(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147473
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】造粒装置
(51)【国際特許分類】
B01J 2/12 20060101AFI20231005BHJP
B01F 29/64 20220101ALN20231005BHJP
B01F 35/12 20220101ALN20231005BHJP
B01F 27/091 20220101ALN20231005BHJP
B02C 18/14 20060101ALN20231005BHJP
B01F 27/116 20220101ALN20231005BHJP
【FI】
B01J2/12
B01F29/64
B01F35/12
B01F27/091
B02C18/14 B
B01F27/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054982
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 明紀
【テーマコード(参考)】
4D065
4G004
4G036
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4D065CA06
4D065CB02
4D065CC01
4D065DD08
4D065EB07
4D065EB20
4D065EC07
4D065ED03
4D065ED16
4D065EE02
4D065EE12
4D065EE13
4D065EE15
4G004AA02
4G004HA02
4G004HA06
4G036AA15
4G037DA15
4G037EA03
4G037EA05
4G078AB09
4G078BA01
4G078BA09
4G078CA01
4G078CA09
4G078DA01
4G078DA28
4G078DA30
4G078EA01
4G078EA15
(57)【要約】
【課題】横向きに延びる処理容器を用いて従来に比べて比重の大きい顆粒を製造可能な造粒装置の提供。
【解決手段】造粒装置1Aは、湿潤粉体を造粒し顆粒を製造する。造粒装置1Aは、横向きに延びる筒状の回転容器2と、回転容器2内で回転し、湿潤粉体を練合及び解砕しつつ回転容器の軸方向一方の開口2bに向かって送る、多数の羽根6と、回転容器2内で回転し、湿潤粉体を回転容器2の内周面2cとの間で練合する、ローラ7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤粉体を造粒し顆粒を製造する造粒装置であって、
横向きに延びる筒状の回転容器と、
前記回転容器内で回転し、湿潤粉体を練合及び解砕しつつ前記回転容器の軸方向一方の開口に向かって送る、多数の羽根と、
前記回転容器内で回転し、湿潤粉体を前記回転容器の内周面との間で練合する、ローラと、
を備える、造粒装置。
【請求項2】
前記ローラが、前記回転容器の軸方向において、並ぶ多数の羽根の、隣り合う2枚の羽根の間に配置されている、請求項1に記載の造粒装置。
【請求項3】
前記回転容器の前記内周面に付着した湿潤粉体を掻き取るスクレーパを備える、請求項1又は2に記載の造粒装置。
【請求項4】
前記回転容器との間に隙間を形成して前記開口の少なくとも一部を覆い、前記隙間から湿潤粉体を前記回転容器に接触させつつ排出する蓋を備える、請求項1から3のいずれかに記載の造粒装置。
【請求項5】
前記回転容器内に配置され、前記ローラと多数の羽根とが取付けられた回転シャフトを備える、請求項1から4のいずれかに記載の造粒装置。
【請求項6】
前記ローラが前記回転シャフトが挿通される貫通穴を有し、
それぞれの羽根が前記回転シャフトが挿通される貫通穴を有する、請求項5に記載の造粒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、湿潤粉体からの顆粒を製造する造粒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば医薬品、化学薬品、食品などの分野では、一種類の粉体が湿潤された、又は複数種類の粉体が混合され湿潤された、湿潤粉体から顆粒を製造することが行われている。これらの粉体は、粉体のままではハンドリング性に劣り、顆粒にすることでハンドリング性が向上する。
