(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147581
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ヒーター、定着装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20231005BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G03G15/20 510
H05B3/00 335
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055159
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】北林 佑太
(72)【発明者】
【氏名】榮木 天
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼永 良平
(72)【発明者】
【氏名】藤井 駿策
(72)【発明者】
【氏名】川崎 広貴
(72)【発明者】
【氏名】菊川 里奈
(72)【発明者】
【氏名】董 テイ
【テーマコード(参考)】
2H033
3K058
【Fターム(参考)】
2H033AA03
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA27
2H033BB18
2H033BB22
2H033BB28
2H033BB33
2H033BE00
2H033BE03
3K058AA86
3K058BA18
3K058CA28
3K058CB09
3K058CB10
3K058CE24
3K058DA06
(57)【要約】
【課題】シートのサイズまたは搬送位置のばらつきなどに起因して定着部材の一部が不適切な温度になることを回避すること。
【解決手段】
オーバーコーティング部材620は、基材6x上に形成され複数の抵抗ブロック60を覆う。前記オーバーコーティング部材620は、前記基材6xにおける特定領域A2において前記特定領域A2以外の領域よりも大きな厚みで形成されている。前記特定領域A2は、2つの隣接ブロックの間の境界領域A1と2つの隣接抵抗体6aとに亘る領域である。前記2つの隣接ブロックは、前記複数の抵抗ブロック60のうち隣り合う2つである。前記2つの隣接抵抗体6aは、前記2つの隣接ブロックの前記複数の抵抗体6のうち前記境界領域A2に隣接する2つである。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
それぞれ主方向に第1の間隔を空けて並んで前記基材上に形成された複数の抵抗体を有する複数の抵抗ブロックと、
それぞれ前記複数の抵抗ブロックにおける前記主方向に交差する副方向の一端に接続され、前記複数の抵抗ブロック各々に個別に電力を供給可能な複数の給電電極と、
前記基材上に形成され前記複数の抵抗ブロックを覆うオーバーコーティング部材と、を備え、
前記複数の抵抗ブロックは、前記主方向において前記第1の間隔よりも大きな第2の間隔を空けて配列され、
前記オーバーコーティング部材は、前記基材における特定領域において前記特定領域以外の領域よりも大きな厚みで形成されており、
前記特定領域は、2つの隣接ブロックの間の境界領域と2つの隣接抵抗体とに亘る領域であり、
前記2つの隣接ブロックは、前記複数の抵抗ブロックのうち隣り合う2つであり、
前記2つの隣接抵抗体は、前記2つの隣接ブロックの前記複数の抵抗体のうち前記境界領域に隣接する2つである、ヒーター。
【請求項2】
電力が前記2つの隣接ブロックに供給された場合において、前記2つの隣接抵抗体各々の発熱量は、前記2つの隣接ブロックの前記複数の抵抗体のうちの前記境界領域に隣接しない複数の内部抵抗体各々の発熱量と同じである、請求項1に記載のヒーター。
【請求項3】
電力が前記2つの隣接ブロックに供給された場合において、前記2つの隣接抵抗体各々の発熱量は、前記2つの隣接ブロックの前記複数の抵抗体のうちの前記境界領域に隣接しない複数の内部抵抗体各々の発熱量よりも大きい、請求項1に記載のヒーター。
【請求項4】
シートの搬送路の定着位置において前記シート上のトナー像を加熱および加圧することにより前記トナー像を前記シートに定着させる定着装置であって、
前記定着位置においてシート搬送方向に交差する主方向に沿って配置された支持部材と、
前記支持部材によって回転可能に支持された筒状の定着部材と、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のヒーターと、を備え、
前記ヒーターは、前記主方向に沿う状態で前記支持部材によって支持され、前記定着部材を加熱する、定着装置。
【請求項5】
前記ヒーターの前記複数の抵抗ブロックは、前記シートの複数の規格サイズに応じた長さで形成されている、請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
シートにトナー像を転写する転写装置と、
