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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147472
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】造粒装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/12 20060101AFI20231005BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20231005BHJP
   B01F 35/75 20220101ALI20231005BHJP
   B01F 35/45 20220101ALI20231005BHJP
   B01F 29/64 20220101ALI20231005BHJP
   B01F 27/70 20220101ALI20231005BHJP
   B01F 23/60 20220101ALI20231005BHJP
   B01F 27/191 20220101ALI20231005BHJP
   B02C 18/14 20060101ALI20231005BHJP
   B02C 17/16 20060101ALI20231005BHJP
   B01F 101/22 20220101ALN20231005BHJP
   B01F 101/06 20220101ALN20231005BHJP
【FI】
B01J2/12
B01J2/00 A
B01F35/75
B01F35/45
B01F29/64
B01F27/70
B01F23/60
B01F27/191
B02C18/14 B
B02C17/16 Z
B01F101:22
B01F101:06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054981
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 明紀
【テーマコード(参考)】
4D063
4D065
4G004
4G035
4G036
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4D063FF14
4D063GA03
4D063GA10
4D063GC03
4D063GC14
4D063GD02
4D063GD12
4D063GD15
4D063GD19
4D065CA06
4D065CB02
4D065CC01
4D065DD08
4D065EB07
4D065EB20
4D065EC07
4D065ED03
4D065ED16
4D065EE02
4D065EE12
4D065EE13
4D065EE15
4G004AA02
4G004HA02
4G004HA06
4G035AB48
4G035AE13
4G036AA15
4G037AA11
4G037DA30
4G037EA03
4G037EA05
4G078AA13
4G078AB09
4G078AB20
4G078BA01
4G078BA09
4G078DA01
4G078EA08
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】形状が丸い、粒径のばらつきを抑制した顆粒を製造可能な造粒装置の提供。
【解決手段】造粒装置1Aは、湿潤粉体を造粒し顆粒を製造する。造粒装置1Aは、横向きに延びる筒状の回転容器2と、回転容器2内で回転し、湿潤粉体を練合及び解砕しつつ回転容器2の軸方向一方の開口2bに向かって送る、多数の羽根6と、回転容器2との間に隙間Gを形成して開口2bの少なくとも一部を覆い、隙間Gから湿潤粉体を回転容器2に接触させつつ排出する蓋8とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤粉体を造粒し顆粒を製造する造粒装置であって、
横向きに延びる筒状の回転容器と、
前記回転容器内で回転し、前記湿潤粉体を練合及び解砕しつつ前記回転容器の軸方向一方の開口に向かって送る、多数の羽根と、
前記回転容器との間に隙間を形成して前記開口の少なくとも一部を覆い、前記隙間から前記湿潤粉体を前記回転容器に接触させつつ排出する蓋と
を備える、造粒装置。
【請求項2】
前記回転容器が前記蓋に対して相対的に回転する、請求項1に記載の造粒装置。
【請求項3】
前記隙間が、前記回転容器の軸方向に沿った断面において軸方向に延びる、請求項1又は2に記載の造粒装置。
