(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014722
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】安全柵の支持構造及び落下防止装置
(51)【国際特許分類】
B60R 3/00 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
B60R3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118848
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100102417
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 正雄
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022AA02
3D022AB08
3D022AC03
3D022AE08
3D022AE12
3D022AE21
3D022AE22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造がシンプルで堅牢であり、また、既存の構造にも容易に設置することができる車両用の安全柵の支持構造、及び落下防止装置を提供する。
【解決手段】安全柵20は起立部材24、回転軸、係合部材、圧縮ばね、索状部材、支持基台40を備え、支持基台は回転軸支持部、被係合部材を備え、被係合部材は第一係合凹部、第二係合凹部、係合部材が移動する接続部を備え、安全柵には係合解除機構28が配設され、索状部材は一端部が係合解除機能の固定連結部に連結された後移動巻き掛け部29、固定巻き掛け部に順に巻き掛けられ、他端側に引張力が作用すると移動巻き掛け部が移動し、係合部材に対し、第一係合凹部又は第二係合凹部に対する係合部材の係合が解除される力が作用する安全柵の支持構造。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開口部に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板に設置され、該ゲート板に畳まれる収納状態と起立状態との間で姿勢の変化が可能な安全柵の支持構造であって、
該安全柵は、収納状態と起立状態とで姿勢が変化する起立部材と、該起立部材の一端側に配設され該姿勢が変化する際に回動中心となる回転軸と、該起立部材の長手方向に移動可能に配設された係合部材と、該起立部材に支持され該一端側に向かって該係合部材を押し付ける圧縮ばねと、該係合部材を該起立部材の他端側に引くための索状部材と、該起立部材を支持する支持基台と、を備え、
該支持基台は、該回転軸を回転自在に支持する回転軸支持部と、該係合部材が係合する被係合部材と、を備え、
該被係合部材は、該安全柵が収納状態にあるときに該係合部材が係合して該収納状態を維持する第一係合凹部と、該安全柵が起立状態にあるとき該係合部材が係合して該起立状態を維持する第二係合凹部と、該第一係合凹部と該第二係合凹部とを接続し、該安全柵の状態が収納状態と起立状態との間で変化する際に該係合部材が移動する接続部と、を備え、
該安全柵には、該索状部材の一端部が連結される固定連結部と、該係合部材に連結され該係合部材が移動する方向に沿って移動可能な該索状部材が巻き掛けられる移動巻き掛け部と、該安全柵に固定され該索状部材が巻き掛けられる固定巻き掛け部と、を備えた係合解除機構が配設され、
該索状部材は、該索状部材の該一端部が該固定連結部に連結され、該移動巻き掛け部、固定巻き掛け部に順に巻き掛けられ、
該索状部材の他端側に引張力が作用すると、該移動巻き掛け部が移動して、該係合部材に対し、該第一係合凹部又は該第二係合凹部に対する該係合部材の係合が解除される方向の力が作用するように構成された安全柵の支持構造。
【請求項2】
該安全柵は、該ゲート板の車幅方向の端縁部に配設され、
該起立部材には、車両後方側の第一起立部材、及び車両前方側の第二起立部材が含まれ、
該支持基台には、該第一起立部材を支持する第一支持基台、及び該第二起立部材を支持する第二支持基台が含まれ、
該第一起立部材には、一端側が該第一起立部材の該係合部材に連結される第一連結ロッドが配設され、第二起立部材には、一端側が該第二起立部材の該係合部材に連結される第二連結ロッドが配設され、該第一連結ロッドの他端側及び該第二連結ロッドの他端側が、車両前後方向に延びるロッド連結バーによって連結され、
該ロッド連結バーは、第一起立部材及び第二起立部材の長手方向に平行移動可能に保持されると共に、該移動巻き掛け部材として機能し、
該第一起立部材及び該第一支持基台、該第二起立部材及び該第二支持基台のそれぞれに前記の支持構造が配設された請求項1に記載の安全柵の支持構造。
【請求項3】
該第一起立部材の他端側及び該第二起立部材の他端側が、車両前後方向に延びる連結部材によって連結され、
該固定連結部及び固定巻き掛け部が該連結部材に配設され、
該索状部材の他端側に作用する引張力が、該ロッド連結バー、該第一連結ロッド、及び該第二連結ロッドを介して該係合部材に伝達されて、第一支持基台及び第二支持基台における該係合部材の第一係合凹部又は第二係合凹部に対する係合が解除される方向に作用するように構成される請求項2に記載の安全柵の支持構造。
