(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014739
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】運送案件パッケージ生成方法、運送案件パッケージ生成システム、マッチング方法、マッチングシステム、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0835 20230101AFI20230124BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20230124BHJP
【FI】
G06Q10/08 312
G06Q30/06 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118876
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】521306982
【氏名又は名称】株式会社エイブルホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】平田 竜史
(72)【発明者】
【氏名】大庭 亮
(72)【発明者】
【氏名】大久保 括斗
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049BB53
(57)【要約】
【課題】 運送依頼者の負担が小さく、運送事業者が効率的で収益性の高い案件を受託できるようにする。
【解決手段】 本発明の運送案件パッケージ生成方法は、複数の運送案件の中から、予め設定された上限稼働時間を越えないように二以上の運送案件を選択してパッケージを生成する方法である。本発明のマッチング方法は、生成されたパッケージについて事業者端末からの受託申込みを受け付けるステップを備えた方法である。本発明のプログラムは、コンピュータを本発明の運送案件パッケージ生成システム又は本発明のマッチングシステムとして機能させるためのものである。本発明の記憶媒体は、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二以上の運送案件を選択してパッケージを生成する方法であって、
記憶部に格納された複数の運送案件の中から、予め設定された上限稼働時間を越えないように二以上の運送案件を選択してパッケージを生成する、
ことを特徴とする運送案件パッケージ生成方法。
【請求項2】
請求項1記載の運送案件パッケージ生成方法において、
二以上の運送案件のそれぞれの案件内移動時間、当該二以上の運送案件間の移動に要する案件間移動時間及び当該二以上の運送案件のそれぞれの積下し時間の合計が予め設定された上限稼働時間を越えないように二以上の運送案件を選択してパッケージを生成する、
ことを特徴とする運送案件パッケージ生成方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の運送案件パッケージ生成方法において、
n案件目とn+1案件目の案件間移動時間と当該n+1案件目の案件内移動時間の合計時間が、予め設定された除外基準時間を越えるものをn+1案件目候補から除外する、
ことを特徴とする運送案件パッケージ生成方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の運送案件パッケージ生成方法において、
出現回数が少ない案件を優先的にn+1案件目候補とする、
ことを特徴とする運送案件パッケージ生成方法。
【請求項5】
二以上の運送案件を選択してパッケージを生成するシステムであって、
運送依頼者が使用する依頼者端末から運送案件の依頼を受け付ける依頼受付部と、
前記依頼受付部で受け付けた運送案件を格納する記憶部と、
前記記憶部に格納された複数の運送案件の中から、予め設定された上限稼働時間を越えないように二以上の運送案件を選択してパッケージを生成するパッケージ生成部を備えた、
ことを特徴とする運送案件パッケージ生成システム。
【請求項6】
請求項5記載の運送案件パッケージ生成システムにおいて、
パッケージ生成部は、二以上の運送案件のそれぞれの案件内移動時間、当該二以上の運送案件間の移動に要する案件間移動時間及び当該二以上の運送案件のそれぞれの積下し時間の合計が予め設定された上限稼働時間を越えないように、二以上の運送案件を選択してパッケージを生成する、
ことを特徴とする運送案件パッケージ生成システム。
【請求項7】
請求項5又は請求項6記載の運送案件パッケージ生成システムにおいて、
パッケージ生成部は、n案件目とn+1案件目の案件間移動時間と当該n+1案件目の案件内移動時間の合計時間が、予め設定された除外基準時間を越えるものをn+1案件目候補から除外する、
ことを特徴とする運送案件パッケージ生成システム。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の運送案件パッケージ生成システムにおいて、
パッケージ生成部は、出現回数が少ない案件を優先的にn+1案件目候補とする、
ことを特徴とする運送案件パッケージ生成システム。
【請求項9】
運送依頼者と運送事業者をマッチングさせるマッチング方法であって、
前記運送依頼者が使用する依頼者端末と前記運送事業者が使用する事業者端末とマッチングサーバとが通信ネットワークを介して接続され、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の運送案件パッケージ生成方法によってパッケージを生成するステップと、