【0003】
特許文献1には、湿潤粉体から顆粒を製造する造粒装置(特許文献1では、「連続式攪拌処理装置」と称呼)が開示されている。この造粒装置は、横向きに延びる筒状の処理容器と、処理容器内で回転するアジテータとスクレーパとを備える。この処理容器に投入された湿潤粉体は、アジテータとスクレーパとで、攪拌混合、解砕されながら、処理容器の軸方向一方の出口に向かって送られる。この様にして、この造粒装置は、湿潤粉体から顆粒を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の造粒装置は、横方向に延びる筒状の処理容器内で回転するアジテータとスクレーパとで、湿潤粉体を攪拌混合及び解砕している。この様な、連続式の攪拌造粒装置で得られる顆粒の比重は、バッチ式の攪拌造粒装置で得られる顆粒のそれに比べて小さくなり易い。
【0006】
本出願人の意図するところは、横向きに延びる処理容器を用いて従来に比べて比重の大きい顆粒を製造可能な造粒装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する造粒装置は、湿潤粉体を造粒し顆粒を製造する。この造粒装置は、横向きに延びる筒状の回転容器と、前記回転容器内で回転し、湿潤粉体を練合及び解砕しつつ前記回転容器の軸方向一方の開口に向かって送る、多数の羽根と、前記回転容器内で回転し、湿潤粉体を前記回転容器の内周面との間で練合する、ローラと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
この造粒装置は、横向きに延びる処理容器を用いて、従来に比べて比重の大きい顆粒を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る造粒装置の縦断面図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線に沿った正面断面図である。
【
図6】
図6は、他の実施形態に係る造粒装置の部分拡大図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VIIに沿った正面断面図である。
【
図8】
図8は、更に、他の実施形態に係る造粒装置の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0011】
図1及び
図2に、造粒装置1Aが示されている。この造粒装置1Aは、湿潤粉体から顆粒を連続して製造する、所謂、連続式造粒装置である。ここで、用いられる湿潤前の粉体(一般的に、複数種類の粉体の混合体)の平均粒径は、例えば30μmから70μmである。造粒される顆粒の平均粒径は、例えば80μmから250μmである。
【0012】
図2に示される様に、造粒装置1Aは、横向きに延びる筒状の回転容器2と、回転容器2を回転可能に支持するフレーム11を含む。フレーム11は、回転容器2の側方に位置するベース11aと、ベース11aから突出する一対のアーム11b,11cを含む。アーム11b,11cは、ベアリング21,22を介して回転容器2を回転可能に支持する。
【0013】
フレーム11のベース11aには、回転容器2を回転させる電動機23が取り付けられている。電動機23の出力シャフト及び回転容器2の外周面には、ベベルギヤ24,25がそれぞれ設けられており、それらのベベルギヤ24,25が互いに噛み合っている。
【0014】
回転容器2は、入口側開口2a及び出口側開口2bを有する。入口側開口2aは回転容器2の内周面2cの入口側端部で形成され、出口側開口2bは内周面2cの出口側端部で形成されている。この造粒装置1Aでは、回転容器2の内周面2cの入口側端部が径方向内向きに張り出しており、入口側開口2aの直径が出口側開口2bの直径よりも小さい。すなわち、回転容器2の内周面2cは、入口側端部以外では、一定の直径Dの円筒面である。
【0015】
造粒装置1Aは、
図1及び
図2に示すように、回転容器2の入口側開口2aと嵌合する静止部材3と、回転シャフト4とを含む。回転シャフト4は、回転容器2の軸方向に延びている。回転シャフト4は、
図3に破線で示すように、回転容器2内に配置されている。