【請求項4】
該索状部材は平ベルトであり、該平ベルトの一端部が該連結部材の略中央に配設された固定連結部に連結され、該固定巻き掛け部、該ロッド連結バーに順に巻き掛けられる請求項3に記載の安全柵の支持構造。
【請求項5】
該係合部材は、回転ローラである請求項1から4のいずれかに記載の安全柵の支持構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載された安全柵の支持構造に配設される落下防止装置であって、
該安全柵は、ゲート板の車幅方向の端縁部において対向する位置に配設される一対の安全柵であって、
一方の安全柵の後方端部には、被結合部が形成され、
他方の安全柵には、弾性部材により引き込まれると共に該他方の安全柵の後方端部に配設された繰出部から繰り出し可能な落下防止ベルトが収納され、該他方の安全柵の繰出部から繰り出された該落下防止ベルトの結合端部が、該一方の安全柵の該被結合部に結合可能に構成された落下防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の開口部に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板に設置される安全柵の支持構造、及び該安全柵の支持構造に設置される落下防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物輸送用の車両であるトラックの荷台は、車輪、はしご型フレーム、サスペンション機構等からなるシャシーフレームに架装されるため、該車両の床面と地面との間に相当の高低差が存在し、荷物の積み下ろしに際して支障となる。
【0003】
上記した荷物の積み下ろしの荷役作業における作業性を向上し、作業者の負担を軽減するため、荷物を積載する際に使用されるゲート板を地面と荷台の床面との間で昇降されるテールゲート機構が知られている。このようなゲート板は、通常、トラックの後端部分に装着され、ゲート板上の荷物の落下を防止するため、これを水平状態に保ったまま昇降させる構成を備えている。
【0004】
近年においては、作業中の荷物が誤ってゲート板の側縁から脱落したり、転落したりするのを防止するために、該ゲート板上にサイドガードを設けることが提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【0005】
また、本出願人によって、夜間、又は暗所において作業する際に、ゲート板の側縁を目視しやすいように、ゲート板の側縁に発光体を配設して、作業者がゲート板の幅方向における端縁を容易に認知することができる技術も提案されている(特許文献2を参照)。
【0006】
ところで、ゲート板上で荷役作業を実施する際に、作業者がバランスを崩すことがある。その際に、作業者が手で掴むことができる安全柵が配設されていると作業者は安心して作業に臨むことができることから、ゲート板の車幅方向の端縁部に安全柵を設置することが考えられる。しかし、テールゲート機構のゲート板は、荷役作業が行われない走行時には、車両の後方において起立した状態で格納されることから、ゲート板上の安全柵は、取り外し可能に構成されるか、又はゲート板に対して折り畳むことができるように構成される必要がある。このような技術課題に対し、例えば、車いす等を載せて車両の後方から車内に誘導する昇降可能なゲート板に安全柵を配設し、該ゲート板の開閉に連動して開閉作動する安全柵の機構が提案されている(例えば特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-030628号公報
【特許文献2】特開2019-006246号公報
【特許文献3】特開平08-020277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した特許文献3に記載された技術をトラックのテールゲート機構に適用して、ゲート板の開閉に合わせて安全柵を開閉することが考えられる。しかし、安全柵の開閉をゲート板の格納時と使用時との変化に連動させるためには、極めて複雑な機構を必要とする。また、安全柵が装着されていないゲート板に、特許文献3に開示されたような安全柵を後から設置するためには、テールゲート機構全体を交換すると共に車両に大掛かりな改造を加える必要があり、相当高額な費用が必要になる。また、該安全柵の機構が複雑であることから、故障した場合にはすぐに修理することができず、貨物輸送に用いられる車両のテールゲート機構として適切な構造であるとは言い難い。
【0009】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、構造がシンプルで堅牢であり、また、既存の構造にも容易に設置することができる車両用の安全柵の支持構造、及び該安全柵の支持構造に設置される落下防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、車両の開口部に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板に設置され、該ゲート板に畳まれる収納状態と起立状態との間で姿勢の変化が可能な安全柵の支持構造であって、該安全柵は、収納状態と起立状態とで姿勢が変化する起立部材と、該起立部材の一端側に配設され該姿勢が変化する際に回動中心となる回転軸と、該起立部材の長手方向に移動可能に配設された