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2023-147346異なる幅の麺線を含む麺類の製造方法及び麺線切出し・回収装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147346
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】異なる幅の麺線を含む麺類の製造方法及び麺線切出し・回収装置
(51)【国際特許分類】
   A21C 11/24 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A21C11/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054790
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】二宮 良樹
【テーマコード(参考)】
4B031
【Fターム(参考)】
4B031CA01
4B031CH04
4B031CH14
(57)【要約】
【課題】異なる幅の麺線を含む麺類において、異なる幅の麺線の本数比を容易に調整可能な麺類の製造方法及び装置を提供すること。
【解決手段】複数の環状刃及び環状溝部を有し、相互に対向し、噛み合うように並設され、回転することにより、麺帯を麺線に切断するための一対の切刃ロールと、一対の切刃ロールにより切断された麺線が押し込まれた環状溝部から前麺線を掻き出すためのカスリと、を含み、環状溝部の溝幅は、対向する切刃ロール上または/および同一の切刃ロール上で異なるものを含み、同一の切刃ロール上の環状溝部に嵌入されるカスリの掻き出し歯の歯先の位置をずらすことにより、カスリにより掻き出される麺線の位置が、同一の切刃ロール上の環状溝部で異なる麺線切り出し装置と、麺線切り出し装置によって特定のカスリにより掻き出されて切り出された不要となる麺線を麺線回収手段により回収する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の環状刃及び環状溝部を有し、相互に対向し、噛み合うように並設され、回転することにより、麺帯を麺線に切断するための一対の切刃ロールと、
前記一対の切刃ロールにより切断された前記麺線が押し込まれた前記環状溝部から前記麺線を掻き出すためのカスリと、を含み、
前記環状溝部の溝幅は、対向する前記切刃ロール上または/および同一の前記切刃ロール上で異なるものを含み、
同一の前記切刃ロール上の前記環状溝部に嵌入される前記カスリの掻き出し歯の歯先の位置をずらすことにより、前記カスリにより掻き出される前記麺線の位置が、同一の前記切刃ロール上の前記環状溝部で異なる麺線切り出し装置を用いて麺線を切り出す工程と、
前記麺線切り出し装置によって特定の前記カスリにより掻き出されて切り出された麺線を回収することにより、異なる幅に切り出された麺線の本数比を調整する工程と、を含むことを特徴とする異なる幅の麺線を含む麺類の製造方法。
【請求項2】
複数の環状刃及び環状溝部を有し、相互に対向し、噛み合うように並設され、回転することにより、麺帯を麺線に切断するための一対の切刃ロールと、
前記一対の切刃ロールにより切断された前記麺線が押し込まれた前記環状溝部から前記麺線を掻き出すためのカスリと、を含み、
前記環状溝部の溝幅は、対向する前記切刃ロール上または/および同一の前記切刃ロール上で異なるものを含み、
同一の前記切刃ロール上の前記環状溝部に嵌入される前記カスリの掻き出し歯の歯先の位置をずらすことにより、前記カスリにより掻き出される前記麺線の位置が、同一の前記切刃ロール上の前記環状溝部で異なる麺線切出し装置と、
前記麺線切り出し装置によって特定の前記カスリにより掻き出されて切り出された麺を回収する麺線回収手段と、を有することを特徴とする異なる幅の麺線を含む麺類の麺線切出し・回収装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる幅の麺線を含む麺類において、異なる幅の麺線の本数比を調整する方法及び麺線切出し・回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械による麺線の切出し方法は、切刃と呼ばれる複数の環状刃と複数の環状溝部を有し、相互に対向し、噛み合うように並設され、回転する一対のロール(切刃ロール)の間に、圧延ロールにより所定の厚みとした麺帯を通すことにより、麺帯を切断し、麺線を作製する方法が一般的である。切刃には、切り出される麺線の形状や環状刃の形状によって、角刃、丸刃、包丁刃など複数の種類が存在する。
