(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147531
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ソースドライバ、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20231005BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231005BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 612F
G09G3/20 623D
G09G3/20 641C
G09G3/20 623B
G09G3/20 641Q
G09G3/20 642A
G09G3/20 611J
G09G3/20 611F
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055090
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重田 賢一
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA02
2H193ZC23
2H193ZF04
2H193ZF13
2H193ZF33
2H193ZF34
5C006AA16
5C006AA22
5C006AF46
5C006AF71
5C006AF83
5C006BB11
5C006BC03
5C006BC13
5C006BC16
5C006BC20
5C006BF24
5C006BF25
5C006BF43
5C006BF49
5C006BF50
5C006FA18
5C006FA22
5C006FA26
5C006FA37
5C006FA41
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD05
5C080DD22
5C080EE29
5C080FF12
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ05
(57)【要約】
【課題】
基準電圧源からの接続ラインの長さの違いに起因する輝度ムラを抑制することができるソースドライバを提供することを目的とする。
【構成】
第1基準電圧が供給される第1の接続点と第2基準電圧が供給される第2の接続点との間に直列に接続された複数の第1の抵抗を含み、複数の第1分圧電圧を複数の参照電圧の第1参照電圧として出力する第1のラダー抵抗回路と、第1の接続点と第1基準電圧より高い電源電圧が供給される電源端子との間と、第2の接続点と第2基準電圧より低い接地電位が供給される接地端子との間とのうちの少なくとも一方に直列に接続された複数の第2の抵抗を含み、少なくとも1つの第2分圧電圧を複数の参照電圧の第2参照電圧として出力する第2のラダー抵抗回路とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる電圧レベルを有する複数の参照電圧に基づき、映像信号にて表現可能な輝度範囲の各輝度レベルに対応した複数の階調電圧を生成する階調電圧生成回路を含み、前記複数の階調電圧のうちから前記映像信号によって示される輝度レベルに対応した階調電圧を選択し、選択した階調電圧を有する駆動信号を表示パネルに送出するソースドライバであって、
前記階調電圧生成回路は、
複数の基準電圧のうちの最も高いレベルの第1基準電圧を第1の接続点に供給する第1の入力部と、
前記複数の基準電圧のうちの最も低いレベルの第2基準電圧を第2の接続点に供給する第2の入力部と、
前記第1の接続点と前記第2の接続点との間において互いに直列に接続された複数の第1の抵抗を含み、前記第1基準電圧と前記第2基準電圧との間の電圧差を前記複数の第1の抵抗によって分圧して複数の第1分圧電圧を生成し、前記複数の第1分圧電圧を前記複数の参照電圧の第1参照電圧として出力する第1のラダー抵抗回路と、
