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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147579
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   A47H 5/032 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A47H5/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055155
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】伊東 栄治
【テーマコード(参考)】
2E182
【Fターム(参考)】
2E182AA01
2E182AC01
2E182DE07
2E182DF46
2E182DG01
2E182EE01
2E182EF01
2E182EF15
2E182EG01
(57)【要約】
【課題】手引き操作と紐引き操作との両方を行うことができるとともに、操作が比較的容易でかつ部品点数を削減し得る遮蔽装置を提供することを目的とする。
【解決手段】遮蔽装置1は、遮蔽材20を開閉方向abに移動させる移送部10と、移送部10に取り付けられる操作部30Aとを備える。操作部30Aは、第1紐材33及び第2紐材34と、第1従動ギア37と、第2従動ギア40と、駆動ギア36と、有する。また、操作部30Aは、第1紐材33及び第2紐材34が引っ張られていない際は第1従動ギア37及び第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止し、第1紐材33が引っ張られた際は第1従動ギア37が駆動ギア36に回転力を伝達することを許容し、かつ、第2紐材34が引っ張られた際は第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することを許容する回転力伝達調整部91を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽材を開閉方向に移動させる移送部と、前記移送部に取り付けられる1つ以上の操作部とを備え、
前記1つ以上の操作部のそれぞれは、
第1紐材及び第2紐材と、
前記第1紐材が引っ張られた際に回転し、前記第1紐材が引っ張られていない際に逆回転可能な第1従動ギアと、
前記第2紐材が引っ張られた際に前記第1従動ギアとは反対側に回転し、前記第2紐材が引っ張られていない際に前記第1従動ギアとは反対側に逆回転可能な第2従動ギアと、
前記第1従動ギア及び前記第2従動ギアに噛合可能であり、前記第1従動ギア及び前記第2従動ギアに噛合することによって、前記第1従動ギア及び前記第2従動ギアの回転力を前記移送部に伝達する駆動ギアと、
前記第1紐材及び前記第2紐材が引っ張られていない際は前記第1従動ギア及び前記第2従動ギアが前記駆動ギアに回転力を伝達することを阻止し、前記第1紐材が引っ張られた際は前記第2従動ギアが前記駆動ギアに回転力を伝達することを阻止しつつ前記第1従動ギアが前記駆動ギアに回転力を伝達することを許容し、かつ、前記第2紐材が引っ張られた際は前記第1従動ギアが前記駆動ギアに回転力を伝達することを阻止しつつ前記第2従動ギアが前記駆動ギアに回転力を伝達することを許容する回転力伝達調整部と、
を有する
ことを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
前記第1従動ギアに噛合しており、かつ、前記第1従動ギアの回転に伴い自転するとともに前記第1従動ギアの回りを公転して前記駆動ギアに噛合可能な第1遊動ギアと、
前記第2従動ギアに噛合しており、かつ、前記第2従動ギアの回転に伴い自転するとともに前記第2従動ギアの回りを公転して前記駆動ギアに噛合可能な第2遊動ギアと
をさらに備え、
前記回転力伝達調整部は、前記第1紐材及び前記第2紐材が引っ張られていない際は前記第1遊動ギア及び前記第2遊動ギアが前記駆動ギアに噛合することを阻止し、前記第1紐材が引っ張られた際は前記第2遊動ギアが前記駆動ギアに噛合することを阻止しつつ前記第1遊動ギアが前記駆動ギアに噛合することを許容し、かつ、前記第2紐材が引っ張られた際は前記第1遊動ギアが前記駆動ギアに噛合することを阻止しつつ前記第2遊動ギアが前記駆動ギアに噛合することを許容する遊動ギア噛合調整部を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記遊動ギア噛合調整部は、前記第1遊動ギアの自転軸及び前記第2遊動ギアの自転軸に当接して、前記第1遊動ギア及び前記第2遊動ギアが前記駆動ギアに向かって公転することに抗するように前記第1遊動ギア及び前記第2遊動ギアを付勢する付勢部材を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記遊動ギア噛合調整部は、前記第1紐材が引き掛けられている第1部材と、前記第2紐材が引き掛けられている第2部材とを有し、
前記第1部材は、前記第1紐材が引っ張られていない際は傾倒して前記第1遊動ギアを前記駆動ギアから離間する位置に保持し、前記第1紐材が引っ張られた際は前記第1紐材に押されて起立して前記第1遊動ギアを前記駆動ギアに噛合する位置まで移動させ、
前記第2部材は、前記第2紐材が引っ張られていない際は傾倒して前記第2遊動ギアを前記駆動ギアから離間する位置に保持し、前記第2紐材が引っ張られた際は前記第2紐材に押されて起立して前記第2遊動ギアを前記駆動ギアに噛合する位置まで移動させる
ことを特徴とする請求項2に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記第1従動ギア及び前記第2従動ギアのそれぞれは、内周側に突出する少なくとも1つの突起を有する内周面を有し、
前記回転力伝達調整部は、
前記第1従動ギアの前記内周面によって画定される貫通孔に設けられる第1変形部材と、
前記第2従動ギアの前記内周面によって画定される貫通孔に設けられる第2変形部材と
を含み、
前記第1変形部材は、前記第1紐材が引っ張られた際に回転して、前記第1従動ギアの前記内周面に当接しない形状から前記第1従動ギアの前記内周面の前記突起に当接する形状に変形し、その結果、前記第1従動ギアを回転させ、前記第1紐材の引っ張りが解除された際には逆回転して前記第1従動ギアの前記内周面に当接しない形状に変形し、
前記第2変形部材は、前記第2紐材が引っ張られた際に前記第1変形部材とは反対側に回転して、前記第2従動ギアの前記内周面に当接しない形状から前記第2従動ギアの前記内周面の前記突起に当接する形状に変形し、その結果、前記第2従動ギアを回転させ、前記第2紐材の引っ張りが解除された際には前記第1変形部材とは反対側に逆回転して前記第2従動ギアの前記内周面に当接しない形状に変形する
ことを特徴とする請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項6】
前記第1紐材及び前記第2紐材の少なくとも一方は非ループ状である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項7】
前記1つ以上の操作部が前記移送部の前記開閉方向における両端部に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置に関し、具体的には、外光を遮蔽可能な遮蔽材の開閉を手引き操作及び紐引き操作の両方で行うことが可能な遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外光を遮蔽する遮蔽材(例えば、カーテン)の開閉を手引き操作及び紐引き操作の両方で行うことが可能な遮蔽装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の遮蔽装置は、遮蔽材を取り付けたループ状の移送部材を回転させて遮蔽材の開閉を行う装置であり、リールと、上記リールに巻回された紐材と、上記リールを上記紐材の巻き取り方向に付勢する付勢部材と、上記紐材の端部に取り付けられ、上記紐材を引き出し操作可能にする操作部材と、上記リールの両側部に設けられた一対の係合機構と、上記一対の係合機構のいずれかと係合し、上記リールの回転力を上記移送部材に伝達する受部材と、を備えており、上記リールは、上記リールの回転軸に直交する反転軸によって少なくとも180度回転可能に支持され、上記リールが上記反転軸を中心に180度回転することで、上記受部材が上記一対の係合機構のどちらと係合するかを切り替え可能に構成されている。上記操作部材は、全体的に棒状に構成されており、上記紐材の端部に吊り下げられている。
【0003】
この特許文献1の遮蔽装置では、操作部材を引き操作すると、上記リールに巻回されている上記紐材が引っ張られ、紐材が引っ張れることに伴いリールが回転する。そして、リールが回転することによって、一対の係合機構のいずれかが受部材に係合する。このように一対の係合機構が受部材に係合することによって、紐材の操作が移送部材に伝わり、紐引きによる遮蔽材の開閉がされる。具体的には、この特許文献1の遮蔽装置では、一対の係合機構の一方が受部材に係合することによって、移送部材及び遮蔽材が開方向及び閉方向の一方に移動し、一対の係合機構の他方が受部材に係合することによって、移送部材及び遮蔽材が開方向及び閉方向の他方に移動する。一方、一対の係合機構が受部材に係合していない状態では、手引きによる操作が可能になる。
【0004】
また、特許文献1の遮蔽装置では、一対の係合機構が受部材に係合していない状態で操作部材を水平方向に回転させることによって、一対の係合機構における受部材に係合する係合機構を、一方から他方へ又は他方から一方へ切り替えることができる。すなわち、特許文献1の遮蔽装置では、紐引き操作において遮蔽材の開方向及び閉方向の移動を切り替えるために、操作部材を水平方向に回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-104219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のように、特許文献1の遮蔽装置では、紐引き操作における遮蔽材の開方向及び閉方向の移動を切り替えるために、操作部材を水平方向に回転させる(すなわち、紐材を水平方向に捩じる)必要がある。つまり、特許文献1の遮蔽装置では、紐引き操作における遮蔽材の開閉を切り替える場合、紐材を捩じるために、手で操作部材を把持又は摘まんだ上で、その手を水平方向に捩じる必要がある。そのため、特許文献1の遮蔽装置では、紐引き操作において遮蔽材の開閉を切り替える際に、煩わしさを感じたり手間がかかる傾向がある。また、特許文献1の遮蔽装置では、紐引き操作における遮蔽材の開閉を切り替えるために紐材を水平方向に捩じる必要があるため、紐材を捩じることを可能にするための上記のような操作部材を紐材の端部に取り付ける必要がある。そのため、部品点数の増加を招く。
【0007】
