(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147521
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】吸音壁
(51)【国際特許分類】
E01F 8/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
E01F8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055068
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174207
【弁理士】
【氏名又は名称】筬島 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 幸夫
【テーマコード(参考)】
2D001
【Fターム(参考)】
2D001AA01
2D001BA02
2D001BB01
2D001CA01
2D001CB01
(57)【要約】
【課題】吸音パネルとパネル取付部材とを着脱可能な構造で実施することはもとより、脱落防止用の紐状部材(例えば、ワイヤロープ)の点検作業を1方向で合理的に速やかに行うことができる、施工性、経済性、及びメンテナンス性に優れた吸音壁を提供する。
【解決手段】吸音パネルユニットが道路や鉄道の延長方向に並設された構成の吸音壁であって、前記吸音パネルユニットは、吸音パネルをパネル取付部材に音源側からボルトで取り付けて構成されており、前記延長方向に連続する前記吸音パネルユニットの各々の前記吸音パネルと前記パネル取付部材とに脱落防止用の紐状部材が掛け渡されている。前記吸音パネルユニットは、1枚の吸音パネルをパネル取付部材に音源側からボルトで取り付けて構成される。前記脱落防止用の紐状部材は、前記吸音パネル及び前記パネル取付部材の頂部に掛け渡されている
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸音パネルユニットが道路や鉄道の延長方向に並設された構成の吸音壁であって、
前記吸音パネルユニットは、吸音パネルをパネル取付部材に音源側からボルトで取り付けて構成されており、
前記延長方向に連続する前記吸音パネルユニットの各々の前記吸音パネルと前記パネル取付部材とに脱落防止用の紐状部材が掛け渡されていることを特徴とする、吸音壁。
【請求項2】
前記吸音パネルユニットは、1枚の吸音パネルをパネル取付部材に音源側からボルトで取り付けて構成されることを特徴とする、請求項1に記載した吸音壁。
【請求項3】
前記脱落防止用の紐状部材は、前記吸音パネル及び前記パネル取付部材の頂部に掛け渡されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した吸音壁。
【請求項4】
前記吸音パネルの上端部及び/又は下端部が前記パネル取付部材側に形成した溝部に差し入れて位置決めされることで、当該位置決めと前記紐状部材との2種の脱落防止手段を備えていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載した吸音壁。
【請求項5】
前記パネル取付部材は、前記吸音パネルを受け入れ可能な横断面凹状の立ち上がり部と前記立ち上がり部を支持するベース部とを備えていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載した吸音壁。
【請求項6】
前記パネル取付部材は、C形鋼、H形鋼等の柱材であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載した吸音壁。
【請求項7】
前記パネル取付部材は、前記吸音パネルの下端部を受け支持するための突出部を備えていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載した吸音壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路(高速道路)や鉄道の延長方向に沿って設置される吸音壁の技術分野に属する。
なお、本明細書において、前記吸音壁は、遮音壁、防音壁を含む意で用いている。
【背景技術】
【0002】
道路や鉄道の延長方向に沿って設置される吸音壁は、車体と壁間の多重反射音の抑制による騒音低減効果を図るべく、吸音パネルが好適に用いられる。