前記第1の接続点と前記第1基準電圧より高い電源電圧が供給される電源端子との間と、前記第2の接続点と前記第2基準電圧より低い接地電位が供給される接地端子との間とのうちの少なくとも一方において互いに直列に接続された複数の第2の抵抗を含み、前記複数の第2の抵抗によって前記複数の第2の抵抗間の印加電圧を分圧して少なくとも1つの第2分圧電圧を生成し、前記少なくとも1つの第2分圧電圧を前記複数の参照電圧の第2参照電圧として出力する第2のラダー抵抗回路と、を有することを特徴とするソースドライバ。
【請求項2】
前記第2のラダー抵抗回路は前記複数の第2の抵抗に直列に接続された定電流源を有することを特徴とする請求項1記載のソースドライバ。
【請求項3】
前記階調電圧生成回路は、
ガンマ補正データに応じて前記複数の参照電圧のうちから所定数の参照電圧を選出するガンマ特性調整部と、
互いに直列に接続された複数の第3の抵抗を含み、前記複数の第3の抵抗によって前記所定数の参照電圧間の電圧差を分圧して前記複数の階調電圧を生成する第3のラダー抵抗回路と、を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のソースドライバ。
【請求項4】
前記第1の入力部は、前記第1基準電圧を入力する第1の入力端子と、前記第1の入力端子と前記第1の接続点との間に設けられたボルテージフォロワと、を有し、
前記第2の入力部は、前記第2基準電圧を入力する第2の入力端子と、前記第2の入力端子と前記第2の接続点との間に設けられたボルテージフォロワと、を有し、
前記ガンマ特性調整部は、前記所定数の参照電圧を入力して前記第3のラダー抵抗回路に出力する前記所定数に等しい数のボルテージフォロワを有することを特徴とする請求項3記載のソースドライバ。
【請求項5】
表示パネルと、
異なる電圧レベルを有する複数の参照電圧に基づき、映像信号にて表現可能な輝度範囲の各輝度レベルに対応した複数の階調電圧を生成する階調電圧生成回路を含み、前記複数の階調電圧のうちから前記映像信号によって示される輝度レベルに対応した階調電圧を選択し、選択した階調電圧を有する駆動信号を前記表示パネルに送出するソースドライバと、を有する表示装置であって、
前記階調電圧生成回路は、
複数の基準電圧のうちの最も高いレベルの第1基準電圧を第1の接続点に供給する第1の入力部と、
前記複数の基準電圧のうちの最も低いレベルの第2基準電圧を第2の接続点に供給する第2の入力部と、
前記第1の接続点と前記第2の接続点との間において互いに直列に接続された複数の第1の抵抗を含み、前記第1基準電圧と前記第2基準電圧との間の電圧差を前記複数の第1の抵抗によって分圧して複数の第1分圧電圧を生成し、前記複数の第1分圧電圧を前記複数の参照電圧の第1参照電圧として出力する第1のラダー抵抗回路と、
前記第1の接続点と前記第1基準電圧より高い電源電圧が供給される電源端子との間と、前記第2の接続点と前記第2基準電圧より低い接地電位が供給される接地端子との間とのうちの少なくとも一方において互いに直列に接続された複数の第2の抵抗を含み、前記複数の第2の抵抗によって前記複数の第2の抵抗間の印加電圧を分圧して少なくとも1つの第2分圧電圧を生成し、前記少なくとも1つの第2分圧電圧を前記複数の参照電圧の第2参照電圧として出力する第2のラダー抵抗回路と、を有することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルのソースラインに駆動電圧を印加するソースドライバ、及びそのソースドライバを有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶型の表示パネルには、2次元画面の水平方向に伸張する複数のゲートラインと、2次元画面の垂直方向に伸張する複数のソースラインと、映像信号に対応した駆動電圧を各ソースラインに印加するソースドライバと、ソースドライバに基準電圧を供給する基準電圧源と、ゲート電圧を各ゲートラインに印加するゲートドライバと、が配置されている。
【0003】
特許文献1、2に開示されたように、ソースドライバは、デジタルの映像信号をアナログの電圧値を有する駆動電圧に変換するDA変換回路と、映像信号によって表現可能な全輝度範囲に対応した、各々が異なる電圧値を有する複数(例えば64個)の階調電圧を発生する階調電圧発生回路とを含む。その階調電圧発生回路は表示パネルに配置された基準電圧源によって生成される基準電圧をラダー抵抗回路によって分圧して複数の階調電圧を発生する構成になっている。DA変換回路では、階調電圧発生回路から発生された複数の階調電圧のうちから、映像信号にて示される輝度レベルに対応した階調電圧を選択し、これを駆動電圧として出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-15166号公報
