(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147395
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】照明付滑り止め装置
(51)【国際特許分類】
E04F 11/16 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
E04F11/16 502S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054866
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126620
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 豪
(72)【発明者】
【氏名】細谷 秀靖
(72)【発明者】
【氏名】庄子 怜子
(72)【発明者】
【氏名】萱島 高博
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301DD42
2E301DD47
2E301DD50
2E301DD63
2E301DD78
2E301DD83
(57)【要約】 (修正有)
【課題】階段等の段部を下から見た際に光源からの光が眩しくなく、段部手前の踏み面や床面等を容易に把握することができる照明付滑り止め装置を提供する。
【解決手段】段鼻部を覆う覆い部と、覆い部の内側から光を照射する照明部とを備えた照明付滑り止め装置において、覆い部は、段部の上面に沿うように配置され、かつ段部の上面の前端よりも前方に張り出した張出し部を有する滑り止め部と、滑り止め部の前端から垂下し、かつ段部の前面と対向する前垂れ部と、を備え、照明部は、前垂れ部、滑り止め部の張出し部及び段部の前面により区画された内部空間内に配置される発光部と、発光部の出射光軸が内部空間内に位置する反射部に向かうように発光部を保持する保持部と、を備え、保持部と反射部との間に、反射部に反射した発光部の光を内部空間より下方に通過させる間隙部を形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段部の角部を覆う覆い部と、覆い部の内側から光を照射する照明部と、を備えた照明付滑り止め装置であって、
覆い部は、
段部の上面に沿うように配置され、かつ段部の上面の前端よりも前方に張り出した張出し部を有する滑り止め部と、
滑り止め部の前端から垂下し、かつ段部の前面と対向する前垂れ部と、を備え、
照明部は、
前垂れ部、滑り止め部の張出し部及び段部の前面により区画された内部空間内に配置される発光部と、
発光部の出射光軸が内部空間内に位置する反射部に向かうように発光部を保持する保持部と、を備え、
保持部と反射部との間には、反射部に反射した発光部の光を内部空間より下方に通過させる間隙部が形成されていることを特徴とする照明付滑り止め装置。
【請求項2】
前垂れ部の下端が段部の前面と所定間隔を空けて対向していることを特徴とする請求項1記載の照明付滑り止め装置。
【請求項3】
反射部は、段部の前面であることを特徴とする請求項1又は2記載の照明付滑り止め装置。
【請求項4】
保持部には、前垂れ部の後面に当接するとともに段部側に固定される取付部が設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の照明付滑り止め装置。
【請求項5】
保持部の少なくとも下部は、発光部の光を透過可能な透光部とされることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の照明付滑り止め装置。
【請求項6】
内部空間から滑り止め部の張出し部を支持する補強部材を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の照明付滑り止め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明と段部の滑り止めとを行う照明付滑り止め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、劇場や映画館、コンサートホール等の昼間でも暗くする必要がある場所や、夜間等の暗所において、通行人に階段の位置を知らせつつ階段からの踏み外しを防止するために、例えば、特許文献1及び2等に示されるように、階段の段鼻部に照明付滑り止め装置が設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-092238号公報
