(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147360
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/067 20120101AFI20231005BHJP
B65B 31/04 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
B65B9/067
B65B31/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054806
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】牧野 正俊
(72)【発明者】
【氏名】内山 雄介
【テーマコード(参考)】
3E050
3E053
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB08
3E050BA04
3E050CA01
3E050CB01
3E050DB02
3E050DD03
3E050DE01
3E050DF03
3E050DH10
3E050FA02
3E050GB06
3E050HA04
3E050HB01
3E050HB09
3E053AA06
3E053AA09
3E053DA07
3E053FA01
3E053GA07
3E053JA10
(57)【要約】
【課題】 物品供給手段からクランプ装置に被包装品を受け渡す際の被包装品の位置ずれを防止する包装機を提供する。
【解決手段】 包装機1は、帯状包装材YA2を供給する包装材供給手段3と、帯状包装材YA2を筒状包装材YA2´に成形する製袋器14と、被包装品XA2を搬送し、筒状包装材YA2´内に供給する物品供給手段と、筒状包装材YA2´内に収容された被包装品XA2の少なくとも搬送方向の上流側において筒状包装材YA2´を挟持するクランプ手段50と、物品供給手段2とクランプ手段50の間における筒状包装材YA2´内に気体を吐出する吐出手段100と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状包装材を供給する包装材供給手段と、
前記帯状包装材を筒状包装材に成形する製袋器と、
被包装品の搬送方向における前後を支持部材によって挟んで搬送し、前記筒状包装材内に供給する物品供給手段と、
前記筒状包装材内に収容された前記被包装品の少なくとも搬送方向における上流側及び下流側において該筒状包装材を挟持するクランプ手段と、
前記被包装品の下流側端部が前記物品供給手段の前記支持部材から前記クランプ手段に受け渡されるまでの間において前記筒状包装材内に気体を吐出する吐出手段と、
を備える包装機。
【請求項2】
前記吐出手段は、前記被包装品の搬送方向の下流側から上流側に向けて前記気体を吐出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の包装機。
【請求項3】
前記被包装品は、物品を複数積層した集積品である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装機。
【請求項4】
前記気体は、外気より湿度が低い気体である、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製袋器により形成した筒状体内に複数の品物を駒立て状(起立状態)にて挿入し、品物の前後の包装材を左右から挟縮しつつシールカットする自動包装装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の自動包装装置では、搬送幅方向の両側に配置される筒状体挟持部材を互いに近接するように移動させて品物の前後における空間部を挟み、包装材と同速度で前進可能な、筒状体挟持移送装置(クランプ装置)を有している。当該自動包装装置は、搬送される複数の品物の前後を品物抑え爪で挟持しつつ、筒状体挟持部材を搬送幅方向において近接させて品物の前後における空間部を挟む構成である。複数の品物は、加熱シールローラの寸前まで品物抑え爪による支持と、筒状体挟持部材による支持とが並行して機能し、その転倒が阻止される。
【0003】
