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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147483
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】クレーン制御システム
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/48 20060101AFI20231005BHJP
   B66C 13/40 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B66C13/48 A
B66C13/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054996
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】597010628
【氏名又は名称】協立電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水澤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】和田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】白井 光夫
(72)【発明者】
【氏名】鍋田 忍
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 祐太
(72)【発明者】
【氏名】植田 成哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 晃
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA02
3F204BA02
3F204CA01
3F204DA05
3F204DC06
3F204DD01
(57)【要約】
【課題】立坑内に人が立ち入った状態で、そのまま立坑開口部の上方にクレーンが移動することを防止し、安全性が高まるクレーン制御システムを提供すること。
【解決手段】クレーン制御システムであって、駆動源14を駆動・停止させる駆動制御部31と、立坑前移動ボタン410を有する操作部4と、クレーン1の現位置を検知する現位置検知部32と、荷揚げ位置Aから荷下ろし位置Bまでの間の位置であってクレーンを停止させる立坑開口部外側位置Cとして設定する立坑開口部外側位置設定部33と、立坑前移動ボタン410が入状態のときに駆動信号を駆動制御部31に向けて発信するとともに、現位置が立坑開口部外側位置Cに到達するか否かを判断し、現位置が立坑開口部外側位置Cに到達したと判断した場合に、停止信号を駆動制御部31に向けて発信する運転支援制御部34と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源が駆動することにより立坑開口部の外側の荷揚げ位置から立坑内の荷下ろし位置まで資材の搬送を行うクレーンのクレーン制御システムであって、
駆動信号を受信して前記駆動源を駆動させ、停止信号を受信して前記駆動源を停止させる駆動制御部と、
立坑前移動ボタンを有する操作部と、
前記クレーンの現位置を検知する現位置検知部と、
前記荷揚げ位置から前記荷下ろし位置までの間の位置であって前記立坑開口部の外側の位置を、前記クレーンを停止させる立坑開口部外側位置として設定する立坑開口部外側位置設定部と、
前記立坑前移動ボタンが入状態のときに前記駆動信号を前記駆動制御部に向けて発信するとともに、前記現位置が前記立坑開口部外側位置に到達するか否かを判断し、前記現位置が前記立坑開口部外側位置に到達したと判断した場合に、前記停止信号を前記駆動制御部に向けて発信する運転支援制御部と、を備える
ことを特徴とするクレーン制御システム。
【請求項2】
前記運転支援制御部は、前記現位置が前記立坑開口部外側位置に到達する前であっても、前記立坑前移動ボタンが切状態に切り換えられたことに応じて、前記停止信号を前記駆動制御部に向けて発信する
ことを特徴とする請求項1に記載のクレーン制御システム。
【請求項3】
前記立坑内の荷下ろし位置を設定する荷下ろし位置設定部をさらに備え、
前記操作部は、さらに立坑下荷下ボタンを有し、
前記運転支援制御部は、前記立坑下荷下ボタンが入状態のときに前記駆動信号を前記駆動制御部に向けて発信するとともに、前記現位置が前記荷下ろし位置に到達するか否かを判断し、前記現位置が前記荷下ろし位置に到達したと判断した場合に、前記停止信号を前記駆動制御部に向けて発信する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクレーン制御システム。
【請求項4】
前記立坑前移動ボタンと、前記立坑下荷下ボタンとは隣接して配置されていないことを特徴とする請求項3に記載のクレーン制御システム。
【請求項5】
前記運転支援制御部は、前記現位置が前記荷下ろし位置に到達する前であっても、前記立坑下荷下ボタンが切状態に切り換えられたことに応じて、前記停止信号を前記駆動制御部に向けて発信する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のクレーン制御システム。
【請求項6】
前記立坑内から人が退避していないこと示す非退避信号を前記運転支援制御部に発信する立坑内監視部をさらに備え、
前記運転支援制御部は、前記立坑内監視部から発信された前記非退避信号を受信した場合、前記立坑下荷下ボタンが入状態であっても、前記駆動信号を前記駆動制御部に向けて発信しない
ことを特徴とする請求項3乃至請求項5のうちいずれか1項に記載のクレーン制御システム。
【請求項7】
前記駆動制御部は、前記運転支援制御部からの信号を受け付け可能な状態、および、受け付け不能な状態のいずれかに設定する信号受付設定部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載のクレーン制御システム。
【請求項8】
前記操作部は、さらに、手動操作によって前記クレーンを移動させるための手動操作信号を発信する手動操作ボタンを有し、
前記駆動制御部は、前記信号受付設定部が、前記運転支援制御部からの前記駆動信号を受け付け不能な状態に設定した場合、前記手動操作信号に基づいて前記駆動源を制御する
ことを特徴とする請求項7に記載のクレーン制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資材を吊り上げて荷下ろし位置まで資材を搬送するクレーンを制御するクレーン制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場、および工事現場などでは、クレーンを用いて資材の搬送が行われる。例えば、地中にトンネルを構築するシールド工事等では、地上の資材集積箇所に集積された覆工セグメントなどの資材を、立坑まで搬送して立坑底部へ下ろし、さらに立坑底部からトンネル先端に向かって移送する必要がある。覆工セグメントのような重量のある資材であれば、クレーンで資材を吊り上げて資材集積箇所から立坑まで搬送し、立坑底部の荷下ろし位置へ資材を吊り下ろしていた。
【0003】
