(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147586
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】火災感知器、火災感知器着脱システム、及び、感知器本体の着脱方法
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055166
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 淳一
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA10
5G405AB01
5G405AB02
5G405AB05
5G405AD04
5G405AD09
5G405CA53
5G405CA55
5G405CA60
5G405FA07
5G405FA08
(57)【要約】
【課題】ベース部に対する感知器本体の着脱を容易にする。
【解決手段】火災感知器は、磁石を有し、被取付部に取り付けられるベース部と、ベース部の磁石を反発させる磁石を有し、ベース部に着脱自在に取り付けられる感知器本体と、を備え、感知器本体の磁石の位置によって、感知器本体とベース部との係合状態が維持され、あるいは、係合部分が稼働して、感知器本体とベース部との係合状態が解除されるものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石を有し、被取付部に取り付けられるベース部と、
前記ベース部の磁石を反発させる磁石を有し、前記ベース部に着脱自在に取り付けられる感知器本体と、
を備え、
前記感知器本体の磁石の位置によって、前記感知器本体と前記ベース部との係合状態が維持され、あるいは、係合部分が稼働して、前記感知器本体と前記ベース部との係合状態が解除される火災感知器。
【請求項2】
前記感知器本体は、
前記ベース部と係合する感知器側係合部と、
前記感知器本体の磁石であって、前記感知器本体内から出し入れされ、前記感知器本体から出た場合に前記ベース部の磁石に作用する感知器側磁石部と、
を有し、
前記ベース部は、
前記感知器側係合部と係合して前記感知器本体を支持するベース側係合部と、
前記ベース側係合部を前記感知器側係合部に付勢するバネ部と、
前記ベース部の磁石であって、前記感知器側磁石部に反発して前記ベース側係合部を動かすベース側磁石部と、
を有し、
前記バネ部の作用によって、前記ベース側係合部と前記感知器側係合部との係合状態が維持され、前記感知器側磁石部の作用によって、前記ベース側係合部と前記感知器側係合部との係合状態が解除される請求項1に記載の火災感知器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の火災感知器と、
前記感知器本体を前記ベース部に取り付ける際、又は、前記感知器本体を前記ベース部から取り外す際に、前記感知器本体の磁石に作用して、前記感知器本体の磁石の位置を移動させる磁石を有する着脱器と、
を備えた火災感知器着脱システム。
【請求項4】
前記ベース部及び前記感知器本体の少なくとも一方は、
前記感知器本体に関連付けられた標識を表示し、前記感知器本体の点検時あるいは交換時において、対象となる前記感知器本体の照合に利用される識別標識部を有し、
前記着脱器は、
前記感知器本体の照合の際に、前記識別標識部を読み取る情報読取部を有する請求項3に記載の火災感知器着脱システム。
【請求項5】
磁石を有し、被取付部に取り付けられるベース部と、前記ベース部の磁石を反発させる磁石とを有し、前記ベース部に着脱自在に取り付けられる感知器本体と、を備え、前記ベース部及び前記感知器本体の少なくとも一方は、前記感知器本体に関連付けられた標識を表示する識別標識部を有する火災感知器と、
前記感知器本体の磁石に作用して、前記感知器本体の磁石の位置を移動させる着脱器側磁石と、前記識別標識部を読み取る情報読取部と、を有する着脱器と、
を用いた前記感知器本体の着脱方法であって、
前記感知器本体を前記ベース部に取り付ける際、又は、前記感知器本体を前記ベース部から取り外す際に、前記情報読取部によって前記識別標識部から読み取った情報に基づき対象となる前記感知器本体の照合を行う感知器本体の着脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器、当該火災感知器の感知器本体の着脱に用いられる火災感知器着脱システム、及び、当該感知器本体の着脱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物の天井や壁等に取付けられる火災感知器がある。火災感知器は、天井面や壁面等の被取付部に取付けられるベース部と、該ベース部に取付けられる感知器本体とを有する。感知器本体は、取り付け時、点検時、あるいは、交換時等において、ベース部に取り付けられ、又は、ベース部から取り外される。ベース部に対する感知器本体の固定方式として、ベース部及び感知器本体の両者を周方向に相対して回動させることにより互いの係合部分を接離させてロック又はアンロックさせる所謂ツイストロック方式を備えた火災感知器が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高所の天井等の被取付部に設置されたベース部に対して感知器本体を着脱する場合、例えば作業者が先端に脱着治具を備えた長尺の棒を操作して行われる。また、近年、高所の作業の際に、所謂ドローンを用いて作業を行うことが考えられており、ベース部に対してドローンを用いて感知器本体の着脱を行うことが考えられる。特許文献1の火災感知器等のツイストロック方式の火災感知器の着脱を行う場合に、感知器本体をベース部に設置させたまま回転させる力(トルク)が必要となる。そのため、長尺の棒あるいはドローン等を用いて高所に設置された感知器本体の着脱を行う場合に、棒やドローンを操作して感知器本体に回転させる力を加えることが困難であり、感知器本体の着脱が困難である。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、ベース部に対する感知器本体の着脱を容易にする火災感知器、火災感知器着脱システム、及び、感知器本体の着脱方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る火災感知器は、磁石を有し、被取付部に取り付けられるベース部と、ベース部の磁石を反発させる磁石を有し、ベース部に着脱自在に取り付けられる感知器本体と、を備え、感知器本体の磁石の位置によって、感知器本体とベース部との係合状態が維持され、あるいは、係合部分が稼働して、感知器本体とベース部との係合状態が解除されるものである。