【0003】
切刃により切断された麺線は、切断された直後、切刃ロールの環状溝部に押し込まれ、切刃ロールとともに回転するが、切刃ロールの環状溝部に挿入配置されたカスリの掻き出し歯に当たることで、環状溝部から掻き出されて、麺線として切り出される。
【0004】
即席麺や蒸麺などの麺類では、切刃により切り出された麺線は、コンベア上に積層され、麺線をα化させるために蒸煮庫に移送され、蒸気により蒸煮される。この時、麺線同士の結着を防止し、α化のための蒸気を通しやすくするため、ウェーブボックスと呼ばれる切刃ロールの直下に備えた箱型の導管に切刃により切り出された麺線を通すことにより、麺線にウェーブ(波状のちぢれ)形状を付与することが一般的である。
【0005】
しかしながら、近年、消費者のニーズの多様化により、ウェーブが少ない、略直線状のいわゆる「ストレート麺」と呼ばれる麺に対する需要も高まっており、ストレート麺を製造するための技術も多数開示されている(例えば、特許文献1~5)。
【0006】
特許文献1には、即席麺におけるストレート麺の作製技術として、麺生地から切り出された麺線が、麺線を搬送するコンベア上で、繰り返し輪を描きながら、輪はコンベアの搬送方向と逆方向に順次ずれながら配置され、麺線の描く軌道は、隣り合う麺線同士と同調せず、各麺線は、麺線中の輪の位置が隣り合う麺線の輪の位置とずれた状態で、相互に交差して重なりあった積層状態である束になった即席麺用生麺に関する技術が記載されている。
【0007】
また、特許文献2~5には、特許文献1に記載された束になった即席麺用生麺を作製するための切出し装置に関する技術が記載されている。何れの技術も同一の切刃ロールで切り出される隣同士の麺線の位置をずらすことにより、麺線同士の結着を防止する技術である。これらの技術は、同一切刃ロール上の異なる位置において麺線を切出す技術が開示されているものの、異なる幅の麺線を切出す技術や異なる幅の麺線の本数比を調整する方法については開示されていない。
【0008】
また、異なる幅の麺線を含む麺類の作製方法として特許文献6~7の文献が知られている。何れも切刃ロール上に異なる麺幅となるような環状溝部を有する切刃であるが、麺線の本数比については、切刃ロールによって決まるため、麺線本数比を変更するには、切り刃ロールを都度作製する必要があり、自由に麺線本数を変更することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4381470号公報
【特許文献2】特許第4491050号公報
【特許文献3】特許第4438018号公報
【特許文献4】特許第4951012号公報
【特許文献5】特許第5344490号公報
【特許文献6】特開昭62-158442号公報
【特許文献7】実開昭56-72692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、異なる幅の麺線を含む麺類において、異なる幅の麺線の本数比を容易に調整することが可能な異なる幅の麺線を含む麺類の製造方法及び麺線切出し・回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は、人が切断したような異なる幅の麺線を含むような麺類を機械的に製造する方法を検討したが、異なる幅の麺線の本数比の違いにより、見た目や食感が異なるため、麺線の本数比を変更することを考えた。しかしながら、従来法では、異なる幅の麺線の本数比を変更するごとに都度切刃ロールを設計する必要があった。そこで、異なる幅の麺線の本数比を簡便に変更できる方法を鋭意研究した結果、本発明に至った。
【0012】
すなわち、複数の環状刃及び環状溝部を有し、相互に対向し、噛み合うように並設され、回転することにより、麺帯を麺線に切断するための一対の切刃ロールと、前記一対の切刃ロールにより切断された前記麺線が押し込まれた前記環状溝部から前記麺線を掻き出すためのカスリと、を含み、前記環状溝部の溝幅は、対向する前記切刃ロール上または/および同一の前記切刃ロール上で異なるものを含み、同一の前記切刃ロール上の前記環状溝部に嵌入される前記カスリの掻き出し歯の歯先の位置をずらすことにより、前記カスリにより掻き出される前記麺線の位置が、同一の前記切刃ロール上の前記環状溝部で異なる麺線切り出し装置を用いて麺線を切り出す工程と、前記麺線切り出し装置によって特定の前記カスリにより掻き出されて切り出された麺線を回収することにより、異なる幅に切り出された麺線の本数比を調整する工程と、を含むことを特徴とする異なる幅の麺線を含む麺類の製造方法である。
