワエリアAR1において、検索した衛生器具のオブジェクトごとに割り当てられた衛生器具種別が示されるようにする。このように表示される3次元ビューワエリアAR1を見ることで、ユーザは、設計図にける衛生器具の配置と、配置された衛生器具のそれぞれの衛生器具種別とを確認することができる。
【0049】
例えば設計図の段階で衛生器具に付されていた名称等が誤っていたことなどが原因で、3次元ビューワエリアAR1において示される衛生器具種別の割り当てが実際と異なっている場合がある。このように衛生器具種別の割り当てが異なっている場合には、ユーザが操作を行って衛生器具種別の割り当てを修正することができる。
この場合、ユーザは、所定操作を行って、排水負荷計算サービス画面上に、衛生器具割り当て操作画面を表示させる。
【0050】
図5は、衛生器具割り当て操作画面の一例を示している。衛生器具割り当て操作画面においては、衛生器具種別のリストが表示されている。衛生器具種別のリスト項目LSTは、部品名、型番、種別分類(便器、洗面、洗濯等)の情報を含む。部品名、型番、種別分類により衛生器具種別が特定される。また、リスト項目LSTにおいては、割当変更ボタンBT11が配置されている。
【0051】
ユーザは、3次元ビューワエリアAR1において衛生器具種別の割り当てが異なっている衛生器具を指定する操作を行ったうえで、衛生器具割り当て操作画面において、指定した衛生器具に割り当てるべき衛生器具種別のリスト項目LSTに配置された割当変更ボタンBT11を操作する。
衛生器具割当部222は、3次元ビューワエリアAR1にて指定されている衛生器具のオブジェクトに対する衛生器具種別の割り当てを、割当変更ボタンBT11が操作されたリスト項目LSTが対応する衛生器具種別に変更する。
ユーザは、例えば衛生器具種別の割り当てが異なっていた衛生器具のそれぞれの衛生器具種別の割り当てを変更したうえで、OKボタンBT12を操作する。衛生器具割当部222は、OKボタンBT12が操作されたことに応じて、これまでの衛生器具種別の割り当ての変更結果を、処理経過情報として処理経過情報記憶部235に記憶させ、これまでの衛生器具割り当ての手順を終了する。衛生器具割り当ての終了に伴い、これまで表示されていた衛生器具割り当て操作画面は消去される。
なお、衛生器具割当部222は、OKボタンBT12が操作されたことに応じて、衛生器具種別の割り当ての変更結果が反映されるように、設計図ファイル記憶部233が記憶する設計図ファイルを更新してもよい。
【0052】
また、ユーザは、衛生器具種別の割り当ての変更をキャンセルしたい場合にはキャンセルボタンBT13を操作する。キャンセルボタンBT13が操作されたことに応じて、衛生器具割当部222は、これまでの衛生器具種別の割り当ての変更結果を処理経過情報記憶部235に記憶させることなく、これまでの衛生器具割り当ての手順を終了する。
【0053】
このように衛生器具割り当ての手順が終了されたことに応じて、排水負荷計算サービス画面の手順項目エリアAR2内の衛生器具割り当ての手順に対応する進捗表示エリアAR11-1は、これまで「未」が表示されていた状態から、「済」が表示された状態に変化する。
【0054】
次に、ユーザは、脚部継手特定の手順に進めるために、手順項目エリアAR2において脚部継手特定に対応する手順項目ボタンBT1-2を操作する。手順項目ボタンBT1-2が操作されたことに応じて、ウェブブラウザ102は、脚部継手特定の実行要求を設計支援サーバ200に送信する。
脚部継手特定の実行要求の受信に応じて、設計支援サーバ200の脚部継手特定部223は、以下のように脚部継手特定に応じた処理を実行する。つまり、脚部継手特定部223は、脚部継手LPJを特定する。具体的に、脚部継手特定部223は、設計図ファイル記憶部233が記憶する設計図ファイルの設計図において排水配管構造を形成する配管部材のうちから、例えば配管部材の種別分類や名称が脚部継手LPJであるものを検索することで、脚部継手LPJを特定する。
【0055】
脚部継手特定部223は、配管部材マスタ記憶部231が記憶する配管部材マスタにおいて示される配管部材の名称(あるいは型番でもよい)と、設計図において配置されるオブジェクトに付されている名称(あるいは型番)とを照合することで、設計図に配置されるオブジェクトのうちから脚部継手を特定してよい。
【0056】
脚部継手特定部223は、脚部継手LPJを特定すると、
図6に示すように、排水負荷計算サービス画面の3次元ビューワエリアAR1において、特定された脚部継手LPJを強調表示した3次元の排水配管構造を表示させる。なお、強調表示は、例えば脚部継手LPJを他の配管部材と異なる所定の色により表示するというものであってよい。
ユーザは、脚部継手LPJが強調表示された3次元ビューワエリアAR1を見ることで、設計したとおりに脚部継手LPJが特定されているか否かを確認することができる。
【0057】
例えば、設計図の段階で脚部継手LPJに付されていた名称等が誤っていたことなどが原因で、検索されなかった脚部継手LPJが存在する場合がある。このように特定されなかった脚部継手LPJは、3次元ビューワエリアAR1において強調表示されていない状態にある。
ユーザは、3次元ビューワエリアAR1において、設計上は脚部継手LPJであるのに特定されていない(強調表示されていない)脚部継手LPJの箇所があることを確認した場合、当該特定されていない箇所を脚部継手LPJとして指定する操作を行う。脚部継手LPJとして指定する操作は、例えば該当の箇所にカーソルCSを移動させてクリックする操作であってよい。
このように脚部継手LPJとして指定する操作が行われたことに応じて、指定された箇所に該当する配管部材は、新たに脚部継手LPJとして特定され、強調表示される状態に変化する。
【0058】
ユーザは、3次元ビューワエリアAR1において特定されていない脚部継手LPJの箇所の全てについて、上記と同様の操作で脚部継手LPJとして特定させると、脚部継手特定の手順を終了させる所定の操作を行う。脚部継手特定の手順を終了させる操作は、例えばエスケープキーの操作であってよい。
このように脚部継手特定の手順が終了されたことに応じて、脚部継手特定部223は、これまでの脚部継手LPJの特定結果を処理経過情報として処理経過情報記憶部235に記憶させ、これまでの脚部継手特定の手順を終了する。
【0059】
脚部継手特定の手順が終了したことに応じて、排水負荷計算サービス画面の手順項目エリアAR2内の脚部継手特定の手順に対応する進捗表示エリアAR11-2は、これまで「未」が表示されていた状態から、「済」が表示された状態に変化する。
【0060】
上記のようにして脚部継手特定の手順を完了させたユーザは、次に、系統判別処理の手順を実行させることになる。脚部継手特定の手順が完了した段階では、手順項目エリアAR2において系統判別処理の手順に対応する手順項目ボタンBT1-3は操作可能な状態となっている。そこで、ユーザは、手順項目ボタンBT1-3を操作する。ウェブブラウザ102は、手順項目ボタンBT1-3が操作されたことに応じて、設計支援サーバ200に系統判別処理の実行要求を送信する。
系統判別処理の実行要求の受信に応じて、設計支援サーバ200の系統判別処理部224は、系統判別処理を実行する。系統判別処理部224が系統判別処理を実行しているとき、排水負荷計算サービス画面上には、例えば系統判別処理が実行中である旨をユーザに通知するポップアップが表示される。当該ポップアップが表示されているとき、排水負荷計算サービス画面に対する操作は不可となるようにされてよい。
【0061】