そこで、本発明は、手引き操作と紐引き操作との両方を行うことができるとともに、操作が比較的容易でかつ部品点数を削減し得る遮蔽装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の達成のため、本発明に係る遮蔽装置は、遮蔽材を開閉方向に移動させる移送部と、前記移送部に取り付けられる1つ以上の操作部とを備え、前記1つ以上の操作部のそれぞれは、第1紐材及び第2紐材と、前記第1紐材が引っ張られた際に回転し、前記第1紐材が引っ張られていない際に逆回転可能な第1従動ギアと、前記第2紐材が引っ張られた際に前記第1従動ギアとは反対側に回転し、前記第2紐材が引っ張られていない際に前記第1従動ギアとは反対側に逆回転可能な第2従動ギアと、前記第1従動ギア及び前記第2従動ギアに噛合可能であり、前記第1従動ギア及び前記第2従動ギアに噛合することによって、前記第1従動ギア及び前記第2従動ギアの回転力を前記移送部に伝達する駆動ギアと、前記第1紐材及び前記第2紐材が引っ張られていない際は前記第1従動ギア及び前記第2従動ギアが前記駆動ギアに回転力を伝達することを阻止し、前記第1紐材が引っ張られた際は前記第2従動ギアが前記駆動ギアに回転力を伝達することを阻止しつつ前記第1従動ギアが前記駆動ギアに回転力を伝達することを許容し、かつ、前記第2紐材が引っ張られた際は前記第1従動ギアが前記駆動ギアに回転力を伝達することを阻止しつつ前記第2従動ギアが前記駆動ギアに回転力を伝達することを許容する回転力伝達調整部と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
なお、以下において、第1従動ギアが駆動ギアに噛合することには、第1従動ギアが他のギアを介して駆動ギアに間接的に噛合することが含まれる。また、第2従動ギアが駆動ギアに噛合することには、第2従動ギアが他のギアを介して駆動ギアに間接的に噛合することが含まれる。
【0010】
また、この遮蔽装置は、前記第1従動ギアに噛合しており、かつ、前記第1従動ギアの回転に伴い自転するとともに前記第1従動ギアの回りを公転して前記駆動ギアに噛合可能な第1遊動ギアと、前記第2従動ギアに噛合しており、かつ、前記第2従動ギアの回転に伴い自転するとともに前記第2従動ギアの回りを公転して前記駆動ギアに噛合可能な第2遊動ギアとをさらに備えてもよい。この場合、前記回転力伝達調整部は、前記第1紐材及び前記第2紐材が引っ張られていない際は前記第1遊動ギア及び前記第2遊動ギアが前記駆動ギアに噛合することを阻止し、前記第1紐材が引っ張られた際は前記第2遊動ギアが前記駆動ギアに噛合することを阻止しつつ前記第1遊動ギアが前記駆動ギアに噛合することを許容し、かつ、前記第2紐材が引っ張られた際は前記第1遊動ギアが前記駆動ギアに噛合することを阻止しつつ前記第2遊動ギアが前記駆動ギアに噛合することを許容する遊動ギア噛合調整部を含んでもよい。
【0011】
また、前記遊動ギア噛合調整部は、前記第1遊動ギアの自転軸及び前記第2遊動ギアの自転軸に当接して、前記第1遊動ギア及び前記第2遊動ギアが前記駆動ギアに向かって公転することに抗するように前記第1遊動ギア及び前記第2遊動ギアを付勢する付勢部材を有してもよい。
【0012】
あるいは、前記遊動ギア噛合調整部は、前記第1紐材が引き掛けられている第1部材と、前記第2紐材が引き掛けられている第2部材とを有し、前記第1部材は、前記第1紐材が引っ張られていない際は傾倒して前記第1遊動ギアを前記駆動ギアから離間する位置に保持し、前記第1紐材が引っ張られた際は前記第1紐材に押されて起立して前記第1遊動ギアを前記駆動ギアに噛合する位置まで移動させ、前記第2部材は、前記第2紐材が引っ張られていない際は傾倒して前記第2遊動ギアを前記駆動ギアから離間する位置に保持し、前記第2紐材が引っ張られた際は前記第2紐材に押されて起立して前記第2遊動ギアを前記駆動ギアに噛合する位置まで移動させてもよい。
【0013】
また、前記第1従動ギア及び前記第2従動ギアのそれぞれは、内周側に突出する少なくとも1つの突起を有する内周面を有してもよい。この場合、前記回転力伝達調整部は、前記第1従動ギアの前記内周面によって画定される貫通孔に設けられる第1変形部材と、前記第2従動ギアの前記内周面によって画定される貫通孔に設けられる第2変形部材とを含み、前記第1変形部材は、前記第1紐材が引っ張られた際に回転して、前記第1従動ギアの前記内周面に当接しない形状から前記第1従動ギアの前記内周面の前記突起に当接する形状に変形し、その結果、前記第1従動ギアを回転させ、前記第1紐材の引っ張りが解除された際には逆回転して前記第1従動ギアの前記内周面に当接しない形状に変形し、前記第2変形部材は、前記第2紐材が引っ張られた際に前記第1変形部材とは反対側に回転して、前記第2従動ギアの前記内周面に当接しない形状から前記第2従動ギアの前記内周面の前記突起に当接する形状に変形し、その結果、前記第2従動ギアを回転させ、前記第2紐材の引っ張りが解除された際には前記第1変形部材とは反対側に逆回転して前記第2従動ギアの前記内周面に当接しない形状に変形することが好ましい。
【0014】
また、前記第1紐材及び前記第2紐材の少なくとも一方は非ループ状であることが好ましい。
【0015】
また、前記1つ以上の操作部が前記移送部の前記開閉方向における両端部に取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、手引き操作と紐引き操作との両方を行うことができるとともに、操作が比較的容易でかつ部品点数を削減し得る遮蔽装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態における遮蔽装置の全体構成の一例を示す図である。
図2図1に示される遮蔽装置の移送部の一端部近傍と操作部とを示す部分断面図である。
図3図1に示される遮蔽装置の操作部を主に示す正面図である。
図4図3に示される操作部をケース体を省略して示す上方正面斜視図である。
図5図4に示される操作部の側面図であり、第1紐材が引っ張られていない状態を示す図である。
図6図4に示される操作部の上面図であり、第1紐材が引っ張られていない状態を示す図である。
図7図4に示される操作部の側面図であり、第1紐材が引っ張られた状態を示す図である。
図8図4に示される操作部の上面図であり、第1紐材が引っ張られた状態を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態における操作部を示す断面図である。
図10図9に示される操作部を一部を省略して示す上面図であり、第1紐材が引っ張られていない状態を示す図である。
図11図9に示される操作部を一部を省略して示す上面図であり、第1紐材が引っ張られた状態を示す図である。
図12】本発明の第3実施形態における操作部を示す断面図である。
図13図12に示される操作部を一部を省略して示す上面図であり、第1紐材が引っ張られていない状態を示す図である。
図14図12に示される操作部を一部を省略して示す上面図であり、第1紐材が引っ張られた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る遮蔽装置を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更又は改良することができる。また、上記添付図面では、理解を容易にするために各部材の寸法が誇張又は縮小して示されている場合がある。
【0019】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態における遮蔽装置の全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の遮蔽装置1は、移送部10と、2つの操作部30A,30Bとを備えている。
【0020】
移送部10は、開閉方向abに沿って延在する本体部11と、本体部11の開閉方向a側の端部に位置する第1延長部12と、本体部11の開閉方向b側の端部に位置する第2延長部13と、を有している。
【0021】
図2は、移送部10の第1延長部近傍を後述する操作部30Aとともに示す部分断面図である。図2に示すように、本体部11、第1延長部12、及び第2延長部13のそれぞれの内部には、ループ状の駆動ベルト14が取り付けられている。なお、第2延長部13の内部は、第1延長部12の内部と概ね同様に構成されているため、図示を省略する。この駆動ベルト14は、第1延長部12内の開閉方向a側の端部近傍に設けられた駆動プーリ15と、第2延長部13内の開閉方向b側の端部近傍に設けられた駆動プーリ(図示せず)とに掛け渡されることによってループ状になっている。第1延長部12の駆動プーリ15は、操作部30Aからの回転力が伝達した場合、又は、遮蔽材20が手引き操作により開閉方向abに引かれた場合に回転する。同様に、第2延長部13の駆動プーリは、操作部30Bからの回転力が伝達した場合、又は、遮蔽材20が手引き操作により開閉方向abに引かれた場合に回転する。こうして、駆動ベルト14は、第1延長部12の駆動プーリ15の回転又は第2延長部13の駆動プーリの回転に伴い回転する。
【0022】
図1に示すように、駆動ベルト14には1対の先頭ランナー18A,18Bが取り付けられている。先頭ランナー18Aには例えばカーテンなどの遮蔽材20Aが取り付けられている、同様に、先頭ランナー18Bにはカーテンなどの遮蔽材20Bが取り付けられている。なお、便宜上、図1において遮蔽材20A,20Bが破線で示されており、図2において遮蔽材20Aが破線で示されている。本実施形態において、先頭ランナー18Aは、ループ状の駆動ベルト14のうち奥行き方向の手間側の部分に取り付けられており、先頭ランナー18Bは、駆動ベルト14のうち奥行き方向の奥側の部分に取り付けられている。なお、奥行き方向とは、開閉方向abと鉛直方向とに垂直な方向であり、奥行き方向の手前側は室内側、奥行き方向の奥側は窓側に相当する。このような構成により、駆動ベルト14が回転すると、遮蔽材20Aが先頭ランナー18Aとともに開閉方向abの一方側に移動し、遮蔽材20Bが先頭ランナー18Bとともに開閉方向abの他方側(すなわち、先頭ランナー18Aの移動する側とは反対側)に移動する。
【0023】
本実施形態では、駆動ベルト14が反時計回りに回転する場合に先頭ランナー18A及び遮蔽材20Aが開閉方向a側に移動して遮蔽材20Aが開き(すなわち、遮蔽材によって遮られる窓の領域が小さくなり)、駆動ベルト14が時計回りに回転する場合に先頭ランナー18A及び遮蔽材20Aが開閉方向b側に移動して遮蔽材20Aが閉じる(すなわち、遮蔽材によって遮られる窓の領域が大きくなる)。そして、先頭ランナー18Aは、移送部10の開閉方向a側の端部近傍に到達すると開閉方向a側にそれ以上移動できなくなり、遮蔽材20Aが完全に開いた状態になる。また、本実施形態では、駆動ベルト14が反時計回りに回転する場合に先頭ランナー18B及び遮蔽材20Bが開閉方向b側に移動して遮蔽材20Bが開き、駆動ベルト14が時計回りに回転する場合に先頭ランナー18B及び遮蔽材20Bが開閉方向a側に移動して遮蔽材20Bが閉じる。そして、先頭ランナー18Bは、移送部10の開閉方向b側の端部近傍に到達すると開閉方向b側にそれ以上移動できなくなり、遮蔽材20Bが完全に開いた状態になる。すなわち、本実施形態の遮蔽装置1では、駆動ベルト14が反時計回りに回転して遮蔽材20A,20Bがそれぞれ移動しなくなった段階で完全な開状態となり、駆動ベルト14が時計回りに回転することによって遮蔽材20Aの開閉方向b側の縁部と遮蔽材20Bの開閉方向a側の縁部とが奥行き方向に重なった段階で完全な閉状態となる。
【0024】
次に、操作部30A,30Bについて説明する。
【0025】
図1に示すように、操作部30Aは移送部10の第1延長部12に取り付けられており、操作部30Bは移送部10の第2延長部13に取り付けられている。すなわち、遮蔽装置1では、操作部が開閉方向abにおける両端部に取り付けられている。操作部30Aでは、後述する第1紐材33及び第2紐材34が操作部30Aの開閉方向a側の端部から垂れている。一方、操作部30Bでは、第1紐材33及び第2紐材34が開閉方向b側の端部から垂れている。すなわち、操作部30Aと操作部30Bとは、開閉方向abにおいて向きを逆にして移送部10に取り付けられている。しかし、この点を除いて、操作部30Aと操作部30Bとは概ね同様の構成を有する。そこで、以後、操作部30Bの詳細な説明を省略する。