前記ステップで生成されたパッケージについて前記事業者端末からの受託申込みを受け付けるステップを備えた、
ことを特徴とするマッチング方法。
【請求項10】
運送依頼者と運送事業者をマッチングさせるマッチングシステムにおいて、
前記運送依頼者が使用する依頼者端末と前記運送事業者が使用する事業者端末とマッチングサーバとが通信ネットワークを介して接続され、
請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の運送案件パッケージ生成システムと、
前記運送案件パッケージ生成システムで生成されたパッケージについて、事業者端末から受託申込みを受け付ける受託申込み受付部を備えた、
ことを特徴とするマッチングシステム。
【請求項11】
コンピュータを、請求項5又は請求項8記載の運送案件パッケージ生成システム、又は、請求項10記載のマッチングシステムとして機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運送依頼者と運送事業者とのマッチングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運送依頼者と運送事業者とのマッチングを行うシステムとして、引越し希望者(運送依頼者)が、複数の引越し業者(運送事業者)の見積書を一括して取得できるシステムが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のシステムの場合、運送依頼者に対して10社近い運送事業者から見積もりの電話やメールが来るため、運送依頼者の立場では、電話応対の負担が大きいというデメリットがある。
【0005】
また、運送事業者の立場では、複数の競合がいる中で案件を引き受ける(受託する)必要があるため、価格を下げざるを得ず、受託できたとしても利益につながりにくいというデメリットがある。加えて、運用依頼者の希望にあわせて案件を受託することになるため、効率の悪い運送ルートになってしまうのが実情である。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、運送依頼者の負担が小さく、運送事業者が効率的かつ収益性の高い案件を受託することができる運送案件パッケージ生成方法、運送案件パッケージ生成システム、マッチング方法、マッチングシステム、プログラム及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[運送案件パッケージ生成方法]
本発明の運送案件パッケージ生成方法は、二以上の運送案件を選択してパッケージを生成する方法であって、記憶部に格納された複数の運送案件の中から、予め設定された上限稼働時間を越えないように二以上の運送案件を選択してパッケージを生成する方法である。
【0008】
[運送案件パッケージ生成システム]
本発明の運送案件パッケージ生成システムは、二以上の運送案件を選択してパッケージを生成するシステムであって、運送依頼者が使用する依頼者端末から運送案件の依頼を受け付ける依頼受付部と、依頼受付部で受け付けた運送案件を格納する記憶部と、記憶部に格納された複数の運送案件の中から、予め設定された上限稼働時間を越えないように二以上の運送案件を選択してパッケージを生成するパッケージ生成部を備えたものである。
【0009】
[マッチング方法]
本発明のマッチング方法は、運送依頼者と運送事業者をマッチングさせる方法であって、運送依頼者が使用する依頼者端末と前記運送事業者が使用する事業者端末とマッチングサーバとが通信ネットワークを介して接続され、前記運送案件パッケージ生成方法によって二以上の運送案件を選択してパッケージを生成するステップと、前記ステップで生成されたパッケージについて事業者端末からの受託申込みを受け付けるステップを備えた方法である。
【0010】
[マッチングシステム]
本発明のマッチングシステムは、運送依頼者と運送事業者をマッチングさせるシステムであって、運送依頼者が使用する依頼者端末と前記運送事業者が使用する事業者端末とマッチングサーバとが通信ネットワークを介して接続され、前記運送案件パッケージ生成システムと、運送案件パッケージ生成システムで生成されたパッケージについて事業者端末から受託申込みを受け付ける受託申込み受付部を備えたものである。
【0011】
[プログラム]
本発明のプログラムは、コンピュータを、本発明の運送案件パッケージ生成システム、又は、本発明のマッチングシステムとして機能させるためのプログラムである。
【0012】
[記憶媒体]
本発明の記憶媒体は、本発明のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は複数の運送事業者に対し一括して見積を請求するシステムではないため、運送依頼者にとっては負担が小さく、運送事業者は効率的かつ収益性の高い案件受託が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のマッチングシステムの一例を示す概要図。
【
図2】依頼者端末及び事業者端末の一例を示すブロック図。
【
図3】(a)はマッチングサーバの一例を示す機能ブロック図、(b)は案件データベースの一例を示す機能ブロック図、(c)は事業者データベースの一例を示す機能ブロック図。
【
図4】仮申込みをする際の処理の流れの一例を示すシーケンス図。
【
図5】パッケージの生成からマッチングが完了するまでの処理の流れの一例を示すシーケンス図。
【
図6】引越し作業完了後の処理の流れの一例を示すシーケンス図。
【
図8】(a)(b)はパッケージ生成手順の一例を示す説明図。
【