係合部材と、該起立部材に支持され該一端側に向かって該係合部材を押し付ける圧縮ばねと、該係合部材を該起立部材の他端側に引くための索状部材と、該起立部材を支持する支持基台と、を備え、該支持基台は、該回転軸を回転自在に支持する回転軸支持部と、該係合部材が係合する被係合部材と、を備え、該被係合部材は、該安全柵が収納状態にあるときに該係合部材が係合して該収納状態を維持する第一係合凹部と、該安全柵が起立状態にあるとき該係合部材が係合して該起立状態を維持する第二係合凹部と、該第一係合凹部と該第二係合凹部とを接続し、該安全柵の状態が収納状態と起立状態との間で変化する際に該係合部材が移動する接続部と、を備え、該安全柵には、該索状部材の一端部が連結される固定連結部と、該係合部材に連結され該係合部材が移動する方向に沿って移動可能な該索状部材が巻き掛けられる移動巻き掛け部と、該安全柵に固定され該索状部材が巻き掛けられる固定巻き掛け部と、を備えた、係合解除機構が配設され、該索状部材は、該索状部材の該一端部が該固定連結部に連結され、該移動巻き掛け部、固定巻き掛け部に順に巻き掛けられ、該索状部材の他端側に引張力が作用すると、該移動巻き掛け部が移動して、該係合部材に対し、該第一係合凹部又は該第二係合凹部に対する該係合部材の係合が解除される方向の力が作用するように構成された安全柵の支持構造が提供される。
【0011】
該安全柵は、該ゲート板の車幅方向の端縁部に配設され、該起立部材には、車両前方側の第一起立部材、及び車両後方側の第二起立部材が含まれ、該支持基台には、該第一起立部材を支持する第一支持基台、及び該第二起立部材を支持する第二支持基台が含まれ、該第一起立部材には、一端側が該第一起立部材の該係合部材に連結される第一連結ロッドが配設され、第二起立部材には、一端側が該第二起立部材の該係合部材に連結される第二連結ロッドが配設され、該第一連結ロッドの他端側及び該第二連結ロッドの他端側が、車両前後方向に延びるロッド連結バーによって連結され、該ロッド連結バーは、第一起立部材及び第二起立部材の長手方向に平行移動可能に保持されると共に、該移動巻き掛け部材として機能し、該第一起立部材及び該第一支持基台、該第二起立部材及び該第二支持基台のそれぞれに前記の支持構造が配設されることが好ましい。
【0012】
該第一起立部材の他端側及び該第二起立部材の他端側が、車両前後方向に延びる連結部材によって連結され、該固定連結部及び固定巻き掛け部が該連結部材に配設され、該索状部材の他端側に作用する引張力が、該ロッド連結バー、該第一連結ロッド、及び該第二連結ロッドを介して該係合部材に伝達されて、第一支持基台及び第二支持基台における該係合部材の第一係合凹部又は第二係合凹部に対する係合が解除される方向に作用するように構成されることが好ましい。
【0013】
該索状部材は平ベルトであり、該平ベルトの一端部が該連結部材の略中央に配設された固定連結部に連結され、該固定巻き掛け部、該ロッド連結バーに順に巻き掛けられるようにすることが好ましく、該係合部材は、回転ローラであることが好ましい。
【0014】
また、上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、上記した安全柵の支持構造に配設される落下防止装置であって、該安全柵は、ゲート板の車幅方向の端縁部において対向する位置に配設される一対の安全柵であって、一方の安全柵の後方端部には、被結合部が形成され、他方の安全柵には、弾性部材により引き込まれると共に該他方の安全柵の後方端部に配設された繰出部から繰り出し可能な落下防止ベルトが収納され、該他方の安全柵の繰出部から繰り出された該落下防止ベルトの結合端部が、該一方の安全柵の該被結合部に結合可能に構成された落下防止装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の安全柵の支持構造は、車両の開口部に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板に設置され、該ゲート板に畳まれる収納状態と起立状態との間で姿勢の変化が可能な安全柵の支持構造であって、該安全柵は、収納状態と起立状態とで姿勢が変化する起立部材と、該起立部材の一端側に配設され該姿勢が変化する際に回動中心となる回転軸と、該起立部材の長手方向に移動可能に配設された係合部材と、該起立部材に支持され該一端側に向かって該係合部材を押し付ける圧縮ばねと、該係合部材を該起立部材の他端側に引くための索状部材と、該起立部材を支持する支持基台と、を備え、該支持基台は、該回転軸を回転自在に支持する回転軸支持部と、該係合部材が係合する被係合部材と、を備え、該被係合部材は、該安全柵が収納状態にあるときに該係合部材が係合して該収納状態を維持する第一係合凹部と、該安全柵が起立状態にあるとき該係合部材が係合して該起立状態を維持する第二係合凹部と、該第一係合凹部と該第二係合凹部とを接続し、該安全柵の状態が収納状態と起立状態との間で変化する際に該係合部材が移動する接続部と、を備え、該安全柵には、該索状部材の一端部が連結される固定連結部と、該係合部材に連結され該係合部材が移動する方向に沿って移動可能な該索状部材が巻き掛けられる移動巻き掛け部と、該安全柵に固定され該索状部材が巻き掛けられる固定巻き掛け部と、を備えた、係合解除機構が配設され、該索状部材は、該索状部材の該一端部が該固定連結部に連結され、該移動巻き掛け部、固定巻き掛け部に順に巻き掛けられ、該索状部材の他端側に引張力が作用すると、該移動巻き掛け部が移動して、該係合部材に対し、該第一係合凹部又は該第二係合凹部に対する該係合部材の係合が解除される方向の力が作用するように構成されていることから、構造がシンプルで堅牢な安全柵の支持構造が提供され、また、安全柵が配設されていない既存のゲート板に対しても容易に設置することができる。