クレーンによって資材を搬送する技術として、例えば、特許文献1には、発進立坑を跨いで架設された天井クレーンのセグメントグラブでセグメントを把持し、自動運転によって、セグメントグラブを吊り上げ、天井クレーンを走行させてセグメントをセグメント集積箇所から発進立坑の上方まで搬送してから、セグメントグラブを下降させてセグメントを発進立坑の底部で待機する搬送台車に吊り降ろす覆工セグメントの搬送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-225913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のような覆工セグメントの搬送システムは、天井クレーンを高速で立坑の上部へ移動させ、セグメントグラブを立坑の降下位置に合わせて降下させるので、立坑内に人が立ち入った状態で、立坑開口部の上方にクレーンが移動し、吊荷下に人が入った状態となる場合がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、立坑内に人が立ち入った状態で、そのまま立坑開口部の上方にクレーンが移動することを防止し、安全性が高まるクレーン制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に係る発明は、駆動源が駆動することにより立坑開口部の外側の荷揚げ位置から立坑内の荷下ろし位置まで資材の搬送を行うクレーンのクレーン制御システムであって、駆動信号を受信して前記駆動源を駆動させ、停止信号を受信して前記駆動源を停止させる駆動制御部と、立坑前移動ボタンを有する操作部と、前記クレーンの現位置を検知する現位置検知部と、前記荷揚げ位置から前記荷下ろし位置までの間の位置であって前記立坑開口部の外側の位置を、前記クレーンを停止させる立坑開口部外側位置として設定する立坑開口部外側位置設定部と、前記立坑前移動ボタンが入状態のときに前記駆動信号を前記駆動制御部に向けて発信するとともに、前記現位置が前記立坑開口部外側位置に到達するか否かを判断し、前記現位置が前記立坑開口部外側位置に到達したと判断した場合に、前記停止信号を前記駆動制御部に向けて発信する運転支援制御部と、を備えることを特徴とするクレーン制御システムである。
【0008】
本願請求項2に係る発明は、前記運転支援制御部は、前記現位置が前記立坑開口部外側位置に到達する前であっても、前記立坑前移動ボタンが切状態に切り換えられたことに応じて、前記停止信号を前記駆動制御部に向けて発信することを特徴とする請求項1に記載のクレーン制御システムである。
【0009】
本願請求項3に係る発明は、前記立坑内の荷下ろし位置を設定する荷下ろし位置設定部をさらに備え、前記操作部は、さらに立坑下荷下ボタンを有し、前記運転支援制御部は、前記立坑下荷下ボタンが入状態のときに前記駆動信号を前記駆動制御部に向けて発信するとともに、前記現位置が前記荷下ろし位置に到達するか否かを判断し、前記現位置が前記荷下ろし位置に到達したと判断した場合に、前記停止信号を前記駆動制御部に向けて発信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクレーン制御システムである。
【0010】
本願請求項4に係る発明は、前記立坑前移動ボタンと、前記立坑下荷下ボタンとは隣接して配置されていないことを特徴とする請求項3に記載のクレーン制御システムである。
【0011】
本願請求項5に係る発明は、前記運転支援制御部は、前記現位置が前記荷下ろし位置に到達する前であっても、前記立坑下荷下ボタンが切状態に切り換えられたことに応じて、前記停止信号を前記駆動制御部に向けて発信することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のクレーン制御システムである。
【0012】
本願請求項6に係る発明は、前記立坑内から人が退避していないこと示す非退避信号を前記運転支援制御部に発信する立坑内監視部をさらに備え、前記運転支援制御部は、前記立坑内監視部から発信された前記非退避信号を受信した場合、前記立坑下荷下ボタンが入状態であっても、前記駆動信号を前記駆動制御部に向けて発信しないことを特徴とする請求項3乃至請求項5のうちいずれか1項に記載のクレーン制御システムである。
【0013】
本願請求項7に係る発明は、前記駆動制御部は、前記運転支援制御部からの信号を受け付け可能な状態、および、受け付け不能な状態のいずれかに設定する信号受付設定部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項に記載のクレーン制御システムである。
【0014】
本願請求項8に係る発明は、前記操作部は、さらに、手動操作によって前記クレーンを移動させるための手動操作信号を発信する手動操作ボタンを有し、前記駆動制御部は、前記信号受付設定部が、前記運転支援制御部からの前記駆動信号を受け付け不能な状態に設定した場合、前記手動操作信号に基づいて前記駆動源を制御することを特徴とする請求項7に記載のクレーン制御システムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、クレーンが荷下ろし位置の手前の立坑開口部外側位置まで自動的に移動して停止するので、クレーンのオペレータが立坑開口部の下方の安全を確認するきっかけを与えることになる。よって、オペレータは安全確認を行い、その後にクレーンの走行を再開させることができる。そのため、立坑内の荷下ろし位置の近傍に人が立ち入った状態で、そのまま立坑下開口部の上にクレーンが移動することを防止し、安全性が高まる。
また、立坑開口部の手前までのクレーン走行中に、運転に専念できるため、運転作業の負担が低減する。
【0016】
加えて、運転支援制御部は、現位置が立坑開口部外側位置に到達する前であっても、立坑前移動ボタンが切状態に切り換えられたことに応じて、停止信号を駆動制御部に向けて発信するので、クレーンが立坑開口部外側位置までへの移動中であっても、オペレータは、立坑前移動ボタンを切状態に切り替えることで、いつでもクレーンを停止させることができる。
【0017】
加えて、立坑内の荷下ろし位置を設定する荷下ろし位置設定部をさらに備え、操作部は、さらに立坑下荷下ボタンを有し、運転支援制御部は、立坑下荷下ボタンが入状態のときに駆動信号を駆動制御部に向けて発信するとともに、現位置が荷下ろし位置に到達するか否かを判断し、現位置が荷下ろし位置に到達したと判断した場合に、停止信号を駆動制御部に向けて発信するので、クレーンが荷下ろし位置まで自動的に移動して停止するので、オペレータの運転作業の負担が低減する。
【0018】
加えて、立坑前移動ボタンと、立坑下荷下ボタンとは隣接して配置されていないので、オペレータは、立坑前移動ボタンの押下を解除した後に、立坑下荷下ボタンの位置を確認してから立坑下荷下ボタンを押下する必要がある。よって、オペレータが慣れによって連続して立坑前移動ボタンと立坑下荷下ボタンとを押下することを防ぐことができる。これにより、立坑内の安全の確認が促される。
【0019】
加えて、運転支援制御部は、現位置が荷下ろし位置に到達する前であっても、立坑下荷下ボタンが切状態に切り換えられたことに応じて、停止信号を駆動制御部に向けて発信するので、クレーンが荷下ろし位置までへの移動中であっても、オペレータは、立坑下荷下ボタンを切状態に切り替えることで、いつでもクレーンを停止させることができる。
【0020】
加えて、立坑内から人が退避していないこと示す非退避信号を運転支援制御部に発信する立坑内監視部をさらに備え、運転支援制御部は、立坑内監視部から発信された非退避信号を受信した場合、立坑下荷下ボタンが入状態であっても、前記駆動信号を前記駆動制御部に向けて発信しないので、立坑内に人が立ち入っていてもオペレータが、誤ってクレーンを立坑開口部の上方に移動させることを防止することができる。
【0021】
加えて、駆動制御部は、運転支援制御部からの信号を受け付け可能な状態、および、受け付け不能な状態のいずれかに設定する信号受付設定部をさらに備えるので、自動的な運転を解除することができる。
【0022】
加えて、操作部は、さらに、手動操作によってクレーンを移動させるための手動操作信号を発信する手動操作ボタンを有し、駆動制御部は、信号受付設定部が、運転支援制御部からの駆動信号を受け付け不能な状態に設定した場合、手動操作信号に基づいて駆動源を制御するので、通常の手動操作信号に基づく手動運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係るクレーンの概略構造の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る操作部の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るクレーン制御システムのブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係るクレーンの動作の一例を説明するための図である。
図5】本発明の実施形態に係るクレーンの動作の一例を説明するための図である。
図6】本発明の実施形態に係るクレーンの動作の一例を説明するための図である。
