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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147448
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】除湿装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B01D53/26 100
B01D53/26 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054947
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】源水 和夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 広宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕基
(72)【発明者】
【氏名】森 一馬
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄大
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA08
4D052BA04
4D052BB02
4D052CB00
4D052DA02
4D052DA06
4D052DB01
4D052FA06
4D052GB02
(57)【要約】
【課題】通常使用時の異常な昇温を検知可能であり、加えて異常使用時の異常な昇温を速やかに検知可能とすることで、除湿装置の安全性を向上させることを目的とする。
【解決手段】平面部20を有する除湿ロータ16と、平面部上流面20aに対向する加熱部19と、危険温度に伴う危険を回避するための危険回避部6と、を備え、危険回避部6は、加熱部19の送風路11における上流側近傍の空気の危険温度を検知する第一温度センサ31と、加熱部19と除湿ロータ16を通過した直後の空気の危険温度を検知する第二温度センサ32と、平面部上流面20a近傍かつ、回転方向における加熱部19の下流側直近の空気の危険温度を検知する第三温度センサ33と、第一温度センサ31、第二温度センサ32、第三温度センサ33の少なくとも一つの危険温度の検知に基づいて加熱部19の動作を停止させる停止部34と、を備える除湿装置。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と吹出口とを有する本体ケースと、
圧縮機、放熱器、膨張器、吸熱器を順次環状に連結し冷媒を循環する冷凍サイクルと、
前記吸込口と前記吹出口とを連通する送風路と、
前記吸込口から前記吹出口に空気を導く送風機と、
前記送風路を通過することで前記送風路内を通過する空気を除湿する平面部を有する除湿ロータと、
前記除湿ロータを回転させる駆動部と、
前記平面部の前記送風路における上流側の面である平面部上流面に対向し前記平面部を加熱する加熱部と、
危険温度に伴う危険を回避するための危険回避部と、を備え、
前記危険回避部は、
前記加熱部の前記送風路における上流側近傍の空気の危険温度を検知する第一温度センサと、
前記加熱部と前記除湿ロータを通過した直後の空気の危険温度を検知する第二温度センサと、
前記平面部上流面近傍かつ、前記回転方向における前記加熱部の下流側直近の空気の危険温度を検知する第三温度センサと、
前記第一温度センサ、前記第二温度センサ、前記第三温度センサの少なくとも一つの危険温度の検知に基づいて前記加熱部の動作を停止させる停止部と、を備える除湿装置。
【請求項2】
前記第一温度センサ、前記第二温度センサ、前記第三温度センサのうち少なくとも一つは、周囲温度を測定すると共に前記周囲温度が前記危険温度に達した際に前記停止部に停止信号を送信する温度判定部であり、
前記停止部は、前記温度判定部からの前記停止信号を受信して前記加熱部の動作を停止させる、請求項1記載の除湿装置。
【請求項3】
前記第一温度センサ、前記第二温度センサ、前記第三温度センサのうち少なくとも一つは、周囲温度が前記危険温度に達した際に溶断することで前記加熱部の動作を停止させる温度ヒューズであり、
前記停止部は、前記温度ヒューズ自体である請求項1または2記載の除湿装置。
【請求項4】
前記平面部は、前記平面部の前記送風路における下流側の面である平面部下流面を備え、
前記平面部上流面は、第一区画と、第二区画とに区切られており、
前記平面部下流面は、前記第一区画と面対称関係にある第三区画と、前記第二区画と面対称関係にある第四区画とに区切られており、