【0007】
本発明に係る火災感知器着脱システムは、上記構成の火災感知器と、感知器本体をベース部に取り付ける際、又は、感知器本体をベース部から取り外す際に、感知器本体の磁石に作用して、感知器本体の磁石の位置を移動させる磁石を有する着脱器と、を備えたものである。
【0008】
本発明に係る感知器本体の着脱方法は、磁石を有し、被取付部に取り付けられるベース部と、ベース部の磁石を反発させる磁石とを有し、ベース部に着脱自在に取り付けられる感知器本体と、を備え、ベース部及び感知器本体の少なくとも一方は、感知器本体に関連付けられた標識を表示する識別標識部を有する火災感知器と、感知器本体の磁石に作用して、感知器本体の磁石の位置を移動させる着脱器側磁石と、識別標識部を読み取る情報読取部と、を有する着脱器と、を用いた感知器本体の着脱方法であって、感知器本体をベース部に取り付ける際、又は、感知器本体をベース部から取り外す際に、情報読取部によって識別標識部から読み取った情報に基づき対象となる感知器本体の照合を行うものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、感知器本体の磁石の位置によって、感知器本体とベース部との係合状態が維持され、あるいは、係合部分が稼働して、感知器本体とベース部との係合状態が解除されるものである。そのため、火災感知器は、ベース部に対する感知器本体の着脱を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る火災感知器着脱システムの構成を示す模式図である。
【
図2】実施の形態に係る火災感知器着脱システムの側面側から見た内部構成を概念的に示す模式図である。
【
図3】実施の形態に係る火災感知器の上面側から見た内部構成を概念的に示す模式図である。
【
図4】実施の形態に係る火災感知器着脱システムにおいて着脱器を感知器本体に近づけた場合の内部構成を概念的に示す模式図である。
【
図5】実施の形態に係る火災感知器着脱システムにおける着脱器の着脱方法を示す概念図である。
【
図6】実施の形態に係る火災感知器着脱システムの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含むものである。また、図面に示す装置は、本発明の装置の一例を示すものであり、図面に示された装置によって本発明の装置が限定されるものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0012】
実施の形態.
[火災感知器着脱システム200の構成]
図1は、実施の形態に係る火災感知器着脱システム200の構成を示す模式図である。なお、
図1に示した矢印Zは上下方向を表しており、矢印Xは水平方向を表している。火災感知器着脱システム200は、火災感知器100と、火災感知器100における感知器本体20のベース部10に対しての着脱に用いられる着脱器30とを有する。図示された火災感知器100及び着脱器30の数は一例であり、数は図示のものに限定されない。
【0013】
[火災感知器100の構成]
火災感知器100は、火災が発生した場合に、火災を感知し、その情報を受信機に伝えることにより、建物内に火災の発生を報知する所謂「自動火災報知設備」の一部を構成している。火災感知器100は、例えば、煙感知器、熱感知器、炎感知器、又は、複合式感知器である。なお、火災感知器100は、スピーカ等を備え警報を発する警報機能付の感知器でもよく、火災を感知した感知器だけではなく複数の感知器の警報を鳴動させるシステムを構成する、連動型警報機能付の感知器でもよい。
【0014】
火災感知器100は、
図1に示すように、天井面等の被取付部50に固定されるベース部10と、ベース部10に取り付けられる感知器本体20とを備えている。
【0015】
火災感知器100は、交換時期を迎えた既設の火災感知器100に代えて設置する際に、既設のベース部10を再利用し、そのベース部10に感知器本体20を取り付けることにより設置することができる。
【0016】
図2~
図4を用いて、ベース部10及び感知器本体20について説明する。なお、
図3は、
図2のA-A線位置の断面を矢視方向に見た図である。
【0017】
[ベース部10の構成]
ベース部10は、ネジ止め等の固定手段により天井面等の被取付部50に取り付けられて被取付部50に固定される。ベース部10は、感知器本体20を被取付部50に設置するために用いられる。ベース部10は、底板10aとベース周壁部10bとを有する。
【0018】
底板10aは、ベース部10の底部を形成し、裏面側が被取付部50に着接される板状の部材である。底板10aは、例えば円盤状の部材である。なお、底板10aの形状は、円盤状に限定されるものではなく、例えば平面視で多角形に形成されている等、他の形状でもよい。
【0019】
ベース周壁部10bは、ベース部10の周壁を形成する。ベース周壁部10bは、底板10aの周縁より感知器本体20との係合面側である表面側に立ち上がるように設けられている。ベース周壁部10bは、例えば円筒状に形成されている。なお、ベース部10は、感知器本体20の形状との関係等からベース周壁部10bを有していなくてもよい。
【0020】
ベース部10は、後述する感知器側係合部21と係合して感知器本体20を支持するベース側係合部11と、ベース側係合部11を感知器側係合部21に付勢するバネ部14とを有する。また、ベース部10は、ベース部10に配置された磁石であって、後述する感知器側磁石部22に反発してベース側係合部11を動かすベース側磁石部12を有する。
