(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147428
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】コイルユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
H02K15/04 A
H02K15/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054912
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】311009376
【氏名又は名称】株式会社アスター
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】本郷 武延
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB05
5H615BB14
5H615BB16
5H615PP01
5H615PP12
5H615QQ03
5H615QQ08
5H615QQ19
5H615SS10
5H615SS11
(57)【要約】
【課題】 モータに用いて好適なコイルユニットにおいて、生産性の向上が可能なコイルユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 コイルユニット100の製造方法は、導体を巻回し、連結部300と、連結部300により連結される複数の第一形状コイルC1からなる第一形状コイルユニット101を形成する工程と、第一形状コイルユニット101を成型金型61によって押圧し、複数の第二形状コイルC2を連続した第二形状コイルユニット102を形成する工程と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体を巻回し、連結部と、該連結部により連結される複数の第一形状コイルからなる第一形状コイルユニットを形成する工程と、
前記第一形状コイルユニットを成型金型によって押圧し、複数の第二形状コイルを連続した第二形状コイルユニットを形成する工程と、を有する、
ことを特徴とするコイルユニットの製造方法。
【請求項2】
前記第一形状コイルと前記第二形状コイルは、断面形状が異なるように押圧されるコイルである、
ことを特徴とする請求項1に記載のコイルユニットの製造方法。
【請求項3】
前記第一形状コイルは、丸線コイルであり、前記第二形状コイルは、略平角線コイルである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコイルユニットの製造方法。
【請求項4】
前記第二形状コイルは、1周が略矩形状に形成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコイルユニットの製造方法。
【請求項5】
前記複数の第二形状コイルのうち少なくとも一のコイルが他のコイルに対して相対的に移動するように変形する工程を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコイルユニットの製造方法。
【請求項6】
前記一のコイルが前記他のコイルに隣接するように前記連結部を変形する工程を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のコイルユニットの製造方法。
【請求項7】
変形した後に、前記第二形状コイルユニットを樹脂で被膜する、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のコイルユニットの製造方法。
【請求項8】
前記第二形状コイルユニットを成形した後に焼鈍を行う、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のコイルユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの部品として集中巻きの平角線コイルが用いられている。また、モータに用いて好適なコイルの製造方法として、複数のコイル片の端部同士を圧接する方法が知られている。この平角線コイルは、ステータに取り付けた場合の占積率を向上可能であり、モータの高出力、高性能化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば小型・軽量のモータに採用されるコイルの場合、そのサイズも小さくなるため、特許文献1に記載のようなコイル片をチャックで保持して圧接する方法ではハンドリング性が悪くなる問題がある。
【0005】
また、特にモータ用のコイルの場合、モータ(ステータ)への組付け(取り付け)に際し、コイル同士の接続や、コイルと外部接続部材(端子やバスバーなど)との接続が必須となる。従来では、これらの接続は例えば溶接やねじ止めなどで行われていたが、コイルのサイズが小さい場合にはこれらの接続(作業)が困難になる。
【0006】
また、例えば電気自動車に用いられるモータは高出力、高性能が要求されるが、モータの用途によっては、高出力、高性能化より生産性(量産スピード)の向上が望まれる場合もある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、モータに用いて好適なコイルユニットにおいて、生産性の向上が可能なコイルユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、導体を巻回し、連結部と、該連結部により連結される複数の第一形状コイルからなる第一形状コイルユニットを形成する工程と、前記第一形状コイルユニットを成型金型によって押圧し、複数の第二形状コイルを連続した第二形状コイルユニットを形成する工程と、を有する、ことを特徴とするコイルユニットの製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モータに用いて好適なコイルユニットにおいて、生産性の向上が可能なコイルユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るコイルの製造方法の一例を示すフロー図である。
【
図2】本実施形態に係るコイルを説明する概略図であり、(A)材料となる導体の外観図、(B)コイルの正面(平面)図、(C)コイルの断面図、(D)コイルの断面図である。
【
図3】本実施形態に係るコイルの製造方法の一例を示す概略図であり、(A)断面図、(B)平面図、(C)断面図、(D)平面図である。
【
図4】本実施形態に係るコイルの製造方法の一例を示す概略図であり、(A)断面図、(B)平面図、(C)断面図、(D)平面図、(E)外観斜視図である。
【
図5】本実施形態に係るコイルの製造方法の一例を示す概略図であり、(A)断面図、(B)断面図、(C)断面図、(D)平面図である。
【
図6】本実施形態に係るコイルの製造方法の一例を示す概略図であり、(A)断面図、(B)断面図、(C)断面図である。
【
図7】本実施形態に係るコイルの製造方法の一例を示す概略図であり、(A)断面図、(B)断面図、(C)断面図である。
【
図8】本実施形態に係るコイルユニットの一例を示す概略図であり、(A)上面図、(B)正面図である。
【
図9】本実施形態に係るコイルユニットの製造方法の一例を示すフロー図である。
【
図10】本実施形態に係るコイルユニットの製造方法の一例を示す概略図であり、(A)平面図、(B)上面図である。
【
図11】本実施形態に係るコイルユニットの製造方法の一例を示す概略図であり、(A)平面図、(B)平面図である。
【