【0016】
また、本発明の安全柵の支持構造に設置される落下防止装置は、一方の安全柵の後方端部に、被結合部が形成され、他方の安全柵には、弾性部材により引き込まれると共に該他方の安全柵の後方端部に配設された繰出部から繰り出し可能な落下防止ベルトが収納され、該他方の安全柵の繰出部から繰り出された該落下防止ベルトの結合端部が、該一方の安全柵の該被結合部に結合可能に構成されていることから、上記した本発明の安全柵の支持構造の効果を享受しつつ、ゲート板上に荷物を積み上げた状態でゲート板を昇降させる際に、該荷物が崩れて、ゲート板から後方に落下することが防止される。また、ゲート板を車両内部の床面と面一の高さに設定した状態で、作業者が、車両内部とゲート板との間で荷物を移動させる際に、この落下防止ベルトを繰り出して結合端部を被結合部に結合しておくことで、作業者の不安が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)本実施形態の安全柵が適用された車両であって、ゲート板に設置された安全柵が収納状態にある斜視図、(b)(a)に記載された安全柵が起立状態にある斜視図である。
【
図2】
図1(a)の第一安全柵及び第一支持基台を拡大して示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す第一安全柵及び第一支持基台の内部を透過して示す側面図である。
【
図4】
図1に示す第一安全柵の第一係合解除機構を拡大して示す斜視図である。
【
図5】第一安全柵が、収納状態(a)から中間状態(b)を経て起立状態(c)へと変化する態様を示す一部を透過して示す側面図である。
【
図6】第一安全柵が起立状態にある際の第一起立部材及び第一支持基台を拡大して示す斜視図である。
【
図7】
図1に示す安全柵に設置される落下防止装置において、落下防止ベルトが繰り出された状態を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示す落下防止ベルトが第二手摺部に収納された状態を示す斜視図である。
【
図9】(a)
図8に示す第一手摺部及び第二手摺部の一部を透過して示す平面図、(b)
図9(a)に示す第二手摺部の内部を透過して示す側面図である。
【
図10】(a)
図7に示す第一手摺部及び第二手摺部の一部を透過して示す平面図、(b)
図10(a)に示す第二手摺部の内部を透過して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に基づいて構成される安全柵の支持構造及び落下防止装置に係る実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1には、本実施形態の安全柵の支持構造及び落下防止装置が適用される箱型荷台110を有する車両100(2点鎖線で示している)が示されている。
図1(a)には、車両100の後方に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板2を含むテールゲート機構130が示されている。ゲート板2は、車両100の荷役作業が行われない場合は、箱型荷台110の後方の開閉扉120に沿って直立させられて格納状態とされ、荷役作業を実施する際には、
図1(a)に示すように、矢印R1で示す方向に開かれて水平な状態とされる。なお、
図1に矢印で示すX方向が車両の前後方向であり、Y方向が車両の幅方向であり、Z方向が上下方向であって、以降の図面においても、このXYZ方向は共通の方向を示すものとする。また、図示の実施形態では、箱型荷台110の後方の開閉扉120が2枚の観音開きドアで構成されている例を示すが、本発明はこれに限定されず、4枚に分割された開閉扉であったり、箱型荷台110の後方の開口の一部がゲート板2によって開閉されたりする構成であってもよい。
【0020】
ゲート板2は、全体が略矩形状で構成され、荷受け面4と、前方端縁部6と、後方端縁部8と、右方端縁部10と、左方端縁部12とを備えている。右方端縁部10及び左方端縁部12には、本実施形態の安全柵である第一安全柵20及び第二安全柵30が対向するように配設されている。第一安全柵20及び第二安全柵30は、例えば、合金鋼によって構成され、
図1(a)に示すようにゲート板2に畳まれる収納状態と、
図1(b)に示すように、矢印R2、R3に示す方向に起き上げられた起立状態(
図1(b)を参照)との間で姿勢の変化が可能な安全柵である。なお、第一安全柵20、第二安全柵30が起立状態とされた
図1(b)では、箱型荷台110の後方の開閉扉120は開かれた状態となっている(図示は省略している)。
【0021】
第一安全柵20は、収納状態と起立状態とでゲート板2に対して90度姿勢が変化する起立部材24を備えている。該起立部材24は、車両後方側の第一起立部材24Aと、車両前方側の第二起立部材24Bとを含む。第二安全柵30も、上記した第一安全柵20と略同様の構成を備えており、上記した収納状態と起立状態とで姿勢が変化する起立部材34を備えている。該起立部材34は、収納状態と起立状態とで90度姿勢が変化する車両後方側の第一起立部材34Aと、車両前方側の第二起立部材34Bとを含む。
