(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147340
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ボビン及びボビンの製造方法
(51)【国際特許分類】
B65H 75/14 20060101AFI20231005BHJP
B65H 75/22 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65H75/14
B65H75/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054780
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】593144943
【氏名又は名称】株式会社福井洋樽製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230100022
【弁護士】
【氏名又は名称】山田 勝重
(74)【代理人】
【識別番号】100084319
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 智重
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(72)【発明者】
【氏名】福井 啓之
(72)【発明者】
【氏名】土橋 實
【テーマコード(参考)】
3F058
【Fターム(参考)】
3F058AB03
3F058AC06
3F058AC07
3F058AC14
3F058BB01
3F058CA11
3F058CA12
3F058CA13
3F058DA05
3F058DB05
3F058DC01
3F058JA05
(57)【要約】
【課題】
円筒材と円板体とを互いに係合させて軸線方向の移動を規制できるとともに、簡便な作業によって回動規制部材を止着することで、円筒材と円板体との相互回動を規制することができるボビンを提供する。
【解決手段】
外周胴部に線状材料を巻き付け可能とする紙製の円筒材と、円筒材の直径よりも大径とされ、中心を円筒材の軸線の位置に対応させる状態で円筒材の各側端部に取着する、紙製の一対の円板体と、を備えたボビンであって、円筒材の両側端部、及び、一対の円板体には、取着された一対の円板体が少なくとも軸線の方向において外れることを規制可能とする規制構造が設けられ、規制構造によって、円筒材と一対の円板体とは互いにそれぞれ係合され、一対の円板体の表面には、規制構造によって互いに係合された、円筒材と一対の円板体とが相対回動することを規制する回動規制部材が止着される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周胴部に線状材料を巻き付け可能とする紙製の円筒材と、
前記円筒材の直径よりも大径とされ、中心を前記円筒材の軸線の位置に対応させる状態で前記円筒材の各側端部に取着する、紙製の一対の円板体と、を備えたボビンであって、
前記円筒材の両側端部、及び、前記一対の円板体には、取着された前記一対の円板体が少なくとも前記軸線の方向において外れることを規制可能とする規制構造が設けられ、前記規制構造によって、前記円筒材と前記一対の円板体とは互いにそれぞれ係合され、
前記一対の円板体の表面には、前記規制構造によって互いに係合された、前記円筒材と前記一対の円板体とが相対回動することを規制する回動規制部材が止着されることを特徴とするボビン。
【請求項2】
前記規制構造は、
前記円筒材の両側端部において、前記軸線に関して所定の角度間隔で設けられ、前記軸線の方向に沿って延びる複数の延出部、及び、前記複数の延出部の先端から前記円筒材の周方向に沿ってそれぞれ延びる複数の腕部と、
前記一対の円板体のそれぞれにおいて、前記延出部、及び、この延出部から延びる前記腕部に対応する範囲に、前記円板体の周方向に沿って延び、かつ、厚み方向に貫通するように設けられた複数の係合孔部と、からなり、
前記複数の係合孔部に、前記複数の腕部をそれぞれ挿通させて前記円板体の表面から延出させた状態から、前記円筒材と前記一対の円板体とを相対回動することで、前記腕部の少なくとも一部を前記外側面に対向接触させる請求項1に記載のボビン。
【請求項3】
前記回動規制部材は板状部材であって、厚み方向に貫通するとともに、一つの端面から内側へ向けて凹設された規制凹部を有し、
前記円筒材と前記一対の円板体とを相対回動することで、前記表面に少なくとも一部が対向接触した状態の前記腕部の前記外側面における位置の変化を規制するように、前記規制凹部に前記腕部又は前記延出部を嵌合させた状態で、前記表面に貼付される請求項2に記載のボビン。
【請求項4】
前記軸線の方向において、前記腕部と前記円筒材の端面は、前記円板体の厚みと略同一の距離だけ離れており、
前記係合孔部は、前記延出部及び前記腕部の厚みよりも大きな幅を有する広幅部と、前記延出部及び前記腕部の厚みと略同一の幅を有する狭幅部と、を備え、
前記円筒材と前記一対の円板体との相対回動によって、前記腕部の少なくとも一部を前記円板体の前記表面に対向接触させたときに、前記狭幅部は、前記延出部を接触保持する請求項3に記載のボビン。