【特許文献2】特開2016-99555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、表示パネルでも特に大型のものにおいては、ソースドライバを複数の半導体ICチップに分割して構築している。ソースドライバを構成する複数の半導体ICチップは、一般的に表示パネルの基板上においてパネル本体に沿って配列されており、複数の半導体ICチップの各々で半導体ICチップの複数の出力端子と全ソースラインのうちの複数の出力端子数分のソースラインとが各々接続されている。基準電圧源は複数の半導体ICチップの各々と基板上において接続ラインを介して接続されている。すなわち、1つの基準電圧源から複数の半導体ICチップに対して基準電圧を供給する構成になっている。
【0006】
しかしながら、ソースドライバを構成する複数の半導体ICチップと基準電圧源との間を繋ぐ接続ラインの長さは複数の半導体ICチップの各々で異なるので、接続ラインの各々が有する配線抵抗値の違いによって複数の半導体ICチップの各々で受け入れる基準電圧のレベルが若干異なってしまう。その結果、半導体ICチップの各々で同一の輝度レベルに対する階調電圧、すなわち駆動電圧のレベルが異なることとなり、それが輝度ムラとなって画像の表示に現れるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、基準電圧源からの接続ラインの長さの違いに起因する輝度ムラを抑制することができるソースドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るソースドライバは、異なる電圧レベルを有する複数の参照電圧に基づき、映像信号にて表現可能な輝度範囲の各輝度レベルに対応した複数の階調電圧を生成する階調電圧生成回路を含み、前記複数の階調電圧のうちから前記映像信号によって示される輝度レベルに対応した階調電圧を選択し、選択した階調電圧を有する駆動信号を表示パネルに送出するソースドライバであって、前記階調電圧生成回路は、複数の基準電圧のうちの最も高いレベルの第1基準電圧を第1の接続点に供給する第1の入力部と、前記複数の基準電圧のうちの最も低いレベルの第2基準電圧を第2の接続点に供給する第2の入力部と、前記第1の接続点と前記第2の接続点との間において互いに直列に接続された複数の第1の抵抗を含み、前記第1基準電圧と前記第2基準電圧との間の電圧差を前記複数の第1の抵抗によって分圧して複数の第1分圧電圧を生成し、前記複数の第1分圧電圧を前記複数の参照電圧の第1参照電圧として出力する第1のラダー抵抗回路と、前記第1の接続点と前記第1基準電圧より高い電源電圧が供給される電源端子との間と、前記第2の接続点と前記第2基準電圧より低い接地電位が供給される接地端子との間とのうちの少なくとも一方において互いに直列に接続された複数の第2の抵抗を含み、前記複数の第2の抵抗によって前記複数の第2の抵抗間の印加電圧を分圧して少なくとも1つの第2分圧電圧を生成し、前記少なくとも1つの第2分圧電圧を前記複数の参照電圧の第2参照電圧として出力する第2のラダー抵抗回路と、を有することを特徴としている。
【0009】
本発明に係る表示装置は、表示パネルと、異なる電圧レベルを有する複数の参照電圧に基づき、映像信号にて表現可能な輝度範囲の各輝度レベルに対応した複数の階調電圧を生成する階調電圧生成回路を含み、前記複数の階調電圧のうちから前記映像信号によって示される輝度レベルに対応した階調電圧を選択し、選択した階調電圧を有する駆動信号を前記表示パネルに送出するソースドライバと、を有する表示装置であって、前記階調電圧生成回路は、複数の基準電圧のうちの最も高いレベルの第1基準電圧を第1の接続点に供給する第1の入力部と、前記複数の基準電圧のうちの最も低いレベルの第2基準電圧を第2の接続点に供給する第2の入力部と、前記第1の接続点と前記第2の接続点との間において互いに直列に接続された複数の第1の抵抗を含み、前記第1基準電圧と前記