【請求項4】
前記隙間が、前記回転容器の軸方向に沿った断面において軸方向に対して傾斜して延びる、請求項1又は2に記載の造粒装置。
【請求項5】
前記蓋の位置を前記回転容器の軸方向に変える位置調整器を備える、請求項3又は4に記載の造粒装置。
【請求項6】
前記隙間の入口の幅が前記隙間の出口の幅より大きい、請求項1から5のいずれかに記載の造粒装置。
【請求項7】
前記隙間の幅が入口から出口に向かって漸減している、請求項6に記載の造粒装置。
【請求項8】
前記隙間が、入口と出口との間で屈曲している、請求項1から7のいずれかに記載の造粒装置。
【請求項9】
前記蓋に対向し前記隙間を形成する、前記回転容器の対向面に、前記回転容器の周方向に延びる凹部、凸部又は凹凸が形成された、請求項1から8のいずれかに記載の造粒装置。
【請求項10】
前記回転容器に対向し前記隙間を形成する、前記蓋の対向面に、前記回転容器の周方向に延びる凹部、凸部又は凹凸が形成された、請求項1から9のいずれかに記載の造粒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、湿潤粉体からの顆粒を製造する造粒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば医薬品、化学薬品、食品などの分野では、一種類の粉体が湿潤された、又は複数種類の粉体が混合され湿潤された、湿潤粉体から顆粒を製造することが行われている。これらの粉体は、粉体のままではハンドリング性に劣り、顆粒にすることでハンドリング性が向上する。
【0003】
特許文献1には、造粒済みの顆粒を解砕して整粒する解砕整粒装置が開示されている。この解砕整粒装置は、上下方向に延びる筒状であって固定式のケーシングと、ケーシング内で回転する回転体とを備える。ケーシングには、上部に位置する投入口に造粒済みの顆粒が投入される。この顆粒は重力と回転する回転体の遠心力の作用によって、回転体とケーシングとの間に形成された、下方の隙間に集積される。この顆粒が、隙間の大きさに適合した大きさに解砕整粒されて排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-117131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の解砕整粒装置は、造粒済みの顆粒を解砕して整粒するものである。この解砕整粒装置は、湿潤粉体から顆粒を製造する造粒装置とは異なる。また、この解砕整粒装置は、粗大な顆粒の排出は抑制できるが、排出される顆粒の粒径のばらつきが大きい。また、この解砕整粒装置は、排出される顆粒の形状を制御するものではない。
【0006】
本出願人の意図するところは、形状が丸い、粒径のばらつきを抑制した顆粒を製造可能な造粒装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する造粒装置は、湿潤粉体を造粒し顆粒を製造する造粒装置である。この造粒装置は、横向きに延びる筒状の回転容器と、前記回転容器内で回転し、前記湿潤粉体を練合及び解砕しつつ前記回転容器の軸方向一方の開口に向かって送る、多数の羽根と、前記回転容器との間に隙間を形成して前記開口の少なくとも一部を覆い、前記隙間から前記湿潤粉体を前記回転容器に接触させつつ排出する蓋とを備える。
【発明の効果】
【0008】
この造粒装置は、形状が丸い、粒径のばらつきを抑制した顆粒を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る造粒装置の縦断面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った横断面図である。
図3図3は、図1の主要部の拡大図である。
図4A図4A図3のIVA-IVA線に沿った正面断面図である。
図4B図4B図4Aの状態で蓋が取り外された正面断面図である。
図5図5は、図3の符号Vで示した部分拡大図である。
図6図6は、一実施形態に係る造粒装置の変形例の部分拡大図である。
図7図7は、一実施形態に係る造粒装置の他の変形例の部分拡大図である。
図8図8は、一実施形態に係る造粒装置の更に他の変形例の部分拡大図である。
図9図9は、他の実施形態に係る造粒装置の部分拡大図である。
図10図10は、図9の符号Xで示した部分拡大図である。
図11図11は、他の実施形態に係る造粒装置の変形例の部分拡大図である。
図12図12は、他の実施形態に係る造粒装置の他の変形例の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0011】
