(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147492
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】基板積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20231005BHJP
B05D 5/06 20060101ALI20231005BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20231005BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20231005BHJP
B32B 38/14 20060101ALI20231005BHJP
B32B 37/10 20060101ALI20231005BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L23/02 B
H01L23/02 F
B05D5/06 101D
B05D1/36 B
B05D3/12 C
B32B38/14
B32B37/10
B32B27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055013
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】宗包 早紀
(72)【発明者】
【氏名】藤下 彩佳
(72)【発明者】
【氏名】西平 成義
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 譲
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
【Fターム(参考)】
4D075AE04
4D075AE13
4D075BB05Z
4D075BB27Y
4D075BB42Z
4D075BB43Z
4D075BB46Z
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4D075EA21
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4D075EB33
4F100AA20B
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4F100AB11D
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4F100JB14B
4F100JB14C
(57)【要約】
【課題】接着層を厚膜化しても、接着層の高さおよび天面の面積を確保することが可能な基板積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】基板積層体の製造方法は、印刷法を用いて、第1基板11上に、硬化性樹脂組成物のパターン12を形成するA工程と、硬化性樹脂組成物のパターン12を半硬化させるB工程と、印刷法を用いて、硬化性樹脂組成物の半硬化物のパターン13上に、硬化性樹脂組成物のパターン12を形成するC工程と、B工程で形成した硬化性樹脂組成物の半硬化物のパターン13およびC工程で形成した硬化性樹脂組成物のパターン12をモールドMで成型して硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを形成するD工程と、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを介して、第1基板および第2基板を配置して、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを硬化させるE工程と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷法を用いて、第1基板上に、第1硬化性樹脂組成物のパターンを形成するA工程と、
前記第1硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させるB工程と、
印刷法を用いて、前記半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターン上に、第2硬化性樹脂組成物のパターンを形成するC工程と、
前記B工程で半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターンおよび前記C工程で形成した第2硬化性樹脂組成物のパターンをモールドで成型して硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを形成するD工程と、
前記硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを介して、前記第1基板および第2基板を配置して、前記硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを硬化させるE工程と、を含む、基板積層体の製造方法。
【請求項2】
前記D工程は、前記C工程で形成された前記第2硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させる、請求項1に記載の基板積層体の製造方法。
【請求項3】
前記C工程で形成された前記第2硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させるF工程をさらに含み、
前記C工程および前記F工程を複数回繰り返した後に、前記D工程を実施し、前記複数回繰り返すサイクルのうち、最後のサイクルの前記F工程を省略する、請求項2に記載の基板積層体の製造方法。
【請求項4】
前記C工程で形成された前記第2硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させるF工程をさらに含み、
前記D工程は、前記B工程で半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターンおよび前記F工程で半硬化した第2硬化性樹脂組成物のパターンを前記モールドで成型する、請求項1に記載の基板積層体の製造方法。
【請求項5】
前記C工程および前記F工程を複数回繰り返した後に、前記D工程を実施する、請求項4に記載の基板積層体の製造方法。
【請求項6】
前記B工程で半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターンをモールドで成型するH工程をさらに含み、
前記C工程は、前記H工程で成型した第1硬化性樹脂組成物のパターン上に、第2硬化性樹脂組成物のパターンを形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の基板積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イメージセンサ、加速度センサ、圧力センサ等のMEMSセンサを製造する際に、半導体素子基板と、ガラス基板、金属基板、セラミック基板等の封止基板とを、半導体素子の周囲に配置されている接着層を介して、接着させる。接着層を形成する方法としては、紫外線硬化型接着剤をスクリーン印刷する方法、ディスペンサーを用いて、紫外線硬化型接着剤を塗布する方法等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ガラス基板に付着しうる異物の映り込み等を防止するため、接着層を厚膜化することが望まれている。このとき、接着層を厚膜化するために、紫外線硬化型接着剤を複数回スクリーン印刷することが考えられるが、紫外線硬化型接着剤が濡れ拡がるため、接着層の高さおよび天面の面積を確保することができない。その結果、基板積層体の高さのばらつきが生じたり、接着層が不均一となったりするため、基板積層体の信頼性に個体差が生じる。
