(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147535
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】信号入出力回路
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0175 20060101AFI20231005BHJP
H03K 19/0944 20060101ALI20231005BHJP
H04L 25/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H03K19/0175 310
H03K19/0944
H04L25/02 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055094
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大輔
【テーマコード(参考)】
5J056
5K029
【Fターム(参考)】
5J056AA01
5J056AA04
5J056BB24
5J056CC26
5J056DD13
5J056DD28
5J056DD51
5J056DD52
5J056FF08
5J056GG12
5J056KK01
5K029AA01
(57)【要約】
【課題】 回路自身に電源が供給されていない場合に通信を安定化する信号入出力回路を提供する。
【解決手段】 信号入出力回路は、バスラインに接続される端子ノードと入力回路とを接続するデータ線N1と、ゲートが出力回路のプリドライバに接続され且つソース及びドレインがそれぞれ基準電位及びデータ線に接続されている第1のMOSトランジスタNT0と、ゲートがデータ線に接続され且つソース及びドレインがそれぞれ基準電位及び第1のMOSトランジスタのゲートに接続されている第2のMOSトランジスタNT01と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスラインに接続される端子ノードと入力回路とを接続するデータ線と、
ゲートが出力回路のプリドライバに接続され且つソース及びドレインがそれぞれ基準電位及び前記データ線に接続されている第1のMOSトランジスタと、
ゲートが前記データ線に接続され且つソース及びドレインがそれぞれ前記基準電位及び前記第1のMOSトランジスタの前記ゲートに接続されている第2のMOSトランジスタと、
を有することを特徴とする信号入出力回路。
【請求項2】
電源電圧の供給がない場合に、前記第2のMOSトランジスタにより、前記第1のMOSトランジスタの前記ゲートの電位をプルダウンすることを特徴とする請求項1に記載の信号入出力回路。
【請求項3】
前記バスラインはI2Cバスであることを特徴とする請求項1に記載の信号入出力回路。
【請求項4】
バスラインに接続される端子ノードと入力回路とを接続するデータ線と、
ゲートがプリドライバに接続され且つソース及びドレインがそれぞれ基準電位及び前記データ線に接続されている第1のMOSトランジスタと、
前記第1のMOSトランジスタの前記ゲート及び前記基準電位に接続されている抵抗素子と、
を有することを特徴とする信号入出力回路。
【請求項5】
電源電圧の供給がない場合でも、前記抵抗素子は、前記第1のMOSトランジスタの前記ゲートの電位をプルダウンすることを特徴とする請求項4に記載の信号入出力回路。
【請求項6】
前記MOSトランジスタはNMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の信号入出力回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、p-Channel Metal-Oxide Semiconductor(以下、PMOS)トランジスタ及びn-Channel Metal-Oxide Semiconductor(以下、NMOS)トランジスタを含んで構成される半導体集積回路における信号伝送路に接続される信号入出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では、Inter-Integrated Circuit(以下、I2C)方式信号伝送路で通信を行なう通信インターフェース回路が開示され、I2Cのバスラインのデータ線と基準電位間に生じるノイズを抑制するために所定の容量を設けたことを特徴とする信号線駆動回路(プリドライバ)を含む信号入出力回路が記載されている。かかる信号線駆動回路を用いるI2Cバスの構成においては、
図5に示すように、I2Cバスラインのデータ信号線DLに各スレーブデバイスSLAVE(信号入出力回路)がその入出力端子Tで結合されている。入出力端子Tは、そのノードでデバイス内部のデータ線N1と出力回路に分岐して、入力回路と出力回路(信号線駆動回路)にそれぞれ接続される。