【0021】
ベース側係合部11は、感知器側係合部21と係合する爪状の先端部11aを含む。ベース側係合部11は、例えば、箱状の部材であり内部にベース側磁石部12を収納する。なお、ベース側係合部11は、感知器側係合部21と係合する爪状の先端部11aを有し、ベース側磁石部12と一体に形成された構成であれば、箱状の部材に限定されるものではない。ベース側係合部11は、ベース側磁石部12と一体に設けられており、ベース側係合部11は、ベース側磁石部12と一体に移動する。
【0022】
ベース側係合部11は、
図2の矢印Eで示すように、バネ部14の付勢によって、感知器側係合部21に近づくように移動し、感知器側係合部21と当接する。ベース側係合部11は、バネ部14の圧縮反力によって感知器側係合部21側へ向けて押し付けられている。ベース側係合部11は、バネ部14の付勢によって、感知器側係合部21に押し付けられ、感知器側係合部21と係合して感知器本体20を支持する。
【0023】
ベース側係合部11は、
図4の矢印Gで示すように、後述する感知器側磁石部22に対するベース側磁石部12の反発によって、感知器側係合部21から遠ざかるように移動する。ベース側係合部11は、感知器側磁石部22に対するベース側磁石部12の反発によって、感知器側係合部21から離れ、感知器側係合部21との係合状態が解除される。
【0024】
バネ部14は、ベース側係合部11及びベース側磁石部12を感知器側係合部21に近づける方向に付勢する。バネ部14は、ベース側係合部11及びベース側磁石部12に対して感知器側係合部21の反対側に配置されている。バネ部14は、例えば圧縮コイルバネ等の圧縮バネであり、圧縮方向の荷重を受け止め、圧縮させて反力を利用する。
【0025】
バネ部14の一端は、ベース部10に固定されており、バネ部14の他端は、ベース側係合部11又はベース側磁石部12に固定されている。本実施の形態の場合、バネ部14は、
図3に示すように、ベース部10の周方向に沿って伸縮するように配置されている。火災感知器100は、ベース部10の中央部を中心とした周方向において、ベース側係合部11と感知器側係合部21とが係合する。
【0026】
なお、ベース側係合部11と感知器側係合部21との係合方向は、周方向に限定されるものではない。例えば、バネ部14は、ベース部10の径方向に沿って伸縮するように配置されてもよい。この場合、火災感知器100は、ベース部10の中央部を中心とした径方向において、ベース側係合部11と感知器側係合部21とが係合する。
【0027】
ベース側磁石部12は、例えば永久磁石である。ベース側磁石部12は、ベース側係合部11と一体に形成されており、感知器側磁石部22に反発してベース側係合部11を感知器側磁石部22及び感知器側係合部21から離れる方向に動かす。
【0028】
図2及び
図3では、ベース側磁石部12は、感知器側磁石部22及び感知器側係合部21側にN極、バネ部14側にS極が配置されるように設けられているが磁極の配置は当該配置に限定されるものではない。ベース側磁石部12は、感知器側磁石部22に反発するように、感知器側磁石部22と対向する側の磁極が、感知器側磁石部22と同じ磁極になるように配置されていればよい。
【0029】
ベース部10は、ベース側ガイド部13を有している。ベース側ガイド部13は、ベース側係合部11をガイドし、ベース側係合部11の移動方向を規制する。ベース側係合部11は、ベース側ガイド部13にガイドされ、バネ部14による付勢及び感知器側磁石部22の作用によって、水平方向に移動する。なお、水平方向とは、厳密な水平方向だけではなく、水平方向に対して多少傾斜した方向であってもよい。ベース側ガイド部13は、例えば筒状の部材で形成されている。
【0030】
図2及び
図3に示す本実施の形態では、ベース側ガイド部13は、有底筒状に形成されており、内部に、バネ部14と、ベース側磁石部12と、ベース側係合部11とを収納する。バネ部14の一端は、ベース側ガイド部13の壁部を介してベース部10に固定されており、バネ部14の他端は、ベース側係合部11に固定されている。
【0031】
なお、ベース側ガイド部13は、ベース側係合部11をガイドできる形状であれば筒状の部材に限定されない。例えば、ベース側ガイド部13は、ベース側係合部11をガイドできる形状であれば、ベース部10の底板10aから立ち上がるように設けられた複数の棒材あるいは複数の板材等で構成されてもよい。
【0032】
ベース側ガイド部13は、例えばリブ(図示は省略)等の部材を用いて、ベース部10の底板10aあるいはベース周壁部10b等に固定されている。
図2及び
図4では、ベース側ガイド部13とベース部10との固定態様の図示は省略しているが、ベース側ガイド部13は、ベース部10に固定されている。
【0033】
ベース部10は、ベース側係合部11がベース側ガイド部13から突出しすぎないようにするための突起等の位置決め部材(図示は省略)を有している。このような位置決め部材は、感知器側係合部21をベース側係合部11に係合させる際のベース側係合部11の位置を規定する。
【0034】
[感知器本体20の構成]
感知器本体20には、火災発生を感知するための機能部分、例えば、煙、熱、あるいは、炎等を感知するためのセンサ類(図示は省略)が設けられている。感知器本体20は、ベース部10に着脱自在に取り付けられる。感知器本体20は、感知器側係合部21と、ベース側係合部11とが係合することにより、ベース部10に取り付けられる。感知器本体20は、本実施の形態の場合、底壁部20aと本体周壁部20bとを有する。
【0035】
底壁部20aは、感知器本体20の底部を形成し、裏面側がベース部10の底板10aと対向する板状の部材である。底壁部20aは、例えば円盤状の部材である。なお、底壁部20aの形状は、円盤状に限定されるものではなく、例えば平面視で多角形に形成されている等、他の形状でもよい。火災感知器100は、感知器本体20がベース部10に取り付けられた状態において、感知器本体20の底壁部20aと、ベース部10の底板10aとの間に空間が形成されている。
【0036】