図7】本発明の実施形態に係るクレーン制御システムが実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態に係る立坑前移動処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係る立坑下荷下処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態に係る立坑内を監視する監視装置の一例を示す図である。
図11】本発明の実施形態に係る立坑内監視部を有するクレーン制御システムの機能の一例を示すブロック図である。
図12】本発明の実施形態に係る操作部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0025】
クレーン制御システムは、資材を搬送するクレーンを制御するシステムである。クレーンは、例えば、シールド工事の場に設置される、いわゆる天井走行式のクレーンであって、地上の荷揚げ位置から立坑底部の荷下ろし位置まで資材を搬送するためのクレーンである。資材は、例えば、覆工体であるセグメントである。
【0026】
図1は、クレーンの概略構造の一例を示す斜視図である。クレーン1は、一対の走行レール11と、クレーンガーダ12と、巻上部13とを備える。
【0027】
一対の走行レール11は、クレーンガーダ12を支持してクレーンガーダ12を円滑に走行させるための部材である。一対の走行レール11は、例えば、防音ハウスを構成する複数の支柱(不図示)によって支持され、互いに平行に配置される。
【0028】
クレーンガーダ12は、一対の走行レール11に架設されて走行レール11に沿って走行する部材である。走行レール11に沿ってクレーンガーダ12が走行する方向を走行方向という。
【0029】
巻上部13は、クレーンガーダ12に支持されて、クレーンガーダ12に沿って走行する部材である。クレーンガーダ12に沿って巻上部13が走行する方向を横行方向という。
【0030】
巻上部13は、いわゆる巻上機であって、先端にフック131が取り付けられたワイヤ132の巻き上げ、および巻き下げを行う。これにより、フック131に直接的、または間接的に取り付けられた資材Mの吊り上げ、または吊り下げをすることができる。なお、巻上部13は、ワイヤ132に代えてチェーンの巻き上げ、および巻き下げを行ってもよい。
【0031】
各走行レール11は、荷揚げ位置A、荷下ろし位置B、立坑開口部外側位置Cを挟んで対向するように配置される。つまり、クレーン1の平面視において、荷揚げ位置A、荷下ろし位置B、および立坑開口部外側位置Cは一対の走行レール11のうちの一方の走行レール11と他方の走行レール11との間に配置され、かつ、荷揚げ位置A、荷下ろし位置B、および立坑開口部外側位置Cは、各走行レール11の一端と他端との間に順に配置される。
【0032】
荷揚げ位置Aは、後述する運転支援モードにて資材Mを吊り上げた巻上部13が立坑開口部外側位置Cに向かって移動を開始する位置である。荷揚げ位置Aは、例えば、資材Mが地切りされた位置であっても良い。また、例えば、地切り後に手動運転によって任意の位置に移動した後の位置であっても良い。荷揚げ位置Aは、高さ(Z座標)も考慮して巻上部13のフック131の位置も考慮して設定されても良い。
【0033】
荷下ろし位置Bは、後述する運転支援モードにて立坑内で資材Mを吊り下げた巻上部13が荷外しを開始する位置である。荷下ろし位置Bは、例えば、資材Mがフック131から外される位置であっても良い。また、荷下ろし位置Bは、その位置から手動運転によって任意の位置に移動した後に資材Mがフックから外される場合の位置であっても良い。荷下ろし位置Bは、例えば、巻上部13のフック131の位置も考慮して設定される。荷下ろし位置Bは、立坑の底部付近においてあらかじめ設定される。
【0034】
立坑開口部外側位置Cは、荷揚げ位置Aから荷下ろし位置Bまでの間であって、後述する運転支援モードにてクレーン1の動作を停止させる位置である。立坑開口部外側位置Cは、例えば、地上部の立坑開口部Kの周辺、外側に設定される。
【0035】
クレーンガーダ12には、クレーン1を制御するための制御盤3が設置される。また、制御盤3には、クレーン1の操作するための操作部4が有線にて接続される。制御盤3は、操作部4からの信号に基づいてクレーン1の動作を制御する。操作部4は、無線にて接続されていても良い。
【0036】
制御盤3は、クレーン1を制御するための電気機器、および電子機器を有する装置である。制御盤3は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)、および各種リレー基板を含む。リレー基板は、操作部4から受けた信号、およびPLCから受けた信号に基づいて作動し、クレーン1の動作を制御する。
【0037】
制御盤3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および不揮発性メモリ等のハードウェアを有していてよい。また、制御盤3は、通信装置を備えていてもよい。制御盤3が通信装置を有している場合、制御盤3は、PC(Personal Computer)、およびタブレット端末などと通信する。
【0038】
図2は、操作部4の一例を示す図である。操作部4は、例えば、電源ボタン401と、自動入ボタン402と、自動切ボタン403と、上ボタン404と、下ボタン405と、西ボタン406と、東ボタン407と、北ボタン408と、南ボタン409と、立坑前移動ボタン410と、立坑下荷下ボタン411と、基準高リセットボタン412と、警報ボタン413と、照明ボタン414と、を有している。
【0039】
電源ボタン401は、操作部4の電源を投入するためのボタンである。電源ボタン401が押下されることにより操作部4の電源が入状態となり、操作部4の他のボタンの操作が有効になる。
【0040】
自動入ボタン402は、クレーン1の運転モードを運転支援モードに設定するためのボタンである。自動入ボタン402が押下されると、操作部4は、自動入ボタン402が押下されたことを示す信号を発信する。
【0041】
自動切ボタン403は、クレーン1の運転モードを手動運転モードに設定するためのボタンである。自動切ボタン403が押下されると、操作部4は、自動切ボタン403が押下されたことを示す信号を発信する。
【0042】
上ボタン404、および下ボタン405は、それぞれ、フック131の位置を上方および下方に移動させるボタンである。言い換えれば、上ボタン404および下ボタン405は、それぞれ、巻上部13のワイヤ132の巻き上げ、および巻き下げを行うためのボタンである。上ボタン404、および下ボタン405がそれぞれ押下されると、操作部4は、上ボタン404、および下ボタン405がそれぞれ押下されたことを示す信号を発信する。
【0043】
西ボタン406、東ボタン407、北ボタン408、および南ボタン409はそれぞれ、巻上部13の位置を西側、東側、北側、および南側に移動させるボタンである。例えば、走行レール11が東西方向に延在する場合、西ボタン406、または東ボタン407が押下されると、クレーンガーダ12は西側、または東側に向かって走行する。また、クレーンガーダ12が南北方向に延在する場合、北ボタン408、または南ボタン409が押下されると、巻上部13は北側、または南側に向かって走行する。
【0044】
上ボタン404、下ボタン405、西ボタン406、東ボタン407、北ボタン408、および南ボタン409は、手動操作ボタンという。手動操作ボタンがそれぞれ押下されると、操作部4は、手動操作ボタンがそれぞれ押下されたことを示す信号を発信する。手動操作ボタンは、後述する手動運転モードにて、クレーン1を動作させるためのボタンである。
【0045】
立坑前移動ボタン410は、後述する運転支援モードにて、クレーン1の位置を荷揚げ位置Aから立坑開口部外側位置Cまで自動的に移動させるためのボタンである。立坑前移動ボタン410が押下されると、操作部4は、立坑前移動ボタン410が押下されたことを示す信号を発信する。
【0046】
立坑下荷下ボタン411は、クレーン1の位置を立坑開口部外側位置Cから荷下ろし位置Bまで自動的に移動させるためのボタンである。立坑下荷下ボタン411が押下されると、操作部4は、立坑下荷下ボタン411が押下されたことを示す信号を発信する。
【0047】
