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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147275
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20231004BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20231004BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20231004BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231004BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20231004BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20231004BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20231004BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20231004BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20231004BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20231004BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20231004BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20231004BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20231004BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20231004BHJP
   C11D 1/52 20060101ALI20231004BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20231004BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20231004BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/36
A61Q19/10
A61Q5/02
A61Q1/14
A61K8/40
A61K8/60
A61K8/42
A61K8/44
A61K8/33
C11D1/04
C11D3/48
C11D1/90
C11D1/68
C11D1/52
C11D3/20
C11D17/08
C11D17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052273
(22)【出願日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2022053497
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000181147
【氏名又は名称】持田製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小關 知子
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC251
4C083AC252
4C083AC302
4C083AC402
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC792
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD212
4C083AD391
4C083AD392
4C083BB04
4C083BB07
4C083BB43
4C083BB44
4C083CC22
4C083CC38
4C083DD01
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD47
4C083EE03
4C083FF04
4H003AB03
4H003AB10
4H003AB15
4H003AC03
4H003AC05
4H003AC08
4H003AC13
4H003AD04
4H003BA12
4H003BA21
4H003DA02
4H003EA21
4H003EB03
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB14
4H003EB20
4H003EB34
4H003ED02
4H003FA02
4H003FA10
4H003FA16
4H003FA28
4H003FA34
4H003FA36
(57)【要約】
【課題】
ミコナゾール及び/又はその塩並びに脂肪酸塩を含む、析出物の析出が抑制されているアルカリ性の洗浄用液状組成物を提供すること
【解決手段】
(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、
(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、
(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物であって、成分(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%を超えて5質量%以下である、液状組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、
(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、
(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物であって、成分(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%を超えて5質量%以下である、液状組成物。
【請求項2】
外観が透明である、請求項1に記載の洗浄用液状組成物。
【請求項3】
前記ミコナゾール及び/又はその塩がミコナゾール硝酸塩である、請求項1又は請求項2に記載の洗浄用液状組成物。
【請求項4】
前記カルボキシベタイン型両性界面活性剤がラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ヤシ油アルキルベタイン(ココベタイン)、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ミリスチルベタイン)、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ステアリルベタイン)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)及びミリスチン酸アミドプロピルベタイン(ミリスタミドプロピルベタイン)からなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤である、請求項1又は請求項2に記載の洗浄用液状組成物。