図12】本実施形態に係るコイルユニットの製造方法の一例を示す概略図である。
【
図13】本実施形態に係るコイルユニットの製造方法の一例を示す概略図である。
【
図14】本実施形態に係るコイルユニットの製造方法の一例を示す概略図であり、(A)上面図、(B)平面図、(C)平面図である。
【
図15】本実施形態に係るコイルユニットの適用例を示す概略図であり、(A)正面図、(B)斜視図である。
【
図16】本実施形態に係るコイルまたはコイルユニットの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚み等を適宜誇張して表現する。
【0012】
<第1実施形態>
図1から
図7を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るコイルの製造方法の一例を示すフロー図である。また、
図2から
図7は、第1実施形態のコイルの製造方法の一例を説明するための概略図である。
【0013】
まず、
図1を参照して、本実施形態のコイルの製造方法は、丸線コイルの形成工程(ステップS01)と、平角線コイルの形成工程(ステップS03)と、焼鈍工程(ステップS05)と、被覆工程(ステップS07)と、を有する。
【0014】
[丸線コイルの形成工程(ステップS01)]
図2は本実施形態の丸線コイル11を説明する図であり、同図(A)は材料となる導体(金属線材)の外観図、同図(B)は丸線コイルを仮想軸AX方向から視た正面図、同図(C)は同図(B)のX-X線断面図、同図(D)は同図(B)のY-Y線断面図である。
【0015】
図2(A)に示すように、コイルの材料は、例えば、長尺の導体M0であり、詳細には例えば、長手(長尺)方向に直交する断面形状が略円形状である金属線(丸線導体)M0である。丸線導体M0は一例としてアルミニウムを主原料とする金属線である。アルミニウムを主原料とする金属線とは、アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成された金属線をいい、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金を50%以上含む金属の線状材料である。
【0016】
図2(B)~同図(D)に示すように、まず丸線導体M0を螺旋状に巻回して丸線コイル11を形成する。丸線コイル11は、或る仮想軸AXを中心に丸線導体M0を周回させ、その1周回分の領域(以下、「1周分領域CR」という。)を、仮想軸AXの延在方向に重ねるように連続させた螺旋構造体であり、いわゆる集中巻きのコイルである。仮想軸AXは、螺旋(コイル)の軸であり、以下、螺旋軸AXと称する。また複数の1周分領域CRが重なり、螺旋構造を構成する領域をコイルの周回領域という。
【0017】
丸線コイル11は、丸線導体M0を巻回する以外の成型、例えば、直角の角部を形成するなど特別な(意図的な)成型、がなされていないコイルであって、例えば同図(B)に示す平面視の形状が、例えば湾曲した角部を有する(角丸の)略矩形状となるように巻回されている。つまりこの例では、丸線コイル11の巻回(螺旋)の1周(1ターン)分の領域(1周分領域CR)として短辺SSと長辺LSと湾曲した角部(湾曲角部)RRが存在するように成型されている。なお、この丸線コイル11は、平面視(同図(B))において角丸の略矩形状に巻回されたコイルを例示しているが、これに限らず、丸線コイル11は丸線導体M0を巻回したものであればよい。つまり丸線コイル11の平面視形状は、湾曲角部RRを有さない(略)長円形状や(略)楕円形状であってもよい。例えば、モータの部品としてステータへの取り付けるコイルを製造する場合、丸線コイル11は平面視において一方向に長い形状に巻回すると好ましい。この例では同図(B)から同図(D)に示すように、丸線コイル11の1周分領域CRとして短辺SSと長辺LSと湾曲角部RRが存在するように成型されている。また、ここでは一例として、丸線コイル11の両端は、導出部TOとして螺旋の周回領域(1周分領域CRが重なる部分)より外側に位置する。
【0018】
[平角線コイルの形成工程(ステップS03)]
次に、丸線コイル11を成形金型51によって押圧し平角線コイル12を形成する。
図3および
図4は、成型金型51によって、押圧後の外形状が略直方体となるコイル(平角線コイル12)を製造する場合の概略図である。
図3(A),
図3(C),
図4(A)、
図4(C)が
図2(B)のX-X線断面に対応する断面図であり、
図3(B),
図3(D),
図4(B)、
図4(D)が成型金型51による丸線コイル11の成型領域550を示す平面図である。
【0019】
図3(A)に示すように、成形金型51は、一の方向(例えば上下方向)に相対移動可能な第一金型511と第二金型512を有する。
【0020】
この例では、第一金型511が上金型であり、第二金型512が下金型である。第一金型(上金型)511は、ベース部510とベース部510に設けられて成型(押圧)前の丸線コイル11の一部を収容可能な凹部513を有する。つまりこの例では第一金型511が凹状金型である。この場合、凹部513はその全体形状が略直方体であり、その中央付近に挿通穴513Bを有する。挿通穴513B周囲の、凹部513の開放部OPに対向する面(凹部底面、図では上側の面)が、丸線コイル11の押圧面513Aとなる。
【0021】
第二金型512(例えば、下金型)はベース部514と、ベース部514から第一金型511方向に突出するシャフト515を有する。シャフト515は、平面視においてI字状であり、丸線コイル11の内周側に挿通されてこれを支持可能である。つまりこの例では第二金型512が凸状金型である。シャフト515の高さH1は丸線コイル11の高さ(螺旋軸AXの延在方向に沿う厚み)H2より大きい。
【0022】
また、
図3(C)に示すように、凹部513の短手方向の長さ(幅)W1は、丸線コイル11の短辺SSの長さ(幅)W2よりも僅かに大きい。また、同図(D)に示すように、凹部513の長手方向の長さL1は丸線コイル11の長辺LSの長さL2よりも僅かに大きい。
【0023】
図3(B)を参照して、本実施形態の成型領域550は、第一金型511と第二金型512の相対移動(近接)、すなわち凹状金型と凸状金型を組み合わせることによって区画される。成型金型51は成型領域550に丸線コイル11を収容し、これを押圧・変形する。この例では、第一金型511が略直方体形状であり、第二金型512はその内部に収容可能なI字状であるので、成型領域550の形状は、平面視において短辺部551と長辺部552と角部553を有する矩形額縁形状となる。また角部553は、(略)直角となるように(意図的な湾曲部を形成しないように)構成されている。
【0024】
成型領域550は、その周回方向を横断する方向の長さ(周回方向を帯長手方向とした場合の帯短手方向の長さ)を「成型領域550の幅」と定義した場合に、角部553の幅WL3(対角線の長さ)は、長辺部552の幅WL2よりも大きく設定されている。さらに、短辺部551の幅WL1は、長辺部552の幅WL2よりも大きく設定されている。
【0025】
[平角線コイルの形成工程(ステップS03)]
以下、この成形金型51による成型を
図3および
図4を参照して時系列で説明する。まず
図3(A)に示すように第二金型512のシャフト515を丸線コイル11の内周に挿通するように、第二金型512に丸線コイル11を配置する。そして、同図(C)に示すように第一金型511と第二金型512とを互いに近接する方向に相対移動させる。これにより、凹部513は、丸線コイル11の外側を覆う。またシャフト515は、第一金型511の挿通穴513Bに挿通される。丸線コイル11は、第一金型511(の凹部513)と第二金型512(のシャフト515)によって創出された成型領域550に収容される(同図(D))。