また、押送(支持)部材によって支持される物品の有無(欠落)を検知し、当該物品が存在しない場合における運転モードを複数有する包装機も知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の包装機は、物品の欠落を検知した場合でも包装機本体を停止しない運転モードと、物品の欠落を検知した場合には包装機本体を停止して空袋を製造しないようにする運転モードを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭53-32857号公報
【特許文献2】特許第6655502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、クランプ装置は様々な構成があり、筒状体挟持部(クランプ部材)による筒状体の挟持方法によっては、品物抑え爪(フィンガー)による支持から筒状体挟持部による挟持に受け渡す間に、被包装品の位置ずれが生じる場合がある。
【0006】
また、特に、特許文献2に記載の包装機のように、被包装品の欠落を検知した場合に包装機本体を停止する運転モードを有する包装機において、物品供給装置(フィンガーなどにより被包装品を搬送する装置)からクランプ装置に受け渡す構成とした場合、受け渡しの際に位置ずれが生じる可能性が増える。具体的には、包装機本体を停止する場合、クランプ部材は被包装品毎に所定の位置で停止し、包装機本体の動作再開を待機する。当該所定の位置は、フィンガーと干渉しない位置(フィンガーの退避位置から離間した位置)である。このため、停止解除(運転再開)後に最初に搬送される(先頭の)被包装品を支持しているフィンガーが退避してしまうと、当該被包装品をクランプ部材によって支持できない期間が生じる。その結果、当該被包装品をクランプ装置に受け渡す際に、被包装品の位置ずれ(特に被包装品が集積品の場合には荷崩れ)が生じ、後の横シール(トップシール)工程において被包装品の噛み込みを引き起こす問題となる。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、物品供給手段からクランプ装置に被包装品を受け渡す際の被包装品の位置ずれを防止する包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、帯状包装材を供給する包装材供給手段と、前記帯状包装材を筒状包装材に成形する製袋器と、被包装品を搬送し、前記筒状包装材内に供給する物品供給手段と、前記筒状包装材内に収容された前記被包装品の少なくとも搬送方向の上流側において該筒状包装材を挟持するクランプ手段と、前記物品供給手段と前記クランプ手段の間における前記筒状包装材内に気体を吐出する吐出手段と、を備える包装機に係るものである。
【0009】
本発明によれば、物品供給手段からクランプ装置に被包装品を受け渡す際の被包装品の位置ずれを防止する包装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る包装機の全体構成を示す概略正面図である。
【
図2】本発明に係る包装体(二次包装体)を示す図であり(A)正面図、(B)平面図である。
【
図3】本発明に係る包装機の位置ずれ防止機構の近傍を抜き出して示す概略正面図である。
【
図4】本発明に係る包装機の位置ずれ防止機構の近傍を抜き出して示す概略側面図である。
【
図5】本発明に係る包装機の位置ずれ防止機構の近傍を抜き出して示す概略正面図である。
【
図6】本発明に係る包装機の変形例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る包装機1について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の包装機1の概略を示す正面図である。
図2は、包装機1によって包装された包装体ZA2の外観を示す図であり、
図2(A)が
図1に対応する正面図、同図(B)が上面(平面)図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚み、位置などを適宜誇張して表現する。
【0012】
<包装機全体構成>
図1に示す包装機1は、一例として、被包装品XA2が順次供給されることに合わせて、包装材YA2が連続して供給されて筒状に製袋され、所定ピッチ毎に包装材YA2の幅方向にシールとカットとが行われる、いわゆる横型製袋充填機(ピロー包装機)である。
【0013】
包装機1は、連続して供給される包装材YA2を利用して、前工程から順次供給される被包装品XA2を上流から下流に向けて搬送しながら包装する。本実施形態における包装材YA2は例えば、樹脂フィルムであるが、これに限らず、紙材等であってもよい。
図1では、原反ロールYB1に近い側を上流とし、遠い側を下流とする。
【0014】