【請求項5】
前記アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤がアルキル(8~16)グルコシド、(C12-20)アルキルグルコシド、オクチルグルコシド、デシルグルコシド及びラウリルグルコシドからなる群から選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤である、請求項1又は請求項2に記載の洗浄用液状組成物。
【請求項6】
前記脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤がヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ステアリン酸ジエタノールアミド(ステアラミドDEA)、オレイン酸ジエタノールアミド(オレアミドDEA)、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド(パーム核脂肪酸アミドDEA)、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)、ステアリン酸モノエタノールアミド(ステアラミドMEA)及びポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤である、請求項1又は請求項2に記載の洗浄用液状組成物。
【請求項7】
前記脂肪酸塩がラウリン酸塩、オレイン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩及びリシノール酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸塩である、請求項1又は請求項2に記載の洗浄用液状組成物。
【請求項8】
前記脂肪酸塩がカリウム塩、ナトリウム塩又はトリエタノールアミン塩である、請求項1又は請求項2に記載の洗浄用液状組成物。
【請求項9】
前記カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤及び脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤の総含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0.1質量%乃至10質量%である、請求項1又は請求項2に記載の洗
浄用液状組成物。
【請求項10】
前記洗浄用液状組成物のpHが8以上13以下である、請求項1又は請求項2に記載の洗浄用液状組成物。
【請求項11】
前記脂肪酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて1質量%乃至10質量%である、請求項1又は請求項2に記載の洗浄用液状組成物。
【請求項12】
水及び/又は水溶性溶媒を含有し、その含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて60質量%乃至98質量%である、請求項1又は請求項2に記載の洗浄用液状組成物。
【請求項13】
ポンプフォーマー容器に充填して使用する、請求項1又は請求項2に記載の洗浄用液状組成物。
【請求項14】
(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、
(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、
(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物であって、成分(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%を超えて5質量%以下である、液状組成物から析出物の析出を抑制する方法であって、
上記成分(i)乃至成分(iii)を混合する工程を含む、析出抑制方法。
【請求項15】
(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、
(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、
(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物であって、成分(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%を超えて5質量%以下である、液状組成物を製造する方法であって、
上記成分(i)乃至成分(iii)と水及び/又は水溶性溶媒とを混合する工程を含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミコナゾール及び/又はその塩(以下「ミコナゾール」とも記載する。)、並びに脂肪酸塩を含有する洗浄用液状組成物(以下「ミコナゾール含有洗浄用液状組成物」とも記載する。)において、析出物の析出が抑制されている洗浄用液状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
油脂塩や高級脂肪酸塩などの脂肪酸アルカリ金属塩である石けんは、陰イオン基を有する界面活性剤である。水酸化カリウムと脂肪酸との反応(中和法)により得られる脂肪酸カリウム石けんは、脂肪酸ナトリウム石けんよりも水に対する溶解性が高く、液体石けんとして使用され、起泡性も高いことが知られている。これらの石けんの特徴としては、洗浄力が高く、泡切れが良く皮膚に残りにくいため、洗いあがりがさっぱりとした使用感が得られることである。
アルカリ性石けんに使用される脂肪酸塩のうち、炭素原子数が12のラウリン酸塩は他の脂肪酸塩に比べて皮膚刺激性が強いことが知られている(非特許文献1)。
pH4.5乃至6.5の弱酸性の皮膚に対して、アルカリ性石けんを使用することは肌を傷めるのではないかという懸念する声があるが、アルカリ性石けんを使用しても皮膚は一時的にアルカリ性に傾くものの皮膚の中和能により弱酸性に復元されるため、アルカリ性石けんが特に肌に悪いものではないといわれている。
さらに石けんは、生分解性に優れており、環境にもやさしい洗浄剤といえる。
【0003】
一方で、ミコナゾール及び/又はその塩を含有する洗浄用液状組成物が知られているが、それらはいずれも酸性~中性領域の組成物であり、本発明者が知る限り、アルカリ性の洗浄用液状組成物は知られていない(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6770339号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】油化学,公益社団法人日本油化学会,1972年,第21巻,第10号,p.699-704
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者は、ミコナゾール及び/又はその塩並びに脂肪酸塩を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物について検討したところ、該アルカリ性の洗浄用液状組成物は保存中に析出物が析出しやすいという課題を見出した。