請求項4または請求項5に記載の定着装置と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の抵抗体を有するヒーター、そのヒーターを備える定着装置およびその定着装置備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、シートに転写されたトナー像を加熱および加圧する定着装置を備える。また、前記定着装置が、ヒーターを内包する筒状の定着部材と、前記定着部材との間にシートが通過するニップを形成する加圧ローラーとを備える場合がある。
【0003】
前記ヒーターは、前記定着部材を加熱する。この場合、面状ヒーターが、前記定着装置に採用される。前記面状ヒーターは、主方向に並ぶ複数の抵抗体を有する。前記主方向は、前記シートの搬送方向に交差する方向である。
【0004】
また、前記定着装置において、前記面状ヒーターの前記複数の抵抗体が、前記主方向に並ぶ複数の抵抗ブロックに区分されている場合がある。前記複数の抵抗ブロックは、それぞれ前記主方向に並ぶ複数の抵抗体を有する。
【0005】
さらに前記面状ヒーターは、それぞれ前記複数の抵抗ブロックに個別に電力を供給可能な複数の給電電極を有する。
【0006】
一般に、前記複数の抵抗ブロックは、前記複数の抵抗ブロック各々における前記複数の抵抗体の間隔よりも大きな間隔で配列される。これにより、前記複数の抵抗ブロックの境界領域での電流のリークが防止される。
【0007】
一方、前記定着部材における前記境界領域に対応する部分おいて、加熱量が不足し、前記トナー像の定着に必要な温度が維持されないおそれがある。
【0008】
また、前記複数の抵抗ブロック各々において、前記境界領域に隣接する前記主方向の端の抵抗体が他の抵抗体よりも発熱量が大きいことが知られている(例えば、特許文献1参照)。これにより、前記定着部材における前記境界領域に対応する部分おいて、加熱量が不足することが回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記定着装置の前記面状ヒーターにおいて、前記複数の抵抗ブロックの各々の長さは、前記定着位置を通過する前記シートのサイズの複数の候補に応じて設定される。
【0011】
また、前記画像形成装置の制御部は、ブロック選択制御を実行する。前記制御部は、前記ブロック選択制御において、前記複数の抵抗ブロックの中から前記シートのサイズに応じて1つまたは複数の作動ブロックを選択する。さらに前記制御部は、選択された前記作動ブロックに電力が供給されるようにヒーター給電回路を制御する。
【0012】
しかしながら、前記シートのサイズまたは前記シートの搬送位置のばらつきなどに起因して、前記シートが、前記作動ブロックにおける前記主方向の端部を通過しない場合がある。前記作動ブロックの前記端部に位置する特定の抵抗体の発熱量が大きい場合、前記定着部材における前記作動ブロックの前記端部に対応する部分の温度が、許容温度を超えるおそれがある。
【0013】
本発明の目的は、シートのサイズまたは搬送位置のばらつきなどに起因して定着部材の一部が不適切な温度になることを回避できるヒーター、定着装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一の局面に係るヒーターは、基材と、複数の抵抗ブロックと、複数の給電電極と、オーバーコーティング部材と、を備える。前記複数の抵抗ブロックは、それぞれ主方向に第1の間隔を空けて並んで前記基材上に形成された複数の抵抗体を有する。前記複数の給電電極は、それぞれ前記複数の抵抗ブロックにおける前記主方向に交差する副方向の一端に接続され、前記複数の抵抗ブロック各々に個別に電力を供給可能である。前記オーバーコーティング部材は、前記基材上に形成され前記複数の抵抗ブロックを覆う。前記複数の抵抗ブロックは、前記主方向において前記第1の間隔よりも大きな第2の間隔を空けて配列されている。前記オーバーコーティング部材は、前記基材における特定領域において前記特定領域以外の領域よりも大きな厚みで形成されている。前記特定領域は、2つの隣接ブロックの間の境界領域と2つの隣接抵抗体とに亘る領域である。前記2つの隣接ブロックは、前記複数の抵抗ブロックのうち隣り合う2つである。前記2つの隣接抵抗体は、前記2つの隣接ブロックの前記複数の抵抗体のうち前記境界領域に隣接する2つである。
【0015】
本発明の他の局面に係る定着装置は、シートの搬送路の定着位置において前記シート上のトナー像を加熱および加圧することにより前記トナー像を前記シートに定着させる。前記定着装置は、支持部材と定着部材と前記ヒーターとを備える。前記支持部材は、前記定着位置においてシート搬送方向に交差する主方向に沿って配置されている。前記定着部材は、前記支持部材によって回転可能に支持された筒状の部材である。前記ヒーターは、前記主方向に沿う状態で前記支持部材によって支持され、前記定着部材を加熱する。