包装機1は、物品供給手段(物品供給装置)2と、包装材供給手段(包装材供給装置)3と、包装機本体4と、クランプ手段(クランプ装置)50と、吐出手段100と、制御ユニット(図示省略)などを備え、被包装品XA2を搬送し、包装するものである。なお、本実施形態では包装機1における各種方向の定義として、帯状の包装材YA2の長手方向となる第一方向を搬送方向Tとし、長手方向に直交する包装材YA2の幅方向となる第二方向を搬送幅方向Wとし、搬送方向T及び搬送幅方向Wに対して直角となる方向となる第三方向を搬送高さ方向Hとする。
【0015】
これら包装機1の各部は、制御ユニットによって統括的に制御される。制御ユニットは、CPU、RAM、及びROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0016】
図2を参照して、本実施形態の被包装品XA2は、例えば、物品XA1を予め個々に包装してなる一次包装体ZA1を複数、集積したものである。この例では、
図1に示す包装機1は、包装材YA1によって包装された物品XA1(一次包装体ZA1)を搬送高さ方向Hに複数段(例えば3段)に積層したものをさらに搬送方向Tに複数行(例えば、4~5行)纏めて包装し、一の包装体(二次包装体ZA2)とする。つまり、本実施形態の被包装品XA2は、複数段×複数行の一次包装体ZA1の集積品である。集積品(複数の物品XA1)は、例えばトレーや箱などに載置・収容されることなく、あるいは仕切り部材などで支持されることなく、包装材YA2内に直接、段積み状態で収容される。
【0017】
再び
図1を参照して、物品供給装置2は、複数(例えば3段×5行)の物品XA1(一時包装体ZA1)を一纏まりとする被包装品(以下、集積品)XA2を等間隔で搬送すると共に、当該集積品XA2を下流の包装機本体4に順次搬送する。この物品供給装置2は、例えば、搬送面25と、集積品XA2を搬送方向Tの前後から挟んで支持するとともに該搬送方向Tに押送する支持手段(押送手段、例えば、フィンガー)22を備えるフィンガーコンベアである。フィンガーコンベア2は例えば、ここでは図示を省略する複数のスプロケット(駆動用のスプロケット、従動用のスプロケット)と、これらにかけ回される環状のチェーン(またはベルト)202を有する。駆動用のスプロケットは、サーボモーターの駆動によって回転し、これによりチェーン202は循環するように走行する。従動用のスプロケットは、チェーン202の走行によって、駆動用のスプロケットに連動して回転する。複数のフィンガー22は、搬送面25に設けたスリット(ここでは不図示)を介して搬送面25の下方から上方に突出する。これら複数のフィンガー22の一部は、チェーン202の走行によって、搬送面25上を走行し、搬送面25上の複数の一次包装体ZA1を一纏まりにした集積品XA2を押送し、包装機本体4に送り出す。この例のフィンガー22は、製袋器14内部まで進入するが、後述するクランプ装置50の上流において集積品XA2の搬送経路(搬送面25)から退避する。具体的にはチェーン202の走行に伴い、搬送面25の下方に没入するように移動する。
【0018】
包装材供給装置3は、包装材YA2を下流の包装機本体4に連続して供給する。包装材供給装置3は、原反軸8と、サーボモーター(図示省略)と、ローラ9などを備えている。原反軸8は、原反ロールYB1を回転自在に保持する。この原反軸8は、サーボモーターに動力が与えられて回転し、保持している原反ロールYB1を回転させる。これにより、原反ロールYB1から帯状の包装材(帯状包装材)YA2が繰り出される(引き伸ばされる)。ローラ9は、掛け渡された帯状包装材YA2を、その下流に設けられた製袋器14の供給口14aに導く。
【0019】
なお、原反ロールYB1から帯状包装材YA2を繰り出す方法として、上述のような原反駆動式の方法を採用する代わりに、フィードローラを別途設け、当該フィードローラを動かして帯状包装材YA2を引き出すフィードローラ駆動式の方法を採用してもよい。また、原反駆動式とフィードローラ駆動式の両方の方法を採用してもよい。
【0020】
包装機本体4は、物品供給装置2から供給される集積品XA2を、包装材供給装置3から供給される帯状包装材YA2を筒状に成形しつつ包装する。具体的に、包装機本体4は、例えば、製袋器14と、センターシール装置16と、クランプ手段(クランプ装置)50と、第一の搬送装置17と、トップシール装置(エンドシール装置)30と、第二の搬送装置20などを備えている。
【0021】
