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特開2023-147326棒状食品搬送方法および棒状食品搬送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147326
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】棒状食品搬送方法および棒状食品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/30 20060101AFI20231005BHJP
   B65G 15/14 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65G47/30 C
B65G47/30 J
B65G15/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054759
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000113067
【氏名又は名称】プリマハム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 茂明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅太
【テーマコード(参考)】
3F023
3F081
【Fターム(参考)】
3F023AA08
3F023AB10
3F023BA09
3F023BB05
3F023BC01
3F023BC06
3F023EA05
3F081AA04
3F081BE04
3F081BE08
3F081BF13
3F081CA05
3F081CC10
(57)【要約】
【課題】
簡易な構成で、メンテナンス頻度の低減および棒状食品の容易な連続搬送を実現可能にする。
【解決手段】
本発明は、棒状食品Aをカーブさせてその搬送方向を変える搬送方法において、棒状食品Aの搬送路4中のカーブ部位11の上流と下流において、棒状食品Aを挟持して搬送可能な内側搬送ベルト20および外側搬送ベルト30と、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30とによる挟持を解除された状態の棒状食品Aを搬入して回転可能な中継回転部材50と、を用いて、棒状食品Aを内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30とにより挟持して搬送する状態から、カーブ部位11にて、棒状食品Aを、一旦、中継回転部材50に搬入し、その後、中継回転部材50から搬出して、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30とにより挟持して搬送する棒状食品搬送方法、およびそれに用いる棒状食品搬送装置1に関する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状食品をカーブさせてその搬送方向を変える搬送方法において、
前記棒状食品の搬送路中のカーブ部位の上流と下流において、前記棒状食品を挟持して搬送可能な内側搬送ベルトおよび外側搬送ベルトと、前記内側搬送ベルトと前記外側搬送ベルトとによる挟持を解除された状態の前記棒状食品を搬入して回転可能な前記中継回転部材と、を用いて、
前記棒状食品を前記内側搬送ベルトと前記外側搬送ベルトとにより挟持して搬送する状態から、前記カーブ部位にて、前記棒状食品を、一旦、前記中継回転部材に搬入し、その後、前記中継回転部材から搬出して、前記内側搬送ベルトと前記外側搬送ベルトとにより挟持して搬送することを特徴とする棒状食品搬送方法。
【請求項2】
棒状食品の搬送路にカーブ部位を有する搬送装置において、
前記カーブ部位を経由して前記棒状食品を搬送可能であって前記搬送路の内側および外側にそれぞれ配置される内側搬送ベルトおよび外側搬送ベルトと、
前記カーブ部位に配置される回転可能な中継回転部材と、
を備え、
前記内側搬送ベルトおよび前記外側搬送ベルトは、前記カーブ部位の上流および下流では、前記棒状食品を挟持して搬送可能な第1の幅で対向配置される一方で前記カーブ部位では前記棒状食品を挟持せず、かつ前記第1の幅より大きな第2の幅で対向配置され、
前記中継回転部材は、前記内側搬送ベルトと前記外側搬送ベルトの対向方向と異なる方向にて対向配置される部材であって、前記棒状食品を挿入可能な隙間を有する板状部材を備え、
