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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147279
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】浴室システム
(51)【国際特許分類】
   G01V 11/00 20060101AFI20231004BHJP
   G08B 21/08 20060101ALI20231004BHJP
   G08B 21/22 20060101ALI20231004BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20231004BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G01V11/00
G08B21/08
G08B21/22
A47K4/00
A47K3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053111
(22)【出願日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2022053543
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】星島 弘明
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 和由紀
【テーマコード(参考)】
2D005
2D132
2G105
5C086
【Fターム(参考)】
2D005FA00
2D132GA00
2G105AA01
2G105BB14
2G105BB15
2G105BB16
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE06
2G105HH01
5C086AA22
5C086BA04
5C086CA06
5C086CA12
5C086CA17
5C086CA25
(57)【要約】
【課題】浴室内の人の存否判定の信頼性を高めることができる浴室システムを提供する。
【解決手段】浴室システム100は、浴槽3を有する浴室2の出入口2aの人の通過を検知するための入退室センサ20と、浴室2内の人のバイタルを検知するためのバイタルセンサ10と、入退室センサ20から得られる第1信号及びバイタルセンサ10から得られる第2信号に基づいて、浴室2内の人の在室又は不在を判定する制御装置1と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽を有する浴室の出入口の人の通過を検知するための入退室センサと、
前記浴室内の人のバイタルを検知するためのバイタルセンサと、
前記入退室センサから得られる第1信号及び前記バイタルセンサから得られる第2信号に基づいて、前記浴室内の人の在室又は不在を判定する制御装置と、を備える浴室システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1信号に基づいて前記出入口の人の通過の有無を判定し、
前記制御装置は、前記第2信号に基づいて前記浴室内の人のバイタルの有無を判定し、
前記制御装置は、前記浴室内の人の在室又は不在の判定結果を記憶し、
前記制御装置は、前記判定結果として人の不在を記憶している状態では、前記出入口の人の通過が有り、前記浴室内におけるバイタルが有ると判定した場合に、前記浴室内に人が在室していると判定し、
前記制御装置は、前記判定結果として人の在室を記憶している状態では、前記出入口の人の通過が有り、前記浴室内におけるバイタルが無いと判定した場合に、前記浴室内に人が不在であると判定する
請求項1に記載の浴室システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記判定結果として人の在室を記憶している状態では、前記出入口の人の通過が無いと判定している場合、前記浴室内におけるバイタルの有無によらず、在室の判定を維持する