製袋器14は、包装材供給装置3から供給される帯状包装材YA2を、その幅方向(搬送幅方向W)の両端縁が互いに重なるように製袋し、筒状包装材YA2´に成形する物品供給装置2は、集積品XA2をフィンガー22によって、この例では製袋器14内まで押送し、筒状包装材YA2´内に供給する。フィンガー22は製袋器14に侵入した後に、搬送面25の下方に退避する。なお、本実施形態の説明における「筒状包装材YA2´」とは、特に、筒状に製袋された包装材を製袋前の帯状の包装材と区別する場合に用いる名称及び符号であり、製袋前後の包装材を区別する必要がない場合は「包装材YA2と総称する。
【0022】
クランプ装置50は、製袋器14の下流に配置され、筒状包装材YA2´内に収容された集積品XA2の搬送方向の上流側及び下流側において筒状包装材YA2´を挟持する。クランプ装置50は、循環移動するクランプ部材(例えば、ローラ)503と搬送面25、16c、26とで筒状包装材YA2´を例えば搬送高さ方向Hの上下から挟持し、集積品XA2の上流側及び下流側において筒状包装材YA2´の上部を押し下げた(潰した)状態で集積品XA2および筒状包装材YA2´を搬送する。クランプ装置50の上流側は、フィンガー22の退避位置まで配置されている。
【0023】
本実施形態の集積品XA2は、トレーなどに載置(収容、支持)されることなく直接、筒状包装材YA2´に収容される。また、上述したように物品供給装置2のフィンガー22は、製袋器14の内部において搬送面25の下方に退避する。クランプ装置50は、物品供給装置2から受け渡される集積品XA2の上流側及び下流側において筒状包装材YA2´をクランプし、被包装品(集積品)XA2の位置ずれを防止する。なお、被包装品XA2が集積品である場合、個々の物品XA1の位置ずれは集積品の荷崩れを引き起こす。本実施形態における「位置ずれ」とは、被包装品XA2が集積品である場合には、個々の物品XA1の位置ずれによる集積品の荷崩れも含むものとする。
【0024】
吐出手段100は、例えばノズル101を有し、集積品XA2の下流側端部が物品供給装置2のフィンガー22からクランプ装置50に受け渡されるまでの間において筒状包装材YA2´内に気体(例えば、エア(空気))を吐出する。吐出手段100が突出する気体によりフィンガー22が退避した際の集積品XA2の下流側が支持される。これにより、物品供給装置2からクランプ装置50に受け渡される際の集積品XA2の位置ずれ(荷崩れ)を防止できる。クランプ装置50および吐出手段100については後に詳述する。
【0025】
センターシール装置16は、搬送面を構成する左右一対の上板16cの下方所定位置に、上流側から順に入口側ピンチローラ15,一対のバーシーラ16a,出口側ピンチローラ(プレスローラ)16bを配置した構成である。製袋器14によって重ねられた包装材YA2の両端縁は、センターシール部の形成予定領域として左右一対の上板16cの対向面間の隙間に進入し、その隙間に沿って上板16cの下方に突出した状態のまま前進移動し、入り口側ピンチローラ15によって挟みこまれ、搬送力を付与される。そして、センターシール装置16は、一対のバーシーラ16aで重合させた包装材YA2の両端縁を挟んで加熱し、プレスローラ16bで圧着してセンターシールし、センターシール部を形成する。センターシール装置16は、一対のローラ、又は複数のローラでセンターシール部を挟んで加熱する回転式のセンターシール装置でも良い。
【0026】
第一の搬送装置17は、センターシールされた筒状包装材YA2´を、当該筒状包装材YA2´に収容された集積品XA2と共に、搬送面26に載せてトップシール装置30に向けて搬送する。この第一の搬送装置17は、トップシール装置30のボックスモーションに合わせて、搬送面26を搬送方向に伸縮させる。
【0027】
トップシール装置(トップシール手段、横シール手段、エンドシール手段)30は、集積品XA2が収容された筒状包装材YA2´を所定間隔で、具体的には集積品XA2の長さに応じたカットピッチ毎に、筒状包装材YA2´の幅方向(搬送幅方向W、包装材YA2を横断する方向)にトップシール(エンドシール、横シール)し、カットする。これにより、トップシール部が形成されるとともに、集積品XA2の包装体(ピロー包装体、二次包装体)ZA2が製造される。
【0028】
トップシール装置30は、一例として、上下一対のトップシーラ30a,30bを有するいわゆるボックスモーションタイプのもので、筒状包装材YA2´を挟んで上下に配置された一対のトップシーラ30a,30bが、互いのシール面を対向させた状態を維持しながら所定の軌跡で移動する。なお、トップシール装置30は、ボックスモーション以外にも、回転式、又は直線往復動式のトップシール装置であってもよい。