図9】(a)(b)はパッケージ生成手順の一例を示す説明図。
【
図10】(a)(b)はパッケージ生成手順の一例を示す説明図。
【
図11】(a)~(d)は除外基準時間条件及び出現回数条件を含む場合のパッケージ生成手順の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
本発明の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明は各種物品の運送を依頼する運送依頼者(以下、単に「依頼者」という)と、その依頼を引き受ける運送事業者(以下、単に「事業者」という)のマッチングシステムに適用することができるが、ここでは、運送案件が引越しであり、これを依頼する依頼者とこれを受託する事業者をマッチングするシステムに適用する場合を一例として説明する。
【0016】
[全体構成]
図1に本実施形態のマッチングシステムの全体構成を示す。この実施形態のマッチングシステムは、依頼者が使用する依頼者端末10と、事業者が使用する事業者端末20と、マッチングサーバ30を備えている。依頼者端末10、事業者端末20及びマッチングサーバ30は、通信ネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0017】
[依頼者端末]
前記依頼者端末10は、引越しを依頼する依頼者が使用する端末であって、たとえば、PCやスマートフォン、タブレットなどで構成される。
図2に示すように、この実施形態の依頼者端末10は、制御部11、メモリ12、記憶部13、通信部14、入力部15、出力部16を主要構成として備え、各構成がバス17を通じて電気的に接続されている。
【0018】
前記制御部11は、依頼者端末10の動作を制御するものであり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などで構成される。制御部11により、記憶部13に記憶されたプログラムが実行される。
【0019】
前記メモリ12は、データや命令を記憶する主記憶装置であり、たとえば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などで構成される。
【0020】
前記記憶部13は、プログラムやデータを保存する補助記憶装置であり、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどで構成される。
【0021】
前記通信部14は、通信ネットワークNを介して事業者端末20やマッチングサーバ30と無線通信(データ通信)を行うための通信インターフェースであって、受信部14aと送信部14bを備えている。通信部14では、TCP/IPをはじめ、Bluetooth Low Energy(登録商標)やBluetooth(登録商標)、3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)、LTE(Long Term Evolution)等の各種通信規格に従って通信が行われる。
【0022】
前記入力部15は、情報を入力するためのデバイスであり、たとえば、キーボードやタッチスクリーン、マウス、音声入力装置などで構成される。前記出力部16は、情報を出力するためのデバイスであり、ディスプレイやプリンタなどで構成される。
【0023】
各依頼者は、自己の依頼者端末10のブラウザから本マッチングシステムを利用することができる。本マッチングシステムは、依頼者端末10に専用のアプリケーションをインストールし、当該アプリケーションを用いて利用できるようにしてもよい。
【0024】
ここで説明した依頼者端末10の構成は一例であり、所期の目的を達成できる限り、これ以外の構成とすることもできる。
【0025】
[事業者端末]
前記事業者端末20は、引越しを受託する事業者が使用する端末であって、たとえば、PCやスマートフォン、タブレットなどで構成される。事業者端末20の構成は依頼者端末10と同様であるため、ここではその説明を省略する。事業者端末20は、所期の目的を達成できる限り、依頼者端末10と異なる構成とすることもできる。
【0026】
[マッチングサーバ]
前記マッチングサーバ30は、依頼者端末10や事業者端末20からの要求を受け付けて各種処理を行う装置である。一例として
図3に示すマッチングサーバ30は、制御部31と、メモリ32と、記憶部33と、通信部34を主要構成として備えている。これら各要素は、バス35を通じて電気的に接続されている。
【0027】
図示は省略しているが、複数の依頼者端末10や事業者端末20に対して安定的にサービスを提供できるよう、マッチングサーバ30は、無停電電源やバックアップ装置などを備えた構成とするのが好ましい。
【0028】
前記制御部31は、バス35で接続された各構成を統括的に制御するものであり、たとえば、CPUやMPUなどで構成される。制御部31は、処理の実行に必要なアプリケーションプログラムを記憶部33からメモリ32にロードし、各処理を実行する。
【0029】
この実施形態の制御部31は、依頼受付部311と、個別見積判定部312と、パッケージ生成部313と、受託申込み受付部314と、完了報告受付部315と、決済処理部316、ID・PW発行部317と、情報取得部318を主要構成として備えている。
【0030】
依頼受付部311は、依頼者端末10からの引越しの申込み(リクエスト)を受け付ける機能部、個別見積判定部312は、依頼者端末10から申し込まれた案件が、予め設定された引受け基準を満たすか否かを判定する機能部である。個別見積判定部312の詳細については後述する。
【0031】