系統判別処理部224は、系統判別処理として管種別特定処理を実行する。管種別特定処理は、排水配管構造から管種別として立て管と横主管とのそれぞれを特定する処理である。系統判別処理部224は、立て管を特定するにあたり、必要に応じて特定された立て管を含む系統についての系統番号を付す処理を実行する。また、系統判別処理部224は、横主管の特定にあたりサブ横主管(単横主管の一例)とメイン横主管(合流横主管の一例)とを特定する。
【0062】
図7のフローチャートを参照して、系統判別処理部224が立て管の特定に関連して実行する処理手順例について説明する。系統判別処理部224は、排水配管構造における系統ごとに立て管の特定を行う。
図7は、系統単位で、順次立て管の特定を行う処理手順となる。
【0063】
ステップS100:系統判別処理部224は、排水配管構造において存在する系統のうちから処理対象とする1つの系統を選択する。
図3を参照して説明したように、1の系統は1の脚部継手によって特定される。そこで、系統判別処理部224は、排水配管構造において先の脚部継手特定の手順により特定されている脚部継手のうちから1の脚部継手を選択することで1の系統を選択するようにされてよい。
【0064】
ステップS102:系統番号は設計図ファイルの設計図において、例えば脚部継手に対応付けるようにして付与されてよい。脚部継手は系統の基点となる配管部材となる。そこで、脚部継手に系統番号を対応付けるようにすれば、当該脚部継手を基点として接続される立て管、サブ横主管等の配管部材は、同じ系統番号の系統に属するものとして扱うことができる。なお、上記の立て管、サブ横主管には、それぞれ異なる系統番号を付与して、個別に排水負荷計算が行われる場合があってもよい。
本実施形態の配管設計支援システムにおいて、ユーザは、例えば設計図アプリケーション101により設計図に対して設計内容の変更を行う都度に、設計支援サーバ200による負荷計算サービスを利用して、変更後の設計内容に対応する負荷計算結果を得ることができる。このため、例えば設計変更が行われたことで、排水配管構造において系統番号が付与されていない新たな系統が存在することとなる場合がある。
そこで、系統判別処理部224は、先のステップS100により選択した系統に系統番号が付与済みであるか否かを判定する。具体的に、系統判別処理部224は、設計図ファイルの設計図において、今回選択した系統を形成する配管部材の少なくとも1つに系統番号が付与されているか否により、選択した系統に系統番号が付与済みであるか否かを判定してよい。
【0065】
ステップS104:ステップS102にて系統番号が付与済みでないと判定された場合、系統判別処理部224は、今回のステップS100により選択した系統に系統番号を付与する。つまり、系統判別処理部224は、設計図において未だ付与されていない番号による系統番号を生成し、生成した系統番号を、今回のステップS100により選択した系統に系統番号を対応付ける。この際には、系統に含まれる脚部継手に系統番号を付与しておくことにより系統に対して系統番号を付したものとしてよいし、同じ系統に含まれる全ての配管部材のそれぞれに系統番号を付与してもよい。
一方、ステップS102にて系統番号が付与されていると判定された場合には、当該ステップS104の処理がスキップされる。
【0066】
例えば、同図の処理に際して、系統判別処理部224は、排水配管構造において存在する全ての系統ごとの系統番号を新たに付与することも可能である。しかしながら、上記のステップS104の処理によれば、既に系統番号が付与されている系統については、付与されている系統番号が変更されることなく維持される。
ユーザは、設計図における設計内容を変更するにあたり、これまでに付与されている系統番号を参考にして作業を行うことになる。このため、再設計により排水負荷計算を行うたびに系統に付与される系統番号が異なってしまうと、次の再設計の作業の効率を低下させる要因となる。そこで、本実施形態においては、上記のように、既に系統番号が付与されている系統については、これまでと同じ系統番号が付与される状態が維持されるようにしている。
【0067】
ステップS106:ステップS102にて系統番号が付与済みであると判定された場合、あるいはステップS106の処理の後、系統判別処理部224は、対応の脚部継手を基点として鉛直上方向に次の管部材の探索を行う。系統判別処理部224は、設計図ファイルを参照して管部材の探索を行う。管部材の探索にあたって、系統判別処理部224は、設計図において配管部材ごとに示される種別分類、名称、型番等により管部材であるか否かを判断することができる。当該ステップS106において系統判別処理部224が判断に用いる種別分類は、例えば、IFCのファイル形式のもとで定義されているものであってよい。
1の系統における最初(1回目)のステップS106は、対応の脚部継手と接続される管部材の探索となる。2回目以降のステップS106は、前回のステップS106により探索された管部材の上側端部に対して接続される管部材の探索となる。管部材どうしはソケット等の継手により接続されていてよい。
【0068】
ステップS108:系統判別処理部224は、ステップS106による探索の結果、管部材が存在するか否かを判定する。
ステップS110:ステップS108により管部材の存在することが判定された場合、系統判別処理部224は、存在の判定された管部材の部品としての種別が通気管であるか否かを判定する。系統判別処理部224は、通気管であるか否かを判定してよい。
【0069】
ステップS112:ステップS110にて通気管ではないと判定された場合、系統判別処理部224は、今回の探索された管部材が立て管であると特定する。この際、系統判別処理部224は、特定した立て管について、設計図において系統番号が付与されているか否かを判定する。特定した立て管を含む系統が、設計図アプリケーション101を用いた設計図の作成に際して新たに追加されたような場合、特定した立て管を含む系統に系統番号が設定されていない場合がある。この場合、特定した立て管には系統番号が付与されていない。また、特定した立て管を含む系統について系統番号が設定されていても、対応の系統において変更があったような場合には、特定した立て管に系統番号が付与されていない場合がある。なお、このように図面において系統番号が付与されないことのある事情については、後述のサブ横主管についても同様である。
系統判別処理部224は、特定した立て管について、設計図において系統番号が付与されていないと判定した場合、当該特定した立て管の配管部材識別子に対して、現在処理対象とされている系統の系統番号を付すようにされる。
処理経過情報記憶部235は、処理経過情報の1つとして、系統ごとに対応して立て管を登録した立て管情報を記憶する。系統判別処理部224は、立て管であると特定した管部材に当該管部材に付与された系統番号を対応付けて対象の系統の立て管情報に登録する。
【0070】
ステップS114:処理経過情報記憶部235は、処理経過情報の1つとして、系統ごとに対応して通気管を登録した通気管情報を記憶する。系統判別処理部224は、ステップS110にて通気管であると判定された場合、今回のステップS110にて通気管として判定された管部材を対象の系統の通気管情報に登録する。
【0071】
上記のステップS112、ステップS114の処理の後は、ステップS106に処理が戻されることで、対象の系統における鉛直上方向への管部材の探索が繰り返される。そして、対象の系統において鉛直上方向に接続された最も上部の管部材まで探索が行われると、次のステップS108にて管部材が存在しないと判定され、対象の系統における立て管の特定が完了したことになる。
【0072】