【0016】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、シートにトナー像を転写する転写装置と、前記定着装置と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シートのサイズまたは搬送位置のばらつきなどに起因して定着部材の一部が不適切な温度になることを回避できるヒーター、定着装置および画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るヒーターを備える画像形成装置の構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るヒーターを備える定着装置の構成図である。
【
図3】
図3は、画像形成装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るヒーターの構成図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るヒーターにおける隣接する2つの抵抗ブロックの構成図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るヒーターにおける隣接する2つの抵抗ブロックの断面図である。
【
図7】
図7は、定着温度分布の第1例を示すグラフである。
【
図8】
図8は、定着温度分布の第2例を示すグラフである。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るヒーターにおける隣接する2つの抵抗ブロックの断面図である。
【
図10】
図10は、定着温度分布の第3例を示すグラフである。
【
図11】
図11は、定着温度分布の第4例を示すグラフである。
【
図12】
図12は、参考例に係るヒーターにおける隣接する2つの抵抗ブロックの構成図である。
【
図13】
図13は、定着温度分布の参考例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
[第1実施形態]
第1実施形態に係るヒーター53は、画像形成装置10の定着装置5に含まれる(
図1参照)。
【0021】
[画像形成装置10の構成]
画像形成装置10は、シート9に画像を形成するプリント処理を行うプリント装置4を備える。
【0022】
プリント装置4は、電子写真方式で前記プリント処理を行う。シート9は、用紙またはシート状の樹脂部材などの画像形成媒体である。
【0023】
図1に示されるように、画像形成装置10は、本体部1内に設けられたシート搬送装置3、プリント装置4および制御装置8を備える。
【0024】
プリント装置4は、1つ以上の作像装置4x、光走査装置40、転写装置44および定着装置5を備える。作像装置4xは、ドラム状の感光体41、帯電装置42、現像装置43およびドラムクリーニング装置45などを含む。
【0025】
シート搬送装置3は、シート送出装置30および複数組の搬送ローラー対31を備える。シート送出装置30は、シート収容部2に収容されたシート9を本体部1内の搬送路300へ送り出す。搬送路300は、シート9が搬送される通路を成す。
【0026】
複数組の搬送ローラー対31は、不図示のモーターによって回転駆動される。複数組の搬送ローラー対31は、回転することによってシート9を搬送路300に沿って搬送し、さらにシート9を排出トレイ101へ排出する。
【0027】
シート9は、搬送路300における転写位置P1および定着位置P2を経由し、排出トレイ101へ排出される。
【0028】
以下の説明において、搬送路300に沿ってシート9が搬送される方向のことを搬送方向D01と称する。定着位置P2は、転写位置P1に対し搬送方向D01の下流側の位置である。
【0029】
また、搬送路300における搬送方向D01に交差する方向のことを主方向D1と称する。本実施形態において、主方向D1は搬送方向D01に直交する方向である。
【0030】
プリント装置4は、搬送路300に沿って搬送されるシート9にトナー像を形成する。前記トナー像は、トナーを現像剤とする現像剤像である。前記トナーは粒状の前記現像剤の一例である。
【0031】
図1に示される画像形成装置10は、タンデム式のカラー画像形成装置である。そのため、プリント装置4は、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの4色の前記トナーに対応した4つの作像装置4xを備える。
【0032】
作像装置4xにおいて、感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の表面を帯電させる。さらに、光走査装置40が、レーザー光の走査によって感光体41の表面に静電潜像を書き込む。
【0033】
さらに、現像装置43が、感光体41の表面に前記トナーを供給することにより、前記静電潜像を前記トナー像として現像する。感光体41は、前記トナー像を担持して回転する像担持体の一例である。
【0034】