前記送風路は、前記第一区画、前記第三区画、前記第四区画、前記第二区画の順に空気が通過し、
前記加熱部は、前記第一区画に対向し、
前記第三温度センサは、前記第二区画に対向している請求項1から3のいずれかに記載の除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸込口と吹出口を有する本体ケース内には、冷凍サイクルと、除湿ロータと、加熱部と、送風機と、駆動部とを有している。冷凍サイクルは、圧縮機、放熱器、膨張器、吸熱器を順次環状に連結し、冷媒が循環する。除湿ロータは、吸湿部および放湿部を有し、駆動部によって回転する。圧縮機と、加熱部と、送風機と、駆動部とは、制御部によって制御される。
【0003】
本体ケース内には、送風機によって、吸込口から空気を吸引し、放熱器、加熱部、放湿部、吸熱器、吸湿部の順に供給して、吹出口から排出する風路と吸込口から空気を吸引し、放熱器に供給して、吹出口から排出する風路を有している(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、加熱部による加熱に起因する装置内の危険を回避するための安全装置として、加熱部の周辺に設けられた第1の温度検知手段と、加熱部が対向している放湿部の通過後の風路中に設けられた第2の温度検知手段とを備えたものがある。(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5391642号公報
【特許文献2】特許第4432768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の除湿装置においては、加熱部の故障による加熱部の異常な昇温、駆動部の故障で除湿ロータの回転が遅くなることによる除湿ロータの異常な昇温、送風機の故障で除湿ロータへの通風量が少なくなることによる除湿ロータの異常な昇温、という通常使用時に起こりうる故障パターンがある。それに対し、従来の除湿装置は加熱部の異常な昇温については加熱部の周辺に設けられた第1の温度検知手段で検知をし、除湿ロータの異常な昇温については放湿部通過後の風路中に設けられた第2の温度検知手段で検知を行うことで、通常使用時に起こりうる故障パターンに対して、安全性を確保していた。一方で、使用者により化学物質が非常に多い環境下で除湿装置が使用されるという異常使用がある。この異常使用時に、吸込口から吸気した空気中に含まれる化学物質は、除湿ロータに吸着される。そして、除湿ロータに吸着した化学物質の影響により、水分の吸着および放出が阻害され、除湿ロータ自体が過熱され異常昇温する。第2の温度検知手段は、加熱部が対向している放湿部の通過直後の風路中に設けられているため、加熱部の発する熱の影響を受ける。加熱部の発する熱の温度は除湿ロータ自体の異常な昇温時の温度よりも高いため、第2の温度検知手段は加熱部の発する熱の影響により除湿ロータ自体の異常な昇温を速やかに検知することができない。そのため、異常使用時においても通常使用時同様に安全性を確保できる構成とすることが求められている。
【0007】
そこで本発明は、通常使用時の異常な昇温を検知可能であり、加えて異常使用時の異常な昇温を速やかに検知可能とすることで、除湿装置の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る除湿装置は、吸込口と吹出口とを有する本体ケースと、圧縮機、放熱器、膨張器、吸熱器を順次環状に連結し冷媒を循環する冷凍サイクルと、前記吸込口と前記吹出口とを連通する送風路と、前記吸込口から前記吹出口に空気を導く送風機と、前記送風路を通過することで前記送風路内を通過する空気を除湿する平面部を有する除湿ロータと、前記除湿ロータを回転させる駆動部と、前記平面部の前記送風路における上流側の面である平面部上流面に対向し前記平面部を加熱する加熱部と、危険温度に伴う危険を回避するための危険回避部と、を備え、前記危険回避部は、前記加熱部の前記送風路における上流側近傍の空気の危険温度を検知する第一温度センサと、前記加熱部と前記除湿ロータを通過した直後の空気の危険温度を検知する第二温度センサと、前記平面部上流面近傍かつ、前記回転方向における前記加熱部の下流側直近の空気の危険温度を検知する第三温度センサと、前記第一温度センサ、前記第二温度センサ、前記第三温度センサの少なくとも一つの危険温度の検知に基づいて前記加熱部の動作を停止させる停止部と、を備えたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通常使用時の異常な昇温を検知可能であり、加えて異常使用時の異常な昇温を速やかに検知可能とすることで、安全性が向上した除湿装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態の除湿装置の背面斜視図