【特許文献2】特開2016-006266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に示す照明付滑り止め装置においては、その光源(発光部)が階段の前面側に向いて露出している状態になっている。そのため、通行人が階段を階下から見上げた際に、光源から照射される光(直接光)が目に入って眩しい。また、光源が階段の段部を照らさないために、階段手前の踏み面が暗く、その位置を把握することが困難となるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情によりなされたものであり、階段等の段部を下から見た際に光源からの光が眩しくなく、段部手前の踏み面や床面等を容易に把握することができる照明付滑り止め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は次のように構成されている。
【0007】
本発明は、段部の角部(段鼻部)を覆う覆い部と、覆い部の内側から光を照射する照明部と、を備えた照明付滑り止め装置であって、覆い部は、段部の上面に沿うように配置され、かつ段部の上面の前端よりも前方に張り出した張出し部を有する滑り止め部と、滑り止め部の前端から垂下し、かつ段部の前面と対向する前垂れ部と、を備え、照明部は、前垂れ部、滑り止め部の張出し部及び段部の前面により区画された内部空間内に配置される発光部と、発光部の出射光軸が内部空間内に位置する反射部に向かうように発光部を保持する保持部と、を備え、保持部と反射部との間には、反射部に反射した発光部の光を内部空間より下方に通過させる間隙部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る照明付滑り止め装置によれば、発光部の光は、反射部に反射し間隙部を通過して内部空間より下方を照射する。そのため、照明付滑り止め装置は、通行人に段部を低い位置から見上げた際の眩しさを感じさせずに段部手前の踏み面や床面等を照射することができる。加えて、発光部の光は間隙部を通過して下方に通過する際、段部の前面を照射するため、前垂れ部の下部の周囲における明暗の境界をあいまいにして照明することができる。さらに、間隙部を通過して下方に照射された光は段部の前面を照明するため、通行人が段部の前面を容易に把握することができる。
【0009】
上記照明付滑り止め装置においては、前垂れ部の下端が段部の前面と所定間隔を空けて対向しているようにしてもよい。
【0010】
このようにすることで、発光部の光が前垂れ部の下部と段部の前面との間の空間から下方に出射されるため、広範囲を明るく照明することができる。
【0011】
上記照明付滑り止め装置においては、反射部は、段部の前面であるようにしてもよい。
【0012】
このようにすることで、発光部の光が段部の前面に反射して間隙部を通過するため、より効果的に段部の前面を照明することができる。
【0013】
上記照明付滑り止め装置においては、保持部には、前垂れ部の後面に当接するとともに段部側に固定される取付部が設けられているようにしてもよい。
【0014】
このようにすることで、保持部と反射部との間に間隙部を形成した状態で保持部を内部空間内に配置することができる。
【0015】
上記照明付滑り止め装置においては、保持部の少なくとも下部(保持部の底板部)は、発光部の光を透過可能な透光部とされるようにしてもよい。
【0016】
このようにすることで、間隙部を通過した発光部の光に加えて、透光部を透過した発光部の光が内部空間より下方に照射される。そのため、発光部の光の照射範囲を広げつつより明るく照明することができる。
【0017】
上記照明付滑り止め装置においては、内部空間から滑り止め部の張出し部を支持する補強部材を備えるようにしてもよい。
【0018】
このようにすることで、通行人が張出し部を踏みつけた際に、張出し部が変形することや覆い部が段部から脱落することを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、階段等の段部を下から見た際に光源からの光が眩しくなく、段部手前の踏み面や床面等を容易に把握することができる照明付滑り止め装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の照明付滑り止め装置をウッドデッキに設置した状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の照明付滑り止め装置の設置状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の照明付滑り止め装置に係る保持部が取り付けられている状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3の照明付滑り止め装置の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図5】本発明の照明付滑り止め装置に係る滑り止め部が取り付けられている状態を示す斜視図である。
【
図6】
図5の照明付滑り止め装置の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】本発明の照明付滑り止め装置に係る金台に滑り止め材が設けられた状態を示す斜視図である。
【
図8】