パッケージ生成部313は、記憶部33(より具体的には、待機案件格納部332)に格納された複数の案件の中から、予め設定された上限稼働時間を越えないように二以上の案件を選択してパッケージを生成する機能部である。パッケージ生成部313でのパッケージ生成手順については後述する。なお、本願におけるパッケージとは二以上の運送案件をまとめた案件群を意味し、事業者は、基本的にパッケージ単位で受託を申込み、案件を引き受けることになる。
【0032】
受託申込み受付部314は、事業者端末20からパッケージの受託申込みを受け付ける機能部、完了報告受付部315は、事業者端末20からの作業完了報告を受け付ける機能部、決済処理部316は、依頼者端末10から入力された決済情報に基づいて、決済処理を実行する機能部である。
【0033】
ID・PW発行部317は、事業者端末20からの要求に応じてマッチングシステムを利用する際に必要なIDとPWを発行する機能部である。
【0034】
情報取得部318は、外部サーバから提供されるAPI(Application Programming Interface)を利用して、引越し前後の住まいの位置情報(たとえば、緯度経度)や引越し前後の住まい間の距離情報、移動経路中に高速道路が含まれる場合の高速道路料金情報などの情報を取得する機能部である。
【0035】
前記メモリ32は、データや命令を記憶する主記憶装置であり、たとえば、ROMやRAMなどで構成される。前記記憶部33は、プログラムやデータを保存する補助記憶装置であり、たとえば、HDDやSSD、フラッシュメモリなどで構成される。記憶部33には、本実施形態のマッチングシステムのプログラム(アプリケーションプログラム)が格納されている。
【0036】
図3(a)に示すように、この実施形態の記憶部33は、案件に関する情報が格納される案件データベース33aと事業者に関する情報が格納される事業者データベース33bを主要構成として備えている。
【0037】
図3(b)(c)に示すように、案件データベース33aには、仮申込み案件格納部331や待機案件格納部332、パッケージ化案件格納部333、受託申込み案件格納部334、確定案件格納部335、完了案件格納部336等が、事業者データベース33bには、事業者情報格納部337が含まれている。
【0038】
仮申込み案件格納部331は依頼者端末10から仮申込みがされた案件を格納する領域、待機案件格納部332は本申込みがされた案件のうちパッケージ化される前の(以下「待機案件」という)に関する情報を格納する領域、パッケージ化案件格納部333はパッケージ化された案件を格納する領域、受託申込み案件格納部334は事業者から受託申込みがあったパッケージ化案件を格納する領域である。
【0039】
また、確定案件格納部335は事業者からの受託申込み後、依頼者から本申込みがされてマッチングが確定したパッケージ案件を格納する領域、完了案件格納部336は引越し作業が完了した案件を格納する領域、事業者情報格納部337は登録事業者に関するデータを格納する領域である。
【0040】
前記通信部34は、通信ネットワークNを介して依頼者端末10や事業者端末20等と無線通信(データ通信)を行うための通信インターフェースであり、TCP/IPをはじめ、Bluetooth Low Energy(登録商標)やBluetooth(登録商標)、3G、4G、LTE等の各種通信規格に従って通信が行われる。
【0041】
通信部34は、受信部34aと送信部34bを備えている。受信部34aは、依頼者端末10や事業者端末20等からの信号を受信し、受信した信号を復号して制御部31に伝達する。送信部34bは、制御部31から伝達された情報を各依頼者端末10に送信する。
【0042】
マッチングサーバ30は、LANで相互に通信可能に接続されたウェブサーバやアプリケーションサーバ、データベースサーバ等、二以上のサーバ群で構成することもできる。
【0043】
[マッチングサーバでの処理]
次に、本実施形態のマッチングシステムでの処理の流れについて、
図4~
図6を参照して説明する。以下の各処理は、マッチングサーバ30に格納されたプログラムによって実現される。
【0044】
はじめに、
図4を参照して、依頼者が引越し案件のマッチングを申し込む際の処理の流れについて説明する。
(1)依頼者は自己の依頼者端末10を用いて、マッチングサーバ30によって提供されるウェブサイトにアクセスする(S001)。
(2)マッチングサーバ30は、依頼者端末10に対して仮申込み画面を返す(S002)。仮申込み画面には、現在の住まいに関する情報及び引越し先の住まいに関する情報として、郵便番号、住所、建物種別、居住階数、エレベーターの有無、建物前の車両通行に関する項目等が含まれる。
(3)依頼者は自己の依頼者端末10を用いて引越し情報を入力し、マッチングサーバ30に送信する(S003)。
(4)依頼者端末10から引越し情報を受信したマッチングサーバ30は、依頼者端末10に対して荷物情報入力画面を返す(S004)。荷物情報入力画面には、ソファーやテーブル、椅子、テレビ台といった家財の数に関する項目が含まれる。各家財にはそのサイズに応じて容積が設定されている。
(5)依頼者は自己の依頼者端末10を用いて荷物情報を入力し、マッチングサーバ30に送信する(S005)。
(6)依頼者端末10から荷物情報を受信したマッチングサーバ30は、依頼者端末10から送信された引越し情報や荷物情報と予め設定された引受け基準を比較して、当該案件が引受け基準を満たすか否かを判定する(S006)。引受け基準については後述する。