図1及び図2に、造粒装置1Aが示されている。この造粒装置1Aは、湿潤粉体から顆粒を連続して製造する、所謂、連続式造粒装置である。ここで、用いられる湿潤前の粉体(一般的に、複数種類の粉体の混合体)の平均粒径は、例えば30μmから70μmである。造粒される顆粒の平均粒径は、例えば80μmから250μmである。
【0012】
図2に示される様に、造粒装置1Aは、横向きに延びる筒状の回転容器2と、回転容器2を回転可能に支持するフレーム11を含む。フレーム11は、回転容器2の側方に位置するベース11aと、ベース11aから突出する一対のアーム11b,11cを含む。アーム11b,11cは、ベアリング21,22を介して回転容器2を回転可能に支持する。
【0013】
フレーム11のベース11aには、回転容器2を回転させる電動機71が取り付けられている。電動機71の出力シャフト及び回転容器2の外周面には、ベベルギヤ72,73がそれぞれ設けられており、それらのベベルギヤ72,73が互いに噛み合っている。
【0014】
回転容器2は、入口側開口2a及び出口側開口2bを有する。入口側開口2aは回転容器2の内周面2cの入口側端部で形成され、出口側開口2bは内周面2cの出口側端部で形成されている。この造粒装置1Aでは、回転容器2の内周面2cの入口側端部が径方向内向きに張り出しており、入口側開口2aの直径が出口側開口2bの直径よりも小さい。すなわち、回転容器2の内周面2cは、入口側端部以外では、一定の直径Dの円筒面である。
【0015】
更に、造粒装置1Aは、図1及び図2に示すように、回転容器2の入口側開口2aと嵌合する静止部材3と、回転シャフト4とを含む。回転シャフト4は、回転容器2の軸方向に延びている。回転シャフト4は、図3に破線で示すように、回転容器2内に配置されている。
【0016】
静止部材3には、回転容器2の内部と連通する円筒状の供給穴3aが設けられている。供給穴3a内には、スクリュー5が配置されている。この造粒装置1Aでは、供給穴3aが回転シャフト4の中心軸40(図3参照)に沿って延びており、回転シャフト4が供給穴3a内にも配置されている。そして、スクリュー5が回転シャフト4に取り付けられている。
【0017】
図1及び図2に示すように、フレーム11のベース11aにはサポート16が固定されており、このサポート16に、回転シャフト4を回転させる電動機75が取り付けられている。
【0018】
更に、フレーム11のアーム11bには、ベアリング21及びその内側を覆う第1閉塞部材12が固定されており、アーム11cには、ベアリング22及びその内側を覆う第2閉塞部材13が固定されている。この造粒装置1Aでは、第1閉塞部材12が円盤状であり、静止部材3と一体となっている。第2閉塞部材13は環状であり、回転容器2に貫通されている。また、フレーム11のアーム11b,11cには、それらの間の空間を覆うカバー15が取り付けられている。
【0019】
回転容器2内では湿潤粉体から顆粒が製造され、その顆粒は、軸方向一方の開口である、出口側開口2bから排出される。第2閉塞部材13には、回転容器2の出口側開口2bから排出される顆粒を案内するシュート14が取り付けられている。
【0020】
次に、図3図4A及び図4Bを参照して、回転容器2内及びその回りの構造が詳細に説明される。造粒装置1Aは、 蓋8及び位置調整器9を備える。
【0021】
図3に示されように、蓋8は、回転容器2の出口側開口2bに配置された本体81と、本体81を支持する支持軸82とを含む。
【0022】
図4Aに示されように、蓋8は、回転容器2の出口側開口2bとの間に隙間Gを形成し、出口側開口2bの中央部を覆っている。本体81は、造粒装置1Aでは、円形状の外周面81aを有する。この外周面81aの直径は、回転容器2の内周面2cの直径Dより小さい。本体81は、回転容器2の内周面2cに外周面81aを対向させて、出口側開口2bとの間に隙間Gを形成している。この隙間Gは、回転容器2の周方向に沿って、全周に亘って一周している。なお、この隙間Gは、回転容器2の周方向全周に形成されなくともよい。本体81は、回転容器2の出口側開口2bとの間に少なくとも周方向の一部に沿って延びる隙間Gを形成していればよく、出口側開口2bの他の部分は、覆わなくてもよい。本体81は、湿潤粉体が流出しない様にしてあれば隙間Gより大きな開口を形成されてもよい。
【0023】
図3に示されるように、支持軸82は、位置調整器9を介して、シュート14に取付けられている。本体81に固定され本体81から延びる支持軸82の先端部には雄ねじ82aが形成されている。
【0024】