請求項2に記載の浴室システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記判定結果として人の不在を記憶している状態では、前記出入口の人の通過が無いと判定している場合、前記浴室内におけるバイタルの有無によらず、不在の判定を維持する
請求項2に記載の浴室システム。
【請求項5】
前記バイタルセンサは、前記浴室内において、前記浴槽の框面より低く、前記浴槽から離れた位置に設けられる
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の浴室システム。
【請求項6】
前記浴槽への入退槽を検知するための浴槽センサを備え、
前記制御装置は、前記浴槽センサから得られる第3信号に基づいて、前記浴槽へ入退槽を判定し、
前記制御装置は、前記判定結果として人の在室を記憶している状態では、前記浴槽から退槽していると判定した場合、人が洗場に居ると判定する
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の浴室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、浴室内での事故発生数は増加している。また、高齢者の比率は増加している。したがって、独居又は老々介護となる高齢者の比率も増加すると予測されるので、浴室内での事故発生数は更に増えると懸念されている。浴室内の人の見守りと監視を兼ねた浴室システムが提案されている。
【0003】
特許文献1又は特許文献2では、焦電センサを用いて浴室内の人の存否を検知するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-094748号公報
【特許文献2】特開2020-112850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1又は特許文献2のシステムでは、浴室の使用、設置環境による影響により誤検知し、浴室内の人の存否を正しく検知できない場合があった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、浴室内の人の存否判定の信頼性を高めることができる浴室システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
(1)本発明の一態様に係る浴室システムは、浴槽を有する浴室の出入口の人の通過を検知するための入退室センサと、前記浴室内の人のバイタルを検知するためのバイタルセンサと、前記入退室センサから得られる第1信号及び前記バイタルセンサから得られる第2信号に基づいて、前記浴室内の人の在室又は不在を判定する制御装置と、を備える。
(2)上記(1)において、前記制御装置は、前記第1信号に基づいて前記出入口の人の通過の有無を判定し、前記制御装置は、前記第2信号に基づいて前記浴室内の人のバイタルの有無を判定し、前記制御装置は、前記浴室内の人の在室又は不在の判定結果を記憶し、前記制御装置は、前記判定結果として人の不在を記憶している状態では、前記出入口の人の通過が有り、および、前記浴室内におけるバイタルが有ると判定した場合に、前記浴室内に人が在室していると判定し、前記制御装置は、前記判定結果として人の在室を記憶している状態では、前記出入口の人の通過が有り、前記浴室内におけるバイタルが無いと判定した場合に、前記浴室内に人が不在であると判定してよい。
(3)上記(2)において、前記制御装置は、前記判定結果として人の在室を記憶している状態では、前記出入口の人の通過が無いと判定している場合、前記浴室内におけるバイタルの有無によらず、在室の判定を維持してよい。
(4)上記(2)又は(3)のいずれかにおいて、前記制御装置は、前記判定結果として人の不在を記憶している状態では、前記出入口の人の通過が無いと判定している場合、前記浴室内におけるバイタルの有無によらず、不在の判定を維持してよい。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記バイタルセンサは、前記浴室内において、前記浴槽の框面より低く、前記浴槽から離れた位置に設けられてよい。