本体周壁部20bは、感知器本体20の周壁を形成する。本体周壁部20bは、底壁部20aの周縁よりベース部10との係合面側である裏面側に立ち上がるように設けられている。本体周壁部20bは、例えば円筒状に形成されている。
【0037】
なお、感知器本体20は、底壁部20aと本体周壁部20bとが明確に区別されるように形成されていなくてもよく、底壁部20aと本体周壁部20bとが保護カバーとして一体に形成され、全体として箱状に形成されてもよい。この場合、例えば、底壁部20aと本体周壁部20bとにより形成された保護カバーが、碗状に形成されてもよく、あるいは、垂直断面において下に窄まる三角状に形成されてもよい。
【0038】
感知器本体20は、ベース部10と係合する感知器側係合部21と、感知器本体20に配置された磁石であって、感知器本体20内から上下方向に出し入れされ、感知器本体20から出た場合にベース部10のベース側磁石部12に作用する感知器側磁石部22と、を有する。
【0039】
感知器側係合部21は、ベース側係合部11と係合する爪となる。感知器側係合部21は、底壁部20a又は本体周壁部20bに固定されている。感知器側係合部21は、感知器本体20がベース部10に取り付けられた状態において、水平方向でベース側係合部11と対向する位置に設けられている。感知器側係合部21は、例えば後述する感知器側ガイド部23と一体に形成されてもよい。
【0040】
感知器側係合部21は、
図2の矢印Eで示すように、バネ部14の付勢によって、感知器側係合部21に近づくように移動したベース側係合部11と当接する。感知器側係合部21は、バネ部14の付勢によって、感知器側係合部21に押し付けられたベース側係合部11と係合する。感知器側係合部21と、ベース側係合部11とが係合することによって感知器本体20は、ベース部10に支持される。
【0041】
感知器側磁石部22は、例えば永久磁石である。感知器側磁石部22は、ベース部10のベース側磁石部12を反発させる。感知器側磁石部22は、ベース側係合部11と一体に形成されたベース側磁石部12を反発させてベース側係合部11を感知器側磁石部22及び感知器側係合部21から離れる方向に動かす。
【0042】
図2及び
図3では、感知器側磁石部22は、ベース側磁石部12及びベース側係合部11側にN極、ベース側磁石部12及びベース側係合部11とは反対側にS極が配置されるように設けられているが磁極の配置は当該配置に限定されるものではない。感知器側磁石部22は、ベース側磁石部12が反発するように、ベース側磁石部12と対向する側の磁極が、ベース側磁石部12と同じ磁極であるように配置されていればよい。
【0043】
感知器本体20は、感知器側ガイド部23を有している。感知器側ガイド部23は、感知器側磁石部22の移動をガイドし、感知器側磁石部22の移動方向を規制する。感知器側磁石部22は、感知器側ガイド部23にガイドされ、後述する着脱器30の着脱器側磁石部31の作用によって、上下方向に移動する。感知器側ガイド部23は、例えば筒状の部材で形成されている。
【0044】
図2及び
図3に示す実施の形態では、感知器側ガイド部23は、筒状に形成されており、内部に感知器側磁石部22を収納する。感知器側ガイド部23は、感知器側磁石部22をガイドできる形状であれば筒状の部材に限定されない。例えば、感知器側ガイド部23は、感知器側磁石部22をガイドできる形状であれば、感知器本体20の底壁部20aから立ち上がるように設けられた複数の棒材あるいは複数の板材等で構成されてもよい。
【0045】
感知器側ガイド部23は、例えばリブ(図示は省略)等の部材を用いて、感知器本体20の底壁部20aあるいは本体周壁部20b等に固定されている。
図2~
図4では、感知器側ガイド部23と感知器本体20との固定態様の図示は省略しているが、感知器側ガイド部23は、感知器本体20に固定されている。
【0046】
感知器本体20は、感知器側磁石部22が感知器側ガイド部23から外れないようにするための位置決め部材23aを有している。位置決め部材23aは、感知器側係合部21とベース側係合部11との係合状態を解除する際の感知器側磁石部22の位置を規定する。位置決め部材23aは、着脱器側磁石部31によって反発して上方に向かう感知器側磁石部22の移動を特定の位置で止めるために設けられた部材である。
【0047】
位置決め部材23aは、例えば感知器側ガイド部23の一部に設けられており、感知器側ガイド部23において底壁部20aとは反対側の端部付近に設けられている。位置決め部材23aは、例えば、板状あるいは突起状に形成されてもよく、感知器側磁石部22の移動を規制できれば、その形状は限定されるものではない。
【0048】
火災感知器100は、感知器本体20の感知器側磁石部22の位置によって、感知器本体20とベース部10との係合状態が維持される。火災感知器100は、感知器本体20の感知器側磁石部22が下方に配置された状態、換言すれば、感知器側磁石部22が底壁部20aに載置された状態では、感知器側磁石部22の磁力がベース側磁石部12に影響を与えない。
【0049】
そのため、火災感知器100は、
図2に示すように感知器本体20の感知器側磁石部22が下方に配置された状態では、ベース部10のバネ部14の作用によってベース側係合部11が付勢され、ベース側係合部11と感知器側係合部21との係合状態が維持される。
【0050】
火災感知器100は、感知器本体20の感知器側磁石部22の位置によって、係合部分が稼働して、感知器本体20とベース部10との係合状態が解除される。ここでいう係合部分とは、ベース側係合部11である。係合部分の稼働とは、後述するベース側係合部11が移動することである。火災感知器100は、感知器本体20の感知器側磁石部22が上方に配置された状態、換言すれば、感知器側磁石部22が底壁部20aから浮き上がり、底壁部20aの上方に配置された状態では、感知器側磁石部22の磁力がベース側磁石部12に影響を与える。
【0051】
火災感知器100は、感知器本体20の感知器側磁石部22が上方に配置された状態では、感知器側磁石部22の作用によって、ベース側磁石部12が反発し、ベース側磁石部12と共にベース側係合部11が移動する。そのため、火災感知器100は、