【請求項5】
前記回動規制部材は、前記円筒材に巻き付けられた前記線状部材の送り出し方向に、前記円筒材が前記一対の円板体に対して相対回動することを規制するように、前記表面に貼付される請求項4に記載のボビン。
【請求項6】
前記腕部は、前記円筒材の周方向において、前記延出部の両端部からそれぞれ延びるように設けられている請求項5に記載のボビン。
【請求項7】
外周胴部に線状材料を巻き付け可能とする紙製の円筒材と、
前記円筒材の直径よりも大径とされ、中心を前記円筒材の軸線の位置に対応させる状態で前記円筒材の各側端部に取着する、紙製の一対の円板体と、を備えたボビンの製造方法であって、
前記円筒材の原材料としての円筒材料を製造する工程と、
前記円板体の原材料としての円板材料を製造する工程と、
一つの端面から内側へ向けて凹設された規制凹部を有する板状部材としての回動規制部材を製造する工程と、
前記円筒材料の両側端部に対して、径方向外側から第1の抜き型をそれぞれ押し当てることによって、前記軸線に関して所定の角度間隔の位置に、前記軸線の方向に沿って延びる延出部、及び、この延出部の先端から前記円筒材の周方向に沿って延びる複数の腕部を形成することで前記円筒材を形成する工程と、
前記円板材料に対して、その軸線の方向に沿って第2の抜き型を押し当てることによって、前記延出部、及び、この延出部から延びる前記腕部に対応する範囲に、前記円板体の周方向に沿って延び、かつ、厚み方向に貫通するように複数の係合孔部を形成することで前記円板体を形成する工程と、
前記複数の係合孔部に、前記複数の腕部をそれぞれ挿通させて前記円板体の表面から延出させた状態から、前記円筒材と前記一対の円板体とを相対回動することで、前記腕部の少なくとも一部を前記表面に対向接触させる工程と、
前記円筒材を前記一対の円板体に対して相対回動することで、前記表面に少なくとも一部が対向接触した状態の前記腕部の前記外側面における位置の変化を規制するように、前記回動規制部材の前記規制凹部に前記腕部を嵌合させた状態で、前記回動規制部材を前記表面に貼付する工程と、
を備えることを特徴とするボビンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、光ファイバケーブル、点滴チューブ、被覆電線、放電ワイヤ等の線状材料をその胴部に巻き付け可能とするボビンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の紙製ボビンは、円筒材、一対の円板体、及び、一対の環状体から構成され、各部材は紙製とされる。この紙製ボビンにおいて、光ファイバ等を巻き付け可能とした円筒材の両端部には周縁に沿って3つの凸片が備えられ、また、円板体の軸孔の外周側には、上記凸片をそれぞれ挿入するための係合孔が形成されている。上記凸片はそれぞれ円板体の係合孔に係合されて円板体の外側へ突出され、突出された凸片の先端に環状体を嵌合させて結合させることにより、一対の円板体及び一対の環状体が円筒材の両側部にそれぞれ結合され、全体としてボビンが形成される。このようにして製造される紙製ボビンは、すべて紙製とされるため、使用後において、環状体を凸片から引き外すことで、円筒材と円板体との結合を解除して分解することが可能となり、分解された各部材は、折り畳む状態で普通ゴミあるいは再生ゴミとして廃棄することができる。また自ら簡易に焼却処分することも可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の紙製ボビンでは、円板体と環状体は、円筒材の軸線方向に突出させた凸片の先端を環状体に対して、軸線方向に嵌合させることで互いに固定しているため、線状材料の送り出し時に強い力がかかる場合や、円筒材に巻き付ける線状材料の重量が大きくなった場合等において嵌合状態が解除されてしまことを防止するために、凸片の先端を環状体に対して、縫合糸やステープルで結合することとしている。しかし、このような結合工程を実行するには、専用の作業場が必要となるため、製造スペースが拡大してしまうことに加え、その作業場への移動が必要となることから製造時間が増加し、作業者にかかる負担が増えてしまうという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、円筒材と円板体とを互いに係合させて軸線方向の移動を規制できるとともに、簡便な作業によって回動規制部材を止着することで、円筒材と円板体との相互回動を規制することができるボビンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のボビンは、外周胴部に線状材料を巻き付け可能とする紙製の円筒材と、円筒材の直径よりも大径とされ、中心を円筒材の軸線の位置に対応させる状態で円筒材の各側端部に取着する、紙製の一対の円板体と、を備えたボビンであって、円筒材の両側端部、及び、一対の円板体には、取着された一対の円板体が少なくとも軸線の方向において外れることを規制可能とする規制構造が設けられ、規制構造によって、円筒材と一対の円板体とは互いにそれぞれ係合され、一対の円板体の表面には、規制構造によって互いに係合された、円筒材と一対の円板体とが相対回動することを規制する回動規制部材が止着されることを特徴としている。