(6)上記(2)から(4)のいずれかにおいて、前記浴槽への入退槽を検知するための浴槽センサを備え、前記制御装置は、前記浴槽センサから得られる第3信号に基づいて、前記浴槽へ入退槽を判定し、前記制御装置は、前記判定結果として人の在室を記憶している状態では、前記浴槽から退槽していると判定した場合、人が洗場に居ると判定してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、浴室内の人の存否判定の信頼性を高めることができる浴室システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る浴室システムの説明図(側面図)である。
図2】実施形態に係る浴室システムの説明図(上面図)である。
図3】実施形態に係る浴室システムのブロック図である。
図4】存否判定に要するセンサの組み合わせと、検知結果から得られる判定内容との関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る浴室システム100について、図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る浴室システム100の説明図(側面図)である。図2は、実施形態に係る浴室システム100の説明図(上面図)である。図3は、実施形態に係る浴室システム100のブロック図である。
なお、以下、浴室システム100のユーザ(利用者)を、入浴者、介助者、監視者等に、細分して呼ぶ場合がある。
【0010】
(浴室システム)
図1及び図2に示すように、実施形態に係る浴室システム100は、浴室内外へのユーザの通過を可能にする出入口2aを有する浴室2と、框面3aを有する浴槽3と、を含んでいる。浴室システム100は、適宜、洗場4を含んでよい。浴室2は、出入口2aを通して脱衣所とつながっていてもよい。
本実施形態では、浴室2は、直方体状である。浴室2は、4つの側面2b、2cを備えている。4つの側面2bは、第1方向D1に延びる2つの第1側面2bと、第2方向D2に延びる2つの第2側面2cと、を含む。浴室2は、上面視において、浴槽3と洗場4とに分けられている。浴槽3と洗場4とは、第1方向D1に並んでいる。図示の例では、出入口2aは、2つの第2側面2cのうち、洗場4側の第2側面2cに設けられている。出入口2aは、この第2側面2cのうち、第2方向D2の中央よりも片側(以下、第1側ともいう)寄りに配置されている。なお出入口2aは、第2方向D2の前記第1側に位置する第1側面2bに設けられていてもよい。
浴室2には、カウンター2dが設けられていてもよい。カウンター2dは、2つの第1側面2bのうち、第2方向D2に沿って前記第1側とは反対側(以下、第2側ともいう)に位置する第1側面2bに設けられている。図示の例では、カウンター2dの高さは、框面3aの高さよりも低い。カウンター2dはなくてもよい。
【0011】
ここで、図1から図3に示すように、浴室システム100は、浴槽3を有する浴室2の出入口2aの人の通過を検知するための入退室センサ20と、浴室2内の人のバイタルを検知するためのバイタルセンサ10と、入退室センサ20から得られる第1信号及びバイタルセンサ10から得られる第2信号に基づいて、浴室2内の人の在室又は不在を判定する制御装置1と、を備えている。このように、浴室システム100は、検知する対象の異なる複数の種類のセンサによる検知結果に基づいて、浴室2内の人の在室又は不在を判定する。このため、単一の種類のセンサによる検知結果に基づいて判定する場合に比べて、各センサが同時に誤検知する可能性を低減できる。よって、浴室内の人の存否判定の信頼性を高めることができる。
【0012】
図1から図3に示すように、浴室システム100は、制御装置1を備えている。
【0013】
浴室システム100は、バイタルセンサ10と、入退室センサ20と、浴槽センサ30と、を備えていてよい。浴槽センサ30は、浴槽3への入退槽を検知するための装置(デバイス)である。浴室システム100は、バイタルセンサ10及び入退室センサ20とは別に、浴槽センサ30を備えているので、浴室2内の人の存否判定の信頼性をより高めることができる。また、浴室システム100は、バイタルセンサ10及び入退室センサ20とは別に、浴槽センサ30を備えているので、浴室2内に在室している人が、浴槽3にいるか、洗場4にいるかを判別できる。
【0014】
浴室システム100は、ランプ40と、スピーカ50と、排水栓80と、暖房機90と、を備えていてよい。
【0015】