【0005】
本発明は、接着層を厚膜化しても、接着層の高さおよび天面の面積を確保することが可能な基板積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、基板積層体の製造方法において、印刷法を用いて、第1基板上に、第1硬化性樹脂組成物のパターンを形成するA工程と、前記第1硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させるB工程と、印刷法を用いて、前記半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターン上に、第2硬化性樹脂組成物のパターンを形成するC工程と、前記B工程で半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターンおよび前記C工程で形成した第2硬化性樹脂組成物のパターンをモールドで成型して硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを形成するD工程と、前記硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを介して、前記第1基板および第2基板を配置して、前記硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを硬化させるE工程と、を含む。
【0007】
前記D工程は、前記C工程で形成された前記第2硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させてもよい。
【0008】
上記の基板積層体の製造方法は、前記C工程で形成された前記第2硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させるF工程をさらに含み、前記C工程および前記F工程を複数回繰り返した後に、前記D工程を実施し、前記複数回繰り返すサイクルのうち、最後のサイクルの前記F工程を省略してもよい。
【0009】
上記の基板積層体の製造方法は、前記C工程で形成された前記第2硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させるF工程をさらに含み、前記D工程は、前記B工程で半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターンおよび前記F工程で半硬化した第2硬化性樹脂組成物のパターンを前記モールドで成型してもよい。
【0010】
上記の基板積層体の製造方法は、前記C工程および前記F工程を複数回繰り返した後に、前記D工程を実施してもよい。
【0011】
上記の基板積層体の製造方法は、前記B工程で半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターンをモールドで成型するH工程をさらに含み、前記C工程は、前記H工程で成型した第1硬化性樹脂組成物のパターン上に、第2硬化性樹脂組成物のパターンを形成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、接着層を厚膜化しても、接着層の高さおよび天面の面積を確保することが可能な基板積層体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の基板積層体の製造方法の一例を示す図である。
【
図2】
図1の基板積層体の製造方法の変形例を示す図である。
【
図3】
図2の基板積層体の製造方法の変形例を示す図である。
【
図4】
図2の基板積層体の製造方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
[基板積層体の製造方法]
本実施形態の基板積層体の製造方法は、印刷法を用いて、第1基板上に、第1硬化性樹脂組成物のパターンを形成するA工程と、第1硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させるB工程と、印刷法を用いて、半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターン上に、第2硬化性樹脂組成物のパターンを形成するC工程と、を含む。また、本実施形態の基板積層体の製造方法は、B工程で半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターンおよびC工程で形成した第2硬化性樹脂組成物のパターンをモールドで成型して硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを形成するD工程と、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを介して、第1基板および第2基板を配置して、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを硬化させるE工程と、をさらに含む。このため、接着層、すなわち、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを厚膜化しても、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンの高さおよび天面の面積が確保される。
【0016】
このとき、本実施形態の基板積層体の製造方法は、D工程で、C工程で形成された第2硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させてもよい。これにより、第2硬化性樹脂組成物のパターンが濡れ拡がりにくくなる。
【0017】
また、本実施形態の基板積層体の製造方法は、C工程で形成された第2硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させるF工程をさらに含み、D工程は、B工程で半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターンおよびF工程で半硬化した第2硬化性樹脂組成物のパターンをモールドで成型してもよい。これにより、第2硬化性樹脂組成物のパターンが濡れ拡がりにくくなる。この場合、本実施形態の基板積層体の製造方法は、モールドの底面に第3硬化性樹脂組成物を配置するG工程をさらに含み、D工程は、第3硬化性樹脂組成物が配置されたモールドで成型するとともに、モールドの底面に配置された第3硬化性樹脂組成物を半硬化させてもよい。これにより、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンの高さおよび天面の面積が確保されやすくなる。
【0018】