したがって、本発明の目的は、ミコナゾール及び/又はその塩並びに脂肪酸塩を含む、析出物の析出が抑制されているアルカリ性の洗浄用液状組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ミコナゾール硝酸塩は弱塩基(pKa=6.65(弱酸性))であるので、液状組成物のpHがアルカリ性である場合、ミコナゾール硝酸塩は遊離酸になり、これに起因して水に対する溶解性が低下することが考えられた。このアルカリ性条件下で、ミコナゾール硝酸塩を溶解させるためには、どのような溶解補助剤が使用可能であるかに関する情報がなく、ミコナゾール硝酸塩を含有する、酸性~中性の液状組成物において用いられた溶解補助
剤は有効ではない可能性があった。このような状況下、本発明者は、ミコナゾール及び/又はその塩並びに脂肪酸塩を含むアルカリ性の液状組成物に、特定の両性界面活性剤、特定の非イオン性界面活性剤、及びイソプロピルメチルフェノールのいずれか1つ以上を配合することで、析出物の析出を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明は、
[0]
(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、
(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、
(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物であって、成分(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%乃至5質量%である、液状組成物。
[1]
(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、
(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、
(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物であって、成分(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%を超えて5質量%以下である、液状組成物。
[2]
外観が透明である、[1]に記載の洗浄用液状組成物。
[3]
前記ミコナゾール及び/又はその塩がミコナゾール硝酸塩である、[1]又は[2]に記載の洗浄用液状組成物。
[4]
前記カルボキシベタイン型両性界面活性剤がラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ヤシ油アルキルベタイン(ココベタイン)、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ミリスチルベタイン)、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ステアリルベタイン)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)及びミリスチン酸アミドプロピルベタイン(ミリスタミドプロピルベタイン)からなる群から選択される少なくとも1種の両性界面活性剤である、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の洗浄用液状組成物。
[5]
前記アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤がアルキル(8~16)グルコシド、(C12-20)アルキルグルコシド、オクチルグルコシド、デシルグルコシド及びラウリルグルコシドからなる群から選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤である、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の洗浄用液状組成物。
[6]
前記脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤がヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ステアリン酸ジエタノールアミド(ステアラミドDEA)、オレイン酸ジエタノールアミド(オレアミドDEA)、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド(パーム核脂肪酸アミドDEA)、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)、ステアリン酸モノエタノールアミド(ステア
ラミドMEA)及びポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドからなる群から選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤である、[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の洗浄用液状組成物。
[7]
前記脂肪酸塩がラウリン酸塩、オレイン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩及びリシノール酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸塩である、[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の洗浄用液状組成物。
[8]
前記脂肪酸塩がカリウム塩、ナトリウム塩又はトリエタノールアミン塩である、[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の洗浄用液状組成物。
[9]
前記カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤及び脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤の総含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0.1質量%乃至10質量%である、[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の洗浄用液状組成物。
[10]
前記洗浄用液状組成物のpHが8以上13以下である、[1]乃至[9]のいずれか1つに記載の洗浄用液状組成物。
[11]
前記脂肪酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて1質量%乃至10質量%である、[1]乃至[10]のいずれか1つに記載の洗浄用液状組成物。
[12]
水及び/又は水溶性溶媒を含有し、その含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて60質量%乃至98質量%である、[1]乃至[11]のいずれか1つに記載の洗浄用液状組成物。
[13]