第2基準電圧との間の電圧差を前記複数の第1の抵抗によって分圧して複数の第1分圧電圧を生成し、前記複数の第1分圧電圧を前記複数の参照電圧の第1参照電圧として出力する第1のラダー抵抗回路と、前記第1の接続点と前記第1基準電圧より高い電源電圧が供給される電源端子との間と、前記第2の接続点と前記第2基準電圧より低い接地電位が供給される接地端子との間とのうちの少なくとも一方において互いに直列に接続された複数の第2の抵抗を含み、前記複数の第2の抵抗によって前記複数の第2の抵抗間の印加電圧を分圧して少なくとも1つの第2分圧電圧を生成し、前記少なくとも1つの第2分圧電圧を前記複数の参照電圧の第2参照電圧として出力する第2のラダー抵抗回路と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のソースドライバ及び表示装置によれば、第1のラダー抵抗回路によって生成される複数の参照電圧の範囲外の参照電圧を第2のラダー抵抗回路によって拡張して生成することができるので、基準電圧源と各ソースドライバとの間を繋ぐ接続ラインの長さの違いがあっても各ソースドライバで同じ複数の階調電圧を生成することができ、これにより輝度ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1のソースドライバを含む表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】ソースドライバの内部構成を示すブロック図である。
【
図3】階調電圧生成回路の内部構成を示す回路図である。
【
図4】ソースドライバと基準電圧源との間の接続ラインに配線抵抗が存在する場合の階調電圧生成回路の動作を説明する図である。
【
図5】
図4の配線抵抗により生じる参照電圧の低下を示す図である。
【
図6】本発明の実施例2のソースドライバの階調電圧生成回路の内部構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例0013】
図1は、本発明の実施例1のソースドライバを搭載した表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、表示装置100は、表示コントローラ10、ゲートドライバ11、ソースドライバ12、基準電圧源13、及び表示パネル20と、を有する。ゲートドライバ11、ソースドライバ12及び基準電圧源13は表示パネル20の基板(図示せず)上に配置されている。
【0015】
表示パネル20は、例えば液晶表示パネルからなり、2次元画面の水平方向に伸張するm個(mは2以上の自然数)のゲート線GL1~GLmと、2次元画面の垂直方向に伸張するn個(nは2以上の偶数)のソース線DL1~DLnとを有する。ゲート線GL1~GLm及びソース線DL1~DLnによる各交叉部には、赤色、緑色又は青色の表示を行う表示セル(破線にて囲まれた領域)が形成されている。
【0016】
表示コントローラ10は、映像信号VDを受け、当該映像信号VDに基づき、ゲート線GL1~GLrの各々にゲート選択信号を印加するタイミングを示すゲートタイミング信号をゲートドライバ11に供給する。
【0017】
また、表示コントローラ10は、映像信号VDに基づき、クロック信号、極性反転信号及び同期信号等を含む各種の制御信号、並びに各画素の輝度レベルをデジタル値で表す表示データPDの系列を生成する。表示コントローラ10は、これら制御信号及び表示データPDの系列を含むデジタルの映像信号DVSをソースドライバ12に供給する。
【0018】
ゲートドライバ11は、表示コントローラ10から供給されたゲートタイミング信号に応じて、ゲート線を選択する少なくとも1つのパルスを含むゲート選択信号を順に生成し、表示パネル20のゲート線GL1~GLmの各々に供給する。
【0019】
ソースドライバ12は、映像信号DVSに含まれる表示データPDの系列を1水平走査ライン分(n個)ずつ取り込み、各表示データPDを、輝度レベルに対応したアナログ電圧値を有する画素駆動信号に変換する。そして、ソースドライバ12は、生成したn個の画素駆動信号を、表示パネル20のソース線DL1~DLnに夫々供給する。
【0020】
なお、ソースドライバ12は、各々が独立したS個(Sは2以上の整数)の半導体ICチップに各々含まれているS個のソースドライバ12-1~12-Sから構成される。