基準高リセットボタン412は、ワイヤ132の先端に取り付けられたフック131の位置の原点設定を行うためのボタンである。基準高リセットボタン412が押下されると、操作部4は、基準高リセットボタン412が押下されたことを示す信号を発信する。基準高リセットボタン412が押下されると、巻上部13のワイヤ132が限界位置まで巻き取られる。この限界位置がフック131の位置の原点に設定される。フック131の位置の原点設定が行われた後に、フック131は、元の高さまで巻き下げられるようにしても良い。
【0048】
警報ボタン413は、警報を発するためのボタンである。警報ボタン413が押下されると、クレーン1に設けられたスピーカ(不図示)から警報音が発せられる。
照明ボタン414は、照明を点灯させるためのボタンである。照明ボタン414が押下されると、巻上部13に設置された照明(不図示)が下方を照らす。
【0049】
図3は、クレーン制御システムの構成および機能の一例を示すブロック図である。クレーン制御システム2の各機能は、操作部4に対する操作に基づいて、制御盤3に実装された電気機器、および電子機器が各種処理、および各種信号の送受信をすることによって実現される。
【0050】
クレーン制御システム2は、駆動制御部31と、現位置検知部32と、立坑開口部外側位置設定部33と、運転支援制御部34と、荷下ろし位置設定部35と、を備えている。
クレーン制御システム2は、クレーン1の駆動源14、およびセンサ15に接続されている。また、クレーン制御システム2は、入出力装置5と通信可能に接続される。スピーカ、照明は図示を省略している。
【0051】
駆動制御部31は、駆動信号を受信して駆動源14を駆動させ、停止信号を受信して駆動源14を停止させる。
【0052】
駆動源14は、複数のモータを含む。複数のモータは、例えば、走行モータ141、横行モータ142、および巻取モータ143である。
【0053】
走行モータ141は、クレーンガーダ12を走行レール11に沿って走行させるモータである。横行モータ142は、巻上部13をクレーンガーダ12に沿って走行させるモータである。巻取モータ143は、ワイヤ132の巻き上げ、または巻き下げを行うためのモータである。
【0054】
駆動制御部31は、受信した駆動信号に応じて、走行モータ141、横行モータ142、および巻取モータ143の少なくともいずれかを駆動させる制御を行う。すなわち、駆動制御部31が受信する駆動信号は、走行モータ141、横行モータ142、および巻取モータ143のいずれかを駆動させるための信号である。
【0055】
駆動制御部31は、受信した停止信号に応じて、走行モータ141、横行モータ142、および巻取モータ143の少なくともいずれかを停止させる。すなわち、駆動制御部31が受信する停止信号は、走行モータ141、横行モータ142、および巻取モータ143のいずれかを停止させるための信号である。
【0056】
現位置検知部32は、クレーン1の現位置を検知する。ここで、クレーン1の位置とは、巻上部13の位置、またはフック131の位置である。現位置検知部32は、クレーン1のセンサ15から受けた信号に基づいてクレーン1の現位置を検知する。センサ15は、例えば、走行センサ151、横行センサ152、および巻取センサ153を含む。
【0057】
走行センサ151は、走行レール11上のクレーンガーダ12の位置を検知するセンサである。走行センサ151は、例えば、レーザ距離センサである。レーザ距離センサは、例えば、レーザ発信部と、レーザ受信部と、ミラーとを含む。
【0058】
レーザ発信部は、レーザ光を発信する装置である。また、レーザ受信部は、レーザ光を受信する装置である。レーザ発信部およびレーザ受信部は、例えば、クレーンガーダ12に設置される。ミラーは、レーザ発信部から発信されたレーザを反射させる。ミラーは、例えば、走行レール11の一端に設置される。ミラーで反射したレーザ光は、レーザ受信部で受信される。レーザ距離センサは、レーザ発信部がレーザ光を発してからレーザ受信部がレーザ光を受けるまでの時間に基づいてクレーンガーダ12の走行レール11上の位置を検知する。
【0059】
横行センサ152は、クレーンガーダ12上の巻上部13の位置を検知するセンサである。横行センサ152は、例えば、レーザ距離センサである。横行センサ152がレーザ距離センサである場合、巻上部13にレーザ発信部、およびレーザ受信部が取り付けられ、クレーンガーダ12の一端にミラーが取り付けられるようにすればよい。これにより、クレーンガーダ12上の巻上部13の位置が検知される。
【0060】
巻取センサ153は、巻上部13に対するフック131の位置を検知するセンサである。巻取センサ153は、例えば、ワイヤ132の巻き上げおよび巻き下げを行うドラムに取り付けられたロータリエンコーダである。
【0061】
現位置検知部32は、走行センサ151が検知した走行レール11に対するクレーンガーダ12の位置の情報、および横行センサ152が検知したクレーンガーダ12に対する巻上部13の位置の情報に基づいて、地面に対する巻上部13の位置を検知する。さらに、現位置検知部32は、巻取センサ153が検知した巻上部13に対するフック131の位置の情報に基づいて、地面に対するフック131の現位置を検知する。
【0062】
走行方向をX軸、横行方向をY軸、および巻き上げ方向をZ軸に設定した場合、地面に対する巻上部13の現位置は、X-Y平面上の座標値で表される。また、フック131の現位置は直交3軸座標系の座標値で表される。
【0063】
立坑開口部外側位置設定部33は、荷揚げ位置Aから荷下ろし位置Bまでの間の位置であって立坑開口部の外側の位置を、巻上部13を停止させる立坑開口部外側位置Cに設定する。
【0064】
立坑開口部外側位置設定部33は、例えば、入出力装置5を用いて入力されたX-Y平面の座標値に基づいて立坑開口部外側位置Cを、例えばX1、Y1として設定する。立坑開口部外側位置Cは、巻上部13を停止させる位置である。
【0065】
入出力装置5は、例えば、PC、またはタブレット端末である。入出力装置5が制御盤3の通信装置と通信することにより、立坑開口部外側位置設定部33が、入出力装置5に入力された立坑開口部外側位置Cに関する情報を受けて立坑開口部外側位置Cを設定する。
【0066】
なお、オペレータが巻上部13を立坑開口部外側位置Cに移動させて立坑開口部外側位置Cを教示してもよい。すなわち、立坑開口部外側位置設定部33は、立坑開口部外側位置Cまで動かされ、現位置検知部32によって検知された巻上部13の現位置に基づいて、立坑開口部外側位置Cを設定してもよい。
【0067】
運転支援モードについて説明する。運転支援モードは、操作部4の操作に基づいて、クレーン1を荷揚げ位置Aから立坑開口部外側位置Cまで自動的に移動させ、さらに、クレーン1を立坑開口部外側位置Cから荷下ろし位置Bまで自動的に移動させる運転を行うモードである。
【0068】
運転支援モードでは、駆動制御部31が、運転支援制御部34から発信される信号に基づいて駆動部を制御する。つまり、運転支援モードは、運転支援制御部34から信号を駆動制御部31が受け付け可能な状態において実行される。
【0069】
運転支援モードにおいて、立坑前移動ボタン410がオペレータによって押下されて入状態となっている間、操作部4は、立坑前移動ボタン410が押下されたことを示す信号を運転支援制御部34に向けて送る。また、オペレータの手が立坑前移動ボタン410から離れて、立坑前移動ボタン410の押下が解除され切状態に切り換えられると、操作部4は、立坑前移動ボタン410が切状態であることを示す信号を運転支援制御部34に送る。
【0070】
運転支援制御部34は、操作部4から立坑前移動ボタン410が押下されたことを示す信号を受信している間、駆動信号を駆動制御部31に向けて発信する。運転支援制御部34は、クレーン1の現位置が立坑開口部外側位置Cに到達したと判断した場合に、停止信号を駆動制御部31に向けて発信する。運転支援制御部34は、操作部4から立坑前移動ボタン410が切状態であることを示す信号を受信すると、停止信号を駆動制御部31に向けて発信する。
【0071】
運転支援制御部34は、例えば、最初に巻上部13をクレーンガーダ12に沿って立坑開口部外側位置CのY座標が示す位置Y1まで移動させ、次に、クレーンガーダ12を走行レール11に沿って立坑開口部外側位置CのX座標が示す位置X1まで移動させる。
【0072】