【0026】
図4(A)に示すように、第一金型511と第二金型512を更に近接させると、丸線コイル11は成型領域550に収容されつつ、押圧面513Aとベース部514によって螺旋軸AXの延在方向に押圧される。これにより、丸線コイル11は螺旋軸AXの延在方向(螺旋軸方向A1)に沿って丸線導体M0の径が圧縮され、螺旋軸AXに垂直な面方向(螺旋軸交差面方向A2)に沿って丸線導体M0の径が伸長されて、丸線導体M0の延在方向(長手方向、螺旋進行方向)に交差(直交)する断面形状(以下、これを単に「導体の断面形状」という。)が略長丸(楕円、あるいは角丸四角)となる。
【0027】
引き続き、
図4(C)に示すように、第一金型511と第二金型512を近接させ、丸線コイル11を更に押圧する。丸線コイル11は、螺旋軸方向A1に沿って導体M0の長さ(厚み)が更に圧縮され、螺旋軸交差面方向A2に沿って導体の長さ(螺旋進行方向に直交する方向の長さ(帯短手方向の幅))が更に伸長されるとともに、同図(D)に示すように平面視において1周分領域CRの内周側角部RIが略直角に成型され、結果、同図(E)に示すような平角線コイル12が形成される。本実施形態の平角線コイル12は、導体の断面形状が略矩形状(同図(C)参照)となるだけでなく、1周分領域CRの少なくとも内周側角部RI(同図(D)、同図(E)に破線丸印で示す)が略直角となり、1周分領域CRが平面視において略矩形状のコイルとなる。
【0028】
本実施形態では、押圧の対象は
図2に示す丸線導体M0であるが、成型領域550は、
図3(B)に示すように角部553が直角に構成されている。丸線導体M0が螺旋軸方向A1方向に圧縮された場合、その金属材料は螺旋軸交差面方向A2にも流動し、成型領域550の形状に沿って広がる。丸線コイル11の形状としては、
図4に示すように、螺旋進行方向に直交する方向の長さ(帯短手方向の幅)が広がるとともに、湾曲角部RRの曲率が大きくなり、特に1周分領域CRの少なくとも内周側角部RIが略直角の平角線コイル12が成型される。成形金型51による押圧量は、少なくとも成型領域550の角部553に、金属材料が十分に広がる量とする。
【0029】
ここで、本実施形態の成型金型51による成型領域550は、角部553の幅WL3(対角線の長さ)は、長辺部552の幅WL2よりも大きく設定され、さらに、短辺部551の幅WL1は、長辺部552の幅WL2よりも大きく設定されている。短辺部551はその両端の角部553も含めて帯長手方向の直進長さが短い領域であり、押圧される金属材料の局所的な滞留が生じると、意図しない肉厚部が形成される恐れがある。本実施形態では、角部553の幅WL3および短辺部551の幅WL1を長辺部の幅WL2よりも大きくすることで、流動する金属が1周分領域CRの全体に渡って分散しやすくなり、局所的に金属が溜まることによる肉厚部の発生を回避できる。
【0030】
なお、成形金型51による成型、すなわち丸線コイル11から平角線コイル12への成型は、1回の押圧で行ってもよいし、複数回の押圧(スタンピング)によって行ってもよい。
【0031】
平角線コイル12は、
図4(C)に示すように導体の断面形状が略矩形状となるだけでなく、
図4(D),同図(E)に示すように平面視において少なくとも内周側角部RIが略直角の略矩形状のコイルとなる。
【0032】
[焼鈍工程(ステップS05)]
その後、必要に応じて平角線コイル12を焼鈍し、所望の形状に変形する。この変形は例えば、後の被覆工程のための変形であり、平角線コイル12の各周の間を被覆が可能な程度に離間させる。また、例えば所望の端子と接続するための導出部TOの変形を行ってもよい。焼鈍工程は、行わなくてもよい。さらに、例えば金型による成型によって平角線コイル12の例えば側面などにバリ(意図しない突出部位など)が生じている場合には、焼鈍工程の前または後にバリの除去工程を行ってもよい。
【0033】
[被覆工程(ステップS07)]
次に、平角線コイル12の導体の表面を絶縁樹脂で被覆(被膜)する。絶縁樹脂の被覆は例えば、電着塗装により行う。例えば焼鈍後の成型により、平角線コイル12の螺旋の各周は離間されており、螺旋構造の全体にわたって、塗料液との十分な接触が可能となる。これにより、螺旋の各周の導体は互いに絶縁される。なお、絶縁樹脂の被膜は、絶縁樹脂材料の吹き付けや、絶縁樹脂のインジェクションモールドなどにより行ってもよい。
【0034】
また、絶縁樹脂を被覆した後、平角線コイル12の適宜の成型(例えば、1周分領域CR間の距離を縮小する圧縮やコイル外形上の成型をなど適宜行い、平角線コイル12を完成させる。
【0035】
以上本実施形態によれば、丸線導体M0を螺旋状に巻回し、成形金型51によって螺旋軸方向A1に押圧(プレス)することで、精度の高い平面視矩形状の平角線コイル12を容易に形成できる。
【0036】
平角線コイル12は、長尺の導体を螺旋状に巻回してなり、外形状が略直方体形状に構成されたコイルであり、導体の断面形状が略矩形状である。また平角線コイル12は、螺旋の軸方向から視た平面視において、少なくとも内周側角部RIが略直角に形成された、1周分領域CRが略矩形状のコイルとなる。
【0037】
このような内周側角部RIが略直角の平角線コイル12は、例えば、ステータに装着した場合の占積率を向上させることができ、モータの高性能化に寄与する。つまり、本実施形態によれば、モータ部品として好適な平角線コイル12を複雑な工程や装置を必要とせず、シンプルな装置および工程で製造でき、製造コストを低減できるとともに、生産性(量産スピード)を向上させることができる。
【0038】
図5から
図7を参照して成型金型51の他の例について説明する。
図5から
図7はそれぞれ、他の成形金型51を用いて平角線コイル12を製造する例を示す図であり、
図5から
図7の各図(A)が
図3(A)、各図(B)が
図4(A)、および各図(C)が
図4(C)に対応する断面図である。また、
図5(D)は
図3(B)に対応する成型領域550の平面図である。
【0039】
図5は、製造される平角線コイル12の外形状が略直方体形状であって、成形金型51の第一金型(上金型)511が凸状金型であり、第二金型(下金型)512が凹状金型である例である。
図5(A)に示すように、成形金型51の第一金型(上金型)511は、ベース部516と、ベース部516から第二金型512方向に突出する押圧部517を有する。押圧部517は、その外形が直方体形状である。押圧部517はまた、その中央付近に平面視I字状の挿通穴517Bを有しており(
図5(D)参照)、平面視において矩形額縁状の突起となっている。押圧部517は第二金型512との対向面に押圧面517Aを有する。
【0040】
第二金型(下金型)512は、ベース部520に設けられた略直方体形状の凹部518と、その中央付近に突出するシャフト519を有する。シャフト519は、
図3に示すシャフト515と同様に、平面視においてI字状である(
図5(D))。押圧部517の一部、凹部518に収容可能であるとともに、シャフト519は、挿通穴517Bに挿通可能である。
【0041】
この場合、
図5(A)に示すように丸線導体M0で形成された丸線コイル11は第二金型512の凹部518に収容され、第一金型511の押圧部517によって螺旋軸方向A1に押圧(圧縮)される(同図(B))。この場合、丸線コイル11の成型領域550は、第一金型511の押圧部517と、第二金型512の凹部518および凹部513により区画され、その平面視における形状は、