【0013】
また、複数の環状刃及び環状溝部を有し、相互に対向し、噛み合うように並設され、回転することにより、麺帯を麺線に切断するための一対の切刃ロールと、前記一対の切刃ロールにより切断された前記麺線が押し込まれた前記環状溝部から前記麺線を掻き出すためのカスリと、を含み、前記環状溝部の溝幅は、対向する前記切刃ロール上または/および同一の前記切刃ロール上で異なるものを含み、同一の前記切刃ロール上の前記環状溝部に嵌入される前記カスリの掻き出し歯の歯先の位置をずらすことにより、前記カスリにより掻き出される前記麺線の位置が、同一の前記切刃ロール上の前記環状溝部で異なる麺線切出し装置と、前記麺線切り出し装置によって特定の前記カスリにより掻き出されて切り出された麺を回収する麺線回収手段と、を有することを特徴とする異なる幅の麺線を含む麺類の麺線切出し・回収装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、異なる幅の麺線を含む麺類において、異なる幅の麺線の本数比を容易に調整することが可能な異なる幅の麺線を含む麺類の製造方法及び麺線切出し・回収装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る麺線切出し装置Aの上面図である。
図2】本発明に係る麺線切出し装置Aの下面図である。
図3】本発明に係る麺線切出し装置Aを切刃ロール21側の側面から見た側面図である。
図4】本発明に係る麺線切出し装置Aの横から透視した状態の説明図である。
図5】本発明に係る麺線切出し装置Aの切刃ロール21及び22の拡大図である。
図6】本発明に係る麺線切出し装置の切り刃ロールの変形例の拡大図である。
図7】本発明に係る麺線切出し装置の切り刃ロールの変形例の拡大図である。
図8】本発明に係る麺線切出し装置の切り刃ロールの変形例の拡大図である。
図9】本発明に係る麺線切出し装置の切り刃ロールの変形例の拡大図である。
図10】本発明に係る麺線切出し装置Aのカスリ31の拡大図である。
図11】本発明に係る麺線切出し装置のカスリの変形例の拡大図である。
図12】本発明に係る麺線切出し・回収装置Dの横から透視した状態の説明図である。
図13】本発明に係る麺線切出し装置Bの横から透視した状態の説明図である。
図14】本発明に係る麺線切出し・回収装置Eの横から透視した状態の説明図である。
図15】本発明に係る麺線切出し装置Cの横から透視した状態の説明図である。
図16】本発明に係る麺線切出し・回収装置Fの横から透視した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
【0017】
本発明に係る麺の種類としては、特に限定はなく、うどん、そば、中華麺またはパスタなどの麺が挙げられる。また、本発明に係る麺類としては、特に限定はなく、生麺、茹で麺、蒸麺、乾麺、半乾麺、即席麺または冷凍麺が挙げられる。
【0018】
本発明に係る麺類の製造方法としては、まず、小麦粉(デュラム粉を含む)、そば粉、大麦粉及び米粉等の穀粉、並びに馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉及びコーンスターチ等の各種澱粉からなる麺原料粉と、食塩やアルカリ剤、リン酸塩類、各種増粘剤、麺質改良剤、食用油脂、pH調整剤、カロチン色素等の各種色素及び保存料等を溶解または懸濁した練り水とをバッチミキサー、フロージェットミキサー、真空ミキサー等で、均一に混ざるように混捏して麺生地(ドウ)を作製する。
【0019】
次いで、作製したドウを麺帯化する。麺帯化の方法は、特に限定はなく、整形ロールにより粗麺帯とした後、複合等により麺帯を作製する方法や、エクストルーダーにより麺帯を作製する方法、さらに複数の麺帯を合わせて多層麺帯を作製する方法が挙げられる。作製した麺帯は、圧延ロールにより複数回圧延し、所定の麺帯厚とした後、下記に記載する本発明に係る麺線切出し搬送装置により麺帯を麺線に切出す。
【0020】
─麺線切出し装置─