図2】同装置の本体ケースの内部構成を正面から見た分解斜視図
図3】同装置の冷凍サイクルを正面から見た斜視図
図4】同装置の図2の枠線Bで囲まれた部分の分解斜視図
図5】同装置の送風機の分解斜視図
図6】同装置のデシカント部を背面側からみた平面図
図7】同装置のデシカント部を正面側からみた平面図
図8】本発明の実施の形態1の除湿装置の図1の枠線Aの面における概略断面図
図9】本発明の実施の形態2の除湿装置の図1の枠線Aの面における概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態)
最初に、図1を用いて本実施の形態に係る除湿装置の構成を説明する。図1は本発明の実施の形態における除湿装置の背面斜視図である。
【0013】
本実施形態の除湿装置1は、外郭を形成する箱形状の本体ケース2を備える。
【0014】
本体ケース2は、吸込口3と、吹出口4と、を備え、内部に後述する除湿機能部5および危険回避部6を備える。
【0015】
吸込口3は、屋内空間の空気を本体ケース2内に吸い込むための開口であり、本体ケース2の背面に設けられている。
【0016】
吹出口4は、本体ケース2内から屋内空間に空気を吹き出すための開口であり、本体ケース2の上部(天面)に設けられている。
【0017】
続いて、図2を用いて除湿機能部の詳細構造を説明する。図2は本発明の実施の形態における除湿装置の本体ケースの内部構成を正面から見た分解斜視図である。
【0018】
除湿機能部5は、吸込口3から本体ケース2に空気を吸い込んで除湿し、吹出口4から吹き出す機能を持つものである。除湿機能部5は、冷凍サイクル7と、デシカント部8と、送風機9と、貯水部10と、後述する送風路11を備える。
【0019】
冷凍サイクル7は、環状の流路に対し冷媒を循環させて、通過する空気へと温度変化をもたらすことにより、空気の除湿を行う。詳細については後述する。
【0020】
デシカント部8は、後述する除湿ロータ16を用いて通過する空気との間で水分の吸湿と放湿を行うことにより、空気の除湿を行う。詳細については後述する。
【0021】
送風機9は、吸込口3から本体ケース2内に吸い込んだ屋内空間の空気を、送風路11を介して吹出口4より屋内空間へと吹き出す。詳細については後述する。
【0022】
貯水部10は、本体ケース2の下方に着脱自在に設けられ、冷凍サイクル7とデシカント部8の除湿により生成された除湿水を集めて貯水する。
【0023】
送風路11は、吸込口3と吹出口4とを連通する風路である。詳細については後述する。
【0024】
続いて、図3を用いて冷凍サイクルの詳細構造を説明する。図3は本発明の実施の形態における除湿装置の冷凍サイクルを正面から見た斜視図である。
【0025】
冷凍サイクル7は、圧縮機12と放熱器13と膨張器14と吸熱器15とを順次環状に連結し冷媒を循環している。
【0026】
圧縮機12は、内部を通過する気体状態の冷媒を圧縮し昇温させる。
【0027】
放熱器13は、送風路11内を通過する空気に対して冷媒から放熱させて、冷媒を凝縮し液体とさせる。放熱器13は、冷媒からの放熱により送風路11内を通過する空気を加熱する。
【0028】
膨張器14は、通過する冷媒を減圧膨張させて一部の液を蒸発させる。
【0029】
吸熱器15は、送風路11内を通過する空気より冷媒へと吸熱をすることで、膨張器14で蒸発しなかった残りの冷媒を蒸発気化させる。吸熱器15は、冷媒への吸熱により送風路11内を通過する空気を冷却する。また、吸熱器15は、本体ケース2内において放熱器13よりも正面側に設けられている。
【0030】
続いて、図4を用いてデシカント部の詳細構造を説明する。図4は本発明の実施の形態における除湿装置の図2の枠線Bで囲まれた部分の分解斜視図である。
【0031】
デシカント部8は、除湿ロータ16と、支持枠17と、駆動部18と、加熱部19と、を備える。
【0032】
除湿ロータ16は、円板形状であり、本体ケース2において支持枠17によって保持されている。除湿ロータ16は、当該円板形状における中心軸が、除湿装置の稼働状態において水平かつ回転可能に立設され、駆動部18により回転する。また、除湿ロータ16は、平面部20を備える。
【0033】
平面部20は、送風路11を通過するように設けられた円形の面であり、送風路11内を通過する空気を除湿する。平面部20は、送風路11の送風方向における上流側の面であり後に図示する平面部上流面20aと、送風路11の送風方向における下流側の面である平面部下流面20bと、を備える。また、平面部20は平面部上流面20aと平面部下流面20bに跨る吸湿部21と、放湿部22と、を備える。