前記吸音壁は、一般的に、前記吸音パネルをパネル取付部材(壁本体)に取り付けた構造で実施されるが、前記吸音パネル(内部の吸音材を含む)の経年劣化や損傷による交換を定期的に行う必要があること、また、高架橋の施工等では重機を使用できず人力施工を行うことがあり作業現場で軽量化の要請があること、等の理由から、前記吸音パネルは、パネル取付部材(壁本体)と着脱可能な構造であることが好ましい(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
例えば、特許文献1には、FRP製遮音パネルと、建築物躯体に取付可能な固定用の貫通孔を設けた取付部とで構成されるFRP製遮音壁の騒音源側に、吸音パネルをボルト止めにより着脱可能に設置してなる防音壁が開示されている(請求項1等の記載参照)。
【0004】
特許文献2には、一定の間隔をあけて建てられた支柱間へ取り付けて設置された吸音パネルに、落下防止金具が、1つの吸音パネルに少なくとも1個の割合で、それぞれボルト止めにより着脱可能に取り付けられ、上下・左右方向に連絡する配置の各落下防止金具を順に縫うように各々のワイヤロープ通し孔へ落下防止用ワイヤロープを通す構成の遮音壁が開示されている(請求項4等の記載参照)。
【0005】
特許文献3には、T字型断面の支柱に、パネル部材をボルト止めにより着脱可能に設置する構造で、パネル設置後に道路側から落下防止用ワイヤを取り付けることができるパネル部材の設置構造が開示されている(請求項5等の記載参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-58252号公報
【特許文献2】特開2009-108634号公報
【特許文献3】特開2015-190219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1は、吸音パネルを用いた防音壁であり、吸音パネルとFRP製遮音壁(パネル取付部材)とがボルト止めにより着脱可能な構造で実施されている。しかしながら、前記ボルトが緩んだ場合の吸音パネルの落下防止対策が何ら検討されておらず、解決するべき課題が残されている。
もっとも、すべてのボルトを定期点検することは落下防止対策と言えなくもないが、かなりの労力が必要となり、点検距離が長い道路や鉄道においては現実的ではない。
【0008】
前記特許文献2は、前記着脱可能な構成に加え、落下防止用ワイヤロープによる落下防止対策が施されてはいる。しかしながら、前記ワイヤロープ及び落下防止金具は、
図3~
図7に示したように、外方に露出させない構成で実施されているが故に、前記ワイヤロープの点検(落下防止金具の点検を含む)ができないという新たな課題がある。
【0009】
前記特許文献3は、前記着脱可能な構成に加え、落下防止用ワイヤによる落下防止対策が施されている。前記落下防止用ワイヤは、外方に露出させた視認可能な構成で実施している。よって、作業員は、前記特許文献2と比し、前記ワイヤの点検作業を容易に行うことができ、前記特許文献2に生じた課題を解決しているように見える。
しかしながら、この特許文献3は、前記ワイヤの取り付け状況を確認できるものの、前記ワイヤが道路の延長方向だけでなく、支柱の高さ方向(上下方向)に亘って設置されているので、作業員が前記ワイヤの点検作業を行うには、前記延長方向と前記上下方向との2方向の点検作業を支柱毎に連続的に行う必要がある。よって、支柱が存在する毎に作業員の視線が停滞し、良好な点検作業の妨げとなる等、視線誘導性の点において解決するべき課題がある。
仮に、1方向でワイヤの点検作業を行うことができれば、作業員はストレスのない良好な点検作業を合理的に速やかに行うことができる等、非常に有益であることは明らかである。
【0010】
したがって、本発明は、上述した背景技術の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、吸音パネルとパネル取付部材とを着脱可能な構造で実施することはもとより、脱落防止用の紐状部材(例えば、ワイヤロープ)の点検作業を1方向で合理的に速やかに行うことができる、施工性、経済性、及びメンテナンス性に優れた吸音壁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る吸音壁は、吸音パネルユニットが道路や鉄道の延長方向に並設された構成の吸音壁であって、
前記吸音パネルユニットは、吸音パネルをパネル取付部材に音源側からボルトで取り付けて構成されており、