ステップS116:ステップS108にて管部材が存在しないと判定され、対象の系統における立て管の特定が完了した場合、系統判別処理部224は、全ての系統を対象として立て管を特定する処理が完了したか否かを判定する。
全ての系統を対象とする立て管の特定が完了していないと判定された場合には、ステップS100に処理が戻されることで、次の処理対象の系統について立て管を特定する処理が実行される。
そして、当該ステップS116にて全ての系統を対象とする立て管の特定が完了したと判定されると、同図の処理が終了される。
【0073】
図7による立て管の特定の処理が完了すると、系統判別処理部224は、横主管を特定する処理を実行する。横主管を特定する処理は、系統ごとにおけるサブ横主管を特定する処理と、サブ横主管が合流するメイン横主管とを特定する処理となる。
【0074】
図8のフローチャートは、系統判別処理部224が横主管の特定に関連して実行する処理手順例を示している。
ステップS200:系統判別処理部224は、まず、系統ごとに対応してサブ横主管の特定を行う。そこで、系統判別処理部224は、サブ横主管特定の処理の対象とする系統を選択する。
【0075】
ステップS202:系統判別処理部224は、ステップS200により選択した系統に対応する脚部継手を基点として水平(横)方向に接続される管部材の探索を行う。1の系統における1回目のステップS202は、脚部継手に接続される管部材の探索となる。2回目以降のステップS202は、前回のステップS202により探索された管部材に接続される管部材の探索となる。
【0076】
ステップS204:系統判別処理部224は、ステップS202による探索の結果、探索された管部材が存在したか否かを判定する。
ステップS206:ステップS204により管部材が存在すると判定された場合、系統判別処理部224は、当該管部材を、対象の系統に属するサブ横主管として特定する。この際、系統判別処理部224は、特定したサブ横主管について、設計図において系統番号が付与されているか否かを判定する。系統判別処理部224は、特定したサブ横主管について設計図において系統番号が付与されていないと判定した場合、当該特定したサブ横主管の配管部材識別子に対して、現在処理対象とされている系統の系統番号を付すようにされる。なお、この際に、サブ横主管に付与された系統番号と当該サブ横主管に接続された脚部継手に付与された系統番号とが異なる場合は、脚部継手に付与された系統番号を優先して、系統の系統番号として採用してもよい。
処理経過情報記憶部235は、処理経過情報の1つとして、系統ごとに対応してサブ横主管を登録したサブ横主管情報を記憶する。系統判別処理部224は、今回のステップS206にてサブ横主管として特定した管部材を、対象の系統のサブ横主管情報に登録する。例えば、系統判別処理部224は、今回サブ横主管として特定した管部材に付与されている配管部材識別子に対してサブ横主管であることを示す情報を対応付けてサブ横主管情報に格納してよい。
【0077】
ステップS208:ステップS204にて管部材が存在しないと判定された場合、あるいはステップS206の処理の後、系統判別処理部224は継手を探索する。
ステップS210:系統判別処理部224は、ステップS208の探索による探索の結果、継手が存在したか否かを判定する。継手が存在しないと判定された場合には、ステップS202に処理が戻される。
【0078】
ステップS212:ステップS210にて継手が存在すると判定された場合、系統判別処理部224は、今回探索された継手をサブ横主管情報に登録する。例えば、系統判別処理部224は、今回継手として探索された管部材に付与されている配管部材識別子に対して配管部材種別が継手であることを示す情報を対応付けてサブ横主管情報に格納してよい。また、系統判別処理部224は、今回探索された継手に系統番号が付されていない場合には、今回継手として探索された管部材の配管部材識別子に対して、現在処理対象とされている系統の系統番号を付すようにされる。
【0079】
ステップS214:継手の種類には、ソケット、エルボ、チーズ等が含まれる。そこで、系統判別処理部224は、今回探索された継手についてチーズではないか否かを判定する。系統判別処理部224は、設計図において示される該当の配管部材に対応付けられている名称、型番等に基づいてチーズか否かを判定してよいし、配管部材の接続口の数に基づいてチーズか否かを判定してもよい。
ステップS214にてチーズではないと判定された場合、ステップS202に処理が戻される。
なお、ステップS214にてチーズではないと判定された場合において、例えば今回探索された継手が鉛直方向に変位するエルボであった場合、系統判別処理部224は、エルボによる配管のオフセット高さを計算してよい。
【0080】
ステップS216:ステップS214にてチーズであると判定された場合、系統判別処理部224は、設計図を参照して、横主管(サブ横主管またはメイン横主管)が当該チーズの接続口と接続(合流)されているか否かを判定する。
チーズに横主管(サブ横主管またはメイン横主管)が接続されていると判定された場合には、対象の系統に属する全てのサブ横主管の特定が完了したことになる。この際、系統判別処理部224は、今回探索されたチーズに系統番号が付されていない場合には、今回探索されたチーズとしての配管部材の配管部材識別子に対して、現在処理対象とされている系統の系統番号を付すようにされる。その後、後述のステップS220に処理が移行される。
【0081】
ステップS218:ステップS216にてチーズに他の横主管が接続されていないと判定された場合、系統判別処理部224は、今回探索されたチーズを合流なしの継手としてサブ横主管情報に登録する。
また、系統判別処理部224は、今回探索されたチーズに系統番号が付されていない場合には、今回探索されたチーズとしての管部材の配管部材識別子に対して、現在処理対象とされている系統の系統番号を付すようにされる。
【0082】
ステップS220:ステップS216にてチーズに他の横主管が接続されていると判定された場合、系統判別処理部224は、全ての系統を対象としてサブ横主管特定の処理が完了したか否かを判定する。サブ横主管特定の処理が完了していない系統が残っている場合には、ステップS200に処理が戻される。これにより、次に選択された系統を処理対象として、サブ横主管の特定が行われる。
【0083】
ステップS222:ステップS220にて全ての系統の処理が完了したと判定された場合、系統判別処理部224は、メイン横主管を特定する。メイン横主管を特定するにあたり、系統判別処理部224は、設計図を参照して、これまでの処理により認識したサブ横主管同士の合流チーズよりも下流に配置される横主管をメイン横主管として特定する。
系統判別処理部224は、特定したメイン横主管ごとに固有となる番号もしくは記号等によるメイン横主管識別子を付してよい。
【0084】
ステップS224:処理経過情報記憶部235は、処理経過情報の1つとして、メイン横主管を登録したメイン横主管情報を記憶する。系統判別処理部224は、ステップS222にてメイン横主管として特定した管部材を、メイン横主管情報に登録する。
【0085】
図9に示される排水配管構造を例に、
図8の処理手順によるサブ横主管の特定の一具体例について説明する。
同図の排水配管構造の範囲においては、3つの脚部継手LPJ1、脚部継手LPJ2、脚部継手LPJ3が配置されている。つまり、同図の排水配管構造の範囲においては3つの系統が存在している。同図においては、脚部継手LPJ1が対応する系統に系統番号1が付され、脚部継手LPJ2が対応する系統に系統番号2が付され、脚部継手LPJ3が対応する系統に系統番号3が付された場合が示されている。
【0086】