位置調整器9は、シュート14に固定された位置決め91と、固定具としての固定ナット92とを含む。位置決め91は蓋8の雄ねじ82aと螺合する雌ねじ91aを有する。この雌ねじ91aに雄ねじ82aが螺合されて、位置調整器9は、蓋8を回転容器2の軸方向に位置調整可能に支持している。そして、固定ナット92が蓋8の雄ねじ82aに螺合され固定ナット92が位置決め91に押し付けられて、位置調整器9は、蓋8を位置決めしている。
【0025】
なお、位置調整器9は、雄ねじ82aと雌ねじ91aとで蓋8を回転容器2の軸方向に移動可能に位置決めしたが、位置決めはこれに限られるものではない。この位置調整器9は、例示であって、位置決めは、蓋8を回転容器2の軸方向に移動可能にし、所定の位置に位置決め可能であればよく、限られるものではない。
【0026】
造粒装置1Aでは、回転容器2の中心軸20が水平方向と平行である。ただし、回転容器2の中心軸20は、入口側開口2aから出口側開口2bへ向かって下向きに傾斜してもよいし、上向きに傾斜してもよい。このように回転容器2の中心軸20を傾斜させることで、回転容器2内での湿潤粉体の滞留時間を調整することができる。なお、横向きに延びる回転容器2の中心軸20の傾斜角度は特に限定されるものではないが、中心軸20が水平面となす傾斜角度の絶対値は、例えば15°以下である。
【0027】
また、造粒装置1Aでは、回転シャフト4の中心軸40が回転容器2の中心軸20よりも下方に位置している。例えば、回転容器2の中心軸20に対する回転シャフト4の中心軸40の偏心量eは、回転容器2の内周面2cの直径Dの1/6から1/12である。
【0028】
更に、造粒装置1Aでは、回転シャフト4の回転方向が回転容器2の回転方向と同じであると共に、回転シャフト4の回転速度が回転容器2の回転速度よりも速い。回転シャフト4の回転速度は、後述する羽根6の先端での周速が5m/sから13m/s程度となるように設定され、回転容器2の回転速度は、回転容器2の内周面2cでの周速が0.5m/sから1m/s程度となるように設定される。
【0029】
静止部材3は、回転容器2の入口側開口2aと嵌合する偏心部31と、偏心部31よりも回転容器2から遠くに位置する管部32を含む。上述した供給穴3aは、偏心部31と管部32とに跨って設けられている。
【0030】
偏心部31の輪郭は円形である。偏心部31の中心は回転容器2の中心と一致しており、管部32の中心(供給穴3aの中心でもある)は回転シャフト4の中心と一致している。静止部材3は、単一の部品であってもよいし、複数の部品に分割されてもよい。
【0031】
偏心部31の管部32側の端部には、第1閉塞部材12が接合されている。第1閉塞部材12と回転容器2の入口側端面との間の空間には、当該空間へ回転容器2の入口側開口2aと偏心部31との間の隙間を通じて粉体又は湿潤粉体が流入するのを防止するために、図略の圧縮機から圧縮空気が導入される。この圧縮空気は、回転容器2の入口側開口2aと偏心部31との間の隙間を通じて回転容器2の内部へ流出する。
【0032】
静止部材3の管部32には、上向きに開口する投入口3bが設けられている。この投入口3bにホッパー35が接続されている。本実施形態では、ホッパー35に、処理液が添加されて湿潤された湿潤粉体が投入される。
【0033】
図4Bの破線で表されるように、造粒装置1Aでは、供給穴3a内及び回転容器2内における回転シャフト4の断面形状が正方形状である。ただし、回転シャフト4の形状は、羽根6を共に回転させられればよく、これに限られるものではない。
【0034】
図3に示されるように、供給穴3a内で回転シャフト4に取り付けられるスクリュー5は、回転シャフト4に挿通される中心管51と、中心管51の外周面に設けられた螺旋状のスクリュー羽根52を含む。スクリュー5の長さは、供給穴3aの長さと同程度である。供給穴3a内の回転シャフト4の断面形状に合わされて、中心管51の内周面の断面形状は正方形状である。
【0035】
回転容器2内では、回転シャフト4に複数の羽根6が取り付けられている。それぞれの羽根6は、回転シャフト4が挿通される貫通穴6aが形成された板状である。ただし、羽根6の形状はこれに限られるものではない。
【0036】
図4Bに示されるように、羽根6には、略菱形状の形状を有し、その中央に貫通穴6aが形成されている。すなわち、各羽根6は、貫通穴6aから互いに反対向きに突出する一対の刃部を有する。上述したように、回転容器2内の回転シャフト4の断面形状が正方形状であるため、貫通穴6aも正方形状である。
【0037】