【0034】
吸湿部21は、平面部20における後述する第二の開口23bと第四の開口24bの間に位置する箇所であり、送風路11内を通過する空気から水分を吸着する。
【0035】
放湿部22は、平面部20における後述する第一の開口23aと第三の開口24aの間に位置する箇所であり、送風路11内を通過する空気へと水分を放出する。
【0036】
支持枠17は、背面側支持枠23と正面側支持枠24とで除湿ロータ16を挟み込むことで、本体ケース2内に除湿ロータ16を保持する。
【0037】
背面側支持枠23は、円形の枠であり、本体ケース2の背面側より除湿ロータ16に接している。背面側支持枠23は、平面部上流面20aに対向する位置に第一の開口23aと、第二の開口23bとを備える。
【0038】
正面側支持枠24は、円形の枠であり、本体ケース2の正面側より除湿ロータ16に接している。正面側支持枠24は、平面部下流面20bに対向する位置に第三の開口24aと、第四の開口24bとを備える。なお、第三の開口24aは第一の開口23aと同形状であり、平面部20を基準として対称関係にある。同様に、第四の開口24bは第二の開口23bと同形状であり、平面部20を基準として対称関係にある。
【0039】
駆動部18は、除湿ロータ16を回転させるものであり、本実施の形態においては電気によって駆動するモーターが用いられる。駆動部18が除湿ロータ16を回転させることで、平面部20は吸湿部21と放湿部22に属する位置が変化しつづける。
【0040】
加熱部19は、電熱線を用いて熱を発生させるものであり、第一の開口23aに対向する位置に設けられている。即ち、平面部上流面20aに対向する位置に設けられている。加熱部19は、給電により発熱し、平面部20の放湿部22を加熱することによって放湿部22から送風路11の下流側へ向けて水分を放出させている。
【0041】
続いて、図5を用いて送風機の詳細構造を説明する。図5は本発明の実施の形態における除湿装置の送風機の分解斜視図である。
【0042】
送風機9は、吸込口3から本体ケース2内に吸い込んだ屋内空間の空気を、送風路11を介して吹出口4へと導き、吹出口4より吹き出させるものであり、ケーシング25と、羽根部26と、を備える。
【0043】
ケーシング25は、羽根部26を囲っており、正面側給気口25aと、背面側給気口25bと、吐出口25cとを備える。
【0044】
正面側給気口25aは、第二の開口23bを通過した空気をケーシング25内に吸い込むための開口であり、第二の開口23bと対向する位置に設けられている。
【0045】
背面側給気口25bは、放熱器13を通過した空気をケーシング25内に吸い込むための開口であり、放熱器13と対向する位置に設けられている。
【0046】
吐出口25cは、正面側給気口25aおよび背面側給気口25bからケーシング25内の吸い込まれた空気を吹出口4へ向けて吹き出すための開口である。
【0047】
羽根部26は、シロッコファンであり、正面側ファン26aと背面側ファン26bとを形成するように、仕切り板26cによって正面側と背面側とに仕切られている。
【0048】
正面側ファン26aは、シロッコファンであり、正面側給気口25aから吐出口25cに空気を導く。
【0049】
背面側ファン26bは、シロッコファンであり、背面側給気口25bから吐出口25cに空気を導く。
【0050】
続いて、図6図7を用いて平面部上流面と平面部下流面の詳細構造を説明する。図6は本発明の実施の形態における除湿装置のデシカント部を背面側からみた平面図である。図7は本発明の実施の形態における除湿装置のデシカント部を正面側からみた平面図である。
【0051】
図6に示すように、平面部上流面20aは、第一区画27と、第二区画28とを備える。
【0052】
第一区画27は、図6に示すように扇形を有する区画であり、背面側支持枠23の第一の開口23aと対向しており、一部の箇所が加熱部19と対向している。第一区画27は、放湿部22に含まれる。
【0053】
第二区画28は、図6に示すように扇形を有し、第一区画とで円形を形成する区画である。第二区画28は、背面側支持枠23の第二の開口23bと対向している。第二区画28は、吸湿部21に含まれる。
【0054】
平面部下流面20bは、図7に示すように第三区画29と、第四区画30とを備える。
【0055】
第三区画29は、正面側支持枠24の第三の開口24aと対向している。第三区画29は、第一区画27と表裏一体であり、面対称となっている。第三区画29は、放湿部22に含まれる。
【0056】
第四区画30は、正面側支持枠24の第四の開口24bと対向している。第四区画30は、第二区画28と表裏一体であり、面対称となっている。第四区画30は、吸湿部21に含まれる。