【0016】
静止部材3には、回転容器2の内部と連通する円筒状の供給穴3aが設けられている。供給穴3a内には、スクリュー5が配置されている。この造粒装置1Aでは、供給穴3aが回転シャフト4の中心軸40(
図3参照)に沿って延びており、回転シャフト4が供給穴3a内にも配置されている。そして、スクリュー5が回転シャフト4に取り付けられている。
【0017】
図1及び
図2に示すように、フレーム11のベース11aにはサポート16が固定されており、このサポート16に、回転シャフト4を回転させる電動機41が取り付けられている。
【0018】
更に、フレーム11のアーム11bには、ベアリング21及びその内側を覆う第1閉塞部材12が固定されており、アーム11cには、ベアリング22及びその内側を覆う第2閉塞部材13が固定されている。この造粒装置1Aでは、第1閉塞部材12が円盤状であり、静止部材3と一体となっている。第2閉塞部材13は環状であり、回転容器2に貫通されている。また、フレーム11のアーム11b,11cには、それらの間の空間を覆うカバー15が取り付けられている。
【0019】
回転容器2内では湿潤粉体から顆粒が製造され、その顆粒は、軸方向一方の開口である、出口側開口2bから排出される。第2閉塞部材13には、回転容器2の出口側開口2bから排出される顆粒を案内するシュート14が取り付けられている。
【0020】
次に、
図3、
図4及び
図5を参照して、回転容器2内及びその回りの構造が詳細に説明される。
【0021】
造粒装置1Aでは、回転容器2の中心軸20が水平方向と平行である。ただし、回転容器2の中心軸20は、入口側開口2aから出口側開口2bへ向かって下向きに傾斜してもよいし、上向きに傾斜してもよい。このように回転容器2の中心軸20を傾斜させることで、回転容器2内での湿潤粉体の滞留時間を調整することができる。なお、横向きに延びる回転容器2の中心軸20の傾斜角度は特に限定されるものではないが、中心軸20が水平面となす傾斜角度の絶対値は、例えば15°以下である。
【0022】
また、造粒装置1Aでは、回転シャフト4の中心軸40が回転容器2の中心軸20よりも下方に位置している。例えば、回転容器2の中心軸20に対する回転シャフト4の中心軸40の偏心量eは、回転容器2の内周面2cの直径Dの1/6から1/12である。
【0023】
更に、造粒装置1Aでは、回転シャフト4の回転方向が回転容器2の回転方向と同じであると共に、回転シャフト4の回転速度が回転容器2の回転速度よりも速い。回転シャフト4の回転速度は、後述する羽根6の先端での周速が5m/sから13m/s程度となるように設定され、回転容器2の回転速度は、回転容器2の内周面2cでの周速が0.5m/sから1m/s程度となるように設定される。
【0024】
静止部材3は、回転容器2の入口側開口2aと嵌合する偏心部31と、偏心部31よりも回転容器2から遠くに位置する管部32を含む。上述した供給穴3aは、偏心部31と管部32とに跨って設けられている。
【0025】
偏心部31の輪郭は円形である。偏心部31の中心は回転容器2の中心と一致しており、管部32の中心(供給穴3aの中心でもある)は回転シャフト4の中心と一致している。静止部材3は、単一の部品であってもよいし、複数の部品に分割されてもよい。
【0026】
偏心部31の管部32側の端部には、第1閉塞部材12が接合されている。第1閉塞部材12と回転容器2の入口側端面との間の空間には、当該空間へ回転容器2の入口側開口2aと偏心部31との間の隙間を通じて粉体又は湿潤粉体が流入するのを防止するために、図略の圧縮機から圧縮空気が導入される。この圧縮空気は、回転容器2の入口側開口2aと偏心部31との間の隙間を通じて回転容器2の内部へ流出する。
【0027】
静止部材3の管部32には、上向きに開口する投入口3bが設けられている。この投入口3bにホッパー35が接続されている。本実施形態では、ホッパー35に、処理液が添加されて湿潤された湿潤粉体が投入される。
【0028】
図4の破線で表されるように、造粒装置1Aでは、供給穴3a内及び回転容器2内における回転シャフト4の断面形状が正方形状である。ただし、回転シャフト4の形状はこれに限られるものではない。
【0029】