【0022】
第一安全柵20は、ゲート板2の右方端縁部10の後方に配置され第一起立部材24Aの一端側(起立した際に下方となる側)を支持する第一支持基台40と、前方に配置され第二起立部材24Bの一端側(起立した際に下方となる側)を支持する第二支持基台50とを備えている。同様に、第二安全柵30は、ゲート板2の左方端縁部12の後方に配置され第二安全柵30の第一起立部材34Aの一端側(起立した際に下方となる側)を支持する第一支持基台60と、前方に配置され第二起立部材34Bの一端側(起立した際に下方となる側)を支持する第二支持基台70とを備えている。
【0023】
第一安全柵20は、該第一起立部材24Aの他端側(起立した際に上方となる側)と、該第二起立部材24Bの他端側(起立した際に上方となる側)と、を連結する連結部材である第一手摺部22を備えている。また、該第一起立部材24A及び該第二起立部材24Bは、第一手摺部22に加え、水平メンバ26によって連結されている。さらに第一安全柵20は、第一起立部材24Aから車両後方側に延長された柵延長部27と、追って詳述する第一係合解除機構28とを備えている。
【0024】
第二安全柵30も、第一安全柵20と同様に、該第一起立部材34Aの他端側(起立した際に上方となる側)と、該第二起立部材34Bの他端側(起立した際に上方となる側)と、を連結する連結部材である第二手摺部32を備えている。また、該第一起立部材34Aと該第二起立部材34Bとは、第二手摺部32に加え、水平メンバ36によって連結されている。さらに、第二安全柵30は、第二起立部材34Bから車両後方側に延長された柵延長部37と、上記の第一係合解除機構28と同様の構成を備えた第二係合解除機構38とを備えている。
【0025】
図2には、
図1(a)に記載されたゲート板2に対して第一安全柵20が折り畳まれた状態の第一安全柵20の第一起立部材24Aと第一支持基台40とを拡大して示している。なお、
図2では、第一起立部材24Aと第一支持基台40との支持構造を説明する都合上、一部の構成を、破線等を用いて透過して示している。
【0026】
図2に示すように、第一支持基台40は、ゲート板2の荷受け面4上に固定される矩形平板状のプレート部材41と、プレート部材41に対して垂直に、且つ、互いに対向する位置に立設される一対の回転軸支持部材43、44と、一対の回転軸支持部材43、44をゲート板2の右方端縁部10側において連結する連結メンバ45と、回転軸支持部材43、44の中間位置に立設され後述する係合部材が係合する被係合部材46と、を備えている。プレート部材41は、プレート部材41の4隅にゲート板2の下方からボルトが挿入され、プレート部材41の上面でナットBによって固定される。
【0027】
該第一起立部材24Aの該一端側には、該第一起立部材24Aの姿勢が収納状態から起立状態に変化する際に回動中心となる回転軸241が配設されている。回転軸241は、第一起立部材24Aの一端側を延長しX方向において対向するように配設された2つの延長プレート243、244によって支持されると共に、上記した第一支持基台40の回転軸支持部材43、44に回転自在に支持される。
【0028】
図2に加え、
図3も参照しながら、第一起立部材24Aと第一支持基台40とによる支持構造について、さらに詳細に説明する。
【0029】
第一起立部材24Aは、第一起立部材24Aの長手方向(図中Y方向)に移動可能に支持された第一連結ロッド245を備えている。第一連結ロッド245の一端側には、第一連結ロッド245と一体的に移動可能に連結されたスライドシャフト246が配設され、該スライドシャフト246の一端側端部には、係合部材として回転ローラ242が回転自在に支持されている。該スライドシャフト246は、第一起立部材24Aの延長プレート243、244を連結するように長手方向に間隔を開けて固定された支持プレート248a、248bに対して相対的に移動可能に挿通されると共に、該支持プレート248a、248b間に配設されたコイル状の圧縮ばね247を貫通するように配設される。また、該圧縮ばね247は、一方が、支持プレート248aに当接すると共に、他方が、スライドシャフト246に対して直交する方向に貫通して保持されたピン249によって支持されている。このような構成を備えていることにより、第一起立部材24Aの回転ローラ242は、第一起立部材24Aの一端側、すなわち第一支持基台40の被係合部材46側に向かって押し付けられる。なお、本実施形態では、上記したように、第一連結ロッド245の一端側に別の部材であるスライドシャフト246を、連結部245aを介して連結したが、第一連結ロッド245とスライドシャフト246を一体的に形成するようにしてもよい。
【0030】
上記した第一支持基台40の被係合部材46は、
図3に示すように、第一安全柵20が収納状態にあるときに係合部材である回転ローラ242が係合して第一安全柵20の収納状態を維持する第一係合凹部461と、該第一安全柵20が起立状態にあるとき該回転ローラ242が係合して第一安全柵20の起立状態を維持する第二係合凹部462と、第一係合凹部461と第二係合凹部462とを接続し、第一安全柵20の状態が収納状態と起立状態との間で変化する際に該回転ローラ242が移動する接続部463と、を備えている。