また、各羽根6の各刃部には、回転方向に向かって尖るようにナイフエッジ6bが形成されている。ナイフエッジ6bは、回転方向に向かって、入口側開口2aへ近づく(出口側開口2bから遠ざかる)ように傾斜している。このため、羽根6が回転すると、ナイフエッジ6bによって、湿潤粉体へ回転容器2の出口側開口2bへ向かう送り力が付与される。
【0038】
各羽根6の長さLfは、各羽根6と回転容器2の内周面2cとの最短距離(回転容器2の中心軸20の真下でのクリアランス)が数ミリ(例えば、1mmから5mm)程度となるように設定される。
【0039】
図4Bに示すように、羽根6は、向きが交互に90度変わるように回転シャフト4に取り付けられる。図3に示されるように、隣り合う羽根6の間には、スペーサリング61が配置されている。各スペーサリング61は、羽根6の貫通穴6aと同様の正方形状の貫通穴61aを有し、回転シャフト4に挿通される。なお、スペーサリング61は回転シャフト4に取り付けられ隣り合う羽根6の間に配置されればよく、この貫通穴61aの形状は正方形状に限られるものではない。回転シャフト4の先端には、保持部材62が取り付けられている。
【0040】
図5は、図3の符号Vで示す部分拡大図である。図5の両矢印Lは、回転容器2の軸方向における、隙間Gの長さを表している。長さLは、本体81の外周面81aと回転容器2の内周面2cとが対向する長さとして求められる。この長さLは、特に限定されないが、例えば、出口側開口2bの直径Dの立方根(√D)の0.5倍以上であり、直径Dの立方根(√D)の5倍以下である。両矢印tは、回転容器2の半径方向における、隙間Gの幅を表している。幅tは、回転容器2の半径方向における、内周面2cと外周面81aとの距離として求められる。この幅tは、顆粒の用途に合わせて設定されればよく、特に限定されないが、例えば、0.5mm以上であり、3mm以下である。
【0041】
以上説明した構成の造粒装置1Aでは、湿潤粉体が、図3に示されたホッパー35及び投入口3bを通じて供給穴3a内へ投入される。その湿潤粉体はスクリュー5によって回転容器2内へ供給される。回転容器2内では、回転容器2が回転することによって湿潤粉体が流動させられると共に、羽根6が回転シャフト4と共に回転することによって湿潤粉体が混合、練合(練り合わせ)及び解砕(解きほぐし)されながら回転容器2の出口側開口2bに向かって送られる。
【0042】
出口側開口2bに到達した湿潤粉体は、蓋8と回転容器2とが形成する隙間Gに送り込まれる。この隙間Gを通されて、湿潤粉体から造粒された顆粒が、回転容器2から排出される。排出された顆粒は、シュート14に案内されて、次工程に送られる。
【0043】
この造粒装置1Aでは、横向きに延びる筒状の回転容器2の回転と、多数の羽根6の回転とによって、湿潤粉末の混合、練合及び解砕が促進される。そして、この湿潤粉体は、隙間Gで、蓋8によって回転容器2に接触させられる。この隙間Gを通ることで、湿潤粉体は、蓋8と回転する回転容器2とに接触しつつ排出される。これにより、湿潤粉体は隙間Gで球形化される。これにより、造粒装置1Aは、丸い形状の顆粒が製造でき、粒径のばらつきを抑制できる。
【0044】
この造粒装置1Aでは、蓋8は固定されたが、蓋8は回転可能であってもよい。この場合、例えば、蓋8が回転容器2の回転軸を回転中心として回転可能にされる。回転する回転容器2が、回転する蓋8に対して相対的に回転することで、湿潤粉体は隙間Gで球形化される。
【0045】
更に、造粒装置1Aは、蓋8を回転させる回転駆動装置によって、回転する蓋8の角速度が制御され、回転容器2に対する、蓋8の相対的な角速度が制御されてもよい。回転容器2と蓋8との相対的な角速度を調整することで、造粒装置1Aは、顆粒の形状及び粒径を調整しうる。この造粒装置1Aは、顆粒の用途に合わせて、顆粒の形状や粒径を調整しうる。なお、蓋8の周方向の回転向きは、回転容器2のそれと同じであってもよく、逆向きであってもよい。
【0046】
造粒装置1Aでは、隙間Gを形成する回転容器2の内周面2cと蓋8の外周面81aとが回転容器2の軸方向に延びている。この隙間Gは、回転容器2の軸方向に延びている。隙間Gの長さLを調整することで、造粒装置1Aは、隙間Gでの滞留時間を調整しうる。この長さLを調整することで、造粒装置1Aは、顆粒の形状及び粒径を調整しうる。
【0047】
造粒装置1Aは、蓋8の位置を回転容器2の軸方向に変える位置調整器9を備える。この位置調整器9によって、蓋8の位置を変えることで、隙間Gの長さLが調整される。これにより、造粒装置1Aは、隙間Gの長さLを変更するために蓋8を他の蓋に代えることなく、顆粒の形状及び粒径を用途に合わせて調整しうる。