図5(D)に示すように短辺部551と角部553と長辺部552を有する矩形額縁形状となる。つまり成型領域550の形状は、
図3(B)に示す成型領域550と同様である。丸線コイル11は成型領域550に収容されつつ押圧され、
図5(C)に示すように平角線コイル12が成型される。平角線コイル12の外観形状は、
図4(E)に示すものと同様である。
【0042】
すなわち、この場合の平角線コイル12も、長尺の導体を螺旋状に巻回してなり、外形状が略直方体形状に構成されたコイルであり、導体の断面形状が略矩形状である。また平角線コイル12は、螺旋の軸方向から視た平面視において、少なくとも内周側角部RIが略直角に形成された、1周分領域CRが略矩形状のコイルとなる。
【0043】
図6は、完成状態のコイル(平角線コイル12)の外形状が略四角錐台となる成型金型51の例である。この例では、完成状態のコイル(平角線コイル12)の外形状が四角錐台となる以外は、
図5に示す金型の構成と同様である。具体的には、
図6(A)に示すように、成形金型51の第一金型(上金型)511は、ベース部516と、ベース部516から突出する押圧部517を有する。押圧部517は、その外形が四角錐台形状であるとともに、その中央付近に平面視においてI字状の挿通穴517Bを有し、平面視において矩形額縁形状の突起となっている。押圧部517は、その先端の第二金型512との対向面が押圧面517Aとなる。第二金型(下金型)512は、凹部518と、その中央付近に突出する平面視においてI字状のシャフト519を有する。凹部518の形状は四角錐台形状である。凹部518には押圧部517の一部を収容可能であり、シャフト519は、挿通穴517Bに挿通可能である。
【0044】
丸線コイル11の成型領域550は、第一金型511の押圧部517と第二金型512の凹部518により区画され、その平面視における形状は、
図5(D)と同様に短辺部551と角部553と長辺部552を有する矩形額縁形状となる。
【0045】
この場合、
図6(A)に示すように丸線導体M0で形成された丸線コイル11は第二金型512の凹部518に収容され、第一金型511の押圧部517(押圧面517A)によって螺旋軸方向A1に押圧(圧縮)される(同図(B))。これにより、
図6(C)に示すように平角線コイル12が成型される。
【0046】
この例の平角線コイル12の外観は、その外形が略四角錐台形状となる以外は、
図4(E)に示すものと同様である。すなわち平角線コイル12は、長尺の導体を螺旋状に巻回してなり、外形状が略四角錐台形状に構成されたコイルであり、導体の断面形状が略矩形状である。また平角線コイル12は、螺旋の軸方向から視た平面視において、少なくとも内周側角部RIが略直角に形成された、1周分領域CRが略矩形状のコイルとなる。
【0047】
図7は、完成状態のコイル(平角線コイル12)の外形状が略四角錐台となる成型金型51の他の例である。この例では、完成状態のコイル(平角線コイル12)の外形状が四角錐台となる以外は、
図3、
図4に示す金型の構成と同様である。具体的には、成形金型51の第一金型(上金型)511は、ベース部510とベース部510に設けられて成型(押圧)前の丸線コイル11の一部を収容可能な凹部513と、その中央付近において平面視においてI字状の挿通穴513Bを有する。また、第二金型512(例えば、下金型)はベース部514と、ベース部514から第一金型511方向に突出する、平面視においてI字状のシャフト515を有する。成形金型51において、第一金型511(の凹部513)と第二金型512(のシャフト515)によって区画される成型領域550は
図3(D)と同様の矩形額縁形状である。
【0048】
この場合、
図7(A)に示すように丸線導体M0で形成された丸線コイル11は第一金型511の凹部513に収容されつつ、凹部513の押圧面513Aとベース部514によって螺旋軸方向A1に押圧(圧縮)される(同図(B))。これにより、
図7(C)に示すように平角線コイル12が成型される。
【0049】
この例の平角線コイル12の外観は、その外形が略四角錐台形状となる以外は、
図4(E)に示すものと同様である。すなわち平角線コイル12は、長尺の導体を螺旋状に巻回してなり、外形状が略四角錐台形状に構成されたコイルであり、導体の断面形状が略矩形状である。また平角線コイル12は、螺旋の軸方向から視た平面視において、少なくとも内周側角部RIが略直角に形成された、1周分領域CRが略矩形状のコイルとなる。
【0050】
ここで、例えば
図5に示す成形金型51は、押圧の進行に伴い、下金型512の内部側面に上金型511の外部側面が入り込む構成であり、
図5(B)、同図(C)に示すように押圧時において両者の側面B1、B2が近接して対向し微小な隙間が形成されるとともに、側面B1,B2同士が相対的に移動する。このような構成の場合、押圧条件や、導体の材料(特に変形し易い材料の場合)によっては、この隙間に押圧によって流動的に変形する導体の一部が入り込む(挟まる)場合があり、これによりコイルの外周に意図しない肉厚部、またはバリのように上金型方向に向かう突出部が形成される恐れがある。この場合には、必要に応じて、第二形状平角線コイル12および/または平角線コイル12の成型後(被覆工程前)に肉厚部やバリ状の突出部を除去することが望ましい。
【0051】
これに対し
図3、
図4および
図7に示す構成の金型の場合、第一金型511と第二金型512において近接対向して相対移動する側面(
図5の側面B1,B2に相当する構成)が存在しない。つまり、少なくとも成型対象(丸線コイル11、平角線コイル12)の側面部分においては第一金型511と第二金型512の間に導体が入り込む隙間が生じない。このため、コイル外周に意図しない肉厚部またはバリ状の突起が形成されることを防ぐことができる。
【0052】
以上、本実施形態の丸線導体M0は、アルミニウムを主原料とする金属線である場合を例示したが、これに限らず、銅を主原料とする金属線であってもよいし、他の金属を主原料とする金属線であってもよい。「(或る)金属を主原料とする」金属線とは、当該金属または、当該金属の合金により構成された金属線をいい、例えば、当該金属または当該金属の合金を50%以上含む金属の線状材料である。
【0053】
また、丸線導体M0は異なる複数の金属の複合材料であってもよい。一例として、丸線導体M0の長手方向において、第一金属(例えば、銅など)とそれとは異なる第二金属(例えば、アルミニウムなど)が接続されたものであってもよい。この場合丸線導体M0は長手方向において、金属材料が異なる種類に切り替わる。つまり当該丸線導体M0を巻回した丸線コイル11及びこれを成型してなる平角線コイル12は、螺旋の進行方向(周回の途中)において金属材料が異なる種類に切り替わるコイルとなる。これにより例えば、平角線コイル12をステータに取り付けた場合に、ロータに近い側の螺旋のターン(1または複数の1周分領域CR)をアルミニウムで構成し、他のターンを銅で構成した平角線コイル12を製造することもできる。
【0054】
さらにこの場合、複数の金属材料の接続はそれぞれの長手方向の端面同士を押圧(例えば、冷間圧接)などによって接合すると好ましい。
【0055】
なお、上記の実施形態では、丸線コイル11は、その外形状が略直方台形状になるように巻回される例を示したが、丸線コイル11はその外形状が四角錐台形状に巻回されてもよい。
【0056】
<第2実施形態>
図8から
図14を参照して本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、複数のコイルC2が連結されたコイルユニット100の製造方法に係るものであり、第1実施形態のコイルの製造方法を応用可能である。