【0057】
続いて、図8を用いて送風路の詳細構造を説明する。図8は本発明の実施の形態における除湿装置の図1の枠線Aの面における概略断面図である。
【0058】
送風路11は、吸込口3と吹出口4とを連通する風路であり、除湿風路11Aと、冷却風路11Bと、を備える。
【0059】
除湿風路11Aは、本体ケース2の吸込口3と、放熱器13と、加熱部19と、第一区画27と、第三区画29と、吸熱器15と、第四区画30と、第二区画28と、正面側給気口25aと、吐出口25cとをこの順に連通し、吹出口4に至る風路である。
【0060】
冷却風路11Bは、本体ケース2の吸込口3と、放熱器13と、背面側給気口25bと、吐出口25cとをこの順に連通し、吹出口4に至る風路である。
【0061】
続いて、図5図7を用いて危険回避部の詳細構造を説明する。
【0062】
危険回避部6は、除湿機能部5にて危険温度に伴う危険を回避するものであり、第一温度センサ31と、第二温度センサ32と、第三温度センサ33と、停止部34と、を備える。なお、危険とは、加熱部19の加熱に起因した除湿装置1の故障を意味する。また、危険温度とは、本体ケース2内の各所において異常な昇温が発生した際に到達しうる温度であり、危険温度以上が一定時間維持された場合に当該危険の発生しうる温度である。
【0063】
第一温度センサ31は、加熱部19の背面に固定されており、空気の温度を検知する。第一温度センサ31は、固定されている箇所の周囲温度を測定し、危険温度を検知した際には停止部34へと停止信号を送信する温度判定部35を構成する。
【0064】
第二温度センサ32は、正面側支持枠24の第三の開口24aの近傍の位置に固定されており、空気の温度を検知する。第二温度センサ32は、固定されている箇所の周囲温度を測定し、危険温度を検知した際には停止部34へと停止信号を送信する温度判定部35を構成する。
【0065】
第三温度センサ33は、背面側支持枠23より第二区画28に対向するように突出しており、第二区画28の除湿ロータ16の回転方向における加熱部19の下流側直近に固定されている。第三温度センサ33は、固定されている箇所の周囲温度を測定し、危険温度を検知した際には停止部34へと停止信号を送信する温度判定部35を構成する。
【0066】
停止部34は、除湿機能部5への給電を制御する制御装置であり、温度判定部35からの停止信号を受信可能な受信部を備える。停止部34は、第一温度センサ31、第二温度センサ32、第三温度センサ33少なくとも一つからの停止信号を受信部が受信した際には、加熱部19への給電を停止するように制御を行う。即ち、停止部34は、第一温度センサ31、第二温度センサ32、第三温度センサ33の少なくとも一つの危険温度の検知に基づいて、加熱部19の動作を停止させるものである。
【0067】
以上の構成において、除湿機能部5の詳細な動作について説明する。
【0068】
送風機9により吸込口3から除湿風路11Aに吸引された屋内空間の空気は、放熱器13を通過することで放熱器13内の冷媒より温度を奪い、温度が上昇する。次に、放熱器13通過後の空気は、次に加熱部19を通過することで、加熱部19の加熱により更に温度が上昇する。
【0069】
次に、加熱部19通過後の空気は、除湿ロータ16の放湿部22である第一区画27と第三区画29とをこの順に通過する。この際、第一区画27と第三区画29とを通過する空気は、放熱器13および加熱部19を通過することで高温となっているため、放湿部22である第一区画27と第三区画29を昇温させて、第一区画27と第三区画29とに含まれる水分を下流側へ向けて放出させる。
【0070】
次に、放熱器13および加熱部19によって昇温し、第一区画27と第三区画29とに含まれていた水分により絶対湿度が上昇した空気は、吸熱器15を通過することで吸熱器15内の冷媒により温度が奪われ(冷却)、温度が低下する。この際、温度低下により空気の温度は露点以下となり、凝縮が発生する。この凝縮で発生した水は、貯水部10に集められ貯水される。
【0071】
次に、露点以下となり飽和状態となった空気は、吸湿部21である第二区画28と第四区画30とをこの順に通過する。この際、第二区画28と第四区画30とを通過する空気は、飽和状態であり、吸湿部21である第二区画28と第四区画30とによって水分が吸着される。
【0072】
これらの作用により湿度が低下した空気は、正面側給気口25aよりケーシング25内に吸い込まれ、吐出口25cを介して吹出口4より屋内空間へと吹き出される。これによって、屋内空間の除湿が行われる。
【0073】