図4に示すように感知器本体20の感知器側磁石部22が上方に配置された状態では、感知器側磁石部22の作用によって、ベース側係合部11と感知器側係合部21との係合状態が解除される。
【0052】
ここで、ベース側係合部11と感知器側係合部21との係合部分を、係合部110と称する。火災感知器100は、
図3に示すように、係合部110を4箇所有している。なお、係合部110の数は、4箇所に限定されるものではない。係合部110の数は、5箇所以上でもよく、感知器本体20がベース部10に支持され得るのであれば、3箇所以下でもよい。
【0053】
[着脱器30の構成]
火災感知器着脱システム200は、感知器本体20をベース部10に取り付ける際、又は、感知器本体20をベース部10から取り外す際に用いられる着脱器30を有する。
【0054】
着脱器30は、感知器本体20をベース部10に取り付ける際、又は、感知器本体20をベース部10から取り外す際に、感知器本体20の感知器側磁石部22に作用して、感知器本体20の感知器側磁石部22の位置を移動させる着脱器側磁石部31を有する。つまり、着脱器30の着脱器側磁石部31は、感知器本体20の感知器側磁石部22との距離に応じて、感知器側磁石部22を上下に移動させる。
【0055】
着脱器30は、箱状に形成されており内部に着脱器側磁石部31を収納する。着脱器30は、1つでもよく、複数でもよい。着脱器30が1つの場合は、例えば着脱器30は平面視で円環状の箱体に形成され、内部に感知器側磁石部22の数に対応する数の着脱器側磁石部31が配置されている。着脱器30が複数の場合は、例えば着脱器30は直方体状あるいは平面視で円弧状の箱体に形成され、内部に着脱器側磁石部31を1つ収納し、感知器側磁石部22の数に対応する数の着脱器30が設けられる。
【0056】
着脱器30の形状は限定されるものではないが、少なくとも、感知器本体20の着脱時に感知器本体20が取り付けられる天面部30aを有する。天面部30aは、感知器本体20をベース部10に取り付ける際、又は、感知器本体20をベース部10から取り外す際に、感知器本体20と当接し、感知器本体20が載置される。着脱器30は、天面部30aに生じる着脱器側磁石部31の磁界を利用して感知器側磁石部22を上下方向に移動させる。
【0057】
着脱器側磁石部31は、永久磁石あるいは電磁石である。着脱器側磁石部31が電磁石の場合、電源は着脱器30の内部にあってもよく外部にあってもよい。着脱器側磁石部31は、感知器本体20の内部に配置された感知器側磁石部22を上下方向に動かすために用いられる。着脱器側磁石部31は、着脱器30を感知器本体20に当接させた状態で、感知器本体20の周方向において着脱器側磁石部31と感知器側磁石部22とが同じ位置になるように配置されている。すなわち、着脱器側磁石部31は、着脱器30を感知器本体20に当接させた状態で、平面視で着脱器側磁石部31と感知器側磁石部22とが重なる位置に配置されており、着脱器側磁石部31が感知器側磁石部22の下方に位置するように配置されている。
【0058】
図4に示すように、着脱器30の天面部30aに着脱器側磁石部31の磁界を発生させた状態で着脱器30を感知器本体20に当接させると、感知器側磁石部22が着脱器側磁石部31に反発して底壁部20aから浮き上がり、上方へ移動する。底壁部20aの上方へ移動した感知器側磁石部22は、ベース側磁石部12に作用し、ベース側磁石部12を反発させる。
【0059】
着脱器側磁石部31は、感知器本体20の径方向において、ベース側磁石部12の配置側にN極、ベース側磁石部12が配置されていない側にS極が配置されるように設けられているが磁極の配置は当該配置に限定されるものではない。着脱器側磁石部31は、感知器側磁石部22が反発するように、上下方向において、感知器側磁石部22と対向する側の磁極が感知器側磁石部22と同じ磁極であるように配置されていればよい。
【0060】
図2に示すように、感知器側磁石部22に着脱器30の着脱器側磁石部31の磁界を作用させないと、感知器側磁石部22は感知器本体20内部の下方に位置して底壁部20aに載置される。感知器本体20内部の下方に位置し、底壁部20aに載置された感知器側磁石部22は、ベース側磁石部12に作用せず、ベース側磁石部12はバネ部14の付勢によって、感知器側係合部21の配置側に移動する。
【0061】
天面部30aに生じる着脱器側磁石部31の磁界は、例えば、着脱器30の内部において着脱器側磁石部31を上下させることでその磁界の強さを調節する。着脱器側磁石部31を上下させる方法としては、着脱器30内に着脱器側磁石部31を上下させる機構を設け、作業者がこの機構を操作して着脱器側磁石部31を上下させる。
【0062】
着脱器側磁石部31を上下させる機構は、既知の方法を利用すればよく、実施例に記載したものに限定されるものではない。例えば、着脱器側磁石部31にバネを取り付け、下方に引き寄せておいて着脱器側磁石部31を留め具によって下方に引き留め、作業者が留め具を外すことで着脱器側磁石部31を上方に移動させる。あるいは、着脱器30に梃子のような機構が設けられており、作業者が当該機構を操作することで着脱器側磁石部31を上下させてもよい。あるいは、着脱器側磁石部31に棒状の部材が取り付けられており、作業者が棒状の部材を上下することで着脱器側磁石部31を上下させてもよい。なお、上述した作業者の操作は、遠隔操作等によって機械により行われてもよく、制御装置による予め定められた制御により行われてもよい。
【0063】
着脱器側磁石部31を着脱器30の内部の上方に移動させ、天面部30aに近づければ感知器側磁石部22に作用する着脱器側磁石部31の磁界が強くなる。この場合、感知器側磁石部22は、着脱器側磁石部31の重力よりも磁力の反発力の影響を受け、上方に移動し、感知器本体20から出た状態になる。
【0064】