前記延長方向に連続する前記吸音パネルユニットの各々の前記吸音パネルと前記パネル取付部材とに脱落防止用の紐状部材が掛け渡されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した吸音壁において、前記吸音パネルユニットは、1枚の吸音パネルをパネル取付部材に音源側からボルトで取り付けて構成されることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した吸音壁において、前記脱落防止用の紐状部材は、前記吸音パネル及び前記パネル取付部材の頂部に掛け渡されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載した発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載した吸音壁において、前記吸音パネルの上端部及び/又は下端部が前記パネル取付部材側に形成した溝部に差し入れて位置決めされることで、当該位置決めと前記紐状部材との2種の脱落防止手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載した発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載した吸音壁において、前記パネル取付部材は、前記吸音パネルを受け入れ可能な横断面凹状の立ち上がり部と前記立ち上がり部を支持するベース部とを備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載した発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載した吸音壁において、前記パネル取付部材は、C形鋼、H形鋼等の柱材であることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載した発明は、請求項1~6のいずれか1項に記載した吸音壁において、前記パネル取付部材は、前記吸音パネルの下端部を受け支持するための突出部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る吸音壁によれば、以下の効果を奏する。
(1)吸音パネルとパネル取付部材とを着脱可能な構造で実施することはもとより、脱落防止用の紐状部材(例えば、ワイヤロープ)の点検作業を1方向で合理的に速やかに行うことができる。よって、施工性、経済性、及びメンテナンス性に優れた吸音壁を実現できる。
(2)吸音パネルの設置延長方向に沿って、紐状部材が直線状に掛け(架け)渡されているので、点検位置(視線)の高さを一定のまま落下防止機構の点検ができる。よって、合理的でスムーズなストレスのない点検作業を簡易に行うことができ、メンテナンス性に優れた吸音壁を実現できる。
(3)吸音パネルを紐状部材と溝部との2種(2段構え)の脱落防止手段で実施する場合、吸音パネルが落下しようとする際、吸音パネルが回転拘束されることで宙吊りになることがなく、車体側への侵入を防止することができ、より安全性、安定性に優れた吸音壁を実現できる。
(4)鉄道では、通信用等のケーブル材が吸音壁の上部や中間部に設置されることがあるが、前記ケーブル材と紐状部材との高さをより近づけた構成で実施することができる。この場合、これらの点検作業を一括して点検することもでき、非常に合理的でスムーズなストレスのない点検作業を簡易に行うことができ、メンテナンス性に非常に優れている。
(5)例えば、紐状部材の張り具合を現地確認だけでなく、張力を常時監視するセンサを仕込むことで、遠隔操作で点検を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例1に係る遮音壁の吸音パネルユニットを示した斜視図である。
【
図2】
図1に係る吸音パネルユニットを構築するための作業工程図である。
【
図3】実施例1に係る遮音壁を示した斜視図である。
【
図4】実施例2に係る遮音壁を示した斜視図である。
【
図5】
図4に係る吸音パネルユニットを構築するための作業工程図である。
【
図7】実施例3に係る遮音壁を示した斜視図である。
【
図8】実施例4に係る遮音壁の吸音パネルユニットを示した斜視図である。
【
図9】
図8に係る吸音パネルユニットを構築するための作業工程図である。
【
図10】実施例4に係る遮音壁を示した斜視図である。
【
図11】実施例5に係る遮音壁を示した斜視図である。
【
図12】実施例6に係る遮音壁を示した斜視図である。
【
図13】実施例6に係る遮音壁を示した斜視図である。
【
図14】実施例7に係る遮音壁の吸音パネルユニットを示した斜視図である。