この場合、運転支援制御部34は、まず、巻上部13が位置Y1に到達するように横行モータ142を駆動させる駆動信号を駆動制御部31に向けて出力する。これにより、駆動制御部31は、横行モータ142を駆動させる。
【0073】
巻上部13が立坑開口部外側位置Cの位置Y1に到達すると、運転支援制御部34は、横行モータ142の駆動を停止させる停止信号を駆動制御部31に向けて出力する。これにより、駆動制御部31は、横行モータ142を停止させ、巻上部13を立坑開口部外側位置Cの位置Y1に停止させる。
【0074】
次に、運転支援制御部34は、クレーンガーダ12が位置X1に到達するように走行モータ141を駆動させる駆動信号を駆動制御部31に向けて出力する。これにより、駆動制御部31は、走行モータ141を駆動させる。
【0075】
巻上部13が立坑開口部外側位置Cの位置X1に到達すると、運転支援制御部34は、走行モータ141の駆動を停止させる停止信号を駆動制御部31に向けて出力する。これにより、駆動制御部31は、走行モータ141を停止させ、巻上部13を立坑開口部外側位置Cの位置X1に停止させる。
【0076】
運転支援制御部34は、巻上部13、クレーンガーダ12の現位置が立坑開口部外側位置Cの位置X1、Y1に到達する前であっても、立坑前移動ボタン410が切状態に切り換えられたことに応じて、停止信号を駆動制御部31に向けて発信する。これより、駆動制御部31は、巻上部13、クレーンガーダ12が立坑開口部外側位置Cの位置X1、Y1に到達する前の位置でクレーン1の動作を停止させる。
【0077】
荷下ろし位置設定部35は、立坑内の荷下ろし位置Bを設定する。
【0078】
荷下ろし位置設定部35は、例えば、入出力装置5を用いて入力された直交3軸座標系の座標値に基づいて荷下ろし位置Bを、例えばX2、Y2、Z2として設定する。
【0079】
入出力装置5は、例えば、PC、またはタブレット端末である。入出力装置5が制御盤3の通信装置と通信することにより、荷下ろし位置設定部35が、入出力装置5に入力された荷下ろし位置Bに関する情報を受けて荷下ろし位置Bを設定する。
【0080】
なお、オペレータが巻上部13やフック131を荷下ろし位置Bに移動させて荷下ろし位置Bを教示してもよい。すなわち、荷下ろし位置設定部35は、荷下ろし位置Bまで動かされ、現位置検知部32によって検知された巻上部13やフック131の現位置に基づいて、荷下ろし位置Bを設定してもよい。
【0081】
運転支援制御部34は、操作部4から立坑下荷下ボタン411が押下されたことを示す信号を受信している間、駆動信号を駆動制御部31に向けて発信する。運転支援制御部34は、クレーン1の現位置が荷下ろし位置Bに到達したと判断した場合に、停止信号を駆動制御部31に向けて発信する。運転支援制御部34は、操作部4から立坑下荷下ボタン411が切状態であることを示す信号を受信すると、停止信号を駆動制御部31に向けて発信する。
なお、これらの処理を行う前に、クレーン1の現位置が立坑開口部外側位置Cにあることや、またはクレーン1の現位置が立坑開口部外側位置Cと荷下ろし位置Bとの間の位置にあることを条件として処理するようにしても良い。
【0082】
運転支援制御部34は、例えば、最初にクレーンガーダ12を走行レール11に沿って荷下ろし位置BのX座標が示す位置X2まで移動させ、次に、巻上部13をクレーンガーダ12に沿って荷下ろし位置BのY座標が示す位置Y2まで移動させ、次に巻上部13のフック131を巻き下げて荷下ろし位置BのZ座標が示す位置Z2まで移動させる。
【0083】
この場合、運転支援制御部34は、まず、クレーンガーダ12が位置X2に到達するように走行モータ141を駆動させる駆動信号を駆動制御部31に向けて出力する。これにより、駆動制御部31は、走行モータ141を駆動させる。
【0084】
クレーンガーダ12が荷下ろし位置Bの位置X2に到達すると、運転支援制御部34は、走行モータ141の駆動を停止させる停止信号を駆動制御部31に向けて出力する。これにより、駆動制御部31は、走行モータ141を停止させ、クレーンガーダ12を荷下ろし位置Bの位置X2に停止させる。
【0085】
次に、運転支援制御部34は、巻上部13が位置Y2に到達するように横行モータ142を駆動させる駆動信号を駆動制御部31に向けて出力する。これにより、駆動制御部31は、横行モータ142を駆動させる。
【0086】
巻上部13が荷下ろし位置BのY2に到達すると、運転支援制御部34は、横行モータ142の駆動を停止させるための停止信号を駆動制御部31に向けて出力する。これにより、駆動制御部31は、横行モータ142を停止させ、巻上部13を荷下ろし位置Bの位置Y2に停止させる。
【0087】
次に、運転支援制御部34は、巻上部13のフック131が位置Z2に到達するように巻取モータ143を駆動させる駆動信号を駆動制御部31に向けて出力する。これにより、駆動制御部31は、巻取モータ143を駆動させる。
【0088】
巻上部13のフック131が荷下ろし位置BのZ2に到達すると、運転支援制御部34は、巻取モータ143の駆動を停止させるための停止信号を駆動制御部31に向けて出力する。これにより、駆動制御部31は、巻取モータ143を停止させ、巻上部13のフック131を荷下ろし位置Bの位置Z2に停止させる。
【0089】
運転支援制御部34は、巻上部13、クレーンガーダ12、フック131の現位置が荷下ろし位置Bの位置X2、Y2、Z2に到達する前であっても、立坑下荷下ボタン411が切状態に切り換えられたことに応じて、停止信号を駆動制御部31に向けて発信する。これより、駆動制御部31は、巻上部13が荷下ろし位置Bの位置X2、Y2、Z2に到達する前の位置でクレーン1の動作を停止させる。
【0090】
次に、手動運転モードについて説明する。手動運転モードは、操作部4の手動操作ボタンに対する操作に基づいて、クレーン1を動作させるモードである。
【0091】
手動運転モードでは、駆動制御部31が、操作部4の手動操作ボタンを押下することによって発信される手動操作信号に基づいて駆動部を制御する。つまり、手動運転モードは、駆動制御部31が操作部4からの信号を直接受け付け可能な状態において実行される。
【0092】
駆動制御部31は、信号受付設定部311を有する。
信号受付設定部311は、運転支援制御部34からの信号を受け付け可能な状態、および、受け付け不能な状態のいずれかに駆動制御部31を設定する。
運転支援モードは、信号受付設定部311によって、駆動制御部31が運転支援制御部34からの信号を受け付け可能に設定されている状態といえる。また、手動運転モードは、信号受付設定部311によって、駆動制御部31が運転支援制御部34からの信号を受け付け不能に設定されている状態といえる。
【0093】
信号受付設定部311が、運転支援制御部34からの信号を受け付け可能な状態に設定した場合、駆動制御部31は、運転支援制御部34からの信号を受け付けて、手動操作信号を受け付けない。
したがって、オペレータの手動操作ボタンの押下によっては駆動制御部31が駆動源14を制御されず、立坑前移動ボタン410、または立坑下荷下ボタン411がオペレータによって押下されることなど、運転支援制御部34からの信号に基づいて、駆動制御部31が駆動信号に基づいて駆動源14を制御する。
【0094】
信号受付設定部311が、運転支援制御部34からの信号を受け付け不能な状態に設定した場合、駆動制御部31は、運転支援制御部34からの信号を受け付けず、手動操作信号を受け付ける。
したがって、立坑前移動ボタン410、または立坑下荷下ボタン411がオペレータによって押下されることなどに応じて、運転支援制御部34が駆動制御部31に対し駆動信号を発信しても、駆動制御部31は駆動源14を駆動させず、オペレータの手動操作ボタンの押下によって駆動制御部31が駆動源14を制御する。
【0095】
次に、クレーン1の動作の一例について説明する。
図4図6は、クレーン1の動作の一例を説明するための図である。
【0096】
地上に仮置きされた資材Mを立坑の底部に搬送する場合、まず、操作部4の電源ボタン401が押下される(図4参照)。これにより、操作部4の電源が投入される。
この初期状態では、自動切ボタン403が押下された状態、すなわち信号受付設定部311によって、駆動制御部31が運転支援制御部34からの信号を受け付け不能に設定されている状態、手動運転モードに設定されている。
【0097】
