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特開2023-147322車両用外装部品、車両用電飾ユニット及び車両用外装部品の製造方法
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  • 特開-車両用外装部品、車両用電飾ユニット及び車両用外装部品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147322
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】車両用外装部品、車両用電飾ユニット及び車両用外装部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/20 20180101AFI20231005BHJP
   B60R 13/00 20060101ALI20231005BHJP
   F21V 3/10 20180101ALI20231005BHJP
   B32B 15/04 20060101ALI20231005BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20231005BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20231005BHJP
【FI】
F21S43/20
B60R13/00
F21V3/10 330
B32B15/04
B32B3/30
F21W104:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054754
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】太田 耕志朗
【テーマコード(参考)】
3D024
4F100
【Fターム(参考)】
3D024BA03
3D024BA07
3D024BA20
4F100AB01B
4F100AB01D
4F100AB10B
4F100AK25A
4F100AK45A
4F100BA04
4F100BA07
4F100DD05A
4F100EH36A
4F100EH66B
4F100EH66D
4F100GB31
4F100JD08B
4F100JL10C
4F100JN01A
4F100JN01C
4F100JN02D
4F100JN08C
(57)【要約】
【課題】車両用外装部品の外観印象の低下を防止する。
【解決手段】車両用外装部品10は、背面1bの一部に凹部1cが設けられた透明部材1と、凹部1cの内壁面に設けられた金属層2と、金属層2を透明部材1と反対側から被覆して凹部1cの内部の全体に設けられる共に、金属層2が設けられていない部位を含んで透明部材1の背面1bに設けられる有色透光層3と、有色透光層3を間に挟んで透明部材1に接続されると共に開口部4aを有する遮光部材4とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面の一部に凹部が設けられた透明部材と、
前記凹部の内壁面に設けられた金属層と、
前記金属層を前記透明部材と反対側から被覆して前記凹部の内部の全体に設けられる共に、前記金属層が設けられていない部位を含んで前記透明部材の前記背面に設けられる有色透光層と、
前記有色透光層を間に挟んで前記透明部材に接続されると共に開口部を有する遮光部材と
を備えることを特徴とする車両用外装部品。
【請求項2】
前記有色透光層は、前記透明部材の前記背面の全体を覆うことを特徴とする請求項1記載の車両用外装部品。
【請求項3】
前記遮光部材は、前記凹部を覆う本体部と、前記凹部を埋設する埋設部とを備えることを特徴とする請求項1または2記載の車両用外装部品。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用外装部品と、
前記車両用外装部品に向けて光を射出する光源部と
を備えることを特徴とする車両用電飾ユニット。
【請求項5】
背面の一部に凹部が設けられた透明部材を形成する透明部材形成工程と、
前記凹部を除いて前記背面を覆うマスクを配置するマスク配置工程と、
前記マスクを介して前記透明部材の背面に金属層を付着形成する金属層形成工程と、
前記マスクを除去するマスク除去工程と、
前記金属層を前記透明部材と反対側から被覆して前記凹部の内部の全体に設けられる共に、前記金属層が設けられていない部位を含んで前記透明部材の前記背面に設けられる有色透光層を形成する有色透光層形成工程と、
前記透明部材と別体で形成されると共に開口部を有する遮光部材を、前記有色透光層を間に挟んで前記透明部材に接続する遮光部材接続工程と
を有することを特徴とする車両用外装部品の製造方法。
【請求項6】