本発明に係る麺線切出し装置としては、複数の環状刃及び環状溝部を有し、相互に対向し、噛み合うように並設され、回転することにより、麺帯を麺線に切断するための一対の切刃ロールと、一対の切刃ロールにより切断された麺線が押し込まれた環状溝部から麺線を掻き出すためのカスリと、を含み、溝幅が異なる環状溝部を対向する切刃ロール上または/および同一の切刃ロール上に有し、同一の切刃ロール上の環状溝部に嵌入されるカスリの掻き出し歯の歯先の位置をずらすことにより、カスリにより掻き出される麺線の位置が、同一の切刃ロール上の環状溝部で異なる麺線切り出し装置であり、具体的には、特許文献2~5に記載された麺線切出し装置を応用することにより作製することができる。なお、本発明及び本発明に係る麺線切出し装置については、図1~4で示す本発明に係る麺線切出し装置の実施例である麺線切出し装置Aを中心として説明する。
【0021】
本発明の実施形態である麺線切出し装置Aは、図1~4で示すように、複数の環状刃(211及び221)及び環状溝部(212及び222)を有し、相互に対向し、噛み合うように並設され、回転することにより、麺帯から麺線を切り出すための一対の切刃ロール(21及び22)と、一対の切刃ロール(21及び22)により切り出された麺線が押し込まれた環状溝部(212及び222)から麺線を掻き出すためのカスリ(31~34)を備える。一対の切刃ロール(21及び22)は筐体1に回転可能な形で固定されており、同じくカスリ(31~34)もそれぞれの掻き出し歯(311、321、331、341)が、歯先(312、322、332、342)の位置がずれるように切刃ロール(21または22)の環状溝部(212または222)に嵌入され、筐体1に固定されている。
【0022】
(切刃ロール)
図5は、麺線切出し装置Aの切刃ロール(21及び22)の一部を拡大した図であるが、図5で示すように、切刃ロール(21及び22)は、ロール上に複数の環状刃(211及び221)、環状溝部(212及び222)を有し、反対側の切刃ロール上にある対向する環状刃同士(211と221)が噛み合うように並設されており、回転する切刃ロール(21及び22)間を麺帯が通過することにより、麺帯が切断され、麺線(n1及びn2)となる。このとき、麺線切出し装置Aの切刃ロール(21及び22)は、同一切刃ロール上の環状溝部の幅(W1またはW2)が同一で、対向する切刃ロール上の環状溝部の幅(W1とW2)が異なるよう環状刃(211及び221)が噛み合うように設計されており、切り出された麺線の幅は対向する切刃ロール上の麺線(n1とn2)で異なる。
【0023】
図5は、角刃と呼ばれる切刃ロールの構造であるが、本発明に係る麺線切出し装置の一対の切刃ロールは、特許文献3及び4で示すような丸刃と呼ばれる構造であってもよい。図5で示すように角刃で切断した場合は、麺線の長手方向に対して垂直に切断した断面は、、略四角形となる。それに対し、丸刃で切断した場合には、麺線の長手方向に対して垂直に切断した断面は、略楕円形となる。この他、図では示さないが切刃ロールは包丁刃などの構造であってもよい。
【0024】
また、図6で示すように、本発明に係る麺線切出し装置の一対の切刃ロールは、特許文献2に記載されたような2段階以上の環状溝部(212aと212b及び222aと222b)の深さを交互又は順次に配列することもできる。
【0025】
また、図7で示すように、本発明に係る麺線切出し装置の一対の切刃ロールは、同一の切刃ロール(21及び22)上の環状溝部の幅(W1aとW1bまたはW2aとW2b)が交互に異なるように環状刃(211a及び211b並びに221a及び221b)が噛み合うよう設計することにより、麺帯を切断した際に同一切刃ロール(21または22)上の麺線(n1aとn1bまたはn2aとn2b)の幅が異なるものとすることができる。
【0026】
また、図8で示すように、本発明に係る麺線切出し装置の一対の切刃ロールは、同一の切刃ロール(21及び22)上の環状溝部(W1aとW1bまたはW2aとW2b)の幅が交互ではなく、固まって異なるように環状刃(211a及び211b並びに221a及び221b)が噛み合うよう設計することにより、麺帯を切断した際に同一切刃ロール(21及び22)上の麺線(n1aとn1b及びn2aとn2b)の麺幅が異なるようなものとすることができる。
【0027】