【0007】
本発明のボビンにおいて、規制構造は、円筒材の両側端部において、軸線に関して所定の角度間隔で設けられ、軸線の方向に沿って延びる複数の延出部、及び、複数の延出部の先端から円筒材の周方向に沿ってそれぞれ延びる複数の腕部と、一対の円板体のそれぞれにおいて、延出部、及び、この延出部から延びる腕部に対応する範囲に、円板体の周方向に沿って延び、かつ、厚み方向に貫通するように設けられた複数の係合孔部と、からなり、複数の係合孔部に、複数の腕部をそれぞれ挿通させて円板体の表面から延出させた状態から、円筒材と一対の円板体とを相対回動することで、腕部の少なくとも一部を外側面に対向接触させることが好ましい。
【0008】
本発明のボビンにおいて、回動規制部材は板状部材であって、厚み方向に貫通するとともに、一つの端面から内側へ向けて凹設された規制凹部を有し、円筒材と一対の円板体とを相対回動することで、表面に少なくとも一部が対向接触した状態の腕部の外側面における位置の変化を規制するように、規制凹部に腕部又は延出部を嵌合させた状態で、表面に貼付されることが好ましい。
【0009】
本発明のボビンでは、軸線の方向において、腕部と円筒材の端面は、円板体の厚みと略同一の距離だけ離れており、係合孔部は、延出部及び腕部の厚みよりも大きな幅を有する広幅部と、延出部及び腕部の厚みと略同一の幅を有する狭幅部と、を備え、円筒材と一対の円板体との相対回動によって、腕部の少なくとも一部を円板体の表面に対向接触させたときに、狭幅部は、延出部を接触保持することが好ましい。
【0010】
本発明のボビンにおいて、回動規制部材は、円筒材に巻き付けられた線状部材の送り出し方向に、円筒材が一対の円板体に対して相対回動することを規制するように、表面に貼付されることが好ましい。
【0011】
本発明のボビンにおいて、腕部は、円筒材の周方向において、延出部の両端部からそれぞれ延びるように設けられていることが好ましい。
【0012】
本発明のボビンの製造方法は、外周胴部に線状材料を巻き付け可能とする紙製の円筒材と、円筒材の直径よりも大径とされ、中心を円筒材の軸線の位置に対応させる状態で円筒材の各側端部に取着する、紙製の一対の円板体と、を備えたボビンの製造方法であって、円筒材の原材料としての円筒材料を製造する工程と、円板体の原材料としての円板材料を製造する工程と、一つの端面から内側へ向けて凹設された規制凹部を有する板状部材としての回動規制部材を製造する工程と、円筒材料の両側端部に対して、径方向外側から第1の抜き型をそれぞれ押し当てることによって、軸線に関して所定の角度間隔の位置に、軸線の方向に沿って延びる延出部、及び、この延出部の先端から円筒材の周方向に沿って延びる複数の腕部を形成することで円筒材を形成する工程と、円板材料に対して、その軸線の方向に沿って第2の抜き型を押し当てることによって、延出部、及び、この延出部から延びる腕部に対応する範囲に、円板体の周方向に沿って延び、かつ、厚み方向に貫通するように複数の係合孔部を形成することで円板体を形成する工程と、複数の係合孔部に、複数の腕部をそれぞれ挿通させて円板体の表面から延出させた状態から、円筒材と一対の円板体とを相対回動することで、腕部の少なくとも一部を表面に対向接触させる工程と、円筒材を一対の円板体に対して相対回動することで、表面に少なくとも一部が対向接触した状態の腕部の外側面における位置の変化を規制するように、回動規制部材の規制凹部に腕部を嵌合させた状態で、回動規制部材を表面に貼付する工程と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、規制構造を設けることによって、簡便な作業で、円筒材と円板体とを互いに係合させて軸線方向の移動を規制することができるとともに、回動規制部材を止着することで、円筒材と円板体の相対回動を容易かつ確実に規制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るボビンに線状材料を巻き付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すボビンを分解して示す斜視図である。
【
図3】(a)は円板体の構成を示す正面図、(b)は円筒材の構成を示す正面図である。
【
図4】(a)、(b)、(c)、(d)は第1の円板体の第1の係合孔部に対して円筒材を係合させ、さらに、回動規制部材を止着するまでの工程を順に示す正面図である。
【
図5】円筒材の原材料としての円筒材料に対して第1の抜き型によって抜き加工を行う状態を示す斜視図である。
【
図6】円板体の原材料としての円板材料に対して第2の抜き型によって抜き加工を行う状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るボビン及びボビンの製造方法について図面を参照しつつ詳しく説明する。各図において、円筒材20、一対の円板体30、40、及び、これらの原材料としての円筒材料70と円板材料90における中心軸AXを通る方向を軸線方向とし、中心軸AXを中心とする周に沿った方向を周方向Cとし、中心軸AXから外周へ向かう方向を径方向Dとしている。周方向Cは、