【0031】
上記の説明では、第一起立部材24A及び第一支持基台40により構成される支持構造を説明したが、本実施形態の第一安全柵20では、第二起立部材24B及び第二支持基台50にも、上記した構成と同様の支持構造が配設されている。すなわち、第二起立部材24Bには、上記の第一連結ロッド245に相当する第二連結ロッド(図示を省略する)が配設され、該第二連結ロッドの一端側には上記の回転ローラ242に相当する回転ローラ(図示を省略する)が配設され、第二支持基台50には、上記の被係合部材46に相当する被係合部材(図示を省略する)も配設される。
図1、
図2から理解されるように、第一安全柵20には、上記の第一連結ロッド245の他端側と図示が省略された第二起立部材24Bの第二連結ロッドの他端側とを連結し水平方向に延びるロッド連結バー29が配設されている。また、
図2の第一起立部材24Aの略中央部に形成され該ロッド連結バー29の芯材29bの端部が挿入される長孔240が第二起立部材24Bの略中央部にも形成され、ロッド連結バー29は、第一起立部材24A及び第二起立部材24Bの長手方向に平行移動可能に支持される。このような構成を備え、ロッド連結バー29を該長孔240に沿って平行移動させることで、第一起立部材24Aの係合部材である回転ローラ242、及び第二起立部材24Bの係合部材である回転ローラ(図示は省略する)を、第一起立部材24A及び第二起立部材24Bの長手方向に沿って移動させることが可能になっている。
【0032】
図1、
図3に示すように、本実施形態の第一安全柵20には、上記した被係合部材46の第一係合凹部461、及び第二係合凹部462に対する回転ローラ242の係合を解除するための係合解除機構として機能する第一係合解除機構28が配設されている。
図1~3に加え、
図4、5を参照しながら、本実施形態の第一係合解除機構28の構成及び機能について、より具体的に説明する。
【0033】
本実施形態の第一係合解除機構28は、
図1に示すように、第一手摺部22における第一起立部材24Aと第二起立部材24Bとの間の略中間位置に配設されている。第一係合解除機構28は、第一起立部材24Aの回転ローラ242及び第二起立部材24Bの回転ローラ(図示は省略)を第一起立部材24A及び第二起立部材24Bの他端側(
図3では左方側)に引くための索状部材281を備えている。索状部材281は、例えば、綱、紐、ベルト状の部材を含み、柔軟性を有する滑りの良い部材が好ましく、本実施形態では、樹脂製の平ベルトが採用されている。
図4に示すように、該索状部材281は、ベルトブラケット282の固定連結部283に固定される一端部281aと、作業者が把持して引っ張る他端部を構成する環状に形成された把持部281bとを備えている。
【0034】
ベルトブラケット282の固定連結部283に該一端部281aが固定された索状部材281は、上記のロッド連結バー29に巻き掛けられて反転され、該ベルトブラケット282の固定連結部283に隣接して配設された固定巻き掛け部284に巻き掛けられて一端側に反転される。この構成により、ロッド連結バー29は、該索状部材281を矢印R4で示す方向に引くことで第一起立部材24A及び第二起立部材24Bの長手方向に沿って移動する移動巻き掛け部として機能する。また、ロッド連結バー29は、
図2、
図3から理解されるように、中空のパイプ状の外形部29aと芯材29bとを少なくとも含み構成され、
図4に示すように索状部材281を上記の如くR4に示す方向に引くことにより、ロッド連結バー29の外形部29aを回転させながら、図中矢印R5で示す方向に滑らかに移動させることができる。
【0035】
図5には、上記した第一係合解除機構28を操作することにより、第一安全柵20が、ゲート板2に畳まれた収納状態(a)から、中間状態(b)を経て、起立状態(c)に変化する態様が示されている。
【0036】
まず、第一安全柵20が、
図5に示す収納状態(a)にあるとき、第一起立部材24Aの回転ローラ242は、圧縮ばね247の作用によって被係合部材46の第一係合凹部461側に押し付けられて係合されている。これにより、第一安全柵20は、収納状態(a)で固定されている。ここで、作業者は、上記した第一係合解除機構28の索状部材281の把持部281bを掴み、
図4中矢印R4で示した方向に引く。ロッド連結バー29は、上記したように、第一起立部材24Aの第一連結ロッド245を介して回転ローラ242と、第二起立部材24Bの第二連結ロッドを介して回転ローラ(図示は省略する)に連結されている。したがって、索状部材281に作用する引張力は、スライドシャフト246のピン249を介して圧縮ばね247の圧縮ばね力に抗する力となって、
図5中の矢印R6で示す方向に作用して、被係合部材46の第一係合凹部461に対する回転ローラ242の係合が解除される。なお、これと同時に、第二支持基台50の図示を省略する被係合部材の第一係合凹部に対する第二起立部材24Bの図示を省略する回転ローラの係合も解除される。
【0037】
図5の中間状態(b)から理解されるように、第一安全柵20を矢印R7で示す方向に引き起こして、作業者は、第一手摺部22を掴みながら、さらに、起立状態(c)へ向けて第一安全柵20の姿勢を変化させることができる。このとき、索状部材281からは手を離すことが可能であり、第一起立部材24Aの回転ローラ242は、被係合部材46の上記した接続部463と接しながら移動させられ、第一安全柵20が、ゲート板2に対して直立した起立状態(c)となる(