また、図9で示すように、本発明に係る麺線切出し装置の一対の切刃ロールは、同一の切刃ロール(21及び22)上の環状溝部(W1a、W1b及びW1c並びにW2a、W2b及びW2c)の幅が3つ以上異なるように環状刃(211a、211b及び211c並びに221a、221b及び221c)が噛み合うよう設計することにより、麺帯を切断した際に同一切刃ロール(21及び22)上の麺線(n1a、n1b及びn1c並びにn2a、n2b及びn2c)の麺幅が異なるようなものとすることができる。
【0028】
(カスリ)
図1~4で示すように、本発明に係る麺線切出し装置Aは4つのカスリ(31~34)を有する。図10は、第一カスリ31を拡大した図であり、環状溝部212に嵌入されるように設計された掻き出し歯311を有する。また、図1~4に示された環状溝部212に嵌入されるように設計された掻き出し歯311を有する第三カスリ、環状溝部222に嵌入されるように設計された掻き出し歯321または341を有する第二カスリまたは第四カスリも同様な構造である。
【0029】
図2は第一カスリ31と第二カスリ32を麺線切出し装置Aに設置した状態を示しているが、第一カスリ31は、掻き出し歯311が切刃ロール21の環状溝部212に3つ嵌入された後、一つ開けてまた3つ嵌入されるように筐体1に固定され設置されており、第二カスリ32は、掻き出し歯321が切刃ロール22の環状溝部222に2つ嵌入された後、1つ開けてまた2つ嵌入されるように筐体1に固定され設置されている。したがって、一対の切り出しロール(21及び22)で切り出された麺線(n1及びn2)は、第一カスリ31により環状溝部212に押し込まれた麺線n1の4本中3本が環状溝部212から掻き出されることになる。また、第二カスリ32により、環状溝部222に押し込まれた麺線n2の3本中2本が環状溝部222から掻き出されることになる。第一カスリ31と第二カスリ32により掻き出される麺線の本数比は3:2に調整される。カスリの掻き出し歯の比を調整することにより、容易に切り出される麺線の本数比を変更することができ、幅の異なる麺線の本数比を調整することができる。
【0030】
図1は、第三カスリ33と第四カスリ34を麺線切出し装置Aに設置した状態を示しているが、第三カスリ33は、第一カスリ31の掻き出し歯311が嵌入していない切刃ロール21の環状溝部212に掻き出し歯331が嵌入されるように筐体1に固定され設置されており、第四カスリ34は、第二カスリ32の掻き出し歯321が嵌入していない切刃ロール22の環状溝部222に掻き出し歯341が嵌入されるように筐体1に固定され設置されている。したがって、一対の切り出しロール(21及び22)で切り出された麺線の第一カスリ及び第二カスリで掻き出されていない麺線は、第三カスリ33または第四カスリ34により環状溝部(212または222)から掻き出されることになる。
【0031】
カスリの材質は特に限定はないが、切刃ロールよりも柔らかい金属、例えば、切刃ロールがステンレス製であれば、真鍮や銅などの金属などで作製することが好ましい。ステンレス製のカスリを用いる場合は切刃ロールに直接接触しないような非接触カスリを使用することが好ましい。
【0032】
また、本発明においては、カスリの掻き出し歯によって掻き出される位置が異なればよく、カスリについては、図11で示すように同一カスリにおいて掻き出し歯の角度をかえることにより、カスリの掻き出し歯の歯先の位置をずらすこともできる。
【0033】
(麺線切出し・回収方法及び麺線切出し・回収装置)
図12は、本発明に係る麺線切出し・回収装置Dを示した図であるが、本発明に係る麺線切出し・回収装置Dは、麺線切出し装置Aと麺線回収手段として回収コンベア4を有する。本発明の麺線切出し・回収装置を用いることにより、本発明に係る麺線切出し装置Aによって麺帯Mが切断され、第一カスリ31で掻き出された麺線N1と第二カスリで掻き出された麺線N2を使用し、第三カスリで掻き出された麺線N3及び第四カスリで掻き出された麺線N4を回収コンベア4に載せて麺線回収して再度、麺生地として使用することで、麺幅の異なる麺線の本数比が3:2に調整された麺を製造することができる。他の比率に変える場合は、第一1カスリ及び第二カスリの掻き出し歯の比を調整したカスリを用い、第三カスリと第四カスリを第一カスリ及び第二カスリの掻き出し歯が嵌入していない環状溝部に嵌入させることにより、麺線幅の異なる麺線(n1:n2)の本数比を容易に変更することができる。
【0034】