【0003】
一般に、I2C方式バスシステムにおいて、マスタデバイスMASTERは、所定のビット数のデータからなるアドレス信号により複数のスレーブデバイスSLAVEから一つを指定して、指定したデバイスSLAVEとの間で通信を行う。複数ビットの信号をシリアルに転送するI2C方式バス回路は、一対のクロック信号線CLとデータ信号線DLの伝送路により構成される。
【0004】
当該信号入出力回路の出力回路は、プリドライバ(信号線駆動回路)と出力NMOSトランジスタNT0とから構成され、ローレベルの制御信号SDをプリドライバに供給し制御線N2を介して出力NMOSトランジスタNT0のゲートを制御してオンさせ、入出力端子Tのノードを接地電位レベルに引き下げ(プルダウン)、入出力端子Tを介してデータ信号線DLに信号を送信する。クロック信号線CLとデータ信号線DLは、抵抗素子を通してバス電源電圧Vdd0にプルアップされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の信号線駆動回路を用いた技術は、バスラインに接続されたインターフェース回路同士が通信を行なう場合に、通信を行なわない他の回路に電源が供給されない場合がある。例えば、上記従来の駆動回路構成では電源電圧の供給がないときにI2Cバスが動作し、データ線N1にて接地電位から電圧が上がると、
図6に示すデバイスSLAVE内の出力NMOSトランジスタNT0のゲート-ドレイン間の寄生容量C1を通して、
図7に示す電位のタイムチャートのように、制御線N2において出力NMOSトランジスタNT0のゲート電圧が上昇する。これにより出力NMOSトランジスタNT0がオン状態となり、I2Cバスの信号の形状が鈍る等の影響を与え、正常にI2Cバスを使用した通信を阻害するという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、信号入出力回路自身に電源が供給されていない場合に通信を安定化する信号入出力回路を提供することを目的の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の信号入出力回路は、バスラインに接続される端子ノードと入力回路とを接続するデータ線と、ゲートが出力回路のプリドライバに接続され且つソース及びドレインがそれぞれ基準電位及び前記データ線に接続されている第1のMOSトランジスタと、ゲートが前記データ線に接続され且つソース及びドレインがそれぞれ前記基準電位及び前記第1のMOSトランジスタの前記ゲートに接続されている第2のMOSトランジスタと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の信号入出力回路によれば、信号入出力回路自身に電源が供給されていない場合に通信を安定化する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による第1の実施例の信号入出力回路を示す概略回路図である。
【
図2】
図1の信号入出力回路における寄生容量を説明する概略回路図である。
【
図3】
図1の信号入出力回路の内部伝送線の電位変化の一部を示すタイムチャート図である。
【
図4】本発明による第2の実施例の信号入出力回路を示す概略回路図である。
【
図5】従来の信号入出力回路の一例を示す概略回路図である。
【
図6】
図5の信号入出力回路における寄生容量を説明する概略回路図である。
【
図7】
図5の信号入出力回路の内部伝送線の電位変化の一部を示すタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明による実施例
について説明する。なお、実施例において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【実施例0012】
(第1の実施例)
図1は本発明の第1の実施例であるI2Cバスに接続される信号入出力回路を含むデバイスDVSを示す概略回路図である。
【0013】
デバイスDVSは、ロジック回路LOGに接続される出力回路1及び入力回路2からなる信号入出力回路を含む。
【0014】
当該信号入出力回路は、バスラインのデータ信号線DLに接続される入出力端子T(端子ノード)と、入出力端子T及び入力回路2を接続するデータ線N1と、を有する。
【0015】
当該信号入出力回路の出力回路1は、ロジック回路LOGに接続されるプリドライバと、該プリドライバに接続される出力NMOSトランジスタNT0(第1のMOSトランジスタ)と、を含む。
【0016】
当該出力回路1のプリドライバは、例えば、PMOSトランジスタPT及びNMOSトランジスタNTからなるComplementary Metal Oxide Semiconductor(以下、CMOS)インバータである。