転写装置44は、搬送路300の転写位置P1において前記トナー像をシート9に転写する。転写装置44は、中間転写ベルト441と、4つの作像装置4xに対応する4つの一次転写装置442と、二次転写装置443と、ベルトクリーニング装置444とを備える。
【0035】
転写装置44において、一次転写装置442は、感光体41の表面の前記トナー像を中間転写ベルト441の表面へ転写する。これにより、中間転写ベルト441の表面にカラーの前記トナー像が形成される。
【0036】
二次転写装置443は、搬送路300において、中間転写ベルト441に形成された前記トナー像をシート9に転写する。
【0037】
なお、画像形成装置10が、モノクロ画像形成装置である場合、二次転写装置443が、搬送路300において感光体41上の前記トナー像をシート9へ転写する。
【0038】
ドラムクリーニング装置45は、感光体41の表面に残存する廃トナーを除去する。ベルトクリーニング装置444は、中間転写ベルト441に残存する前記廃トナーを除去する。
【0039】
[定着装置5]
定着装置5は、搬送路300の定着位置P2においてシート9を搬送しつつシート9上の前記トナー像を加熱および加圧する。これにより、定着装置5は、前記トナー像をシート9に定着させる。
【0040】
図2に示されるように、定着装置5は、加圧ローラー50、定着部材51、支持部材52、ヒーター53、付勢機構54および温度センサー55を備える。加圧ローラー50、定着部材51、支持部材52およびヒーター53は、それぞれ定着位置P2において主方向D1に沿って配置されている。
【0041】
定着部材51は、可撓性の筒状部材である。換言すれば、定着部材51は、無端のベルト状の可撓筒体である。例えば、定着部材51は筒状のフィルム部材である。定着部材51は、支持部材52によって回転可能に支持されている。
【0042】
加圧ローラー50は、定着部材51に圧接することにより、定着部材51との間にニップNp1を形成する。加圧ローラー50は、定着位置P2を通過するシート9を定着部材51に付勢する。
【0043】
支持部材52は、定着部材51を回転可能に支持する。さらに支持部材52は、ヒーター53を支持する。支持部材52は、定着部材51を介して加圧ローラー50に対向する対向部52aを有する。対向部52aは、定着部材51の内側面に接する。
【0044】
ヒーター53は、対向部52aに組み込まれている。これにより、ヒーター53は、主方向D1に沿う状態で支持部材52によって支持されている。加圧ローラー50、定着部材51および支持部材52は、主方向D1に延びて形成されている。ヒーター53は、定着部材51の内側面に接している。
【0045】
付勢機構54は、押圧部材541およびバネ542を備える。バネ542は、押圧部材541を介して対向部52aを加圧ローラー50へ向けて弾性付勢する。即ち、付勢機構54は、支持部材52を介して定着部材51を加圧ローラー50へ弾性付勢する。
【0046】
加圧ローラー50は、不図示のモーターによって駆動されることにより回転する。加圧ローラー50は、定着部材51を従動回転させる。定着部材51が従動回転することにより、定着部材51の内側面がヒーター53および対向部52aに対して摺動する。定着部材51の内側面には、潤滑剤が塗布されている。
【0047】
ヒーター53は、定着部材51におけるニップNp1を形成する部分を加熱する。定着部材51は、支持部材52の周囲を回転しつつ、ヒーター53によって加熱される。
【0048】
温度センサー55は、ヒーター53の温度を計測する。例えば、温度センサー55はサーミスタである。
【0049】
温度センサー55の検出温度は、定着温度制御に用いられる。前記定着温度制御は、温度センサー55の検出温度と予め設定される目標温度との比較により、ヒーター53への供給電力を制御するフィードバック制御である。
【0050】
温度センサー55は、定着部材51におけるニップNp1を形成する部分の温度の代替指標となる温度を計測する。そのため、温度センサー55が、定着部材51の温度を計測する位置に配置されてもよい。
【0051】
[制御装置8]
制御装置8は、各種のデータ処理と、シート搬送装置3およびプリント装置4などの機器の制御とを実行する。制御装置8の制御対象は、定着装置5を含む。
【0052】
図3に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81および周辺機器を備える。前記周辺機器は、RAM(Random Access Memory)82、二次記憶装置83および信号インターフェイス84などを含む。
【0053】
さらに、制御装置8は、通信装置85およびヒーター給電回路86を備える。
【0054】
CPU81は、コンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。
【0055】