【0057】
図8は、第2実施形態のコイルユニット100の一例を示す外観図であり、同図(A)が上面図であり、同図(B)がコイルユニット100を構成する或るコイルC2(C21)の螺旋軸AX方向から視た正面図である。
【0058】
同図に示すように第2実施形態のコイルユニット100は、複数(ここでは3個)のコイルC2が連結部300によって連結されて構成される。3個のコイルC2(C21~C23)はそれぞれ、例えば螺旋構造の集中巻きコイルであり、螺旋軸AX方向から視た正面図において1周分領域CRが略矩形状の平角線コイルである。コイルユニット100は各コイルC2の長辺LSを隣接(近接)するように並べて配置され、各コイルC2の周回領域とは重ならない位置(この例では各コイルC2の螺旋(周回領域)の上方)において連結部300(300A,300B)により連結されている。具体的に第一のコイル(
図8において左に配置されるコイルC21)はその巻回の一の端部T1が導出部TO(TO1)となり、他の端部T2が第二のコイル(
図8において中に配置されるコイルC22)の一の端部T3と一の連結部300Aにより連結する。第二のコイルC22の他の端部T4は第三のコイル(
図8において右に配置されるコイル)C23の一の端部T5と、他の連結部300Bにより連結し、第三のコイルC23の他の端部T6は、他の導出部TO(TO2)となる。
【0059】
コイルユニット100は、3個のコイルC2が一体的に絶縁樹脂で覆われている。コイルユニット100は、各コイルC2の螺旋を展開した場合には1本の導体となるが、絶縁樹脂はその1本の導体の表面を覆う。つまり、それぞれのコイルC2の周回領域部分において、それぞれの1周分領域CRは他の1周分領域CRと絶縁樹脂により絶縁される。
【0060】
図9は、第2実施形態のコイルユニット100の製造方法の流れの一例を示すフロー図である。コイルユニット100の製造方法は、導体を巻回し、連結部300と、連結部300により連結される複数の第一形状コイルC1からなる第一形状コイルユニット101を形成する工程(ステップS11)と、第一形状コイルユニット101を成型金型によって押圧し、複数の第二形状コイルC2を連続した第二形状コイルユニット102を形成する工程(ステップS13)と、連結部300を変形する工程(ステップS15)と、第二形状コイルユニット102を焼鈍する工程(ステップS17)と、第二形状コイル102を樹脂材料により被覆する工程(ステップS19)を有する。
【0061】
ここで、第2実施形態における第一形状コイルC1と第二形状コイルC2は、いずれも導体を巻回してなるコイルであり、巻回が進行する方向(導体の延在方向、長手方向)に交差する(直交する)導体の断面形状および/またはサイズ(断面積)が異なるコイルである。
【0062】
具体的には、第一形状コイルC1は、例えば、導体の断面形状が略円形の長尺の導体(丸線導体M0)を螺旋状に巻回してなり、外形状が略直方体形状(または略四角錐台形状)に構成されたコイルである。すなわち一例として第一形状コイルC1は、
図2に示す丸線コイル11である。なお、第2実施形態の導体(丸線導体M0)は、第1実施形態において説明したものと同様である。
【0063】
また第二形状コイルC2は例えば、長尺の導体を螺旋状に巻回した構成を有し、導体の断面形状が非円形であって、コイルの外形が略四角錐台形状(または直方体形状)に構成されたコイルである。第二形状コイルC2の導体の断面形状は一例として、略矩形状である。また、第二形状コイルは、螺旋の軸方向から視た平面視において、少なくとも内周側角部RIが略直角に形成された、1周分領域CRが略矩形状のコイルである。すなわち一例として第二形状コイルは、
図4(E)、
図7に示すような平角線コイル12である。
【0064】
以下の説明では、一例として、第一形状コイルC1が丸線コイル11(
図2参照)であり、第二形状コイルC2が、外形状が略四角錐台形状の角線平角線コイル12(
図7,
図8)である場合について説明する。また、以下、主に第1実施形態と異なる部分について説明し、特に記載がない事項については第1実施形態と同様として説明を省略する。
【0065】
すなわち、
図8に示すコイルユニット100は、完成状態としては第1実施形態の平角線コイル12を、連結部300を介して複数(この例では3個)連続させたものであり、
図2に示すような1本の丸線導体M0から形成される。以下、本発明の第2実施形態に係るコイルユニットの製造方法の一例について説明する。
【0066】
[第一形状コイル(丸線コイル)ユニットの形成工程(ステップS11)]
まず、丸線導体M0を巻回して、連結部300と、該連結部300により連結される複数の丸線コイル11からなる第一形状コイルユニット(丸線コイルユニット)101を形成する。
【0067】
図10は、丸線コイルユニット101の外観図であり、同図(A)が螺旋軸AX方向から視た図(平面図)であり、同図(B)が同図(A)を図示上方から視た概略図(上面図)である。
【0068】
丸線コイルユニット101は、この例では3つの丸線コイル11A~11Cが連結部300によって連結された構成である。以下、3つの丸線コイル11A~11Cを区別する必要がある場合は、説明の便宜上、第一丸線コイル11A,第二丸線コイル11B,第三丸線コイル11Cと称する。
【0069】
丸線コイルユニット101の材料(線材)は、第1実施形態(
図2(A))と同様の丸線導体M0である。より詳細には、丸線導体M0を所望のターン数で巻回し、第一丸線コイル11Aを形成する。第一丸線コイル11Aの端部T1は導出部TO1となる。そして当該第一丸線コイル11Aの他の端部T2を非巻回状態で所定の長さ確保し、それに連続して第二丸線コイル11Bを巻回する。第二丸線コイル11Bの端部T3と、第一丸線コイル11Aの端部T2とは連続し、端部T2,T3間の非巻回状態の丸線導体M0が連結部300(300A)となる。同様に、第二丸線コイル11Bの他の端部T4を非巻回状態で所定の長さ確保し、それに連続して第三丸線コイル11Cを巻回する。第三丸線コイル11Cの端部T5と、第二丸線コイル11Bの端部T4は連続し、端部T4,T5間の非巻回状態の丸線導体M0が連結部300となる。第三丸線コイル11Cの他の端部T6は、他の導出部TO2となる。
【0070】
この例では、3つの丸線コイル11A~11Cの初期(金型による押圧前)の平面視の配置として、
図10(A)に示すように三角形状(略Y字状)に配置し、それぞれを連結部300で連結している。しかしながら、それぞれの丸線コイル11が所定長さの連結部300で連結した構成であれば、初期の配置はこの例に限らない。例えば3つの丸線コイル11A~11Cが互いに連結部300を介して接続され、長辺LS同士が平行となるように横並びになるように配置される構成であってもよい。
【0071】
この例では
図10(B)に示すように、螺旋軸AXをR方向から視た場合において、3つの丸線コイル11A,11B,11Cは螺旋の巻き方向(巻回の方向)が同一であり、例えばいずれも反時計回り(左巻き)に巻回されている。3つの丸線コイル11A,11B,11Cはいずれも時計回り(右巻き)に巻回されていてもよい。
【0072】
このようにして、連結部300と、該連結部300により連結される複数(ここでは3つ)の丸線コイル11A~11Cからなる丸線コイルユニット101が形成される。導出部TO1、TO2と連結部300はいずれも丸線コイル11A~11Cの螺旋の周回領域より外側に位置する。
【0073】
[第二形状コイルユニット(平角線コイルユニット)の形成工程(ステップS13)]