【0029】
また、トップシール装置30は、必要に応じて、筒状の包装材YA2にトップシールを施す前(或いはそれと同時)に、筒状の包装材YA2のトップシールされる部位近傍の、進行方向における両側方の所定の折り込み位置を、不図示のガゼット爪にて内方に押し込んで折り込み、折り込み部を形成してもよい。
【0030】
第二の搬送装置20は、トップシール装置30より下流に設けられている。この第二の搬送装置20は、トップシール装置30で仕上がった包装体ZA2を、搬送面27に載せて次工程に向けて搬送するベルトコンベアである。
【0031】
<包装機の運転モード>
ところで、本実施形態の包装機1は、物品供給装置2から供給される(フィンガー22で支持・押送される)集積品XA2の有無を検知する物品検知センサ(不図示)を備え、集積品XA2が存在しない(集積品XA2が欠落している)場合の包装機4本体の処理として複数(例えば2種)の運転モードを有している。
【0032】
第一の運転モードは、例えば、物品供給装置2上の(フィンガー22で支持・押送される)集積XA2が存在しない(欠落)している場合であっても包装機本体4を停止しないモード(通常運転モード)である。通常運転モードでは、集積品XA2が欠落した状態で製袋器14による製袋、トップシール装置30によるシール及びカットが行われ、結果として空袋が製造される。
【0033】
第二の運転モードは、例えば、物品供給装置2上の(フィンガー22で支持・押送される)集積XA2が存在しない(欠落)している場合には、包装機本体4を一時停止して集積品XA2の供給を待機し、集積XA2の供給を物品検知センサが検知した場合に包装機本体4の運転を再開するモード(オンデマンド運転モード)である。オンデマンド運転モードでは、例えば、物品検知センサによって被包装品(集積品)XA2が検出されなくなる度に制御ユニットが包装機本体4を停止し、物品検知センサによって被包装品XA2が検知されたら、包装機本体4の運転を再開する。換言すると、オンデマンド運転モード中は、物品検知センサによって被包装品(集積品)XA2が検知される度に、包装機本体4は一個の包装体ZA2が製造され、結果として空袋が製造されることはない。
【0034】
<位置ずれ防止機構>
図3から
図6を参照して本実施形態の包装機1における位置ずれ防止機構について説明する。
図3および
図4は、位置ずれ防止機構を説明する図であり、
図3および
図5は、クランプ装置50および吐出手段100付近を抜き出して示す正面図であり、
図4(A)は吐出手段100の上流側から視た側面図であり、
図4(B)は同
図4(A)の集積品XA2の図示を省略した側面図である。本実施形態の位置ずれ防止機構は、クランプ装置50および吐出手段100を含む。
【0035】
まず、
図3は包装機本体4が正常な運転をしている場合の一例である。同図を参照してクランプ装置50は例えば、ここでは図示を省略する複数のスプロケット(駆動用のスプロケット、従動用のスプロケット)と、これらにかけ回される環状のチェーン(またはベルト)502を有する。駆動用のスプロケットは、例えば、サーボモーターの駆動によって回転し、これによりチェーン502は循環するように走行する。従動用のスプロケットは、チェーン502の走行によって、駆動用のスプロケットに連動して回転する。
【0036】
図4に示すようにチェーン502は、搬送幅方向Wに例えば2本配置され、2本のチェーン502にはクランプ部材503が取り付けられ、チェーン502と共に循環走行する。クランプ部材503は例えば、支持軸504とこれが挿通されるローラ505である。支持軸504は搬送幅方向Wに延在し、その両端がそれぞれ2本のチェーン502に取り付けられる。ローラ505は例えば1本の支持軸504に2個設けられる。1本の支持軸504における2個のローラ505は、搬送幅方向Wにおいてフィンガー22と干渉しない位置に配置され、これにより、フィンガー22とクランプ部材503との間隔を狭めている。クランプ装置50は、物品供給装置2の搬送面25、センターシール装置16の搬送面(上板)16c、第一の搬送手段17の搬送面26の上方、および第二の搬送手段20の搬送面27の少なくとも上流側の上方に渡って配置される。
【0037】