前記中継回転部材は、前記カーブ部位に向かって搬送されてきた前記棒状食品を前記内側搬送ベルトおよび前記外側搬送ベルトから中継して搬入し、前記棒状食品を前記隙間に入れた状態で回転して、前記カーブ部位から再び前記内側搬送ベルトおよび前記外側搬送ベルトへと搬出することを特徴とする棒状食品搬送装置。
【請求項3】
前記中継回転部材は、前記外側搬送ベルトを張設する外側搬送ベルト用ローラを兼ねていることを特徴とする請求項2に記載の棒状食品搬送装置。
【請求項4】
前記板状部材の周端面に凹凸を備え、
前記板状部材の前記凹凸と噛みあうように前記外側搬送ベルトのベルト面にも凹凸を備えることを特徴とする請求項3に記載の棒状食品搬送装置。
【請求項5】
前記内側搬送ベルトにおいて、前記外側搬送ベルトの凹凸を有するベルト面と対向するベルト面に、前記棒状食品を保持するための凹凸を備えることを特徴とする請求項4に記載の棒状食品搬送装置。
【請求項6】
前記内側搬送ベルトを前記カーブ部位にて張設する内側搬送ベルト用ローラを備え、
前記内側搬送ベルト用ローラは、前記板状部材同士の隙間より小さな幅を有し、かつ前記中継回転部材の内側に一部を挿入した状態で配置されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の棒状食品搬送装置。
【請求項7】
前記第1の幅の大きさを調節可能であることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の棒状食品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状食品を搬送する方法およびそれに用いる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ソーセージは、塩せきおよび熟成の後の挽肉を羊腸等のケーシングに充填後、加熱(蒸煮)、冷却を経て、連鎖状に食品を接続した繋ぎ部分を切断される。かかる切断工程後のソーセージは、通常、梱包工程に至るまでの間に方向を変えて搬送される。
【0003】
従来の搬送装置としては、複数のベルトコンベアの組み合わせや、ターンテーブルとベルトコンベアとの組み合わせにより搬送対象物の進行方向を変えるものが知られている(特許文献1~4を参照。)。
【0004】
例えば、特許文献1に開示される搬送装置は、上流側コンベアと、下流側コンベアと、それらのコンベアの間に配置される方向転換装置とを備える。方向転換装置は、回転駆動される回転台と、その回転台の上面側に設置された複数の移送機構とを有する。各移送機構は、回転駆動可能に支持された移送ローラに搬送物を載せて移送する構造を有する。特許文献2に開示される搬送装置は、棒状練り製品をその長手方向に搬送して横送り搬送ベルト上に受け渡す長手送り搬送ベルトを備え、長手送り搬送ベルトから送出される当該製品の前端が横送り搬送ベルトの搬送面へ触れる前に当該製品の後端が長手送り搬送ベルトを離れるように、長手送り搬送ベルトの下流端の搬送面が横送り搬送ベルトの搬送面より予め定められた高さ間隔で高位に配置された装置である。
【0005】
特許文献3に開示される搬送装置は、無端の主ベルトと、該主ベルトと平行して同速度・同方向に走行するように、上記受入れコーナー部および送出コーナー部の間の直線部における案内通路の底部にその中間走行部の一方を張設せしめた無端の補助ベルトと、からなる方向転換機構を有する。特許文献4に開示される搬送装置は、物品を搬送するコンベアと、コンベアから作業台まで物品の流れを誘導し方向転換をさせるための方向転換装置とで構成されている。方向転換装置は、ターンテーブルを備え、作業台にはせり上がり可能な壁が設けられ、当該壁がせり上がるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-081743号公報
【特許文献2】特開平04-089715号公報
【特許文献3】実開昭62-79724号公報
【特許文献4】特開2019-006593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述の従来技術には、以下のような問題がある。上述の従来技術は、複雑な機構を要する他、可動部品も多いため、装置の故障や、それに伴う部品交換等のメンテナンスの頻度が多くなる。搬送対象物の自然落下を生じる従来技術の場合には、搬送対象物の一部欠損、方向転換の正確性の低下につながる。このような問題は、ソーセージのみならず、他の棒状食品の搬送にも共通することである。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、メンテナンス頻度の低減および棒状食品の容易な連続搬送を実現可能な棒状食品搬送方法および棒状食品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る棒状食品搬送方法は、棒状食品をカーブさせてその搬送方向を変える搬送方法であって、