図3に示されるように、供給穴3a内で回転シャフト4に取り付けられるスクリュー5は、回転シャフト4に挿通される中心管51と、中心管51の外周面に設けられた螺旋状のスクリュー羽根52を含む。スクリュー5の長さは、供給穴3aの長さと同程度である。供給穴3a内の回転シャフト4の断面形状に合わされて、中心管51の内周面の断面形状は正方形状である。
【0030】
図3及び
図4に示されるように、回転容器2内では、回転シャフト4に複数の羽根6とローラ7とが取り付けられている。
【0031】
それぞれの羽根6は、回転シャフト4が挿通される貫通穴6aが形成された板状である。ただし、羽根6の形状はこれに限られるものではない。
【0032】
図4に示されるように、羽根6には、略菱形状の形状を有し、その中央に貫通穴6aが形成されている。すなわち、各羽根6は、貫通穴6aから互いに反対向きに突出する一対の刃部を有する。上述したように、回転容器2内の回転シャフト4の断面形状が正方形状であるため、貫通穴6aも正方形状である。
【0033】
また、各羽根6の各刃部には、回転方向に向かって尖るようにナイフエッジ6bが形成されている。ナイフエッジ6bは、回転方向に向かって、入口側開口2aへ近づく(出口側開口2bから遠ざかる)ように傾斜している。このため、羽根6が回転すると、ナイフエッジ6bによって、湿潤粉体へ回転容器2の出口側開口2bへ向かう送り力が付与される。
【0034】
各羽根6の長さLfは、各羽根6と回転容器2の内周面2cとの最短距離(回転容器2の中心軸20の真下でのクリアランス)が数ミリ(例えば、1mmから5mm)程度となるように設定される。
【0035】
図3及び
図4に示すように、羽根6は、向きが交互に90度変わるように回転シャフト4に取り付けられる。
図3に示されるように、隣り合う羽根6の間には、スペーサリング61が配置されている。各スペーサリング61は、羽根6の貫通穴6aと同様の正方形状の貫通穴61aを有し、回転シャフト4に挿通される。なお、スペーサリング61は回転シャフト4に取り付けられ隣り合う羽根6の間に配置されればよく、この貫通穴6aの形状は正方形状に限られるものではない。回転シャフト4の先端には、保持部材62が取り付けられている。
【0036】
図3及び
図5に示されるように、ローラ7は、円筒状であり、外周面7aを有する。ローラ7は、回転シャフト4に取付けられており、回転シャフト4と共に中心軸40を回転軸として回転可能にされている。
【0037】
ローラ7の材質は、例えば、ステンレス鋼である。この材質は、特に限られるものではない。この材質は、例えば、ステンレス鋼等の金属、樹脂、ゴムのいずれであってもよい。また、ローラ7の材質は、フッ素樹脂であれば、湿潤粉体の付着を抑制することができる。
【0038】
図3に示すように、回転容器2の軸方向において、ローラ7は、多数の羽根6の間に配置されている。配置される羽根6の枚数は特に限定されるものではないが、この造粒装置1Aでは、回転容器2の軸方向において、ローラ7から入口側開口2aまでの間に9枚の羽根6が配置され、ローラ7から出口側開口2bまでの間に8枚の羽根6が配置されている。
【0039】
図3の両矢印Lrはローラ7の軸方向長さを表し、両矢印Drはローラ7の直径を表す。ローラ7の長さLrは、特に限定されるものではないが、好ましくは、ローラ7の直径Drの0.7倍以上に、直径Drの1.5倍以下に設定される。また、ローラ7の直径Drは、特に限定されるものではないが、例えば、羽根6の長さLf(
図4参照)に同じか又は長さLfより大きく設定される。
【0040】
図5に示されるように、ローラ7は回転シャフト4が挿通される貫通穴7bを有する。貫通穴7bは、回転容器2内の回転シャフト4の断面形状が正方形状であるため、正方形状である。ローラ7の外周面7aと回転容器2の内周面2cとの最短距離C(回転容器2の中心軸20の真下でのクリアランス)は、数ミリ(例えば、1mmから5mm)程度となるように設定される。この最短距離Cは、好ましくは、羽根6と回転容器2の内周面2cとの最短距離と同じか、羽根6と回転容器2の内周面2cとの最短距離より小さく設定される。
【0041】
以上説明した構成の造粒装置1Aでは、湿潤粉体が、