また、吸込口3から冷却風路11Bに吸引された屋内空間の空気は、放熱器13を通過することで放熱器13内の冷媒より温度を奪い、温度が上昇する。その後、背面側給気口25bよりケーシング25内に吸い込まれ、吐出口25cを介して吹出口4より屋内空間へと吹き出される。これによって、放熱器13を冷却することが出来、除湿風路11A内の吸熱器15の冷却効果を高めることができる。即ち、除湿風路11Aの除湿効果を高めることができる。
【0074】
ところで、この除湿装置1においては、使用者により化学物質が非常に多い環境下で使用される異常使用がある。この異常使用時において、吸込口3から吸気した空気中に含まれる化学物質は、除湿風路11A内で除湿ロータ16に吸着される。加熱部19から加熱された際に、除湿ロータ16は化学物質の影響により、水分の吸着および放出が阻害され、除湿ロータ16自体が過熱され異常昇温する。当該異常使用時においても通常使用時同様に安全性を確保するために、除湿ロータ16を通過した後の空気温度と除湿ロータ16自体の温度を個別に検知できる構成とすることが望ましい。また、加熱部19が故障し異常な昇温を生じた際、除湿ロータ16の昇温は加熱部19の故障より所定時間経過後に発生する。即ち、除湿ロータ16を通過した後の空気温度と除湿ロータ16自体の温度を個別に検知する構成だけでは加熱部19の異常な昇温を速やかに検知することができない。このため、加熱部19の故障をより速やかに検知するために、加熱部19周辺の温度を検知できる構成とすることが除湿装置1の安全性の向上において必要である。
【0075】
以下、危険回避部6の詳細な動作について説明する。
【0076】
第一温度センサ31は、加熱部19の背面に固定されているため、加熱部19の除湿風路11Aにおける上流側近傍の空気の温度を検知する。加熱部19が異常な昇温をした際には、加熱部19の除湿風路11Aにおける上流側近傍の空気の温度も異常発生前に比べて上昇する。加熱部19の除湿風路11Aにおける上流側近傍の空気が危険温度に達した際には、第一温度センサ31は温度判定部35として停止部34へと停止信号を送信する。停止信号を受信部によって受信した停止部34は、加熱部19への給電を停止する。給電が停止された加熱部19は動作を停止し、加熱部19の温度は低下する。
【0077】
これによって、加熱部19の除湿風路11Aにおける上流側近傍の空気の温度が危険温度になった際に、速やかに加熱部19の動作を停止することで、危険温度に伴う危険を回避することができる。
【0078】
第二温度センサ32は、正面側支持枠24の第三の開口24aの近傍の位置に固定されているため、加熱部19と除湿ロータ16の第三区画29を通過した直後の空気の温度を検知する。即ち、加熱部19と除湿ロータ16とを順に通過した直後の空気の温度を検知する。加熱部19もしくは除湿ロータ16が異常な昇温をした際には、除湿ロータ16を通過した空気の温度も異常発生前に比べて上昇する。除湿ロータ16を通過した空気が危険温度に達した際には、第二温度センサ32は温度判定部35として停止部34へと停止信号を送信する。停止信号を受信部によって受信した停止部34は、加熱部19への給電を停止する。給電が停止された加熱部19は動作を停止し、除湿ロータ16への加熱が停止するため、除湿ロータ16を通過した空気の温度は低下する。これによって、除湿ロータ16を通過した空気の温度が危険温度になった際に、速やかに加熱部19の動作を停止することで、危険温度に伴う危険を回避することができる。
【0079】
第三温度センサ33は、背面側支持枠23より第二区画28に対向するように突出しているため、除湿ロータ16の第二区画28近傍の空気の温度を検知する。即ち、除湿ロータ16の平面部上流面20a近傍の空気の温度を検知する。除湿ロータ16自体が異常な昇温をした際には、除湿ロータ16の平面部上流面20a近傍の空気の温度も異常発生前に比べて上昇する。除湿ロータ16の平面部上流面20a近傍の空気が危険温度に達した際には、第三温度センサ33は温度判定部35として停止部34へと停止信号を送信する。停止信号を受信部によって受信した停止部34は、加熱部19への給電を停止する。給電が停止された加熱部19は動作を停止し、除湿ロータ16への加熱が停止するため、平面部上流面20a近傍の温度は低下する。
【0080】
これによって、除湿ロータ16の平面部上流面20a近傍の空気の温度が危険温度になった際に、速やかに加熱部19の動作を停止することで、危険温度に伴う危険を回避することができる。
【0081】
以上の動作により、通常使用時の加熱部19と除湿ロータ16の異常な昇温を検知可能であり、加えて異常使用時の除湿ロータ16の異常な昇温を速やかに検知可能とすることで、安全性が向上した除湿装置を提供することができる。
【0082】
また、第三温度センサ33は、本実施の形態のように除湿ロータ16の回転方向における加熱部19の下流側直近に設けられていることが望ましい。