前記棒状食品の搬送路中のカーブ部位の上流と下流において、前記棒状食品を挟持して搬送可能な内側搬送ベルトおよび外側搬送ベルトと、前記内側搬送ベルトと前記外側搬送ベルトとによる挟持を解除された状態の前記棒状食品を搬入して回転可能な前記中継回転部材と、を用いて、
前記棒状食品を前記内側搬送ベルトと前記外側搬送ベルトとにより挟持して搬送する状態から、前記カーブ部位にて、前記棒状食品を、一旦、前記中継回転部材に搬入し、その後、前記中継回転部材から搬出して、前記内側搬送ベルトと前記外側搬送ベルトとにより挟持して搬送する方法である。
(2)上記目的を達成するための一実施形態に係る棒状食品搬送装置は、棒状食品の搬送路にカーブ部位を有する搬送装置であって、
前記カーブ部位を経由して前記棒状食品を搬送可能であって前記搬送路の内側および外側にそれぞれ配置される内側搬送ベルトおよび外側搬送ベルトと、
前記カーブ部位に配置される回転可能な中継回転部材と、
を備え、
前記内側搬送ベルトおよび前記外側搬送ベルトは、前記カーブ部位の上流および下流では、前記棒状食品を挟持して搬送可能な第1の幅で対向配置される一方で前記カーブ部位では前記棒状食品を挟持せず、かつ前記第1の幅より大きな第2の幅で対向配置され、
前記中継回転部材は、前記内側搬送ベルトと前記外側搬送ベルトの対向方向と異なる方向にて対向配置される部材であって、前記棒状食品を挿入可能な隙間を有する板状部材を備え、
前記中継回転部材は、前記カーブ部位に向かって搬送されてきた前記棒状食品を前記内側搬送ベルトおよび前記外側搬送ベルトから中継して搬入し、前記棒状食品を前記隙間に入れた状態で回転して、前記カーブ部位から再び前記内側搬送ベルトおよび前記外側搬送ベルトへと搬出する装置である。
(3)別の実施形態に係る棒状食品搬送装置において、好ましくは、前記中継回転部材は、前記外側搬送ベルトを張設する外側搬送ベルト用ローラを兼ねていても良い。
(4)別の実施形態に係る棒状食品搬送装置は、好ましくは、前記板状部材の周端面に凹凸を備え、前記板状部材の前記凹凸と噛みあうように前記外側搬送ベルトのベルト面にも凹凸を備えていても良い。
(5)別の実施形態に係る棒状食品搬送装置は、好ましくは、前記内側搬送ベルトにおいて、前記外側搬送ベルトの凹凸を有するベルト面と対向するベルト面に、前記棒状食品を保持するための凹凸を備えていても良い。
(6)別の実施形態に係る棒状食品搬送装置は、好ましくは、前記内側搬送ベルトを前記カーブ部位にて張設する内側搬送ベルト用ローラを備え、
前記内側搬送ベルト用ローラは、前記板状部材同士の隙間より小さな幅を有し、かつ前記中継回転部材の内側に一部を挿入した状態で配置されていても良い。
(7)別の実施形態に係る棒状食品搬送装置において、好ましくは、前記第1の幅の大きさを調節可能であっても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成で、メンテナンス頻度の低減および棒状食品の容易な連続搬送を実現可能な棒状食品搬送方法および棒状食品搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る棒状食品搬送装置の一部透過平面図を示す。
図2図2は、図1の棒状食品搬送装置を主要パーツに分けた平面図を示す。
図3図3は、図1の棒状食品搬送装置の右側面図を示す。
図4図4は、図1の棒状食品搬送装置の正面図を示す。
図5図5は、図1の棒状食品搬送装置における内側搬送ベルト、外側搬送ベルトおよび中継回転部材を含む搬送方向転換機構を抜き出した一部透過斜視図を示す。
図6図6は、図5の機構の一部透過平面図および当該平面図のX-X線断面図を示す。
図7図7は、図1の棒状食品搬送装置のカーブ部位近傍における内側搬送ベルトと外側搬送ベルトの断面拡大図を示す。
図8図8は、図1の棒状食品搬送装置における搬送部の幅を変化させる状況の一部透過平面図を示す。
図9図9は、図1の棒状食品搬送装置の変形例の内側搬送ベルト、外側搬送ベルトおよび中継回転部材を含む搬送方向転換機構を抜き出した一部透過平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
1.棒状食品搬送装置