次に、基準高リセットボタン412が押下される(図4参照)。これにより、フック131が限界位置まで巻き取られ、フック131の位置のZ方向の原点設定が行われる。原点設定が行われると、フック131が元の位置まで巻き下げられる。
この基準高リセットボタン412は、手動によるフック131の位置のZ方向の原点設定を可能とするために設けられたものである。
【0098】
次に、上ボタン404、下ボタン405、西ボタン406、東ボタン407、北ボタン408、および南ボタン409の手動操作ボタンが各操作され(図4参照)、巻上部13が資材Mの配置された位置に移動する。ここで、資材Mを吊り上げるセグメントグラブがフック131に掛けられ、地切りが行われる。クレーン1が荷揚げ位置Aに配置される。
【0099】
次に、自動入ボタン402が押下される(図4参照)。これにより、運転モードが運転支援モードに設定される。
【0100】
次に、立坑前移動ボタン410が押下される(図5参照)。これにより、クレーン1が立坑開口部外側位置Cまで移動する。具体的には、巻上部13が立坑開口部外側位置Cの位置X1、位置Y1に移動する。
【0101】
クレーン1は、立坑前移動ボタン410が押下されている間のみ、立坑開口部外側位置Cに向かって移動する。クレーン1が立坑開口部外側位置Cに到達する前に立坑前移動ボタン410の押下が解除されると、クレーン1の移動は停止する。クレーン1が立坑開口部外側位置Cまで到達すると、クレーン1は、停止する。クレーン1が立坑開口部外側位置Cに到達すると、立坑前移動ボタン410が押下されても、巻上部13は移動しない。
【0102】
この動作により、オペレータは、立坑内に人が立ち入っているか否かの確認を行うきっかけとすることができる。立坑内に人が立ち入っている場合は、所定の方法により退避の呼びかけなどが行われる。
なお、クレーン1や操作部4などに報知部を設けるなどして、クレーン1が立坑開口部外側位置Cまで到達したことに基づいて、オペレータに安全確認を促す報知を行うようにしても良い。
【0103】
安全確認を行った後、立坑下荷下ボタン411が押下される(図6参照)。これにより、クレーン1は、荷下ろし位置Bまで移動する。具体的には、巻上部13が、荷下ろし位置Bの位置X2、位置Y2まで移動し、さらに、フック131が荷下ろし位置Bの位置Z2まで移動する。クレーン1が荷下ろし位置Bまで到達すると、クレーン1の移動は停止する。
【0104】
クレーン1が荷下ろし位置Bに到達すると、自動切ボタン403が押下される(図6参照)。これにより、運転モードが運転支援モードから手動運転モードに切り換えられるなどして、資材Mの荷下ろしが完了する。
【0105】
次に、クレーン制御システム2が実行する処理について説明する。
【0106】
図7は、クレーン制御システム2が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、制御盤3の電源が投入されると、駆動制御部31は、運転モードを手動運転モードに設定する(ステップS1)。
【0107】
次に、駆動制御部31は、操作部4から基準高リセットボタン412が押下されたことを示す信号を受信すると、フック131の位置の原点設定を行う(ステップS2)。
【0108】
次に、駆動制御部31は、操作部4から手動操作ボタンが押下されたことを示す信号を受信すると、駆動源14を駆動させる(ステップS3)。このとき、オペレータは、手動操作ボタンを操作することにより、巻上部13を荷揚げ位置Aに移動させる。さらに、オペレータは、資材Mを吊り上げるセグメントグラブをフック131に掛け、地切りを行う。つまり、駆動制御部31が受信する信号は、巻上部13、およびフック131を荷揚げ位置Aに移動させるための信号である。
【0109】
次に、駆動制御部31は、自動入ボタン402が押下されたことを示す信号を受信したが否かを判断する(ステップS4)。自動入ボタン402が押下されたことを示す信号を受信していない場合(ステップS4においてNoの場合)、駆動制御部31は、自動入ボタン402が押下されたことを示す信号を受信するまで待機する。
【0110】
自動入ボタン402が押下されたことを示す信号を受信した場合(ステップS4においてYesの場合)、駆動制御部31は、運転モードを運転支援モードに設定する(ステップS5)。
【0111】
次に、運転支援制御部34は、巻上部13の現位置が立坑開口部の外側の位置にあるか否かを判断する(ステップS6)。
【0112】
巻上部13の現位置が立坑開口部の内側の位置にある場合(ステップS6においてNoの場合)、手動運転モードにて巻上部13の位置を荷揚げ位置Aに移動させる必要がある。この場合、駆動制御部31は、自動切ボタン403が押下されたこと示す信号を受信するまで待機し(ステップS9においてNoの場合)、自動切ボタン403が押下されたことを示す信号を受信すると(ステップS9においてYesの場合)、運転モードを手動運転モードに設定し、一旦処理を終了する。この場合、オペレータは手動操作ボタンによって立坑開口部の外側に巻上機を移動させて最初から作業を行うことになる。
【0113】
巻上部13の現位置が立坑開口部の外側の位置にある場合(ステップS6においてYesの場合)、立坑前移動処理が行われる(ステップS7)。
【0114】
図8は、立坑前移動処理の流れの一例を示すフローチャートである。立坑前移動処理は、立坑前移動ボタン410が押下されたことを示す信号を受信する間だけ継続される。
【0115】
立坑前移動処理では、まず、運転支援制御部34が、立坑前移動ボタン410が押下されたことを示す信号を受信すると、ワイヤ132の巻き上げを行うための駆動信号を駆動制御部31に発信する。これにより、駆動制御部31は、巻取モータ143を駆動させ、ワイヤ132の巻き上げを開始する(ステップSA1)。これは、基準高リセットボタン412が押下されたときの動作と同じ動作であり、フック131の位置のZ方向の原点設定である。
【0116】
次に、運転支援制御部34は、ワイヤ132が限界位置まで巻き上げられたか否かを判断する(ステップSA2)。未だワイヤ132が限界位置まで巻き上げられていない場合(ステップSA2においてNoの場合)、駆動制御部31は、ワイヤ132の巻き上げを継続する。
【0117】
ワイヤ132が限界位置まで巻き上げられると(ステップSA2においてYesの場合)、運転支援制御部34は、現位置検知部32から現位置(X、Y、Z)、立坑開口部外側位置設定部33から立坑開口部外側位置C(X1、Y1)及び荷下ろし位置設定部35から荷下ろし位置B(X2、Y2、Z2)を読み込み認識する。
【0118】
運転支援制御部34は、巻上部13を横行方向(Y軸方向)に移動させる駆動信号を駆動制御部31に向けて発信する(ステップSA3)。ここで、横行方向は、クレーンガーダ12に沿う方向であり、かつ、立坑開口部外側位置Cに向かう方向である。
【0119】
次に、運転支援制御部34は、巻上部13の現位置(Y)が立坑開口部外側位置Cの位置Y1に到達したか否かを判断する(ステップSA4)。巻上部13が立坑開口部外側位置Cの位置Y1に未だ到達していない場合(ステップSA4においてNoの場合)、運転支援制御部34は、巻上部13を立坑開口部外側位置Cの位置Y1に向けて移動させるための駆動信号の発信を継続する。
【0120】
巻上部13が立坑開口部外側位置Cの位置Y1に到達した場合、運転支援制御部34は、巻上部13を横行方向に移動させることを停止させる停止信号を駆動制御部31に向けて発信し、巻上部13を走行方向(X軸方向)に移動させるための駆動信号を駆動制御部31に向けて発信する。ここで、走行方向とは、走行レール11に沿う方向であり、かつ、立坑開口部外側位置Cに向かう方向である。
【0121】
次に、運転支援制御部34は、巻上部13の現位置(X)が立坑開口部外側位置Cの位置X1に到達したか否かを判断する(ステップSA6)。巻上部13が立坑開口部外側位置Cの位置X1に未だ到達していない場合(ステップSA6においてNoの場合)、運転支援制御部34は、巻上部13を立坑開口部外側位置Cの位置X1に向けて移動させるための駆動信号の発信を継続する。
【0122】
巻上部13が立坑開口部外側位置Cの位置X1に到達したと判断した場合(ステップSA6においてYesの場合)、運転支援制御部34は、巻上部13を走行方向に移動させることを停止させる停止信号を駆動制御部31に向けて発信し、立坑前移動処理は終了する。