さらに、本実施形態の基板積層体の製造方法は、B工程で半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターンをモールドで成型するH工程をさらに含み、C工程は、H工程で成型した第1硬化性樹脂組成物のパターン上に、第2硬化性樹脂組成物のパターンを形成してもよい。これにより、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンの高さおよび天面の面積が確保されやすくなる。また、本実施形態の基板積層体の製造方法は、B工程の代わりに、A工程で形成された第1硬化性樹脂組成物のパターンをモールドで成型するH’工程をさらに含み、C工程は、H’工程で成型した第1硬化性樹脂組成物のパターン上に、第2硬化性樹脂組成物のパターンを形成してもよい。このとき、本実施形態の基板積層体の製造方法は、H’工程で、A工程で形成された第1硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させてもよい。
【0019】
なお、本実施形態の基板積層体の製造方法は、C工程で形成された第2硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させるF工程をさらに含む場合、C工程およびF工程を複数回繰り返した後に、D工程を実施してもよい。このとき、D工程で、C工程で形成された硬化性樹脂組成物のパターンを半硬化させる場合は、複数回繰り返すサイクルのうち、最後のサイクルのF工程を省略する。これにより、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンの高さおよび天面の面積が確保されやすくなる。また、本実施形態の基板積層体の製造方法は、B工程で半硬化した第1硬化性樹脂組成物のパターンおよびF工程で半硬化した第2硬化性樹脂組成物のパターンをモールドで成型するI工程をさらに含み、C工程、F工程およびI工程を複数回繰り返した後に、D工程を実施してもよい。この場合、複数回繰り返すサイクルのうち、最後のサイクルのI工程を省略する。これにより、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンの高さおよび天面の面積が確保されやすくなる。このとき、最後のサイクルのF工程を省略してもよい。
【0020】
なお、第1硬化性樹脂組成物、第2硬化性樹脂組成物および第3硬化性樹脂組成物は、第2硬化性樹脂組成物のパターンを複数回形成する場合の第2硬化性樹脂組成物も含めて、同一であってもよいし、異なっていてもよい。ここで、第1硬化性樹脂組成物、第2硬化性樹脂組成物および第3硬化性樹脂組成物が異なる場合は、構成する材料が異なっていてもよいし、配合が異なっていてもよい。
【0021】
以下、第1硬化性樹脂組成物、第2硬化性樹脂組成物および第3硬化性樹脂組成物が同一である場合について説明する。
【0022】
印刷法としては、特に限定されないが、例えば、インクジェット印刷法、活版印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等が挙げられる。これらの中でも、簡便にパターニングできる観点から、スクリーン印刷法が好ましい。
【0023】
モールドを構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼等の金属、ガラス等の無機物質、ゴム、樹脂等の有機物質等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。また、離型性や耐久性を向上させるために、モールドは、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、PEEK等の有機系コーティング、超硬合金、硬質クロム、DLC等の金属系コーティング等が挙げられる。
【0024】
モールドの底面の算術平均粗さRaは、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。なお、レプリセット(ストルアス製)を用いて、モールドの形状を転写した後、3D測定レーザー顕微鏡を用いて、モールドの底面の算術平均粗さRaを測定することができる。
【0025】
モールドの底面に硬化性樹脂組成物を配置する際には、例えば、ディスペンサーを用いることができる。
【0026】
後述する硬化性樹脂組成物が光硬化性および熱硬化性を有する場合、硬化性樹脂組成物を半硬化させる際に光硬化させ、硬化性樹脂組成物を硬化させる際に、熱硬化させることが好ましい。硬化性樹脂組成物を半硬化させるタイミングとしては、B工程、D工程、F工程およびH’工程が挙げられる。D工程およびH’工程で硬化性樹脂組成物を半硬化させるタイミングとしては、モールドで成型している間およびモールドで成型した後のいずれでもよい。
【0027】
硬化性樹脂組成物を光硬化させる際に照射する光の波長は、後述する硬化性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤および光増感剤が吸収することが可能であれば、特に限定されないが、例えば、200nm以上450nm以下である。
【0028】
なお、溶剤の除去および硬化性樹脂組成物の半硬化物の物性の調節の観点から、硬化性樹脂組成物を光硬化させる前後に、硬化性樹脂組成物の半硬化物の接着性が低下しない程度に、硬化性樹脂組成物または硬化性樹脂組成物の半硬化物を加熱してもよい。加熱温度は、特に限定されないが、例えば、40℃以上300℃以下であり、40℃以上150℃以下であることが好ましい。
【0029】
硬化性樹脂組成物を熱硬化させる際の温度は、特に限定されないが、例えば、80℃以上350℃以下である。
【0030】
第1基板および第2基板としては、特に限定されないが、例えば、半導体素子基板、シリコンウエハ、ガラス基板、透明樹脂基板、着色樹脂基板、セラミック基板等が挙げられる。なお、第1基板および第2基板は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、イメージセンサを製造する場合は、第1の基板および第2の基板の一方が半導体素子基板であり、第1の基板および第2の基板の他方がガラス基板である。
【0031】
第1基板および第2基板の上面の形状としては、特に限定されないが、例えば、円形状、矩形状等が挙げられる。基板積層体の生産性の観点から、第1基板および第2基板としては、100mm×100mm以上の矩形状の基板、一度個片化された基板を100mm×100mm以上のエリアに再配列した基板、4インチ以上12インチ以下の円形状の基板を用いることが好ましい。なお、第1基板および第2基板のサイズや形状は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0032】
硬化性樹脂組成物の積層体のパターンは、第1基板および第2基板を接着させる接着層として機能する。接着層の幅および高さは、適宜設定することが可能であるが、適切に選択することで、中空構造体(基板積層体)が簡便に得られる。特に、基板積層体をCMOS・CCDセンサに適用する場合、接着層の高さが低すぎると、組み立て時にセンサ基板を傷つける場合がある。また、接着層の高さが高すぎると、良好なパターンが得られない場合がある。これらの点から、接着層の高さは、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、50μm以上500μm以下であることがより好ましく、50μm以上300μm以下であることがさらに好ましい。接着層の高さの上限は、200μmであってもよく、150μmであってもよい。接着層の幅が狭すぎると、十分な接着強度が得られない場合があり、接着層の幅が広すぎると、半導体素子を配置するスペースが十分得られない場合がある。これらの点から、接着層の幅は、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、100μm以上300μm以下であることが好ましい。
