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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147509
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】錠剤分配システム及び錠剤分配装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055043
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】504385982
【氏名又は名称】株式会社JRC
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】屋嘉部 寿規
(72)【発明者】
【氏名】八尾 義太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂口 和男
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ12
4C047JJ21
4C047JJ25
4C047JJ28
4C047JJ31
(57)【要約】
【課題】各錠剤セットがそれぞれ異なる分配位置に分配されるように、複数の錠剤セットをまとめて分配することができる、錠剤分配システム及び錠剤分配装置を提供する。
【解決手段】錠剤を分配するための錠剤分配システム10であって、錠剤供給装置20と、錠剤分配装置30とを備える。錠剤供給装置20は、1回の服用分に相当する1つ又は複数の錠剤を錠剤セットSとして、当該錠剤セットSを繰り返し供給する。錠剤分配装置30は、錠剤供給装置20から順次供給される錠剤セットSを、複数の分配位置Pに対して錠剤セットSごとに分配する。錠剤分配装置30は、収容部材44と、分配機構66とを備える。収容部材44は、錠剤供給装置20から順次供給される錠剤セットSを個別に収容可能な複数の収容部46を有する。分配機構66は、収容部材44を移動させて、複数の収容部46に収容されている錠剤セットSをそれぞれ異なる分配位置Pに分配させる。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を分配するための錠剤分配システムであって、
1回の服用分に相当する1つ又は複数の錠剤を錠剤セットとして、当該錠剤セットを繰り返し供給する錠剤供給装置と、
前記錠剤供給装置から順次供給される前記錠剤セットを、複数の分配位置に対して前記錠剤セットごとに分配する錠剤分配装置とを備え、
前記錠剤分配装置は、
前記錠剤供給装置から順次供給される前記錠剤セットを個別に収容可能な複数の収容部を有する収容部材と、
前記収容部材を移動させて、前記複数の収容部に収容されている前記錠剤セットをそれぞれ異なる前記分配位置に分配させる分配機構とを備える、錠剤分配システム。
【請求項2】
前記錠剤分配装置は、
複数の仮受け部を有し、前記錠剤供給装置から順次供給される前記錠剤セットを前記複数の仮受け部に個別に収容可能な仮受け部材と、
前記収容部材が移送位置にあるときに、前記複数の仮受け部に収容されている前記錠剤セットを前記複数の収容部に移送させる移送機構とをさらに備え、
前記分配機構は、前記錠剤供給装置から順次供給される前記錠剤セットを前記複数の仮受け部に収容させる供給動作の間に、前記収容部材を前記移送位置から移動させて、前記複数の収容部に収容されている前記錠剤セットをそれぞれ異なる前記分配位置に分配させる、請求項1に記載の錠剤分配システム。
【請求項3】
前記収容部材は、1日の服用回数に相当する数の前記収容部を有する、請求項1に記載の錠剤分配システム。
【請求項4】
前記錠剤分配装置は、
前記収容部材及び前記分配機構が設けられた本体と、
前記本体に対して着脱可能であり、それぞれ複数の前記分配位置を有する複数の分配トレーとをさらに備え、
前記分配機構は、前記複数の分配トレーに含まれる第1分配トレーが前記本体から取り外されている間に、前記複数の分配トレーに含まれる第2分配トレーの前記分配位置に前記錠剤セットを分配させる、請求項1に記載の錠剤分配システム。
【請求項5】
1回の服用分に相当する1つ又は複数の錠剤を錠剤セットとして、錠剤供給装置から順次供給される前記錠剤セットを、複数の分配位置に対して前記錠剤セットごとに分配する錠剤分配装置であって、
前記錠剤供給装置から順次供給される前記錠剤セットを個別に収容可能な複数の収容部を有する収容部材と、