ポンプフォーマー容器に充填して使用する、[1]乃至[12]のいずれか1つに記載の洗浄用液状組成物。
に関する。
【0009】
また、本発明は、
[14-0]
(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、
(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、
(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物であって、成分(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%乃至5質量%である、液状組成物から析出物の析出を抑制する方法であって、
上記成分(i)乃至成分(iii)を混合する工程を含む、析出抑制方法。
[14-1]
(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、
(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、
(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物であって、成分(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%を超え
て5質量%以下である、液状組成物から析出物の析出を抑制する方法であって、
上記成分(i)乃至成分(iii)を混合する工程を含む、析出抑制方法。
[14-2]
前記洗浄用液状組成物の外観が透明である、[14-1]に記載の方法。
に関する。
【0010】
さらに、本発明は、
[15-0]
(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、
(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、
(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物であって、成分(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%乃至5質量%である、液状組成物を製造する方法あって、
上記成分(i)乃至成分(iii)と水及び/又は水溶性溶媒とを混合する工程を含む、製造方法。
[15-1]
(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、
(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、
(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物であって、成分(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%を超えて5質量%以下である、液状組成物を製造する方法あって、
上記成分(i)乃至成分(iii)と水及び/又は水溶性溶媒とを混合する工程を含む、製造方法。
[15-2]
前記洗浄用液状組成物の外観が透明である、[15-1]に記載の方法。
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、析出物の析出が抑制されている、ミコナゾール及び/又はその塩を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物を提供することができる。
また、本発明の洗浄用液状組成物は、析出物の析出を抑制することができるので、本発明によれば、品質が劣化しにくく、使用感が損なわれにくいミコナゾール及び/又はその塩を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、更に詳細に本発明を説明する。
[アルカリ性の洗浄用液状組成物]
本発明は、(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、アルカリ性の洗浄用液状組成物であり、好ましくは(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%を超えて5質量%以下である、組成物である。
【0013】
本発明において、脂肪酸塩は洗浄作用を有するものである。
本発明において、脂肪酸塩とは、一般に石けんに使用される脂肪酸塩であり、炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩としては、例えば、ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩及びリシノール酸塩などが挙げられ、これらを単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、脂肪酸塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩及びトリエタノールアミン塩などが挙げられ、これらを単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、前記炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩としては、炭素原子数14乃至18の脂肪酸塩が好ましく、具体的には、オレイン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩及びステアリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、オレイン酸塩、ミリスチン酸塩、及びパルミチン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、オレイン酸塩及びミリスチン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましく、又は、パルミチン酸塩及びミリスチン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましく、少なくともミリスチン酸塩を含むことが最も好ましい。別の態様として、少なくともパルミチン酸塩を含む態様も好ましい。また別の態様として、少なくともパルミチン酸塩及びミリスチン酸塩を含む態様も好ましい。また、前記脂肪酸塩としては、カリウム塩であることが好ましい。
なお、本発明において、炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩は炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩として配合することができるが、炭素原子数12乃至24の脂肪酸と塩基(水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなど)とを配合して、組成物中で炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩を形成してもよい。
【0014】