図6も併せて参照)。これにより、圧縮ばね247の作用により回転ローラ242が、被係合部材46側に押し付けられて、自動的に第二係合凹部462と係合し、起立状態(c)となる(
図6では、説明の都合上、回転軸支持部材43、44は省略されている)。
【0038】
ここで、本実施形態の延長プレート243の第一支持基台40の連結メンバ45と当接する側には、図に示すように、段差部243aが配設されており、回転ローラ242が被係合部材46の第二係合凹部462と係合する際には、該段差部243aが第一支持基台40の連結メンバ45と当接する状態となる。なお、他方の延長プレート244に対しても同様の形状の段差部が形成されており、該連結メンバ45に当接する。この結果、該回転ローラ242が第二係合凹部462に係合した状態では、第一安全柵20が内側に倒れることが規制されると共に、第一安全柵20が外側に倒れることも規制されて、起立状態(c)の姿勢が良好に維持される。
【0039】
ところで、上記の第一係合解除機構28は、いわゆる動滑車を使用してその原理を説明することが可能な作業者の引張力を低減する構成を備えている。すなわち、第一係合解除機構28の固定巻き掛け部284がいわゆる定滑車に相当し、ロッド連結バー29がいわゆる動滑車に相当する。このような構成によれば、作業者が索状部材281を引っ張り、圧縮ばね247の圧縮ばね力に抗して第一係合凹部461に対する回転ローラ242の係合を解除する際の力が、該構成を備えていない場合に比して半減される。この結果、作業者が索状部材281に作用させることができる引張力の範囲で、圧縮ばね247のばね力をより強いものとすることができ、上記した第一安全柵20が収納状態(a)、又は起立状態(c)とされた際の状態を、より適切に維持することができる。
【0040】
第一安全柵20を起立状態(c)にある状態から、収納状態(a)とする場合も、上記の索状部材281の把持部281bを作業者が引っ張り、該引張力が該移動巻き掛け部として機能するロッド連結バー29に作用して、該第二係合凹部462に対する該回転ローラ242の係合を解除すると共に、第二起立部材24Bにおける、図示を省略する回転ローラの第二係合凹部に対する係合も解除して、第一安全柵20を中間状態(b)とした後、ゲート板2に畳まれた収納状態(a)とすることができる。
【0041】
さらに、
図1に示す第二安全柵30も、上記の第一安全柵20と同様の構成を備えており、第二安全柵30に配設された第二係合解除機構38の索状部材を引っ張ることにより、第二安全柵30のロッド連結バー39を移動して、第二安全柵30を
図1(a)に示す収納状態と、
図1(b)に示す起立状態との間で容易に作動させることができる(詳細な説明は省略する)。
【0042】
上記した実施形態では、係合部材として回転ローラ242を配設した例を示したが、本発明は、係合部材が回転ローラ242であることに限定されない。例えば、回転ローラ242に替えて、スライドシャフト246の先端部に滑り性に優れたフッ素樹脂をコーティングした曲面で構成したり、超高分子量ポリエチレン等をコーティングした曲面としたりすることが可能である。
【0043】
また、上記した実施形態では、第一安全柵20の第一係合解除機構28を、第一手摺部22に配設した例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、第一手摺部22とは別に、第一安全柵20の第一起立部材24A及び第二起立部材24Bを連結する水平メンバを配設し、該水平メンバに第一係合解除機構28を配設することもできる。
【0044】
さらに、本実施形態のゲート板2の車幅方向の端縁部において対向する位置に配設された一対の安全柵を構成する第一安全柵20及び第二安全柵30には、以下に、
図7~10に基づいて説明する落下防止装置が配設される。なお、
図7、
図8では、ゲート板2が配設される車両100の箱型荷台110は省略されている。
【0045】
本実施形態の落下防止装置は、
図7、
図8に示すように、一方の第一安全柵20の後方端部に形成された略D字形状の被結合部80と、他方の第二安全柵30に収納可能で、該第二安全柵30の後方端部に配設された繰出部90から矢印R8で示す方向に繰り出し可能な落下防止ベルト91と、落下防止ベルト91の端部に形成された結合端部92と、を備えている。第二安全柵30の繰出部90から繰り出された落下防止ベルト91の該結合端部92は、図に示すように、第一安全柵20の被結合部80に結合される。このような落下防止ベルト91を含む落下防止装置が設定されることにより、例えば、ゲート板2上に荷物を積み上げた状態でゲート板2を昇降させる際に、該荷物が崩れて、ゲート板2から後方に落下することが防止される。また、ゲート板2を車両内部の床面と面一の高さに設定した状態で、作業者が、車両内部とゲート板2との間で荷物を移動させる際に、この落下防止ベルト91を繰り出して結合端部92を被結合部80に結合しておくことで、荷物の落下等に対する作業者の不安が抑制され、作業上の安全がより高まる。
【0046】
図8には、上記の落下防止ベルト91が、第二安全柵30の第一起立部材34Aの上部と第二起立部材34Bの上部とを連結する第二手摺部32の内部に収納された状態が示されている。落下防止ベルト91が第二手摺部32に収納された状態では、フック形状をなす結合端部92が繰出部90で止まり後方に露出する。