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る棒状食品搬送装置の一部透過平面図を示す。図2は、図1の棒状食品搬送装置を主要パーツに分けた平面図を示す。図3は、図1の棒状食品搬送装置の右側面図を示す。図4は、図1の棒状食品搬送装置の正面図を示す。
【0015】
本発明の実施形態に係る棒状食品搬送装置1は、棒状食品Aの搬送路4にカーブ部位11を有する装置である。棒状食品Aは、一方向に長尺の食品を意味する。棒状食品Aとしては、ソーセージ、チーズ、サラミ、キュウリ、ちくわ、きりたんぽを例示できる。棒状食品搬送装置1は、例えば、連接された棒状食品Aの連接部を切断後に連続的に供給される複数の棒状食品Aの搬送方向を変えて、櫛刺や包装の工程に移行する場合に好適に使用できる。カーブ部位11は、搬送路4の搬送方向を変化させる領域であって搬送方向を変える角度を問わないが、好ましくは90度±45度であり、より好ましくは90度±10度である。
【0016】
棒状食品搬送装置1は、平面視にて略L字状の外側搬送部2と、平面視にて略矩形状の内側搬送部3と、を備える。外側搬送部2と内側搬送部3との間は、棒状食品Aを搬送するための搬送路4となっている。棒状食品搬送装置1は、カーブ部位11を経由して棒状食品Aを搬送可能であって搬送路Aの内側および外側にそれぞれ配置される内側搬送ベルト20および外側搬送ベルト30と、カーブ部位11に配置される回転可能な中継回転部材(図5を参照して後述する。)と、を備える。内側搬送ベルト20は、好ましくは、内側搬送部3において略L字状でかつ環状に配置されている。外側搬送ベルト30は、好ましくは、外側搬送部2において環状に配置されている。外側搬送部2は、棒状食品Aの搬送方向上流側に配置されるローラ31、カーブ部位11に配置されるローラ32、および搬送方向下流側に配置されるローラ33を備える。外側搬送ベルト30は、ローラ31の外側、ローラ32の外側、ローラ33の外側、ローラ33の内側、中継回転部材(後述する)、ローラ31の内側に接触するように周回して張設されている。搬送路4は、カーブ部位11の上流側に位置する上流搬送路10、カーブ部位11、およびカーブ部位11の下流側に位置する下流搬送路12を連接して備える。
【0017】
内側搬送部3は、下流搬送路12の近傍に、内側搬送ベルト20を駆動する駆動源(例えば、モータ)を格納した駆動源格納部5と、棒状食品Aを外方向に押し出すプッシャー板7を備えたプッシャー駆動部6と、を備える。棒状食品Aは、図1に示すように、「IN」から入って、上流搬送路10、カーブ部位11、下流搬送路12まで移動して、プッシャー板7により「OUT」の方向に押し出される。
【0018】
内側搬送部3は、その上面に、カバー部材8を配置している。カバー部材8は、中継回転部材を回転駆動するための駆動源(例えば、モータ)9を備える。カバー部材8は、外側搬送部2と固定されている。内側搬送部3は、カバー部材8に対して移動可能に構成されている。この機能については、図8を参照して後述する。
【0019】
内側搬送ベルト20および外側搬送ベルト30は、カーブ部位11の上流および下流では、棒状食品Aを挟持して搬送可能な第1の幅W1,W3で対向配置される。この実施形態では、W1=W3である。しかし、棒状食品Aを挟持可能な幅であれば、W1とW3は必ずしも等しくなくても良い。一方、カーブ部位11では、棒状食品Aは、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30とにより挟持されない。カーブ部位11において、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30とは、第1の幅W1,W3より大きな第2の幅W2で対向配置されている。
【0020】
このため、棒状食品Aは、カーブ部位11において、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30とから挟持されず、フリーな状況になる。第1の幅W1,W3は、棒状食品Aの幅(径と称しても良い)に対して同一または短い。また、第2の幅W2は、第1の幅W1,W3より大きい。第2の幅W2の最長値(=W2max)は、好ましくは、棒状食品Aの長さより短い。W2maxを棒状食品Aの長さより短くすると、棒状食品Aは、カーブ部位11において回転できず、その長さ方向両端を外側搬送ベルト30に接触させながら、その搬送方向をスムーズに変換可能である。
【0021】
図5は、図1の棒状食品搬送装置における内側搬送ベルト、外側搬送ベルトおよび中継回転部材を含む搬送方向転換機構を抜き出した一部透過斜視図を示す。図6は、図5の機構の一部透過平面図および当該平面図のX-X線断面図を示す。