本発明において、炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩の含有量は石けんとしての効果を発揮する濃度であればよく、以下に限定されるものではないが、洗浄用液状組成物の全量(以下「組成物全体の総質量」とも記載する。)に基づいて、1質量%乃至10質量%であることが好ましく、1質量%乃至8質量%であることがより好ましい。炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量は、組成物全体の総質量に基づいて、0質量%を超えて5質量%以下であることが好ましく、0質量%を超えて3質量%以下であることがより好ましく、0質量%を超えて1.5質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明において、脂肪酸塩の質量は、脂肪酸塩の質量を、脂肪酸カリウム塩の質量に換算した値を用いる。例えば、脂肪酸塩がカリウム塩以外の塩(例えば、ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩)の場合は、同じモル数の脂肪酸のカリウム塩の質量に換算した値を用いる。
【0015】
本発明において、ミコナゾール及び/又はその塩は、真菌の増殖を抑制する、いわゆる抗真菌作用を有するものである。
ミコナゾールの塩としては、塩酸塩や硝酸塩などが挙げられる。
ミコナゾール及び/又はその塩としては、ミコナゾール塩が好ましく、ミコナゾール硝酸塩がより好ましい。
ミコナゾール及び/又はその塩の含有量は以下に限定されるものではないが、組成物全体の総質量に基づいて、0.1質量%乃至3質量%であることが好ましく、0.1質量%乃至1質量%であることがより好ましい。
また、本発明において、炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩:ミコナゾール及び/又はその塩の含有比率は、質量比にて、1:1乃至20:1であることが好ましく、1:1乃至15:1であることがより好ましく、1:1乃至10:1であることがさらに好ましい。
【0016】
本発明において、カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオ
ン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物は、析出物の析出を抑制する作用を有するものである。
【0017】
本発明において、カルボキシベタイン型両性界面活性剤は、起泡性に優れた界面活性剤であり、化学構造式によってアルキルベタインと脂肪酸アミドプロピルベタインに分けられる。
アルキルベタインとしては、以下に限定されるものではないが、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ミリスチルベタイン)及びステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ステアリルベタイン)などのアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチル酢酸ベタイン並びにアルキルジメチルカルボキシメチルベタインなどが挙げられる。
脂肪酸アミドプロピルベタインとしては、以下に限定されるものではないが、ヤシ油アルキルベタイン(ココベタイン)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン(ミリスタミドプロピルベタイン)、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン及びオレイルアミドプロピルベタインなどが挙げられる。
本発明において、カルボキシベタイン型両性界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、カルボキシベタイン型両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)及びラウリン酸アミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)からなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
本発明において、カルボキシベタイン型両性界面活性剤の含有量は、本発明のミコナゾール含有洗浄用液状組成物から析出物が析出するのを抑制する効果を示す濃度であればよく、組成物全体の総質量に基づいて、0.01質量%乃至10質量%であることが好ましく、0.05質量%乃至8質量%であることがより好ましく、0.05質量%乃至5質量%が最も好ましい。
【0018】
本発明において、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤としては、具体的には、アルキル(8~16)グルコシド、(C12-20)アルキルグルコシド、オクチルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシドなどが挙げられる。
脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ステアリン酸ジエタノールアミド(ステアラミドDEA)、オレイン酸ジエタノールアミド(オレアミドDEA)、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド(パーム核脂肪酸アミドDEA)、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)、ステアリン酸モノエタノールアミド(ステアラミドMEA)、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(例えば、PEG-2コカミド、PEG-3コカミド、PEG-5コカミド、PEG-6コカミド及びPEG-11コカミド)などが挙げられる。
本発明において、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤としては、アルキル(8~16)グルコシドが特に好ましく、また、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)及びヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)からなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
【0019】
本発明において、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、及び脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用す
ることができる。また、少なくとも1種のアルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤と少なくとも1種の脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤とを組み合わせて使用することもできる。