また、図12では、第三カスリ及び第四カスリで掻き出された麺線を回収コンベア4で回収し、幅の異なる麺線の本数比を調整しているが、第三カスリで掻き出された麺線N3だけ、第四カスリで掻き出された麺線N4だけを回収してもよく、逆に第一カスリ及び第二カスリで掻き出された麺線(N1及びN2)を回収し、第三カスリ及び第四カスリで掻き出された麺線(N3及びN4)を使用してもよい。
【0035】
また、特許文献1に記載されたような即席麺用の生麺のようにコンベア上に積層し、麺線を蒸煮する場合には、図5のような切刃ロール(21及び22)を図6のように溝の深さの異なる環状溝部(212aと212b及び222aと222b)を有する切刃ロール(21及び22)とし、第一カスリ及び第二カスリまたは第三カスリ及び第四カスリを図11のようなカスリとした図13図15で示すような、麺線切出し装置Bまたは麺線切出し装置Cと麺線回収コンベア4を有する図14図16で示すような、麺線切出し・回収装置E(切り出し装置B及び回収コンベア4)または麺線切出し・回収装置F(切り出し装置C及び回収コンベア4)を用いることにより、同一切刃ロールの隣同士の環状溝部から切り出される麺線(N1とN3及びN2とN4)の位置をずらしながら同調しないように繰り返し輪を描くように搬送コンベア5上に積層させ、本数調整で不要とされる一番後方で切り出される麺線(N5及びN6)を回収コンベア4で回収するにより、異なる幅の麺線の本数比を調整することもできる。
【0036】
(回収手段)
本発明に係る麺線回収手段として回収コンベア4が挙げられるが、回収手段はこれに限られず、一定量容器に麺線を回収してから、麺生地と混合して麺帯として使用してもよい。
【0037】
(その他)
切り出された麺線は、適当な麺線長で切断し、そのまま生麺としてもよく、乾燥した後、切断し乾麺、半乾麺としてもよく、生麺をさらに茹で処理して茹で麺としたり、茹で麺を凍結して冷凍麺としてもよい。生麺線をコンベア上に隣同士の麺線が同調しないように繰り返し輪を描きながら積層した場合は、麺線を蒸煮し、蒸麺とするか、蒸麺をさらに乾燥し、フライ麺やノンフライ麺などの即席麺とすることもできる。
【0038】
以上のように、複数の環状刃及び環状溝部を有し、相互に対向し、噛み合うように並設され、回転することにより、麺帯を麺線に切断するための一対の切刃ロールと、一対の切刃ロールにより切断された麺線が押し込まれた環状溝部から前麺線を掻き出すためのカスリと、を含み、環状溝部の溝幅は、対向する切刃ロール上または同一の切刃ロール上で異なるものを含み、同一の切刃ロール上の環状溝部に嵌入されるカスリの掻き出し歯の歯先の位置をずらすことによって、カスリにより掻き出される麺線の位置が同一の切刃ロール上の環状溝部で異なる麺線切り出し装置と、麺線切り出し装置によって特定のカスリにより掻き出されて切り出された麺線を回収する麺線回収手段とを有する麺線切出し・回収装置を用いることにより、切刃を都度設計変更しなくてもカスリを調整するだけで、異なる幅の麺線の本数比が調整された異なる幅の麺線を含む麺類を製造することができる。
【符号の説明】
【0039】
A 麺線切出し装置(実施例)
B 麺線切出し装置(変形例)
C 麺線切出し装置(変形例)
D 麺線切出し・回収装置(実施例)
E 麺線切出し・回収装置(変形例)
F 麺線切出し・回収装置(変形例)
M 麺帯
n1 麺線(環状溝部212に押し込まれた麺線 (幅が広い順にa、b、c))
n2 麺線(環状溝部221に押し込まれた麺線幅が広い順にa、b、c))
N1、N3、N5(切刃ロール21から切り出される麺線(早い順に1、3、5))
N2、N4、N6(切刃ロール22から切り出される麺線(早い順に2、4、6))
W1 溝幅(環状溝部212の幅 (幅が広い順にa、b、c))
W2 溝幅(環状溝部222の幅 (幅が広い順にa、b、c))
1 筐体
21 第一切刃ロール
211 環状刃
212 環状溝部
22 第二切刃ロール(第一切刃ロールの反対側)
221 環状刃
222 環状溝部
31 第一カスリ
311 掻き出し歯
312 歯先
313 留め具
32 第二カスリ
321 掻き出し歯
322 歯先
323 留め具
33 第三カスリ
331 掻き出し歯
332 歯先
333 留め具
34 第四カスリ
341 掻き出し歯
342 歯先
343 留め具
4 回収コンベア
5 搬送コンベア
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図16