【0022】
中継回転部材50は、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30の対向方向(例えば、水平方向)と異なる方向(例えば、水平方向に直角な垂直方向)にて対向配置される板状部材51,52を備える。板状部材51,52は、棒状食品Aを挿入可能な隙間55を有する。板状部材51,52は、好ましくは円板である。中継回転部材50は、カーブ部位11に向かって搬送されてきた棒状食品Aを内側搬送ベルト20および外側搬送ベルト30から中継して搬入可能である。中継回転部材50は、棒状食品Aを隙間55に入れた状態で回転して、カーブ部位11から再び内側搬送ベルト20および外側搬送ベルト30へと搬出可能である。内側搬送ベルト20および外側搬送ベルト30は、ローラ22,31を配置している入口から、ローラ23,33を配置している出口側に、棒状食品Aを搬送する方向(図6の矢印Mの方向)に動いている。中継回転部材50は、棒状食品Aを、中継回転部材50から見て上流から下流に向けて搬送する方向(図6の矢印Rの方向:時計の針の回転方向)に回転している。中継回転部材50の回転速度は、好ましくは、内側搬送ベルト20および外側搬送ベルト30の搬送速度と同一またはそれに近い。中継回転部材50は、好ましくは、外側搬送ベルト30を張設する外側搬送ベルト用ローラを兼ねている。中継回転部材50は、板状部材51,52の中心をC方向に貫く回転軸60に固定された駆動源9の回転によって回転可能である。なお、カーブ部位11において外側搬送ベルト30を張設し、かつ駆動するローラを別に設け、中継回転部材50が外側搬送ベルト30に接触しない構成としても良い。その場合には、ローラ31、ローラ32またはローラ33のいずれかにモータ等の駆動源を接続して、外側搬送ベルト30を回動させるようにしても良い。
【0023】
内側搬送ベルト20は、ローラ21、ローラ22、内側搬送ベルト用ローラ40、ローラ23およびローラ24を周回して張設されている。ローラ21は、その中心をB方向に貫く回転軸に固定されたモータ等の駆動源(前述の駆動源格納部5内の駆動源)の回転によって回転可能である。内側搬送ベルト20は、ローラ21からの回転駆動を受けて、ローラ21、ローラ22、内側搬送ベルト用ローラ40、ローラ23およびローラ24の間を周回駆動される。ローラ21を回転駆動する駆動源と、中継回転部材50を回転駆動する駆動源9とは、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30の搬送速度が同一またはほぼ同一になるように設定される。
【0024】
内側搬送ベルト用ローラ40は、好ましくは、2枚のリング部材41,42から成る。リング部材41,42は、その内側に空間を備えている。リング部材41,42は、その内側でかつ厚さ方向にて4つのローラ45,46,47,48に接している。より具体的には、ローラ45,46,47,48は、その長さ方向2段にて凹部を備える。リング部材41,42は、当該凹部に入り込んだ形態にてローラ45,46,47,48と接している。内側搬送ベルト用ローラ40は、好ましくは、板状部材51,52同士の隙間55より小さな幅を有し、かつ中継回転部材50の内側に一部を挿入した状態で配置されている。このため、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30との距離を過度に大きくすることなく、カーブ部位11の領域を適度に小さく設定可能である。また、棒状食品Aは、内側搬送ベルト用ローラ40により張設された内側搬送ベルト20と、中継回転部材50に張設された外側搬送ベルト30とに挟まれた空間Yにより存在場所を規制される(図6のX-X断面図を参照)。
【0025】
外側搬送ベルト30は、隙間55を備える2枚の板状部材51,52の回転により駆動されている。内側搬送ベルト20は、隙間55に一部挿入状態のリング部材41,42によって張設されている。内側搬送ベルト20の幅は、外側搬送ベルト30の幅よりも小さい。
【0026】
棒状食品搬送装置1は、下流搬送路12において棒状食品Aをグリップし始める地点に、センサ70を備える。センサ70は、通過する棒状食品Aを検知して、センサ70よりも下流側のプッシャー板7にて当該棒状食品Aを外に搬出するために設置されている。プッシャー板7の押出のタイミングは、センサ70とプッシャー板7との間の搬送距離を棒状食品Aが移動する時間に基づき制御されている。
【0027】