(7)前記(6)のステップで引受け基準を満たすと判定された場合には、依頼者端末10に対して希望日程等入力画面を返す(S007)。希望日程等入力画面には、マッチングを希望する日程(引越しを希望する日程)や依頼者のメールアドレスの入力欄などが含まれる。
(8)前記(6)のステップで引受け基準を満たさないと判定された場合には、依頼者端末10に対して個別見積金額の詳細を送信する(S008)。
(9)依頼者は自己の依頼者端末10を用いて希望日程及びメールアドレスを入力し、マッチングサーバ30に送信する(S009)。
(10)依頼者端末10から希望日程等情報を受信したマッチングサーバ30は、依頼者端末10に対して、仮申込み確認画面を返す(S010)。
(11)依頼者は自己の依頼者端末10を用いて、当該依頼者端末10に表示される仮申込み確認画面で「確認」をクリックする(S011)。
(12)依頼者端末10で「確認」がクリックされると、マッチングサーバ30は、当該案件を仮申込み案件格納部331に格納し(S012)、依頼者端末10に対して仮申込み確認メールを送信する(S013)。
(13)仮申込み確認メールを受信した依頼者は、自己の依頼者端末10を用いて仮申込確認メールに表示されたURLをクリックする(S014)。
(14)依頼者端末10で仮申込み確認メールに表示されたURLがクリックされると、マッチングサーバ30は、依頼者端末10に対して氏名・電話番号入力画面を返す(S015)。
(15)依頼者は自己の依頼者端末10を用いて氏名及び電話番号を入力し、マッチングサーバ30に送信する(S016)。
(16)依頼者端末10から氏名及び電話番号に関する情報を受信したマッチングサーバ30は、依頼者端末10に対して本申込み確認画面を返す(S017)。本申込み確認画面には、希望日程と各希望日程における料金が表示される。表示される料金の設定については後述する。
(17)依頼者は自己の依頼者端末10を用いて、当該依頼者端末10に表示される本申込み確認画面から「確認」をクリックする(S018)。
(18)依頼者端末10で「確認」がクリックされると、マッチングサーバ30は、依頼者端末10に対して本申込み完了メールを送信する(S019)。
(19)依頼者端末10に対して本申込み完了メールが送信されると、当該案件が待機案件格納部332に格納され(S020)、当該案件がマッチング待機状態に遷移する。
【0045】
前記(6)の引受け基準としては、たとえば、引越し前後の地域、各案件の出発地Sから到着地Gまでの距離(以下「案件内移動距離」という)、当該案件の荷物の総容積、当該案件の荷物の種別、引越し前後の建物の階数、引越し前後の周辺地域状況などを用いることができる。これらの基準は二以上を組み合わせることもできる。
【0046】
引受け基準として引越し前後の地域を用いる場合、たとえば、仮申込み時に入力された現在の住まい又は引越し先の住まいが、予め設定された対象地域(以下「引受け対象地域」という)に含まれるか否かを判定し、双方が引受け対象地域内であると判定された場合にはパッケージ化対象の案件とし、双方又はいずれか一方の地域が対象地域外であると判定された場合には個別見積対象の案件とするようにすることができる。
【0047】
引受け基準として案件内移動距離を用いる場合、たとえば、仮申込み時に入力された現在の住まい又は引越し先の住まいに関する情報から算出される案件内移動距離が、予め設定された距離(以下「案件上限距離」という)以内であるか否かを判定し、案件内移動距離が案件上限距離以内であると判定された場合にはパッケージ化対象の案件とし、案件上限距離を超えると判定された場合には個別見積対象の案件とするようにすることができる。
【0048】
引受け基準として荷物の総容積を用いる場合、たとえば、仮申込み時に入力された荷物情報から算出される総容積が、予め設定された容積(以下「案件上限容積」という)以内であるか否かを判定し、総容積が案件上限容積以内であると判定された場合にはパッケージ化対象の案件とし、案件上限容積を超えると判定された場合には個別見積対象の案件とするようにすることができる。
【0049】
引受け基準として荷物の種類を用いる場合、たとえば、仮申込み時に入力された荷物の中に、予め設定された運搬対象外の荷物(以下「運搬対象外荷物」という)が含まれているか否かを判定し、運搬希望荷物の中に運搬対象外荷物が含まれていないと判定された場合にはパッケージ化対象の案件とし、運搬対象外荷物が含まれていると判定された場合には個別見積対象の案件とするようにすることができる。
【0050】
引受け基準として引越し前後の建物の階数を用いる場合、たとえば、仮申込み時に入力された現在の住まい又は引越し先の住まいの階数が、予め設定された階数(以下「上限住戸階数」という)未満であるか否かを判定し、双方の住まいの住戸階数が上限住戸階数未満であると判定された場合にはパッケージ化対象の案件とし、双方又はいずれか一方の住まいの住戸階数が上限住戸階数を超えると判定された場合には個別見積対象の案件とするようにすることができる。
【0051】
引受け基準として引越し前後の周辺状況を用いる場合、たとえば、仮申込み時に入力された建物前の車両通行に関する情報から、現在の住まい及び引越し先の住まいの前まで車両通行ができる道幅があるか否かを判定し、双方の住まいの前に車両通行ができる道幅があると判定された場合にはパッケージ化対象の案件とし、双方又はいずれか一方の住まいの前に車両通行ができる道幅がないと判定された場合には個別見積対象の案件とするようにすることができる。
【0052】
前記各引受け基準によって、当該案件を個別見積対象の案件として処理する場合、依頼者端末10に対して個別見積金額の詳細を送信する(