【0033】
第1基板に形成された接着層の第2基板と接する面の算術平均粗さRaは、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。Raが5μm以下であると、接着層の高さのばらつきが低減し、接着信頼性が向上する。なお、3D測定レーザー顕微鏡を用いて、Raを測定することができる。
【0034】
硬化性樹脂組成物は、種々の方法により、調製することができる。硬化性樹脂組成物は、構成成分を使用直前に混合することにより調製してもよいし、構成成分を予め混合することにより調製した一液の状態で低温貯蔵しておいてもよい。ハンドリング性等の観点から、硬化性樹脂組成物は、液状であることが好ましい。硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、硬化性樹脂組成物の染み出しを抑制する観点から、1Pa・s以上であることが好ましい。また、硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、印刷法を用いる観点から、250Pa・s以下であることが好ましい。なお、レオメーターを用いて、硬化性樹脂組成物の粘度を測定することができる。
【0035】
図1に、本実施形態の基板積層体の製造方法の一例を示す。
【0036】
まず、スクリーン版PおよびスキージSを用いて、第1基板11上に硬化性樹脂組成物Cをスクリーン印刷し、硬化性樹脂組成物のパターン12を形成する(A工程;
図1(a)参照)。このとき、硬化性樹脂組成物のパターン12の形状は、用途に応じて、適宜設定される。スクリーン版PおよびスキージSは、硬化性樹脂組成物のパターン12を形成することが可能であれば、特に限定されない。
【0037】
次に、光源Lから硬化性樹脂組成物のパターン12に光を照射し、硬化性樹脂組成物のパターン12を半硬化させる(B工程;
図1(b)参照)。これにより、硬化性樹脂組成物の半硬化物(Bステージ)のパターン13が形成されるため、パターン形状の経時変化が抑制される。光源Lとしては、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、発光ダイオード等が挙げられる。
【0038】
次に、A工程と同様にして、スクリーン版PおよびスキージSを用いて、硬化性樹脂組成物の半硬化物のパターン13上に、硬化性樹脂組成物Cをスクリーン印刷し(C工程;
図1(c)参照)、硬化性樹脂組成物のパターン12を形成する(C工程;
図1(d)参照)。
【0039】
次に、硬化性樹脂組成物の半硬化物のパターン13および硬化性樹脂組成物のパターン12が積層されている積層体を上下反転させた後、モールドMで成型して硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを形成する(D工程;
図1(e)参照)。このとき、光源Lから光を照射し、硬化性樹脂組成物のパターン12を半硬化させる。これにより、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンが制御される。具体的には、モールドMを積層体に押し当てた後、モールドMを離型することにより、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを形成する。このとき、モールドMを積層体に押し当てる前から離型するまでの間に、モールドMおよび/または第1基板11を加熱してもよい。加熱温度は、特に限定されないが、例えば、40℃以上300℃以下であり、溶剤の除去および硬化性樹脂組成物の積層体の物性の調節の観点から、40℃以上150℃以下であることが好ましい。
【0040】
なお、B工程(
図1(b)参照)およびC工程(
図1(c)参照)の間に、後述する
図2の基板積層体の製造方法におけるC工程(
図2(c)参照)およびF工程(
図2(d)参照)を複数回繰り返して実施してもよい。この場合、モールドMの形状は、C工程およびF工程を繰り返す回数に応じて、適宜変更される。
【0041】
次に、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを介して、第1基板11および第2基板を配置して、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを熱硬化させる(E工程)。これにより、第1基板11および第2基板が、硬化性樹脂組成物の硬化物(Cステージ)を介して、接着している中空構造体が得られる。
【0042】
例えば、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンが形成された第1基板11と、第2の基板とを熱圧着させた後に、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを熱硬化させる。熱圧着温度は、特に限定されないが、例えば、25℃以上350℃以下であり、60℃以上300℃以下であることが好ましく、80℃以上250℃以下であることがさらに好ましい。熱圧着圧力は、特に限定されないが、例えば、50MPa以下であり、40MPa以下であることが好ましく、30MPa以下であることがさらに好ましい。硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを熱硬化させた後に、ダイシングすることにより、個片化することができる。
【0043】
なお、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンが形成された第1基板11をダイシングすることにより、個片化した第1基板11の個片と、第2基板をダイシングすることにより、個片化した第2基板の個片とを貼り合わせた後に、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを熱硬化させてもよい。また、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンが形成された第1基板11をダイシングすることにより、個片化した第1基板11の個片を、一括または個片毎に第2基板と貼り合わせた後に、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを熱硬化させてもよい。
【0044】
図2に、
図1の基板積層体の製造方法の変形例を示す。
【0045】
図2の基板積層体の製造方法は、B工程と同様にして、光源Lから硬化性樹脂組成物のパターン12に光を照射し、硬化性樹脂組成物のパターン12を半硬化させるF工程(
図2(d)参照)を追加し、D工程で、光源Lから光を照射せず、硬化性樹脂組成物のパターン12を半硬化させなかった以外は、
図1の基板積層体の製造方法と同様である。
【0046】
なお、C工程(
図2(c)参照)およびF工程(
図2(d)参照)を複数回繰り返して実施した後、D工程(
図2(e)参照)を実施してもよい。この場合、モールドMの形状は、C工程およびF工程を繰り返す回数に応じて、適宜変更される。
【0047】
図3に、
図2の基板積層体の製造方法の変形例を示す。
【0048】
図3の基板積層体の製造方法は、B工程(
図3(b)参照)およびC工程(
図3(d)参照)の間に、硬化性樹脂組成物の半硬化物のパターン13をモールドM1で成型するH工程(