図7は、図1の棒状食品搬送装置のカーブ部位近傍における内側搬送ベルトと外側搬送ベルトの断面拡大図を示す。Dは、上流搬送路11において棒状食品Aを挟持する内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30の一部である。Eは、下流搬送路12において棒状食品Aを挟持する内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30の一部である。
【0028】
外側搬送ベルト30は、好ましくは、棒状食品Aを挟持する側(内側)のベルト面に凹凸30aを有すると共に、外側の面にも凹凸30bを有する。内側搬送ベルト20は、好ましくは、棒状食品Aを挟持する側(内側)のベルト面、すなわち外側搬送ベルト30の凹凸30aを有するベルト面と対向するベルト面に凹凸20aを有する。凹凸20a,30a,30bは、共に、ベルトの幅方向に進行する溝を備え、ベルトの長さ方向に一定の間隔で形成されている。この実施形態では、ローラ31,32,33は、その周方向に連続して凹凸を有するギアである。凹凸30bは、当該ギアと噛み合い可能に形成されている。
【0029】
中継回転部材50を構成する板状部材51,52は、その周端面に連続して凹凸を有するギアである。凹凸30aは、板状部材51,52の周端面に形成されている凹凸と噛み合い可能に形成されている。ローラ21は、その周方向に連続して凹凸を有するギアである。凹凸20aは、当該ギアと噛み合い可能に形成されている。凹凸20aと凹凸30aは、共に、棒状食品Aに接触する部分である。このため、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30は、棒状食品Aを確実に挟持して搬送することができる。なお、外側搬送ベルト30の外面、すなわち、棒状食品Aに接触しない側の面には必ずしも凹凸30bを備えていなくとも良い。また、棒状食品Aの外面に凹凸がある場合、または内側搬送ベルト20および外側搬送ベルト30と棒状食品Aとの密着力が大きい場合には、凹凸20a,30a,30bの内の1つ、2つまたは3つとも備えていなくとも良い。
【0030】
図8は、図1の棒状食品搬送装置における搬送部の幅を変化させる状況の一部透過平面図を示す。
【0031】
図8における上方の平面図では、搬送路4の第1の幅W1,W3は30mmに設定されている。一方、図8における下方の平面図では、矢印Qの方向に内側搬送部3が移動して、搬送路4の第1の幅W1,W3が19mmに変化している。矢印Qと反対方向に内側搬送部3を移動させると、搬送路4の第1の幅W1,W3を拡げることができる。なお、この実施形態では、このようなW1,W3の変化に伴い、第2の幅W2も変化する。カバー部材8(中継回転部材50も含む)は、外側搬送部2に固定されているので、内側搬送部3が移動しても、移動しない。ただし、第1の幅W1,W3および第2の幅W2を変化させる際に、中継回転部材50と外側搬送ベルト30との張設を維持した状態で、外側搬送部2を移動可能にしても良い。
【0032】
このように、この実施形態では、搬送路4の第1の幅W1,W3の大きさを調節可能である。この結果、棒状食品Aの幅(径)に応じて、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30による棒状食品Aの挟持力を適正に調整できるので、棒状食品Aを両搬送ベルト20,30から脱落してしまう状況、および搬送困難で詰まる状況を低減できる。
【0033】
図9は、図1の棒状食品搬送装置の変形例の内側搬送ベルト、外側搬送ベルトおよび中継回転部材を含む搬送方向転換機構を抜き出した一部透過平面図を示す。
【0034】
図9に示す変形例に係る棒状食品搬送装置1aは、上述の棒状食品搬送装置1と異なり、リング部材41,42を有する内側搬送ベルト用ローラ40を備えていない。内側搬送ベルト20は、カーブ部位11およびその近傍において、ローラ26,27,28,29によって張設されている。このように、1つの内側搬送ベルト用ローラ40を使用せず、複数のより小さなローラ26,27,28,29を用いて内側搬送ベルト20を張設することで、カーブ部位11の内側に弧状の内側搬送ベルト20を構築できる。
【0035】
2.棒状食品搬送方法
【0036】