次に、丸線コイルユニット101を成形金型61によって押圧し、第二形状コイルユニット(平角線コイルユニット)102を形成する。
図11は、成形金型61の一例を示す概略図であり、同図(A)が、第一金型611の平面図であり、同図(B)が第二金型612の平面図である。成形金型61は、一の方向(例えば上下方向)に相対移動可能な第一金型611と第二金型612を有し、第一金型611と第二金型612の近接によって、丸線コイルユニット101の一部を押圧する。
【0074】
一例として、成形金型61は、一対(一組)の第一金型611と第二金型612とで押圧可能な丸線コイル11の数が複数(ここでは3)である点、すなわち丸線コイルユニット101を一体的に押圧可能である点以外は、第一実施形態の構成と同様である。つまり第一金型(例えば、上金型)611は一つのベース部610に3つの凹部613が形成されている。3つの凹部613は同一構成(形状)であって、いずれも断面視も含めて第1実施形態の例えば
図3、
図4または
図7に示す凹部513と同様である。つまり凹部613は中央付近に挿通穴613Bが設けられ、その周囲の凹部613底面が押圧面613Aとなる。また、第二金型612(例えば、下金型)はベース部614と、ベース部614から第一金型611方向に突出するシャフト615を有する。3つのシャフト615は同一構成(形状)であり、いずれも断面視も含めて第1実施形態の例えば
図3、
図4または
図7に示すシャフト515と同様である。ここでは一例として、
図8に示すように第二形状コイルC2(平角線コイル12)の外形状が略四角錐台形状であり、成型金型61の構成は、
図7と同様とする。なお、成型金型61は、第1実施形態の
図5または
図6に示すような構成であってもよい。
【0075】
以下、成形金型61による成型を時系列で説明する。押圧時のそれぞれの丸線コイル11A~11Cの断面形状は、第1実施形態と同様となるので、
図3、
図4、
図7等を参照する。
図11(B)に示すようにまず第二金型612の3つのシャフト615のそれぞれに丸線コイル11A~11Cに挿通する。そして、第一金型611と第二金型612が互いに近接する方向に相対移動させる(
図7(A)参照)。第一金型611の3つの凹部613は、対応する丸線コイル11A~11Cの外側を覆う。また第二金型612のシャフト615は、第一金型611に設けた挿通部613Bに挿通される(
図3(C)参照)。第一金型611と第二金型612を更に近接させると、丸線コイル11A~11Cはそれぞれ、第一金型611の押圧面613Aと、第二金型612のベース部614およびシャフト615で区画される成型領域(
図3に示す成型領域550と同様)に収容されつつ、押圧面613Aとベース部614によって螺旋軸方向A1に押圧される(
図7(B)参照)。
【0076】
これにより、丸線コイル11A~11Cは螺旋軸方向A1に沿って丸線導体M0の径が圧縮され、螺旋軸交差面方向A2に沿って丸線導体M0の径が伸長されて、平角線コイル12A~12Cが形成される。本実施形態の平角線コイル12A~12Cは、導体の断面形状が略矩形状となるだけでなく、1周分領域CRの少なくとも内周側角部RIが略直角となり、1周分領域CRが平面視において略矩形状のコイルとなる(
図7(C),
図4(E)参照)。
【0077】
なお、
図11において詳細な図示は省略するが、一例として丸線コイルユニット101の導出部TOおよび連結部300は例えば、スペーサ(および/またはカバー)などによって押圧力の影響を受けない(潰れない)ように構成されている。つまり丸線コイルユニット101は、複数の丸線コイル11A~11Cの実質的な螺旋構造部分のみが押圧され、連結部300は丸線導体M0の当初の形状が維持される。
【0078】
このようにして複数の平角線コイル12A~12Cが丸線導体M0の連結部300によって連結された平角線コイルユニット102が形成される。
【0079】
[連結部の変形工程(ステップS15)]
次に、連結部300の変形工程について、
図12を参照して説明する。
図12は平角線コイルユニット102を螺旋軸AX方向から視た平面図である。平角線コイルユニット102は、3つの平角線コイル12A~12Cが丸線導体M0の連結部300(300A,300B)により連結されている。以下、3つの平角線コイル12A~12Cを区別する場合には、説明の便宜上、第一平角線コイル12A、第二平角線コイル12B、第三平角線コイル12Cと称して説明する。
【0080】
本工程では、複数の平角線コイル12A~12Cのうち、少なくとも一のコイルが他のコイルに対して相対的に移動するように変形する。具体的には、少なくとも一のコイルが、他のコイルに隣接(近接)する位置に移動するように連結部300を変形する。連結部300の変形は、例えば、曲げ変形および/または捻じり変形であり、伸長が含まれてもよい。
【0081】
具体的に説明すると、この例では、
図12(A)に示すように、連結部300(300A,300B)は所定の長さを有し、3つの平角線コイル12A~12Cが略Y字状の位置に離間して配置されている。本工程では連結部300を変形する(例えば、所定の方向に折り曲げる)ことで、離間している3つの平角線コイル12A~12Cを互いの長辺LS同士が隣接または近接するような位置(横並びとなる位置)に移動させる。なお、平角線コイル12A~12Cは螺旋軸AXの方向にプレスされているのみであり、それぞれの巻回の方向(螺旋の進行方向)は、この例では
図10(B)に示す状態から変化していない。また、
図12(A)は例えば、
図11に示す成型金型61によって成型された状態であり、3つの平角線コイル12A~12Cは、ほぼ一の水平面内に配置されている。より厳密には、平角線コイル12A~12Cのそれぞれの少なくとも最上層または最下層(最外周または最内周)の1周分領域CRは略同一面内に配置されている。
【0082】
そして、例えば、
図12(B)に示すように、第三平角線コイル12Cを、螺旋の軸AXの延在方向は維持したまま、第二平角線コイル12Bの周りを回転させてその右側に隣接するように連結部300Bを折り曲げる(同図(C))。3つの平角線コイル12A~12Cは、ほぼ一の水平面内に配置されているため、例えば同図(B)に示す変形に際し、第三平角線コイル12Cの一部と第一平角線コイル12Aの一部(例えば、破線丸印付近など)が干渉する場合がある。そのような場合は、第二平角線コイル12Bの周りを回転するように第三平角線コイル12Cを移動させつつ、第三平角線コイル12Cをその螺旋軸AX方向にも移動させるように捻じる変形を加える。
【0083】
そして同図(D)に示すように第一平角線コイル12Aを、螺旋の軸AXの延在方向は維持したまま、第二平角線コイル12Bの周りを回転させ、その左側に隣接するように連結部300Aを変形させる(同図(E))。なお、連結部300の変形の順は上記の例に限らない。例えば、連結部300Aの変形により第一平角線コイル12Aの位置を移動させた後に連結部300Bを変形させて第三平角線コイル12Cの位置を移動させてもよい。
【0084】
これにより、それぞれの長辺LSが隣接すように3つの平角線コイル12A~12Cが横並びとなった平角線コイルユニット102が得られる。
【0085】
図13は、
図12(A)に示す状態から連結部300を変形させる他の例を示す図である。
図13に示すように、第一平角線コイル12Aを、螺旋の軸AXの延在方向は維持したまま、第二平角線コイル12Bの右側に隣接するように連結部300Aを変形し(折り曲げ)、第三平角線コイル12Cを、螺旋の軸AXの延在方向は維持したまま、第二平角線コイル12Bの左側に隣接するように連結部300Bを変形し(折り曲げて)、