【0048】
なお、この造粒装置1Aでは、回転容器2の内周面2cに、内周面2cから突出する多数の凸部が形成されてもよい。例えば、多数の凸部が、回転容器2の周方向に間隔を空けて並べられ配置される。それぞれの凸部は、回転容器2の軸方向に延びる筋状に形成される。軸方向において多数の羽根6が位置する範囲の内周面2cに、この凸部が形成されることで、内周面2cに対して湿潤粉体が滑ることが抑制され、湿潤粉体の解砕や混合が促進される。
【0049】
また、造粒装置1Aでは、回転シャフト4の中心軸40は、必ずしも回転容器2の中心軸20の下方に位置している必要はなく、中心軸40と中心軸20とが一致してもよい。
【0050】
ただし、図3に示すように回転シャフト4の中心軸40が回転容器2の中心軸20の下方に位置すれば、羽根6の上方に空間が確保される。このため、回転容器2の内周面2cに追従して持ち上がった湿潤粉体が羽根6の上方で回転容器2の内周面2cから剥離して落下したときに羽根6に衝突して解砕される。従って、回転シャフト4の中心軸40と回転容器2の中心軸20とが一致している場合に比べて、造粒効果を向上させることができる。
【0051】
また、例えば、湿潤粉体から顆粒を製造する場合に、ホッパー35に乾燥した粉体が投入されてもよい。この場合、粉体がホッパー35及び投入口3bを通じて供給穴3a内へ投入される。その粉体がスクリュー5によって回転容器2内へ供給される。回転容器2内では、粉体に処理液が添加され粉体が湿潤される。すなわち、図示は省略するが、回転容器2内には、処理液を噴射するノズルが設けられる。
【0052】
また、回転シャフト4の回転向きは回転容器2の回転向きと逆であってもよいが、その場合は湿潤粉体が回転容器2内の下部に貯まりやすい。これに対し、回転シャフト4の回転向きと回転容器2の回転向きが同じであれば、湿潤粉体が回転容器2内の下部に貯まり難くすることができる。
【0053】
図6には、造粒装置1Aの変形例としての、造粒装置1Bの隙間Gが示されている。この造粒装置1Bは、蓋8の本体81に代えて、本体83を備える他は、造粒装置1Aと同様の構成を備える。
【0054】
この本体83は、一定の半径で形成された外周面83aと、入口側開口2aから出口側開口2bに向かって半径方向外向きに傾斜して延びるテーパ面83bとを有する。図6の両矢印θ1は、図6に示される断面における、内周面2cとテーパ面83bとがなす角度を表している。
【0055】
この造粒装置1Bでは、隙間Gは、本体83の外周面83a及びテーパ面83bと回転容器2の内周面2cとで形成されている。隙間Gの長さLは、回転容器2の軸方向における、外周面83a及びテーパ面83bと内周面2cとの対向する長さとして求められる。
【0056】
造粒装置1Bは、このテーパ面83bを有することで、隙間Gの入口の幅が隙間Gの出口の幅より大きい。これにより、湿潤粉体が隙間Gに入り易くされている。更に、このテーパ面83bでは、隙間Gの幅は入口から出口に向かって漸減している。これにより、湿潤粉体は、幅の大きい入口から幅の小さい出口に向かって、スムーズに送られうる。
【0057】
図7には、造粒装置1Aの変形例としての、造粒装置1Cの隙間Gが示されている。この造粒装置1Cは、蓋8の本体81に代えて、本体84を備える他は、造粒装置1Aと同様の構成を備える。
【0058】
この本体84は、外周面84aと回転容器2の軸方向の端面2dに対向して半径方向に延びる平面84bとを有する。図7の両矢印tは外周面84aと内周面2cとの間の隙間Gの幅を表し、両矢印t’は平面84bと端面2dとの間の隙間Gの幅を表している。両矢印L1は幅tの隙間Gの長さを表し、両矢印L2は幅t’の隙間Gの長さを表している。この造粒装置1Cでは、隙間Gの長さLは、長さL1と長さL2との合計として求められる。なお、この幅t’は、顆粒の用途に合わせて設定されればよく、特に限定されないが、例えば、0.3mm以上であり、3mm以下である。この幅t’は、好ましくは幅tより小さい。
【0059】
この造粒装置1Cでは、隙間Gが、入口と出口との間で屈曲している。隙間Gの屈曲によって、隙間Gの長さLが同じでも、真っ直ぐな隙間Gに比べて湿潤粉体の滞留時間が長くなる。隙間Gを屈曲させることで、造粒装置1Cは、顆粒の形状や粒径を調整しうる。この造粒装置1Cでは、隙間Gが幅tから幅t’に小さくなっている。これにより、造粒装置1Cは、更に、顆粒の形状や粒径の均一化を図りうる。なお、ここでは、回転容器2の軸方向から半径方向に直角に屈曲させたが、この屈曲角度は直角より大きくてもよく、小さくてもよい。
【0060】