【0083】
平面部上流面20a近傍の空気の昇温は、加熱部19による加熱で除湿ロータ16に付着した化学物質の影響で水分の吸着および放出が阻害されることで生じる。除湿ロータ16に付着した化学物質は、平面部上流面20aを通過する除湿風路11Aの空気によって冷やされるため、除湿ロータ16の回転方向において加熱部19から下流に離れた位置ほど温度は低くなる。そのため、除湿ロータ16の回転方向における加熱部19の下流に離れた位置では、当該位置より上流の位置に比べて平面部上流面20a近傍の空気の温度が低くなる。即ち、異常な昇温の発生前と発生後での空気の温度差が小さくなる。
【0084】
このため、第三温度センサ33を設ける位置を除湿ロータ16の回転方向における加熱部19の下流に離すほど、第三温度センサ33が平面部上流面20a近傍の空気の危険温度を検知するのが困難となる。上記の理由により、第三温度センサ33は、本実施の形態のように除湿ロータ16の回転方向における加熱部19の下流側直近に設けられていることが望ましい。
【0085】
以上の構成としたことにより、異常使用時の除湿ロータ16の異常な昇温を正確に検知可能となり、安全性が向上する。
【0086】
また、第三温度センサ33は平面部上流面20a近傍の空気を検知できれば良いため平面部上流面20aである第一区画27に対向する位置でも良いが、本実施の形態のように第二区画28に対向する位置に設けることが望ましい。
【0087】
第三温度センサ33は、平面部上流面20a近傍の空気を検知するために平面部上流面20aに対向する位置に設ける必要がある。第三温度センサ33を第一区画27に対向する位置に設けた場合、第三温度センサ33は除湿風路11Aにおいて第一区画27より上流側に位置する。一方で、第三温度センサ33を第二区画28に対向する位置に設けた場合、第三温度センサ33は除湿風路11Aにおいて第二区画28より下流側に位置する。平面部上流面20aより下流側の空気は、平面部上流面20aより上流側の空気に比べて平面部上流面20aの温度変化の影響を受けやすい。そのため、第三温度センサ33は第二区画28に対向する位置に設けることが望ましい。
【0088】
以上の構成としたことにより、異常使用時の除湿ロータ16の異常な昇温をより速やかに検知可能となり、安全性が向上する。
【0089】
(実施の形態2)
図9は実施の形態2の除湿装置の図1の枠線Aの面における概略断面図である。実施の形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その詳細の説明を省略する。実施の形態1と相違する点は、危険回避部の構成である。
【0090】
危険回避部36は、危険温度に伴う危険を回避するものであり、第一温度センサ37と、第二温度センサ38と、第三温度センサ39と、電源供給基板と、を備える。
【0091】
第一温度センサ37は、加熱部19の背面に固定されており、空気の温度を検知する。第一温度センサ37は、危険温度を検知した際には内部が溶断される温度ヒューズであり、電源供給基板と加熱部19との間に導電性の線によって直列に接続されている。第一温度センサ37は除湿機能部5への給電を制御する停止部40である。
【0092】
第二温度センサ38は、正面側支持枠24の第三の開口24aの近傍の位置に固定されており、空気の温度を検知する。第二温度センサ38は、危険温度を検知した際には内部が溶断される温度ヒューズであり、電源供給基板と加熱部19との間に導電性の線によって直列に接続されている。第二温度センサ38は除湿機能部5への給電を制御する停止部40である。
【0093】
第三温度センサ39は、背面側支持枠23より第二区画28に対向するように突出しており、第二区画28の除湿ロータ16の回転方向における加熱部19の下流側直近に設けられている。第三温度センサ39は、危険温度を検知した際には内部が溶断される温度ヒューズであり、電源供給基板と加熱部19との間に導電性の線によって直列に接続されている。第三温度センサ39は除湿機能部5への給電を制御する停止部40である。
【0094】
電源供給基板は、除湿機能部5へと給電し、除湿機能部5を動作させるものである。電源供給基板からの給電が停止した際には、加熱部19は動作を停止する。
【0095】
以上の構成において、危険回避部6の詳細な動作について説明する。
【0096】
第一温度センサ37は、加熱部19の背面に固定されているため、加熱部19の除湿風路11Aにおける上流側近傍の空気の温度を検知する。加熱部19が異常な昇温をした際には、加熱部19の除湿風路11Aにおける上流側近傍の空気の温度も異常発生前に比べて上昇する。加熱部19の除湿風路11Aにおける上流側近傍の空気が危険温度に達した際には、第一温度センサ37は溶断され、電源供給基板から加熱部19への給電が停止する。給電が停止された加熱部19は動作を停止し、加熱部19の温度は低下する。