図3(c)参照)を実施し、C工程は、硬化性樹脂組成物の半硬化物の成型パターン14上に、硬化性樹脂組成物のパターン12を形成する以外は、
図2の基板積層体の製造方法と同様である。
【0049】
なお、C工程(
図3(d)参照)およびF工程(
図3(e)参照)を複数回繰り返して実施した後、D工程(
図3(f)参照)を実施してもよい。この場合、モールドMの形状は、C工程およびF工程を繰り返す回数に応じて、適宜変更される。
【0050】
また、H工程(
図3(c)参照)、C工程(
図3(d)参照)およびF工程(
図3(e)参照)を複数回繰り返して実施した後、D工程(
図3(f)参照)を実施してもよい。この場合、モールドMおよびM1の形状は、H工程、C工程およびF工程を繰り返す回数に応じて、適宜変更される。
【0051】
図4に、
図2の基板積層体の製造方法の変形例を示す。
【0052】
図4の基板積層体の製造方法は、ディスペンサーDを用いて、モールドMの底面に硬化性樹脂組成物15を配置するG工程(
図4(e)参照)を実施し、D工程(
図4(f)参照)は、硬化性樹脂組成物15が配置されたモールドMで成型するとともに、光源Lから光を照射し、モールドMの底面に配置された硬化性樹脂組成物15を半硬化させる以外は、
図2の基板積層体の製造方法と同様である。
【0053】
なお、C工程(
図4(c)参照)およびF工程(
図4(d)参照)を複数回繰り返して実施した後、D工程(
図4(f)参照)を実施してもよい。この場合、モールドMの形状は、C工程およびF工程を繰り返す回数に応じて、適宜変更される。
【0054】
基板積層体は、例えば、CMOS・CCDセンサ用中空構造体、MEMSデバイス用中空構造体等に適用することができる。
【0055】
[硬化性樹脂組成物]
硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含む組成物であるが、硬化性樹脂としては、熱硬化性および/または光硬化性を有する樹脂を用いることができる。
【0056】
硬化性樹脂としては、エポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基等のカチオン重合性官能基を有する化合物を用いることができる。硬化性樹脂の具体例としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シクロヘキシルエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(環状または鎖状)、グリシジル基含有ポリオルガノシロキサン(環状または鎖状)、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’-ビス(4-グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-5,5-スピロ-(3,4-エポキシシクロヘキサン)-1,3-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2-シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,4-ビス{(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ}メチル}ベンゼン、ビス{1-エチル(3-オキセタニル)}メチルエーテル、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルへキシロキシメチル)オキセタン等が挙げられる。
【0057】
カチオン重合性官能基としては、安定性の観点から、エポキシ基が好ましく、グリシジル基および/または脂環式エポキシ基がより好ましく、脂環式エポキシ基がさらに好ましい。また、硬化性樹脂は、カチオン重合性官能基を2個以上有することが好ましく、3個以上有することがより好ましい。硬化性樹脂はカチオン重合性官能基を3個以上有すると、架橋密度が高く、耐熱性に優れる硬化物が得られる。硬化性樹脂が有する複数のカチオン重合性官能基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。硬化性樹脂組成物の固形分中のカチオン重合性基の含有率は、1重量%以上99重量%以下であることが好ましく、5重量%以上90重量%以下であることがより好ましい。
【0058】
硬化性樹脂は、リフロー時の耐熱性およびアウトガスの低減の観点から、ポリシロキサン系化合物であることが好ましい。ポリシロキサン系化合物は、シロキサン結合(-Si-O-)を有するが、ケイ素原子に酸素原子が3個結合しているT単位(XSiO3/2)またはケイ素原子に酸素原子が4個結合しているQ単位(SiO4/2)の含有率が高い程、硬度が高く、耐熱信頼性に優れる硬化物が得られる。また、ポリシロキサン系化合物は、ケイ素原子に酸素原子が1個結合しているM単位(X3SiO1/2)またはケイ素原子に酸素原子が2個結合しているD単位(X2SiO2/2)の含有率が高い程、柔軟で、応力が低い硬化物が得られる。ポリシロキサン系化合物は、他成分との相溶性の観点から、カチオン重合性基を有することが好ましい。
【0059】
硬化性樹脂組成物は、作業性、反応性、接着性および硬化物の強度の調節の観点から、カチオン重合性官能基以外の光重合性官能基を2個以上有する架橋剤をさらに含むことが好ましい。架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、アルコキシシラン化合物、(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0060】
硬化性樹脂組成物は、光酸発生剤をさらに含むことが好ましい。光酸発生剤は、活性エネルギー線が照射されることにより、硬化性樹脂を硬化させることが可能な酸を発生させることが可能な化合物であれば、特に限定されない。光酸発生剤により発生する酸のpKaは、特に限定されないが、例えば、3未満であり、1未満であることが好ましい。
【0061】
光酸発生剤としては、特に限定されず、公知の光酸発生剤を使用することができる(例えば、特開2000-1648号公報、特表2001-515533号公報、国際公開第2002/83764号参照)。これらの中でも、スルホネートエステル類、カルボン酸エステル類またはオニウム塩類が好ましく、オニウム塩類がより好ましい。
【0062】
スルホネートエステル類としては、例えば、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、トリフルオロメチルスルホネート誘導体等のイミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1-オキシ-2-ヒドロキシ-3-プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0063】