図2に示すように、軸線方向に沿って第1の円板体30側から第2の円板体40側を見た状態で、時計回りの周方向C1と反時計回りの周方向C2とを設定している。
【0016】
<ボビンの構成>
図1は、本実施形態に係るボビン10に線状材料Sを巻き付けた状態を示す斜視図、
図2は、
図1に示すボビン10を分解して示す斜視図である。
図3(a)は円板体30の構成を示す正面図、(b)は円筒材20の構成を示す正面図である。
【0017】
図1に示すように、ボビン10は、円筒材20(
図2参照)の外周胴部に線状材料Sを巻き付け可能としたものであり、使用時には、中心軸AXの位置に設けられた軸穴33に不図示の機械の支持軸が通されることで回転可能に支持され、軸穴33の径方向外側に設けたケレ穴34に上記機械側のピン材が挿通されることによって上記機械に対する相対位置関係が保持される。これにより、上記機械の動作にしたがって中心軸AXの回りを回動可能となり、回転方向に応じて線状材料Sの巻き取り又は送り出しを行うことができる。
【0018】
線状材料Sは、例えば、金属線、同軸ケーブル、被覆電線、放電ワイヤ、コード、綱材その他の線材、光ファイバケーブル、医療用チューブその他のチューブ材、紐材、が挙げられる。
【0019】
図2に示すように、ボビン10は、共通する中心軸AX上において、円筒材20の軸線方向の両側端部に一対の円板体30、40をそれぞれ配置し、一方の円板体30の外側に一対の回動規制部材51、52を配置し、他方の円板体40の外側に一対の回動規制部材61、62を配置した構成を備える。
【0020】
<円筒材20>
円筒材20は、紙製であって、例えば、段ボール材、紙管原紙、ライナー紙で構成する。円筒材20の材質や厚みは、巻き付ける線状材料の種類や巻き数等に応じて、耐久性、コスト、総重量等を考慮して適宜設定する。
【0021】
円筒材20の軸線方向の一方の端部(円板体30側の端部)には、一対の延出部21a、22aが中心軸AXに関して等角度間隔に設けられ、他方の端部(円板体40側の端部)にも、一対の延出部23a、24aが中心軸AXに関して等角度間隔に設けられている。延出部21a、22a、23a、24aは、円筒材20と同じ厚みを有し、軸線方向に沿って、円筒材20の外側へ向かうように延びる。
【0022】
第1の延出部21aには、時計回りの周方向C1に沿って延びる腕部21bと、反時計回りの周方向C2に沿って延びる腕部21cと、が延出部21aに関して互いに対称となるように設けられている。第2の延出部22aについても、時計回りの周方向C1に沿って延びる腕部22bと、反時計回りの周方向C2に沿って延びる腕部22cと、が延出部22aに関して互いに対称となるように設けられている。
【0023】
さらに、第3の延出部23aには、時計回りの周方向C1に沿って延びる腕部23bと、反時計回りの周方向C2に沿って延びる腕部23cと、が延出部23aに関して互いに対称となるように設けられている。第4の延出部24aについても、時計回りの周方向C1に沿って延びる腕部24bと、反時計回りの周方向C2に沿って延びる腕部24cと、が延出部24aに関して互いに対称となるように設けられている。
【0024】
第1の延出部21aと第3の延出部23aは、周方向Cにおいて互いに対応する位置に設けられ、互いに同一の形状を有する。第2の延出部22aと第4の延出部24aについても、互いに対応する位置に設けられ,互いに同一の形状を有する。
【0025】
4つの延出部21a、22a、23a、24aのそれぞれから延びる腕部は互いに同じ厚みと長さを有し、その厚みは延出部21a、22a、23a、24aと同一である。また、腕部21b、21c、22b、22cは、円筒材20の軸線方向の端面20a(円板体30側の端面)に対して、円板体30の厚みに対応する距離だけ離れている。腕部23b、23c、24b、24cについても、円筒材20の軸線方向の端面(円板体40側の端面)に対して、円板体40の厚みに対応する距離だけ離れている。
【0026】
<円板体30、40>
一対をなす円板体30、40は、互いに同一の形状を有し、円筒材20の直径よりも大径となる直径を有する板状部材であり、中心を円筒材20の軸線(中心軸AXを通る直線)の位置に対応させる状態で円筒材20の軸線方向の両側の各側端部にそれぞれ取着する。円板体30、40は紙製であって、例えば、段ボール材、紙管原紙、ライナー紙で構成する。円板体30、40の材質や厚みは、円筒材20に巻き付ける線状材料の種類や巻き数等に応じて、耐久性、コスト、総重量等を考慮して適宜選択する。
【0027】
第1の円板体30は、中心軸AXに関して等角度間隔で、厚み方向に貫通させた一対の係合孔部31、32を備える。一対の係合孔部31、32は、周方向Cに沿ってそれぞれ形成され、円筒材20の一対の延出部21a、22a及びこれらから延びる腕部21b、21c、22b、22cに対応する位置に設けられている。
【0028】
第1の係合孔部31は、径方向Dにおいて、円筒材20の第1の延出部21a、及び、第1の延出部21aから延びる一対の腕部21b、21cの厚みよりも大きな幅を有する広幅部31aと、第1の延出部21a、及び、一対の腕部21b、21cの厚みと略同一の幅を有し、これらを挿入可能な狭幅部31bと、を備える。狭幅部31bの幅は、第1の延出部21aが挿入されたときに、この外側面が、狭幅部31bの内側面に接触することによって抵抗が生じ、これにより、所定以上の大きさの外力を加えなければ、円筒材20と円板体30との相対回動(相対的な回動)が規制され、相対位置が保持されるような大きさに設定される。