前記収容部材を移動させて、前記複数の収容部に収容されている前記錠剤セットをそれぞれ異なる前記分配位置に分配させる分配機構とを備える、錠剤分配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動で錠剤を分配する、錠剤分配システム及び錠剤分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院及び薬局等で、個人に合わせた錠剤セットが提供される際、下記特許文献1にも例示されるように、一包分の錠剤セットがトレイに対して分配される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-083133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されるような装置では、トレイの各区画に一包分の錠剤セットを順次分配するため、時間を要する。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、各錠剤セットがそれぞれ異なる分配位置に分配されるように、複数の錠剤セットをまとめて分配することができる、錠剤分配システム及び錠剤分配装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る錠剤分配システムは、錠剤を分配するための錠剤分配システムであって、錠剤供給装置と、錠剤分配装置とを備える。前記錠剤供給装置は、1回の服用分に相当する1つ又は複数の錠剤を錠剤セットとして、当該錠剤セットを繰り返し供給する。前記錠剤分配装置は、前記錠剤供給装置から順次供給される前記錠剤セットを、複数の分配位置に対して前記錠剤セットごとに分配する。前記錠剤分配装置は、収容部材と、分配機構とを備える。前記収容部材は、前記錠剤供給装置から順次供給される前記錠剤セットを個別に収容可能な複数の収容部を有する。前記分配機構は、前記収容部材を移動させて、前記複数の収容部に収容されている前記錠剤セットをそれぞれ異なる前記分配位置に分配させる。
【0007】
このような構成によれば、複数の錠剤セットをまとめて分配することができる。また、複数の錠剤セットをまとめて分配する際、各錠剤セットをそれぞれ異なる分配位置に分配することができる。したがって、このような構成によれば、錠剤セットの供給及び錠剤セットの分配を錠剤セットごとに交互に行うよりも錠剤セットを効率よく分配することができる。
【0008】
(2)前記錠剤分配装置は、仮受け部材と、移送機構とをさらに備えてもよい。この場合、前記仮受け部材は、複数の仮受け部を有し、前記錠剤供給装置から順次供給される前記錠剤セットを前記複数の仮受け部に個別に収容可能とされてもよい。また、この場合、前記分配機構は、前記収容部材が移送位置にあるときに、前記複数の仮受け部に収容されている前記錠剤セットを前記複数の収容部に移送させてもよい。さらに、この場合、前記分配機構は、前記錠剤供給装置から順次供給される前記錠剤セットを前記複数の仮受け部に収容させる供給動作の間に、前記収容部材を前記移送位置から移動させて、前記複数の収容部に収容されている前記錠剤セットをそれぞれ異なる前記分配位置に分配させてもよい。
【0009】
このような構成によれば、複数の錠剤セットをまとめて分配しながら、次にまとめて分配する複数の錠剤セットの供給を仮受け部材で受けることができる。また、仮受け部材に収容されている複数の錠剤セットを収容部材にまとめて移送することが可能であれば、収容部材には、次にまとめて分配する複数の錠剤セットがまとめて供給される。したがって、このような構成によれば、さらに効率よく錠剤セットを分配することができる。
【0010】
(3)前記収容部材は、1日の服用回数に相当する数の前記収容部を有していてもよい。
【0011】
このような構成によれば、1日に服用される錠剤セットをまとめて分配することができる。また、このことから、複数の錠剤セットに関し、まとめての分配を繰り返し行う場合、1日に服用される複数の錠剤セットを日別、曜日別又は服用者別に分配することができる。
【0012】
(4)前記錠剤分配装置は、本体と、複数の分配トレーとをさらに備えてもよい。この場合、前記本体は、前記収容部材及び前記分配機構が設けられてもよい。また、この場合、前記複数の分配トレーは、前記本体に対して着脱可能であり、それぞれ複数の前記分配位置を有していてもよい。さらに、この場合、前記分配機構は、前記複数の分配トレーに含まれる第1分配トレーが前記本体から取り外されている間に、前記複数の分配トレーに含まれる第2分配トレーの前記分配位置に前記錠剤セットを分配させてもよい。
【0013】