図3に示されたホッパー35及び投入口3bを通じて供給穴3a内へ投入される。その湿潤粉体はスクリュー5によって回転容器2内へ供給される。回転容器2内では、回転容器2が回転することによって湿潤粉体が流動させられると共に、羽根6が回転シャフト4と共に回転することによって湿潤粉体が混合、練合(練り合わせ)及び解砕(解きほぐし)されながらローラ7に向かって送られる。
【0042】
ローラ7に到達した湿潤粉体は、回転するローラ7の外周面7aで、ローラ7と異なる周速で回転する回転容器2の内周面2cに押し付けられる。湿潤粉体は、ローラ7と回転容器2の内周面2cとの間で、練合される。ローラ7によって練合された湿潤粉体は、ローラ7より出口側開口2b側に配置された羽根6に送られる。
【0043】
ローラ7で練合された湿潤粉体は、回転容器2の回転と多数の羽根6の回転とによって混合、練合及び解砕されながら回転容器2の出口側開口2bに向かって送られる。この様にして、湿潤粉体から造粒された顆粒が、回転容器2から排出される。排出された顆粒は、シュート14に案内されて、次工程に送られる。
【0044】
この造粒装置1Aでは、横向きに延びる回転容器2の回転と多数の羽根6の回転によって、湿潤粉体が混合、練合及び解砕される。これにより、多数の粉末が均一に混合された顆粒が得られる。
【0045】
この造粒装置1Aでは、湿潤粉体はローラ7に練合される。湿潤粉体は、ローラ7に押しつぶされて、強く練られる。ローラ7によって、湿潤粉体内の空隙が押しつぶされる。これにより、横向きに延びる回転容器2を用いても、比重の大きい顆粒が得られる。
【0046】
この造粒装置1Aでは、回転容器2の軸方向において、ローラ7が多数の羽根6の間に配置されている。回転容器2に供給された湿潤粉体は、ローラ7より入口側開口2aに近い多数の羽根6によって一次的に混合、練合及び解砕される。この一次的に混合、練合及び解砕された湿潤粉体がローラ7で練合される。そして、ローラ7で練合された湿潤粉体が、ローラ7より出口側開口2bに近い多数の羽根6によって二次的に混合、練合及び解砕される。これにより、比重が大きく、且つ形状や粒径が整えられた顆粒が得られる。
【0047】
造粒装置1Aは、回転容器2内に配置され、多数の羽根6とローラ7とが取付けられた回転シャフト4を備える。このローラ7は、多数の羽根6を回転させる回転シャフト4に取付けられている。このローラ7は、回転シャフト4と別に他のシャフトを必要とせず、電動機41と別に他の電動機を必要としない。この観点から、回転シャフト4に多数の羽根6とローラ7とが取付けられることが、好ましい。なお、この造粒装置1Aで、ローラ7は、回転シャフト4と別の他のシャフトに取付けられ、電動機41と別の他の電動機によって回転させられてもよい。
【0048】
造粒装置1Aは、ローラ7が回転シャフト4が挿通される貫通穴7bを有し、それぞれの羽根6が回転シャフト4が挿通される貫通穴6aを有する。このローラ7の位置は羽根6の位置と入れ替えられる。これにより、造粒装置1Aは、顆粒の用途に合わせて、回転容器2の軸方向において、ローラ7の位置を調整可能である。また、ローラ7と長さ、直径、外周面の状態等が異なる他のローラと付け替えられる。この観点から、ローラ7が貫通穴7bを有し、それぞれの羽根6が貫通穴6aを有することが、好ましい。更に、この観点から、造粒装置1Aは、回転シャフト4が挿通される貫通穴61aを有するスペーサリング61を有することが好ましい。
【0049】
また、この造粒装置1Aでは、ローラ7は、一体であったが、軸方向に分割された2以上の多数のローラ体を重ね合わせて形成されてよい。2以上の多数のローラ体を重ね合わせたローラ7を用いることで、ローラ7の長さLrは調整可能にされてよい。また、このローラ7では、軸方向に一端から他端まで直径が一定にされたが、これに限られるものではない。
【0050】
なお、この造粒装置1Aでは、回転容器2の内周面2cに、内周面2cから突出する多数の凸部が形成されてもよい。例えば、多数の凸部が、回転容器2の周方向に間隔を空けて並べられ配置される。それぞれの凸部は、回転容器2の軸方向に延びる筋状に形成される。軸方向において多数の羽根6が位置する範囲の内周面2cに、この凸部が形成されることで、内周面2cに対して湿潤粉体が滑ることが抑制され、湿潤粉体の解砕や混合が促進される。なお、この場合にも、軸方向においてローラ7が位置する範囲の内周面2cに、凸部が形成されないことが好ましい。