図8には、造粒装置1Aの変形例が示されている。この変形例では、本体81の外周面81aに多数の凹部81bが形成されている。それぞれの凹部81bは、外周面81aを周方向に一周している。回転容器2の内周面2cに、多数の凸部2eが形成されている。それぞれの凸部2eは、内周面2cを周方向に一周している。ここでは、その他の構成は、造粒装置1Aと同様である。
【0061】
この変形例では、外周面81aの凹部81bと内周面2cの凸部2eとによって、湿潤粉体の滞留時間が長くなる。これにより、この変形例は、顆粒の形状や粒径を調整しうる。ここでは、外周面81aに、凹部81bが形成されたが、凹部81bに代えて凸部が形成されてもよいし、凹部81bに加えて凸部が形成されてもよい。また、内周面2cに、凸部2eが形成されたが、凸部2eに代えて凹部が形成されてもよいし、凸部2eに加えて凹部が形成されてもよい。また、この凹部81bや凸部2eの形状は例示であって、これに限られるものではない。例えば、造粒装置1Bの本体83と回転容器2との両方又はいずれか一方に凹凸が形成されてもよく、造粒装置1Cの本体84と回転容器2との両方又はいずれか一方に凹凸が形成されてもよい。また、凹凸形状は、周方向に一周しなくてもよく、螺旋状に形成されてもよい。
【0062】
造粒装置1Aでは、隙間Gは、回転容器2の内周面2cと蓋8の外周面81aとに形成されたが、これに限られるものではない。回転容器2と蓋8とのそれぞれが、隙間Gを形成する対向面を有していればよい。例えば、造粒装置1Aで、蓋8が、回転容器2の外周面より大きい内周面を有し、回転容器2の外周面と蓋8の内周面との間に隙間Gが形成され、この隙間Gから顆粒が排出されてもよい。
【0063】
図9には、他の実施形態に係る造粒装置1Dが示されている。この造粒装置1Dは回転容器2に代えて回転容器10を備える。蓋8は、本体81に代えて本体85を備える。造粒装置1Dの他の構成は、造粒装置1Aのそれと同様である。回転容器10は、入口側開口10a及び出口側開口10bを有する。この回転容器10は、内周面10cを有する。
【0064】
図10は、図9の符号Xで示す部分拡大図である。図10に示されるように、回転容器10では、出口側開口10bで、内周面10cと端面10dとの間に、テーパ面10eが形成されている。このテーパ面10eは、回転容器10の軸方向において入口側開口10aから出口側開口10bに向かって、半径方向外向きに傾斜している。
【0065】
蓋8の本体85は、回転容器10のテーパ面10eに対向するテーパ面85aを有する。このテーパ面85aは、回転容器10の軸方向において入口側開口10aから出口側開口10bに向かって、半径方向外向きに傾斜している。この造粒装置1Dでは、テーパ面10eの傾斜角度と、本体85のテーパ面85aとの傾斜角度は同じにされている。
【0066】
図10に示される様に、この隙間Gは、回転容器10の軸方向に対して傾斜して延びている。図10の両矢印tは、テーパ面10eとテーパ面85aとが形成する隙間Gの幅を表している。この隙間Gの幅tは、テーパ面10eに垂直に交差する直線上で求められる。この幅tは、隙間Gの入口から出口までの一定の大きさにされている。この隙間Gを通ることで、湿潤粉体は、テーパ面10eとテーパ面85aとに接触しつつ排出される。これにより、湿潤粉体は球形化される。造粒装置1Dは、丸い形状の顆粒が製造でき、粒径のばらつきを抑制できる。
【0067】
造粒装置1Dは、蓋8の位置を回転容器10の軸方向に変える位置調整器9を備える。この位置調整器9によって、本体85の位置を変えることで、隙間Gの幅tが調整される。これにより、造粒装置1Dは、排出される顆粒の大きさを調整しうる。これにより、造粒装置1Dは、用途に合わせて顆粒の粒径を調整しうる。
【0068】
図11には、造粒装置1Dの変形例としての、造粒装置1Eの隙間Gが示されている。この造粒装置1Eは、蓋8の本体85に代えて、本体86を備える他は、造粒装置1Dと同様の構成を備える。
【0069】
この本体86は、回転容器10のテーパ面10eに対向するテーパ面86aを有する。このテーパ面86aは、回転容器10の軸方向において入口側開口10aから出口側開口10bに向かって、半径方向外向きに傾斜している。
【0070】
図11の両矢印θ2は、図11に示される断面における、内周面10cとテーパ面10eとがなす角度を表している。両矢印θ3は、図11に示される断面における、内周面10cとテーパ面86aとがなす角度を表している。この造粒装置1Eでは、テーパ面10eの傾斜角度と、テーパ面86aとの傾斜角度は異なっている。
【0071】