RAM82は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM82は、CPU81が実行する前記コンピュータープログラムおよびCPU81が各種の処理を実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0056】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、主制御部8a、ヒーター制御部8bおよびプリント制御部8cなどを含む。
【0057】
主制御部8aは、不図示の操作装置に対する操作に応じて各種の処理を開始させる開始制御などを実行する。
【0058】
ヒーター制御部8bは、前記定着温度制御によりヒーター53への給電量を制御する。ヒーター制御部8bは、ヒーター給電回路86を制御することにより、ヒーター53への給電量を調節する。
【0059】
ヒーター給電回路86は、ヒーター制御部8bからの給電指令に従った電力をヒーター53に供給する。
【0060】
プリント制御部8cは、シート搬送装置3を制御する。さらにプリント制御部8cは、シート搬送装置3によるシート9の搬送に同期して、プリント装置4に前記プリント処理を実行させる。
【0061】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置83として採用される。
【0062】
信号インターフェイス84は、温度センサー55などの各種のセンサーが出力する信号をデジタルデータへ変換し、そのデジタルデータをCPU81へ伝送する。さらに、信号インターフェイス84は、CPU81が出力する制御指令を制御信号へ変換し、その制御信号を制御対象の機器へ伝送する。
【0063】
通信装置85は、画像形成装置10にプリントジョブを送信するホスト装置などの他装置との通信を実行する。CPU81は、通信装置85を通じて前記他装置と通信する。
【0064】
本実施形態において、ヒーター53は、複数の抵抗体6を有する面状ヒーターである(
図4参照)。
【0065】
ヒーター53は、基材6xと、複数の抵抗ブロック60と、複数の給電電極600と、接地電極610とを備える(
図4参照)。
【0066】
基材6xは、非導電性のフィルムである。複数の抵抗ブロック60、複数の給電電極600および接地電極610は、基材6x上に形成されている。
【0067】
複数の抵抗ブロック60は、それぞれ主方向D1に間隔を空けて並ぶ複数の抵抗体6を有する。抵抗体6各々は、電力が供給されることによって発熱する発熱体である。
【0068】
以下の説明において、搬送方向D01に沿う方向のことを副方向D2と称する。副方向D2は、主方向D1に交差する方向である。主方向D1は、ヒーター53の長手方向である。副方向D2は、ヒーター53の短手方向である。
【0069】
複数の給電電極600は、それぞれ複数の抵抗ブロック60における副方向D2の一端に接続されている。即ち、給電電極600各々は、対応する抵抗ブロック60各々の複数の抵抗体6における副方向D2の第1端に接続されている。
【0070】
接地電極610は、複数の抵抗ブロック60における副方向D2の他端に接続されている。即ち、接地電極610は、ヒーター53の全ての抵抗体6における副方向D2の第2端に接続されている。
【0071】
複数の給電電極600は、複数の抵抗ブロック60に対応して形成されている。複数の給電電極600は、複数の抵抗ブロック60各々に個別に電力を供給可能である。
【0072】
抵抗ブロック60各々における複数の抵抗体6は、主方向D1において第1の間隔L1を空けて配置されている(
図5参照)。また、複数の抵抗ブロック60は、主方向D1において第2の間隔L2を空けて配列されている。第2の間隔L2は、第1の間隔L1よりも大きい。
【0073】
第1の間隔L1は、複数の抵抗体6の間の領域で電流がリークすることを防ぐために必要な間隔である。第2の間隔L2は、複数の抵抗ブロック60の間の境界領域A1で電流がリークすることを防ぐために必要な間隔である(
図5参照)。
【0074】
一方、定着部材51における前記境界領域に対応する部分おいて、加熱量が不足し、前記トナー像の定着に必要な温度が維持されないおそれがある。
【0075】
図12は、参考例に係るヒーター53xにおける隣接する2つの抵抗ブロック60の構成を示す。
【0076】
ヒーター53xの複数の抵抗ブロック60各々において、境界領域A1に隣接する主方向D1の端の抵抗体6pが他の抵抗体6qよりも発熱量が大きい(
図11参照)。ヒーター53xが採用されることにより、定着部材51における境界領域A1と接触する部分おいて、加熱量が不足することが回避される。
【0077】
ところで、定着装置5のヒーター53において、複数の抵抗ブロック60各々の主方向D1の長さは、定着位置P2を通過するシート9のサイズの複数の候補に応じて設定される。
【0078】
また、ヒーター制御部8bは、ブロック選択制御を実行する。ヒーター制御部8bは、前記ブロック選択制御において、複数の抵抗ブロック60の中からシート9のサイズに応じて1つまたは複数の作動ブロックを選択する。さらにヒーター制御部8bは、選択された前記作動ブロックに電力が供給されるようにヒーター給電回路86を制御する。
【0079】