例えば、系統判別処理部224は、最初のステップS200により脚部継手LPJ1に対応する系統番号1の系統を処理対象として選択した。次に系統判別処理部224は、対象の系統において1回目のステップS202~S206によりサブ横主管DPh-S11を特定する。次に、系統判別処理部224は、サブ横主管DPh-S11に接続されているエルボEB1に対応して、ステップS208~S218の処理を実行し、ステップS202に処理を戻す。次に、系統判別処理部224は、対象の系統において2回目のステップS202~206により、エルボEB1の下流に接続されるサブ横主管DPh-S12を特定する。次に、系統判別処理部224は、ステップS208~S214、S216により、サブ横主管DPh-S12に接続されるチーズCH1を探索して対応の系統の処理を終了する。
【0087】
次に、系統判別処理部224は、2回目のステップS200により脚部継手LPJ2に対応する系統番号2の系統を処理対象として選択した。次に、系統判別処理部224は、ステップS202~S206によりサブ横主管DPh-S21を特定する。次に、系統判別処理部224は、ステップS208~S214、S222の処理により、チーズCH1を探索して対応の系統の処理を終了する。
【0088】
次に、系統判別処理部224は、3回目のステップS200により脚部継手LPJ3に対応する系統番号3の系統を処理対象として選択した。この場合、系統判別処理部224は、対象の系統において1回目のステップS202~S206によりサブ横主管DPh-S31を特定する。次に、系統判別処理部224は、ステップS208~S220の処理により、エルボEB3aを特定して1回目のステップの処理を終了する。
系統判別処理部224は、対象の系統において2回目のステップS202~S206によりサブ横主管DPh-S32を特定する。次に、系統判別処理部224は、ステップS208~S218によりエルボEB3bを特定する。
次に、系統判別処理部224は、対象の系統において3回目のステップS202~S206によりサブ横主管DPh-S33を特定する。次に、系統判別処理部224は、ステップS208~S214、S222の処理により、サブ横主管DPh-S33に接続されるチーズCH3を特定して対応の系統の処理を終了する。
【0089】
同図に示される排水配管構造の範囲に対応して、系統判別処理部224は、サブ横主管同士が合流するチーズとしてのチーズCH1の下流に配置される横主管をメイン横主管(DPh-M1、DPh-M2)として特定する。
【0090】
図7、
図8の処理手順により立て管と横主管(サブ横主管、メイン横主管)の特定を行った後、系統判別処理部224は、系統判別処理として、衛生器具接続処理を実行する。
排水配管構造においては、本来であれば衛生器具のそれぞれがしかるべき配管の上流端部と接続されている。しかしながら、実際の設計図においては、いずれの配管の上流端部とも接続されていない状態の衛生器具が存在する場合がある。このような状態は、例えば設計図の作成にあたり、作成者が設計図内に衛生器具を配置したものの、配置した衛生器具に配管の上流端部を接続させる作業を怠ってしまったような場合に生じる。
本実施形態の衛生器具接続処理は、上記のように設計図において配管の上流端部と接続されていない衛生器具をしかるべき配管の上流端部と接続させる処理である。
【0091】
図10は、系統判別処理部224が衛生器具接続処理に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
ステップS300:系統判別処理部224は、これまでに特定された立て管を接続する継手のうちから1つの継手を選択する。ここで選択対象となる継手は、階ごとに対応して立て管の連結に用いられる集合管継手と、対応のサブ横主管に枝管が接続されている脚部継手である。
【0092】
ステップS302:系統判別処理部224は、ステップS302により選択した継手の合流側の接続口を基点にして、継手の合流側の接続口に接続される枝管の上流端部のうちの1つを探索する。
【0093】
ステップS304:ステップS302により探索された枝管の上流端部には、本来であれば何らかの衛生器具が接続されているべきであるが、前述のように設計図上では枝管の上流端部に衛生器具が接続されていない場合がある。そこで、系統判別処理部224は、今回のステップS302により探索した枝管の上流端部に衛生器具が接続されているか否かを判定する。
【0094】
ステップS306:ステップS304にて衛生器具が接続されていないと判定された場合、系統判別処理部224は、対象の枝管の上流端部に基づく基点から一定の距離範囲内において、いずれの枝管の上流端部とも接続されていない衛生器具(接続可能衛生器具)を探索する。接続可能衛生器具は、基準の枝管の上流端部に接続されるべきものとして扱われる衛生器具である。上流端部に基づく基点は、例えば図面にて対象の枝管の上流端部の配置位置を規定する座標であってよい。
ステップS308:系統判別処理部224は、ステップS306による探索の結果、接続可能衛生器具が存在するか否かを判定する。
【0095】
ステップS310:ステップS308にて接続可能衛生器具が存在すると判定された場合、系統判別処理部224は、今回探索した接続可能衛生器具を今回探索した枝管の上流端部に接続したものとなるように、排水配管構造を示す配管構造情報を更新する。ここでの配管情報は、処理経過情報記憶部235が記憶する処理経過情報の1つとされてよい。
ステップS308にて接続可能衛生器具が存在しないと判定された場合には、ステップS310の処理はスキップされる。この場合、対象の枝管の上流端部には衛生器具が接続されていないものとして処理されてもよい。後のタイミングでユーザが設計図を確認して当該枝管の上流端部に衛生器具が接続されていないことが判明した場合には、ユーザが衛生器具を接続するように設計図を修正することができる。
【0096】
ステップS312:ステップS310の処理の後、あるいはステップS308にて接続可能衛生器具が存在しないと判定された場合、系統判別処理部224は、現在選択されている継手を基点とする枝管の上流端部の全ての探索が完了したか否かを判定する。
探索が完了していないと判定された場合には、ステップS302に処理が戻されることで、未だ探索されていない次の枝管の上流端部が探索されることになる。
【0097】
ステップS314:ステップS312にて現在選択されている継手を基点とする枝管の上流端部の全ての探索が完了したと判定された場合、系統判別処理部224は、現段階において、全ての継手を選択済みであるか否かを判定する。
全ての継手を選択済みでない場合にはステップS300に処理が戻されることで、未だ選択されていない次の継手が選択されることになる。全ての継手を選択済みとなった場合、衛生器具接続処理が終了される。
【0098】
図7、
図8及び
図10の処理手順の完了により系統判別処理が完了したこととなる。系統判別処理が完了したことに応じて、排水負荷計算サービス画面上でこれまで系統判別処理が実行中である旨を通知していたポップアップは、系統判別処理の終了を通知する内容に変化する。ユーザは、系統判別処理の終了を通知する内容のポップアップを確認すると、例えばポップアップ内に配置されている確認ボタンを操作してポップアップを消去させることができる。
このようにして系統判別処理の手順が完了したことに応じて、排水負荷計算サービス画面の手順項目エリアAR2内の系統判別処理の手順に対応する進捗表示エリアAR11-3は、これまで「未」が表示されていた状態から、「済」が表示された状態に変化する。
【0099】