スルホネートエステル類の具体例としては、例えば、ジフェニルジスルホン、ジトシルジスルホン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシリルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドメチルスルホネート、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドトシルスルホネート、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、1,8-ナフタレンジカルボン酸イミドカンファースルホネート、コハク酸イミドフェニルスルホネート、コハク酸イミドトシルスルホネート、コハク酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、コハク酸イミドカンファースルホネート、フタル酸イミドトリフルオロスルホネート、シス-5-ノルボルネン-エンド-2,3-ジカルボン酸イミドトリフルオロメチルスルホネート、ベンゾイントシラート、1,2-ジフェニル-2-ヒドロキシプロピルトシラート、1,2-ジ(4-メチルメルカプトフェニル)-2-ヒドロキシプロピルトシラート、ピロガロールメチルスルホネート、ピロガロールエチルスルホネート、2,6-ジニトロフェニルメチルトシラート、o-ニトロフェニルメチルトシラート、p-ニトロフェニルトシラート等が挙げられる。
【0064】
なお、カルボン酸エステル類も、スルホネートエステル類と同様に使用することができる。
【0065】
一般に、スルホネートエステルおよびカルボン酸エステルは、酸を遊離するために、例えば、50℃以上100℃以下の温度に加熱する工程を必要とする場合がある。
【0066】
オニウム塩としては、特に限定されないが、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、吸収波長の観点から、芳香族系スルホニウム塩が好ましい。
【0067】
オニウム塩の対イオンとしては、例えば、テトラフルオロボレート(BF4
-)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6
-)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6
-)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6
-)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6
-)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート、フルオロアルキルフルオロホスフェート、過塩素酸イオン(ClO4
-)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3
-)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3
-)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン、トリニトロトルエンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0068】
硬化性樹脂組成物中の光酸発生剤の含有量は、特に限定されないが、硬化速度および硬化物の物性のバランスの観点から、硬化性樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であることが好ましく、0.5重量部以上10重量部以下であることがさらに好ましい。硬化性樹脂組成物中の光酸発生剤の含有量が、硬化性樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上であると、硬化時間が短くなり、十分に硬化した硬化物が得られ、20重量部以下であると、硬化物の着色が抑制され、硬化物の耐熱性または耐光性が向上する。
【0069】
硬化性樹脂組成物は、硬化速度の制御や貯蔵安定性の向上の観点から、塩基性化合物をさらに含んでいてもよい。
【0070】
硬化性樹脂組成物中の塩基性化合物の含有量は、硬化性樹脂100重量部に対して、0.001重量部以上2.0重量部以下であることが好ましく、0.01重量部以上1.0重量部以下であることがより好ましい。硬化性樹脂組成物中の塩基性化合物の含有量は、硬化性樹脂100重量部に対して、0.001重量部以上であると、塩基性化合物の効果を十分に得られ、2.0重量部以下であると、硬化性樹脂組成物の感度が向上する。
【0071】
光酸発生剤に対する塩基性化合物の重量比は、0.001以上0.2以下であることが好ましく、0.01以上0.15以下であることがより好ましい。光酸発生剤に対する塩基性化合物の重量比が0.001以上であると、塩基性化合物の効果が十分に得られ、0.2以下であると、硬化性樹脂組成物が十分に架橋される。
【0072】
塩基性化合物としては、特に限定されないが、例えば、第一級、第二級および第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、芳香族アミン類および複素環アミン類が好ましい。
【0073】
芳香族アミン類および複素環アミン類としては、例えば、アニリン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、インドール、イソインドール、1H-インダゾール、インドリン、キノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、1,10-フェナントロリン、アデニン、アデノシン、グアニン、グアノシン、ウラシル、ウリジン、および、これらの誘導体等が挙げられる。また、複素環アミン類としては、2,6-ルチジンも挙げられる。これらの中でも、モルホリン誘導体が好ましい。
【0074】
モルホリン誘導体の具体例としては、例えば、ビス(2-モルホリノエチル)エーテル、4,4’-カルボニルジモルホリン、4-[2-(エトキシカルボニル)エチル]モルホリン、4-(p-トリル)モルホリン等が挙げられる。
【0075】
硬化性樹脂組成物は、増感剤をさらに含んでいてもよい。これにより、硬化性樹脂組成物の可視光等の光に対する感度が向上する。また、g線(436nm)、h線(405nm)およびi線(365nm)等の高波長の光に対する感度を有する硬化性樹脂組成物が得られる。増感剤および光酸発生剤を併用することにより、硬化性樹脂組成物の硬化性を調節することができる。
【0076】
増感剤としては、特に限定されないが、例えば、アントラセン系化合物、チオキサントン系化合物等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0077】
アントラセン系化合物の具体例としては、例えば、アントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、1,4-ジメトキシアントラセン、9-メチルアントラセン、2-エチルアントラセン、2-tert-ブチルアントラセン、2,6-ジ-tert-ブチルアントラセン、9,10-ジフェニル-2,6-ジ-tert-ブチルアントラセン等が挙げられる。これらの中でも、入手性の観点から、アントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセンおよび9,10-ジエトキシアントラセンが好ましい。また、硬化物の透明性の観点から、アントラセンが好ましい。さらに、硬化性樹脂との相溶性の観点から、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセンおよび9,10-ジエトキシアントラセンが好ましい。
【0078】
チオキサントン系化合物の具体例としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,5-ジエチルジオキサントン等が挙げられる。
【0079】