造粒装置1Eは、このテーパ面10eとテーパ面86aが形成する隙間Gの入口の幅が出口の幅より大きい。これにより、湿潤粉体が隙間Gに入り易くされている。更に、このテーパ面10eとテーパ面86aによって、隙間Gの幅は入口から出口に向かって漸減している。これにより、湿潤粉体が幅の大きい入口から幅の小さい出口に向かって、スムーズに送られうる。造粒装置1Eは、用途に合わせて顆粒の粒径を調整しうる。
【0072】
図12には、造粒装置1Dの変形例が示されている。この変形例では、本体85のテーパ面85aに多数の凹部85bが形成されている。それぞれの凹部85bは、テーパ面85aを周方向に一周している。回転容器10のテーパ面10eに、多数の凹部10fが形成されている。それぞれの凹部10fは、テーパ面10eを周方向に一周している。ここでは、その他の構成は、造粒装置1Dと同様である。
【0073】
この変形例では、テーパ面85aの凹部85bとテーパ面10eの凹部10fとによって、湿潤粉体の滞留時間が長くなる。これにより、この変形例では、顆粒の形状や粒径が調整されうる。ここでは、テーパ面85aに、凹部85bが形成されたが、凹部85bに代えて凸部が形成されてもよいし、凹部85bに加えて凸部が形成されてもよい。また、テーパ面10eに、凹部10fが形成されたが、凹部10fに代えて凸部が形成されてもよいし、凹部10fに加えて凸部が形成されてもよい。また、この凹部85bや凹部10fの形状は例示であって、これに限られるものではない。例えば、本体85と回転容器10との両方又はいずれか一方に凹凸が形成されてもよい。また、凹凸形状は、周方向に一周しなくてもよく、螺旋状に形成されてもよい。
【0074】
図示されないが、造粒装置1Dにおいても、造粒装置1Cと同様に、隙間Gが、入口と出口との間で屈曲してもよい。また、造粒装置1Eの本体86と回転容器10とに、同様の凹凸が形成されてもよいし、隙間Gが、入口と出口との間で屈曲してもよい。
【0075】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0076】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0077】
[項目1]
湿潤粉体を造粒し顆粒を製造する造粒装置であって、
横向きに延びる筒状の回転容器と、
前記回転容器内で回転し、前記湿潤粉体を練合及び解砕しつつ前記回転容器の軸方向一方の開口に向かって送る、多数の羽根と、
前記回転容器との間に隙間を形成して前記開口の少なくとも一部を覆い、前記隙間から湿潤粉体を前記回転容器に接触させつつ排出する蓋と
を備える、造粒装置。
【0078】
[項目2]
前記回転容器が前記蓋に対して相対的に回転する、項目1に記載の造粒装置。
【0079】
[項目3]
前記隙間が、前記回転容器の軸方向に沿った断面において軸方向に延びる、項目1又は2に記載の造粒装置。
【0080】
[項目4]
前記隙間が、前記回転容器の軸方向に沿った断面において軸方向に対して傾斜して延びる、項目1又は2に記載の造粒装置。
【0081】
[項目5]
前記蓋の位置を前記回転容器の軸方向に変える位置調整器を備える、項目3又は4に記載の造粒装置。
【0082】
[項目6]
前記隙間の入口の幅が前記隙間の出口の幅より大きい、項目1から5のいずれかに記載の造粒装置。
【0083】
[項目7]
前記隙間の幅が入口から出口に向かって漸減している、項目6に記載の造粒装置。
【0084】
[項目8]
前記隙間が、入口と出口との間で屈曲している、項目1から7のいずれかに記載の造粒装置。
【0085】
[項目9]
前記蓋に対向し前記隙間を形成する、前記回転容器の対向面に、前記回転容器の周方向に延びる凹部、凸部又は凹凸が形成された、項目1から8のいずれかに記載の造粒装置。
【0086】
[項目10]
前記回転容器に対向し前記隙間を形成する、前記蓋の対向面に、前記回転容器の周方向に延びる凹部、凸部又は凹凸が形成された、項目1から9のいずれかに記載の造粒装置。
【符号の説明】
【0087】
1A、1B、1C、1D、1E・・・造粒装置
2、10・・・回転容器
2b・・・出口側開口(開口)
2c・・・内周面(対向面)
2d・・・端面(対向面)
2e・・・凸部
10e・・・テーパ面(対向面)
10f、81b、85b・・・凹部
6・・・羽根
8・・・蓋
81a、83a、84a・・・外周面(対向面)
83b、85a、86a・・・テーパ面(対向面)
84b・・・平面(対向面)
G・・・隙間
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12