前記有色透光層形成工程にて、前記有色透光層は、前記透明部材の前記背面の全体を覆うように形成されることを特徴とする請求項5記載の車両用外装部品の製造方法。
【請求項7】
前記遮光部材接続工程で前記透明部材に接続される遮光部材は、前記凹部を埋設する埋設部を備えることを特徴とする請求項5または6記載の車両用外装部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装部品、車両用電飾ユニット及び車両用外装部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、光源を備えるイルミネーショングリルが開示されている。このようなイルミネーショングリルでは、光源から射出された光によってイルミネーショングリルが電飾される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-75283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年においては、乗用車に対しても夜間等に電飾可能な車両用電飾ユニットが搭載されている。例えば、このような車両用電飾ユニットは、光を射出する光源部と、光源部の先方に配置されて光源部の光の一部のみを透過する車両用外装部品とを備える構成にすることが考えられる。車両の外部から視認される車両用外装部品には、立体的な装飾が求められる場合が多い。このような立体的な装飾を実現するために、透明部材の背面の一部に凹部を設け、凹部の内壁面に薄い金属層を形成することが考えられる。一方で、日中に車両用外装部品の外部から光源部から視認されることを抑止することが好ましい。このため、透明部材の背面のうち金属層が設けられていない凹部の外部部位には、有色透光層を設けることが考えられる。
【0005】
ところで、このような透明部材の凹部に設けられる金属層と、凹部の外部に設けられる有色透光層とを備える車両用外装部品を製造する場合には、凹部にマスクを挿入して有色透光層を形成した後に、マスクを除いて金属層を形成することが考えられる。しかしながら、凹部にマスクを挿入して有色透光層を形成する場合には、凹部の内壁面とマスクとの間に微小な隙間が生じ、凹部の内壁面に有色透光層が微小に入り込むことを防ぐことが困難である。凹部の内壁面に有色透光層が入り込むと、外部から有色透光層の縁部が滲むように視認され、外観印象の低下を招く。
【0006】
さらに、光源部から光を遮光する遮光層を、凹部を避けて設ける場合にも、同様に、凹部にマスクを挿入して遮光層を形成することが考えられる。しかしながら、このような場合には、凹部の内壁面とマスクとの間に微小な隙間が生じ、凹部の内壁面に遮光層が微小に入り込むことを防ぐことが困難である。凹部の内壁面に遮光層が入り込むと、凹部の縁部で光が透過できずに、外観印象の低下を招く。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、透明部材の背面に凹部を有すると共に光源部からの光の一部を透過させることで電飾可能な車両用外装部品及び電飾ユニットにおいて、外観印象の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
本発明の第1の態様は、車両用外装部品であって、背面の一部に凹部が設けられた透明部材と、上記凹部の内壁面に設けられた金属層と、上記金属層を上記透明部材と反対側から被覆して上記凹部の内部の全体に設けられる共に、上記金属層が設けられていない部位を含んで上記透明部材の上記背面に設けられる有色透光層と、上記有色透光層を間に挟んで上記透明部材に接続されると共に開口部を有する遮光部材とを備えるという構成を採用する。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記有色透光層が、上記透明部材の上記背面の全体を覆うという構成を採用する。
【0011】
本発明の第3の態様は、上記第1または第2の態様において、上記遮光部材が、上記凹部を覆う本体部と、上記凹部を埋設する埋設部とを備えるという構成を採用する。
【0012】
本発明の第4の態様は、車両用電飾ユニットであって、上記第1~第3のいずれかの態様である車両用外装部品と、上記車両用外装部品に向けて光を射出する光源部とを備えるという構成を採用する。
【0013】
本発明の第5の態様は、車両用外装部品の製造方法であって、背面の一部に凹部が設けられた透明部材を形成する透明部材形成工程と、上記凹部を除いて上記背面を覆うマスクを配置するマスク配置工程と、上記マスクを介して上記透明部材の背面に金属層を付着形成する金属層形成工程と、上記マスクを除去するマスク除去工程と、上記金属層を上記透明部材と反対側から被覆して上記凹部の内部の全体に設けられる共に、上記金属層が設けられていない部位を含んで上記透明部材の上記背面に設けられる有色透光層を形成する有色透光層形成工程と、上記透明部材と別体で形成されると共に開口部を有する遮光部材を、上記有色透光層を間に挟んで上記透明部材に接続する遮光部材接続工程とを有するという構成を採用する。