次に、ユーザは、横主管/立て管情報確認・入力の手順を行うことができる。この場合、ユーザは、排水負荷計算サービス画面の手順項目エリアAR2において横主管/立て管情報確認・入力の手順に対応する手順項目ボタンBT1-4を操作する。
ウェブブラウザ102は、手順項目ボタンBT1-4が操作されたことに応じて、設計支援サーバ200に横主管/立て管情報確認要求を送信する。横主管/立て管情報確認要求の受信に応じて、設計支援サーバ200の系統判別処理部224は、
図7、
図8、
図10による系統判別処理の結果を排水配管構造に反映させた3次元の確認用設計図を3次元ビューワエリアAR1に表示させる。
ユーザは、3次元ビューワエリアAR1に表示された確認用設計図を見て、系統判別処理により特定された立て管と横主管が設計通りであるか否かを確認し、各衛生器具がしかるべき枝管の上流端部と接続されているか否かを確認することができる。
【0100】
また、3次元ビューワエリアAR1に表示される確認用設計図は、表示される複数の系統のうち、ユーザの操作により指定された系統のハイライト表示が可能とされている。
図11、
図12を参照して、系統のハイライト表示について説明する。
図11は、3次元ビューワエリアAR1に表示された確認用設計図の一例を示している。同図の確認用設計図においては、共通の横主管により接続された3つの系統LN1、LN2、LN3が示されている。同図の確認用設計図は、系統のハイライト表示は行われていない平常状態である。
図11の確認用設計図が表示されている状態のもとで、ユーザは、系統LN1、LN2、LN3のうち、系統LN2に注目して確認を行うため、系統LN2をハイライト表示させることとした。そこで、ユーザは、ハイライト表示のために系統LN2を指定する操作を行った。
ハイライト表示の表示対象とする系統を指定する操作は、例えばまず、確認用設計図についてハイライト表示の対象とする系統を指定可能な状態とする操作を行ったうえで、確認用設計図において、ハイライト表示の対象とする系統に含まれる配管構造部分における任意の位置、あるいは、系統ごとに対応して確認用設計図において定められた選択領域における任意の位置にカーソルを配置させてクリックするといった操作であってよい。また、ハイライト表示の表示対象とする系統を指定する操作は、系統番号のそれぞれに対応する系統に接続される衛生機器の数の一覧表を画面に表示させ、表示させた一覧表において示される系統番号のうちから選択した任意の系統番号を、ハイライト表示の指定対象の系統番号として入力するといった操作であってよい。また、ハイライト表示の表示対象とする系統を指定する操作は、一覧表において示される系統番号が対応する行または列のうちから、ハイライト表示の指定対象とする系統が該当する行または列の位置にカーソルを配置させてクリックするといった操作であってよい。
【0101】
上記のようにハイライト表示の対象として系統LN2を指定する操作が行われたことに応じて、確認用設計図は、系統LN2がハイライト表示される状態に変化する。
図12は、系統LN2がハイライト表示された確認用設計図の一例を示している。同図においては、ハイライト表示として、ハイライト表示の対象である系統LN2については、平常状態と同じ濃淡度による表示を行い、ハイライト表示の対象でない系統LN1、LN3については、平常状態よりも低い(淡い)濃淡度に変化させた状態で表示を行うようにされている。つまり、この場合には、相対的にハイライト対象の系統については濃淡度を高くし、ハイライト対象でない系統については濃淡度を低くすることで、ハイライト対象の系統のハイライト表示を実現するようにしている。
なお、ハイライト表示の態様は、上記のように系統の濃淡度を変化させることに限定されない。例えば、ハイライト表示の態様として、ハイライト表示対象の系統を、ハイライト表示対象でない系統と異なる所定の色で表示してよい。また、ハイライト表示の態様として、ハイライト表示対象の系統について、相対的にハイライト表示の対象でない系統よりも太い線で描画するようにて表示してもよい。
また、ハイライト表示の態様として、ハイライト対象の系統を表示し、ハイライト対象でない系統は非表示とするようにしてよい。
【0102】
上記のような確認用設計図における系統のハイライト表示は、クライアント端末100において備えられる表示制御部としての機能部が、ユーザのハイライト表示の操作に応じて、確認用設計図の描画を行って表示させるようにしてよい。
あるいは、確認用設計図における系統のハイライト表示にあたり、まず、クライアント端末100がユーザのハイライト表示を指示する操作に応じて、ハイライト表示の対象として指定された系統を設計支援サーバ200に通知するようにしてよい。設計支援サーバ200における系統判別処理部224(表示制御部の一例)は、受信した通知にて示される系統がハイライト表示された確認用設計図を生成し、生成した確認用設計図をクライアント端末100に送信してよい。クライアント端末100は、送信された確認用設計図により、これまでの確認用設計図の表示を更新するようにしてよい。
【0103】
また、ユーザは、設計上は立て管もしくは横主管(サブ横主管、メイン横主管)であるのに、3次元ビューワエリアAR1において反映されていない管部材について、ユーザが操作を行って、該当の立て管もしくは横主管として設定するように修正することができる。この際、ユーザは、横主管についてはサブ横主管とメイン横主管とを区分して設定(入力)することができる。
また、ユーザは、衛生器具が接続されていない枝管の上流端部がある場合には、しかるべき衛生器具を接続するか、或いは、接続される衛生器具の数量を変更するなどして修正することができる。
また、例えば設計対象の建物における最下層においては、立て管を介さずに横管に衛生器具が接続される場合がある。そこで、ユーザは、衛生器具の接続に関する修正として、系統を特定した立て管を介さずに接続されている衛生器具の数量の変更、もしくは、追加等を行うこともできる。
【0104】
そして、ユーザが、横主管/立て管情報確認・入力の手順の終了を指示する所定操作を行うと、横主管/立て管情報確認・入力の手順に対応する進捗表示エリアAR11-4が、これまで「未」が表示されていた状態から、「済」が表示された状態に変化する。
【0105】
次に、ユーザは、排水負荷計算を実行させるために、手順項目エリアAR2において排水負荷計算に対応する手順項目ボタンBT1-5を操作する。手順項目ボタンBT1-5が操作されたことに応じて、ウェブブラウザ102は、排水負荷計算の実行要求を設計支援サーバ200に送信する。
排水負荷計算の実行要求の受信に応じて、設計支援サーバ200の排水負荷計算部225は、排水負荷計算を実行する。
【0106】
排水負荷計算部225は、排水負荷計算を実行する。これまでに実行された衛生器具割り当て、脚部継手特定、系統判別処理、横主管/立て管情報確認・入力の結果に基づいて、系統ごとの衛生器具の数、立て管、横主管等の排水配管構造が特定されている。そこで、排水負荷計算部225は、特定されている排水配管構造に基づいて、系統ごとにおける負荷流量を算出し、算出した負荷流量に応じた配管部材の種類、管径を導出するようにされる。
【0107】
排水負荷計算部225が排水負荷計算の処理を実行しているときには、排水負荷計算サービス画面上にて、排水負荷計算が実行中である旨をユーザに通知するポップアップが表示されてよい。
排水負荷計算部225による排水負荷計算の処理が完了したことに応じて、排水負荷計算サービス画面にて表示されるポップアップは、排水負荷計算が終了したことを通知する内容に変更されてよい。ポップアップは、ユーザの操作に応じて消去されてよい。
このように排水負荷計算の手順が完了したことに応じて、排水負荷計算サービス画面の手順項目エリアAR2内の排水負荷計算の手順に対応する進捗表示エリアAR11-5は、これまで「未」が表示されていた状態から、「済」が表示された状態に変化する。