【0021】
ソースドライバ12-1~12-Sは、表示パネル20のソース線DL1~DLnを互いに隣接するw(wは2以上の整数)本のソース線からなるソース線群に区分けした各ソース線群に対応して設けられており、互いに同一の内部構成を有する。例えばソースドライバ12-1はソース線DL1~DLnのうちのw本のソース線DL1~DLwの各々に、各々に対応した画素駆動信号を供給する。また、ソースドライバ12-Sはソース線DL1~DLnのうちのw本のソース線DLq(qは2以上の整数)~DLnの各々に、各々に対応した画素駆動信号を供給する。
【0022】
基準電圧源13は2つの基準電圧VGH、VGLを生成する。VGH、VGLの電圧レベルの大小関係はVGH>VGLである。基準電圧源13はソースドライバ12-1~12-Sの各々に
図3で示されるような接続ライン14、15を介して接続されている。基準電圧VGH、VGLはソースドライバ12-1~12-Sの各々に接続ライン14、15を介して供給される。
【0023】
図2は、ソースドライバ12-1~12-Sのうちからソースドライバ12-1を抜粋して、その内部の構成を概略的に表すブロック図である。
【0024】
図2に示すように、ソースドライバ12-1は、階調電圧生成回路130、データ取込部131、DA変換部132、及び出力部133を有する。
【0025】
階調電圧生成回路130は、接続ライン14、15を介して基準電圧源13に接続されている。階調電圧生成回路130は、基準電圧源13から出力される基準電圧VGH、VGLに基づいて、映像信号によって表現可能な輝度レベルの範囲を例えば256段階で表す、互いに異なる電圧値を示す階調電圧X0~X255を生成し、DA変換部132に供給する。
【0026】
データ取込部131は、1水平走査期間毎に、映像信号DVSに含まれる表示データPDの系列中から、ソース線DL1~DLwに対応したw個の表示データPDを順次取り込み、各々を表示データP1~PwとしてDA変換部132に供給する。
【0027】
DA変換部132は、階調電圧X0~X255を用いて、表示データP1~Pwをアナログの電圧値を有する階調電圧信号Q1~Qwに変換する。すなわち、DA変換部132は、表示データP1~Pwの各々毎に、階調電圧X0~X255のうちから、その表示データPにて示される輝度レベルに対応した電圧値を有する階調電圧を選択する。そして、DA変換部132は、表示データP1~Pwの各々毎に選択した階調電圧を各々が有する階調電圧信号Q1~Qwを得る。DA変換部132は、階調電圧信号Q1~Qwを出力部133に供給する。
【0028】
出力部133は、階調電圧信号Q1~Qwを各々個別に増幅した信号を画素駆動信号G1~Gwとして出力する。すなわち、ソースドライバ12-1の出力部133は、当該画素駆動信号G1~Gwを出力し、各々を表示パネル20のソース線DL1~DLwに供給する。
【0029】
図3は、ソースドライバ12-1の階調電圧生成回路130の内部構成を示す回路図である。
【0030】
図3に示すように階調電圧生成回路130は、入力用のガンマバッファアンプとしてのアンプGA1及びGA2、ラダー抵抗回路LD1、LD2、LD3、LD4、ガンマ特性調整回路DEC、及び出力用のガンマバッファとしてのアンプAP1~APzを含む。ソースドライバ12-1の端子T1、T2には接続ライン14、15が各々接続されている。
【0031】
図3において、アンプGA1、GA2、AP1~APzの各々は、例えば自身の反転入力端子と出力端子とが接続されているボルテージフォロワのオペアンプである。
【0032】
アンプGA1は、ソースドライバ12-1の端子T1(第1の入力端子)で受けた基準電圧VGHを自身の非反転入力端子で受け、当該基準電圧VGHを増幅した電位を第1電位V1として自身の出力端子から出力し、これをラインL1に印加する。アンプGA1はボルテージフォロワのオペアンプであるので、第1電位V1は基準電圧VGHに等しい。
【0033】
アンプGA2は、ソースドライバ12-1の端子T2(第2の入力端子)で受けた基準電圧VGLを自身の非反転入力端子で受け、当該基準電圧VGLを増幅した電位を第2電位V2として自身の出力端子から出力し、これをラインL2に印加する。アンプGA2はボルテージフォロワのオペアンプであるので、第2電位V2は基準電圧VGLに等しい。