【0014】
本発明の第6の態様は、上記第5の態様において、上記有色透光層形成工程にて、上記有色透光層が、上記透明部材の上記背面の全体を覆うように形成されるという構成を採用する。
【0015】
本発明の第7の態様は、上記第5または第6の態様において、上記遮光部材接続工程で上記透明部材に接続される遮光部材が、上記凹部を埋設する埋設部を備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、金属層が凹部の内壁面に設けられる。また、有色透光層は、金属層を透明部材と反対側から被覆して凹部の内部の全体に設けられる共に、金属層が設けられていない部位を含んで透明部材の背面に設けられる。このため、金属層及び有色透光層を設ける場合に、凹部にマスクを挿入する必要がない。さらに、有色透光層は、金属層の背面側を覆うように設けられるため、透明部材の外側から凹部の内部にて有色透光層が視認されることがない。したがって、本発明によれば、凹部の縁部に有色透光層が滲むように視認されることが防止され、外観印象の低下を防止することが可能となる。また、本発明によれば、透明部材と別体の遮光部材が透明部材に接続されている。このため、遮光部材を透明部材と別に形成することができ、凹部に合わせた開口部を有する遮光部材を設ける場合に、凹部にマスクを挿入する必要がない。したがって、本発明によれば、開口部に位置する凹部の内部に遮光部材の一部が入り込むことが防止され、外観印象の低下を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態における車両用電飾ユニットの概略構成を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態における車両用電飾ユニットが備える車両用外装部品の製造方法を説明するための模式的な工程図である。
図3】本発明の第1実施形態における車両用電飾ユニットが備える車両用外装部品の製造方法を説明するための模式的な工程図である。
図4】本発明の第2実施形態における車両用外装部品の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用外装部品、車両用電飾ユニット及び車両用外装部品の製造方法の一実施形態について説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の車両用電飾ユニット100の概略構成を示す模式図である。この図に示すように、本実施形態の車両用電飾ユニット100は、車両に搭載されて用いられ、車両用外装部品10と、光源部20とを備えている。
【0020】
車両用外装部品10は、光源部20よりも車両の外側に配置されており、車両の外部から直接的に視認される部品である。この車両用外装部品10は、透明部材1と、金属層2と、有色透光層3と、遮光部材4とを備えている。
【0021】
透明部材1は、車両用外装部品10において最も車両の外側に配置される。透明部材1は、例えば金型を用いた射出成形によって形成される。例えば、透明部材1は、透明のPC(ポリカーボネート)やPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等の透明合成樹脂によって形成されている。
【0022】
透明部材1は、本実施形態において板状に形成されている。透明部材1の一方側の面は、車両外側に向けて配置される意匠面1aである。なお、ここで言う意匠面とは、模様や文字等が直接形成されている面に限定されるものではなく、車両の外部の者から視認される面であればよい。つまり、意匠面1aは、透明部材1の外壁面である。このような透明部材1の意匠面1aは、必要に応じて、傷付き防止のためのハードコート処理、またはウレタン系塗料のクリヤコート処理が施される。なお、耐傷性を備える透明合成樹脂であれば、これらの傷付き防止処理は不要である。
【0023】
透明部材1の意匠面1aと反対側の面は、背面1bである。図1に示すように、透明部材1の背面1bの一部には、凹部1cが設けられている。本実施形態においては、透明部材1の背面1bには、2つの凹部1cが設けられている。なお、凹部1cの数は変更可能である。これらの凹部1cは、透明部材1の背面1bから意匠面1aに向けて窪むように形成されている。なお、透明部材1の背面1bのうち、凹部1cが設けられていない部位を棚部1dと称する。この棚部1dは、図1に示すように、平面状の部位である。
【0024】
金属層2は、透明部材1の凹部1cの内壁面に設けられている。金属層2は、金属材料によって形成されており、光源部20から射出された光の一部を透過可能な厚さ寸法で形成されている。例えば、金属層2は、インジウム(In)やアルミニウム(Al)によって形成できる。例えば、インジウム(In)を用いたスパッタリングや真空蒸着で金属層2を形成することで、金属層2は、電波が透過可能となる。