本発明において、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤若しくは脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤の含有量、又はアルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤及び脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤の総含有量は、本発明のミコナゾール含有洗浄用液状組成物から析出物が析出するのを抑制する効果を示す濃度であればよく、組成物全体の総質量に基づいて、0.01質量%乃至10質量%であることが好ましく、0.05質量%乃至8質量%であることがより好ましく、0.05質量%乃至5質量%が最も好ましい。
【0020】
本発明において、イソプロピルメチルフェノールの含有量は、本発明のミコナゾール含有洗浄用液状組成物から析出物が析出するのを抑制する効果を示す濃度であればよく、組成物全体の総質量に基づいて0.01質量%乃至3質量%であることが好ましく、0.01質量%乃至2質量%であることがより好ましく、0.05質量%乃至2質量%であることがさらに好ましい。
【0021】
本発明において、成分(iii)の化合物としては、析出物の析出を十分に抑制する観点から、カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤及び脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
本発明において、カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤及び脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤の総含有量は、洗浄用液状組成物の全量に基づいて0.1質量%乃至10質量%であることが好ましく、0.5質量%乃至8質量%であることがより好ましく、0.5質量%乃至5質量%が最も好ましい。
【0022】
本発明において、ミコナゾール及び/又は脂肪酸塩などを含む析出物を十分に抑制する点で、ミコナゾール:成分(iii)の化合物の含有比率は、質量比にて、好ましくは1:0.01乃至1:13であり、ミコナゾール及び/又は脂肪酸塩などを含む析出物の析出を十分に抑制する点に加えて、透明の溶液が得られる点で、より好ましくは1:0.05乃至1:8である。
また、本発明において、成分(iii)が界面活性剤の場合は、脂肪酸塩:成分(iii)の界面活性剤の含有比率は、質量比にて、好ましくは1:0.01乃至1:13であり、より好ましくは1:0.1乃至1:10であり、さらに好ましくは1:0.1乃至1:5である。成分(iii)がイソプロピルメチルフェノールの場合は、脂肪酸塩:イソプロピルメチルフェノールの含有比率は、質量比において、好ましくは1:0.0005乃至1:5であり、より好ましくは1:0.001乃至1:3である。
【0023】
本発明において、析出物の析出抑制効果とは、ミコナゾール及び/又は脂肪酸塩などを含む析出物の析出を抑制して、成分(i)、成分(ii)及び成分(iii)を含む溶液の安定性を一定期間にわたり維持する効果である。析出抑制効果の有無は、具体的には、成分(i)、成分(ii)及び成分(iii)を溶解した溶液を密封容器に入れ、0℃の環境下に1週間静置したときの、析出物の析出の有無を観測することで判定できる。析出物の析出の有無は、通常目視で容易に判定することができる。
【0024】
本発明において、ミコナゾール含有洗浄用液状組成物は抗炎症成分、抗酸化成分、酸化防止剤、抗菌・防腐剤、増粘剤、保湿成分、キレート剤、pH調整剤、植物エキス類、香料、色素、及び成分(iii)の界面活性剤以外の界面活性剤などを含んでもよい。
【0025】
前記抗炎症成分としては、例えば、グリチルリチン酸又はその誘導体、アラントイン、酸化亜鉛、塩酸ピリドキシン、サリチル酸又はその誘導体、トコフェロール又はその誘導体、アスコルビン酸又はその誘導体、ヘスペリジン、グルコシルヘスペリジン、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸等が挙げられる。
【0026】
前記抗酸化成分としては、例えば、ハイドロキノン、アスタキサンチン、ナイアシンアミド、γ-オリザノール、酢酸DL-α-トコフェロール、天然ビタミンE、プラセンタエキス、dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、ピロクトンオラミン等が挙げられる。ここで、抗酸化成分とは、皮膚の酸化を防止するための成分であるが、前記抗酸化成分は酸化防止剤としても用いることができる。
【0027】
前記酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、イソプロピルガレート、トコフェロール、トコフェロール誘導体、L-システイン塩酸塩、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、緑茶乾留エキス等が挙げられる。ここで、酸化防止剤とは組成物の酸化を防止するための成分である。
【0028】
前記抗菌・防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビン酸及びその塩、フェノキシエタノール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、グルコン酸クロルヘキシジン、アルカンジオール及びグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0029】
前記増粘剤としては、例えば、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ベントナイト、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー等が挙げられる。
【0030】
前記保湿成分としては、例えば、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、コラーゲン、コラーゲン誘導体、ヘパリン類似物質、グリセリン、植物エキス類等が挙げられる。
【0031】
前記キレート剤としては、例えば、エデト酸塩[EDTA・2Na(エデト酸二ナトリウム)、EDTA・3Na(エデト酸三ナトリウム)、EDTA・4Na(エデト酸四ナトリウム)]、ヒドロキシエタンジホスホン酸(エチドロン酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸等が挙げられる。
【0032】
前記pH調整剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、無水クエン酸、コハク酸、コハク酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、無水リン酸水素二ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リンゴ酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、グルタミン酸、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等が挙げられる。
【0033】