バイタルセンサ10、入退室センサ20、浴槽センサ30、ランプ40、スピーカ50、排水栓80、暖房機90(以下、これらをデバイスという場合がある。)は、それぞれ、制御装置1と通信可能に接続されている。ただし、ランプ40、スピーカ50、排水栓80、暖房機90はなくてもよい。
【0016】
(バイタルセンサ)
バイタルセンサ10は、浴室2内の人のバイタルを検知するための装置(デバイス)である。バイタルは、例えば、人の呼吸、人の脈拍、人体の動き(以下、体動という場合がある。)、人の体温、人の脈波等である。バイタルセンサ10は、浴室2内の人の呼吸、脈拍、体動、体温、脈波のうちの少なくとも1つを検知してもよい。バイタルセンサ10は、浴室2内の人の呼吸、脈拍及び体動のうちの少なくとも1つを検知してもよい。本実施形態では、バイタルセンサ10は、浴室2内の人の呼吸、脈拍及び体動を検知する。
【0017】
バイタルセンサ10は、例えば、ドップラー効果を利用する非接触式のドップラーセンサであってよい。ドップラーセンサは、例えば、マイクロ波を発射し、発射したマイクロ波の反射波を受信し、発射したマイクロ波の周波数と受信したマイクロ波の周波数との差から人の呼吸や脈拍、体動などを検知する。ただし、バイタルセンサ10は、このようなマイクロ波ドップラー方式に限られない。例えば、バイタルセンサ10は、ミリ波レーダー方式であってもよく、UWBレーダー方式であってもよい。バイタルセンサ10には、浴室2内の人のバイタルを検知可能な公知の構成を適宜採用することができる。例えば、バイタルセンサ10が人の体温を検知する場合には、バイタルセンサ10として、赤外線サーモグラフィカメラを使用してもよい。
【0018】
バイタルセンサ10は、浴室2内の人のバイタルに応じた第2信号を、制御装置1に送る。なお第2信号は、デジタル信号であってもよく、アナログ信号であってもよい。バイタルセンサ10がドップラーセンサである場合、第2信号は、前記反射波に応じて変動してもよい。制御装置1は、第2信号に基づいて、浴室2の人のバイタルの有無を判定する。
【0019】
バイタルセンサ10は、浴室2内に設けられる。バイタルセンサ10は、洗場4に設けられてよく、浴槽3に設けられてよく、浴室2の天井に設けられてよい。バイタルセンサ10は、異なる場所に複数設けられてよい。
【0020】
バイタルセンサ10は、ドップラーセンサであり、浴室2内において、浴槽3の框面3aより低く(鉛直方向における下方)、浴槽3から離れた位置に設けられることが好ましい。これにより、バイタルセンサ10が浴槽3の水面の揺れによる反射波を捉え難く(バイタルと水面の揺れとを混同して検知し難く)なるため、洗場4にいる入浴者だけでなく浴槽3内にいる入浴者のバイタルもより確実に検知できる。なお図示の例では、バイタルセンサ10は、洗場4に設けられている。バイタルセンサ10は、第1側面2bに設けられている。バイタルセンサ10は、2つの第1側面2bのうち、第2方向D2の前記第2側に位置する第1側面2bに設けられている。バイタルセンサ10は、カウンター2dを間に挟んだ浴槽3の反対側に位置している。バイタルセンサ10は、カウンター2dよりも低い。ただし、バイタルセンサ10の位置は限定されない。例えば、バイタルセンサ10が第2側面2cに設けられていてもよい。例えば、バイタルセンサ10がカウンター2dと同じ高さに設けられていてもよく、バイタルセンサ10がカウンター2dよりも高い位置に設けられていてもよい。
【0021】
バイタルセンサ10には、適宜、電源から電気が供給される。
【0022】
(入退室センサ)
入退室センサ20は、浴室2の出入口2aの人の通過(浴室2への入退室)を検知するための装置(デバイス)である。
入退室センサ20は、いわゆる、人感センサであってよい。
入退室センサ20は、例えば、出入口2aにおける赤外線遮断を検知する赤外線センサであってよい。赤外線センサが光電型である場合、送信側素子と受信側素子との間に何もない状態では、送信側素子での発光を受信側素子で受光し、送信側素子と受信側素子との間に物体が有る状態では、前記受光が遮断される。
【0023】