【0025】
このような金属層2は、本実施形態においては、凹部1cの内壁面の全体を覆うように設けられている。このような金属層2を外部(意匠面1a側)から視認することで、外部の者は、金属層2を立体的な金属と視認できる。
【0026】
有色透光層3は、光源部20から射出された光の一部を透過可能である。また、有色透光層3は、着色されている。このため、光源部20から射出されて有色透光層3を透過して意匠面1aから射出された光は、有色透光層3の色調に視認される。したがって、光源部20から光を射出すると、光源部20から光が有色透光層3を介して外部に射出される部位では、外部の者が当該部位を光っているように視認する。
【0027】
また、有色透光層3は、一部の光を反射する。このため、意匠面1aから入射した外光が有色透光層3に反射されると、反射された光は、有色透光層3の色調に視認される。したがって、意匠面1a側から見て、有色透光層3を視認可能な部位では、外部の者が有色透光層3の背面側を視認することが防止される。
【0028】
このような有色透光層3の色調は特に限定されるものではない。例えば、有色透光層3の色調は黒色にすることできる。有色透光層3の色調を黒色とすることで、有色透光層3はスモークフィルムのように機能する。
【0029】
遮光部材4は、光を遮光する部材であり、透明部材1と別体で設けられている。例えば、この透明部材1は、遮光部材4と接続されていない状態であっても、形を維持可能な強度を有している。このような遮光部材4は、例えば接着や溶着により透明部材1と接続されている。また、遮光部材4と透明部材1とを係合や締結によって透明部材1と接続するようにしてもよい。
【0030】
図1に示すように、遮光部材4は、部分的に開口部4aが設けられている。本実施形態においては、図1に示すように、遮光部材4は3つの開口部4aを有している。それぞれの開口部4aは、光源部20側から意匠面1a側に貫通して設けられており、光源部20から射出された光を透過させる。
【0031】
図1に示すように、本実施形態においては、開口部4aの1つが意匠面1a側から見て1つの凹部1cと重なるように配置されている。このように開口部4aと凹部1cとが意匠面1a側から見て重なった部位では、光源部20から光が射出されていない場合には、外部から見て、金属層2が外光により自然な金属光沢を有して見える。また、このように開口部4aと凹部1cとが意匠面1a側から見て重なった部位では、光源部20から光が射出されている場合には、光源部20から射出された光が薄い金属層2を透過し、金属層2が明るく光っているように視認される。
【0032】
また、図1に示すように、開口部4aと棚部1dとが意匠面1a側見て重なった部位では、光源部20から光が射出されていない場合には、外部から見て、有色透光層3が外光により有色に見える。なお、光源部20から光が射出されていない場合には、開口部4aの有無に関わらず、棚部1dは、外部から見て、有色透光層3により有色に見える。
【0033】
なお、図1に示すように、凹部1cの1つは意匠面1a側から見て開口部4aと重ならずに配置されている。このように開口部4aと凹部1cとが意匠面1a側から見て重なっていない部位では、光源部20から光が射出されている場合であっても、金属層2が明るく光っているように視認されない。なお、開口部4aと凹部1cとが意匠面1a側から見て重なっていない部位であっても、金属層2が外光により自然な金属光沢を有して見える。
【0034】
光源部20は、車両用外装部品10よりも車両の内側に配置されており、車両用外装部品10に向けて光を射出可能である。例えば、運転者の指示や予め設定された時間等において光源部20は、光を射出する。
【0035】
続いて、本実施形態の車両用外装部品10の製造方法について、図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、本実施形態の車両用外装部品10の製造工程を示す模式図である。
【0036】
まず、図2(a)に示すように、背面1bの一部に凹部1cが設けられた透明部材1を形成する。図2(a)に示す工程は、透明部材形成工程である。透明部材形成工程では、例えば、射出成形によって透明部材1を形成する。射出成形に用いる金型に対して、凹部1cを形成する突起を設けることで、一度の射出成形で透明部材1を形成することができる。
【0037】
続いて、図2(b)に示すように、凹部1cを除いて透明部材1の背面1bを覆うマスクMを配置する。ここでは、凹部1cに合わせた開口M1が設けられたマスクMを透明部材1の背面1bに重ね合わせる。また、図2(b)に示すように、マスクMを介して透明部材1の背面1bに金属層2を付着形成する。ここでは、金属層2の形成材料Xをスパッタリングや真空蒸着によって、透明部材1の背面1bに形成する。なお、図2(b)に示す工程は、マスク配置工程と金属層形成工程とを合わせた工程である。