感知器側磁石部22が感知器本体20から出た状態とは、例えば、上下方向において、感知器側磁石部22が、本体周壁部20bの上端部の位置、あるいは、本体周壁部20bの上端部よりも上方の位置に配置された状態をいう。ただし、感知器側磁石部22が感知器本体20から出た状態とは、当該状態に限定されるものではなく、感知器側磁石部22が水平方向においてベース側磁石部12と対向する位置に配置された状態としてもよい。また、感知器側磁石部22が底壁部20aから浮き上がり、底壁部20aの上方に位置した状態を、感知器側磁石部22が感知器本体20から出た状態としてもよい。
【0065】
また、着脱器側磁石部31を着脱器30の内部の下方に移動させ、天面部30aから遠ざければ感知器側磁石部22に作用する着脱器側磁石部31の磁界が弱くなる。この場合、感知器側磁石部22は、着脱器側磁石部31の反発力よりも重力の影響を受けて下方に移動し、感知器本体20に入った状態になる。
【0066】
感知器側磁石部22が感知器本体20に入った状態とは、例えば、上下方向において、感知器側磁石部22が、本体周壁部20bの上端部の位置よりも下方の位置に配置された状態をいう。ただし、感知器側磁石部22が感知器本体20に入った状態とは、当該状態に限定されるものではなく、感知器側磁石部22が水平方向においてベース側磁石部12と対向する位置によりも下方に配置された状態としてもよい。また、感知器側磁石部22が底壁部20aに載置された状態を、感知器側磁石部22が感知器本体20に入った状態としてもよい。
【0067】
感知器側磁石部22を上下させる方法として、着脱器側磁石部31を上下させる方法について説明したが、感知器側磁石部22を上下する方法は、着脱器側磁石部31自体を上下させる方法に限定されるものではない。例えば、火災感知器着脱システム200は、着脱器側磁石部31を電磁石で構成し、着脱器側磁石部31に通電し、又は、着脱器側磁石部31に流れる電流を止めることにより感知器側磁石部22を上下させてもよい。着脱器30は、着脱器側磁石部31に通電することで感知器側磁石部22を反発させて、感知器側磁石部22を上方に移動させ、着脱器側磁石部31に流れる電流を止めることで感知器側磁石部22を反発させる磁界を消し、感知器側磁石部22を下方に移動させる。
【0068】
また、着脱器30は、感知器側磁石部22を上下させる方法として、着脱器側磁石部31の磁極を変更することで、感知器側磁石部22を上下させてもよい。例えば、着脱器30は、着脱器側磁石部31を電磁石で構成し、電流の向きを変えることで磁極を入れ替えてもよい。あるいは、着脱器側磁石部31を永久磁石で構成し、着脱器30には着脱器側磁石部31を回転させる機構が設けられてもよい。この場合、作業者が着脱器側磁石部31を回転させることで磁極の位置を変更できる。
【0069】
[感知器本体20の着脱方法]
図5は、実施の形態に係る火災感知器着脱システム200における着脱器30の着脱方法を示す概念図である。
図5を用いて感知器本体20の取り外し時と、感知器本体20の取り付け時の手順について説明する。なお、感知器側磁石部22、ベース側磁石部12、ベース側係合部11、着脱器側磁石部31の動きを中心に説明するため、ガイド部材等の図示を省略する。まず、A1~A4を用いて感知器本体20の取り外し時の手順について説明する。
【0070】
A1は火災感知器100の使用時(平常時)の状態を示しており、ベース部10に感知器本体20が取り付けられている。感知器側磁石部22は、感知器本体20内部の下方に位置しベース側磁石部12に作用せず、ベース側係合部11は、バネ部14の付勢によって、感知器側係合部21に押し付けられ、感知器側係合部21と係合して感知器本体20を支持する。
【0071】
A2は、感知器本体20に着脱器30を取り付け、着脱器30内の着脱器側磁石部31を上方に配置して天面部30aに近づけた状態である。天面部30aに着脱器側磁石部31の磁界を発生させた状態で着脱器30を感知器本体20に当接させると、感知器側磁石部22が着脱器側磁石部31に反発して底壁部20aから浮き上がり、上方へ移動して感知器本体20から出た状態になる。
【0072】
底壁部20aの上方へ移動した感知器側磁石部22は、ベース側磁石部12に作用し、ベース側磁石部12を反発させる。ベース側係合部11は、感知器側磁石部22に対するベース側磁石部12の反発によって、感知器側係合部21から離れ、感知器側係合部21との係合状態が解除される。
【0073】
A3及びA4は感知器本体20をベース部10から取り外した状態である。A3に示すように、感知器側係合部21とベース側係合部11との係合状態が解除された状態で、着脱器30を下方に移動する。ベース部10との係合状態が解除された感知器本体20は、着脱器30に載置され着脱器30と共に下方に移動してベース部10から取り外される。
【0074】
A4に示すように感知器本体20がベース部10から取り外された状態で、着脱器30内の着脱器側磁石部31の位置を下方に移動させると、感知器側磁石部22は、感知器本体20で下方に移動し、感知器本体20に入った状態になる。感知器側磁石部22が、底壁部20aに載置されると感知器本体20のバランスが安定し、着脱器30によって感知器本体20を移動させやすくなる。
【0075】
次に、B1~B4を用いて感知器本体20の取り付け時の手順について説明する。感知器本体20のベース部10への取り付けは、ベース部10から感知器本体20を取り外す手順と逆の手順で行う。B1に示すように、作業者は、着脱器30の上に感知器本体20を乗せた状態で、感知器本体20をベース部10に近づける。
【0076】
B2に示すように、作業者は、感知器本体20をベース部10に取り付ける際に、着脱器30内の着脱器側磁石部31を上方に配置して天面部30aに近づける。着脱器側磁石部31の磁界は、感知器側磁石部22を反発させ、感知器側磁石部22を底壁部20aから浮き上がらせ、上方へ移動させる。
【0077】
B3に示すように、底壁部20aの上方へ移動した感知器側磁石部22は、ベース側磁石部12に作用し、ベース側磁石部12を反発させる。ベース側係合部11は、感知器側磁石部22に対する一体に形成されたベース側磁石部12の反発によって、感知器側係合部21から離れた状態になる。この状態で、作業者は、感知器本体20をベース部10に取り付ける。ベース側係合部11は、ベース側磁石部12の反発によって、感知器側係合部21から離れた状態になるため、ベース側係合部11は、感知器側係合部21の移動の妨げになりにくい。