このような構成によれば、本体に取り付けられている分配トレーに対して、複数の錠剤セットをまとめて分配することができる。したがって、このような構成によれば、第1分配トレーが装置から取り外されている間、その第1分配トレーの分配位置に対応する位置への錠剤セットの分配が防止され、第2分配トレーの分配位置に錠剤セットが分配される。このことから、第1分配トレーが取り外されている間も第2分配トレーに継続して錠剤セットを分配することができるため、さらに効率よく錠剤セットを分配することができる。また、錠剤セットの分配トレー外への分配に伴う装置の故障を防止することができる。
【0014】
(5)本発明に係る錠剤分配装置は、1回の服用分に相当する1つ又は複数の錠剤を錠剤セットとして、錠剤供給装置から順次供給される前記錠剤セットを、複数の分配位置に対して前記錠剤セットごとに分配する錠剤分配装置であって、収容部材と、分配機構とを備える。前記収容部材は、前記錠剤供給装置から順次供給される前記錠剤セットを個別に収容可能な複数の収容部を有する。前記分配機構は、前記収容部材を移動させて、前記複数の収容部に収容されている前記錠剤セットをそれぞれ異なる前記分配位置に分配させる。
【0015】
このような構成によれば、複数の錠剤セットをまとめて分配することができる。また、複数の錠剤セットをまとめて分配する際、各錠剤セットをそれぞれ異なる分配位置に分配することができる。したがって、このような構成によれば、錠剤セットの供給及び錠剤セットの分配を錠剤セットごとに交互に行うよりも錠剤セットを効率よく分配することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各錠剤セットがそれぞれ異なる分配位置に分配されるように、複数の錠剤セットをまとめて分配することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の錠剤分配システムの一例を示す概略図である。
図2】本実施形態の錠剤分配装置の動作を説明するための図である。
図3】本実施形態の錠剤分配装置の動作を説明するための図である。
図4】本実施形態の錠剤分配装置の動作を説明するための図である。
図5】本実施形態の錠剤分配装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
図6】本実施形態の錠剤分配装置の移送処理の一例を示すフロー図である。
図7】本実施形態の錠剤分配装置の分配処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.錠剤分配システム
図1は、本実施形態の錠剤分配システム10の一例を示す概略図である。錠剤分配システム10は、錠剤を分配するためのシステムであり、錠剤供給装置20及び錠剤分配装置30を含む。なお、本実施形態では、「錠剤」に関し、カプセル剤も含まれる。また、図1では、錠剤分配装置30の装置本体32を点線で示し、その一部だけを図示している。さらに、図1では、錠剤供給装置20に関し、供給口20aだけを図示している。さらにまた、図1では、後述する貫通孔42及び貫通孔52に関し、隠れている部分を点線で図示している。
【0019】
錠剤供給装置20は、1回の服用分に相当する1つ又は複数の錠剤を錠剤セットSとし、その錠剤セットSを繰り返し供給する装置である。錠剤分配装置30は、錠剤供給装置20の供給口20aから順次供給される錠剤セットSを、複数の分配位置Pに対して錠剤セットSごとに分配する装置である。分配位置Pは、錠剤セットSの分配が可能とされる位置を指し、本実施形態における分配位置Pは、後述する分配トレー54が有する。
【0020】
錠剤分配装置30は、仮受け部材34を備え、これは、錠剤分配装置30の装置本体32内に設けられる。仮受け部材34は、複数の仮受け部36を有する。複数の仮受け部36は、錠剤供給装置20から順次供給される錠剤セットSを個別に収容するために設けられる。図1に示す例では、複数の仮受け部36は、直線上に等間隔で配置されている。
【0021】
本実施形態では、仮受け部材34は、第1本体部材38及び第1板状部材40を含み、これらは、一体的に移動可能とされる。また、第1板状部材40は、独立して移動可能とされる。
【0022】
仮受け部材34、具体的には、第1本体部材38には、複数の貫通孔42が形成される。錠剤セットSの貫通孔42の通過は、第1板状部材40によって阻止されるため、錠剤供給装置20から供給される錠剤セットSは、貫通孔42内で保持される。つまり、図1に示す例では、仮受け部36は、第1板状部材40及び貫通孔42から構成されている。
【0023】
また、錠剤分配装置30は、収容部材44を備え、これは、錠剤分配装置30の装置本体32内に設けられる。収容部材44は、複数の収容部46を有する。複数の収容部46は、錠剤供給装置20から順次供給される錠剤セットS、具体的には、仮受け部材34を介して錠剤供給装置20から順次供給される錠剤セットSを個別に収容するために設けられる。図1に示す例では、複数の収容部46は、複数の仮受け部36と同様に配置されている。すなわち、図1に示す例では、複数の収容部46は、直線上に等間隔で配置されている。複数の収容部46の間隔は、複数の仮受け部36の間隔と一致している。