【0038】
図2(b)に示すマスクMは、突出部が設けられるものではなく、開口M1のみが設けられている。つまり、マスクMは、凹部1cの内部に配置されるものではない。このため、マスクMと凹部1cとの内壁面との間に意図せずに微小な隙間が生じることはない。
【0039】
続いて、図2(c)に示すように、マスクMを除去する。図2(c)に示す工程は、マスク除去工程である。図2(c)に示すように、マスクMを除去することで、凹部1cの内壁面にのみ金属層2が残る。
【0040】
続いて、図3(d)に示すように、有色透光層3を形成する。ここでは、有色透光層3は、金属層2を透明部材1と反対側から被覆して凹部1cの内部の全体に設けられる。また、有色透光層3は、金属層2が設けられていない部位(棚部1d)を含んで透明部材1の背面1bに設けられる。本実施形態においては、金属層2が形成された部位(凹部1cの内壁面)を含めて背面1bの全体を覆うように有色透光層3が形成される。このような図3(d)に示す工程は、有色透光層形成工程である。
【0041】
続いて、図3(e)に示すように、遮光部材4を透明部材1と別体で用意する。遮光部材4は、例えば、射出成形によって形成されており、開口部4aを有する。このような遮光部材4は、図2(a)~(c)及び図3(d)に示す工程と並行して形成することができる。
【0042】
続いて、図3(f)に示すように、遮光部材4を透明部材1に接続する。ここでは、透明部材1と別体で形成されると共に開口部を有する遮光部材4を、有色透光層3を間に挟んで透明部材1に接続する。このような図3(f)に示す工程は、遮光部材接続工程である。
【0043】
以上のような本実施形態の車両用外装部品10は、透明部材1と、金属層2と、有色透光層3と、遮光部材4とを備えている。透明部材1は、背面1bの一部に凹部1cが設けられている。金属層2は、凹部1cの内壁面に設けられている。有色透光層3は、金属層2を透明部材1と反対側から被覆して凹部1cの内部の全体に設けられる。また、有色透光層3は、金属層2が設けられていない部位(棚部1d)を含んで透明部材1の背面1bに設けられている。遮光部材4は、有色透光層3を間に挟んで透明部材1に接続されると共に開口部4aを有する。
【0044】
このような本実施形態の車両用外装部品10によれば、金属層2が凹部1cの内壁面に設けられる。また、有色透光層3は、金属層2を透明部材1と反対側から被覆して凹部1cの内部の全体に設けられる共に、金属層2が設けられていない部位を含んで透明部材1の背面1bに設けられる。このため、金属層2及び有色透光層3を設ける場合に、凹部1cにマスクMを挿入する必要がない。また、有色透光層3は、金属層2の背面1b側を覆うように設けられるため、透明部材1の外側から凹部1cの内部にて有色透光層3が視認されることがない。したがって、本実施形態の車両用外装部品10によれば、凹部1cの縁部に有色透光層3が滲むように視認されることが防止され、外観印象の低下を防止することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態の車両用外装部品10によれば、透明部材1と別体の遮光部材4が透明部材1に接続されている。このため、遮光部材4を透明部材1と別に形成することができ、凹部1cに合わせた開口部4aを有する遮光部材4を設ける場合に、凹部1cにマスクMを挿入する必要がない。したがって、本実施形態の車両用外装部品10によれば、開口部4aに位置する凹部1cの内部に外部から視認可能に遮光部材4の一部が入り込むことが防止され、外観印象の低下を防止することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態の車両用外装部品10においては、有色透光層3が、透明部材1の背面1bの全体を覆う。このため、どの箇所においても透明部材1を介して光源部20が視認されることを防止できる。
【0047】
また、本実施形態の車両用電飾ユニット100は、上述の車両用外装部品10と、車両用外装部品10に向けて光を射出する光源部20とを備える。このため、本実施形態の車両用電飾ユニット100によれば、車両用外装部品10における外観印象の低下を防止することができる。
【0048】
また、本実施形態の車両用外装部品10の製造方法は、透明部材形成工程と、マスク配置工程と、金属層形成工程と、マスク除去工程と、有色透光層形成工程と、遮光部材接続工程とを有する。透明部材形成工程は、背面1bの一部に凹部1cが設けられた透明部材1を形成する。マスク配置工程は、凹部1cを除いて背面1bを覆うマスクMを配置する。金属層形成工程は、マスクMを介して透明部材1の背面1bに金属層2を付着形成する。マスク除去工程は、マスクMを除去する。有色透光層形成工程は、金属層2を透明部材1と反対側から被覆して凹部1cの内部の全体に設けられる共に、金属層2が設けられていない部位を含んで透明部材1の背面1bに設けられる有色透光層3を形成する。遮光部材接続工程は、透明部材1と別体で形成されると共に開口部4aを有する遮光部材4を、有色透光層3を間に挟んで透明部材1に接続する。