【0047】
図9(a)には、第一安全柵20の第一手摺部22と、第二安全柵30の第二手摺部32の平面図が示されている(説明の都合上、両者の間隔を詰めて記載している)。
図9(b)には、第二手摺部32の側面図が示されている。なお、
図9(a)及び
図9(b)に記載の第二手摺部32は、落下防止ベルト91が第二手摺部32の内部に収納された状態を示し、説明の都合上、内部の構成を透過して示している。
【0048】
該第二手摺部32の内部には弾性部材93が配設されている(中間部のばねの形状は省略されている)。該弾性部材93は、例えば引っ張りコイルばねである。該弾性部材93の一端部93aは、第二手摺部32の車両前方側(図中左方側)の端部に係止され、他端部93bは、第二手摺部32内において、長手方向にスライド可能に保持されたベルトスライダ94の係止部94aに係止されている。該ベルトスライダ94には、上記の落下防止ベルト91が巻き掛けられる巻き掛け部95が形成されている。本実施形態の巻き掛け部95は、第二手摺部32の長手方向に沿って車両後方側(図中右方側)に配設された第一巻き掛け部95aと、車両前方側に配設された第二巻き掛け部95bとを備えている。第二手摺部32の内部の繰出部90側には、落下防止ベルト91の固定端部91aが固定されるベルト固定部96が配設されている。該ベルト固定部96に固定端部91aが固定された落下防止ベルト91は、まず、ベルトスライダ94の第一巻き掛け部95aに巻き掛けられて反転され、該ベルト固定部96の近傍に配設されたベルト反転部97に巻き掛けられて反転され、さらに、ベルトスライダ94の第二巻き掛け部95bに巻き掛けられて反転され、落下防止ベルト91の結合端部92が、第二手摺部32の繰出部90に係止される。なお、本実施形態の第二手摺部32内には、ベルト反転部97において反転される落下防止ベルト91が上記のベルト固定部96と干渉しないように離反させるガイドピン98も配設されている。上記した構成により、ベルトスライダ94には、上記した弾性部材93の引張力が常に作用しており、落下防止ベルト91は、その全体が第二手摺部32の内部に引き込まれる。
【0049】
上記の構成を備えた落下防止装置において、落下防止ベルト91を、
図7、
図10に示す如く繰り出して落下防止ベルト91の結合端部92を被結合部80に結合する場合、作業者は、結合端部92を掴んで引き、第二手摺部32の繰出部90から落下防止ベルト91を繰り出す。これに伴い、第二手摺部32の内部に配設されたベルトスライダ94が、弾性部材93の引張力に抗して、
図9、10に矢印R9で示す方向、すなわち繰出部90側にスライドする。ここで、落下防止ベルト91の長さは、第二手摺部32の繰出部90から繰り出され、該結合端部92が第一手摺部22側の被結合部80に達し、該結合端部92を該被結合部80に係合させるだけの遊び分のみを含む長さに設定される。これにより、落下防止ベルト91をさらに引き出そうとする力が作用しても、必要以上に延びて撓むことが防止され、ゲート板2上に積み上げられた荷物が崩れようとした場合でも、落下防止ベルト91が該荷物を支持し、該荷物が崩れることが防止される。
【0050】
また、上記したように、本実施形態の落下防止装置は、いわゆる動滑車を使用してその原理を説明することが可能な作業者の引張力を低減する機構を備えている。より具体的には、第一巻き掛け部95a及び第二巻き掛け部95bが動滑車に相当し、ベルト反転部97が定滑車に相当し、第一巻き掛け部95a及び第二巻き掛け部95bが配設されたベルトスライダ94が、引っ張りコイルばね93によって引っ張られていることから、結合端部92を引いて落下防止ベルト93を繰り出す場合に必要な引張力は、該動滑車の原理により、上記の機構を備えていない場合に比して1/4に低減される。
【符号の説明】
【0051】
2:ゲート板
4:荷受け面
6:前方端縁部
8:後方端縁部
10:右方端縁部
12:左方端縁部
20:第一安全柵
22:第一手摺部
24:起立部材
24A:第一起立部材
241:回転軸
242:回転ローラ
243、244:延長プレート
245:第一連結ロッド
246:スライドシャフト
247:圧縮ばね
24B:第二起立部材
26:水平メンバ
27:柵延長部
28:第一係合解除機構
281:索状部材
281a:一端部
281b:把持部(他端部)
282:ベルトブラケット
283:固定連結部
284:固定巻き掛け部
29:ロッド連結バー
29a:外形部
29b:芯材
30:第二安全柵
34:起立部材
34A:第一起立部材
34B:第二起立部材
36:水平メンバ
37:柵延長部
38:第二係合解除機構
39:ロッド連結バー
40:第一支持基台
41:プレート部材
43、44:回転軸支持部材
45:連結メンバ
46:被係合部材
461:第一係合凹部
462:第二係合凹部
463:接続部
50:第二支持基台
60:第一支持基台
70:第二支持基台
80:被結合部
90:繰出部
91:落下防止ベルト
92:結合端部
93:弾性部材
93a:一端部
93b:他端部
94:ベルトスライダ
94a:係止部
95:巻き掛け部
95a:第一巻き掛け部
95b:第二巻き掛け部
96:ベルト固定部
97:ベルト反転部
98:ガイドピン
100:車両
110:箱型荷台
120:開閉扉
130:テールゲート機構