【0123】
ここで、図7の説明に戻る。立坑前移動処理が終了すると、立坑下荷下処理が行われる(ステップS8)。
なお、立坑下荷下処理を行う前に、クレーン1の現位置が立坑開口部外側位置Cにあることや、またはクレーン1の現位置が立坑開口部外側位置Cと荷下ろし位置Bとの間の位置にあることなどの適合性の判断を行ってから、立坑下荷下処理を開始するようにしても良い。
【0124】
図9は、立坑下荷下処理の流れの一例を示すフローチャートである。立坑下荷下処理は、立坑下荷下ボタン411が押下されたことを示す信号を受信する間だけ継続される。
【0125】
立坑下荷下処理では、まず、運転支援制御部34が、立坑下荷下ボタン411が押下されたことを示す信号を受信すると、巻上部13を走行方向に移動させるための駆動信号を駆動制御部31に向けて発信する。ここで、走行方向は、走行レール11に沿う方向であり、かつ、荷下ろし位置Bに向かう方向である。これにより、駆動制御部31は、走行モータ141を駆動させ、巻上部13を走行方向に移動させる(ステップSB1)。
【0126】
次に、運転支援制御部34は、巻上部13の現位置(X)が荷下ろし位置Bの位置X2に到達したか否かを判断する(ステップSB2)。巻上部13が荷下ろし位置Bの位置X2に未だ到達していない場合(ステップSB2においてNoの場合)、運転支援制御部34は、巻上部13を荷下ろし位置Bの位置X2に向けて移動させるための駆動信号の発信を継続する。
【0127】
巻上部13が荷下ろし位置Bの位置X2に到達した場合(SB2においてYesの場合)、運転支援制御部34は、巻上部13を走行方向に移動させることを停止させる停止信号を駆動制御部31に向けて発信し、巻上部13を横行方向(Y軸方向)に移動させるための駆動信号を発信する。ここで、横行方向とは、クレーンガーダ12に沿う方向であり、荷下ろし位置Bに向かう方向である。
【0128】
次に、運転支援制御部34は、巻上部13の現位置(Y)が荷下ろし位置Bの位置Y2に到達したか否かを判断する(ステップSB4)。巻上部13が荷下ろし位置Bの位置Y2に未だ到達していない場合(ステップSB4においてNoの場合)、運転支援制御部34は、巻上部13を荷下ろし位置Bの位置Y2に向けて移動させるための駆動信号の発信を継続する。
【0129】
巻上部13が荷下ろし位置Bの位置Y2に到達した場合、運転支援制御部34は、巻上部13を横行方向に移動させることを停止させる停止信号を駆動制御部31に向けて発信し、ワイヤ132の巻き下げを行うための駆動信号を駆動制御部31に向けて発信する。これにより、駆動制御部31は、巻取モータ143を制御し、ワイヤ132の巻き下げを開始する(ステップSB5)。
【0130】
次に、運転支援制御部34は、フック131の現位置(Z)が荷下ろし位置Bの位置Z2に到達したか否かを判断する(ステップSB6)。フック131が荷下ろし位置Bの位置Z2に未だ到達していない場合(ステップSB6においてNoの場合)、運転支援制御部34は、ワイヤ132の巻き下げを行うための駆動信号の発信を継続する。
【0131】
フック131が荷下ろし位置Bの位置Z2に到達した場合(ステップSB6においてYesの場合)、運転支援制御部34は、ワイヤ132の巻き下げを停止させる停止信号を駆動制御部31に向けて発信し、立坑下荷下処理が終了する。
【0132】
ここで、図7の説明に戻る。
【0133】
立坑下荷下処理が終了すると、駆動制御部31は、自動切ボタン403が押下されたことを示す信号を受信したか否かを判断する(ステップS9)。自動切ボタン403が押下されたことを示す信号を受信していない場合(ステップS9においてNoの場合)、駆動制御部31は、自動切ボタン403が押下されたことを示す信号を受信するまで待機する。
【0134】
駆動制御部31は、自動切ボタン403が押下されたことを示す信号を受信すると(ステップS9においてYesの場合)、運転モードを手動運転モードに設定し(ステップS10)、処理を終了する。その後、オペレータが手動操作ボタンを操作することにより、資材Mの荷降ろし作業の以降の作業などが行われる。
【0135】
以上説明したように、本願発明のクレーン制御システム2は、駆動源14が駆動することにより立坑開口部Kの外側の荷揚げ位置Aから立坑内の荷下ろし位置Bまで資材の搬送を行うクレーン1のクレーン制御システム2であって、駆動信号を受信して駆動源14を駆動させ、停止信号を受信して駆動源14を停止させる駆動制御部31と、立坑前移動ボタン410を有する操作部4と、クレーン1の現位置を検知する現位置検知部32と、荷揚げ位置Aから荷下ろし位置Bまでの間の位置であって立坑開口部Kの外側の位置を、クレーン1を停止させる立坑開口部外側位置Cとして設定する立坑開口部外側位置設定部33と、立坑前移動ボタン410が入状態のときに駆動信号を駆動制御部31に向けて発信するとともに、現位置が立坑開口部外側位置Cに到達するか否かを判断し、現位置が立坑開口部外側位置Cに到達したと判断した場合に、停止信号を駆動制御部31に向けて発信する運転支援制御部34と、を備える。
【0136】
したがって、クレーン1が荷下ろし位置Bの手前の立坑開口部外側位置Cまで自動的に移動して停止するので、クレーン1のオペレータが立坑開口部Kの下方の安全を確認するきっかけを与えることになる。よって、オペレータは安全確認を行い、その後にクレーン1の走行を再開させることができる。そのため、立坑内の荷下ろし位置Bの近傍に人が立ち入った状態で、そのまま立坑開口部Kの上にクレーンが移動することを防止し、安全性が高まる。
また、立坑開口部Kの手前までのクレーン走行中に、運転に専念できるため、運転作業の負担が低減する。
【0137】
また、運転支援制御部34は、クレーン1の現位置が立坑開口部外側位置Cに到達する前であっても、立坑前移動ボタン410が切状態に切り換えられたことに応じて、停止信号を駆動制御部31に向けて発信する。
【0138】
したがって、クレーン1が立坑開口部外側位置Cまでへの移動中であっても、オペレータは、立坑前移動ボタン410を切状態に切り替えることで、いつでもクレーン1を停止させることができる。
【0139】
また、立坑内の荷下ろし位置Bを設定する荷下ろし位置設定部35をさらに備え、操作部4は、さらに立坑下荷下ボタン411を有し、運転支援制御部34は、立坑下荷下ボタン411が入状態のときに駆動信号を駆動制御部31に向けて発信するとともに、現位置が荷下ろし位置Bに到達するか否かを判断し、現位置が荷下ろし位置Bに到達したと判断した場合に、停止信号を駆動制御部31に向けて発信する。
【0140】
したがって、クレーン1が荷下ろし位置Bまで自動的に移動して停止するので、オペレータの運転作業の負担が低減する。
【0141】
また、運転支援制御部34は、現位置が荷下ろし位置Bに到達する前であっても、立坑下荷下ボタン411が切状態に切り換えられたことに応じて、停止信号を駆動制御部31に向けて発信する。
【0142】
したがって、立坑内において資材Mを搬送している際のクレーン1が荷下ろし位置Bまでへの移動中であっても、オペレータは、立坑下荷下ボタン411を切状態に切り替えることで、いつでもクレーン1を停止させることができる。
【0143】
また、駆動制御部31は、運転支援制御部34からの信号を受け付け可能な状態、および、受け付け不能な状態のいずれかに設定する信号受付設定部311をさらに備える。
したがって、自動的な運転を解除することができる。また、駆動制御部31が、運転支援制御部34からの駆動信号を受け付け不能な状態において、誤って手動操作ボタンが操作されてもクレーン1移動させないようにすることができる。
【0144】
また、操作部4は、さらに、手動操作によってクレーン1を移動させるための手動操作信号を発信する手動操作ボタンを有し、駆動制御部31は、信号受付設定部311が、運転支援制御部34からの駆動信号を受け付け不能な状態に設定した場合、手動操作信号に基づいて駆動源14を制御する。
したがって、一般的なクレーンと同様に、通常の手動操作信号に基づく手動運転を行うことができる。
【0145】
上述した実施形態では、立坑内に人の立ち入りの有無などについてオペレータが目視で確認するものであった。しかし、クレーン制御システム2は、以下に述べるように、立坑内を監視する監視装置を備えていてもよい。
【0146】