入退室センサ20が赤外線センサである場合、入退室センサ20によって出入口2aにおける赤外線遮断に関する検知結果の変化に基づいて、制御装置1は、浴室2の出入口2aの人の通過の有無(浴室2への入退室)を判定する。例えば、赤外線センサが光電型である場合、人の通過時には、赤外線センサの検知状態が、受光→遮断→受光と変化する。制御装置1は、例えば、このような検知結果の変化に基づいて人の通過が有ること判定する。
入退室センサ20は、出入口2aでの物体の通過に応じた第1信号を、制御装置1に送る。なお第1信号は、デジタル信号であってもよく、アナログ信号であってもよい。入退室センサ20が光電型の赤外線センサの場合、第1信号は前述した検知結果の変化を示す信号であってもよい。制御装置1は、第1信号に基づいて、浴室2の出入口2aの人の通過の有無を判定する。
入退室センサ20には、適宜、電源から電気が供給される。
【0024】
(浴槽センサ)
浴槽センサ30は、浴槽3への入退槽(入槽又は退槽)を検知するための装置(デバイス)である。
浴槽センサ30は、例えば、浴槽3に貯められた水の水位を水圧に基づいて計測する水位センサであってよい。浴槽センサ30は、浴槽3に設けられる。
浴槽センサ30は、浴槽3への入退槽に応じた第3信号を、制御装置1に送る。なお第3信号は、デジタル信号であってもよく、アナログ信号であってもよい。浴槽センサ30が水位センサである場合、第3信号は、浴槽3の水位に応じて変動してもよい。制御装置1は、第3信号に基づいて、浴槽3への入退槽を判定する。
浴槽センサ30には、適宜、電源から電気が供給される。
【0025】
(その他デバイス)
本実施形態において、ランプ40、スピーカ50、排水栓80、暖房機90は付加機能であり、前述したように、必須ではない。なお、ランプ40、スピーカ50、暖房機90は、例えば、浴室2に設けられている。排水栓80は、浴槽3に設けられている。これらのランプ40、スピーカ50、排水栓80、暖房機90は、例えば、異常時に連係して動いてもよい。
【0026】
(制御装置)
制御装置1は、図1から図3に示すように、バイタルセンサ10等の各種デバイスに対して通信可能に接続されている。
【0027】
制御装置1は、不図示のプロセッサ(CPU)、ストレージ、メモリ等で構成されたコンピュータを含んでいる。ストレージは、以下に説明されるアルゴリズム(ロジック)を記述したプログラム、必要なデータファイル等を記憶する。プロセッサは、センサ等の外部デバイスからのリクエストに応じて、メモリを利用してプログラムを実行する。プログラムは、コンピュータに、以下で説明する各機能を実現させるためのものである。
【0028】
(制御方法)
以下、制御装置1による浴室システム100の制御方法について、制御装置1のストレージに記憶されるプログラムに記述されるアルゴリズムに沿って説明する。制御装置1のメモリには、あらかじめ、バイタル基準値、入退室基準値、浴槽基準値等の、プログラムの実行に使用されるデータが記憶されている。
【0029】
(人のバイタルの有無の判定)
制御装置1は、前記第2信号に基づいて浴室2内の人のバイタルの有無を判定する。例えば、バイタルセンサ10がドップラーセンサである場合、制御装置1は、以下のように人のバイタルの有無を判定してもよい。すなわち、制御装置1は、第2信号を周波数解析し、呼吸、脈拍、体動それぞれに該当する周波数帯の反射波の強さの値(バイタル検知値とも言う)を取得する。制御装置1は、バイタル基準値として、呼吸、脈拍、体動それぞれについての基準値(閾値)を記憶しておく。各バイタル基準値は、例えば、人が生存している場合に最低限、検知される呼吸、脈拍、体動の値としてもよい。制御装置1は、呼吸、脈拍、体動それぞれについてのバイタル検知値とバイタル基準値とを比較し、人のバイタルの有無を判定する。制御装置1は、例えば、呼吸、脈拍、体動それぞれについてのバイタル検知値がバイタル基準値を超えた場合、呼吸、脈拍、体動が有ると判定し、バイタル検知値がバイタル基準値を以下の場合、呼吸、脈拍、体動が無いと判定してもよい。
【0030】
制御装置1は、呼吸、脈拍、体動の少なくとも1つが有ると判定したときに、浴室2内における人のバイタルが有ると判定してもよい。制御装置1は、呼吸、脈拍、体動の少なくとも2つが有ると判定したときに、浴室2内における人のバイタルが有ると判定してもよい。制御装置1は、呼吸、脈拍、体動の全てが有ると判定したときに、浴室2内における人のバイタルが有ると判定してもよい。制御装置1は、浴室2内における人のバイタルが無いと判定しなかったときに、バイタルが有ると判定してもよい。