硬化性樹脂組成物中の増感剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、光酸発生剤1モルに対して、0.01モル以上300モル以下であることが好ましく、0.01モル以上100モル以下であることがより好ましい。硬化性樹脂組成物中の増感剤の含有量が、光酸発生剤1モルに対して、0.01モル以上であると、増感効果が得られ、硬化時間が短くなり、300モル以下であると、硬化物の着色が抑制され、硬化性樹脂組成物の耐熱性または耐光性が向上する。
【0080】
硬化性樹脂組成物は、接着性改良剤をさらに含んでいてもよい。接着性改良剤としては、接着剤、カップリング剤等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0081】
接着剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、クマロン-インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン-フェノール樹脂、α-メチルスチレン-ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0082】
カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤としては、有機基に対する反応性を有する官能基と、加水分解性を有するケイ素原子含有基とを、それぞれ1個以上有する化合物であれば、特に限定されない。有機基に対する反応性を有する基としては、取り扱い性の観点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基およびカルバメート基が好ましく、硬化性および接着性の観点から、エポキシ基、メタクリル基およびアクリル基が特に好ましい。加水分解性を有するケイ素原子含有基としては、取り扱い性の観点から、アルコキシシリル基が好ましく、反応性の観点から、メトキシシリル基およびエトキシシリル基が特に好ましい。
【0083】
シランカップリング剤の具体例としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基を有するアルコキシシラン類:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基またはアクリル基を有するアルコキシシラン類、トリス[3-(トリメトキシシリルプロピル)]イソシアヌレート、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0084】
硬化性樹脂組成物中の接着性改良剤の含有量は、硬化性樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であることが好ましく、0.3重量部以上10重量部以下であることがより好ましく、0.5重量部以上5重量部以下であることがさらに好ましい。硬化性樹脂組成物中の接着性改良剤の含有量は、硬化性樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上であると、接着性改良剤の効果が得られ、20重量部以下であると、硬化性樹脂組成物の硬化性や硬化物の物性が向上する。
【0085】
硬化性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂をさらに含んでいてもよい。
【0086】
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体、メチルメタクリレートと他のモノマーとのランダム、ブロックまたはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば、オプトレッツ(日立化成製)等)、ブチルアクリレートの単独重合体、ブチルアクリレートと他のモノマーとのランダム、ブロックまたはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等のアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等のモノマーに由来する構造を有するポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂(例えば、APEC(帝人製)等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等の単独重合体または共重合体、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させることにより得られる樹脂またはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、APEL(三井化学製)、ZEONOR、ZEONEX(以上、日本ゼオン製)、ARTON(JSR製)等)、エチレンとマレイミドとの共重合体等のオレフィン-マレイミド系樹脂(例えば、TIPAS(東ソー製)等)、ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等)またはジオール類(例えば、ジエチレングリコール等)と、フタル酸類(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸等)または脂肪族ジカルボン酸類とを重縮合させることにより得られるポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば、O-PET(鐘紡製)等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、天然ゴム、EPDM等のゴム状樹脂等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0087】
熱可塑性樹脂は、架橋性基を有していてもよい。架橋性基としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。硬化物の耐熱性の観点から、熱可塑性樹脂は、架橋性基を平均1個以上有することが好ましい。
【0088】
熱可塑性樹脂の数平均分子量は、ポリシロキサン系化合物との相溶性の観点から、10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。一方、熱可塑性樹脂の数平均分子量は、硬化物の強靭性の観点から、10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の分子量分布は、硬化性樹脂組成物の粘度および成型性の観点から、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
【0089】
硬化性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、5重量%以上50重量%以下であることが好ましく、10重量%以上30重量%以下であることがより好ましい。硬化性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有量が5重量%以上であると、硬化物の靭性が向上し、50重量%以下であると、硬化物の耐熱性(高温での弾性率)が向上する。
【0090】
硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、充填材、老化防止剤、ラジカル重合禁止剤、溶剤等をさらに含んでいてもよい。