植物エキス類としては、アシタバ抽出物、アロエ抽出物、アンズ抽出物、ウーロン茶抽出物、オレンジ抽出物、カモミール抽出物、キウイ抽出物、キュウリ抽出物、クチナシ抽出物、クマザサ抽出物、グレープフルーツ抽出物、クレマチス抽出物、クロレラ抽出物、クワ抽出物、紅茶抽出物、コケモモ抽出物、クチナシ抽出物、シソ抽出物、シャクヤク抽
出物、ショウブ根抽出物、シラカバ抽出物、サンザシ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、セージ抽出物、タイム抽出物、茶抽出物、クローブ抽出物、ウンシュウミカン果皮抽出物、ダイダイ果皮抽出物、緑茶抽出物、ノバラ抽出物、ハイビスカス抽出物、ハス抽出物、パセリ抽出物、ビワ抽出物、ブドウ抽出物、ベニバナ抽出物、ペパーミント抽出物、ボタン抽出物、ホップ抽出物、モモ抽出物、ヤグルマギク抽出物、ユーカリ抽出物、ユキノシタ抽出物、シトロン抽出物、ヨモギ抽出物、ラベンダー抽出物、リンゴ抽出物、レモン抽出物、レンゲ抽出物、バラ抽出物、ローズマリー抽出物、ローマンカモミール抽出物などが挙げられる。
【0034】
成分(iii)の界面活性剤以外の界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、成分(iii)の両性界面活性剤以外の両性界面活性剤、成分(iii)の非イオン性界面活性剤以外の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウムなどのN-アシルグルタミン酸塩、ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウムなどのN-アシルメチルアラニン塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウムなどのN-アシルメチルタウリン塩、ラウロイルサルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウムなどのN-アシルサルコシン塩、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムなどのN-アシルアスパラギン酸塩、ラウレス硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
成分(iii)の両性界面活性剤以外の両性界面活性剤としては、2-アルキルイミダゾリン誘導体型両性界面活性剤(2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなど)、グリシン型両性界面活性剤(N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムなど)、アルキルイミノジカルボン酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノジ酢酸モノナトリウムなど)などが挙げられる。
成分(iii)の非イオン性界面活性剤以外の非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤(ジラウリン酸PEG-75などのジラウリン酸ポリエチレングリコール及びジステアリン酸PEG-150などのジステアリン酸ポリエチレングリコールなど)などが挙げられる。
これらの界面活性剤の含有量は、本発明の効果を阻害しない限り特に限定されないが、洗浄用液状組成物の全量に基づいて、例えば、0.01質量%乃至10質量%が好ましく、0.01質量%乃至8質量%がより好ましい。
【0035】
さらに、本発明において、ミコナゾール含有洗浄用液状組成物は、上述の成分以外に、溶媒として水及び/又は水溶性溶媒を含有することができる。
水としては、精製水や脱イオン水などを用いることができる。
水溶性溶媒としては、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、濃グリセリン、ソルビトール、マルチトール、マルトース、フラクトース、キシリトール、マルトトリオース、スレイトール、メチルグルコシド、エチルグルコシドなどを用いることができ、これらを単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。ミコナゾール含有洗浄用液状組成物中の水及び/又は水溶性溶媒の含有量は、通常、上述の各成分の合計量を100質量%から差し引いた残部である。好ましい水溶性溶媒としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ジグリセリン及び濃グリセリンからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
本発明の一態様では、洗浄用液状組成物がポリプロピレングリコールを含まない態様も
望ましい。
本発明において、ミコナゾール含有洗浄用液状組成物中の水及び/又は水溶性溶媒の含有量は、洗浄用液状組成物の全量に基づいて、例えば、60質量%乃至98質量%であり、好ましくは65質量%乃至98質量%である。
【0036】
本発明において、ミコナゾール含有洗浄用液状組成物は、例えば、成分(i)の脂肪酸塩と成分(ii)のミコナゾール及び/又はその塩と成分(iii)の化合物と、必要によりその他の成分並びに水及び/又は水溶性溶媒とを混合する方法や、脂肪酸と成分(ii)のミコナゾール及び/又はその塩と成分(iii)の化合物と、必要によりその他の成分並びに水及び/又は水溶性溶媒とを混合した後、水酸化カリウムなどのpH調整剤で中和する方法等により、調製できる。
得られた液状組成物は、必要に応じてpH調整剤を添加して所望のpHに調整できる。本発明における液状組成物のpHは好ましくはpH8以上13以下であり、より好ましくはpH9以上13以下であり、さらに好ましくはpH10以上13以下である。別の好ましい態様として、本発明における液状組成物はpH9.5以上13以下である。
【0037】
本発明における洗浄用液状組成物の性状は、液状であり、ポンプフォーマー容器に充填して使用することで泡状とすることができる組成物である。本発明における洗浄用液状組成物の外観は、透明(有色透明又は無色透明)であることが好ましい。
本発明のミコナゾール含有洗浄用液状組成物は、ミコナゾール及び/又はその塩を含むことから、医薬部外品のボディソープやハンドソープとして使用することが好ましい。
【0038】
[析出物の析出を抑制する方法]
本発明は、
(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、
(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、
(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物であって、成分(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%を超えて5質量%以下である、液状組成物から析出物の析出を抑制する方法であって、
上記成分(i)乃至成分(iii)を混合する工程を含む、析出抑制方法
である。
【0039】
本発明の抑制方法に使用する成分(i)乃至成分(iii)としては、上述で説明したものを使用することができる。また、本発明の抑制方法において、段落[0024]で例示した任意成分を使用してもよい。