【0108】
排水負荷計算が完了した後において、ユーザは、これまでの排水負荷計算サービスにおける各手順の実行により得られた成果物の生成を、設計支援サーバ200に指示することができる。このために、ユーザは、手順項目ボタンBT1-6を操作する。手順項目ボタンBT1-6が操作されたことに応じて、ウェブブラウザ102は、成果物生成要求を設計支援サーバ200に送信する。
【0109】
設計支援サーバ200のデータ提供部226は、成果物生成要求の受信に応じて、成果物生成に関する処理(成果物生成処理)を実行する。
成果物生成処理として、データ提供部226は、まず、これまでの排水負荷計算サービスにおける手順の実行結果(排水負荷計算サービス結果)を、排水負荷計算サービス画面にて表示させる。図示は省略するが、排水負荷計算サービス画面において、排水負荷計算サービス結果として、系統ごとに配置される立て管としての管部材ごとの管径や、継手部材の種類が提示される。また、排水負荷計算サービス結果として、サブ横主管ごとの管部材としての管径、及びメイン横主管ごとの管部材としての管径が提示される。
【0110】
また、データ提供部226は、今回の排水負荷計算サービス結果を示すデータをクライアント端末100がダウンロード可能なように提供することができる。排水負荷計算サービス結果を示すデータは、例えば設計図アプリケーション101に対応していない所定のアプリケーションに対応する形式であってよい。
また、データ提供部226は、図面において示される配管部材ごとに系統番号を付した系統番号付与情報を生成し、生成した系統番号付与情報をクライアント端末100がダウンロード可能に提供する。
系統番号付与情報は、クライアント端末100からアップロードした段階の図面において示されていた配管部材に対する系統番号の付与状況に対して、今回の排水負荷計算サービスの過程で系統判別処理部224が行った配下部材への系統番号の付与結果を反映させた内容を有する。また、系統番号付与情報は、配管部材を一意に示す配管部材識別子に対して系統番号を対応付けた構造である。また、系統番号付与情報は、設計図アプリケーション101が取り込み可能な形式であってよい。
系統番号付与情報をダウンロードした設計図アプリケーション101は、処理対象として開いている図面のデータについて、系統番号付与情報において示されるのと同じ配管系統識別子の配管部材ごとに、対応の系統番号を付すようにして更新する。
なお、例えばデータ提供部226は、設計図ファイル記憶部233に記憶されている設計図ファイルについて、今回の排水負荷計算サービス結果が反映されるように変更し、変更した設計図ファイルをクライアント端末100がダウンロード可能に提供してよい。この場合、ユーザは、例えばウェブブラウザ102により設計図ファイルをダウンロードし、ダウンロードした設計図ファイルを設計図アプリケーション101で開くことで、排水負荷計算サービスのもとで付与された系統番号、立て管及び横主管の特定結果、管部材の管径などが反映された設計図を得ることができる。
【0111】
また、例えば系統番号等の排水負荷計算サービス結果については、設計ファイルに反映させるのに代えて、CSVなどの形式によるファイルとしてダウンロード可能に提供してもよい。この場合、ユーザは、ダウンロードしたファイルを、設計図アプリケーション101に取り込ませるようにする。これにより、設計図ファイルにおける設計図に、系統番号を反映させることができる。
【0112】
あるいは、データ提供部226は、排水負荷計算の結果として、立て管、横主管等の管部材の管径と、管径に応じて採用するべきことが推奨される配管部材の製品を示すような排水負荷計算書としての所定形式のファイルをダウンロード可能に提要してよい。さらには、排水負荷計算に基づいて推奨される製品を採用した場合の製品リストや見積書、対策提案書等の所定形式のファイルをダウンロード可能に提供してよい。
【0113】
以上説明したように、本実施形態の配管設計支援システムによれば、ユーザは、排水負荷計算の結果を得るために必要な立て管、横主管等の管種別の特定を行うにあたり、設計支援サーバ200に設計図ファイルをアップロードするようにされる。設計支援サーバ200は、アップロードされた設計図ファイルにおいて示される管部材に付与された名称、型番等の配管部材を特定可能な情報(部材特定情報)と、配管部材マスタ(配管部材情報の一例)とを用いて管種別を特定していくようにされている。この場合ユーザは、立て管、横主管等の管種別について自ら入力する操作を行わなくともよい。
また、ユーザは、配管構造において脚部継手を基とする系統(配管系統)を設定し、設定した系統に系統番号を付すにあたっても、設計支援サーバ200に設計図ファイルをアップロードするようにされる。設計支援サーバ200は、アップロードされた設計図ファイルにより示される排水配管構造から脚部継手を特定し、脚部継手ごとに立て管とサブ横主管とを特定していくことで系統を設定し、設定した系統に系統番号(配管系統識別子)を付与するようにされる。この場合にもユーザは、系統の設定のために、自らが系統ごとの立て管とサブ横主とを指定するような入力操作を行わなくともよい。
また、設計支援サーバ200は、アップロードされた設計図ファイルにより示される排水配管構造において、衛生器具が接続されていない枝管の端部がある場合に、当該枝管の端部に接続可能な衛生器具を探索して、枝管の端部に衛生器具を接続するようにされている。この場合にも、ユーザは、自らが枝管の端部に接続する衛生器具を指定するような入力操作を行わなくともよい。
つまり、本実施形態によっては、配管設計に関連する計算に必要な情報の入力の省力化が図られる。
また、本実施形態の配管設計支援システムによれば、設計支援サーバ200は、設計図アプリケーション101から取得した図面の配管構造における配管部材に対して系統番号が付されていない場合には、系統番号を付与することで、図面における配管部材のそれぞれに系統番号を付すことができる。設計支援サーバ200は、配管部材のそれぞれに系統番号を付与した結果を示す系統番号付与情報をダウンロード可能に提供する。系統番号付与情報は、設計図アプリケーション101が対応可能な形式であることから、設計者は、ダウンロードした系統番号付与情報を設計図アプリケーション101に読み取らせることで、図面のデータ(ファイル)にて、系統番号付与情報が示す内容に従って配管部材のそれぞれに系統番号を付すことができる。この際、設計支援サーバ200では、既に系統番号が付されていた系統については系統番号を変更しないようにされている。これにより、設計図アプリケーション101上で設計者が設定した系統番号は図面にてそのまま引き継がれていることから、設計者はその後の設計も行いやすい。このように、本実施形態においては、配管設計のもとで配管構造における配管部材の管理を効率良く行うことができる。
【0114】
<変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明する。
[第1変形例]
上記実施形態においては、横主管についてメイン横主管とサブ横主管とに分けて系統判別等の処理を行うようにされているが、メイン横主管とサブ横主管とで特に区別することなく同じ種別の横主管として処理を行うようにされてもよい。
【0115】
[第2変形例]
上記実施形態においては排水用の配管構造を対象として設計支援を行う場合を例に挙げている。しかしながら、本実施形態の設計支援は、排水用の配管構造(排水配管構造)に限定されるものではなく、給水用の配管構造(給水配管構造)の設計支援にも適用されてよい。