吐出手段100は、例えばノズル101と、気体(エア)供給手段102を有する。気体供給手段102は、例えば気体が充填されたボンベ、あるいは外気を取り込んで必要に応じて貯留・圧縮等するチャンバなどを有し、所定のタイミングでノズル101を介して気体を噴出可能な手段である。この例ではノズル101は、搬送幅方向Wに2本並列配置される。吐出手段100(ノズル101)は、この例では、クランプ装置50の上流側端部の下方に配置され、ノズル101は物品供給装置2とクランプ装置50の間に気体を吐出するように構成される。ノズル101の吐出口101Aを含む一部は、搬送高さ方向Hにおいて搬送面25の下方に位置している。
【0038】
再び
図3を参照し、搬送方向Tに並ぶ複数のクランプ部材503の間隔は、一(纏まり)の集積品XA2の包装ピッチP1、および上流と下流の集積品XA2間のピッチP2に設定されている。循環するクランプ部材503は、搬送高さ方向Hにおいては集積品XA2(筒状包装材YA2´)の高さより高い位置と、集積品XA2(筒状包装材YA2´)の高さの半分よりも搬送面25、16c、26、27に近い位置との間で変位する。クランプ部材503は、クランプ装置50の上流端部(物品供給装置2の下流)において筒状包装材YA2´の上方から下降する。下降するクランプ部材503(503x)とタイミングを合わせて、物品供給装置2により搬送される先頭(最下流)の集積品XA2を支持する下流側のフィンガー22(22x)は、搬送面25の下方に退避する。つまり先頭(最下流)の集積品XA2の下流側は、下降するクランプ部材503x、およびこれにより徐々に押し下げられる簡易包装材YA2´、退避するフィンガー22によって支持される状態となる。そして、クランプ部材503は、搬送方向Tに並ぶ集積品XA2間の筒状包装材YA2´をクランプ位置C0において搬送面25との間で挟み込むように押し下げる(クランプする)。クランプ部材503により筒状包装材YA2´を押し下げた状態でも、筒状包装材YA2´を傷つけないよう、クランプ部材503と搬送面25、16c、26、27の間には若干の隙間が確保される。
【0039】
筒状包装材YA2´をクランプしたクランプ部材503は、集積品XA2(筒状包装材YA2´)の搬送速度と等速で移動する。これにより、集積品XA2は位置ずれが防止されつつ、下流に搬送される。
【0040】
ところで、既に述べたように本実施形態の包装機1は、集積品XA2の欠落があった場合の包装機本体4における処理として通常運転モードとオンデマンド運転モードを有する。
図5は、オンデマンド運転モード時のクランプ装置50付近を示す、
図3に対応する正面図である。オンデマンド運転モードでは、物品検知センサ(不図示)が集積品XA2の欠落を検知した場合、包装機本体1を停止、すなわち、クランプ装置50の駆動用のスプロケットを駆動するサーボモーターも停止する。このとき、クランプ装置50の最上流側のクランプ部材503は、フィンガー22と干渉しない下流の位置、すなわちフィンガー22の退避位置から離間した位置で待機(停止)する。なお、クランプ部材503の停止位置は、被包装品(集積品XA2)毎に定められた所定位置であるが、いずれの場合であっても、フィンガー22と干渉しない下流の位置で停止する。一方、物品供給装置2は運転を継続しており、フィンガー22は、クランプ装置50の上流において搬送面25より下方に退避する。
【0041】
この場合、包装機本体1の運転再開後、最初に搬送される(先頭、最下流の)集積品XA2については、搬送方向T前方(下流側)のフィンガー22が退避すると、当該集積品XA2をクランプ装置50に受け渡すまで(フィンガー22による支持を解除してからクランプ部材503でクランプされるまで)の期間において、当該集積品XA2の前方(下流側)がいずれによっても支持されずに(フリーの状態で)搬送され、位置ずれ(荷崩れ)が生じ、後の横シール(トップシール)工程において集積品XA2の噛み込みを引き起こす問題となる。
【0042】
そこで本実施形態では、吐出手段100によって、集積品XA2の下流側端部が物品供給装置2のフィンガー22からクランプ装置50のクランプ部材503に受け渡されるまでの間において筒状包装材YA2´内に気体(エア)を吐出し、集積品XA2の下流側における位置ずれを防止する。吐出手段100は、クランプ装置50による集積品XA2の最上流側のクランプ位置C0より上流側の筒状包装材YA2´内に気体を吐出する。より詳細に、ノズル101は例えば、搬送面25の下方から上方に向かって、さらには集積品XA2の搬送方向Tの下流側から上流側に向けて、すなわち下流側の搬送面25下方から上流側の筒状包装材YA2´内の上方に向けて(斜め上方に)気体を吐出する。この例では、ノズル101の吐出口101Aは、搬送される集積品XA2の下流側に対向するように開口している。これにより、集積品XA2の下流端部に向かって気体を噴出できる。