また、成分(i)乃至成分(iii)を混合する工程は、成分(i)乃至成分(iii)を混合して、加熱溶解する工程であることが好ましく、加熱溶解させる方法としては、例えば、成分(i)乃至成分(iii)を添加して、加熱しながら攪拌する方法などが挙げられる。また、洗浄用液状組成物の外観は透明(有色透明又は無色透明)であることが好ましい。
【0040】
[アルカリ性の洗浄用液状組成物を製造する方法]
本発明は、
(i)炭素原子数12乃至24の脂肪酸塩、
(ii)ミコナゾール及び/又はその塩、
(iii)カルボキシベタイン型両性界面活性剤、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤及びイソプロピルメチルフェ
ノールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物
を含むアルカリ性の洗浄用液状組成物であって、成分(i)の脂肪酸塩がラウリン酸塩を含む場合、該ラウリン酸塩の含有量が洗浄用液状組成物の全量に基づいて0質量%を超えて5質量%以下である液状組成物を製造する方法あって、
上記成分(i)乃至成分(iii)と水及び/又は水溶性溶媒とを混合する工程を含む、製造方法
である。
また、洗浄用液状組成物の外観は透明(有色透明又は無色透明)であることが好ましい。
【0041】
本発明の製造方法に使用する成分(i)乃至成分(iii)としては、上述で説明したものを使用することができる。また、本発明の製造方法において、段落[0024]で例示した任意成分を使用してもよい。
また、成分(i)乃至成分(iii)と水及び/又は水溶性溶媒とを混合する工程は、成分(i)乃至成分(iii)と水及び/又は水溶性溶媒とを混合して、加熱溶解する工程であることが好ましく、加熱溶解させる方法としては、例えば、成分(i)乃至成分(iii)と水及び/又は水溶性溶媒とを添加して、加熱しながら攪拌する方法などが挙げられる。
水としては、精製水や脱イオン水などが挙げられる。
水溶性溶媒としては、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エタノール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、濃グリセリン、ソルビトール、マルチトール、マルトース、フラクトース、キシリトール、マルトトリオース、スレイトール、メチルグルコシド、エチルグルコシドなどが挙げられ、これらを単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明の一態様では、洗浄用液状組成物がポリプロピレングリコールを含まない態様も望ましい。
【実施例0042】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0043】
試験例1:両性界面活性剤による析出物の析出抑制の効果
表1に記載される配合量で、全体で質量100%になるように各成分を秤量し、混合して加熱溶解し、液状組成物を調製した。なお、表1中の各成分の量は、液状組成物の総質量に基づく質量%を表す。
評価試験に用いる液状組成物をスクリュー管に入れ、全ての成分が完全に溶解していることを目視で確認した後、スクリュー管を0℃の環境に1週間静置することによって、析出物の析出が認められるか否かの観察を行った。
評価方法は、1週間0℃に保管したスクリュー管を室温に戻したのち、目視で白濁・析出等の性状を次の2段階で評価した。
〇:透明溶解
×:白濁、析出、又はゲル化のいずれか一つ以上が認められる
【0044】
【表1】
【0045】
結果:ミコナゾール硝酸塩及び脂肪酸塩を含む液状組成物に、カルボキシベタイン型両性界面活性剤を配合することにより、析出物の析出を抑制することができた。一方、両性界面活性剤を配合しなかった場合(比較例1)や、両性界面活性剤を配合しても、該両性界面活性剤が2-アルキルイミダゾリン誘導体型両性界面活性剤(比較例2)やアルキルイミノジカルボン酸型両性界面活性剤(比較例3)である場合は、析出物の析出を抑制することができなかった。
【0046】
試験例2:非イオン性界面活性剤による析出物の析出抑制の効果
試験例1の方法に準じ、表2に示す組成の液状組成物を調製し、液状組成物中の析出物の析出の有無を観察し、試験例1と同様の方法で判定した。なお、表2中の各成分の量は、液状組成物の総質量に基づく質量%を表す。
【0047】
【表2】
【0048】
結果:ミコナゾール硝酸塩及び脂肪酸塩を含む液状組成物に、アルキルグルコシド型非イオン性界面活性剤又は脂肪酸アルカノールアミド型非イオン性界面活性剤を配合することにより、析出物の析出を抑制することができた。一方、非イオン性界面活性剤を配合した場合であっても、該非イオン性界面活性剤が脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン型非イオン性界面活性剤(比較例4及び比較例5)やポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤(比較例6)である場合は、析出物の析出を抑制することができなかった。
【0049】
試験例3:イソプロピルメチルフェノールによる析出物の析出抑制の効果
試験例1の方法に準じ、表3に示す組成の液状組成物を調製し、液状組成物中の析出物の析出の有無を観察し、試験例1と同様の方法で判定した。なお、表3中の各成分の量は、液状組成物の総質量に基づく質量%を表す。
【0050】
【表3】
【0051】
結果:ミコナゾール硝酸塩及び脂肪酸塩を含む液状組成物に、イソプロピルメチルフェノールを配合することにより、析出物の析出を抑制することができた。また、脂肪酸塩がオレイン酸塩であっても析出物の析出を抑制することができた。
【0052】
試験例4:皮膚刺激性の評価
本発明の組成物と、特許文献1の実施例2の組成物とをそれぞれ調製した。表4に記載される配合量で、全体で質量100%になるように各成分を秤量し、混合して加熱溶解し、液状組成物を調製した。なお、表4中の各成分の量は、液状組成物の総質量に基づく質量%を表す。
得られた本発明の組成物(実施例18)は、性状が液状であり、pHが9.22であった。一方、特許文献1の実施例2の組成物(比較例8)は、性状が液状であり、pHが7.70であった。
評価試験に用いる液状組成物をポンプフォーマー容器に入れ、4人の被験者が顔もしくは腕に使用し、下記の評価項目を下記評価基準に基づいて評価した。各評価項目について、被験者4人の評価の平均点を求め、皮膚刺激性を比較評価した。
<評価項目>
洗浄後のツッパリ感
刺激感(むず痒さ)
刺激感(ピリピリ感)
刺激感(ほてり感)
<評価基準>
1:全くない
2:少し感じる
3:感じる
4:強く感じる
【0053】
【表4】
【0054】
結果:ラウリン酸の含有量を4質量%以下とすることで、本発明の液状組成物は皮膚刺激性が低いことが示された。
なお、別途特許文献1の実施例3の組成物を調製したところ、性状はクリーム状であり、pH8.47であることが確認された。
【0055】
[処方例]
下記の処方例に基づいて、本発明の液状組成物を調製した。各表中の数値は質量%を意味する。調製方法は試験例1の方法に準じ、調製した。
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】