【0116】
以下に、給水配管構造の設計支援の一例について説明する。
給水配管構造の設計支援として、設計支援サーバ200は、給水配管構造を対象とする衛生器具接続処理を実行可能とされてよい。例えば、便器、バスタブ、洗面器等の衛生器具は、給水栓と排水器具とが一体となっている。これに対して、台所(キッチン)、洗濯機等の衛生器具では、給水栓(混合水栓を含む)と排水器具とが別個に設けられる。
上記のようなことを考慮して、本実施形態の設計支援サーバ200は、排水配管構造における上流端部に対して衛生器具が接続されていない場合において、給水配管構造を対象とする衛生器具接続処理を実行してよい。つまり、設計支援サーバ200は、給水配管構造における給水栓を探索し、探索した給水栓を基準として接続可能衛生器具を探索してよい。
【0117】
図13は、1つの系統に対応する排水配管構造に対応して設けられた給水配管構造の一例を示している。同図は、排水配管構造及び給水配管構造を2次元的に側面方向からみた図となる。同図において、
図3と同一部分においては同一符号を付して説明を省略する。
同図において、給水配管構造は、一点鎖線により示される。
同図の排水配管構造は、2階に対応して設けられる横枝管部BPhに接続される4本の横枝管BPvのうちの1つに対して衛生器具SNが接続されていない状態となっている点が
図3と異なる。
同図の給水配管構造は、1本の立て管から1階及び2階のそれぞれに横枝管部が分岐しており、横枝管部に対して衛生器具SNまたは給水栓HDが接続された例を示している。
【0118】
同図の排水管構造においては、2階における1つの横枝管BPvに対して衛生器具SNが接続されていない。また、同図の給水配管構造においては、衛生器具SNが接続されていない横枝管BPvに対応して給水栓HDが位置している。このような場合に対応して、本実施形態の設計支援サーバ200は、給水配管構造を対象とする衛生器具接続処理を行うことで、上述の、台所(キッチン)、洗濯機等のように給水栓と排水器具とが別個に設けられる衛生器具が接続されていない場合において、効率よく衛生器具接続処理を行うことができる。
【0119】
図14のフローチャートを参照して、本変形例における系統判別処理部224が衛生器具接続処理に対応して実行する処理手順例について説明する。同図において示される衛生器具接続処理は、排水配管構造を対象とする衛生器具接続処理と給水配管構造を対象とする衛生器具接続処理とを併用したものとなる。
【0120】
ステップS400:設計支援サーバ200において系統判別処理部224(衛生器具接続部の一例)は、排水配管構造においてこれまでに特定された立て管を接続する継手のうちから1つの継手を選択する。ここで選択対象となる継手は、階ごとに対応して立て管の連結に用いられる集合管継手と、対応のサブ横主管に枝管が接続されている脚部継手である。
【0121】
ステップS402:系統判別処理部224は、ステップS402により選択した継手の合流側の接続口を基点にして、継手の合流側の接続口に接続される枝管の上流端部のうちの1つを探索する。
【0122】
ステップS404:系統判別処理部224は、今回のステップS402により探索した枝管の上流端部に衛生器具が接続されているか否かを判定する。
【0123】
ステップS406:ステップS404にて衛生器具が接続されていないと判定された場合、系統判別処理部224は、給水配管構造から、ステップS402にて探索された排水配管構造における枝管の上端部に対応する位置に存在する給水栓を探索する。
【0124】
ステップS408:系統判別処理部224は、ステップS406による探索の結果、給水栓が存在するか否かを判定する。
【0125】
ステップS410:ステップS408にて給水栓が存在すると判定された場合、系統判別処理部224は、当該給水栓の位置に基づく基点(例えば、図面において給水栓の配置位置を規定する座標であってよい)から一定の距離範囲内において、いずれの給水栓とも対応付けられておらず、かつ、いずれの枝管の上流端部とも接続されていない衛生器具(接続可能衛生器具)を探索する。
【0126】
ステップS412:ステップS408にて給水栓が存在しないと判定された場合、系統判別処理部224は、
図10のステップS306と同様に、ステップS402にて探索された排水配管構造における枝管の上流端部に基づく基点から一定の距離範囲内において、いずれの枝管の上流端部とも接続されていない衛生器具(接続可能衛生器具)を探索する。
【0127】
ステップS414:系統判別処理部224は、ステップS410もしくはステップS412による探索の結果、接続可能衛生器具が存在するか否かを判定する。
【0128】
ステップS416:ステップS414にて接続可能衛生器具が存在すると判定された場合、系統判別処理部224は、今回探索した接続可能衛生器具について、ステップS402にて探索された枝管の上流端部に接続したものとなるように、排水配管構造を示す配管構造情報を更新する。
この際、系統判別処理部224は、ステップS410を経てステップS416に至った場合には、配管構造情報において、今回探索した接続可能衛生器具に対して、さらにステップS406に対応して探索された給水栓を対応付けるようにする。
また、ステップS404にて衛生器具が接続されていると判定された場合には、今回のステップS302により探索された枝管の上流端部に対応の衛生器具が接続されているものとなるように配管構造情報を更新する。
【0129】
ステップS414にて接続可能衛生器具が存在しないと判定された場合には、ステップS416の処理はスキップされる。この場合、対象の枝管の上流端部には衛生器具が接続されていないものとして処理されてもよい。後のタイミングでユーザが設計図を確認して当該枝管の上流端部に衛生器具が接続されていないことが判明した場合には、ユーザが衛生器具を接続するように設計図を修正することができる。
【0130】
ステップS418:ステップS416の処理の後、あるいはステップS414にて接続可能衛生器具が存在しないと判定された場合、系統判別処理部224は、排水配管構造において現在選択されている継手を基点とする枝管の上流端部の全ての探索が完了したか否かを判定する。
探索が完了していないと判定された場合には、ステップS402に処理が戻されることで、排水配管構造において未だ探索されていない次の枝管の上流端部が探索されることになる。
【0131】
ステップS420:ステップS418にて現在選択されている継手を基点とする枝管の上流端部の全ての探索が完了したと判定された場合、系統判別処理部224は、現段階において、全ての継手を選択済みであるか否かを判定する。
全ての継手を選択済みでない場合にはステップS400に処理が戻されることで、未だ選択されていない次の継手が選択されることになる。全ての継手を選択済みとなった場合、衛生器具接続処理が終了される。
【0132】
[第3変形例]
上記実施形態の
図10のフローチャートでは、衛生器具接続処理として、選択した継手の合流側に接続される枝管の端部を順次探索し、探索した枝管の端部ごとに衛生器具が接続されているか否かを判定している。そのうえで、衛生器具が接続されていなければ対象の枝管の端部に対して衛生器具を接続するという処理手順とされていた。
上記実施形態における衛生器具接続処理の処理手順は、
図10に示した手順に限定されるものではない。そこで、本変形例では、上記実施形態のもとでの衛生器具接続処理の処理手順として、衛生器具が接続されていない枝管の端部をまとめて探索したうえで、探索した端部ごとに衛生器具を接続するようにされる。
【0133】