【0026】
図3は、操作部30Aを主に示す正面図である。すなわち、図3は、遮蔽装置1を開閉方向a側から開閉方向b側に見た状態を示している。図2及び図3に示すように、操作部30Aは、ケース体31と、駆動軸32と、第1紐材33と、第2紐材34とを有している。
【0027】
ケース体31は、後述する種々のギアやリール部などを内部に収容しており、第1延長部12に嵌合するように構成されている。駆動軸32は、ケース体31の上端よりも上方に鉛直方向に沿って突出しており、ケース体31が第1延長部12に嵌合した状態において、駆動プーリ15の中央を貫通する駆動プーリ15の貫通孔15Hに回転可能に嵌まり込む。駆動プーリ15は、この駆動軸32の回転に同期して回転するように構成されている。第1紐材33及び第2紐材34は、ケース体31の下側かつ開閉方向a側の端部近傍から開閉方向abに非平行な方向に垂れており、概ね鉛直方向に垂れている。また、第1紐材33は、奥行き方向において、手前側(室内側)に位置しており、一方、第2紐材34は、奥行き方向において奥側(窓側)に位置している。ケース体31の外部において、第1紐材33及び第2紐材34は、それぞれ非ループ状であり、直線状に垂れている。本実施形態では、第1紐材33及び第2紐材34のそれぞれの下端部に、操作性や美観の観点からグリップ35が取り付けられている。しかし、このようなグリップ35は必須ではなく、このようなグリップ35が無くても、遮蔽装置1によれば後述するように操作性が十分に確保される。
【0028】
図4はケース体31を省略して示す操作部30Aの上方正面斜視図であり、図5図4に示す操作部30Aの側面図(具体的には、奥行き方向の手前側から奥側に見た図)であり、図6図4に示す操作部30Aの上面図である。なお、図4では、便宜上、第1紐材33及び第2紐材34の図示が省略されている。
【0029】
図4から図6に示すように、操作部30Aは、ケース体31に対して回転可能に取り付けられた駆動ギア36を有している。上述の駆動軸32は、駆動ギア36の回転と同期して回転可能に駆動ギア36に取り付けられている。したがって、駆動ギア36が回転することによって、駆動軸32が回転して駆動プーリ15が回転し、その結果、駆動ベルト14が回転する。
【0030】
また、図4から図6に示すように、操作部30Aは、第1従動ギア37と、第1遊動ギア38と、第1ギアアーム39と、第1リール部70と、第1部材50とを有している。第1従動ギア37と、第1遊動ギア38と、第1ギアアーム39と、第1リール部70と、第1部材50とは、駆動ギア36を基準として奥行き方向の手前側に位置している。また、第1従動ギア37は、駆動ギア36に対して開閉方向b側に配置されている。
【0031】
第1従動ギア37の中央を、ケース体31に取り付けられた第1従動ギア軸37Jが鉛直方向に沿って下方に向かって貫通している。第1従動ギア37は、第1従動ギア軸37Jの回転と同期して回転可能に第1従動ギア軸37Jに取り付けられている。または、第1従動ギア37と第1従動ギア軸37Jとは一体に形成されていてもよい。
【0032】
第1ギアアーム39は、第1従動ギア37の上方に配置されている。第1従動ギア軸37Jは第1ギアアーム39を貫通しており、第1ギアアーム39は、この第1従動ギア軸37Jに対して回転できるように第1従動ギア軸37Jに取り付けられている。第1ギアアーム39には、鉛直方向下方に延在する第1遊動ギア軸38Jが取り付けられている。また、第1ギアアーム39は、第1部材50の後述する上突出部54に向かって突出する突出アーム39Aを含んでいる。
【0033】
第1遊動ギア38は、開閉方向abにおいて第1従動ギア37と駆動ギア36との間に位置している。第1遊動ギア38の中央を第1遊動ギア軸38Jが貫通しており、第1遊動ギア38は、第1遊動ギア軸38Jを軸として回転できるように第1遊動ギア軸38Jに取り付けられている。第1遊動ギア38は、第1従動ギア37に常時噛合している。
【0034】
第1リール部70は、リール本体71とゼンマイばねから形成される付勢部材72とを含んでいる。リール本体71は第1従動ギア37の直下に位置しており、付勢部材72はリール本体71の直下に位置している。なお、図5及び後述する図7では、便宜上、付勢部材72の図示が省略されている。第1従動ギア軸37Jは、リール本体71の中央及び付勢部材72の中央を貫通しており、リール本体71の回転と同期して回転可能にリール本体71に取り付けられている。リール本体71には、第1紐材33が上側から下側に向かって反時計回りに巻回されている。第1紐材33は、リール本体71からケース体31の外部に導出されて下方に垂れている。
【0035】
図7に示すように、第1紐材33のうちケース体31の外部に導出されて下方に垂れている部分(例えば、図3に示すグリップ35)を引っ張ると、第1紐材33がリール本体71から引き出される。ここで、上記のように、第1紐材33はリール本体71に反時計回りに巻回されているため、第1紐材33がリール本体71から引き出されるのに追従して、リール本体71が反時計回りに回転する。こうして、図8に示すように、リール本体71の反時計回りの回転に追従して、第1従動ギア軸37J及び第1従動ギア37が反時計回りに回転し、かつ、第1従動ギア37に噛合している第1遊動ギア38が第1遊動ギア軸38Jを軸として時計回りに回転(自転)する。
【0036】
図4に示すように、付勢部材72は、第1従動ギア軸37Jに取り付けられている。この付勢部材72は、第1紐材33が引っ張られた際にリール本体71が回転する方向とは反対の方向(すなわち、時計回りの方向)にリール本体71を付勢している。したがって、付勢部材72は、第1紐材33の引っ張りが中断されると、付勢力によってリール本体71及び第1従動ギア37を逆回転(すなわち、時計回りに回転)させる。その結果、リール本体71から引き出されていた第1紐材33がリール本体71に巻き戻される。
【0037】
図4から図6に示すように、第1部材50は、基部51と、一対の下突出部52と、上突出部54と、引き掛け部53と、付勢部材55とを含んでいる。
【0038】
基部51は、上方から見た場合に開閉方向ab及び奥行き方向に延在する板状部材であり、本実施形態では、開閉方向abを長手方向とする。一対の下突出部52は、基部51の開閉方向a側の端部において、奥行き方向の両側から下方に突出する板状部材である。引き掛け部53は、奥行き方向に延在する略円柱状の部材であり、一対の下突出部52の下端部近傍に取り付けられている。リール本体71から引き出されている第1紐材33は、この引き掛け部53に引き掛けられて鉛直方向下方に向きが変えられて、ケース体31の外部に引き出されている。
【0039】
上突出部54は、L字状の板状部材であり、基部51の奥行き方向の手前側の縁部であって開閉方向b側の端部に取り付けられている。上突出部54は、基部51の開閉方向b側の端部よりもさらに開閉方向b側に延在するとともに、基部51を基準として上方に突出している。上突出部54の上端部近傍には、開閉方向b側から開閉方向a側に向かうにつれて下降する傾斜貫通孔54Hが形成されている。この傾斜貫通孔54Hには、上述の第1ギアアーム39の突出アーム39Aがはめ込まれている。突出アーム39Aは、傾斜貫通孔54Hを画定する上突出部54の内壁に沿って移動することができる。
【0040】
図5に示すように、付勢部材55は、基部51の下面に取り付けられており、基部51を上方に付勢している。図5は、第1紐材33が引っ張られていない状態を示している。第1部材50に対して下方への力が印加されない状態(すなわち、第1紐材33が引っ張られていない状態)では、第1部材50は開閉方向a側から開閉方向b側に向かって下方に傾倒している。すなわち、第1部材50に対して下方への力が印加されない状態では、上突出部54が傾倒している。この第1部材50の傾倒状態では、図6に示すように、第1ギアアーム39の突出アーム39Aが、傾斜貫通孔54Hを画定する上突出部54の内壁によって開閉方向b側に押された状態で保持されている。そして、この傾倒状態では、第1ギアアーム39の第1遊動ギア軸38J側の先端が駆動ギア36から離れた位置に保持され、その結果、第1遊動ギア38が駆動ギア36から離間する位置に保持される。
【0041】
図7に示すように、第1紐材33のうちケース体31の外部に導出されて下方に垂れている部分(例えば、グリップ35)を引っ張ると、第1部材50の引き掛け部53が第1紐材33によって下方に押される。そして、この押圧が付勢部材55の付勢力よりも大きいと、第1部材50の開閉方向a側が押し下げられ、これに伴い、第1部材50の開閉方向b側が押し上げられる。その結果、第1部材50の上突出部54が起立する。そして、図8に示すように、第1部材50が傾倒状態からこの起立状態に移行する過程で、第1ギアアーム39の突出アーム39Aが、上述の上突出部54の内壁によって開閉方向a側に押される。その結果、第1ギアアーム39が、第1従動ギア軸37Jを軸として反時計回りに回転し、これに追従して第1遊動ギア38が第1従動ギア37の周りを反時計回りに公転する。そして、第1紐材33の引っ張りを継続すると、最終的には、第1遊動ギア38が駆動ギア36に噛合する。
【0042】
このように、本実施形態では、駆動ギア36は、第1紐材33が引っ張られた際に第1遊動ギア38を介して第1従動ギア37と間接的に噛合する。すなわち、本実施形態では、第1紐材33が引っ張られていない際は第1従動ギア37が駆動ギア36に噛合することが阻止され、第1紐材33が引っ張られた際は第1従動ギア37が駆動ギア36に回転力を伝達することが許容される。
【0043】
そして、第1紐材33が引っ張られた際に第1従動ギア37が駆動ギア36に間接的に噛合することが許容される結果、第1遊動ギア38の時計回りの回転(自転)を介して、第1従動ギア37の反時計回りの回転が駆動ギア36及び駆動軸32に伝達され、図8に示すように、駆動ギア36及び駆動軸32が反時計回りに回転する。こうして、移送部10の駆動プーリ15が反時計回りに回転して、これに追従して駆動ベルト14が反時計回りに回転し、先頭ランナー18A及び先頭ランナー18Aに取り付けられた遮蔽材20Aが開閉方向a側に移動し、かつ、先頭ランナー18B及び先頭ランナー18Bに取り付けられた遮蔽材20Bが開閉方向b側に移動する。
【0044】
また、図4及び図6に示すように、操作部30Aは、第2従動ギア40と、第2遊動ギア41と、第2ギアアーム42と、第2リール部80と、第2部材60とを有している。第2従動ギア40と、第2遊動ギア41と、第2ギアアーム42と、第2リール部80と、第2部材60とは、駆動ギア36を基準として奥行き方向の奥側に位置している。第2従動ギア40は、駆動ギア36に対して開閉方向b側に配置されており、第1従動ギア37と奥行き方向に沿って整列している。さらに言えば、この第2従動ギア40、第1従動ギア37、及び駆動ギア36のそれぞれは、第2従動ギア軸40Jの中心と、第1従動ギア軸37Jの中心と、駆動軸32の中心とを頂点とする正三角形の頂点上に配置されている。
【0045】
第2従動ギア40の中央を、ケース体31に対して回転可能に取り付けられた第2従動ギア軸40Jが鉛直方向に沿って下方に向かって貫通している。第2従動ギア40は、第2従動ギア軸40Jの回転と同期して回転可能に第2従動ギア軸40Jに取り付けられている。または、第2従動ギア40と第2従動ギア軸40Jとは一体に形成されていてもよい。