【0034】
ラダー抵抗回路LD1は、直列に接続された抵抗R1~R255(複数の第1の抵抗)を含む第1のラダー抵抗回路である。ラダー抵抗回路LD1の一端(第1の接続点)となっている抵抗R1の一端がラインL1に接続されており、ラダー抵抗回路LD1の他端(第2の接続点)となっている抵抗R255の一端がラインL2に接続されている。
【0035】
かかる構成により、ラダー抵抗回路LD1は、ラインL1、L2間の電圧を分圧し、抵抗R1、R255の一端を含む抵抗R1~R255の互いの接続箇所から、互いに電圧値が異なる256個の電圧を参照電圧RF0~RF255として出力し、各々をガンマ特性調整回路DECに供給する。
【0036】
ラダー抵抗回路LD3、LD4は基準電圧VGH、VGLの誤差補償用の第2のラダー抵抗回路である。ラダー抵抗回路LD3は、直列に接続された抵抗RA1~RA3(複数の第2の抵抗)を含む。ラダー抵抗回路LD3の一端となっている抵抗RA1の一端には電源電圧AVDDの電源端子T3に接続されている。電源電圧AVDDのレベルは基準電圧VGHより高い。ラダー抵抗回路LD3の他端となっている抵抗RA3の一端はラインL1、すなわちラダー抵抗回路LD1の一端に接続されている。ラダー抵抗回路LD3は電源端子T3とラインL1との間の電圧を分圧し、抵抗RA1~RA3の互いの接続箇所から、互いに電圧値が異なる2個の電圧を参照電圧RF01、RF02として出力し、各々をガンマ特性調整回路DECに供給する。
【0037】
ラダー抵抗回路LD4は、直列に接続された抵抗RB1~RB3(複数の第2の抵抗)を含む。ラダー抵抗回路LD4の一端となっている抵抗RB1の一端はラインL2、すなわちラダー抵抗回路LD1の他端に接続されている。ラダー抵抗回路LD3の他端となっている抵抗RB3の一端はそこに接地電位AVSSが印加されるように接地端子T4に接続されている。接地電位AVSSのレベルは基準電圧VGLより低い。ラダー抵抗回路LD4はラインL2と接地端子T4との間の電圧を分圧し、抵抗RB1~RB3の互いの接続箇所から、互いに電圧値が異なる2個の電圧を参照電圧RF256、RF257として出力し、各々をガンマ特性調整回路DECに供給する。
【0038】
なお、実施例1ではラダー抵抗回路LD3、LD4各々の抵抗の数は3個であるが、本発明はこの抵抗の数に限定されず、これによりラダー抵抗回路LD3、LD4各々で生成する参照電圧の数も2つに限定しない。また、ラダー抵抗回路LD3の抵抗RA1~RA3及びラダー抵抗回路LD4の抵抗RB1~RB3の抵抗値は互いに同一でなくても良く、更にはラダー抵抗回路LD1の抵抗R1~R255の抵抗値と異なっても良い。
【0039】
ガンマ特性調整回路DECは、参照電圧RF01、RF02、RF0~RF257のうちから、ガンマ補正データP-GMAによって示されるガンマ補正特性に沿った、互いに異なる電圧値を有するz個(所定数)の参照電圧を選出する。ガンマ補正特性はRGB(赤色、緑色、青色)毎に異なり、基準電圧源からの接続ライン14、15の長さによっても異なる。zは2以上の正の整数であり、例えば、10である。そして、ガンマ特性調整回路SXは、この選択したz個の参照電圧をガンマ参照電圧F1~Fzとして、夫々をアンプAP1~APzの非反転入力端子に供給する。
【0040】
アンプAP1~APzは、各々の非反転入力端子で受けたガンマ参照電圧(F1~Fz)を個別に増幅した電位を自身の出力端子から出力する。アンプAP1~APzはボルテージフォロワのオペアンプであるので、自身の出力端子からの出力電位はガンマ参照電圧(F1~Fz)に各々等しい。
【0041】
ラダー抵抗回路LD2は、第3のラダー抵抗回路であり、アンプAP1の出力端子に接続されている抵抗Rx1、及びアンプAPzの出力端子に接続されている抵抗Rx255を含む256個の抵抗が直列接続された抵抗Rx1~Rx255(複数の第3の抵抗)を有する。
【0042】
なお、zが10である場合には、抵抗Rx1~Rx255において、互いに接続されている抵抗同士の全ての接続点のうちの8箇所の接続点には、アンプAP2~APz-1の出力端子が接続されている。例えば、