【0024】
本実施形態では、収容部材44は、第2本体部材48及び第2板状部材50を含み、これらは一体的に移動可能とされる。また、第2板状部材50は、独立して移動可能とされる。
【0025】
収容部材44、具体的には、第2本体部材48には、複数の貫通孔52が形成される。錠剤セットSの貫通孔52の通過は、第2板状部材50によって阻止されるため、錠剤供給装置20から供給される錠剤セットSは、貫通孔52内で保持される。つまり、図1に示す例では、収容部46は、第2板状部材50及び貫通孔52から構成されている。
【0026】
本実施形態では、仮受け部36及び収容部46の数は、同数である。また、仮受け部36及び収容部46の数については、2以上であれば特に限定されず、同数でなくてもよい。仮受け部36及び収容部46の数は、1日の服用回数に相当する数であってもよい。つまり、仮受け部材34は、1日の服用回数に相当する数の仮受け部36を有し、さらに、収容部材44は、1日の服用回数に相当する数の収容部46を有していても良い。図1に示す例では、1日の服用回数を朝、昼、夜及び就寝前の4回と想定しているため、仮受け部36及び収容部46は、4つずつ設けられている。
【0027】
また、本実施形態の錠剤分配装置30は、複数の分配トレー54を備えており、各分配トレー54は、装置本体32に対して着脱可能である。図1に示す例では、分配トレー54は、第1分配トレー54a及び第2分配トレー54bを含み、それぞれは、装置本体32に対して取り付けられている。なお、分配トレー54が装置本体32に取り付けられている場合、その分配トレー54は、仮受け部材34及び収容部材44の下方に位置する。
【0028】
また、上述したように、分配トレー54は、複数の分配位置Pを有しており、各分配位置Pは、区画される。また、分配トレー54上では、複数の収容部46と同数の分配位置Pは、複数の収容部46と同様の配置を成すように定められ、その一群が並べられる。
【0029】
図1に示す例では、分配トレー54上に、複数の凹部56が形成され、凹部56の底面が分配位置Pとされる。また、図1に示す例では、1日の服用回数に相当する数の凹部56は、直線上に配置され、その一群は、その直線と直交する方向に並べられている。具体的には、4つの凹部56が直線上に配置され、その一群がその直線と直交する方向に7つ並べられている。上記直線上に配置された複数の凹部56の間隔は、複数の収容部46の間隔と一致している。
【0030】
図1に示すように複数の分配位置Pが定められる場合、1日に服用される錠剤セットSを、それぞれ異なる分配位置Pに分配することができる。また、1日に服用される錠剤セットSを曜日別、日別、服用者別に分配することもできる。図1の例では、各分配トレー54に月曜日から日曜日までの1週間分(7日分)の錠剤セットSを分配することができ、服用者ごとに異なる分配トレー54を用いることもできる。
【0031】
また、本実施形態の錠剤分配装置30は、判定センサ58を備える。判定センサ58は、分配トレー54が装置本体32に取り付けられているか否かを判定するためのセンサである。分配トレー54が装置本体32に取り付けられているか否かを判定することが可能であれば、判定センサ58として用いられるセンサの種類は限定されない。判定センサ58としては、たとえば、接触センサを用いることができる。
【0032】
2.錠剤分配装置の動作
図2図4は、本実施形態の錠剤分配装置30の動作を説明するための図である。以下、錠剤分配装置30の動作について、図2図4を参照して説明する。なお、図2図4では、仮受け部36及び収容部46の数が、1日の服用回数と同数、具体的には、4つである場合を例に挙げている。
【0033】
本実施形態では、錠剤供給装置20からの錠剤セットSの供給が開始されると、図2に示す開始位置から、図3に示す完了位置まで、仮受け部材34が段階的に移動する。開始位置は、複数の仮受け部36への錠剤セットSの収容を開始する際の位置、具体的には、1日に服用される各錠剤セットSの受け取りを開始する際の位置である。完了位置は、複数の仮受け部36への錠剤セットSの収容が完了する際の位置、具体的には、1日に服用される各錠剤セットSの受け取りを完了する際の位置である。
【0034】