【0046】
第2ギアアーム42は、第2従動ギア40の上方に配置されている。第2従動ギア軸40Jは第2ギアアーム42を貫通しており、第2ギアアーム42は、この第2従動ギア軸40Jに対して回転できるように第2従動ギア軸40Jに取り付けられている。第2ギアアーム42には、鉛直方向下方に延在する第2遊動ギア軸41Jが取り付けられている。また、第2ギアアーム42は、第2部材60の後述する上突出部64に向かって突出する突出アーム42Aを含んでいる。
【0047】
第2遊動ギア41は、開閉方向abにおいて第2従動ギア40と駆動ギア36との間に位置している。第2遊動ギア41の中央を第2遊動ギア軸41Jが貫通しており、第2遊動ギア41は、第2遊動ギア軸41Jを軸として回転できるように第2遊動ギア軸41Jに取り付けられている。第2遊動ギア41は、第2従動ギア40に常時噛合している。
【0048】
第2リール部80は、リール本体81とゼンマイばねから形成される付勢部材82とを含んでいる。リール本体81は第2従動ギア40の直下に位置しており、付勢部材82はリール本体81の直下に位置している。第2従動ギア軸40Jは、リール本体81の中央及び付勢部材82の中央を貫通しており、リール本体81の回転と同期して回転可能にリール本体81に取り付けられている。リール本体81には、第2紐材34が上側から下側に向かって時計回りに巻回されている。第2紐材34は、リール本体81からケース体31の外部に導出されて下方に垂れている。
【0049】
第2紐材34のうちケース体31の外部に導出されて下方に垂れている部分(例えば、図3に示すグリップ35)を引っ張ると、第2紐材34がリール本体81から引き出される。ここで、上記のように第2紐材34はリール本体71に時計回りに巻回されているため、第2紐材34がリール本体81から引き出されるのに追従して、リール本体81が時計回りに回転する。こうして、リール本体81の時計回りの回転に追従して、第2従動ギア軸40J及び第2従動ギア40が時計回りに(すなわち、第1従動ギア37の回転方向とは反対側に)回転し、かつ、第2従動ギア40に噛合している第2遊動ギア41が第2遊動ギア軸41Jを軸として反時計回りに(すなわち、第2遊動ギア41の回転方向とは反対側に)回転(自転)する。
【0050】
図4に示すように、付勢部材82は、第2従動ギア軸40Jに取り付けられている。この付勢部材82は、第2紐材34が引っ張られた際にリール本体81が回転する方向とは反対の方向(すなわち、反時計回りの方向)にリール本体81を付勢している。したがって、付勢部材82は、第2紐材34の引っ張りが中断されると、付勢力によってリール本体81及び第2従動ギア40を逆回転(すなわち、反時計回りに回転)させる。その結果、リール本体81から引き出されていた第2紐材34がリール本体81に巻き戻される。
【0051】
図4及び図6に示すように、第2部材60は、基部61と、一対の下突出部62と、上突出部64と、引き掛け部63と、付勢部材65とを含んでいる。
【0052】
基部61は、上方から見た場合に開閉方向ab及び奥行き方向に延在する板状部材であり、本実施形態では、開閉方向abを長手方向とする。一対の下突出部62は、基部61の開閉方向a側の端部において、奥行き方向の両側から下方に突出する板状部材である。引き掛け部63は、奥行き方向に延在する略円柱状の部材であり、一対の下突出部62の下端部近傍に取り付けられている。リール本体81から引き出されている第2紐材34は、この引き掛け部63に引き掛けられて鉛直方向下方に向きが変えられて、ケース体31の外部に引き出されている。
【0053】
上突出部64は、L字状の板状部材であり、基部61の奥行き方向の奥側の縁部であって開閉方向b側の端部に取り付けられている。上突出部64は、基部61の開閉方向b側の端部よりもさらに開閉方向b側に延在するとともに、基部61を基準として上方に突出している。上突出部64の上端部近傍には、開閉方向b側から開閉方向a側に向かうにつれて下降する傾斜貫通孔64Hが形成されている。この傾斜貫通孔64Hには、上述の第2ギアアーム42の突出アーム42Aがはめ込まれている。突出アーム42Aは、傾斜貫通孔64Hを画定する上突出部64の内壁に沿って移動することができる。
【0054】
図6に示すように、付勢部材65は、基部61の下面に取り付けられており、基部61を上方に付勢している。第2部材60に対して下方への力が印加されない状態(すなわち、第2紐材34が引っ張られていない状態)では、第2部材60は開閉方向a側から開閉方向b側に向かって下方に傾倒している。すなわち、第2部材60に対して下方への力が印加されない状態では、上突出部64が傾倒している。この第2部材60の傾倒状態では、図6に示すように、第2ギアアーム42の突出アーム42Aが、傾斜貫通孔64Hを画定する上突出部64の内壁によって開閉方向b側に押された状態で保持されている。そして、この傾倒状態では、第2ギアアーム42の第2遊動ギア軸41J側の先端が駆動ギア36から離れた位置に保持され、その結果、第2遊動ギア41が駆動ギア36から離間する位置に保持される。
【0055】
第2紐材34のうちケース体31の外部に導出されて下方に垂れている部分(例えば、グリップ35)を引っ張ると、第2部材60の引き掛け部63が第2紐材34によって下方に押される。そして、この押圧が付勢部材65の付勢力よりも大きいと、第2部材60の開閉方向a側が押し下げられ、これに伴い、第2部材60の開閉方向b側が押し上げられる。その結果、第2部材60の上突出部64が起立する。そして、第2部材60が傾倒状態からこの起立状態に移行する過程で、第2ギアアーム42の突出アーム42Aが、上述の上突出部64の内壁によって開閉方向a側に押される。その結果、第2ギアアーム42が、第2従動ギア軸40Jを軸として時計回りに回転し、これに追従して第2遊動ギア41が第2従動ギア40の周りを時計回りに公転する。そして、第2紐材34の引っ張りを継続すると、最終的には、第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合する。
【0056】
このように、本実施形態では、駆動ギア36は、第2紐材34が引っ張られた際に第2遊動ギア41を介して第2従動ギア40と間接的に噛合する。すなわち、本実施形態では、第2紐材34が引っ張られていない際は第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することが阻止され、第2紐材34が引っ張られた際は第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することが許容される。
【0057】
そして、第2紐材34が引っ張られた際に第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することが許容される結果、第2遊動ギア41の反時計回りの回転(自転)を介して、第2従動ギア40の時計回りの回転が駆動ギア36及び駆動軸32に伝達され、駆動ギア36及び駆動軸32が時計回りに回転する。こうして、移送部10の駆動プーリ15が時計回りに回転して、これに追従して駆動ベルト14が時計回りに回転し、先頭ランナー18A及び先頭ランナー18Aに取り付けられた遮蔽材20Aが開閉方向b側に移動するとともに、先頭ランナー18B及び先頭ランナー18Bに取り付けられた遮蔽材20Bが開閉方向a側に移動する。
【0058】
以上のように、第1部材50によって、第1紐材33が引っ張られない限り第1遊動ギア38が駆動ギア36に噛合しない。すなわち、第1部材50は、第1紐材33が引っ張られていない際は第1遊動ギア38が駆動ギア36に噛合することを阻止し、その結果、第1従動ギア37が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止する。また、第2部材60によって、第2紐材34が引っ張られない限り第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合しない。すなわち、第2部材60は、第2紐材34が引っ張られていない際は第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合することを阻止し、その結果、第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止する。したがって、本実施形態において、第1部材50及び第2部材60は、第1紐材33及び第2紐材34が引っ張られていない際は第1遊動ギア38及び第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合することを阻止し、第1紐材33が引っ張られた際は第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合することを阻止しつつ第1遊動ギア38が駆動ギア36に噛合することを許容し、かつ、第2紐材34が引っ張られた際は第1遊動ギア38が駆動ギア36に噛合することを阻止しつつ第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合すること許容する遊動ギア噛合調整部90として機能している。また、本実施形態において、第1部材50及び第2部材60は、第1紐材33及び第2紐材34が引っ張られていない際は第1従動ギア37及び第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止し、第1紐材33が引っ張られた際は第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止しつつ第1従動ギア37が駆動ギア36に回転力を伝達することを許容し、かつ、第2紐材34が引っ張られた際は第1従動ギア37が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止しつつ第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することを許容する回転力伝達調整部91として機能している。
【0059】
次に、遮蔽装置1の作用の例及びその効果の例について説明する。
【0060】
例として、遮蔽装置1が完全に閉状態である場合を考える。この状態では、遮蔽材20Aが取り付けられている先頭ランナー18A及び遮蔽材20Bが取り付けられている先頭ランナー18Bのそれぞれが、移送部10の本体部11の開閉方向abの中央近傍に位置している(図1参照)。既存の紐引き操作による遮蔽装置では、操作部が開閉方向abのいずれか一箇所の端部にしか設けられていなかったが、本実施形態では、二箇所の端部に操作部が設けられているため、開閉方向abの両側での操作が可能である。ここで、遮蔽装置1のユーザが、本体部11の開閉方向a側の端部近傍に立っており、遮蔽材20A,20Bを開きたいと考えたと仮定する。本実施形態では、操作部30A,30Bが開閉方向abにおける移送部10の両端部に取り付けられているため、ユーザは、自身の反対側に位置する操作部30B近傍まで移動する必要がなく、近くに位置する操作部30Aを操作することができる。すなわち、本実施形態では、ユーザの移動の手間を省くことができる。そして、ユーザは、遮蔽材20A,20Bを開くために、操作部30Aの第1紐材33及び第2紐材34のいずれかを操作する。ここで、上記のように、操作部30Aの操作は、第1紐材33及び第2紐材34のいずれかを単に引っ張ればよい。本実施形態では、第1紐材33を引っ張ることで遮蔽材20A,20Bが開き、第2紐材34を引っ張ることで遮蔽材20A,20Bが閉じる。しかし、例えば遮蔽材20を開きたい場合に、ユーザが誤って第2紐材34を引っ張った場合でも、第2紐材34を離すだけで、第2紐材34が巻き戻されて初期状態に戻る。そのため、誤操作した場合でもユーザがわざわざ何らかの操作をして初期状態に戻す必要がなく、操作性に優れる。そして、第2紐材34を離したユーザが第1紐材33を引っ張ると、上記に説明したように、第1従動ギア37が反時計回りに回転するとともに第1遊動ギア38が駆動ギア36に噛合し、第1遊動ギア38を介して第1従動ギア37の回転力が駆動ギア36に伝達される。その結果、駆動ギア36及び駆動軸32が反時計回りに回転して、遮蔽材20Aが開閉方向a側に移動するとともに、遮蔽材20Bが開閉方向b側に移動する(図1参照)。ユーザは、遮蔽材20A,20Bの開き位置が所望の位置になった段階で、第1紐材33を離せばよい。また、ユーザが遮蔽装置1を完全に開状態にしたい場合には、先頭ランナー18Aが開閉方向a側に、先頭ランナー18Bが開閉方向b側に、それぞれこれ以上動かくなくなった段階で、第1紐材33を離せばよい。