【0017】
当該CMOSインバータの入力端子、即ち、PMOSトランジスタPTとNMOSトランジスタNTのゲート同士の接続点には、ロジック回路LOGからの制御信号が印加され、CMOSインバータの入出力端子T側、即ち、PMOSトランジスタPTとNMOSトランジスタNTのドレイン同士の接続点は制御線N2を介して出力NMOSトランジスタNT0のゲートに接続されている。
【0018】
ゲートがデータ線N2に接続される出力NMOSトランジスタNT0は、それぞれ基準電位(例えば接地電位)と、入出力端子T及び入力回路2間のデータ線N1に接続されているソース及びドレインと、を有する。
【0019】
ロジック回路LOGからの制御信号をCMOSインバータのプリドライバに供給し制御線N2を介してゲートを制御することにより、出力NMOSトランジスタNT0をオンさせて、入出力端子Tのノードを接地電位レベルに引き下げ(プルダウン)、入出力端子Tを介してデータ信号線DLに信号を送信する。このように出力回路1は、I2Cバスに接続される入出力端子Tに出力NMOSトランジスタNT0のドレインが接続され、出力NMOSトランジスタNT0のゲートをCMOSインバータのプリドライバ(制御線N2)で制御するオープンドレインの構成を有する。
【0020】
ロジック回路LOGに接続される入力回路2は、入出力端子Tからデータ線N1を介してシリアルビット信号を受信する。受信信号は、PMOSトランジスタPT1とNMOSトランジスタNT1からなるCMOSインバータ回路INV1と、PMOSトランジスタPT2とNMOSトランジスタNT2からなるCMOSインバータ回路INV2とを通してCMOSレベルにされて、ロジック回路LOGの入力信号として取り込まれる。直列接続されたCMOSインバータ回路INV1、INV2のそれぞれは、出力回路1のプリドライバのCMOSインバータと同様に構成されている。
【0021】
本実施例は、ドレインが出力NMOSトランジスタNT0のゲートに、ゲートが出力NMOSトランジスタNT0のドレイン(すなわち、データ線N1)に、ソースが接地電位に接続されている制圧NMOSトランジスタNT01(第2のMOSトランジスタ)を追加することを特徴とする。制御線N2の電位は、データ線N1の電位に応じて制御されるゲートを有する制圧NMOSトランジスタNT01で制御(N1がhigh→NT01がオン→N2が基準電位、又はN1がlow→NT01がオフ→N2がフローティング)され、これにより、回路電源オフ時の他の回路同士におけるI2Cバスによる通信に対する影響を低減することを可能とする。
【0022】
このように本実施例の信号入出力回路は、バスラインのデータ信号線DLに接続される入出力端子T(端子ノード)と入力回路2とを接続するデータ線N1と、ゲートが出力回路1のプリドライバに接続され且つソース及びドレインがそれぞれ基準電位及びデータ線N1に接続されている出力NMOSトランジスタNT0と、ゲートがデータ線N1に接続され且つソース及びドレインがそれぞれ出力NMOSトランジスタNT0の基準電位及びゲートに接続されている制圧NMOSトランジスタNT01と、備える上述の構成によって、回路自身に電源が供給されていない場合であっても常に出力NMOSトランジスタNT0をオフ状態とすることを可能とする。
【0023】
(動作の説明)
本実施例の構成では電源電圧の供給がないときにI2Cバスが動作し、入出力端子Tとデータ線N1にて接地電位から電圧が上がると、
図2に示すデバイスDVS内の出力NMOSトランジスタNT0のゲート-ドレイン間の寄生容量C1を通して、
図3に示す電位のタイムチャートのように、制御線N2において出力NMOSトランジスタNT0のゲート電圧を上げようとする。そのときに制圧NMOSトランジスタNT01のゲート電位は入出力端子Tと同じであるため、制圧NMOSトランジスタNT01はオンする。よって出力NMOSトランジスタNT0のゲートは制圧NMOSトランジスタNT01によって接地電位になりオフ状態のままとなる。これにより、正常にI2Cバスを使用した通信を維持できる。
【0024】
以上のように第1の実施例によれば制圧NMOSトランジスタNT01を追加することにより電源が供給されていない状態であっても、常に出力NMOSトランジスタNT0をオフ状態にすることができI2Cバスによる通信に対する影響を低減することを可能とすることができる。すなわち、I2Cバスに接続された半導体集積回路において、出力素子である出力NMOSトランジスタNT0をオフする制圧NMOSトランジスタNT01を設けることにより、電源供給がないときでも出力NMOSトランジスタNT0がオフしたままにすることができる。
第2の実施例によれば、回路への電源電圧の供給がない場合でも、データ線N1の電位に関わりなく、抵抗素子R1は、出力NMOSトランジスタNT0のゲートの電位をプルダウンすることができる。