また、本実施形態では、仮受け部材34の段階的な移動に併せて、錠剤セットSが順次供給される。すなわち、各仮受け部36が供給口20aの下方に順次移動して停止し、供給口20aの下方で停止している仮受け部36に対して、供給口20aから錠剤セットSが供給される。したがって、1日に服用される各錠剤セットSが互いに異なる仮受け部36に収容される。なお、各錠剤セットSが互いに異なる仮受け部36に収容されるのであれば、仮受け部材34は、連続的に移動してもよい。
【0035】
1日の間に服用される各錠剤セットSの供給が完了し、図3に示すように、収容部材44が移送位置にあるとき、複数の仮受け部36に収容されている錠剤セットSを複数の収容部46に移送させる。移送位置は、複数の仮受け部36に収容されている錠剤セットSを複数の収容部46に移送させることが可能な位置を指し、移送位置は、錠剤セットSの移送方法によって異なる。
【0036】
図3に示す例では、第1板状部材40を水平移動させて複数の貫通孔42を一度に開放し、各仮受け部36から錠剤セットSを落下させることで、複数の仮受け部36に収容されている錠剤セットSをまとめて複数の収容部46に移送させる。そのため、図3に示す例では、収容部材44は、仮受け部材34の下方で移動し、収容部材44の移送位置は、鉛直方向において、複数の仮受け部36及び複数の収容部46が互いに重なる位置である。また、図3に示す例では、収容部材44の移送位置は、仮受け部材34の完了位置に対応する。なお、複数の貫通孔42を一度に開放する際は、複数の貫通孔42を同時に開放してもよいし、同様のタイミングで開放しても良い。
【0037】
さらに、図3に示す例では、1日に服用される各錠剤セットSが互いに異なる仮受け部36に収容されると、その場で、各錠剤セットSを移送させるが、その前に、仮受け部36を開始位置に移動させてもよい。この場合、移送位置は、仮受け部材34の開始位置に対応する。
【0038】
錠剤セットSが仮受け部材34から収容部材44に移送されると、図4に示すように、収容部材44を移動させて、複数の収容部46に収容されている錠剤セットSをそれぞれ異なる分配位置Pに分配させる。
【0039】
なお、収容部材44を移動させる際は、複数の収容部46及び複数の分配位置Pが鉛直方向において互いに重なるように収容部材44を移動させる。ただし、鉛直方向において複数の収容部46と重なる複数の分配位置Pは、1日に服用される各錠剤セットSを分配するための複数の分配位置Pである。
【0040】
図4に示す例では、複数の収容部46に収容されている錠剤セットSをそれぞれ異なる分配位置Pに分配する際は、第2板状部材50を水平移動させて複数の貫通孔52を一度に開放し、各収容部46から錠剤セットSを落下させることで、複数の収容部46に収容されている錠剤セットSをまとめて複数の分配位置Pに分配する。なお、複数の貫通孔52を一度に開放する際は、複数の貫通孔52を同時に開放してもよいし、同様のタイミングで開放しても良い。
【0041】
また、本実施形態では、錠剤供給装置20から順次供給される錠剤セットSを複数の仮受け部36に収容させる供給動作の間に、収容部材44を移送位置から移動させて、複数の収容部46に収容されている錠剤セットSをそれぞれ異なる分配位置Pに分配させる。つまり、本実施形態では、仮受け部材34は、図3に示すように収容部材44への錠剤セットSの移送が完了すると、図2の位置に戻って、次に分配する錠剤セットSの供給を受け付ける。
【0042】
収容部材44については、錠剤セットSの分配位置Pへの分配が完了すると、図3に示す移送位置に移動し、次に分配する錠剤セットSの移送を受け付ける。つまり、複数の仮受け部36に錠剤セットSを収容させる時間を利用して、収容部材44から分配位置Pに錠剤セットSを分配しているとも言える。複数の仮受け部36に錠剤セットSを収容させる時間は、収容部材44が移送位置から移動して分配位置Pに錠剤セットSを分配し、再び移送位置に戻ってくるまでの時間と同じ、または、それ以上であってもよい。この場合、錠剤供給装置20から一定間隔で断続的に錠剤セットSを供給しつつ、その錠剤供給装置20からの錠剤セットSの断続的な供給を停止又は遅延させることなく、複数の仮受け部36に錠剤セットSを繰り返し収容させることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、判定センサ58からの信号に基づいて、各分配トレー54が装置本体32に取り付けられているか否かを判定することができるため、錠剤セットSの分配先は、装置本体32に取り付けられている分配トレー54の分配位置Pとされる。したがって、本実施形態では、第1分配トレー54aが装置本体32から取り外されている間に、複数の分配トレー54に含まれる第2分配トレー54bの分配位置Pに錠剤セットSを分配させる。
【0044】