制御装置1は、呼吸、脈拍、体動の少なくとも1つが無いと判定したときに、浴室2内における人のバイタルが無いと判定してもよい。制御装置1は、呼吸、脈拍、体動の少なくとも2つが無いと判定したときに、浴室2内における人のバイタルが無いと判定してもよい。制御装置1は、呼吸、脈拍、体動の全てが無いと判定したときに、浴室2内における人のバイタルが無いと判定してもよい。制御装置1は、浴室2内における人のバイタルが有ると判定しなかったときに、バイタルが無いと判定してもよい。
なお本実施形態では、制御装置1は、呼吸、脈拍、体動の全てが有ると判定したときに、浴室2内における人のバイタルが有ると判定し、呼吸、脈拍、体動の全てが無いと判定したときに、浴室2内における人のバイタルが無いと判定する。本実施形態では、制御装置1は、呼吸、脈拍、体動のうちの2つが有り、1つが無い場合、および、呼吸、脈拍、体動のうちの2つが無く、1つが有る場合には、バイタルが有るとも判定せず、無いとも判定せず、例えば、バイタルについて不明と判定する。
【0031】
(人の通過の有無の判定)
制御装置1は、前記第1信号に基づいて出入口2aの人の通過の有無を判定する。例えば、入退室センサ20が赤外線センサである場合、制御装置1は、以下のように人の通過の有無を判定してもよい。すなわち、赤外線センサが遮断されていない場合における第1信号の値(電圧値)を第1の値とし、赤外線センサが遮断された場合における第1信号の値(電圧値)を第2の値とする。第1の値と第2の値とは異なり、第1の値が第2の値よりも大きくてもよく、小さくてもよい。制御装置1は、第1信号の値(入退室検知値)が、第1の値から第2の値となり、再び第1の値となったときに、人の通過が有ると判定してもよい。例えば、制御装置1は、入退室基準値として、第1の値と第2の値との間の大きさの値をあらかじめ記憶しておき、第1信号の値(入退室検知値)と入退室基準値とを比較することで、人の通過が有ると判定してもよい。例えば、制御装置1は、人の通過が有ると判定しない場合に、人の通過が無いと判定してもよい。
【0032】
(入退槽の判定)
制御装置1は、浴槽センサ30から得られる第3信号に基づいて、浴槽3へ入退槽を判定する。例えば、浴槽センサ30が水位センサである場合、制御装置1は、以下のように入退槽を判定する。すなわち、制御装置1は、第3信号から浴槽3の水位を推定する。制御装置1は、浴槽基準値を記憶しておく。浴槽基準値は、水位を示す。浴槽基準値が示す水位は、人の入槽時の水位よりも低い水位であり、かつ、人の退槽時の水位よりも高い水位である。制御装置1は、第3信号から推定された浴槽3の水位と、浴槽基準値が示す水位と、を比較し、人の入退槽を判定する。すなわち、制御装置1は、推定された水位が、浴槽基準値が示す水位以上である場合に入槽していると判定し、浴槽基準値が示す水位未満である場合に退槽していると判定してもよい。また、浴槽センサ30が所定時間内の急な所定水位変化を検知した場合に、入槽もしくは退槽を判定してもよい。制御装置1は、入槽していないと判定したときに、退槽していると判定してもよく、退槽していないと判定したときに、入槽していると判定してもよい。
【0033】
(存否判定アルゴリズム)
浴室2内の人の存否を判定する存否判定のアルゴリズムについて説明する。
図4は、存否判定に要するセンサの組み合わせと、検知結果から得られる判定内容との関係を示す表である。
図4に示すように、制御装置1は、2つ以上のセンサの組み合わせから存否判定を行う。制御装置1は、組み合わせたセンサの検知結果から、浴室2内の人の存否を判定する。例えば、バイタルセンサ10(第1のセンサ)を主センサとし、入退室センサ20(第2のセンサ)を副次センサとすることで、浴室2への在室・不在が判定される。さらに例えば、浴槽センサ30(第3のセンサ)を主センサとし、バイタルセンサ10(第1のセンサ)を副次センサとすることで、浴槽3への入槽・出槽が判定される。このように、制御装置1は、異なる種類のセンサの検知結果から浴室2内の人の存否を判定するので、単一の種類のセンサで検知した場合に比べて、信頼性の高い判定をすることができる。
以下、判定結果として想定される代表的なケースを説明する。
【0034】