例えば、ヒーター制御部8bは、前記プリント処理が実行されるときにシートサイズ情報を取得し、前記シートサイズ情報に応じて前記作動ブロックを選択する。例えば、前記シートサイズ情報は、シート9の規格サイズの情報と、シート9の向きの情報とを含む。
【0080】
しかしながら、シート9のサイズまたは搬送位置のばらつきなどに起因して、シート9が、前記作動ブロックにおける主方向D1の端部を通過しない場合がある(
図12参照)。前記作動ブロックの端部に位置する特定の抵抗体6pの発熱量が大きい場合、定着部材51における前記作動ブロックの端部に対応する部分の温度が、許容温度範囲TR1を超えるおそれがある(
図13参照)。
【0081】
図13は、定着温度T1の分布の参考例を示す。定着温度T1は、定着部材51の温度である。前記参考例は、定着部材51がヒーター53xによって加熱される場合の例である。
図13において、許容温度範囲TR1は、定着温度T1の許容範囲である。
【0082】
許容温度範囲TR1の下限温度は、前記トナー像の定着に必要な温度に基づいて設定される。許容温度範囲TR1の下限温度は、定着部材51に求められる耐久性に応じて設定される。
【0083】
前記参考例は、シート9の幅が本来の規格サイズよりも若干小さい場合の例である。この場合、前記作動ブロックの端部に位置する抵抗体6pの一部または全部が、シート9の通過範囲から外れる。
【0084】
前記参考例において、前記作動ブロックの端部は、定着部材51からシート9への放熱量が小さい領域である。そのため、端の抵抗体6pの発熱量が大きい場合、定着部材51における前記作動ブロックの端部に対応する部分の温度が、許容温度範囲TR1を超えるおそれがある(
図13参照)。
【0085】
一方、ヒーター53は、シート9のサイズまたは搬送位置のばらつきなどに起因して定着部材51の一部が不適切な温度になることを回避するための構成を備える。以下、その構成について説明する。
【0086】
ヒーター53において、抵抗ブロック60各々の主方向D1の長さは、定着位置P2を通過するシート9のサイズの複数の候補に応じて設定されている。
【0087】
例えば、ヒーター53は、1つの第1抵抗ブロック61と、一対の第2抵抗ブロック62と、一対の第3抵抗ブロック63とを含む(
図4参照)。一対の第2抵抗ブロック62は、第1抵抗ブロック61に対し主方向D1の両外側に配置されている。一対の第3抵抗ブロック63は、一対の第2抵抗ブロック62に対し主方向D1の両外側に配置されている。
【0088】
第1抵抗ブロック61は、第1シート9aにおける主方向D1のサイズに対応する長さで形成されている。
【0089】
一対の第2抵抗ブロック62と第1抵抗ブロック61とを併せた長さは、第2シート9bにおける主方向D1のサイズに対応する長さで形成されている。第2シート9bは、第1シート9aよりも主方向D1のサイズが大きい。
【0090】
一対の第3抵抗ブロック63と一対の第2抵抗ブロック62と第1抵抗ブロック61とを併せた長さは、第3シート9cにおける主方向D1のサイズに対応する長さで形成されている。第3シート9cは、第2シート9bよりも主方向D1のサイズが大きい。
【0091】
第1シート9a、第2シート9bおよび第3シート9cのサイズは、それぞれ予め定められた規格サイズの一例である。即ち、ヒーター53の複数の抵抗ブロック60は、シート9の複数の規格サイズに応じた長さで形成されている。第1シート9a、第2シート9bおよび第3シート9cに対応する規格サイズは、定着位置P2を通過するシート9のサイズの複数の候補の一例である。
【0092】
ヒーター制御部8bは、前記シートサイズ情報が示すサイズが第1シート9aのサイズ以下である場合に、第1抵抗ブロック61を前記作動ブロックとして選択する。
【0093】
また、ヒーター制御部8bは、前記シートサイズ情報が示すサイズが第2シート9bのサイズ以上、かつ、第3シート9cのサイズ未満である場合に、第1抵抗ブロック61および一対の第2抵抗ブロック62を前記作動ブロックとして選択する。
【0094】
また、ヒーター制御部8bは、前記シートサイズ情報が示すサイズが第2シート9bのサイズよりも大きい場合に、第1抵抗ブロック61、一対の第2抵抗ブロック62および一対の第3抵抗ブロック63を前記作動ブロックとして選択する。
【0095】
ヒーター制御部8bは、前記ブロック選択制御において、選択された1つまたは複数の前記作動ブロックに電力を供給する制御を実行する。
【0096】
ヒーター53において、複数の抵抗ブロック60各々は、1つまたは2つの隣接抵抗体6aと、隣接抵抗体6a以外の複数の内部抵抗体6bとを含む(
図5,6参照)。
【0097】
隣接抵抗体6a各々は、基材6xの境界領域A1に隣接する位置に形成されている。一方、複数の内部抵抗体6bは、境界領域A1に隣接しない位置に形成されている。隣接抵抗体6aおよび内部抵抗体6bは、前記2つの隣接ブロックの複数の抵抗体6のうちの一部である。
【0098】