図4参照)。個別見積対象の案件として処理された案件については、個別案件としてウェブサイト上に表示し、事業者が個別案件として受託できるようにすることができる。なお、個別見積対象の案件については、マッチングシステム外で処理することもできる。たとえば、マッチングシステムを管理する管理者側の担当者(たとえば、カスタマーサポート)が依頼者や事業者と電話やメールで連絡を取り、当該案件をマッチングすることができる。
【0053】
なお、前記各引受け基準は一例であり、引受け基準はこれ以外であってもよい。また、引受け基準は必要に応じて設定すればよく、不要な場合には省略することもできる。
【0054】
前記(16)の本申込み確認画面には、希望日程とその希望日程における料金が表示される。希望日程が二以上ある場合、料金は日程ごとに表示される。また、高速道路を利用する場合には、高速道路料金を含む料金が表示される。高速道路料金は外部の地
図API等を利用して取得することができる。
【0055】
本申込み確認画面に表示される料金は、マッチングサーバ30の管理者によってアップロードされた価格表において設定された金額である。マッチングサーバ30の管理者は、平日や土休日、繁忙期、閑散期など、状況に応じて価格を設定することができ、当該価格を設定した価格表をアップロードすることで、料金を随時更新することができる。このとき、価格表とともに当該価格表に記載の料金が適用される日(適用開始日)を設定することができる。
【0056】
ここで説明した、マッチングを申し込む際の処理の流れは一例であり、これ以外の流れで処理することもできる。たとえば、
図4に示すステップの中から不要なステップを省略したり、ステップの順番を入れ替えたりすることができる。
【0057】
次に、
図5を参照して、パッケージが生成されてから本申込みが完了するまでの処理の流れについて説明する。
(1)マッチングサーバ30は、待機案件格納部332に格納された案件の中から、予め設定された組合せ条件を満たすように二以上の案件を選択し、パッケージを生成する(S101)。この実施形態では、1時間おき(たとえば、12時10分の次は13時10分など)にパッケージが生成されるように設定してある。ここで示すパッケージの生成間隔は一例であり、パッケージの生成間隔は任意に設定又は変更することができる。パッケージ生成の具体的な手順については後述する。
(2)マッチングサーバ30は、生成されたパッケージをパッケージ化案件格納部333に格納する(S102)。
(3)事業者は自己の事業者端末20を用いて、マッチングサーバ30によって提供されるウェブサイトにアクセスする(S201)。なお、事業者は、事前に当該ウェブサイトでユーザー登録を行い、ログインID及びログインPWを取得しておく。
(4)マッチングサーバ30は、事業者端末20に対してログイン画面を返す(S202)。
(5)事業者は自己の事業者端末20を用いてウェブサイトにログインしたのち(S203)、新規案件の検索を行う(S204)。
(6)事業者端末20から検索条件を受信したマッチングサーバ30は、事業者端末20に対して、検索結果画面を返す(S205)。
(7)事業者は検索結果画面に表示されたパッケージ一覧から、受託を希望するパッケージを選択し、受託の申込みを行う(S206)。
(8)事業者端末20からの受託申込みを受け付けると、当該案件が受託申込み案件格納部334に格納され(S207)、当該案件がマッチング完了状態に遷移する。
(9)マッチングサーバ30は、受託申込みがされたパッケージに含まれる案件の依頼者(依頼者端末10)に対して、マッチング完了メールを送信する(S208)。
(10)マッチング完了メールを受信した依頼者は、自己の依頼者端末10を用いてマッチング完了メールに表示されたURLをクリックする(S209)。
(11)依頼者端末10でマッチング完了メールに表示されたURLがクリックされると、マッチングサーバ30は、依頼者端末10に対してマイページを返す(S210)。
(12)依頼者は自己の依頼者端末10で必要事項を記入し、本申込みの手続きを行う(S211)。
(13)依頼者端末10から本申込みの手続きが行われると、マッチングサーバ30は依頼者端末10に対して個人情報等入力画面を返す(S212)。
(14)依頼者は、依頼者端末10に表示される個人情報等入力画面から必要事項を入力し、マッチングサーバ30に送信する(S213)。ここで入力される個人情報等には、当該依頼者の氏名や電話番号、クレジットカード情報などが含まれる。
(15)依頼者端末10から送信された個人情報及び決済情報に基づいて決済代行業者へ与信を行う(S214)。
(16)与信が確認されると、当該案件が確定案件格納部335に格納され(S215)、当該案件が契約確定状態に遷移する。
(17)マッチングサーバ30は、本申込み手続きを行った依頼者(依頼者端末10)に対して、本申込み完了メールを送信する(S216)と共に、当該案件の受託申込みを行った事業者(事業者端末20)に対して、当該パッケージの詳細情報を提供する(S217)。
【0058】
ここで説明したパッケージが生成されてから本申込みが完了するまでの処理の流れは一例であり、これ以外の流れで処理することもできる。たとえば、
図5に示すステップの中から不要なステップを省略したり、ステップの順番を入れ替えたりすることができる。
【0059】
最後に、
図6を参照して、引越し作業の完了後の処理の流れについて説明する。
(1)事業者は、自己の事業者端末20を用いて、受託した案件の作業が完了したことをマッチングサーバ30に報告する(S301)。