図7の照明付滑り止め装置の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図9】本発明の変形例1に係る照明付滑り止め装置を示す断面図である。
【
図10】本発明の変形例2に係る照明付滑り止め装置を示す断面図である。
【
図11】本発明の変形例3に係る照明付滑り止め装置を示す断面図である。
【
図12】本発明の照明付滑り止め装置を階段に設置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1及び
図2に示すように、本形態に係る照明付滑り止め装置10は、樹脂製の平板状のデッキ床板12及び幕板17を有するウッドデッキWDの段鼻部18(本発明の角部)を覆うように取り付けられている。この照明付滑り止め装置10は、段鼻部18を、その幅方向に亘って覆う覆い部21と、この覆い部21の内側から光を照射する照明部39とを備えている。
【0023】
覆い部21は、ウッドデッキWDの幅方向に亘って延びているとともに、ウッドデッキWDの段鼻部18の上面19(換言すれば、デッキ床板12の上面)に沿うように配置された滑り止め部22と、この滑り止め部22の前端から垂下しているとともに段鼻部18の前面20(換言すれば、デッキ床板12の前面)と対向するように配置された前垂れ部24とを有している。
【0024】
滑り止め部22は、デッキ床板12の上面に固定されるベース部29と、ベース部29に取り付けられ滑り止め用の複数の凸部28が形成された滑り止め材26を有している。滑り止め材26の前端部27及びベース部29の前端部30は、デッキ床板12の上面の前端(ウッドデッキWDの上面の前端)よりも前方に張り出した張出し部22Aを構成する。
【0025】
図2に示すように、ベース部29及び前垂れ部24は、ステンレスやアルミ等の金属板で一体的に側面視略L字状に形成された金台33により構成されている。具体的には、ベース部29は、段鼻部18の上面19に配置され、略板状に形成されている。ベース部29の後端には、ウッドデッキWDの幅方向に亘って延びる突条部31が形成されており、このベース部29に載置された滑り止め材26の後端が突き当たる。また、ベース部29には、アンカー57を挿通するための挿通孔32が形成されており、この挿通孔32を介して、アンカー57がデッキ床板12に打ち込まれることで、覆い部21がウッドデッキWDに固定されるようになっている。
【0026】
前垂れ部24は、ベース部29の前端部30から略垂直下方に折り曲げられてなる第一垂下部37と、第一垂下部37の下端から略垂直上方に折り曲げられてなる第二垂下部38とから構成されている。そして、第一垂下部37と第二垂下部38とによって2枚の板が前後に重なった形状となることで前垂れ部24を構成している。すなわち、第一垂下部37の後面が、前垂れ部24の後面25となっており、段鼻部18の前面20と所定間隔を空けて対向した状態となっている。換言すれば、前垂れ部24の下端は、段鼻部18の前面20と所定間隔を空けて対向しており、前垂れ部24の下端と段鼻部18の前面との間は、後述する発光部40からの光が通過する間隙部56よりも大きい空間となっている。このため、間隙部56を通過した光がこの空間から下方に広がるように通過するため、広範囲を明るく照明することができる。
【0027】
また、第二垂下部38の上端34は、ベース部29の上面よりも上方に突出しているとともに、後方に向けて折り曲げられている。これによって、第二垂下部38の上端34とベース部29の上面との間に、滑り止め材26の前端を差し込み可能な差し込み間隙51が形成される。滑り止め材26の後端を突条部31に沿って突き当てて位置決めをするとともに、滑り止め材26の前端を差し込み間隙51に差し込むだけで、ベース部29に滑り止め材26を容易に取り付けることができる。
【0028】
図2~
図4に示すように、照明部39は、前垂れ部24、張出し部22A及び段鼻部18の前面20で区画された内部空間S内(覆い部21の内側)に配置されたケース部材41と、このケース部材41に保持された発光部40とを備えている。ケース部材41は、透光性の高い合成樹脂からなっており、ケース部材41を段鼻部18に取り付けるための取付部42と、発光部40の出射光軸が内部空間S内に位置する後述の反射部に向かうように発光部40を保持する保持部46とを備えている。また、照明部39には、後述する反射光が通過可能な間隙部56が、保持部46と段鼻部18の前面20との間に形成されている。
【0029】
本実施形態の発光部40は、複数のLEDが並接されたフレキシブル基板を透光性を有する合成樹脂製のカバー55で被膜したテープライト54を用いている。テープライト54の端部には、配線60に接続するためのコネクタ59が設けられており、ウッドデッキWDの内部に設けられた配線用筒61を介して、図示しない電源に接続される。これによって、テープライト54は電源から電力供給を受けてLEDが発光するようになっている。また、テープライト54はカバー55によって囲繞することにより防水を図っている。
【0030】
ケース部材41は、ウッドデッキWDの幅方向に亘って延びているとともに、上述のように取付部42及び保持部46を有している。取付部42は、