図3に示すように、アンプAP2の出力端子は、抵抗Rx16と抵抗Rx17との接続点に接続されている。この場合には、アンプAPz-1の出力端子は、抵抗Rx240と抵抗Rx241との接続点に接続されている。
【0043】
ラダー抵抗回路LD2は、アンプAP1の出力端子の電位及びアンプAPzの出力端子の電位間の電圧を分圧することで、抵抗Rx1~Rx255各々の一端から、互いに電圧値が異なる256個の電圧を階調電圧X0~X255として出力する。
【0044】
つまり、アンプAP1~APz及びラダー抵抗回路LD2により、所望のガンマ補正特性に沿って256階調の輝度レベルを表す階調電圧X0~X255がDA変換部132に対して出力される。
【0045】
上記したように、
図3に示した階調電圧生成回路130においては、先ず、ラダー抵抗回路LD1によって、基準電圧源13から供給された2つの基準電圧VGH及びVGL間の電圧を分圧することにより参照電圧RF0~RF255を生成する。ラダー抵抗回路LD3によって、電源電圧AVDDと、基準電圧VGHに基づいた第1電位V1との間の電圧を分圧することにより参照電圧RF01、RF02を生成する。電源電圧AVDDと基準電圧VGHとの間の電圧差は例えば、0.2Vである。また、ラダー抵抗回路LD4によって、基準電圧VGLに基づいた第2電位V2と、接地電位AVSSとの間の電圧を分圧することにより参照電圧RF256、RF257を生成する。基準電圧VGLと接地電位AVSSとの間の電圧は例えば、0.2Vである。
【0046】
次に、ガンマ特性調整回路DECにより、参照電圧RF01、RF02、RF0~RF257から、所望とするガンマ補正特性に沿って代表となるz個の電圧を、ガンマ参照電圧F1~Fzとして選出する。
【0047】
そして、ラダー抵抗回路LD2によって、ガンマ参照電圧F2~Fz-1を中間電位として受けつつ、ガンマ参照電圧F1及びFz間の電圧を分圧することで、256階調の輝度レベルを表す階調電圧X0~X255を生成する。
【0048】
図4は上述したガンマ特性調整回路DECにおいてラダー抵抗回路LD3、LD4を有していないソースドライバ12-1とソースドライバ12-k(kは2≦k≦Sである)とを示している。ここでは、
図4に破線で示したラダー抵抗回路LD3、LD4が存在しないとしている。ソースドライバ12-kはソースドライバ12-2~12-Sのうちの1つである。基準電圧源13から出力された基準電圧VGH、VGL各々が接続ライン14、15を介してソースドライバ12-1とソースドライバ12-kとに供給されている。基準電圧源13とソースドライバ12-1との間の接続ライン14、15による配線距離は基準電圧源13とソースドライバ12-kとの間のそれよりも短く、例えば、最短距離である。基準電圧源13とソースドライバ12-1との間に比べて基準電圧源13とソースドライバ12-kとの間の接続ライン14、15には
図4に示すように配線抵抗14a、15aが存在する。
【0049】
ソースドライバ12-1の端子T1、T2における基準電圧VGH、VGL各々のレベル(値)をVGH(1)、VGL(1)とし、ソースドライバ12-kの端子T1、T2における基準電圧VGH、VGL各々のレベルをVGH(k)、VGL(k)とする。配線抵抗14a、15aの存在により、ソースドライバ12-kの端子T1、T2における基準電圧VGH、VGL各々のレベルVGH(k)、VGL(k)はソースドライバ12-1の端子T1、T2における基準電圧VGH、VGL各々のレベルVGH(1)、VGL(1)よりも低下する。このようにレベル低下した基準電圧レベルVGH(k)、VGL(k)に基づいてソースドライバ12-kの階調電圧生成回路130内のラダー抵抗回路LD1では参照電圧RF0~RF255が生成される。
【0050】
ソースドライバ12-1及び12-k各々のガンマ特性調整回路DECで同一のガンマ補正特性を得るためにガンマ特性調整回路DECがラダー抵抗回路LD1だけの出力参照電圧RF0~RF255から同じ参照電圧の選択によりz個のガンマ参照電圧F1(1)~Fz(1)、F1(k)~Fz(k)を選出したとする。このようなガンマ参照電圧の選出では、例えば、ガンマ参照電圧F1(1)とガンマ参照電圧F1(k)とを比べると、