(2)事業者端末20から送信された作業完了報告をマッチングサーバ30が受信すると、当該パッケージが完了案件格納部336に格納され(S302)、当該パッケージが作業完了状態に遷移する。
(3)マッチングサーバ30は、決済処理を行う(S303)。
(4)決済処理を行った後、マッチングサーバ30は、当該パッケージに含まれる案件の依頼者(依頼者端末10)に対して、完了報告メールを送信する(S304)。
【0060】
ここで説明した引越し作業の完了後の処理の流れは一例であり、これ以外の流れで処理することもできる。たとえば、
図6に示すステップの中から不要なステップを省略したり、ステップの順番を入れ替えたりすることができる。
【0061】
[パッケージ生成の手順]
次に、マッチングサーバ30で実行される案件のパッケージ生成の手順について説明する。この実施形態では、待機案件格納部332に格納された複数の案件の中から、予め設定された上限稼働時間を越えないように二以上の案件を選択してパッケージが生成されるようにしてある。
【0062】
具体的には、
図7に示すように、二以上の案件のそれぞれの案件内移動時間、当該二以上の運送案件間の移動に要する案件間移動時間及び当該二以上の運送案件のそれぞれの積下し時間の合計が、予め設定された上限稼働時間を越えないように二以上の運送案件を選択してパッケージが生成されるようにしてある。
【0063】
ここで、「案件内移動時間」とは各案件の出発地Sから到着地Gまでの移動に要する時間を、「案件間移動時間」とは一の案件の到着地Gから次の案件の出発地Sまでの移動に要する時間を、「積下し時間」とは各案件の荷積み及び荷下しに要する時間を、「上限稼働時間」とは一日の稼働時間の上限となる時間を意味する。
【0064】
また、本願における「出発地S」や「到着地G」は、必ずしも引越し前後の住所で特定する必要はなく、引越し前後の住まいの郵便番号や最寄り駅、最寄りの郵便局、最寄りの学校、最寄りの店舗などの位置(緯度経度、住所、郵便番号など)で「出発地S」や「到着地G」を特定することもできる。
【0065】
前記案件内移動時間及び案件間移動時間は各種方法で取得することができ、たとえば、一般に公開されている地
図API等を利用して取得することができる。案件内移動時間及び案件間移動時間は、これ以外の方法で取得することもできる。
【0066】
地
図API等を利用する場合、引越し前後の位置情報(たとえば、緯度経度)を取得し、取得した情報を用いて案件内移動時間や案件間移動時間をマッチングサーバ30側で算出するほか、地
図API等を利用して案件内や案件間の移動に要する所要時間情報を取得することもできる。後者の場合、マッチングサーバ30側での案件内移動時間や案件間移動時間の算出は不要となる。
【0067】
前記積下し時間及び上限稼働時間は、予め任意の時間を設定しておくことができる。たとえば、積下し時間であれば30分、60分、90分、120分等、上限稼働時間であれば360分、420分、480分等とすることができる。積下し時間及び上限稼働時間は、これ以外であってもよい。
【0068】
図8(a)(b)~
図10(a)(b)に示すように、待機案件格納部332に5件の案件が格納されている場合、次の手順でパッケージが生成される。
(1)5件の案件のそれぞれについて案件内移動時間を算出又は取得する(
図8(a))。
(2)前記(1)で算出又は取得された案件内移動時間に基づき、一の案件を1案件目として選択する(
図8(b))。この例では、5件の案件のうち、案件内移動時間が最も長いものを1案件目としている。
(3)次に、1案件目の到着地Gから当該1案件目以外の他の案件の出発地Sまでの案件間移動距離を算出する(
図9(a))。
(4)前記(3)で算出又は取得された案件間移動距離に基づいて、1案件目とは異なる案件を2案件目として選択する(
図9(b))。この例では、1案件目を除く4件の案件のうち、1案件目の到着地Gから2案件目候補の各到着地Gまでの移動時間が最も短いものを2案件目としている。
(5)2案件目の到着地Gから前記1案件目及び2案件目以外の他の案件の出発地Sまでの移動距離である案件間移動距離を算出する(
図10(a))。
(6)前記(5)で算出又は取得された案件間移動距離に基づいて、1案件目及び2案件目とは異なる運送案件を3案件目として選択する(
図10(b))。この例では、1案件目及び2案件目を除く3件の案件のうち、2案件目の到着地Gから3案件目候補の各到着地Gまでの移動時間が最も短いものを3案件目としている。
【0069】
ここでは、3件の案件を組み合わせてパッケージ化する場合を一例として説明しているが、案件は3件より多くすることも少なくすることもできる。3件より少なくする場合は、上記(1)~(4)の手順によればよく、3件より多くする場合には、4件目以降も上記(5)及び(6)と同様の手順を必要なだけ繰り返せばよい。
【0070】
なお、説明の便宜上、上記の例では待機案件格納部332に5件の案件が格納されている場合を一例としているが、実際に登録される引越し案件数はこれよりも多く、前述(1)~(6)の各処理は待機案件格納部332内に格納された全案件を対象に行われる。実際には、二以上のパッケージが生成され、案件によっては、二以上のパッケージに重複して組み込まれる場合もある。
【0071】
基本的には、前記(1)~(6)のステップを経ることでパッケージを生成することができるが、前記(1)~(6)のステップによる場合、案件内移動時間が短い案件が多くのパッケージ含まれ、案件内移動時間の長い案件がパッケージに組み込まれにくくなる傾向がある。この場合、別条件を追加して案件内移動時間の長い案件がパッケージに組み込まれやすくし、全案件の平準化を図ることができる。