本発明の実施形態に係る棒状食品搬送方法は、棒状食品Aをカーブさせてその搬送方向を変える搬送方法において、棒状食品Aの搬送路4中のカーブ部位11の上流と下流において、棒状食品Aを挟持して搬送可能な内側搬送ベルト20および外側搬送ベルト30と、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30とによる挟持を解除された状態の棒状食品Aを搬入して回転可能な中継回転部材50とを用いて、棒状食品Aを内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30とにより挟持して搬送する状態から、カーブ部位11にて、棒状食品Aを、一旦、中継回転部材50に搬入し、その後、中継回転部材50から搬出して、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30とにより挟持して搬送する方法である。
【0037】
また、本発明の実施形態に係る別の棒状食品搬送方法は、上述の棒状食品搬送装置1,1aの各構成要素の任意の組み合わせを前提に実現できる。すなわち、本発明の実施形態に係る別の棒状食品搬送方法は、上述のいずれか1つの棒状食品搬送装置1,1aを用いて、棒状食品Aをカーブさせてその搬送方向を変える搬送方法であって、棒状食品Aの搬送路4中のカーブ部位11の上流と下流において、棒状食品Aを挟持して搬送可能な内側搬送ベルト20および外側搬送ベルト30と、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30とによる挟持を解除された状態の棒状食品Aを搬入して回転可能な中継回転部材50と、を用いて、棒状食品Aを内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30とにより挟持して搬送する状態から、カーブ部位11にて、棒状食品Aを、一旦、中継回転部材50に搬入し、その後、中継回転部材50から搬出して、内側搬送ベルト20と外側搬送ベルト30とにより挟持して搬送する方法である。
【0038】
別の実施形態に係る棒状食品搬送方法では、例えば、中継回転部材50は、外側搬送ベルト30を張設する外側搬送ベルト用ローラを兼ねた棒状食品搬送装置1,1aを用いても良い。また、別の実施形態に係る棒状食品搬送方法では、例えば、板状部材51,52の周端面に凹凸を備え、板状部材51,52の当該凹凸と噛みあうように外側搬送ベルト30のベルト面にも凹凸30aを備えた棒状食品搬送装置1,1aを用いても良い。さらに、別の実施形態に係る棒状食品搬送方法では、例えば、内側搬送ベルト20において、外側搬送ベルト30の凹凸30aを有するベルト面と対向するベルト面に、棒状食品Aを保持するための凹凸20aを備えた棒状食品搬送装置1,1aを用いても良い。
【0039】
別の実施形態に係る棒状食品搬送方法では、例えば、内側搬送ベルト20をカーブ部位11にて張設する内側搬送ベルト用ローラ40を備え、内側搬送ベルト用ローラ40には板状部材51,52同士の隙間55より小さな幅を有し、かつ中継回転部材50の内側に一部を挿入した状態で配置された棒状食品搬送装置1を用いても良い。また、別の実施形態に係る棒状食品搬送方法では、例えば、第1の幅W1,W3の大きさを調節可能な棒状食品搬送装置1,1aを用いても良い。
【0040】
3.その他の実施形態
本発明は、上述の実施形態に限定されず、種々変形実施可能である。
【0041】
例えば、搬送路4の第1の幅W1,W3のみを拡大または縮小し、第2の幅W2を不変にするようにしても良い。内側搬送ベルト用ローラ40は、2枚のリング部材41,42にて構成されずに、1枚の板状部材でも良い。外側搬送部2は、平面視にて略L字形状の部材であるが、平面視にて、略三角形、略四角形などの他の形状の部材でも良い。ローラ21に代えて、内側搬送ベルト用ローラ40を駆動源に接続して回転駆動させても良い。
【0042】
また、搬送路4のカーブ部位11は、上流搬送路11および下流搬送路12との境界において、段差などがなく、なめらかに形成されている。しかし、棒状食品Aの通過の障害にならない限り、多少の段差があっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、棒状食品の搬送に利用できる。
【符号の説明】
【0044】
1,1a・・・棒状食品搬送装置、4・・・搬送路、11・・・カーブ部位、20・・・内側搬送ベルト、20a・・・凹凸、30・・・外側搬送ベルト、30a・・・凹凸、40・・・内側搬送ベルト用ローラ、50・・・中継回転部材(外側搬送ベルト用ローラを兼ねる)、51.52・・・板状部材、55・・・隙間、A・・・棒状食品、W1,W3・・・第1の幅、W2・・・第2の幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9