【0097】
これによって、加熱部19の除湿風路11Aにおける上流側近傍の空気の温度が危険温度になった際に、速やかに加熱部19の動作を停止することで、危険温度に伴う危険を回避することができる。
【0098】
第二温度センサ38は、正面側支持枠24の第三の開口24aの近傍の位置に固定されているため、加熱部19と除湿ロータ16の第三区画29を通過した直後の空気の温度を検知する。即ち、加熱部19と除湿ロータ16とを順に通過した直後の空気の温度を検知する。加熱部19もしくは除湿ロータ16が異常な昇温をした際には、除湿ロータ16を通過した空気の温度も異常発生前に比べて上昇する。除湿ロータ16を通過した空気が危険温度に達した際には、第二温度センサ38は溶断され、電源供給基板から加熱部19への給電が停止する。給電が停止された加熱部19は動作を停止し、除湿ロータ16への加熱が停止されるため、除湿ロータ16を通過した空気の温度は低下する。
【0099】
これによって、除湿ロータ16を通過した空気の温度が危険温度になった際に、速やかに加熱部19の動作を停止することで、危険温度に伴う危険を回避することができる。
【0100】
第三温度センサ39は、背面側支持枠23より第二区画28に対向するように突出しているため、除湿ロータ16の第二区画28近傍の空気の温度を検知する。即ち、除湿ロータ16の平面部上流面20a近傍の空気の温度を検知する。除湿ロータ16自体が異常な昇温をした際には、除湿ロータ16の平面部上流面20a近傍の空気の温度も異常発生前に比べて上昇する。除湿ロータ16の平面部上流面20a近傍の空気が危険温度に達した際には、第三温度センサ39は溶断され、電源供給基板から加熱部19への給電が停止する。給電が停止された加熱部19は動作を停止し、除湿ロータ16への加熱が停止されるため、平面部上流面20a近傍の温度は低下する。これによって、除湿ロータ16の平面部上流面20a近傍の空気の温度が危険温度になった際に、速やかに加熱部19の動作を停止することで、危険温度に伴う危険を回避することができる。
【0101】
以上の動作により、通常使用時の加熱部19と除湿ロータ16の異常な昇温を検知可能であり、加えて異常使用時の除湿ロータ16の異常な昇温を速やかに検知可能とすることで、安全性が向上する。
【0102】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、各実施の形態は、それぞれ、他の実施の形態が有する構成の一部又は複数部分を、その実施の形態に追加しあるいはその実施の形態の構成の一部又は複数部分と交換等することにより、その実施の形態を変形して構成するようにしても良い。また、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0103】
上記の実施の形態において、危険回避部は加熱部19の動作を停止するものであるが、加熱部19に加えて、冷凍サイクル7、送風機9、駆動部18のいずれか一つ以上の動作を停止するものであってもよく。危険温度に伴う危険を回避するために、停止する部品は適宜決定されることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
発明は除湿装置に関するもので、安全性が向上した除湿装置としての使用が期待できる。
【符号の説明】
【0105】
1 除湿装置
2 本体ケース
3 吸込口
4 吹出口
5 除湿機能部
6 危険回避部
7 冷凍サイクル
8 デシカント部
9 送風機
10 貯水部
11 送風路
11A 除湿風路
11B 冷却風路
12 圧縮機
13 放熱器
14 膨張器
15 吸熱器
16 除湿ロータ
17 支持枠
18 駆動部
19 加熱部
20 平面部
20a 平面部上流面
20b 平面部下流面
21 吸湿部
22 放湿部
23 背面側支持枠
23a 第一の開口
23b 第二の開口
24 正面側支持枠
24a 第三の開口
24b 第四の開口
25 ケーシング
25a 正面側給気口
25b 背面側給気口
25c 吐出口
26 羽根部
26a 正面側ファン
26b 背面側ファン
26c 仕切り板
27 第一区画
28 第二区画
29 第三区画
30 第四区画
31 第一温度センサ
32 第二温度センサ
33 第三温度センサ
34 停止部
35 温度判定部
36 危険回避部
37 第一温度センサ
38 第二温度センサ
39 第三温度センサ
40 停止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9