図4に示すように、ケース部材41が段鼻部18に取り付けられた状態において、段鼻部18の前面20から前方に延びた板状の天板部43と、天板部43の後端から下方に垂下した板状の後板部44とから構成されており、側面視略L字状となっている。なお、天板部43の前端は保持部46よりも前方に延びて、下向きに湾曲している。
【0031】
天板部43は、覆い部21の内側に接触(当接)するようになっており、これにより、ウッドデッキWDに対する覆い部21の位置決めが可能となっている。具体的には、天板部43の上面は、張出し部22Aの下面に、換言すると、ベース部29の前端部30の下面に面で接触し、天板部43の前端は、前垂れ部24の後面25に接触することによって、ウッドデッキWDに対する覆い部21の位置が決まるようになっている。これにより、保持部46と後述する反射部との間に間隙部56を形成した状態で保持部46を内部空間S内に配置することができるとともに、ウッドデッキWDに対する覆い部21の取り付けを容易に行うことができる。
【0032】
後板部44には、ネジ58を挿通するための挿通孔(図示せず)形成されており、この挿通孔を介して、ネジ58がデッキ床板12に形成されたネジ穴16に螺合することで、ケース部41が段鼻部18の前面20に取り付けられるようになっている。なお、本実施形態では、固定具(取付具)としてアンカー57やネジ58を用いているが、これに限定されず、使用箇所等に応じて適宜の固定具を用いてもよい。
【0033】
保持部46は、取付部42の後板部44の下端から前方に伸びた板状の天板部47と、天板部47の前端から下方に垂下した板状の前板部48と、前板部48の下端から後方に延びた板状の底板部49とにより、後方(
図2における右方)に開口したU字溝状に形成されている。天板部47の後方側下面には、突条部50が形成されている。底板部49の後端は上向きに湾曲されている。本実施形態では、保持部46の前板部48は、
図2に示すように、前垂れ部24との間に所定の間隔を空けて位置している。これにより、張出し部22Aが荷重を受けることによって前垂れ部24の下端が保持部46の前板部48に向かって若干変位したとしても、前垂れ部24と前板部48とが干渉することを回避できる。
【0034】
このU字溝状に形成された保持部46の内側においては、光源が実装されたフレキシブル基板の実装面(
図2における右側の面)が後方を向くように、発光部40が保持されている。具体的には、発光部40を構成するカバー55の上面が保持部46の天板部47の下面に面で接触し、カバー55の前面が保持部46の前板部48の後面に面で接触し、カバー55の下面が保持部46の底板部49の上面に面で接触するように、発光部40が保持部46の内側に取り付けられる。これによって、発光部40のLEDが段鼻部18の前面20と対向し、LEDの出射光軸が段鼻部18の前面20に向くこととなる。そして、発光部40から段鼻部18の前面20に向けて照射された光はこの前面20により反射するようになっている。換言すれば、段鼻部18の前面20は、この発光部40からの光を反射させる反射部として機能する。
【0035】
そして、保持部46の底板部49と反射部(段鼻部18の前面20)との間には、光が通過可能な間隙部56が形成されており、反射部からの反射光は、間隙部56を通過して発光部40の下方に拡散し、幕板17の前面や床面に照射される。また、ケース部材41は透光性の高い合成樹脂により形成されており、保持部46の底板部49は発光部40の光を透過可能な透光部として機能する。発光部40の光は、底板部49を透過して下方に拡散し、幕板17の前面や床面を照射される。このように、発光部40の光を間隙部56及び底板部49の両方を介して発光部40の下方に照射するようにしたことで、発光部40の光の照射範囲を広げつつより明るく照明することができる。加えて、発光部40の光によって照射された部分と、照射されていない部分との境目をあいまいとすることができる。さらに、通行人に発光部40の光によって照射された部分をウッドデッキWDよりも低い位置から見上げられても眩しくない。
【0036】
次に、ウッドデッキWDに対する照明付滑り止め装置10の取り付けについて説明する。まず、ケース部材41の天板部43の上面が段鼻部18の上面と面一となる位置で、取付部42を段鼻部18の前面20に当接させる。そして、
図3及び
図4に示すように、ケース部材41の取付部42をウッドデッキWDの段鼻部18の前面20にネジ58によって固定する。これにより、照明部39が段鼻部18の前面20に取り付けられる。次に、
図5及び
図6に示すように、金台33を、段鼻部18の前面20に上方から照明部39に覆いかぶさるように載置し、前垂れ部24の後面25に取付部42を当接させた後、ベース部29を段鼻部18の上面19にアンカー57によって固定する。その後、
図7及び