図13(B)に示すように3つの平角線コイル12A~12Cが互いに横並びで隣接した平角線コイルユニット102を形成してもよい。
【0086】
図14は、平角線コイル12A~12C(丸線コイル11A~11C)の連結状態および、連結部300の変形の他の例を示す概要図である。
図14(A)は
図10(B)に対応する平角線コイルユニット102の上面図であり、
図14(B)、同図(C)は平角線コイルユニット102を螺旋の軸方向から視た平面模式図である。
【0087】
図14(A)に示す例では、螺旋軸AXをR方向から視た場合に、連結部300で連結される3つの平角線コイル12A~12Cは、螺旋の巻き方向(巻回の方向)が互いに異なり、すなわち巻き方向が互いに逆方向になるように変化する。例えば、第一平角線コイル12Aは時計回り(右巻き)に巻回され、第二平角線コイル12Bは反時計回り(左巻き)に巻回され、第三平角線コイル12Cは時計回り(右巻き)に巻回されている。なお、それぞれ上記と逆方向の巻回でもよい。これらは、丸線コイルユニット101を形成する段階でそのように巻回されている。
【0088】
この場合は例えば、
図14(B)に矢印で示すように連結部300Aを、連結部300A(丸線導体M0)の軸周りに回転させるように捻じりながら、第一平角線コイル12Aを第二平角線コイル12Bの右側に位置するように移動させる。また連結部300Bを、連結部300B(丸線導体M0)の軸周りに回転させるように捻じりながら、第三平角線コイル12Cを第二平角線コイル12Bの左側に位置するように移動させる。
【0089】
これにより、同図(C)に示すようにそれぞれの長辺LSが隣接するように3つの平角線コイル12A~12Cが横並びとなった平角線コイルユニット102が形成される。
【0090】
なお、3つの平角線コイル12A~12Cの巻き方(巻回方向)および/または連結部300の変形方法は一例であり、図示のものに限らず、他の巻き方、他の変形を行ってもよい。
【0091】
また、連結部300の変形後の3つの平角線コイル12A~12Cの位置関係は、
図12(E)、
図13(B)、
図14(C)などに示す横並びのものに限らない。平角線コイル12A~12C間の距離は図示のものより離間していてもよいし、横並びではなく例えば、有る平角線コイル12の長辺LSに対して他の平角線コイルの長辺LSが傾斜するように配置するなど、任意の配置を選択できる。
【0092】
[焼鈍工程(ステップS17)]
次に、必要に応じて、平角線コイルユニット102を焼鈍し、所望の形状に変形する。この変形は例えば、後の被覆工程のための変形であり、平角線コイル12A~12Cのそれぞれにおいて、各1周分領域CR周の間、および/または連結部300A、300Bの間に樹脂の付着(被覆)が可能な程度に離間させる。また、例えば所望の端子と接続するための導出部TO(TO1,TO2)の変形を行ってもよい。
【0093】
なお、焼鈍工程は、本工程に加えて連結部300の曲げ工程の前に行ってもよいし、本工程に替えて、連結部300の曲げ工程の前に行ってもよい。
【0094】
[被覆工程(ステップS19)]
次に、平角線コイルユニット102の導体の表面を絶縁樹脂で被覆する。これにより、
図8に示すようなコイルユニット100が形成される。絶縁樹脂の被覆は例えば、電着塗装により行う。平角線コイル12A~12Cの螺旋の各周は、焼鈍後の成型によって離間されており、螺旋構造の全体にわたって(長尺の1本の導体の表面が)、塗料液との十分な接触が可能となる。これにより、平角線コイル12A~12Cのそれぞれの螺旋構造の各1周分領域CR間は互いに絶縁される。なお、絶縁樹脂の被膜は、絶縁樹脂材料の吹き付けや、絶縁樹脂のインジェクションモールドなどにより行ってもよい。
【0095】
なお、第2実施形態では3つの平角線コイル12A~12Cを連結させる構成を例示したが、平角線コイル12(元になる丸線コイル11)の接続数はこの例に限らない。例えば、5個の平角線コイル12(元になる丸線コイル11)を連結部300にて連結させる構成であってもよい。
【0096】
また、第二形状コイルユニット(平角線コイルユニット)102の形成工程(ステップS13)は、連結部300の変形工程(ステップS15)の後に行ってもよい。すなわち、第一形状コイルユニット101を形成(ステップS11)した後、連結部300を変形(ステップS15)して各コイルを所望の位置に配置し、その後、押圧して第二形状コイルユニット102を形成(ステップS13)してもよい。
【0097】
また、図示は省略するが、必要に応じてコイルユニット100(または平角線コイルユニット102)の導出部TO1、TO2の少なくとも一方に、外部接続部材を接続する。外部接続部材は、例えば、端子またはバスバーである。外部接続部材と導出部TO1,TO2の接合は例えば、両者の端面同士を突き合わせて押圧する圧接(冷間圧接)により行うことができる。この接合は例えば、溶接や、導電性接着剤による接着であってもよい。この外部接続部材は、丸線導体M0(例えば、アルミニウムを主成分とする金属材料)と同じ金属材料(例えば、アルミニウムを主成分とする金属材料)であってもよいし、丸線導体M0と異なる金属材料(例えば、銅を主成分とする金属材料(銅または銅合金など)であってもよい。例えば、導出部TO1、TO2を十分長く確保して連結部300の曲げ工程などで所望の形状に変形し、それを外部接続部材(例えば、バスバー)としてもよい。そのようにすることで別途、外部接続部材を接続することなく、バスバー付きのコイルユニット100を形成できる。
【0098】
導出部TO1,TO2に後発的に外部接続部材を接続する場合は、例えば、絶縁樹脂の被覆前に行うとよい。あるいは絶縁樹脂の被覆後に、導出部TO1,TO2部分の絶縁樹脂を剥離し、接続してもよい。
【0099】
<ステータ部材>
図15は、上記のコイルユニット100を複数組(ここでは4組)連続させて構成したステータ部材800の一例を示す。同図(A)が、ある一つの平角線コイル12の螺旋の軸方向から視た正面図であり、同図(B)が斜視図である。
【0100】
4組のコイルユニット100(100A~100B)は、接続部(バスバー)400によって連結される。接続部400は例えば、4組のコイルユニット100に連続する導体で構成できる。すなわち、例えば、一組の成形金型61(
図11参照)で成形可能なコイル数をそれぞれ12個にすることで、上記と同様の方法により形成できる。具体的には、1本の丸線導体M0を巻回し、例えば3個一組の丸線コイルユニット101を4組形成する。各丸線コイルユニット101はそれぞれ、
図10に示すように、3個の丸線コイル11が所定長さの連結部300を介して連続するように巻回される。またさらに、4組の丸線コイルユニット101のそれぞれは所定長さの接続部(バスバー)400を介して連続するように巻回される。
【0101】
そして、一組の成形金型61によって成型を行い、連結部300を変形して4組の平角線コイルユニット102を形成する。さらに必要に応じて接続部400を変形する。これにより、同図に示すような4組のコイルユニット100(100A~100B)が接続部(バスバー)400により連結したステータ部材800が形成される。この場合接続部400は、コイルユニット100と例えば、同材料である。
【0102】
あるいはまた、
図11に示す成型金型61(3つの平角線コイル12からなる平角線コイルユニット102が形成可能な金型)を用いて個別に形成した4組の平角線コイルユニット102と、外部接続部材となる接続部400とを、圧接などによって接続して形成してステータ部材800を形成してもよい。この場合、接続部400(外部接続部材)は、4組のコイルユニット100(100A~100B)のそれぞれの導出部TOと接続する。この場合接続部400は、コイルユニット100と同材料であってもよいし異なる材料(例えば銅など)であってもよい。