また、全ての分配トレー54が装置本体32から取れ外されている場合は、錠剤セットSの供給を開始するための操作を無効にしたうえで、全ての分配トレー54が取れ外されている旨を、視覚的又は聴覚的に報知してもよい。
【0045】
さらに、錠剤セットSの移送方法については、特に限定されない。たとえば、ロボットアームやエアーを用いて錠剤セットSを移送する構成などを別途設けてもよい。このような場合、仮受け部材34は、第1本体部材38だけを含み、貫通孔42の代わりに仮受け部36に相当する凹部が設けられる。また、このような場合、収容部材44は、第2本体部材48だけを含み、貫通孔52の代わりに収容部46に相当する凹部が設けられる。また、仮受け部材34を省略し、錠剤供給装置20から収容部材44に錠剤セットSが直接供給されるような構成としてもよい。
【0046】
さらにまた、1日の錠剤の服用回数は、朝、昼、夜及び就寝前の4回が一般的である。そのため、仮受け部36及び収容部46は、5つ以上設けられるとかえって分配効率が低下する可能性がある。したがって、1日の服用回数は、4回と想定するのが好ましい。
【0047】
3.錠剤分配装置の電気的構成
図5は、本実施形態の錠剤分配装置30の電気的構成の一例を示すブロック図である。錠剤分配装置30は、仮受け部材34、収容部材44及び判定センサ58等以外に、駆動機構62、通信部68及び制御部100等を備える。また、判定センサ58、駆動機構62、通信部68及び制御部100の各々は、バス等の回路60を介して、互いに電気的に接続される。
【0048】
駆動機構62は、錠剤分配装置30の各種コンポーネントを動作させるために設けられる。なお、図2図4において、図示は省略しているが、駆動機構62は、装置本体32内に設けられる。
【0049】
駆動機構62は、電気エネルギーを力学的エネルギーに変換するアクチュエータ及びそのアクチュエータの出力を伝達する伝達部材から構成される。アクチュエータとしては、たとえば、モータを用いることができる。伝達部材としては、ベルト、プーリ又は歯車を用いることができる。本実施形態の駆動機構62は、各種コンポーネントに機械的に連結されており、図2図4で示すような動作は、駆動機構62により実施される。
【0050】
また、駆動機構62には、移送機構64及び分配機構66が含まれる。つまり、移送機構64及び分配機構66についても、装置本体32内に設けられる。移送機構64は、収容部材44が移送位置にあるときに、複数の仮受け部36に収容されている錠剤セットSを複数の収容部46に移送させるために設けられる。図3に示すように、錠剤セットSを落下させることでその錠剤セットSを移送するのであれば、移送機構64は、第1板状部材40に機械的に連結される。また、錠剤セットSを移送するための構成を別途設けるのであれば、その構成が移送機構64に相当する。
【0051】
分配機構66は、収容部材44を移動させて、複数の収容部46に収容されている錠剤セットSをそれぞれ異なる分配位置Pに分配させるために設けられる。分配機構66は、収容部材44に機械的に連結される。つまり、分配機構66によれば、錠剤供給装置20から順次供給される錠剤セットSを複数の仮受け部36に収容させる供給動作の間に、収容部材44を移送位置から移動させて、複数の収容部46に収容されている錠剤セットSをそれぞれ異なる分配位置Pに分配させることができる。分配機構66は、収容部材44を複数の収容部46が並ぶ直線に沿って移動させる第1移動機構と、その直線と直交する方向に収容部材44を移動させる第2移動機構とを備えていてもよい。この場合、第1移動機構及び第2移動機構を同時に動作させることで、収容部材44を斜めに移動させることができるため、錠剤セットSを効率よく分配することができる。
【0052】
通信部68は、通信モジュールないし通信回路等を含み、外部と通信を行う。本実施形態では、錠剤供給装置20は、通信部68と同様の通信部(図示は省略)を備え、互いに通信可能に接続される。
【0053】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)102を備える。また、制御部100は、CPU102が直接的にアクセス可能なRAM(Random Access Memory)104及び記憶部106を備える。
【0054】
RAM104は、CPU102のワーク領域及びバッファ領域として用いられる。記憶部106は、不揮発性メモリであり、たとえば、記憶部106としてHDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等が用いられる。
【0055】
記憶部106には、錠剤分配装置30を制御するための制御プログラム及び制御プログラムの実行に必要とされるデータ(実行用データ)等が記憶される。なお、記憶部106がRAM104を含むように構成されてもよい。