図8に示すように、ベース部29に滑り止め材26を載置するように取り付ける。このようにして、照明付滑り止め装置10は、ウッドデッキWDの段鼻部18に対し、ウッドデッキWDの幅方向に亘って取り付けられる。しかし、この状態では、内部空間Sや配線60、コネクタ59がむき出しの状態となっており、これらを覆い隠すために、
図1に示すように、カバー62をウッドデッキWDの段鼻部18の両端に取り付ける。
【0037】
次に、ウッドデッキWDの段鼻部18に取り付けられた照明付滑り止め装置10の作用を説明する。発光部40から反射部(段鼻部18の前面20)に向けて照射された光は、反射部にて反射して反射光となって、間隙部56や透光性を有する底面部49を介して、ウッドデッキWDの幕板17の前面を照らす。そのため、通行人はウッドデッキWDの前面を容易に把握することができる。
【0038】
また、照明部39は、発光部40からの直接光による照射ではなく、反射部(段鼻部18の前面20)にて反射した反射光による照射を行う。そのため、通行人はウッドデッキWDを低い位置から見上げた場合であっても発光部40の光を直接見ることがないので、眩しさを感じない。さらに、照明部39は、直接光に比べて暗い反射光による照射を行うため、照明部39によって照射された部分と、照射されていない部分との境目をあいまいとすることができる(光のカットラインをあいまいにすることができる)。この結果、ウッドデッキWDの幕板17の前面等をぼんやりとした幻想的な光で照射することができ、高い照明デザイン性を有する照明を行うことができる。
【0039】
また、光源が反射部(段鼻部18の前面20)に対向するように保持部46に保持されているので、ウッドデッキWDを下から見た際に、光源が直接見えないため外観の向上を図ることができる。さらに、照明部39を固定するネジ58のネジ頭の下方に、保持部46に保持された発光部40を配置したことで、この発光部40によりネジ58のネジ頭が隠された状態となっているため、ウッドデッキWDを下から見た際に、ネジ58がむき出しの状態で見えることを防止でき、外観の向上をより一層図ることができる。
【0040】
(変形例)
次に、
図9~
図11に基づいて、本実施形態に係る各種変形例を説明するが、その説明にあたり、上述した実施形態と同様の構成には、同一の符号を付することによって、その説明を省略又は簡略化するものとする。
【0041】
(変形例1)
図9に示すように、この照明付滑り止め装置70には覆い部21の補強を行う補強部材71が設けられている点で、上述の実施形態の照明付滑り止め装置10と異なる。
この照明付滑り止め装置70の補強部材71は、断面略L字状の金属板であり、水平方向に延びる板状の第一補強部72と、第一補強部72の後端から下方に垂下するように延びる板状の第二補強部73とからなっている。変形例1のケース部材141では、取付部142の天板部143の前端が平面に形成されている。また、ケース部材141は、保持部46の天板部147の下面に突条部が形成されていない。補強部材71は、内部空間S内において、第一補強部72が取付部142の天板部143とベース部29の前端30との間に位置し、第二補強部73が取付部142の後板部144と段鼻部18の前面20との間に位置するように設けられている。そして、第二補強部73及び取付部142の後板部144が重なった状態で共に、段鼻部18の前面20にネジ58によって固定されている。この固定状態において、補強部材71の第一補強部72の上面が、ベース部29の下面に面で接触してベース部29を支持するようになっている。このようにすることで、覆い部21の滑り止め部22に外圧がかかっても、覆い部21の変形等を極力防止することができ、ひいては、覆い部21の内部に配置されている発光部40に対し外圧によりダメージが生じるのを極力防止することができる。
【0042】
(変形例2)
図10に示すように、変形例2に係る照明付滑り止め装置74には、変形例1と同様に、覆い部21の補強を行う補強部材71が設けられている。
変形例2のケース部材241は、取付部242の天板部243の前端が平坦に形成されている。また、ケース部材241は、保持部46の天板部247の後端が取付部242よりも後方に延びた突出部248となっている。
【0043】
そして、補強部材71の第二補強部73及び取付部242の後板部244が重なった状態で共に、段鼻部18の前面20にネジ58によって固定されている。この固定状態において、突出部248が段鼻部18の前面20に突き当たっている。これにより施工時にケース部材241がぐらつくのを防止している。また、この固定状態において、補強部材71の第一補強部72の上面が、ベース部29の下面に面で接触してベース部29を支持するようになっている。このようにすることで、変形例1と同様の作用効果を奏する。
【0044】
(変形例3)
図11に示すように、変形例3に係る照明付滑り止め装置79には覆い部21の補強を行う補強部材80が設けられている。
この照明付滑り止め装置79の補強部材80は断面略U字状の金属板であり、水平方向に延びる板状の第一補強部81と、第一補強部81の後端から下方に垂下するように延びる板状の第二補強部82と、この第二補強部82の下端から前方に延びる板状の第三補強部83とからなっている。