本実施形態において、第1抵抗ブロック61は、主方向D1の両端に位置する2つの隣接抵抗体6aを含む。同様に、一対の第2抵抗ブロック62各々も、主方向D1の両端に位置する2つの隣接抵抗体6aを含む。また、一対の第3抵抗ブロック63各々は、主方向D1の一端に位置する1つの隣接抵抗体6aを含む。
【0099】
ヒーター53は、基材6x上に形成されたオーバーコーティング部材620をさらに備える(
図4,6参照)。オーバーコーティング部材620は、複数の抵抗ブロック60を覆う。
【0100】
オーバーコーティング部材620は、非導電性の部材であり、耐摩耗性の部材である。例えば、オーバーコーティング部材620の材料はガラスである。
【0101】
オーバーコーティング部材620は、基材6xにおける特定領域A2において特定領域A2以外の領域よりも大きな厚みで形成されている(
図6参照)。特定領域A2は、2つの隣接ブロックの間の境界領域A1と、境界領域A1の両側の2つの隣接抵抗体6aとに亘る領域である(
図6参照)。
【0102】
前記2つの隣接ブロックは、複数の抵抗ブロック60のうちの隣り合う2つである。
図6において、第1抵抗ブロック61および第2抵抗ブロック62が、前記2つの隣接ブロックの一例として示されている。
【0103】
1つの特定領域A2に対応する2つの隣接抵抗体6aは、前記2つの隣接ブロックの複数の抵抗体6のうちの境界領域A1に隣接する2つである。
【0104】
抵抗体6各々が発生する熱は、オーバーコーティング部材620内において抵抗体6各々から放射状に伝搬する。そのため、隣接抵抗体6a各々が発生する熱は、内部抵抗体6b各々が発生する熱よりも広範囲に伝搬した後、オーバーコーティング部材620から放射される。
【0105】
即ち、オーバーコーティング部材620は、特定領域A2において他の領域よりも温度が均一化されやすい。その結果、隣接抵抗体6a各々に対応する領域において定着部材51の温度の上昇が抑制される代わりに、境界領域A1において定着部材51の温度の低下が抑制される。
【0106】
電力がヒーター53の前記2つの隣接ブロックに供給された場合において、境界領域A1に隣接する2つの隣接抵抗体6a各々の発熱量は、複数の内部抵抗体6b各々の発熱量と同じである。即ち、抵抗ブロック60各々において、電力が供給されたときの複数の抵抗体6各々の発熱量は同じである。
【0107】
前記2つの隣接ブロックにおける隣接抵抗体6aおよび複数の内部抵抗体6bの構成は、本実施形態における主要構成である。
【0108】
本実施形態の前記主要構成は、ヒーター53における一対の第2抵抗ブロック62各々と一対の第3抵抗ブロック63各々とが隣接する領域においても採用される。
【0109】
図7,8は、ヒーター53を備える定着装置5における定着温度T1の分布の例を示す。定着温度T1は、定着部材51の温度である。
図7,8は、第1抵抗ブロック61の一部から一対の第2抵抗ブロック62の一方の一部に亘る領域での定着温度T1の分布を示す。
【0110】
図7,8において、グラフの横軸は定着部材51における主方向D1の位置を表し、グラフの縦軸は定着温度T1を表す。
【0111】
図7,8において、第1抵抗ブロック61と一対の第2抵抗ブロック62の一方とが、前記2つの隣接ブロックの一例である。
【0112】
図7は、定着温度T1の分布の第1例を示す。前記第1例は、第2シート9bまたは第3シート9cが定着位置P2を通過する場合の例である。前記第1例において、前記2つの隣接ブロックの両方が、前記作動ブロックである。
【0113】
図7は、隣接抵抗体6a各々に対応する領域において定着温度T1の上昇が抑制される代わりに、境界領域A1において定着温度T1の低下が抑制されることを示す。
【0114】
従って、前記第1例において、定着温度T1は、前記2つの隣接ブロックと、前記2つの隣接ブロックの間の境界領域A1とにおいて、許容温度範囲TR1内に収まる。
【0115】
図8は、定着温度T1の分布の第2例を示す。前記第2例は、比較的幅が狭い第1シート9aが定着位置P2を通過する場合の例である。
【0116】
前記第2例において、第1シート9aは、第1抵抗ブロック61における隣接抵抗体6a以外の部分に対応する領域を通過する。
【0117】
即ち、前記第2例において、第1シート9aは、第1抵抗ブロック61における隣接抵抗体6aに対応する領域を通過しない。このことは、規格サイズである第1シート9aのサイズのばらつきに起因する。
【0118】
前記第2例において、第1抵抗ブロック61は前記作動ブロックであり、第2抵抗ブロック62は電力を供給されていない。
【0119】
前記第2例の定着温度T1は、第1抵抗ブロック61における隣接抵抗体6a以外の部分に対応する領域において、概ね前記第1例の定着温度T1と同様の分布を示す。
【0120】
一方、前記第2例の定着温度T1は、第1抵抗ブロック61における隣接抵抗体6aに対応する領域において、他の領域の温度よりも若干高い。これは、第1抵抗ブロック61の隣接抵抗体6aに対応する領域において、定着部材51からシート9への放熱量が小さいからである。
【0121】