【0029】
広幅部31aと狭幅部31bは、時計回りの方向C1に沿って順に連続して設けられている。広幅部31aと狭幅部31bは、周方向Cにおいて、第1の延出部21a、及び、一対の腕部21b、21cの全体が挿通可能な長さを有する。狭幅部31bの周方向Cにおける長さは、腕部21b、21cと同一に設定されており、円板体30に対して円筒材20が時計回りの周方向C1に相対回動したときに、狭幅部31b内に延出部21aの一部が位置することで、狭幅部31bと延出部21aとの間に接触抵抗が生じ、円筒材20と円板体30との相対位置が保持される。
なお、狭幅部31bの周方向Cにおける長さを、腕部21b、21cよりも短く設定することも可能であり、この場合も、相対回動したときに狭幅部31bと延出部21aとの間に接触抵抗が生じさせる効果が得られる。
【0030】
第2の係合孔部32は、第1の係合孔部31と同様に、径方向Dにおいて、円筒材20の第2の延出部22a、及び、第2の延出部22aから延びる一対の腕部22b、22cの厚みよりも大きな幅を有する広幅部32aと、第2の延出部22a、及び、一対の腕部22b、22cの厚みと略同一の幅を有し、これらを挿入可能な狭幅部32bと、を備える。広幅部32aと狭幅部32bは、時計回りの方向C1に沿って互いに連続して設けられ、周方向Cにおいて、第2の延出部22a、及び、一対の腕部22b、22cを挿通可能な長さを有する。狭幅部32bの幅は、上記狭幅部31bと同様に、所定以上の大きさの外力を加えなければ、円筒材20と円板体30との相対回動が規制され、相対位置が保持されるような大きさに設定される。また、狭幅部32bの周方向Cにおける長さは、上記狭幅部31bと同様に、腕部22b、22cと同一に設定されている。
【0031】
第2の円板体40は、第1の円板体30と同様の形状を有し、中心軸AXに関して等角度間隔で、厚み方向に貫通させた一対の係合孔部41、42を備える。一対の係合孔部41、42は、周方向Cに沿ってそれぞれ形成され、円筒材20の一対の延出部23a、24a及びこれらから延びる腕部23b、23c、24b、24cに対応する位置に設けられている。
【0032】
第3の係合孔部41は、径方向Dにおいて、円筒材20の第3の延出部23a、及び、第3の延出部23aから延びる一対の腕部23b、23cの厚みよりも大きな幅を有する広幅部41aと、第3の延出部23a、及び、一対の腕部23b、23cの厚みと略同一の幅を有し、これらを挿入可能な狭幅部41bと、を備える。広幅部41aと狭幅部41bは時計回りの方向C1に沿って互いに連続して設けられ、周方向Cにおいて、第3の延出部23a、及び、一対の腕部23b、23cを挿通可能な長さを有する。狭幅部41bの幅は、上記狭幅部31bと同様に、所定以上の大きさの外力を加えなければ、円筒材20と円板体40との相対回動が規制され、相対位置が保持されるような大きさに設定される。また、狭幅部41bの周方向Cにおける長さは、上記狭幅部31bと同様に、腕部23b、23cと同一に設定されている。
【0033】
第4の係合孔部42は、径方向Dにおいて、円筒材20の第4の延出部24a、及び、第4の延出部24aから延びる一対の腕部24b、24cの厚みよりも大きな幅を有する広幅部42aと、第4の延出部24a、及び、一対の腕部24b、24cの厚みと略同一の幅を有し、これらを挿入可能な狭幅部42bと、を備える。広幅部42aと狭幅部42bは時計回りの方向C1に沿って互いに連続して設けられ、周方向Cにおいて、第4の延出部24a、及び、一対の腕部24b、24cを挿通可能な長さを有する。狭幅部42bの幅は、上記狭幅部31bと同様に、所定以上の大きさの外力を加えなければ、円筒材20と円板体40との相対回動が規制され、相対位置が保持されるような大きさに設定される。また、狭幅部42bの周方向Cにおける長さは、上記狭幅部31bと同様に、腕部24b、24cと同一に設定されている。
【0034】
図3(a)に示すように、第1の円板体30において、第1の係合孔部31及び第2の係合孔部32は、周方向Cにおいて、角度θ2に対応する範囲にそれぞれ設けられるともに、角度θ1に対応する距離だけ互いに離れて配置されている。また、それぞれの狭幅部31b、32bは、角度θ3に対応する範囲に設けられている。したがって、広幅部31a、32aは、角度(θ2-θ3)に対応する範囲に設けられている。この構成は第2の円板体40においても同様である。
【0035】
図3(b)に示すように、円筒材20において、第1の延出部21a及び一対の腕部21b、21cと、第2の延出部22a及び一対の腕部22b、22cと、は、角度θ2に対応する範囲にそれぞれ設けられるとともに、周方向Cにおいて角度θ1に対応する距離だけ離れて配置されている。第1の延出部21aから延びる腕部21bと、第2の延出部22aから延びる腕部22bは、角度θ3に対応する範囲に延びている。第1の延出部21aから延びる腕部21cと、第2の延出部22aから延びる腕部22cについても、角度θ3に対応する範囲に延びるようにすると、一つの延出部から延びる一対の腕部が周方向Cにおいて対称形状となる。