【0045】
変形例3のケース部材341における取付部342は、保持部46の天板部347の前端から上方に延びる板状の前板部350を備えている。前板部350の後面には、この後面の上端から補強部材80の第一補強部81の厚み程度の間隔を空けた下方位置から後方に延びる板状の第一突片部351と、この後面の下端から補強部材80の第三補強部83の厚み程度の間隔を空けた上方位置から後方に延びる板状の第二突片部352とが形成されている。また、取付部342の前板部350の上端353は、四分円柱状に形成され、覆い部21の内側に接触(当接)するようになっており、これにより、ウッドデッキWDに対する覆い部21の位置決めが可能となっている。なお、変形例3の保持部46は、変形例2の保持部46と同様なので、説明を省略する。
【0046】
補強部材80は、第一補強部81の上面が段鼻部18の上面19と面一になる位置で、第二補強部82がネジ58によって段鼻部18の前面20に固定される。そして、補強部材80に対しケース部材341を、その取付部342の第二突片部352と保持部46の天板部347との間に第三補強部83の前端が挟まれ、第一突片部351に第一補強部81が接触した状態となるように配置した後、滑り止め部22のベース部29を段鼻部18の上面19にアンカー57によって固定する。これにより、取付部342の第一突片部351とベース部29の前端30との間に第一補強部81の前端が挟まれた状態となり、ケース部341が、補強部材80を介して段鼻部18の前面20に取り付けられる。
【0047】
このようにすることで、変形例1と同様の作用効果を奏するとともに、上述のように、補強部材80だけがネジ58で段鼻部18に固定されているので、破損等によりケース部材341の交換が必要になった際に、補強部材80を固定したままケース部材341を取り外し交換することができる。
【0048】
なお、上述の実施形態では、照明付滑り止め装置10を段部の角部としてのウッドデッキの段鼻部に取り付けたが、本発明はこれに限られず、
図12に示すように、階段STの段鼻部に取り付けることも可能である。この場合、照明付滑り止め装置10は階段の踏み面91の端部や側桁等に沿って配線を設けられ、カバー93で配線を覆われる。
【0049】
本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上述の実施形態においては、発光部は、出射光軸が段鼻部の前面を向くように保持部に保持されていたが、反射光が間隙部を通過して内部空間より下方に通過できれば、出射光軸が内部空間内のその他の面を向く(この場合、光を照射された面が反射部となる)ようにしてもよい。
【0050】
また、上述の実施形態において、ケース部材が透光性を有する合成樹脂により形成されているが、少なくとも保持部の下部である底板部が透光性を有していればよく、その他の部分が透光性の低い合成樹脂や金属等により構成されてもよい。あるいは、保持部が透光性の低い素材によって構成される場合には、保持部の底板部に光通過孔が形成されると好ましい。
なお、上述の実施形態の滑り止め部は、ベース部と滑り止め材とが別体に形成されているが、例えば、ベース部と滑り止め材が一体的に形成されていてもよく、その他、公知の滑り止め部や覆い部と同様に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 照明付滑り止め装置 12 デッキ床板
16 ネジ穴 17 幕板 18 段鼻部
19 段鼻部の上面 20 段鼻部の前面 21 覆い部
22 滑り止め部 22A 張出し部
24 前垂れ部 25 前垂れ部の後面 26 滑り止め材
27 滑り止め材の前端 28 凸部 29 ベース部
30 ベース部の前端部 31 突条部 32 挿通孔
33 金台 34 第二垂下部の上端
37 第一垂下部 38 第二垂下部
39 照明部 40 発光部 41 ケース部
42 取付部 43 取付部の天板部 44 取付部の後板部
46 保持部 47 保持部の天板部 48 保持部の前板部
49 保持部の底板部 50 突条部 51 差し込み間隙
54 テープライト 55 カバー 56 間隙部
57 アンカー 58 ネジ 59 コネクタ
60 配線 61 配線用筒 62 カバー
70 照明付滑り止め装置 71 補強部材 72 第一補強部
73 第二補強部
74 照明付滑り止め装置 78 突出部
79 照明付滑り止め装置 80 補強部材 81 第一補強部
82 第二補強部 83 第三補強部
91 踏み面 93 カバー
141 ケース部材 142 取付部 143 取付部の天板部
144 取付部の後板部 147 保持部の天板部
241 ケース部材 242 取付部 243 取付部の天板部
244 取付部の後板部 247 保持部の天板部 248 突出部
341 ケース部材 342 取付部 347 保持部の天板部
350 前板部 351 第一突出部 352 第二突出部
353 取付部の前板部の上端
WD ウッドデッキ(段部) ST 階段(段部)