図15は、本変形例に対応して系統判別処理部224が衛生器具接続処理に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
ステップS500:系統判別処理部224は、これまでに特定された立て管を接続する継手のうちから1つの継手を選択する。
【0134】
ステップS502:系統判別処理部224は、ステップS500により選択した継手の合流側の接続口を基点にして、継手の合流側の接続口に接続される枝管の上流端部のうちで、衛生器具が接続されていない枝管の上流端部を探索する。当該ステップS502によっては、衛生器具が接続されていない1以上の枝管の上流端部が探索される。
【0135】
ステップS504:系統判別処理部224は、ステップS502により探索された枝管の上流端部のうちの1つを、衛生器具を接続する対象として選択する。
【0136】
ステップS506:系統判別処理部224は、対象の枝管の上流端部に対応する接続可能衛生器具を探索する。
【0137】
ステップS508:系統判別処理部224は、ステップS506による探索の結果、接続可能衛生器具が存在するか否かを判定する。
【0138】
ステップS510:ステップS508にて接続可能衛生器具が存在すると判定された場合、系統判別処理部224は、今回探索した接続可能衛生器具を対象の枝管の上流端部に接続したものとなるように、排水配管構造を示す配管構造情報を更新する。
【0139】
ステップS512:ステップS510の処理の後、あるいはステップS508にて接続可能衛生器具が存在しないと判定された場合、系統判別処理部224は、現在選択されている継手を基点とする枝管の上流端部の全てについて衛生器具の探索が完了したか否かを判定する。
探索が完了していないと判定された場合には、ステップS504に処理が戻されることで、未だ探索されていない次の枝管の上流端部が探索されることになる。
【0140】
ステップS514:ステップS512にて現在選択されている継手を基点とする枝管の上流端部の全ての探索が完了したと判定された場合、系統判別処理部224は、現段階において、全ての継手を選択済みであるか否かを判定する。
全ての継手を選択済みでない場合にはステップS500に処理が戻されることで、未だ選択されていない次の継手が選択されることになる。全ての継手を選択済みとなった場合、衛生器具接続処理が終了される。
【0141】
[第4変形例]
本変形例では、第2変形例として
図14に示した処理手順例を基として、衛生器具が接続されていない枝管の端部をまとめて探索したうえで、探索した端部ごとに衛生器具を接続するようにされる。
【0142】
図16は、本変形例に対応して系統判別処理部224が衛生器具接続処理に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【0143】
ステップS600:設計支援サーバ200において系統判別処理部224は、排水配管構造においてこれまでに特定された立て管を接続する継手のうちから1つの継手を選択する。
【0144】
ステップS602:系統判別処理部224は、ステップS600により選択した継手の合流側の接続口を基点にして、継手の合流側の接続口に接続される枝管の上流端部のうちで、衛生器具が接続されていない枝管の上流端部を探索する。当該ステップS602によっては、衛生器具が接続されていない1以上の枝管の上流端部が探索される。
【0145】
ステップS604:系統判別処理部224は、ステップS602により探索された枝管の上流端部のうちの1つを、衛生器具を接続する対象として選択する。
【0146】
ステップS606:給水配管構造から、ステップS604により選択された枝管の上端部に対応する位置に存在する給水栓を探索する。
【0147】
ステップS608:系統判別処理部224は、ステップS606による探索の結果、給水栓が存在するか否かを判定する。
【0148】
ステップS610:ステップS608にて給水栓が存在すると判定された場合、系統判別処理部224は、当該給水栓の位置に基づく基点から一定の距離範囲内において、いずれの給水栓とも対応付けられておらず、かつ、いずれの枝管の上流端部とも接続されていない衛生器具(接続可能衛生器具)を探索する。
【0149】
ステップS612:ステップS608にて給水栓が存在しないと判定された場合、系統判別処理部224は、ステップS602にて探索された排水配管構造における枝管の上流端部に基づく基点から一定の距離範囲内において、いずれの枝管の上流端部とも接続されていない衛生器具(接続可能衛生器具)を探索する。
【0150】
ステップS614:系統判別処理部224は、ステップS610もしくはステップS612による探索の結果、接続可能衛生器具が存在するか否かを判定する。
【0151】
ステップS616:ステップS614にて接続可能衛生器具が存在すると判定された場合、系統判別処理部224は、今回探索した接続可能衛生器具について、ステップS602にて探索された枝管の上流端部に接続したものとなるように、排水配管構造を示す配管構造情報を更新する。
この際、系統判別処理部224は、ステップS610を経てステップS616に至った場合には、配管構造情報において、今回探索した接続可能衛生器具に対して、さらにステップS606に対応して探索された給水栓を対応付けるようにする。
【0152】
ステップS614にて接続可能衛生器具が存在しないと判定された場合には、ステップS616の処理はスキップされる。
【0153】
ステップS618:ステップS616の処理の後、あるいはステップS614にて接続可能衛生器具が存在しないと判定された場合、系統判別処理部224は、排水配管構造において現在選択されている継手を基点とする枝管の上流端部の全ての探索が完了したか否かを判定する。
探索が完了していないと判定された場合には、ステップS602に処理が戻されることで、排水配管構造において未だ探索されていない次の枝管の上流端部が探索されることになる。
【0154】
ステップS620:ステップS618にて現在選択されている継手を基点とする枝管の上流端部の全ての探索が完了したと判定された場合、系統判別処理部224は、現段階において、全ての継手を選択済みであるか否かを判定する。
全ての継手を選択済みでない場合にはステップS600に処理が戻されることで、未だ選択されていない次の継手が選択されることになる。全ての継手を選択済みとなった場合、衛生器具接続処理が終了される。
【0155】
[第5変形例]
例えば、クライアント端末100上で動作するアプリケーション等のプログラムにより、設計支援サーバ200が実行する処理の一部または全てが実行可能なようにされてもよい。
【0156】
なお、上述のクライアント端末100または設計支援サーバ200の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述のクライアント端末100または設計支援サーバ200の処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクやSSD(Solid State Drive)等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0157】
100 クライアント端末、101 設計図アプリケーション、102 ウェブブラウザ、200 設計支援サーバ、201 通信部、202 制御部、203 記憶部、206 ステップ、221 データ取得部、222 衛生器具割当部、223 脚部継手特定部、224 系統判別処理部、225 排水負荷計算部、226 データ提供部、231 配管部材マスタ記憶部、232 衛生器具マスタ記憶部、233 設計図ファイル記憶部、234 系統番号情報記憶部、235 処理経過情報記憶部