【0091】
充填材としては、特に限定されないが、例えば、シリカ系充填材(例えば、石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等)、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、無機バルーン等の無機充填材、エポキシ系充填材等が挙げられる。
【0092】
老化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダートフェノール系老化防止剤、クエン酸、リン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0093】
ヒンダートフェノール系老化防止剤の市販品としては、例えば、イルガノックス1010(BASF製)等が挙げられる。
【0094】
硫黄系老化防止剤としては、例えば、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィド類(例えば、スルフィドカルボン酸エステル類、ヒンダードフェノール系スルフィド類等)、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
【0095】
ラジカル重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-3-メチルフェノール(BHT)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤、フェニル-β-ナフチルアミン、α-ナフチルアミン、N,N’-第二ブチル-p-フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0096】
溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)、エチレングリコールジエチルエーテル、、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤;クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤;酢酸ブチル、イソ酪酸イソブチル等のエステル系溶剤;γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン等のラクトン系溶剤等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0097】
硬化性樹脂組成物中の溶剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、硬化性樹脂組成物の固形分1gに対して、0.001mL以上10mL以下である。
【0098】
硬化性樹脂組成物は、その他に、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤(アンチモン-ビスマス等)、チキソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等をさらに含んでいてもよい。
【0099】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で、上記の実施形態を適宜変更してもよい。
【実施例0100】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0101】
(硬化性樹脂の製造)
ジアリルモノメチルイソシアヌル酸50gをトルエン100gに溶解させた後、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)87mgを加えた。このようにして得られた溶液を、酸素を3%含む窒素雰囲気下、105℃に加熱した1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン94gがトルエン186gに溶解している溶液に3時間かけて滴下した。滴下終了から30分後に、1H-NMRでアルケニル基の反応率(アルケニル基が減少した割合)が95%以上であることを確認した後、1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサン55gがトルエン55gに溶解している溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了から30分後に、1H-NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した後、冷却により反応を終了させた。溶媒のトルエンとジオキサンを減圧留去し、硬化性樹脂を得た。
【0102】
(硬化性樹脂組成物の製造)
硬化性樹脂100重量部に対して、脂環式エポキシ化合物CEL2021P(ダイセル有機合成カンパニー製)7重量部、光酸発生剤CPI-210S(サンアプロ製)2重量部、酸化防止剤IRGANOX1010(BASF製)0.5重量部の比率で混合し、混合物を得た。次に、混合物100gに対して、チキソ性付与剤アエロジルR974(日本アエロジル製)15gを加えた後、3本ロールで混合し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0103】
(実施例1)
図1の基板積層体の製造方法を用いて、以下の条件で、第1基板上に、接着層としての、硬化性樹脂組成物の積層体のパターンを形成した。このとき、B工程(
図1(b)参照)およびC工程(
図1(c)参照)の間に、C工程(
図2(c)参照)およびF工程(
図2(d)参照)を4回繰り返して実施した。
第1基板:ガラス基板(100mm×100mm角、厚み0.4mm)
スクリーン版のメッシュ数:500本/inch
スクリーン版の線径:19μm
スクリーン版の乳剤厚:10μm
スクリーン版のパターン幅:200μm
モールド:金属モールド
モールドのパターン幅:200μm
モールドのパターン深さ:50μm
モールドの底面のRa:0.7μm
光源:高圧水銀ランプ(UV照射光源)
C工程:5回
F工程:4回
【0104】
接着層が形成された第1基板をパターン毎に個片化した後、接着層を介して、第1基板およびシリコン基板を配置し、120℃のホットプレート上で、5MPaの圧力を印加しながら、30秒間熱圧着し、基板積層体を得た。
【0105】
(実施例2)
図3の基板積層体の製造方法を用いた以外は、実施例1と同様にして、基板積層体を得た。このとき、C工程(
図3(d)参照)およびF工程(
図3(e)参照)を5回繰り返して実施した後、D工程(
図3(f)参照)を実施した。
【0106】
(比較例1)
C工程(
図2(c)参照)およびF工程(
図2(d)参照)を5回繰り返して実施した後、C工程(
図1(c)参照)およびD工程(
図1(e)参照)を省略した以外は、実施例1と同様にして、基板積層体を得た。
【0107】
(接着層の高さおよび天面の幅)
3D測定レーザー顕微鏡LEXT OLS4000(オリンパス製)を用いて、接着層の高さおよび天面の幅を測定した。
【0108】
表1に、接着層の高さおよび天面の幅の測定結果を示す。
【0109】
【0110】
表1から、実施例1~2は、接着層を厚膜化しても、接着層の高さおよび天面の幅(面積)が確保されることがわかる。これに対して、比較例1は、D工程が省略されているため、接着層を厚膜化しようとすると、接着層の高さおよび天面の幅(面積)が確保されない。これは、硬化性樹脂組成物が濡れ拡がったためである。