【0078】
B3の状態において、作業者は、着脱器30内の着脱器側磁石部31を下方に移動させる。着脱器30内の着脱器側磁石部31の位置を下方に移動させると、感知器側磁石部22は、感知器本体20で下方に移動し、感知器本体20に入った状態になる。この状態で、着脱器30は、感知器本体20から取り外される。
【0079】
B4に示すように、感知器側磁石部22は、感知器本体20の底壁部20aに載置され、ベース側磁石部12に作用しない。ベース側係合部11は、バネ部14の付勢によって、感知器側係合部21に押し付けられ、感知器側係合部21と係合して感知器本体20を支持し、感知器本体20は、ベース部10に固定される。
【0080】
図6は、実施の形態に係る火災感知器着脱システム200の一例を示す概念図である。
図6を用いて火災感知器着脱システム200の一例について説明する。
図6に示すように、ベース部10及び感知器本体20の少なくとも一方は、感知器本体20に関連付けられた標識を表示し、感知器本体20の点検時あるいは交換時において、対象となる感知器本体20の照合に利用される識別標識部40を有する。
【0081】
識別標識部40は、例えば、ICタグ及びRFタグ等のRFID(Radio Frequency Identification)タグ、QRコード(登録商標)等の二次元コードを含むバーコード等の情報伝達手段である。識別標識部40には、感知器本体20の製造番号等、感知器本体20と関連づけられた番号、あるいは、感知器本体20の製造年月日等、感知器本体20と関連付けられた情報が書き込まれている。また、識別標識部40には、位置情報が書き込まれている。
【0082】
識別標識部40の内、ベース部10に取り付けられている識別標識部40をベース側識別標識部41と称し、感知器本体20に取り付けられている識別標識部40を感知器側識別標識部42と称する。
【0083】
着脱器30は、感知器本体20の照合の際に、識別標識部40を読み取る情報読取部32を有する。情報読取部32は、タグ情報あるいはバーコード等の情報を読み取る装置であり、カメラであってもよい。
【0084】
火災感知器着脱システム200は、識別標識部40と情報読取部32とを有する。感知器本体20の着脱方法では、感知器本体20をベース部10に取り付ける際、又は、感知器本体20をベース部10から取り外す際に、情報読取部32によって識別標識部40から読み取った情報に基づき対象となる感知器本体20の照合を行う。情報読取部32によって読み取られた識別標識部40の情報は、制御部33に送られ制御部33で感知器本体20の照合が行われる。なお、感知器本体20の照合は、自動で行われてもよく、作業者の指示によって行われてもよい。
【0085】
制御部33は、専用の制御回路、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)若しくはこれらの組み合わせにより構成される。制御部33がCPUである場合、制御部33が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。制御部33に設けられているメモリには、感知器本体20の照合に用いられる情報読取部32の情報と対応づけられたテーブル及び情報等が保存されている。
【0086】
感知器本体20の照合とは、既に設置されている複数の火災感知器100の中から点検又は交換等で特定の感知器本体20を取り外す場合、取り外し作業の対象としている感知器本体20が取り外し対象である目的の感知器本体20であるか照合することをいう。すなわち、感知器本体20の取り外し時において、感知器本体20の照合とは、作業者が間違った感知器本体20を取り外していないか確認することをいう。感知器本体20を取り外す際には、情報読取部32は、ベース側識別標識部41及び感知器側識別標識部42のどちらか一方又は両方の情報を読み取る。
【0087】
また、感知器本体20の照合とは、複数のベース部10の内、特定のベース部10に特定の感知器本体20を取り付ける場合に、取り付けるべき目的のベース部10に対して目的の感知器本体20の取り付け作業を行っているか照合することをいう。すなわち、感知器本体20の取り付け時において、感知器本体20の照合とは、作業者が間違ったベース部10に感知器本体20を取り付けていないか確認することをいう。感知器本体20を取り付ける際には、情報読取部32は、ベース側識別標識部41及び感知器側識別標識部42の両方の情報を読み取る。
【0088】
図6に示す実施の態様では、感知器本体20の照合は、着脱器30に設けられた制御部33によって行われているが、感知器本体20の照合は制御部33以外の装置で行われてもよい。例えば、感知器本体20の照合は、着脱器30を運ぶドローン60の制御部(図示は省略)で行われてもよい。
【0089】
また、火災感知器着脱システム200は、情報処理装置70を有し、感知器本体20の照合は、情報処理装置70で行われてもよい。情報処理装置70は、例えば、スマートフォン及びタブレット等のスマートデバイス、あるいは、パーソナルコンピュータ等である。また、感知器本体20の照合は、インターネット等のネットワークを経由して外部のサーバー(図示は省略)で行われてもよい。
【0090】
着脱器30は、情報処理装置70あるいはサーバーと通信するために通信部35を有してもよい。また、着脱器30は、感知器本体20の照合結果を表示する表示部34を有してもよい。表示部34は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。なお、感知器本体20の照合結果は、情報処理装置70の表示部72に表示されてもよく、メールで送付されてもよい。また、表示部34は、音声出力が可能であり、感知器本体20の照合結果は、音声出力によって報告されてもよい。また、感知器本体20の照合結果は、情報処理装置70の音声出力によって報告されてもよい。
【0091】