【0061】
そして、第1紐材33を離して引っ張りが解除されることで、上記のように第1部材50が傾倒状態に戻って第1遊動ギア38が駆動ギア36から分離されるため、駆動ギア36が自由に回転できるようになる。そのため、第1紐材33及び第2紐材34が引っ張られていない状態では、遮蔽材20を手引きで開閉することが可能となる。
【0062】
なお、この状態から遮蔽装置1を紐引き操作で閉じたいときは、遮蔽材20A,20Bの閉じ位置が所望の位置になるまで第2紐材34を引っ張ればよい。
【0063】
このように、遮蔽装置1によれば、遮蔽材20A,20Bを紐引き操作する際に、第1紐材33や第2紐材34を捩じったりする必要がなく、第1紐材33及び第2紐材34の一方に単に引っ張ればよいだけなので、操作が比較的容易である。また、遮蔽材20A,20Bを開閉させるために第1紐材33や第2紐材34を捩じる必要がないため、紐材を捩じることを可能にするための部材を設ける必要がない。そのため、上記のようなグリップ35を省略することも可能であり、部品点数を削減することが可能である。
【0064】
また、上記のように、遮蔽装置1によれば、ケース体31の外部において、第1紐材33及び第2紐材34のそれぞれが非ループ状であるため、例えば子供が第1紐材33や第2紐材34に手をかけてしまうようなことが防止され、チャイルドセーフティーにも優れている。
【0065】
また、遮蔽装置1によれば、駆動ギア36と第1従動ギア37との間のギア比、あるいは、駆動ギア36と第2従動ギア40との間のギア比を、ギアを取り換えることによって適宜変更可能であり、その結果、紐引き操作における遮蔽材20A,20Bの開閉速度を適宜変更することが可能である。
【0066】
また、遮蔽装置1によれば、第1リール部70(第1紐材33)と第2リール部80(第2紐材34)との2つのリール部を駆動軸32の軸方向に対して並べて配置する必要がなく、駆動ギア36の平面上に配置することができる。したがって、遮蔽装置1によれば、駆動軸32の軸方向における操作部30A,30Bの寸法をコンパクトにすることができる。
【0067】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る遮蔽装置について説明する。本実施形態の以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付して詳細な説明を省略する。なお、本実施形態に係る遮蔽装置は、操作部を除いて第1実施形態の遮蔽装置1と同様の構成を有する。また、移送部10の開閉方向abの両側に操作部が配置されていることも第1実施形態の遮蔽装置1と同様である。また、開閉方向a側の操作部では、第1紐材33及び第2紐材34が当該操作部の開閉方向a側の端部から垂れているのに対し、開閉方向b側の操作部では第1紐材33及び第2紐材34が開閉方向b側の端部から垂れている。この点を除いて、開閉方向a側の操作部と開閉方向b側の操作部とが同様の構成を有することも第1実施形態と同様である。したがって、以下、開閉方向a側の操作部についてのみ説明する。
【0068】
図9は、本実施形態に係る開閉方向a側の操作部300Aを示す断面図である。また、図10は、操作部300Aを一部を省略して示す上面図であり、第1紐材33が引っ張られていない状態を示す図である。
【0069】
図9及び図10に示すように、操作部300Aは、ケース体310と、駆動軸32と、駆動ギア36と、第1紐材33と、第2紐材34とを有している。
【0070】
ケース体310は、移送部10の第1延長部12に嵌合するように構成されている。また、ケース体310は、駆動ギア36、第1従動ギア37、第1遊動ギア38、第2従動ギア40、及び第2遊動ギア41の並びが第1実施形態の操作部30Aと異なること等に起因して、操作部30Aのケース体31と比較して、開閉方向abにおいて長く、奥行き方向において短い形状になっている。ケース体310が第1延長部12に嵌合した状態において、駆動プーリ15の貫通孔15Hに駆動軸32が嵌まり込んでいる。
【0071】
また、操作部300Aは、第1従動ギア37と、第1遊動ギア38と、第1ギアアーム390と、第1リール部70とを有している。第1従動ギア37と、第1遊動ギア38と、第1ギアアーム390と、第1リール部70とは、駆動ギア36を基準として開閉方向a側に配置されている。第1従動ギア37と駆動ギア36とは開閉方向abに沿って整列している。第1遊動ギア38は、第1従動ギア軸37Jよりも奥行き方向の奥側に位置するとともに、開閉方向abにおいて第1従動ギア37と駆動ギア36との間に位置している。
【0072】
第1ギアアーム390は、第1従動ギア37及び第1遊動ギア38の上方に配置されている。第1ギアアーム390は、第1ギアアーム390を貫通する第1従動ギア軸37Jの回転と同期して回転可能に第1従動ギア軸37Jに取り付けられている。したがって、第1リール部70が回転することにより第1従動ギア軸37J及び第1従動ギア37が回転すると、第1ギアアーム390もまた、第1従動ギア軸37J及び第1従動ギア37と同方向に回転する。また、第1ギアアーム390の下面からは、第1遊動ギア軸38Jが鉛直方向下方に延びている。したがって、第1ギアアーム390が回転すると、第1遊動ギア軸38Jに取り付けられた第1遊動ギア38が、第1従動ギア37の周りを、第1従動ギア軸37J及び第1従動ギア37の回転方向と同方向に回転(公転)する。なお、第1ギアアーム390は、第1実施形態の第1ギアアーム39の突出アーム39Aのような突出アームを有していない。
【0073】
第1紐材33は、第1実施形態と同様に、第1リール部70のリール本体71に反時計回りに巻回されている。また、本実施形態では、第1紐材33は、リール本体71から、ケース体310の奥行き方向の手前側を開閉方向a側に引き出されている。そして、第1紐材33は、ケース体310の開閉方向a側の端部に形成された引き出し孔310Hからケース体310の外部に引き出されて、概ね鉛直方向下方に垂れている。
【0074】
また、操作部300Aは、第2従動ギア40と、第2遊動ギア41と、第2ギアアーム420と、第2リール部80とを有している。第2従動ギア40と、第2遊動ギア41と、第2ギアアーム420と、第2リール部80とは、駆動ギア36を基準として開閉方向b側に配置されている。第2従動ギア40と駆動ギア36とは開閉方向abに沿って整列している。第2遊動ギア41は、第2従動ギア軸40Jよりも奥行き方向の奥側に位置するとともに、開閉方向abにおいて第2従動ギア40と駆動ギア36との間に位置している。
【0075】
第2ギアアーム420は、第2従動ギア40及び第2遊動ギア41の上方に配置されている。第2ギアアーム420は、第2ギアアーム420を貫通する第2従動ギア軸40Jの回転と同期して回転可能に第2従動ギア軸40Jに取り付けられている。したがって、第2リール部80が回転することにより第2従動ギア軸40J及び第2従動ギア40が回転すると、第2ギアアーム420もまた、第2従動ギア軸40J及び第2従動ギア40の回転方向と同方向に回転する。また、第2ギアアーム420の下面からは、第2遊動ギア軸41Jが鉛直方向下方に延びている。したがって、第2ギアアーム420が回転すると、第2遊動ギア軸41Jに取り付けられた第2遊動ギア41が、第2従動ギア40の周りを、第2従動ギア軸40J及び第2従動ギア40の回転方向と同方向に回転(公転)する。なお、第2ギアアーム420は、第2実施形態の第2ギアアーム42の突出アーム42Aのような突出アームを有していない。
【0076】
第2紐材34は、第2実施形態と同様に、第2リール部80のリール本体81に時計回りに巻回されている。また、本実施形態では、第2紐材34は、リール本体81から、ケース体310の奥行き方向の奥側を開閉方向a側に引き出されている。そして、第2紐材34は、ケース体310の開閉方向a側の端部に形成された引き出し孔310Hからケース体310の外部に引き出されて、概ね鉛直方向下方に垂れている。
【0077】
図10に示すように、操作部300Aは、保持軸305と、トーションばねから形成される付勢部材301とをさらに有している。保持軸305は、鉛直方向上方に延在している。また、保持軸305は、駆動軸32と奥行き方向に整列しており、駆動軸32よりも奥行き方向の奥側に設けられている。付勢部材301は、中央に位置するコイル部302と、コイル部302から開閉方向a側に向かうに従って奥行き方向の手前側に延びるa側弾性部303と、コイル部302から開閉方向b側に向かうに従って奥行き方向の手前側に延びるb側弾性部304とを含んでいる。a側弾性部303は、第1遊動ギア軸38J(すなわち、第1遊動ギア38の自転軸)に駆動ギア36側から当接しており、第1遊動ギア38が駆動ギア36に向かって公転することに抗するように第1遊動ギア38を付勢している。一方、b側弾性部304は、第2遊動ギア軸41J(すなわち、第2遊動ギア41の自転軸)に駆動ギア36側から当接しており、第2遊動ギア41が駆動ギア36に向かって公転することに抗するように第2遊動ギア41を付勢している。
【0078】
このような操作部300Aにおいて、第1紐材33及び第2紐材34が引っ張られていない際は、第1遊動ギア38及び第2遊動ギア41が駆動ギア36に向かって公転しないため、付勢部材301の上記のような付勢力によって、第1遊動ギア38及び第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合することが阻止される。したがって、駆動ギア36は自由に回転することができ、手引き操作で遮蔽材20を開閉することが可能である。
【0079】
次に、図11に示すように、第1紐材33が所定の力以上の力で引っ張られた場合、第1従動ギア37及び第1従動ギア軸37Jの反時計回りの回転力が所定以上の力となる。すなわち、この場合、第1遊動ギア38の駆動ギア36に向かう公転力がa側弾性部303の付勢力よりも大きくなる。そのため、第1遊動ギア38が駆動ギア36に向かって公転することが許容され、第1紐材33を所定の力以上の力で引っ張り続けることによって、やがて第1遊動ギア38が駆動ギア36に噛合する。すなわち、第1従動ギア37は、第1遊動ギア38を介して駆動ギア36に間接的に噛合し、その結果、駆動ギア36に回転力を伝達する。こうして、第1遊動ギア38の時計回りの回転を介して、駆動ギア36及び駆動軸32が反時計回りに回転し、遮蔽材20が開閉方向a側に移動する。
【0080】