【
図15】
図14に係る吸音パネルユニットを構築するための作業工程図である。
【
図16】実施例7に係る遮音壁を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明に係る吸音壁の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例0021】
本発明に係る吸音壁は、
図1~
図3に示したように、吸音パネルユニット1が道路や鉄道の延長方向Eに並設された構成の吸音壁10であって、前記吸音パネルユニット1は、吸音パネル2をパネル取付部材3に音源側からボルト4で取り付けて構成されている。前記延長方向Eに連続する前記吸音パネルユニット1の各々の前記吸音パネル2と前記パネル取付部材3とに脱落防止用の紐状部材5が掛け渡されている。
なお、前記吸音壁10を構成する吸音パネルユニット1は、図示の便宜上、2つしか記載していないが、実際には道路や鉄道の延長方向Eに連続的に多数配設されている。また、パネル取付部材3(吸音パネルユニット1)を道路脇等に設置するためのアンカー部材等の固定手段9は
図5に図示しているが、
図1~
図3では図示の便宜上省略した。
【0022】
具体的に、前記吸音パネル2は、本実施例では、平面方向から見て凸状(ハット状)に形成した金属製の外装部材に、ロックウール、グラスウール等の吸音材を内蔵させた構造で実施されている。
一方、前記パネル取付部材3は、本実施例では、前記吸音パネル2の中央の凸状部(凸条部)を受け入れ可能な横断面凹状の立ち上がり部31と、前記立ち上がり部31を支持するベース部32とを備えた構造で実施されている。
かくして、前記吸音パネルユニット1は、前記吸音パネル2の凸状部を前記パネル取付部材3の凹状部に嵌め込み、高さ(天端)を揃えて重ね合わせ、四隅部等の要所に音源側からボルト4をねじ込み接合して構成されている。
【0023】
前記吸音パネルユニット1を構成する吸音パネル2とパネル取付部材3とを凸状部と凹状部との嵌合式で実施する意義は主に2つある。1つは、前記吸音パネル2の凸状部と前記パネル取付部材3の凹状部とが嵌合された吸音パネルユニット1が平面方向から見て安定性に優れた矩形状を呈することで、堅牢な構造を実現するためである。もう1つは、後述するように、脱落防止用の紐状部材5を前記吸音パネル2と前記パネル取付部材3とにスムーズに掛け渡し可能な構造を実現するためである。
【0024】
即ち、本実施例では、前記吸音パネル2と前記パネル取付部材3との頂部にそれぞれ、互いに嵌め合わせたときに直線状に整列するよう、前記紐状部材5を挿通させるための紐受け金具2a、3aを溶接等の接合手段で一体的に設けて実施することで、脱落防止用の紐状部材5を前記吸音パネル2と前記パネル取付部材3とにスムーズに掛け渡し可能な構造を実現している。前記紐状部材5には、ワイヤロープ等のロープ材が好適に用いられる。
【0025】
また、本実施例では、前記パネル取付部材3の立ち上がり部31の両端部の突出部前面に、前記吸音パネル2の下端部を受け入れるための溝部(凹溝部)6が形成されている。具体的に、本実施例では、ウエブ部と上下のフランジ部とからなる断面Z字状の金属製部材6を縦向きにし、下フランジを前記突出部前面に溶接等の接合手段で接合することにより、残るウエブ部及び上フランジと前記突出部前面とで溝部(凹溝部)6を形成している。
このような構成で実施することにより、前記パネル取付部材3に取り付けられた吸音パネル2は、その上端部(頂部)は、紐状部材5によって脱落防止手段が施され、その下端部は、前記溝部6によって脱落防止手段が施され、もって、2種の脱落防止手段が施された安定性の高い構造を呈する。なお、前記溝部6を形成する部材は、断面Z字状の金属製部材6に限定されず、断面L字状の金属製部材など、溝部6を形成可能な部材であればよい。
【0026】
次に、上記構成の吸音壁10の構築方法について説明する。なお、以下に説明にする手法はあくまでも一例に過ぎないことを念のため特記しておく。
先ず、前記パネル取付部材3を、道路や鉄道の脇や壁高欄等の所定の設置部位に、作業効率性を勘案して一定の纏まった数量を設置する作業を繰り返して延長方向Eに並設する。前記パネル取付部材3の設置手段は、前記設置部位に前記ベース部32を据え置き、アンカー部材等の固定手段で設置する(図示省略)。
次に、前記吸音パネル2を、その下端部を前記溝部6に差し入れると共に、前記吸音パネル2の凸状部を前記パネル取付部材3の凹状部に嵌め込み、高さを揃えて重ね合わせる。