【0056】
なお、本実施形態の錠剤供給装置20に関し、錠剤セットSの数、錠剤セットSに含まれる錠剤の数及び錠剤セットSに含まれる錠剤の種類は、錠剤供給装置20に接続可能とされる設定端末(図示は省略)又は符号読取端末を用いて設定することができる。設定端末としては、デスクトッPC(Personal Computer)、ノート(ラップトップ)PC、スマートフォン又はタブレットPC等の情報処理端末を用いることができる。符号読取端末としては、バーコードリーダを用いることができる。
【0057】
4.フロー
図6は、本実施形態の錠剤分配装置30の移送処理の一例を示すフロー図である。移送処理は、たとえば、錠剤供給装置20又は錠剤分配装置30で所定の操作が受け付けられると開始され、ステップS1では、錠剤供給装置20から順次供給される錠剤セットSを仮受け部材34の全ての仮受け部36に収容する。
【0058】
ステップS2では、移送位置に収容部材44が存在するかどうかを判断する。ステップS2で“NO”であれば、つまり、移送位置に収容部材44が存在しないのであれば、ステップS2の判断を継続して行う。一方、ステップS2で“YES”であれば、つまり、移送位置に収容部材44が存在するのであれば、ステップS3に進む。ただし、仮受け部材34の全ての仮受け部36に対する錠剤セットSの収容が完了するタイミングで、収容部材44が移送位置に存在するように制御されるのであれば、ステップS2は省略されてもよい。このような制御は、上述の通り、複数の仮受け部36に錠剤セットSを収容させる時間を、収容部材44が移送位置から移動して分配位置Pに錠剤セットSを分配し、再び移送位置に戻ってくるまでの時間と同じ、または、それ以上に設定した場合などが相当する。
【0059】
ステップS3では、複数の仮受け部36に収容されている錠剤セットSを複数の収容部46に移送し、ステップS4では、所定数の錠剤セットSの供給が完了したかどうかを判断する。ステップS4で“NO”であれば、つまり、予め設定されている所定数の錠剤セットSの供給が完了していないのであれば、ステップS1に戻る。一方、ステップS4で“YES”であれば、つまり、予め設定されている所定数の錠剤セットSの供給が完了したのであれば、移送処理を終了する。
【0060】
図7は、本実施形態の錠剤分配装置30の分配処理の一例を示すフロー図である。図7に示す分配処理は、図6に示す移送処理と並行して実施され、互いに同期して実施されるように制御される。分配処理は、たとえば、錠剤供給装置20又は錠剤分配装置30で所定の操作が受け付けられると開始され、ステップS5では、収容部材44を移送位置に移動させる。
【0061】
ステップS6では、錠剤セットSの移送が完了したかどうかを判断する。ステップS6で“NO”であれば、つまり、錠剤セットSの移送が完了していないのであれば、ステップS6の判断を継続して行う。一方、ステップS6で“YES”であれば、つまり、錠剤セットSの移送が完了しているのであれば、ステップS7に進む。ただし、仮受け部材34から収容部材44への錠剤セットSの移送のタイミングが予め決まっている場合には、ステップS6は省略されてもよい。
【0062】
ステップS7では、収容部材44を移動させて、複数の収容部46に収容されている錠剤セットSをそれぞれ異なる分配位置Pに分配させる。
【0063】
ステップS8では、所定数の錠剤セットSの供給が完了したかどうかを判断する。ステップS8で“NO”であれば、つまり、予め設定されている所定数の錠剤セットSの供給が完了していないのであれば、ステップS5に戻る。一方、ステップS8で“YES”であれば、つまり、予め設定されている所定数の錠剤セットSの供給が完了したのであれば、分配処理を終了する。
【0064】
なお、図6に示すステップS4、図7に示すステップS8に関し、所定量の錠剤セットSの供給が完了したかどうかは、通信部68を介して受信する情報に基づいて判断する。
【0065】
なお、本実施形態で挙げた具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。さらに、本実施形態で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 錠剤分配システム
20 錠剤供給装置
30 錠剤分配装置
32 装置本体
34 仮受け部材
36 仮受け部
44 収容部材
46 収容部
54 分配トレー
54a 第1分配トレー
54b 第2分配トレー
56 凹部
64 移送機構
66 分配機構
S 錠剤セット
P 分配位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7