図10は、立坑内を監視する監視装置の一例を示す図である。監視装置6は、例えば、立坑内カメラ61、進入検知カメラ62、人感センサ63、カメラモニタ64、および警告灯65を含む。
【0147】
立坑内カメラ61、進入検知カメラ62、人感センサ63、カメラモニタ64、および警告灯65は、それぞれ、立坑内監視部36に有線接続、または無線接続される。
【0148】
立坑内カメラ61は、立坑内全体を監視するカメラである。立坑内カメラ61は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラである。
【0149】
進入検知カメラ62は、立坑の底部を監視するカメラである。進入検知カメラ62は、立坑の底部に人が進入したことを検知するために用いられる。進入検知カメラ62は、例えば、CCDカメラである。
【0150】
人感センサ63は、人を検知するためのセンサである。人感センサ63は、立坑の底部に人が進入したことを検知するために用いられる。人感センサ63は、例えば、赤外線センサである。
【0151】
カメラモニタ64は、立坑内カメラ61、および進入検知カメラ62で撮像された画像を表示させるモニタである。カメラモニタ64は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0152】
警告灯65は、立坑内カメラ61、進入検知カメラ62、および人感センサ63のいずれかによって、人が検知された場合に、危険を報知する報知装置である。警告灯65は、例えば、回転灯である。
【0153】
立坑内監視部36は、立坑内カメラ61、進入検知カメラ62、人感センサ63、カメラモニタ64、および警告灯65などと接続されており、これらの少なくとも一つによって立坑内への人が進入していることが検知されたことに基づいて非退避信号を発信する。
【0154】
クレーン制御システム2が監視装置6に接続される場合、クレーン制御システム2は、立坑内監視部36を備える。
【0155】
図11は、立坑内監視部を有するクレーン制御システム2の機能の一例を示すブロック図である。図11に示すクレーン制御システム2は、図3に示すクレーン制御システム2の機能に加え、立坑内監視部36を備えている。
【0156】
立坑内監視部36は、立坑内カメラ61、進入検知カメラ62、人感センサ63、カメラモニタ64、および警告灯65に接続される。
【0157】
立坑内監視部36は、立坑内カメラ61、および進入検知カメラ62によって撮像された画像の画像データを受ける。立坑内監視部36は、これらの画像データを所定の記憶部に記憶させてもよい。
【0158】
立坑内監視部36は、立坑内カメラ61、および進入検知カメラ62から受けた画像データに基づいて、立坑内カメラ61、および進入検知カメラ62によって撮像された画像をカメラモニタ64に表示させる。
【0159】
また、立坑内監視部36は、立坑内カメラ61、および進入検知カメラ62によって撮像された画像から立坑内に人が立ち入ったこと、または立坑内から人が退避していないことを検知する。
【0160】
さらに、立坑内監視部36は、人感センサ63から出力される信号を受ける。人感センサ63から出力される信号は、人感センサ63によって人が検知されたことを示す信号である。これにより、立坑内監視部36は、立坑内に人が立ち入ったこと、または立坑内から人が退避していないことを検知する。
【0161】
立坑内から人が退避していないことが検知されると、立坑内監視部36は、立坑内から人が退避していないこと示す非退避信号を運転支援制御部34に発信する。
【0162】
運転支援制御部34は、立坑内監視部36から発信された非退避信号を受信した場合、立坑下荷下ボタン411が入状態であっても、駆動信号を駆動制御部31に向けて発信しない。これにより、監視装置6によって人が検知された場合は、運転支援モードにおいて立坑下荷下ボタン411が押下されていても、クレーン1の移動を停止させることができる。
【0163】
なお、本実施形態では、立坑内監視部36は、制御盤3に含まれるようにしたが、別に設けられるようにしても良い。例えば、立坑監視システムの制御部として、立坑開口部付近に設置され、運転支援制御部34に非退避信号を発信するようにしても良い。
また、操作部4に別途操作ボタンを設けて、立坑監視システムからの非退避信号に基づく上記の動作をしないように設定を切り替えることが可能となるようにしても良い。
【0164】
本実施形態では、クレーン1は、シールド工事で使用されるものであったが、これに限られず、立坑内に資材を搬入するものであれば良く、例えば、推進工事などに適用しても良い。
【0165】
本実施形態では、クレーン1で搬送する資材Mが覆工セグメントであるが、その他の資材であってもよい。
【0166】
本実施形態では、クレーンは天井走行型のクレーンであったが、これに限らず、門型クレーンやジブクレーンなど他の形式のものであっても良い。
【0167】
本実施形態では、ロータリエンコーダでワイヤ132の巻き上げ、および巻き下げの距離を検知している。しかし、ワイヤ132の先端をセンサで検知することにより巻き下げを停止し、リミットスイッチ等によりワイヤ132の巻き上げを停止させることもできる。
【0168】
本実施形態では、走行センサ151、および横行センサ152として、レーザ距離センサを用いている。しかし、走行センサ151、および横行センサ152は、これに限られず、カメラ等でクレーンガーダ12および巻上部13の位置を検知するようにしてもよい。
【0169】
本実施形態では、立坑前移動処理及び立坑下荷下処理において、横行方向、走行方向及び巻下げ方向などの順で設定位置までの移動の制御を行ったが、これらの順番に限られず、例えば、順序が入れ替わっても良く、また、同時並行的に移動制御を行うようにしても良い。
【0170】
本実施形態では、荷下ろし位置や立坑開口部外側位置として、座標点を用いて設定したが、ある程度の範囲をエリアとして設定し、そのエリア内に移動させるようにしても良い。
【0171】
本実施形態では、立坑開口部外側位置として、横行方向及び走行方向の双方の位置を設定するようにしたが、いずれか一方、例えば、走行方向のみを設定してクレーンガーダの移動を停止するようにしても良い。
【0172】
また、操作部4の各ボタンの配置等は、図2に示す配置等に限定されない。例えば、図12に示すように、立坑前移動ボタン410の位置と、立坑下荷下ボタン411とを隣接させずに、ある程度離れた位置に配置してもよい。この例では、左側に立坑前移動ボタン410、右側に立坑下荷下ボタン411としているが、上下方向に一列を空けて配置している。これにより、オペレータは、立坑前移動ボタン410の押下を解除した後に、立坑下荷下ボタン411の位置を確認してから立坑下荷下ボタン411を押下する必要がある。そのため、オペレータが慣れによって立坑内の安全の確認を怠り連続して立坑前移動ボタン410と立坑下荷下ボタン411とを押下することを防ぐことができる。これにより、立坑内の安全の確認が促され、資材Mを搬送する際の安全性を高めることができる。
【0173】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0174】
1 クレーン
11 走行レール
12 クレーンガーダ
13 巻上部
131 フック
132 ワイヤ
14 駆動源
141 走行モータ
142 横行モータ
143 巻取モータ
15 センサ
151 走行センサ
152 横行センサ
153 巻取センサ
2 クレーン制御システム
3 制御盤
31 駆動制御部
311 信号受付設定部
32 現位置検知部
33 立坑開口部外側位置設定部
34 運転支援制御部
35 荷下ろし位置設定部
36 立坑内監視部
4 操作部
401 電源ボタン
402 自動入ボタン
403 自動切ボタン
404 上ボタン
405 下ボタン
406 西ボタン
407 東ボタン
408 北ボタン
409 南ボタン
410 立坑前移動ボタン
411 立坑下荷下ボタン
412 基準高リセットボタン
413 警報ボタン
414 照明ボタン
5 入出力装置
6 監視装置
61 立坑内カメラ
62 進入検知カメラ
63 人感センサ
64 カメラモニタ
65 警告灯
A 荷揚げ位置
B 荷下ろし位置
C 立坑開口部外側位置
M 資材
K 立坑開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12