【0051】
図6及び
図7には、他の実施形態に係る造粒装置1Bが示されている。ここでは、造粒装置1Aと異なる構成が説明される。造粒装置1Aと同様の構成は同じ符号を用いて説明がされ、造粒装置1Aと同様の構成については、その説明が省略される。この造粒装置1Bは、スクレーパ8を備える。造粒装置1Bの他の構成は、造粒装置1Aと同様である。
【0052】
図6及び
図7に示される様に、スクレーパ8は、羽根6の上方に配置され、回転容器2の軸方向に延びている。スクレーパ8は、回転容器2の内周面2cに付着した湿潤粉体を掻き取る役割を果たす。
【0053】
図6に示される様に、スクレーパ8の一端は、第1アーム81及び第2アーム83を介して静止部材3の偏心部31に固定されている。スクレーパ8の他端は、アーム82及びロッド84を介してシュート14に固定されている。
【0054】
このスクレーパ8は、回転容器2の内周面2cに接触してもよいし、接触しなくてもよい。接触しない場合には、スクレーパ8の先端と内周面2cとの間のクリアランスはなるべく狭い方が好ましい。また、このスクレーパ8は固定されたが、内周面2cに近づく向きと離れる向きとに移動可能であってもよい。
【0055】
スクレーパ8の材質は、特に限られるものではない。スクレーパ8の材質は、例えば、スクレーパ8が回転容器2の内周面2cに接触しない場合、金属(例えば、ステンレス鋼)、樹脂、ゴムのいずれであってもよい。この材質は、スクレーパ8が内周面2cに接触する場合、例えば、フッ素樹脂(例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン))やナイロンなどの摺動性に優れる樹脂が好ましい。
【0056】
特に、スクレーパ8の材質がフッ素樹脂であれば、スクレーパ8自体への湿潤粉体の付着を抑制することができる。また、スクレーパ8自体への湿潤粉体の付着を抑制する観点から、スクレーパ8の表面積は小さくことが好ましい。
【0057】
造粒装置1Bでは、ローラ7によって内周面2cに押し付けられ付着した湿潤粉体をスクレーパ8で掻き取ることができる。この造粒装置1Bは、湿潤粉体が内周面2cに長時間に亘って付着することを抑制できる。
【0058】
図8には、更に他の実施形態に係る造粒装置1Cが示されている。ここでは、造粒装置1Aと異なる構成が説明される。造粒装置1Aと同様の構成は同じ符号を用いて説明がされ、造粒装置1Aと同様の構成については、その説明が省略される。この造粒装置1Cは、蓋9を備える。造粒装置1Cの他の構成は、造粒装置1Aと同様である。
【0059】
蓋9は、回転容器2の出口側開口2bに配置された本体91と、本体91を支持する支持軸92と、シュート14に固定された位置決め93と、固定具としての固定ナット94とを含む。
【0060】
図8の部分拡大図に示される様に、回転容器2は、出口側開口2bの、内周面2cと端面2dとの間に、テーパ面2eが形成されている。このテーパ面2eは、回転容器2の軸方向において入口側開口2aから出口側開口2bに向かって、半径方向外向きに傾斜している。
【0061】
蓋9の本体91は、回転容器2のテーパ面2eに対向するテーパ面91aを有する。このテーパ面91aは、回転容器2の軸方向において入口側開口2aから出口側開口2bに向かって、半径方向外向きに傾斜している。この造粒装置1Cでは、テーパ面2eの傾斜角度と、本体91のテーパ面91aとの傾斜角度は同じにされている。本体91は、回転容器2との間に隙間Gを形成して、出口側開口2bを覆っている。
【0062】
蓋9の支持軸92は、位置決め93を介して、シュート14に取付けられている。例えば、図示されないが、本体91に固定され本体91から延びる支持軸92の先端部には雄ねじが形成されている。位置決め93は支持軸92の雄ねじと螺合する雌ねじを有する。この雌ねじに支持軸92の雄ねじが螺合されて、位置決め93は、本体91を回転容器2の軸方向に位置調整可能に支持している。そして、固定ナット94が支持軸92の雄ねじに螺合され固定ナット94が位置決め93に押し付けられて、本体91を位置決め固定している。
【0063】
図8に示される様に、テーパ面2eとテーパ面91aとが形成する隙間Gは、回転容器2の軸方向に対して傾斜して延びている。