【0103】
いずれの場合も、連結部300および接続部400は、(金型に設けた)スペーサやカバー(いずれも不図示)などによって保護され、押圧されない。
【0104】
なお、このようなステータ部材800を形成する場合には、連続する複数組の平角線コイルユニット102を形成後(複数組の平角線コイルユニット102を接続後)に、絶縁樹脂の被覆工程(ステップS19)を行うようにしてもよい。
【0105】
このステータ部材800を更に複数形成し、円環状のステータコア(不図示)に取り付けることで、複数の平角線コイル12が円環状に配置されたステータが構成される。例えば、一組のコイルユニット100を構成する3つの平角線コイル12A~12C(あるいは、各コイルユニット100)の電流または電圧の位相をそれぞれ異ならせ、例えば、U相、V相、W相とすることで、三相モータのステータ部材800を製造できる。
【0106】
なお、
図15に示すステータ部材800は、平角線コイル12の螺旋軸AX方向が、モータの軸方向に直交するラジアルギャップ型のモータに採用されるものである。しかしこれに限らず、本実施形態のコイルユニット100の製造方法によれば、
図10などに示す丸線コイルユニット101の形状(巻き方、配置)や、
図12などに示す連結部300の変形の態様を適宜変更することで、平角線コイル12の螺旋軸AX方向が、モータの軸方向と平行になるアキシャルギャップ型のモータに採用されるステータ部材を形成することもできる。
【0107】
以上、本実施形態(第1実施形態、第2実施形態)では、第一形状コイルが丸線コイル11であり、第二形状コイルが平角線コイル12である場合について説明した。しかしながら、第一形状コイルと第二形状コイルは、導体の断面形状および/またはサイズ(断面積)が異なるコイルであれば上記の例に限らない。以下これについて説明する。
【0108】
図16は、本実施形態の第一形状コイルC1と第二形状コイルC2について説明する概要図であり、
図2(B)のX-X線に対応する断面図概要図である。
図16(A)~同図(D)において左側が第一形状コイルC1の一例であり、右側が第二形状コイルC2の一例である。
【0109】
図16(A)は上述の本実施形態の例である。すなわち、導体の断面形状が略円形状の丸線コイル11を第一形状コイルC1とし、これを成型金型51、61により押圧(プレス)して、第二形状コイルC2として導体の断面形状が略矩形状の平角線コイル12を形成する。
【0110】
図16(B)は他の例であり、導体の断面形状が略円形状の丸線コイル11を第一形状コイルC1とし、これを成型金型51、61により押圧(プレス)して、第二形状コイルC2として導体の断面形状が長円(楕円)形状の平丸線コイルを形成してもよい。
【0111】
図16(C)は他の例であり、導体の断面形状が長円(楕円)形状の平丸線コイルを第一形状コイルC1とし、これを成型金型51、61により押圧(プレス)して、第二形状コイルC2として導体の断面形状が略矩形状の平角線コイルを形成してもよい。
【0112】
図16(D)は他の例であり、導体の断面形状が厚い略矩形状(略正方形状、または多角形状)の角線コイルを第一形状コイルC1とし、これを成型金型51、61により押圧(プレス)して、第二形状コイルC2として導体の断面形状が略矩形状(または多角形状)の平角線コイル12を形成してもよい。
【0113】
なお、第一形状コイルC1と第二形状コイルC2の外形状は
図16に示すものに限らず、いずれの場合も略直方体形状であってもよいし、略四角錐台形状であってもよい。
【0114】
以上本実施形態によれば、例えば、丸線導体M0を螺旋状に巻回し、成形金型によって螺旋の軸AX方向に押圧(プレス)することで、精度の高い平面視矩形状の平角線コイル12を形成できる。平面視矩形状(平面視における角部が略直角)の平角線コイル12は、ステータに装着した場合の占積率を向上させることができ、モータの高性能化に寄与する。つまり、モータ部品として好適な平角線コイル12を複雑な工程や装置を必要とせず、シンプルな装置および工程で製造でき、製造コストを低減できるとともに、生産性(量産スピード)を向上させることができる。
【0115】
なお、連結部300および/または接続部400の少なくとも一部が(コイルと同様に)押圧されてもよい。
【0116】
また、平角線コイルユニット(第二形状コイルユニット)102の形成工程において、例えば
図11に示す成型金型61を用いて、3つの丸線コイル(第一形状コイル)11A~11Cを同じタイミングで押圧する場合を例示した。しかしこれに限らず、3つの丸線コイル11A~11Cは異なるタイミングで押圧されるものであってもよい。具体的には、例えば、1つの平角線コイル12を形成可能な成形金型を用い、3つの丸線コイル11A~11Cを個別に順次、当該成型金型にセットして押圧し、平角線コイルユニット102を形成してもよい。
【0117】
繰り返しになるが、本実施形態の導体(例えば丸線導体M0)は、例えば、銅を主成分とする金属材料やアルミニウムを主成分とする金属材料などである。導体は、複数の金属材料が長手方向に接続されて構成されてもよく、例えば、銅を主成分とする金属材料およびアルミニウムを主成分とする金属材料を端面同士で押圧して連続させて(これらを1回または複数回繰り返して)1本の導体としたものであってもよい。つまりコイル(第一形状コイルC1、丸線コイル11)の周回途中において異なる金属材料に変化するものであってもよい。また、コイルユニット100を構成する複数のコイル同士が、異なる金属材料で構成されてもよい。
【0118】
また、第一形状コイルC1(丸線コイル11)を第二形状コイルC2(平角線コイル12)に成型する場合に、形状やサイズの異なる2以上の成型金型を使用して複数回の押圧工程が行われてもよい。
【0119】
さらに、上記の実施形態では、第一形状コイルC1(丸線コイル11)および第二形状コイルC2(平角線コイル12)として、導体を螺旋状に巻回した集中巻きのコイルである場合を例示したが、これに限らず、仮想軸を中心とする周回領域(1周分領域CR)が、一方向(例えば、ステータの周方向)にずれるように巻回される、いわゆる分布巻き、波巻きのコイルであってもよい。
【0120】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0121】
11 丸線コイル
11A 第一丸線コイル
11B 第二丸線コイル
11C 第三丸線コイル
12 平角線コイル
12A 第一平角線コイル
12B 第二平角線コイル
12C 第三平角線コイル
51、61 成型金型
100 コイルユニット
101 第一形状コイルユニット(丸線コイルユニット)
102 第二形状コイルユニット(平角線コイルユニット)
300 連結部
400 接続部(バスバー)
510 ベース部
511 第一金型(上金型)
512 第二金型(下金型)
513 凹部
513A 押圧面
514 ベース部
515 シャフト
516 ベース部
517 押圧部
518 凹部
519 シャフト
520 ベース部
550 成型領域
551 短辺部
552 長辺部
553 角部
610 ベース部
611 第一金型
612 第二金型
613 凹部
614 ベース部
615 シャフト
800 ステータ部材
A1 螺旋軸方向
A2 螺旋軸交差面方向
AX 仮想軸(螺旋軸)
C1 第一形状コイル
C2 第二形状コイル