その後、第1紐材33の所定の力以上の引っ張りを中断すると、第1従動ギア軸37J及び第1従動ギア37が逆回転し、これに伴い、第1ギアアーム390が時計回りに回転するとともに第1遊動ギア38が第1従動ギア37の回りを時計回りに公転する。その結果、第1遊動ギア38が駆動ギア36から離れる。この際、第1紐材33は所定の力以上の力で引っ張られていないため、a側弾性部303の付勢力によって、第1遊動ギア38が駆動ギア36に向かって公転することが阻止される。なお、この一連の操作において、第2紐材34は引っ張られていないため、b側弾性部304の付勢力によって、第2遊動ギア41が駆動ギア36に向かって公転することが阻止される。
【0081】
次に、第2紐材34が所定の力以上の力で引っ張られた場合、第2従動ギア40及び第2従動ギア軸40Jの時計回りの回転力が所定以上の力となる。すなわち、この場合、第2遊動ギア41の駆動ギア36に向かう公転力がb側弾性部304の付勢力よりも大きくなる。そのため、第2遊動ギア41が駆動ギア36に向かって公転することが許容され、第2紐材34を所定以上の力で引っ張り続けることによって、やがて第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合する。すなわち、第2従動ギア40は、第2遊動ギア41を介して駆動ギア36に間接的に噛合し、その結果、駆動ギア36に回転力を伝達する。こうして、第2遊動ギア41の反時計回りの回転を介して、駆動ギア36及び駆動軸32が時計回りに回転し、遮蔽材20が開閉方向b側に移動する。
【0082】
その後、第2紐材34の所定の力以上の引っ張りを中断すると、第2従動ギア軸40J及び第2従動ギア40が逆回転し、これに伴い、第2ギアアーム420が反時計回りに回転するとともに第2遊動ギア41が第2従動ギア40の回りを反時計回りに公転する。その結果、第2遊動ギア41が駆動ギア36から離れる。この際、第2紐材34は所定の力以上の力で引っ張られていないため、b側弾性部304の付勢力によって、第2遊動ギア41が駆動ギア36に向かって公転することが阻止される。なお、この一連の操作において、第1紐材33は引っ張られていないため、a側弾性部303の付勢力によって、第1遊動ギア38が駆動ギア36に向かって公転することが阻止される。
【0083】
以上のように、付勢部材301の作用によって、第1紐材33が引っ張られない限り第1遊動ギア38が駆動ギア36に噛合しない。すなわち、付勢部材301は、第1紐材33が引っ張られていない際は第1遊動ギア38が駆動ギア36に噛合することを阻止し、その結果、第1従動ギア37が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止する。また、付勢部材301の作用によって、第2紐材34が引っ張られない限り第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合しない。すなわち、付勢部材301は、第2紐材34が引っ張られていない際は第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合することを阻止し、その結果、第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止する。したがって、本実施形態において、付勢部材301は、第1紐材33及び第2紐材34が引っ張られていない際は第1遊動ギア38及び第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合することを阻止し、第1紐材33が引っ張られた際は第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合することを阻止しつつ第1遊動ギア38が駆動ギア36に噛合することを許容し、かつ、第2紐材34が引っ張られた際は第1遊動ギア38が駆動ギア36に噛合することを阻止しつつ第2遊動ギア41が駆動ギア36に噛合すること許容する遊動ギア噛合調整部90として機能している。また、本実施形態において、付勢部材301は、第1紐材33及び第2紐材34が引っ張られていない際は第1従動ギア37及び第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止し、第1紐材33が引っ張られた際は第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止しつつ第1従動ギア37が駆動ギア36に回転力を伝達することを許容し、かつ、第2紐材34が引っ張られた際は第1従動ギア37が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止しつつ第2従動ギア40が駆動ギア36に回転力を伝達することを許容する回転力伝達調整部91として機能している。
【0084】
このような本実施形態に係る操作部300Aによっても、第1実施形態と同様の効果を享受することができる。
【0085】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る遮蔽装置について説明する。本実施形態の以下の説明では、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については同様の符号を付して詳細な説明を省略する。なお、本実施形態に係る遮蔽装置は操作部を除いて第1実施形態の遮蔽装置1と同様の構成を有する。また、移送部10の開閉方向abの両側に操作部が配置されていることも第1実施形態の遮蔽装置1と同様である。また、開閉方向a側の操作部では、第1紐材33及び第2紐材34が当該操作部の開閉方向a側の端部から垂れているのに対し、開閉方向b側の操作部では第1紐材33及び第2紐材34が開閉方向b側の端部から垂れている。この点を除いて、開閉方向a側の操作部と開閉方向b側の操作部とが同様の構成を有することも第1実施形態と同様である。したがって、以下、開閉方向a側の操作部についてのみ説明する。
【0086】
図12は、本実施形態に係る開閉方向a側の操作部3000Aを示す断面図である。また、図13は、操作部3000Aを一部を省略して示す上面図であり、第1紐材33が引っ張られていない状態を示す図である。
【0087】
図12及び図13に示すように、操作部3000Aは、ケース体310と、駆動ギア36と、駆動軸32と、第1紐材33と、第2紐材34とを有している。
【0088】
また、操作部3000Aは、第1従動ギア3700と、第1変形部材3070と、第1変形部材軸3070Jと、第1リール部70とを有している。なお、操作部3000Aは、上述の第1遊動ギア38のような遊動ギアを有さない。
【0089】
図13に示すように、第1従動ギア3700は、中心に貫通孔3700Hが形成されたリング状である。第1従動ギア3700は、駆動ギア36を基準として開閉方向a側に位置しており、開閉方向abに沿って駆動ギア36と整列している。第1従動ギア3700は、駆動ギア36と常時噛合している。なお、第1従動ギア3700は、第1変形部材軸3070Jを中心に回転できるように取り付けられている。
【0090】
第1変形部材3070は、第1従動ギア3700の貫通孔3700Hの内部に配置されている。この第1変形部材3070の中心であって第1従動ギア3700の中心を第1変形部材軸3070Jが鉛直方向下方に貫通している。第1変形部材3070は、第1変形部材軸3070Jと同期して回転可能に第1変形部材軸3070Jに取り付けられている。また、第1変形部材3070は、第1変形部材軸3070Jに対して2回対称の形状を有している。
【0091】
第1変形部材3070の直下には、第1リール部70が配置されている。第1変形部材軸3070Jは、第1リール部70と同期して回転可能に第1リール部70に取り付けられている。したがって、第1変形部材3070も第1リール部70と同期して回転する。上記のように、第1紐材33が引っ張られた際に第1リール部70は反時計回りに回転する。したがって、第1紐材33が引っ張られた際の第1変形部材の回転方向(以下、第1回転方向と言うことがある。)は、反時計回りの方向である。
【0092】
貫通孔3700Hを画定する第1従動ギア3700の内周面3710は、4つの湾曲面3711を含んでいる。4つの湾曲面3711のそれぞれは、概ね1/4円弧を描いている。ここで、周方向に隣接する任意の1対の湾曲面3711に着目すると、第1回転方向側に位置する湾曲面3711における第1回転方向側とは反対側の端部3711aは、第1回転方向側とは反対側に位置する湾曲面3711における第1回転方向側の端部3711bに対して内周側に位置している。そして、これら2つの端部3711a,3711bは、第1回転方向側とは反対側の湾曲面3711に臨む平面3715によって連結されている。この平面3715は、内周面3710における内周側に突出する突起である。つまり、内周面3710は、内周側に突出する4つの突起3715を含んでいる。
【0093】
再び第1変形部材3070について説明する。後述するように、第1変形部材3070は、第1変形部材軸3070Jを軸として回転することによって変形する。図13は、第1変形部材3070が変形する前の変形前状態を示している。第1変形部材3070は、基部3071と、第1回動部3072と、第2回動部3073と、第1回動軸3078と、第2回動軸3079とを含んでいる。
【0094】
基部3071は、トラック形状の板状部材であり、基部3071の中心を第1変形部材軸3070Jが貫通している。基部3071は、第1変形部材軸3070Jの回転と同期して回転可能に第1変形部材軸3070Jに取り付けられている。第1回動軸3078及び第2回動軸3079は、基部3071から鉛直方向下方に延びている。図13の状態において、第1回動軸3078は基部3071における第1変形部材軸3070Jよりも開閉方向a側の部分に取り付けられており、第2回動軸3079は、基部3071における第1変形部材軸3070Jよりも開閉方向b側の部分に取り付けられている。第1変形部材軸3070J、第1回動軸3078、及び第2回動軸3079は、第1変形部材軸3070Jを間にして直線上に配置されている。
【0095】
第1回動部3072は、略勾玉状の形状を有しており、第1回動軸3078を軸として回転可能に第1回動軸3078に取り付けられている。第1回動部3072は、変形前状態において基部3071の外周面のうち一方側(図13の状態の場合、奥行き方向の奥側)の直線状の面と当接する段差面3072Dを含んでいる。変形前状態では、第1回動部3072のうち段差面3072Dよりも基部3071側の部分が、基部3071よりも下方に位置して鉛直方向において基部3071と重なっている。一方、変形前状態において、第1回動部3072のうち段差面3072Dよりも基部3071側とは反対側の部分は、段差面3072Dと、第1湾曲面3072Cと、第1平面3072Sとを含む外面によって画定されている。第1湾曲面3072Cは、上述の湾曲面3711のそれぞれと概ね同一の曲率を有しており、基部3071の第1回動軸3078側の端部から第2回動軸3079側に向かって湾曲している。また、第1平面3072Sは、段差面3072Dの第1変形部材軸3070J側の端部を起点にして第2回動軸3079側に傾いて第1従動ギア3700の内周面3710に向かって直線状に延びている。そして、第1平面3072Sは、第1湾曲面3072Cの第2回動軸3079側の端部に接続している。
【0096】