【0049】
このような本実施形態の車両用外装部品10の製造方法によれば、金属層2が凹部1cの内壁面に設けられる。また、有色透光層3は、金属層2を透明部材1と反対側から被覆して凹部1cの内部の全体に設けられる共に、金属層2が設けられていない部位を含んで透明部材1の背面1bに設けられる。このため、金属層2及び有色透光層3を設ける場合に、凹部1cにマスクMを挿入する必要がない。また、有色透光層3は、金属層2の背面1b側を覆うように設けられるため、透明部材1の外側から凹部1cの内部にて有色透光層3が視認されることがない。したがって、本実施形態の車両用外装部品10の製造方法によれば、凹部1cの縁部に有色透光層3が滲むように視認されることが防止され、外観印象の低下を防止することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態の車両用外装部品10の製造方法によれば、透明部材1と別体の遮光部材4が透明部材1に接続されている。このため、遮光部材4を透明部材1と別に形成することができ、凹部1cに合わせた開口部4aを有する遮光部材4を設ける場合に、凹部1cにマスクMを挿入する必要がない。したがって、本実施形態の車両用外装部品10の製造方法によれば、開口部4aに位置する凹部1cの内部に外部から視認可能に遮光部材4の一部が入り込むことが防止され、外観印象の低下を防止することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態の車両用外装部品10の製造方法においては、有色透光層形成工程にて、有色透光層3が、透明部材1の背面1bの全体を覆うように形成される。このため、どの箇所においても透明部材1を介して光源部20が視認されることを防止できる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図4を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0053】
図4は、本実施形態の車両用外装部品10Aの概略構成を示す模式図である。図4に示すように、本実施形態の車両用外装部品10Aにおいては、遮光部材4が、本体部40と、埋設部41とを備えている。
【0054】
本体部40は、上記第1実施形態の遮光部材4と同一の平板状の形状を有している。埋設部41は、本体部40から透明部材1側に向けて突出して設けられている。この埋設部41は、凹部1cの1つに挿入されて凹部1cの内部を埋設する。
【0055】
本実施形態においては、凹部1cの内壁面の全体が金属層2で覆われているため、凹部1cの内部に収容された埋設部41は外部から視認されてない。このような本実施形態の車両用外装部品10Aによれば、凹部1cの内部が埋設されることで凹部1cの内部に空気層が設けられなくなる。このため、電波が凹部1cを通過することが可能となる。したがって、本実施形態の車両用外装部品10Aをレーダカバーとして好適に用いることが可能となる。
【0056】
また、本実施形態の車両用外装部品10Aの製造方法によれば、遮光部材接続工程にて、埋設部41を凹部1cに収容することで、遮光部材4の透明部材1に対する位置決めを容易かつ正確に行うことができる。したがって、本実施形態の車両用外装部品10Aの製造方法によれば、透明部材1に対して遮光部材4を正確に接続することが可能となる。
【0057】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態においては、有色透光層3が透明部材1の背面1bの全体を覆う構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。有色透光層3に対して部分的に開口部が設けられていてもよい。
【0059】
また、上記第2実施形態においては、埋設部41が遮光部材4の一部である構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、遮光部材4と別体の埋設部にて凹部1cに埋設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1……透明部材、1a……意匠面、1b……背面、1c……凹部、1d……棚部、2……金属層、3……有色透光層、4……遮光部材、4a……開口部、10……車両用外装部品、10A……車両用外装部品、20……光源部、40……本体部、41……埋設部、100……車両用電飾ユニット、M……マスク、M1……開口
図1
図2
図3
図4