【0036】
<規制構造>
第1の円板体30の一対の係合孔部31、32と、円筒材20の腕部21b、22bとは、第1の円板体30と円筒材20とを係合させたときに、円板体30が軸線方向に外れることを規制可能とする規制構造を構成する。同様に、第2の円板体40の一対の係合孔部41、42と、円筒材20の腕部23b、24bとについても、第2の円板体40と円筒材20とを係合させたときに、円板体40が軸線方向に外れることを規制可能とする規制構造を構成する。円筒材20と、一対の円板体30、40との係合、及び、係合によって生じる軸線方向における移動の規制について以下に説明する。
【0037】
図4(a)、(b)、(c)、(d)は、第1の円板体30の第1の係合孔部31に対して円筒材20を係合し、さらに、回動規制部材51を止着するまでの工程を順に示す正面図であって、第1の係合孔部31に対応する範囲を示している。
図4(a)は第1の円板体30のみを示しており、(b)は第1の係合孔部31に円筒材20の第1の延出部21a、及び、一対の腕部21b、21cを挿入した状態を示し、(c)は(b)の状態から、円筒材20を円板体30に対して時計回りの周方向C1に回動させた状態を示し、(d)は(c)の状態において、第1の円板体30の表面30bに回動規制部材51を止着した状態を示す。
【0038】
まず、
図4(a)に示す第1の係合孔部31に対し、軸線方向(
図4(a)の紙面方向)に沿って、円筒材20の第1の延出部21a、及び、一対の腕部21b、21cを挿入すると(
図4(b))、周方向Cにおいて、第1の係合孔部31の全体に渡って、第1の延出部21a、及び、一対の腕部21b、21cが収容され、円板体30の背面30a(
図2参照)に円筒材20の端面20a(
図2参照)が接触させた状態に至ると、第1の延出部21a、及び、一対の腕部21b、21cが円板体30の表面30bから外側へ突出する(
図1参照)。このとき、狭幅部31bは、その内部に収容された延出部21aの外側面と、内側面が接触している。
【0039】
図4(b)に示す状態から、円筒材20と円板体30を相対回動させると、少なくとも、第1の係合孔部31から突出した腕部21bが円板体30の表面30bと接触しつつ時計回りの周方向C1に沿って移動する。この移動において、腕部21bと円筒材20の端面20aとの間隔の設定により、腕部21bは表面30bとの間で対向接触した状態を維持し続ける。したがって、円筒材20と円板体30の相対回動終了後(
図4(c))においては、腕部21bが表面30bに接触した状態で、円筒材20と円板体30とが互いに係合される。このとき、狭幅部31bにおいては、その内部に収容された延出部21aの外側面と、内側面が接触しており、この接触によって収容された部位を保持する。
【0040】
図4(a)から
図4(d)に至る工程は、第1の延出部21a及び腕部21bと第1の係合孔部31との係合の際に、第2の延出部22a及び腕部22bと第2の係合孔部32との間でも同様に行われる。したがって、二つの腕部21b、22bが円筒材20の端面20aと接触した状態で係合されるため、円筒材20と円板体30が軸線方向に移動することが規制され、また、狭幅部31b、32bと延出部21a、22aのそれぞれの接触により回動位置が保持される。このような係合工程は、円筒材20と第2の円板体40との間でも同様に行われる。
【0041】
上記角度θ1、θ2は、円筒材20と円板体30、40とを係合させるときの操作性、係合後の固定強度等を考慮して設定することが好ましく、例えばθ1は84度以上94度以下とするとよく、89度とすると操作性と固定強度のバランスがよい。
【0042】
<回動規制部材>
図2に示すように、第1の円板体30に取着する一対の回動規制部材51、52、及び、第2の円板体40に取着する一対の回動規制部材61、62は、互いに同一の形状を有する板状部材である。これらの回動規制部材51、52、61、62は、円筒材20に対する一対の円板体30、40の回動を規制するときの回動に対する耐久性を有していれば、円筒材20及び一対の円板体30、40と同様に、段ボール材、紙管原紙、ライナー紙その他の紙製部材であってもよく、また、軽量で硬性の合成樹脂を用いることもできる。
【0043】
回動規制部材51、52、61、62は、円板体30、40の外周形状に対応した2つの円弧面と、これらの円弧面の両端をそれぞれ結ぶ2つの平面と、を有する本体部51a、52a、61a、62aを備える。
【0044】
回動規制部材51を例に挙げると、互いに対向する2つの円弧面511、512と、これらの円弧面の両端をそれぞれ結ぶ2つの端面としての平面513、514と、で本体部51aが構成されている。2つの円弧面511、512の間隔は、係合孔部31の広幅部31aよりも大きく設定されている。一方の平面513には、本体部51aを厚み方向に貫通するとともに、端面である平面513から内側へ向けて凹設された規制凹部51bが形成されている。
【0045】