図5の(A)に示すように電圧差ΔV1が生じ、また、ガンマ参照電圧Fz(1)とガンマ参照電圧Fz(k)とを比べると、
図5の(B)に示すように電圧差ΔVzが生じる。
【0051】
一方、
図4に破線で示したラダー抵抗回路LD3、LD4が設けられ、ラダー抵抗回路LD1、LD3、LD4から参照電圧RF01、RF02、RF0~RF257がガンマ特性調整回路DECに供給される構成であると、ソースドライバ12-kのガンマ特性調整回路DECでは、ガンマ参照電圧F1(k)~Fz(k)の各々がガンマ参照電圧F1(1)~Fz(1)に等しくなるように補償される。すなわち、上述した電圧差ΔV1、ΔVkが生じないように補償される。具体的には、ソースドライバ12-1のガンマ特性調整回路DECが参照電圧RF0~RF255からz個のガンマ参照電圧F1(1)~Fz(1)を選出した場合に、ソースドライバ12-kのガンマ特性調整回路DECはガンマ補正データに応じて参照電圧RF01、RF02、RF0~RF257から同一のz個のガンマ参照電圧F1(k)~Fz(k)を選出する。ソースドライバ12-kのガンマ特性調整回路DECでは、ラダー抵抗回路LD1から得られる参照電圧RF0~RF255の他に、ラダー抵抗回路LD3から得られる参照電圧RF01、RF02と、ラダー抵抗回路LD4から得られる参照電圧RF256、RF257とが選択対象として用いられる。これにより選出されたガンマ参照電圧F1(k)~Fz(k)の各々はガンマ参照電圧F1(1)~Fz(1)に等しくなる。
【0052】
このように本発明の実施例1のソースドライバによれば、階調電圧生成回路130においては、ラダー抵抗回路LD1の出力参照電圧RF0~RF255を得ると共に、それらの参照電圧RF0~RF255をラダー抵抗回路LD3から参照電圧RF0より高い参照電圧RF01、RF02まで、またラダー抵抗回路LD4から参照電圧RF255より低い参照電圧RF256、RF257まで拡張して各々得ることができるので、基準電圧源13からソースドライバ12-2~12-S各々までの接続ライン14、15の長さの違いによる基準電圧VGH、VGL各々のレベルの違いがあっても、適正なz個のガンマ参照電圧F1~Fzを選出することができ、また、それらガンマ参照電圧F1~Fzからソースドライバ12-2~12-S各々で同じように256階調の輝度レベルを表す階調電圧X0~X255を生成することができる。よって、そのように生成された階調電圧X0~X255のうちから表示データPDにて示される輝度レベルに対応した電圧値を有する階調電圧を選択して駆動電圧として出力するので、接続ライン14、15の長さの違いに起因する輝度ムラを抑制することができる。また、ラダー抵抗回路LD3,LD4により参照電圧RF01、RF02、RF256、RF257を得るので、ソースドライバ12-2~12-S内の回路規模を大きく変更することなく比較的簡易な構成で済むという効果もある。
定電流源CS1、CS2を設けたことによりラダー抵抗回路LD3では抵抗RA1~RA3を流れる電流が定電流源CS1によって制限され、ラダー抵抗回路LD4では抵抗RB1~RB3を流れる電流が定電流源CS2によって制限される。電源ノイズの影響を受けることなくラダー抵抗回路LD3からは参照電圧RF01、RF02を、ラダー抵抗回路LD4からは参照電圧RF256、RF257を各々安定して得ることができる。
また、実施例2においても実施例1と同様に、ソースドライバ12-2~12-S各々でガンマ特性調整回路DECはガンマ補正データに応じて参照電圧RF01、RF02、RF0~RF257から適正なz個のガンマ参照電圧F1~Fzを選出し、それらから256階調の輝度レベルを表す階調電圧X0~X255を生成するので、接続ライン14、15の長さの違いに起因する輝度ムラを抑制することができる。
なお、上記した実施例1、2では、ラダー抵抗回路LD3、LD4の両方が設けられているが、ラダー抵抗回路LD3、LD4のいずれか一方だけを備えた階調電圧生成回路130でも良い。例えば、基準電圧VGH、VGL各々のレベル低下により参照電圧RF0~RF255各々のレベルが低下している場合にはラダー抵抗回路LD3だけでも良い。
また、上記した実施例1、2では、256の階調電圧X0~X255を生成する階調電圧生成回路130が示されているが、本発明は256の階調電圧の生成に限定されない。