(初期状態)
制御装置1は、浴室2内の人の在室又は不在の判定結果を記憶する。制御装置1の起動直後(初期状態)においては、制御装置1は、後述する入室判定や退出判定をすることなく、判定結果として、浴室2内の人の不在を記憶しておく。
【0035】
(ケース1-1:入室判定)
制御装置1は、判定結果として人の不在を記憶している状態では、出入口2aの人の通過が有り、浴室2内におけるバイタルが有ると判定した場合に、浴室2内に人が在室していると判定する。このように、制御装置1は、浴室2の人の不在中に、入退室センサ20で入退室を検知し、かつ、バイタルセンサ10でバイタルを検知した場合、浴室2外から浴室2に入室したと推定し、浴室2内に人が在室していると判定する。
【0036】
具体的には、例えば、制御装置1は、出入口2aの人の通過が有ると判定した後、浴室2内におけるバイタルが有ると判定した場合、浴室2に人が在室している(入室した)と判定する。このとき、制御装置1は、出入口2aの人の通過と同時刻におけるバイタルの有無を判定に用いてもよく、人の通過から所定の時間を経過した異なる時刻におけるバイタルの有無を判定に用いてもよい。さらに、バイタルの有無の判定に際しては、バイタルの有無について、時刻毎に有無を仮判定して、その仮判定結果に基づいて本判定してもよい。例えば、1点の時刻でバイタルが有ると仮判定された場合にバイタルが有ると本判定してもよく、一定の連続した時刻(すなわち、一定の時間)連続してバイタルが有ると仮判定されたときに、バイタルが有ると本判定してもよい。また、出入口2aの人の通過が有ると判定する前から、浴室2内におけるバイタルが有ると判定されていてもよい。例えば、バイタルセンサ10が、脱衣所にいる人のバイタルを検知していた場合などには、制御装置1が、第1信号に基づく人の通過が有ると判定した前後で、第2信号に基づくバイタルも有ると判定することが考えられる。
【0037】
本実施形態では、制御装置1は、判定結果として人の不在を記憶している状態では、出入口2aの人の通過が有るとの判定、および、浴室2内におけるバイタルが有るとの判定の一方だけでは、浴室2内に人が在室していると判定しない。
制御装置1が、判定結果として人の不在を記憶している状態で、出入口2aの人の通過のみが有ると判定する状況としては、例えば、脱衣所で脱衣している人の体の一部が、出入口2aを通過(入退室センサ20を遮断)すること等が考えられる。
制御装置1が、判定結果として人の不在を記憶している状態で、浴室2内におけるバイタルのみが有ると判定する状況としては、例えば、バイタルセンサ10が脱衣所にいる人のバイタルを検知すること等が考えられる。
【0038】
制御装置1は、異なる種類のセンサの両方で検知した場合に在室と判定する(浴室2内の人の存否を判定する)ので、単一の種類のセンサで検知した場合に比べて、信頼性の高い判定をすることができる。
【0039】
なお制御装置1は、浴室2内に人が在室していると判定したとき、判定結果として、人の在室を記憶しておく。
また、制御装置1は、判定結果として人の在室を記憶している状態では、出入口2aにおける人の通過が無いと判定する場合に、浴室2内におけるバイタルの有無によらず、在室と判定してよい(在室の判定を維持してよい)。
これにより、在室の判定の後、バイタルセンサ10によって呼吸、脈拍、体動等のバイタルを検知できなくなっても、在室の判定を継続できる。その結果、例えば、在室中に体調不良が生じ人の生命活動が弱まった場合においても、制御装置1が、浴室2の人が不在となった等と誤検知することが防がれる。
【0040】
(ケース1-2:不在判定)
制御装置1は、判定結果として人の在室を記憶している状態では、出入口2aの人の通過が有ると判定し、浴室2内におけるバイタルが無いと判定した場合に、浴室2内に人が不在であると判定する。このように、制御装置1は、浴室2の人の在室中に、入退室センサ20で入退室を検知し、かつ、バイタルセンサ10でバイタルを検知しない場合、浴室2から浴室2外に退室したと推定し、浴室2内に人が在室していない(不在)と判定する。