規制凹部51bは、腕部21cの平面形状に沿った円弧形状を有しており、その開口幅は、平面513に沿った方向においては腕部21bの厚みと略同一であり、円弧面511、512に沿った方向については、腕部21cを内部に接触保持したときに、ボビン10に巻き付ける線状部材の重量等に応じて、腕部21cを確実に保持できるような長さに設定される。
【0046】
本体部51aにおいて、円板体30の表面30bに接触させる面には、例えば、両面テープが配置される。この両面テープは、その一方の面である粘着剤面が本体部51aに貼付され、他方の面の剥離紙を剥がして現れる粘着剤面を円板体30の表面に貼付することで、本体部51aが円板体30に止着・固定される。このような両面テープとしては、例えば、恵比寿化成株式会社製のエビステープ(商品名)の強粘着タイプや、スリーエムジャパン株式会社製の両面粘着テープを用いることができる。
【0047】
また、本体部51aにおいて、円板体30の表面30bに粘着加工を施し、この粘着部を円板体30の表面に貼付することで、本体部51aを円板体30に止着・固定することとしてもよい。このような粘着加工としては、例えば、恵比寿化成株式会社による、直付け、又は、基材入りの平板粘着加工等が挙げられる。
【0048】
さらにまた、本体部51aにおいて、円板体30の表面30bに接着剤を塗布し、円板体30の表面に貼付することで、本体部51aを円板体30に止着・固定することとしてもよい。このような接着剤としては、例えば、コニシ株式会社製の接着剤のうち、本体部51aの材料と紙製の円板体30に対応した種類で、所定の接着力のものを選定して使用するとよい。
【0049】
以上、回動規制部材51について説明したが、ほかの回動規制部材52、61、62についても同様の構成を有しており、それぞれの本体部に規制凹部と粘着シートが設けられている。
【0050】
一対の回動規制部材51、52は、円筒材20に第1の円板体30を係合させて軸線方向への移動が規制された状態にした後に、粘着シートを介して、円板体30の表面30bにそれぞれ貼付される。貼付の際には、回動規制部材51を例に挙げると、回動規制部材51は、規制凹部51b内に、表面30bに接触した腕部21cを圧入させた状態で、円板体30の表面30bに止着される。このとき、腕部21cの外側面が規制凹部51bの内側面に接触し、腕部21cと規制凹部51bが互いに嵌合した状態となる。回動規制部材52についても同様に表面30bに貼付される。これによって、円板体30に対して円筒材20が反時計回りの周方向C2に沿って回動しようとしても、腕部21cが回動規制部材51によって円板体30に固定されているため、円筒材20と円板体30との相対回動が規制される。また、第2の円板体40についても、第1の円板体30に対する場合と同様に、一対の回動規制部材61、62が一対の腕部23c、24cに取着されるとともに円板体40に止着され、円筒材20と円板体40との相対回動が規制される。
【0051】
<ボビンの製造方法>
(1)円筒材20の原材料としての円筒材料70(
図5参照)の製造工程
円筒材料70は一般的な紙管と同様に製造され、例えば、原紙のリボン加工、製筒化、荒切、巻加工を経て、仕上げ口金を用いた仕上げ加工の後に、乾燥工程を行って、円筒形状の外形を有する紙管として完成する。
【0052】
(2)円板体30、40の原材料としての円板材料90(
図6参照)の製造工程
円板材料90は、板状の原材料を形成し、この原材料を円形の型で抜くことによって製造する。
【0053】
(3)回動規制部材51、52、61、62の製造工程
回動規制部材51、52、61、62は、板状の原材料を、規制凹部を有する回動規制部材に対応した形状を有する型で抜くことによって外形形状が形成される。さらに、円板体30、40に接触させる面に粘着シートを貼付する。
【0054】
(4)円筒材20における延出部と腕部の製造工程
この製造工程においては
図5に示す第1の抜き型80を用いる。
図5は、円筒材20の原材料としての円筒材料70に対して第1の抜き型80によって抜き加工を行う状態を示す斜視図である。
【0055】
第1の抜き型80は、中央刃81aと、中央刃81aの左右の下部からそれぞれ延びる一対の側方刃81b、81cと、を備える。
図5に示すように、円筒材20の原材料としての円筒材料70の軸線方向(中心軸AXの方向)の端部に対して、径方向Dの外側から第1の抜き型80を押し当て、中心軸AX側へ向けて移動させると、第1の抜き型80に対応した形状の対象部位73が切除される。これにより、周方向Cに並ぶ2つの延出部71a、72aの間における側壁が切除されるとともに、上記延出部71a、72aの間で隣り合う腕部71c、72bの形状が画成される。この工程を、中心軸AXに関して反対側から行うと、上記側壁と対向する位置で、上記延出部71a、72aの間における側壁が切除され、延出部71a、72aの間で隣り合う、別の腕部71b、72cが形成される。
【0056】
第1の抜き型80を用いた工程を、円筒材料70の軸線方向の他方の端部についても行い、径方向Dの互いに反対の方向から2回の押し当て・切除工程を実施することによって、円筒材20の軸線方向の両端部に、延出部と一対の腕部が二組ずつ形成される。
【0057】
(5)円板体30、40における係合孔部31、32、41、42の製造工程
この製造工程においては
図6に示す第2の抜き型100を用いる。