次に、前記吸音パネル2に設けたボルト通し孔と前記パネル取付部材3に設けたねじ孔との位置合わせを(図示例では四隅部の4カ所)行い、各孔にボルト4をねじ込み共締めする。もって、前記吸音パネル2が前記パネル取付部材3に強固に定着された吸音パネルユニット1が構築される。また、上記構成より、前記吸音パネル2の紐受け金具2aと前記パネル取付部材3の紐受け金具3aとが直線状に整列されることとなる。
なお、ここまでの前記吸音パネルユニット1の構築作業は、予め、現場に搬入する前に既に済ませておくこともできる。その場合、効率的かつ合理的な現場作業を行うことができる。
次に、前記直線状に整列した前記紐受け金具2a、3aに紐状部材(例えば、ワイヤロープ)を延長方向Eへ連続的に挿通し、もって、並設された複数の吸音パネルユニット1(吸音パネル2、パネル取付部材3)に、脱落防止用の紐状部材5が掛け渡された吸音壁10が構築される。
【0027】
なお、前記紐状部材5は、図示の便宜上、直線状に弛みなく張設しているように見えるが、実際には脱落防止の目的を果たすことを条件にある程度の弛みは許容される。もちろん、前記紐状部材5に緊張を加えて実施することもできる。
また、前記紐状部材5の端部は、図示は省略するが、前記紐状部材5の端部を折り返し、ワイヤグリップで締結してループを形成する等の抜け止め手段が施されている。
さらに、本実施例では、紐状部材5を通す孔を設けた紐受け金具2a、3aで実施しているが、これに限定されず、例えば、アイボルト(図示省略)でも代用可能である。
【0028】
したがって、上記構成の吸音壁10によれば、吸音パネル2とパネル取付部材3とを着脱可能な構造で実施することはもとより、脱落防止用の紐状部材(例えば、ワイヤロープ)5の点検作業を(一定の高さの)1方向で合理的に速やかに行うことができる。よって、施工性、経済性、及びメンテナンス性に優れた吸音壁を実現することができる。
また、上記構成の吸音壁10によれば、前記脱落防止用の紐状部材5のほか、前記溝部6を形成することによっても脱落防止手段を施した、言わば2種(2段構え)の脱落防止手段で実施しているので、吸音パネル2が落下しようとする際、吸音パネル2が回転拘束されることで宙吊りになることがなく、車体側への侵入を防止することができ、より安全性、安定性に優れた吸音壁10を実現することができる。
【0029】
ちなみに、図示例に係る吸音パネルユニット1は、高さが2~3m程度の縦方向に長い1枚の前記吸音パネル2を、前記パネル取付部材3に音源側からボルト4で取り付ける構成で実施しているが、前記吸音パネル2、前記パネル取付部材3の形態(形状、大きさ)は、もちろん図示例に限定されず、吸音パネルユニット1の設置部位、要求される吸音性能等に応じて適宜設計変更可能である。
例えば、前記パネル取付部材3の立ち上がり部31は鉛直方向に起立するストレートタイプで実施しているが、前記立ち上がり部31の上半部分を車体側に湾曲又は屈曲させた前傾姿勢で実施する等の設計変更は適宜行われるところである。この場合、前記吸音パネル2の形態も前記立ち上がり部31の形態に合わせて実施する等の設計変更がなされる。
すなわち、実施例2に係る吸音壁10は、鉄道の場合、底面の電気用等のケーブル材13を収納するための蓋材(トラフ蓋)8が必要となるが、この蓋材8を前記溝部6の壁材として利用した実施例を示している。前記吸音パネル2の下端部よりも若干下方位置に、蓋受け部材(図示例では断面L字状の金属製部材)7を前記立ち上がり部31の前記突出部前面に溶接接合して前記蓋材8を支持することにより、前記蓋材8と前記金属製部材7と前記突出部前面とで溝部(凹溝部)を形成している。なお、前記蓋材8は、新設、既設を問わない。
したがって、実施例2に係る吸音壁10によれば、上記実施例1と同様に、吸音パネル2とパネル取付部材3とを着脱可能な構造で実施することはもとより、脱落防止用の紐状部材(例えば、ワイヤロープ)5の点検作業を(一定の高さの)1方向で合理的に速やかに行うことができる。よって、施工性、経済性、及びメンテナンス性に優れた吸音壁を実現することができる。
また、実施例2に係る吸音壁10によれば、前記脱落防止用の紐状部材5のほか、前記溝部を形成することによっても脱落防止手段を施した、言わば2種(2段構え)の脱落防止手段で実施しているので、上記吸音パネル2が落下しようとする際、吸音パネル2が前記蓋材8による拘束効果により回転拘束されることで宙吊りになることがなく、車体側への侵入を防止することができ、より安全性、安定性に優れた吸音壁10を実現することができる。