第2回動部3073は、略勾玉状の形状を有しており、第2回動軸3079を軸として回転可能に第2回動軸3079に取り付けられている。第2回動部3073は、変形前状態において基部3071の外周面のうち他方側(図13の状態の場合、奥行き方向の手前側)の直線状の面と当接する段差面3073Dを含んでいる。変形前状態では、第2回動部3073のうち段差面3073Dよりも基部3071側の部分が、基部3071よりも下方に位置して鉛直方向において基部3071と重なっている。一方、変形前状態において、第2回動部3073のうち段差面3073Dよりも基部3071側とは反対側の部分は、段差面3073Dと、第2湾曲面3073Cと、第2平面3073Sとを含む外面によって画定されている。第2湾曲面3073Cは、上述の湾曲面3711のそれぞれと概ね同一の曲率を有しており、基部3071の第2回動軸3079側の端部から第1回動軸3078側に向かって湾曲している。また、第2平面3073Sは、段差面3073Dの第1変形部材軸3070J側の端部を起点にして第1回動軸3078側に傾いて第1従動ギア3700の内周面3710に向かって直線状に延びている。第2平面3073Sは、第2湾曲面3073Cの第1回動軸3078側の端部に接続している。
【0097】
このように、第1紐材33が引っ張られていない状態では、段差面3072D,3073Dのそれぞれが基部3071に当接することによって、第1変形部材3070が閉状態になっている。この閉状態における第1変形部材3070は、第1従動ギア3700の内周面3710に当接しない形状である。
【0098】
また、図12及び図13に示すように、操作部3000Aは、第2従動ギア4100と、第2変形部材4010と、第2変形部材軸4010Jと、第2リール部80とを有している。なお、操作部3000Aは、上述の第2遊動ギア41のような遊動ギアを有さない。
【0099】
図13に示すように、第2従動ギア4100は、中心に貫通孔4100Hが形成されたリング状である。第2従動ギア4100は、駆動ギア36を基準として開閉方向b側に位置しており、開閉方向abに沿って駆動ギア36と整列している。第2従動ギア4100は、駆動ギア36と常時噛合している。なお、第2従動ギア4100は、第2変形部材軸4010Jを中心に回転できるように取り付けられている。
【0100】
第2変形部材4010は、第2従動ギア4100の貫通孔4100Hの内部に配置されている。この第2変形部材4010の中心であって第2従動ギア4100の中心を第2変形部材軸4010Jが鉛直方向下方に貫通している。第2変形部材4010は、第2変形部材軸4010Jと同期して回転可能に第2変形部材軸4010Jに取り付けられている。第2変形部材4010は、第2変形部材軸4010Jに対して2回対称の形状を有する。
【0101】
第2変形部材4010の直下には、第2リール部80が配置されている。第2変形部材軸4010Jは、第2リール部80と同期して回転可能に第2リール部80に取り付けられている。したがって、第2変形部材4010も第2リール部80と同期して回転する。上記のように、第2紐材34が引っ張られた際に第2リール部80は時計回りに回転する。したがって、第2紐材34が引っ張られた際の第2変形部材4010の回転方向(以下、第2回転方向と言うことがある。)は、時計回りの方向である。すなわち、第2回転方向は、上述の第1回転方向と反対の回転方向である。
【0102】
貫通孔4100Hを画定する第2従動ギア4100の内周面4110は、4つの湾曲面4111を含んでいる。4つの湾曲面4111のそれぞれは、概ね1/4円弧を描いている。ここで、周方向に隣接する任意の1対の湾曲面4111に着目すると、第2回転方向側に位置する湾曲面4111における第2回転方向側とは反対側の端部4111aは、第2回転方向側とは反対側に位置する湾曲面4111における第2回転方向側の端部4111bに対して内周側に位置している。そして、これら2つの端部4111a,4111bは、第2回転方向側とは反対側に位置する湾曲面4111に臨む平面4115によって連結されている。この平面4115は、内周面4110における内周側に突出する突起である。つまり、内周面4110は、内周側に突出する4つの突起4115を含んでいる。第2従動ギア4100内周面4110は、鉛直方向及び奥行き方向に延びる面を基準として、第1従動ギア3700の内周面3710と鏡像対称の形状となっている。要するに、第2従動ギア4100は、第1従動ギア3700と鏡像対称の形状である。
【0103】
再び第2変形部材4010について説明する。後述するように、第2変形部材4010は、第2変形部材軸4010Jを軸として回転することによって変形する。図13は、第2変形部材4010が変形する前の変形前状態を示している。この変形前状態の第2変形部材4010は、鉛直方向及び奥行き方向に延びる面を基準として、変形前状態の第1変形部材3070と鏡像対称の形状となっている。第2変形部材4010は、基部4011と、第1回動部4012と、第2回動部4013と、第1回動軸4018と、第2回動軸4019とを含んでいる。
【0104】
基部4011は、トラック形状の板状部材であり、基部4071の中心を第2変形部材軸4010Jが貫通している。基部4011は、第2変形部材軸4010Jの回転と同期して回転可能に第2変形部材軸4010Jに取り付けられている。第1回動軸4018及び第2回動軸4019は、基部4011から鉛直方向下方に延びている。図13の状態において、第1回動軸4018は基部4011における第2変形部材軸4010Jよりも開閉方向a側の部分に取り付けられており、第2回動軸4019は、基部4011における第2変形部材軸4010Jよりも開閉方向b側の部分に取り付けられている。第2変形部材軸4010J、第1回動軸4018、及び第2回動軸4019は、第2変形部材軸4010Jを間にして直線上に配置されている。
【0105】
第1回動部4012は、略勾玉状の形状を有しており、第1回動軸4018を軸として回転可能に第1回動軸4018に取り付けられている。第1回動部4012は、変形前状態において基部4011の外周面のうち他方側(図13の状態の場合、奥行き方向の手前側)の直線状の面と当接する段差面4012Dを含んでいる。変形前状態では、第1回動部4012のうち段差面4012Dよりも基部4011側の部分が、基部4011よりも下方に位置して鉛直方向において基部4011と重なっている。一方、変形前状態において、第1回動部4012のうち段差面4012Dよりも基部4011側とは反対側の部分は、段差面4012Dと、第1湾曲面4012Cと、第1平面4012Sとを含む外面によって画定されている。第1湾曲面4012Cは、上述の湾曲面4111のそれぞれと概ね同一の曲率を有しており、基部4011の第1回動軸4018側の端部から第2回動軸4019側に向かって湾曲している。また、第1平面4012Sは、段差面4012Dの第2変形部材軸4010J側の端部を起点にして第2回動軸4019側に傾いて第2従動ギア4100の内周面4110に向かって直線状に延びている。そして、第1平面4012Sは、第1湾曲面4012Cの第2回動軸4019側の端部に接続している。
【0106】
第2回動部4013は、略勾玉状の形状を有しており、第2回動軸4019を軸として回転可能に第2回動軸4019に取り付けられている。第2回動部4013は、変形前状態において基部4011の外周面のうち一方側(図13の状態の場合、奥行き方向の奥側)の直線状の面と当接する段差面4013Dを含んでいる。変形前状態では、第2回動部4013のうち段差面4013Dよりも基部4011側の部分が、基部4011よりも下方に位置して鉛直方向において基部4011と重なっている。一方、変形前状態において、第2回動部4013のうち段差面4013Dよりも基部4011側とは反対側の部分は、段差面4013Dと、第2湾曲面4013Cと、第2平面4013Sとを含む外面によって画定されている。第2湾曲面4013Cは、上述の湾曲面4111のそれぞれと概ね同一の曲率を有しており、基部4011の第2回動軸4019側の端部から第1回動軸4018側に向かって湾曲している。また、第2平面4013Sは、段差面4013Dの第2変形部材軸4010J側の端部を起点にして第1回動軸4018側に傾いて第2従動ギア4100の内周面4110に向かって直線状に延びている。そして、第2平面4013Sは、第2湾曲面4013Cの第1回動軸4018側の端部に接続している。
【0107】
このように、第2紐材34が引っ張られていない状態では、段差面4012D,4013Dがそれぞれ基部4011に当接することによって、第2変形部材4010が閉状態になっている。この閉状態における第2変形部材4010は、第2従動ギア4100の内周面4110に当接しない形状である。
【0108】
次に、操作部3000Aの動作について説明する。
【0109】
図13の状態から第1紐材33を引っ張ると、第1リール部70が反時計回りに回転し、これに同期して、図14に示すように第1変形部材軸3070J及び第1変形部材3070が反時計回りに回転する。そうすると、第1変形部材3070に対して反時計回り方向に遠心力が作用する。そして、この反時計回り方向の遠心力は、第1回動部3072及び第2回動部3073を基部3071から離れさせるように作用する。そのため、第1紐材33を引っ張り続けると、第1回動部3072が第1回動軸3078を軸として時計回りに回転するとともに、第2回動部3073が第2回動軸3079を軸として時計回りに回転する。こうして、第1回動部3072及び第2回動部3073が基部3071から次第に離れていき、第1変形部材3070が広がるように変形していく。具体的には、第1回動部3072の第1湾曲面3072C及び第2回動部3073の第2湾曲面3073Cのそれぞれが、第1従動ギア3700の湾曲面3711に当接しながら内周面3710の周方向に沿ってガイドされつつ、第1回動部3072及び第2回動部3073が広がっていく。そして、第1回動部3072が広がりきると、第1回動部3072の第1平面3072Sが第1従動ギア3700の内周面3710の突起3715のいずれかに当接する。同様に、第2回動部3073が広がりきると、第2回動部3073の第2平面3073Sが突起3715の他のいずれかに当接する。このように、第1回動部3072が広がりきり、かつ、第2回動部3073が広がりきった開状態では、第1変形部材3070は、第1従動ギア3700の内周面3710の突起3715に当接する形状に変形している。第1変形部材3070が開状態になった以降は、反時計回りに回転する第1変形部材3070によって第1従動ギア3700が押されて、第1従動ギア3700が反時計回りに回転する。その結果、第1従動ギア3700の反時計回りの回転力が駆動ギア36に伝達することが許容されて駆動ギア36及び駆動軸32が時計回りに回転し、遮蔽材20Aが開閉方向b側に移動するとともに遮蔽材20Bが開閉方向a側に移動する(図1参照)。このように本実施形態では、第1実施形態や第2実施形態と異なり、第1紐材33を引っ張ることで、遮蔽材20A,20Bを閉じるように移動させることができる。
【0110】
なお、この状態では、第2紐材34は引っ張られていないため、第2変形部材4010は閉状態のままであり、第2従動ギア4100は第2変形部材4010に干渉されずに回転する。第2紐材34が引っ張られていない状態では、第2従動ギア4100は、駆動ギア36の時計回りの回転に伴い反時計回りに空転しており、後述する第2紐材34が引っ張られている際の第2従動ギア4100の回転方向(時計回り)に対して逆回転している。
【0111】