【0072】
追加する条件としては、たとえば、除外基準時間条件や出現回数条件などが考えられる。ここでいう「除外基準時間条件」は、直前案件(n案件目)と次案件目候補(n+1案件目候補)の間の案件間移動時間と次案件目候補(n+1案件目候補)の案件内移動時間との合計時間が予め設定された除外基準時間内であることという条件である。
【0073】
また、「出現回数条件」は、生成された二以上のパッケージに含まれる回数(出現回数)が最小であることという条件である。たとえば、パッケージA、パッケージB、パッケージCという3つのパッケージがある場合に、すべてのパッケージに含まれている案件の出現回数は3回とカウントされ、パッケージAとパッケージCに含まれている案件の出現回数は2回とカウントされる。
【0074】
前記除外基準時間条件を追加する場合、直前案件と次案件目候補の間の案件間移動時間と次案件目候補の案件内移動時間の合計時間が除外基準時間より短い場合には次案件候補とし、当該合計時間が除外基準時間よりも長い場合には次案件候補から除外する。
【0075】
なお、ここでいう「n案件目」とは、2案件目に対する1案件目、3案件目に対する2案件目のように直前の案件を指し、「n+1案件目」とは、1案件目に対する2案件目、2案件目に対する3案件目のように直後の案件を指す相対的な概念である。
【0076】
また、前記出現回数条件を追加する場合、パッケージの生成中は、生成された一又は二以上のパッケージの中に、各案件が何回出現したかをカウントしておき、その数が最小のものが次案件として選択される。
【0077】
たとえば、
図11(a)のように、1案件目に続く2案件目候補が4件ある場合、
図11(b)のように、除外基準時間条件に従って、直前案件と次案件目候補の間の案件間移動時間と次案件目候補の案件内移動時間の合計時間が除外基準時間よりも長い第4候補を2案件目候補から除外する。
【0078】
次に、
図11(c)のように、残った3件の2件目候補のそれぞれの出現回数を比較し、その回数が最小のもの以外(第2候補)を2案件目候補から除外する。その後、
図11(d)のように、残った2件の2件目候補について、1案件目の到着地Gから2件目候補の到着地Gまでの移動時間(1案件目と2案件目候補の間の案件間移動時間と2案件目候補の案件内移動時間の合計)が長い第3候補を2案件目候補から除外し、最後に残った第1候補を2案件目として採用する。なお、図示は省略しているが、3案件目についても同様の手順で選択すればよい。
【0079】
このように、上限稼働時間に除外基準時間条件及び出現回数条件を条件として加えることで、案件内移動時間の長い案件もパッケージに組み込まれやすくなり、全案件の平準化を図ることができる。
【0080】
なお、除外基準時間条件や出現回数条件は、双方を条件として追加することも、いずれか一方のみを追加することもできる。除外基準時間条件や出現回数条件は必要に応じて追加すればよく、不要な場合には追加する必要はない。
【0081】
(その他の実施形態)
前記実施形態では説明を省略しているが、決済処理後に依頼者端末10に対して完了報告メールを送信する際(S304)には、必要に応じてアンケートを含めることができる。
【0082】
前記実施形態では、10分おきにパッケージが生成される場合を一例としているが、パッケージはこれより10分より短いスパン又は長いスパンで生成されるようにすることもできる。
【0083】
前記実施形態では、マッチングサーバ30での各処理が当該マッチングサーバ30に格納されたプログラムによって実現される場合を一例としているが、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録しておくこともできる。この場合、記憶媒体に記録されたプログラムをコンピュータに実行させることによって、前記各処理が行なわれる。
【0084】
前記実施形態では、本発明を引越し依頼者と引越し事業者をマッチングするシステムに適用する場合を一例としているが、本発明は、引越し案件のマッチングシステムのほか、家具の運送依頼者と運送事業者のマッチングシステムなどに適用することができる。
【0085】
前記実施形態は一例であり、本発明は前記実施形態の構成に限定されるものではない。本発明は、所期の目的を達成できる範囲で、構成の追加、変更、省略等を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の運送案件パッケージ生成方法、運送案件パッケージ生成システム、マッチング方法、マッチングシステム、プログラム及び記憶媒体は、単身者の短距離の引越しのマッチングに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
10 依頼者端末
11 制御部
12 メモリ
13 記憶部
14 通信部
15 入力部
16 出力部
17 バス
14a 受信部
14b 送信部
20 事業者端末
30 マッチングサーバ
31 制御部
311 依頼受付部
312 個別見積判定部
313 パッケージ生成部
314 受託申込み受付部
315 完了報告受付部
316 決済処理部
317 ID・PW発行部
318 情報取得部
331 仮申込み案件格納部
332 待機案件格納部
333 パッケージ化案件格納部
334 受託申込み案件格納部
335 確定案件格納部
336 完了案件格納部
337 事業者情報格納部
32 メモリ
33 記憶部
33a 案件データベース
33b 事業者データベース
34 通信部
34a 受信部
34b 送信部
35 バス
G 到着地
N 通信ネットワーク
S 出発地