【0043】
吐出手段100によって吐出される気体の圧力は、例えば集積品XA2の位置ずれを防止できる程度に設定される。例えば、直接的に集積品XA2に向けて吐出することでこれらを押圧支持できる程度の吐出圧である。
【0044】
このような構成により、例えばオンデマンド運転モードにおいて、クランプ部材503がフィンガー22の退避位置から離れた位置で待機している状態で、フィンガー22による支持が解除された場合であっても、当該集積品XA2の下流側が包装材YA2を介して走行を再開したクランプ部材503によって支持されるまでの期間、吐出手段100から吐出されるエアの圧力により集積品XA2を支持することができる。この結果、当該集積品XA2の位置ずれ、ひいては荷崩れを防止できる。
【0045】
なお、通常運転モードでは、たとえ集積品XA2が欠落していた場合であっても、包装機本体1は停止せず、空袋が製造される。つまり空袋が製造される点以外は(クランプ装置50と物品供給装置2(フィンガー22)の動作のタイミングとしては)、
図3に示す通常の動作の場合と同様となる。これらの場合、物品供給装置2からクランプ装置50に集積品XA2(欠落後の最初の集積品XA2)を受け渡す際、フィンガー22による集積品XA2の支持解除と、クランプ部材503による集積品XA2の支持はタイミングを合わせて(略同時に)行われる。また、
図3に示すように、クランプ装置50の上流側は、フィンガー22の退避位置まで配置されている。
【0046】
ただし、クランプ部材503はクランプ時においても、包装材YA2を傷つけないように搬送面25との間に隙間が生じる位置にある。この隙間は、場合によっては、具体的に集積品XA2を構成する一次包装体ZA1(または物品XA1)によっては、一次包装体ZA1(または物品XA1)が通過可能な程度となっている。この場合集積品XA2の前後をクランプ部材503によって挟んで搬送中であっても荷崩れによりシール予定領域602に位置ずれする場合がある。また、集積品XA2の下流側をフィンガー22からクランプ部材503に受け渡している間は、クランプ部材503によって筒状包装材YA2'が押し下げられるため、筒状包装材YA2'を介して集積品XA2が荷崩れしやすくなっている。つまり正常動作の場合、および通常運転モードの場合のいずれであっても、吐出手段100から吐出されるエアの圧力により集積品XA2を支持する(支持を補助する)ことにより、当該集積品XA2の位置ずれ、ひいては荷崩れを防止できる。
【0047】
このように、正常運転時であっても、集積品XA2の欠落時におけるいずれの運転モードであっても、本実施形態によれば集積品XA2の位置ずれを防止し、下流のトップシール装置30におけるシール工程での被包装品XA2の噛み込み防止できる。
【0048】
なお、気体が吐出される空間(一点鎖線で示す吐出空間S)は、筒状包装材YA2´で包囲され、その下流側のクランプ位置C0と集積品XA2との間の小さい空間であり、吐出した気体が上流側や下流側に制限なく流出しにくい空間である。この吐出空間Sの気圧が、流出分を考慮しても吐出前(例えば、製袋器14の入り口付近)よりも高く(局所的に高く)維持できれば、集積品XA2の位置ずれ防止の機能は生じ得る。すなわち、気体の吐出圧力は、直接的に集積品XA2を押圧支持できる程度の吐出圧に限らず、吐出空間S内の圧力を流出分も考慮して吐出前より高い状態(局所的に高い状態)に維持できる程度の圧力であればよい。
【0049】
また、設定された吐出空間Sに対して気体を吐出するように(意図しない位置(例えば集積品XA2の通過中など)で吐出しないように)、吐出手段100による気体の吐出タイミングは適宜設定される。
【0050】
<変形例>
図6は、本実施形態の変形例を説明する図である。
図6では、説明の便宜上、クランプ装置50の上流側を、下流側に移動して(ずらして)図示しているが、物品供給装置2とクランプ装置50の位置関係は、
図3に示す構成と同様である。
図6(A)は吐出手段100の他の例を示す、
図3に対応する正面図である。この例では、ノズル101の吐出口101Aは、搬送高さ方向H(鉛直方向)の上方に向かって開口している。つまり吐出手段100は、搬送高さ方向H(鉛直方向)に気体を吐出する。この場合も吐出空間Sの気圧を、製袋器14入り口付近よりも高くできる。
【0051】