具体的には、例えば、制御装置1は、出入口2aの人の通過が有ると判定した後、浴室2内におけるバイタルが無いと判定した場合、浴室2に人が在室していない(不在)と判定する。このとき、制御装置1は、出入口2aの人の通過と同時刻におけるバイタルの有無を判定に用いてもよく、人の通過から所定の時間を経過した異なる時刻におけるバイタルの有無を判定に用いてもよい。さらに、バイタルの有無の判定に際しては、バイタルの有無について、時刻毎に有無を仮判定して、その仮判定結果に基づいて本判定してもよい。例えば、1点の時刻でバイタルが無いと仮判定された場合にバイタルが無いと本判定してもよく、一定の連続した時刻(すなわち、一定の時間)連続してバイタルが無いと仮判定されたときに、バイタルが無いと本判定してもよい。また、出入口2aの人の通過が有ると判定した後に、浴室2内におけるバイタルが有ると判定されてもよい。例えば、バイタルセンサ10が、脱衣所にいる人のバイタルを検知していた場合などには、制御装置1が、第1信号に基づく人の通過が有ると判定した前後で、第2信号に基づくバイタルも有ると判定することが考えられる。
【0041】
本実施形態では、制御装置1は、判定結果として人の在室を記憶している状態では、出入口2aの人の通過が有ると判定しただけでは、浴室2内に人が在室していると判定しない。このような状況としては、例えば、浴室2内のユーザとは別のユーザが浴室2内に入室すること等が考えられる。
また、制御装置1は、判定結果として人の在室を記憶している状態では、浴室2内におけるバイタルが無いと判定しただけでは、浴室2内に人が在室していると判定しない。このような状況としては、例えば、在室中に体調不良が生じ人の生命活動が弱まった場合などが考えられる。
【0042】
制御装置1は、異なる種類のセンサを用いて不在と判定する(浴室2内の人の存否を判定する)ので、単一の種類のセンサを用いた場合に比べて、信頼性の高い判定をすることができる。
【0043】
なお制御装置1は、浴室2内に人が不在であると判定したとき、判定結果として、人の不在を記憶しておく。
また、制御装置1は、判定結果として人の不在を記憶している状態では、出入口2aにおける人の通過が無いと判定する場合、浴室2内におけるバイタルの有無によらず、不在と判定してよい(不在の判定を維持してよい)。
これにより、人ではない物体等の通過により入退室センサ20が反応しても、人の入室と判定しないようにできる。
【0044】
(ケース2:入槽・出槽判定)
制御装置1は、判定結果として人の在室を記憶している状態で、前記第3信号に基づいて、浴槽3への入退槽を判定する。制御装置1は、判定結果として人の在室を記憶している状態では、浴槽3へ入槽していると判定した場合には、浴槽3に人がいると判定し、浴槽3から退槽していると判定した場合には、洗場4に人がいると判定する。このように、制御装置1は、在室中に、浴槽センサ30で入槽を検知した場合、浴槽3に人がいる(入槽)と判定する。制御装置1は、在室中に、浴槽センサ30で入槽を検知しない場合、浴槽3に人がおらず(出槽)、洗場4に人がいると判定する。
このように、制御装置1は、浴槽センサ30の検知結果により、ユーザが洗場4側に居るか浴槽3側に居るかを識別可能である。
【0045】
なお、本発明の技術的範囲は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0046】
本実施形態に係る浴室システム100は、浴室2の出入口2aの人の通過を検知するための入退室センサ20と、浴室2内の人のバイタルを検知するためのバイタルセンサ10と、入退室センサ20から得られる第1信号及びバイタルセンサ10から得られる第2信号に基づいて、浴室2内の人の在室又は不在を判定する制御装置1と、を備える。このように、浴室システム100は、検知する対象の異なる複数の種類のセンサによる検知結果に基づいて、浴室2内の人の在室又は不在を判定する。このため、単一の種類のセンサによる検知結果に基づいて判定する場合に比べて、各センサが同時に誤検知する可能性を低減できる。よって、浴室2内の人の存否判定の信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0047】
100 浴室システム
1 制御装置
2 浴室
2a 出入口
3 浴槽
3a 框面
4 洗場
10 バイタルセンサ
20 入退室センサ
30 浴槽センサ
40 ランプ
50 スピーカ
80 排水栓
90 暖房機
100 浴室システム
図1
図2
図3
図4