図8の両矢印tは、隙間Gの幅を表している。この隙間Gの幅tは、テーパ面2eに垂直に交差する直線上で求められる。この幅tは、隙間Gの入口から出口までの一定の大きさにされている。この隙間Gを通ることで、湿潤粉体は、テーパ面10eとテーパ面85aとに接触しつつ排出される。これにより、湿潤粉体は隙間Gで球形化される。造粒装置1Cは、ローラ7で練合された湿潤粉体の形状や粒径を調整しうる。造粒装置1Cは、得られる顆粒の形状及び粒径のばらつきを抑制できる。この幅tは、顆粒の用途に合わせて設定されればよく、特に限定されないが、例えば、0.5mm以上であり、3mm以下である。
【0064】
更に、この蓋9は、位置決め93及び固定ナット94によって、本体91を回転容器2の軸方向に移動可能であり、所定の位置に位置決め可能である。これにより、造粒装置1Cは、隙間Gの幅tを調整しうる。これにより、造粒装置1Cは、用途に合わせた粒径の顆粒を得ることができる。なお、この位置決め93及び固定ナット94は、例示であって、本体91の位置調整器は、これに限られるものではない。この位置調整器は、本体91を回転容器2の軸方向に移動可能にし、所定の位置に位置決め可能であればよい。また、この蓋9は、位置調整器を備えなくてもよい。
【0065】
なお、この隙間Gは、回転容器2の周方向全周に形成されなくともよい。本体91は、出口側開口2bにおいて、回転容器2との間に少なくとも周方向の一部に沿って延びる隙間Gを形成していればよく、出口側開口2bの他の部分は、覆わなくてもよい。出口側開口2bの他の部分では、本体91は、湿潤粉体が流出しない様にしてあれば隙間Gより大きな開口を形成してもよい。
【0066】
また、造粒装置1Cでは、隙間Gは一定の幅tで回転容器2の軸方向に対して傾斜して延びたがこれに限られるものではない。隙間Gは、回転容器2の軸方向に延びるように形成されてもよい。また、隙間Gの幅tは、入口で出口より大きくされてもよく、漸減してもよい。隙間Gは、入口と出口の間で屈曲してもよい。隙間Gを形成する、蓋9の本体91の対向面と回転容器2の対向面とのいずれか一方又は両方に回転容器2の周方向に延びる凹凸が形成されてもよい。この様に、隙間Gの幅t、長さ、形状を調整することで、湿潤粉体の隙間Gでの滞留時間を調整し、得られる顆粒の形状や粒径が調整されうる。
【0067】
また、この造粒装置1Cが、造粒装置1Bと同様に、蓋9と共に、スクレーパ8を備えてもよい。
【0068】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0069】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0070】
[項目1]
湿潤粉体を造粒し顆粒を製造する造粒装置であって、
横向きに延びる筒状の回転容器と、
前記回転容器内で回転し、湿潤粉体を練合及び解砕しつつ前記回転容器の軸方向一方の開口に向かって送る、多数の羽根と、
前記回転容器内で回転し、湿潤粉体を前記回転容器の内周面との間で練合する、ローラと、
を備える、造粒装置。
【0071】
[項目2]
前記ローラが、前記回転容器の軸方向において、並ぶ多数の羽根の、隣り合う2枚の羽根の間に配置されている、項目1に記載の造粒装置。
【0072】
[項目3]
前記回転容器の前記内周面に付着した湿潤粉体を掻き取るスクレーパを備える、項目1又は2に記載の造粒装置。
【0073】
[項目4]
前記回転容器との間に隙間を形成して前記開口の少なくとも一部を覆い、前記隙間から湿潤粉体を前記回転容器に接触させつつ排出する蓋を備える、項目1から3のいずれかに記載の造粒装置。
【0074】
[項目5]
前記回転容器内に配置され、前記ローラと多数の羽根とが取付けられた回転シャフトを備える、項目1から4のいずれかに記載の造粒装置。
【0075】
[項目6]
前記ローラが前記回転シャフトが挿通される貫通穴を有し、
それぞれの羽根が前記回転シャフトが挿通される貫通穴を有する、項目5に記載の造粒装置。
【符号の説明】
【0076】
1A、1B、1C・・・造粒装置
2・・・回転容器
2b・・・出口側開口(開口)
2c・・・内周面
2e・・・テーパ面
4・・・回転シャフト
6・・・羽根
6a・・・貫通穴
7・・・ローラ
7b・・・貫通穴
8・・・スクレーパ
9・・・蓋
G・・・隙間