吐出空間Sの気圧は、流出分を考慮しても吐出前よりも高く(局所的に高く)維持できるように吐出圧が調整される。これにより、集積品XA2の位置ずれを防止できる。吐出タイミングについては上記と同様である。
【0052】
図6(B)は、吐出手段100に加えて、他の位置ずれ防止機構を備える例であり、
図3に対応する正面図である。他の位置ずれ防止機構として、例えば、製袋器14の上流側などに、帯電手段150を設けてもよい。
【0053】
帯電手段150は、例えば、静電気を生じさせることで、目的の物体(ここでは集積品XA2を構成する個々の一次包装体ZA1(の包装材YA1)を帯電状態にする装置(帯電装置、静電気発生装置)である。一例として、集積品XA2に対して非接触で静電気を帯電させる非接触式の帯電手段150が採用できる。帯電手段150は既知のものであるので詳細な説明および図示は省略するが、例えば、直流高電圧発生装置とチャージング用電極とを備え、直流高電圧発生装置から高電圧(プラスまたはマイナス極性)がチャージング用電極の放電針に印加されることによって作られたイオンが、接地側となるフィンガーコンベア2の搬送面25側に移動するよう構成される。この場合、搬送面25の側方を覆う側方ガイド151や、搬送面25の上方を覆うカバー(不図示)などにより、イオンの拡散を防止する手段を設けると望ましい。
【0054】
帯電手段150を設ける構成の場合、吐出手段100から吐出する気体(エア)は例えば、外気より湿度が低い気体(例えば、ドライエア)にすると帯電効果が高められてより望ましい。なお、帯電手段150を設けない場合であっても、吐出手段100が吐出する気体を外気より低湿度の気体にしてもよい。
【0055】
以上、上記の例では包装材YA2を製袋器14の上方から供給する正ピロー型の包装機1を例示したが、包装材YA2を製袋器14の下方から供給する逆ピロー型の包装機であってもよい。その場合は、クランプ装置50のクランプ部材503は、筒状包装材YA2'の下方に配置される。また、吐出手段100は、搬送高さ方向Hにおいて上方から下方に向かって気体を吐出する構成とする。具体的には、吐出手段100のノズルを、クランプ位置C0の上流側であって、筒状包装材YA2´の搬送高さ方向Hの上方に配置する。そして、吐出空間Sに対して、搬送方向Tの下流上方から上流下方に向かって斜めに気体を吐出する。あるいは、吐出空間Sに対して、鉛直方向の上方から下方に気体を吐出する。
【0056】
また、クランプ装置50は上記の例に限らず、例えば、搬送幅方向Wの左右に対向して設けられるクランプ部材を、水平方向に移動(近接・離間)させて筒状包装材YA2´をクランプする構成であってもよい。
【0057】
また、集積品XA2は、積み重ねる際に横にずらして物品XA1の一部が重なるようにサシミ状にしたりする集積状態や、起立させた物品XA1を搬送方向に並べた集積品XA2であってもよい。
【0058】
また、集積品は一次包装体ZA1でなくてもよい。すなわち、被包装品XA2は、非包装の物品XA1の集積体であってもよい。また被包装品XA2は単品の物品XA1であってもよく、例えば、転がりやすい形状の物品XA1など、載置が不安定になる製品であってもよい。
【0059】
また、吐出手段100は、搬送方向Tに沿って移動可能に構成してもよい。
また、気体はエア(空気)に限らず、不活性ガス(例えば窒素ガスなど)であってもよい。
【0060】
また、上記の例ではピロー包装機を例示したが、包装機1はシュリンク包装機などであってもよい。
【0061】
以上、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 包装機
2 物品供給手段(物品供給装置、フィンガーコンベア)
3 包装材供給手段(包装材供給装置)
4 包装機本体
8 原反軸
9 ローラ
14 製袋器
14a 供給口
15 ピンチローラ
16 センターシール装置
16a バーシーラ
16b プレスローラ
16c 上板(搬送面)
17 第一の搬送装置
20 第二の搬送装置
25,26,27 搬送面
30 トップシール装置(エンドシール装置)
50 クランプ手段(クランプ装置)
100 吐出手段
101 ノズル
101A 吐出口
102 気体供給手段
150 帯電手段
151 側方ガイド
502 チェーン
503 クランプ部材
504 支持軸
505 ローラ
C0 クランプ位置
S 吐出空間
XA1 物品
XA2 被包装品(集積品)
YA1 包装材
YA2 包装材(帯状包装材)
YA2´ 筒状包装材
YB1 原反ロール
ZA1 一次包装体
ZA2 包装体( 二次包装体)