しかしながら、隣接抵抗体6aの発熱量は大きくないため、前記第2例の定着温度T1は、第1抵抗ブロック61に対応する領域において、許容温度範囲TR1内に収まる。
【0122】
ヒーター53が定着装置5に採用されることにより、シート9のサイズまたは搬送位置のばらつきなどに起因して定着部材51の一部が不適切な温度になることが回避される。
【0123】
[第2実施形態]
次に、
図9~11を参照しつつ、第2実施形態に係るヒーター53Aについて説明する。
【0124】
図9~11において、
図4~8に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。ヒーター53Aは、ヒーター53の代わりに定着装置5の一部を構成する。
【0125】
ヒーター53Aにおいて、オーバーコーティング部材620は、基材6xにおける特定領域A2において特定領域A2以外の領域よりも大きな厚みで形成されている(
図9参照)。この構成は、ヒーター53の構成と同じである。
【0126】
以下、ヒーター53Aにおけるヒーター53と異なる点について説明する。
【0127】
電力がヒーター53Aの前記2つの隣接ブロックに供給された場合において、境界領域A1に隣接する2つの隣接抵抗体6a各々の発熱量は、複数の内部抵抗体6b各々の発熱量よりも大きい。
【0128】
なお、
図9において、複数の抵抗体6の幅の大小関係は、複数の抵抗体6の発熱量の大小関係を表す。しかしながら、
図9において、複数の抵抗体6の幅の比は、複数の抵抗体6の発熱量の比とは無関係である。
【0129】
図10,11は、ヒーター53Aを備える定着装置5における定着温度T1の分布の例を示す。
図10,11は、第1抵抗ブロック61の一部から一対の第2抵抗ブロック62の一方の一部に亘る領域での定着温度T1の分布を示す。
【0130】
図10,11において、グラフの横軸は定着部材51における主方向D1の位置を表し、グラフの縦軸は定着温度T1を表す。
【0131】
図10,11において、第1抵抗ブロック61と一対の第2抵抗ブロック62の一方とが、前記2つの隣接ブロックの一例である。
【0132】
図10は、定着温度T1の分布の第3例を示す。前記第3例は、第2シート9bまたは第3シート9cが定着位置P2を通過する場合の例である。前記第3例において、前記2つの隣接ブロックの両方が、前記作動ブロックである。
【0133】
図10は、定着温度T1が、特定領域A2と特定領域A2以外の領域とで同等に維持されることを示す。これは、隣接抵抗体6aの発熱量が内部抵抗体6bの発熱量よりも大きいためである。
【0134】
従って、前記第3例において、定着温度T1は、前記2つの隣接ブロックと、前記2つの隣接ブロックの間の境界領域A1とにおいて、許容温度範囲TR1内に収まる。さらに、特定領域A2の定着温度T1と特定領域A2以外の領域の定着温度T1との差が小さい。
【0135】
図11は、定着温度T1の分布の第4例を示す。前記第4例は、比較的幅が狭い第1シート9aが定着位置P2を通過する例である。
【0136】
前記第4例において、第1シート9aは、第1抵抗ブロック61における隣接抵抗体6a以外の部分に対応する領域を通過する。
【0137】
即ち、前記第4例において、第1シート9aは、第1抵抗ブロック61における隣接抵抗体6aに対応する領域を通過しない。このことは、規格サイズである第1シート9aのサイズのばらつきに起因する。
【0138】
前記第4例において、第1抵抗ブロック61は前記作動ブロックであり、第2抵抗ブロック62は電力を供給されていない。
【0139】
前記第4例の定着温度T1は、第1抵抗ブロック61における特定領域A2以外の領域において、概ね前記第1例の定着温度T1と同様の分布を示す。
【0140】
一方、前記第4例の定着温度T1は、隣接抵抗体6aに対応する領域において複数の内部抵抗体6bに対応する領域よりも若干高い。これは、隣接抵抗体6aの発熱量が内部抵抗体6bの発熱量よりも大きいためである。
【0141】
しかしながら、オーバーコーティング部材620は、特定領域A2において大きな厚みで形成されている。そのため、隣接抵抗体6aが発生する熱は、特定領域A2全体に拡散しやすい。その結果、前記第4例の定着温度T1は、第1抵抗ブロック61に対応する領域全体において、許容温度範囲TR1内に収まる。
【0142】
ヒーター53Aが定着装置5に採用されることにより、ヒーター53が採用される場合と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0143】
5 :定着装置
6 :抵抗体
6a :隣接抵抗体
6b :内部抵抗体
6x :基材
10 :画像形成装置
50 :加圧ローラー
51 :定着部材
52 :支持部材
52a :対向部
53,53A,53x:ヒーター
54 :付勢機構
55 :温度センサー
60 :抵抗ブロック
61 :第1抵抗ブロック
62 :第2抵抗ブロック
63 :第3抵抗ブロック
600 :給電電極
610 :接地電極
620 :オーバーコーティング部材
A1 :境界領域
A2 :特定領域