図6は、円板体30、40の原材料としての円板材料90に対して第2の抜き型100によって抜き加工を行う状態を示す斜視図である。
【0058】
第2の抜き型100は、円板状の基材表面から軸線方向に沿って延びるように設けられた、一対の周辺刃101、102、基材中央の第1円筒刃103、及び、第1円筒刃103の外側の第2円筒刃104を備える。一対の周辺刃101、102は、係合孔部に対応した外形形状を備え、互いに対向するように、外周に沿って配置されている。第1円筒刃103と第2円筒刃104は、軸穴33とケレ穴34に対応した形状・位置で設けられている。円板体30、40の原材料である円板材料90に対して、その軸線方向(中心軸AXの方向)に沿って第2の抜き型100を押し当て軸線方向に移動させることによって、円板材料90に、一対の係合孔部91、92、軸穴93、及び、ケレ穴94が形成される。
【0059】
(6)円筒材20に対する円板体30、40の係合工程
円筒材20の両端面に設けた延出部(延出部21a、22a、23a,24a)及び腕部(腕部21b、21c、22b、22c、23b、23c、24b、24c)を、一対の円板体30、40において対応する係合孔部(係合孔部31、32、41、42)にそれぞれ挿通させ、さらに、円筒材20と円板体30、40とをそれぞれ相対回動させることで、円板体30、40から外側へ突出した腕部のうち、時計回りの周方向C1で下流側の腕部(腕部21b、22b、23b、24b)が円板体30、40の外面に対向接触し、上流側の腕部(腕部21c、22c、23c、24c)は広幅部(広幅部31a、32a、41a、42a)にそれぞれ対向する。下流側の腕部(腕部21b、22b、23b、24b)が円板体30、40の外面にそれぞれ対向接触することによって、円筒材20と円板体30、40とは係合状態となる。
【0060】
(7)回動規制部材51、52、61、62の止着工程
円筒材20に対して円板体30、40が係合された状態において、円板体30、40から外側へ突出し、広幅部(広幅部31a、32a、41a、42a)にそれぞれ対向する腕部(腕部21c、22c、23c、24c)を、回動規制部材51、52、61、62の規制凹部にそれぞれ嵌入させつつ、円板体30、40の表面に貼付することにより、回動規制部材51、52、61、62は、円板体30、40の外面にそれぞれ止着される。
【0061】
以下、変形例について説明する。
上記実施形態では、延出部の周方向の両端から腕部を延ばす構成としていたため、円板体の表裏を入れ替えるだけで、線状材料Sの巻き取り方向に合わせて狭幅部を配置することができる。これに対して、回動規制部材を嵌合させる側については腕部を設けず、延出部の端部に回動規制部材を嵌合させる構成も可能である。
【0062】
上記実施形態では、円板体30、40における、係合孔部、軸穴、及び、ケレ穴の形成は、原材料としての円板材料の製造とは別の工程で行っていたが、円板材料の形成に用いる抜き型に、係合孔部、軸穴、及び、ケレ穴に対応する刃を形成しておき、円板材料の製造と同時に係合孔部、軸穴、及び、ケレ穴を形成してもよい。
【0063】
上記実施形態では、線状材料Sの送り出し方向である反時計回りの周方向C2に、円筒材20が回動することを規制するように回動規制部材を止着していたが、これとは逆の方向を規制するように回動規制部材を止着してもよく、また、延出部の両側の腕部の両方に対して回動規制部材をそれぞれ嵌合して止着してもよい。
【0064】
上記実施形態では、円板体30、40に一対の係合孔部をそれぞれ設けていたが、中心軸AXに関して等角度間隔であれば、係合孔部は3つ以上ずつ設けても良い。この場合、円筒材における延出部は、係合孔部に対応する位置に同じ数だけ設けると、上記実施形態と同様の係合状態を実現することができる。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 ボビン
20 円筒材
20a 端面
21a 延出部(第1の延出部)
21b、21c 腕部
22a 延出部(第2の延出部)
22b、22c 腕部
23a 延出部(第3の延出部)
23b、23c 腕部
24a 延出部(第4の延出部)
24b、24c 腕部
30 円板体(第1の円板体)
30a 円板体の背面
30b 円板体の表面
31 係合孔部(第1の係合孔部)
32 係合孔部(第2の係合孔部)
33 軸穴
34 ケレ穴
40 円板体(第2の円板体)
41 係合孔部(第3の係合孔部)
42 係合孔部(第4の係合孔部)
31a、32a、41a、42a 広幅部
31b、32b、41b、42b 狭幅部
51、52、61、62 回動規制部材
51a、52a、61a、62a 本体部
51b 規制凹部
70 円筒材料
71a、72a 延出部
71b、71c、72b、72c 腕部
80 第1の抜き型
81a 中央刃
81b、81c 側方刃
90 円板材料
91、92 係合孔部
93 軸穴
94 ケレ穴
100 第2の抜き型
101、102 周辺刃
103 第1円筒刃
104 第2円筒刃
511、512 円弧面
513、514 平面
AX 中心軸
C 周方向
C1 時計回りの周方向
C2 反時計回りの周方向
D 径方向
S 線状材料
θ1、θ2、θ3 角度