そして、第1紐材33の引っ張りが解除されると、第1リール部70が逆回転(すなわち、時計回りに回転)し、これに同期して第1変形部材軸3070J及び第1変形部材3070が逆回転(すなわち、時計回りに回転)する。このような第1変形部材3070の逆回転による遠心力は、第1回動部3072及び第2回動部3073を基部3071に向かって引き寄せるように作用する。したがって、第1回動部3072が第1回動軸3078を軸として反時計回りに回転するとともに、第2回動部3073が第2回動軸3079を軸として反時計回りに回転する。その結果、第1変形部材3070が閉状態(すなわち、第1従動ギア3700の内周面3710に当接しない形状)に戻る。すなわち、これ以降は、第1変形部材3070によって第1従動ギア3700が回転することがない。よって、第1紐材33が引っ張られていない状態では、第1変形部材3070は、第1従動ギア3700が駆動ギア36よりも先に回転することを阻止しており、第1従動ギア3700の回転力が駆動ギア36に伝達することを阻止している。
【0112】
次に、図13の状態から第2紐材34を引っ張ると、第2リール部80が時計回りに回転し、これに同期して、第2変形部材軸4010J及び第2変形部材4010が時計回り(すなわち、第1変形部材3070の回転方向とは反対側)に回転する。そうすると、第2変形部材4010に対して時計回り方向に遠心力が作用する。そして、この時計回り方向の遠心力は、第1回動部4012及び第2回動部4013を基部4011から離れさせるように作用する。そのため、第2紐材34を引っ張り続けると、第1回動部4012が第1回動軸4018を軸として反時計回りに回転するとともに、第2回動部4013が第2回動軸4019を軸として反時計回りに回転する。こうして、第1回動部4012及び第2回動部4013が基部4011から次第に離れていき、第2変形部材4010が広がるように変形していく。具体的には、第1回動部4012の第1湾曲面4012C及び第2回動部4013の湾曲面4073Cのそれぞれが、第2従動ギア4100の湾曲面4111に当接しながら内周面4110の周方向に沿ってガイドされつつ、第1回動部4012及び第2回動部4013が広がっていく。そして、第1回動部4012が広がりきると、第1回動部4012の第1平面4012Sが第2従動ギア4100の内周面4110の突起4115のいずれかに当接する。同様に、第2回動部4013が広がりきると、第2回動部4013の第2平面4013Sが突起4115の他のいずれかに当接する。このように、第1回動部4012が広がりきり、かつ、第2回動部4013が広がりきった開状態では、第2変形部材4010は第2従動ギア4100の内周面4110の突起4115に当接する形状に変形している。第2変形部材4010が開状態になった以降は、時計回りに回転する第2変形部材4010によって第2従動ギア4100が押されて、第2従動ギア4100が時計回り(すなわち、第1従動ギア3700の回転方向とは反対側)に回転する。その結果、第2従動ギア4100の時計回りの回転力が駆動ギア36に伝達することが許容されて駆動ギア36及び駆動軸32が反時計回りに回転し、遮蔽材20Aが開閉方向a側に移動するとともに遮蔽材20Bが開閉方向b側に移動する(図1参照)。このように本実施形態では、第1実施形態や第2実施形態と異なり、第2紐材34を引っ張ることで、遮蔽材20A,20Bを開くように移動させることができる。
【0113】
なお、この状態では、第1紐材33は引っ張られていないため、第1変形部材3070は閉状態のままであり、第1従動ギア3700は第1変形部材3070に干渉されずに回転する。したがって、第1紐材33が引っ張られていない状態では、第1従動ギア3700は、駆動ギア36の反時計回りの回転に伴い時計回りに空転しており、第1紐材33が引っ張られている際の第1従動ギア3700の回転方向(反時計回り)に対して逆回転している。
【0114】
そして、第2紐材34の引っ張りが解除されると、第1リール部70が逆回転(すなわち、時計回りに回転)し、これに同期して第2変形部材軸4010J及び第2変形部材4010が第1変形部材3070の回転方向とは反対側に逆回転(すなわち、反時計回りに回転)する。このような第2変形部材4010の逆回転による遠心力は、第1回動部4012及び第2回動部4013を基部4011に向かって引き寄せるように作用する。したがって、第1回動部4012が第1回動軸4018を軸として時計回りに回転するとともに、第2回動部4013が第2回動軸4019を軸として時計回りに回転する。その結果、第2変形部材4010が閉状態(すなわち、第2従動ギア4100の内周面4110に当接しない形状)に戻る。すなわち、これ以降は、第2変形部材4010によって第2従動ギア4100が回転することがない。よって、第2紐材34が引っ張られていない状態では、第2変形部材4010は、第2従動ギア4100が駆動ギア36よりも先に回転することを阻止しており、第2従動ギア4100の回転力が駆動ギア36に伝達することを阻止している。
【0115】
ところで、上記のように、第1紐材33が引っ張られていない状態では、第1変形部材3070が第1従動ギア3700に当接していないため、第1従動ギア3700は第1変形部材3070に干渉されずに回転する。また、上記のように、第2紐材34が引っ張られていない状態では、第2変形部材4010が第2従動ギア4100に当接してないため、第2従動ギア4100は第2変形部材4010に干渉されずに回転する。したがって、第1紐材33及び第2紐材34が引っ張られていない状態において、駆動ギア36が第1従動ギア3700及び第2従動ギア4100よりも先に回転した場合、第1従動ギア3700及び第2従動ギア4100は、空転して、駆動ギア36の回転を妨げない。すなわち、遮蔽材20が手引きされて駆動ギア36が先に回転した場合でも、駆動ギア36の回転が妨げられないため、遮蔽材20の手引き操作が可能である。
【0116】
このように、本実施形態に係る操作部3000Aでは、第1変形部材3070及び第2変形部材4010が、第1紐材33及び第2紐材34が引っ張られていない際は第1従動ギア3700及び第2従動ギア4100が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止し、第1紐材33が引っ張られた際は第2従動ギア4100が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止しつつ第1従動ギア3700が駆動ギア36に回転力を伝達することを許容し、かつ、第2紐材34が引っ張られた際は第1従動ギア3700が駆動ギア36に回転力を伝達することを阻止しつつ第2従動ギア4100が駆動ギア36に回転力を伝達することを許容する回転力伝達調整部91として機能している。
【0117】
このような本実施形態に係る操作部3000Aによっても、第1実施形態と同様の効果を享受することができる。
【0118】
なお、本実施形態において、第1紐材33が引っ張られた際に第1変形部材3070が当接し、かつ、第1紐材33の引っ張りが解除された際に第1変形部材3070が当接しない限りにおいて、第1従動ギア3700の内周面3710の突起の形状及び数は上記の例に限定されるものではなく、当該突起が1つ以上あればよい。また、第2紐材34が引っ張られた際に第2変形部材4010が当接し、かつ、第2紐材34の引っ張りが解除された際に第2変形部材4010が当接しない限りにおいて、第2従動ギア4100の内周面4110の突起の形状及び数は上記の例に限定されるものではなく、当該突起が1つ以上あればよい。
【0119】
また、本実施形態において、第1変形部材3070の構成は、第1紐材33が引っ張られた際に回転して、第1従動ギア3700の内周面3710に当接しない形状から当該内周面3710の突起に当接する形状に変形し、その結果、第1従動ギア3700を回転させ、第1紐材33の引っ張りが解除された際には逆回転して内周面3710に当接しない形状に変形する限りにおいて、上記の例に限定されるものではない。
【0120】
また、本実施形態において、第2変形部材4010の構成は、第2紐材34が引っ張られた際に回転して、第2従動ギア4100の内周面4110に当接しない形状から当該内周面4110の突起に当接する形状に変形し、その結果、第2従動ギア4100を回転させ、第2紐材34の引っ張りが解除された際には逆回転して内周面4110に当接しない形状に変形する限りにおいて、上記の例に限定されるものではない。
【0121】
以上、本発明について第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0122】
例えば、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態では、第1紐材33及び第2紐材34がいずれも非ループ状である例をした。しかし、第1紐材33及び第2紐材34の少なくとも一方において、ケース体30(又はケース体310)から垂れている部分がループ状であってもよい。しかし、上記のように、チャイルドセーフティーの観点からは、第1紐材33及び第2紐材34がいずれも非ループ状であることが好ましい。
【0123】
また、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態では、移送部10の開閉方向abにおける両端部に操作部が取り付けられている例を説明した。しかし、操作部の数は2つに限定されるものではない。例えば、開閉方向a側及び開閉方向b側の一方側のみに操作部を設けてもよい。また、操作部を設ける位置は、移送部10の開閉方向abにおける両端部に限定されるものではない。すなわち、開閉方向a側の操作部を移送部10の開閉方向a側の端部からずれた位置に設けてもよいし、開閉方向b側の操作部を移送部10の開閉方向b側の端部からずれた位置に設けてもよい。
【0124】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、第1紐材33を引っ張ることによって遮蔽材20A,20Bが開き、第2紐材34を引っ張ることによって遮蔽材20A,20Bが閉じる例を説明した。また、第3実施形態では、第1紐材33を引っ張ることによって遮蔽材20A,20Bが閉じ、第2紐材34を引っ張ることによって遮蔽材20A,20Bが開く例を説明した。しかし、第1実施形態及び第2実施形態において、第1紐材33を引っ張ることによって遮蔽材20A,20Bが閉じ、第2紐材34を引っ張ることによって遮蔽材20A,20Bが開くように構成してもよいし、第3実施形態において、第1紐材33を引っ張ることによって遮蔽材20A,20Bが開き、第2紐材34を引っ張ることによって遮蔽材20A,20Bが閉じるように構成してもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、2つの遮蔽材20A,20Bを設けて両開きにする例を説明したが、遮蔽材20A,20Bの一方のみを設けて片開きするようにしてもよい。
【0126】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の遮蔽装置を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0127】
1…遮蔽装置、10…移送部、20…遮蔽材、30A,30B,300A,3000A…操作部、33…第1紐材、34…第2紐材、36…駆動ギア、38…第1遊動ギア、38J…第1遊動ギア軸(自転軸)、41…第2遊動ギア、41J…第2遊動ギア軸(自転軸)、50…第1部材、60…第2部材、90…遊動ギア噛合調整部、91…回転力伝達調整部、301…付勢部材、3070…第1変形部材、3700H…貫通孔、3710,4110…内周面、3715,4115…突起、4010…第2変形部材、4100H…貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14