また、制御部33は、感知器本体20の照合結果に基づき、感知器本体20を着脱させる機構を有効又は無効にする制御を行ってもよい。例えば、制御部33は、感知器本体20の照合結果に基づき、天面部30aにおける着脱器側磁石部31の磁力の有無あるいは強弱を制御することで、感知器本体20を着脱させる機構を有効又は無効にする制御を行ってもよい。
【0092】
より詳細には、天面部30a付近に配置した着脱器側磁石部31を電磁石で構成し、制御部33により、ベース部10に対して取り付けるべき感知器本体20であると判断された場合、制御部33は、着脱器側磁石部31に電流を流して磁界を発生させる。また、制御部33により、ベース部10に対して取り付けるべき感知器本体20ではないと判断された場合、制御部33は、着脱器側磁石部31に電流を流さない。あるいは、制御部33によって、作業対象の感知器本体20が、着脱すべきベース部10に対して正しい感知器本体20として判断された場合、着脱器側磁石部31を上下方向に移動させる機構が作動するようにしてもよい。
【0093】
火災感知器着脱システム200は、ドローン60を有してもよい。ドローン60は、無人であり、遠隔操作または自動操縦で飛行できる機体である。ドローン60には、着脱器30が取り付けられる。制御部33は、感知器本体20の照合結果に基づき、ドローン60を制御してもよい。制御部33によって、作業対象の感知器本体20として正しい感知器本体20として判断された場合、作業対象となるベース部10をマーカーとしてドローン60がベース部10に向かう自動飛行を行い、感知器本体20の着脱を行ってもよい。
【0094】
ドローン60の操作、着脱器側磁石部31を移動させる機構、及び、電磁石の着脱器側磁石部31への電流の制御等は、情報処理装置70の操作部71による遠隔操作で行われてもよい。情報読取部32にカメラを有している場合、カメラで取得した映像を情報処理装置70の表示部72に表示することで着脱器30と感知器本体20との位置合わせ、及び、感知器本体20とベース部10との位置合わせを確実に行うことができる。
【0095】
[火災感知器100及び火災感知器着脱システム200の作用効果]
火災感知器100は、感知器本体20の感知器側磁石部22の位置によって、感知器本体20とベース部10との係合状態が維持され、あるいは、係合部分が稼働して、感知器本体20とベース部10との係合状態が解除されるものである。火災感知器100は、感知器本体20をベース部10に取り付ける際、又は、感知器本体20をベース部10から取り外す際に、感知器本体20をベース部10に設置させたまま回転させる力(トルク)を必要としない。火災感知器100及び火災感知器100を有する火災感知器着脱システム200は、感知器本体20を回転させる力(トルク)を必要としないため、ベース部10に対する感知器本体20の着脱を容易に行うことができる。
【0096】
高所に設置された火災感知器の感知器本体を交換する際には、足場を組む必要があり、火災感知器等の下方に工場等で使用される機材が設置された後には足場を組むことが容易ではない。火災感知器100は、感知器本体20を回してベース部10に取り付ける必要がない。そのため、火災感知器100が高所に設置されていても、作業者は、足場を組むことなく、先端に着脱器30が取り付けられた棒や着脱器30が取り付けられたドローン60を用いて感知器本体20の着脱を容易に行うことができる。
【0097】
火災感知器100は、バネ部14の作用によって、ベース側係合部11と感知器側係合部21との係合状態が維持され、感知器側磁石部22の作用によって、ベース側係合部11と感知器側係合部21との係合状態が解除される。火災感知器100及び火災感知器100を有する火災感知器着脱システム200は、感知器本体20の着脱の際に感知器本体20を回転させる力(トルク)を必要としないため、ベース部10に対する感知器本体20の着脱を容易に行うことができる。
【0098】
火災感知器着脱システム200は、感知器本体20を着脱する際に用いられる着脱器30を有する。着脱器30は、感知器本体20をベース部10に取り付ける際、又は、感知器本体20をベース部10から取り外す際に、感知器本体20の磁石に作用して、感知器本体20の磁石の位置を移動させる磁石を有する。火災感知器着脱システム200は、着脱器30を用いて感知器本体20の磁石を移動させることでベース部10に対して感知器本体20を着脱させることができる。火災感知器着脱システム200は、感知器本体20の着脱の際に感知器本体20を回転させる力(トルク)を必要としないため、ベース部10に対する感知器本体20の着脱を容易に行うことができる。
【0099】
着脱器30は、感知器本体20の照合の際に、識別標識部40を読み取る情報読取部32を有する。火災感知器着脱システム200は、識別標識部40と情報読取部32とを有することで、作業対象の感知器本体20の照合を行うことができ、作業対象ではない感知器本体20の取り外し、作業対象ではないベース部10への感知器本体20の取り付けを防止できる。
【0100】
従来より、感知器本体の取り付け、点検、又は、交換等の感知器本体の着脱作業において、対象となる感知器本体及びベース部の確認は図面によって行われている。火災感知器100が複数設置されている場合、あるいは、点検時と作業時に作業者の交代がある等の場合には、作業対象とするべきベース部10又は感知器本体20を取り違える場合があった。火災感知器着脱システム200は、識別標識部40と情報読取部32とを用いて作業対象とするべきベース部10又は感知器本体20あるいはその両方の照合を行うため、作業対象とするべきベース部10及び感知器本体20の取り違えを防止できる。
【符号の説明】
【0101】
10 ベース部、10a 底板、10b ベース周壁部、11 ベース側係合部、11a 先端部、12 ベース側磁石部、13 ベース側ガイド部、14 バネ部、20 感知器本体、20a 底壁部、20b 本体周壁部、21 感知器側係合部、22 感知器側磁石部、23 感知器側ガイド部、23a 位置決め部材、30 着脱器、30a 天面部、31 着脱器側磁石部、32 情報読取部、33 制御部、34 表示部、35 通信部、40 識別標識部、41 ベース側識別標識部、42 感知器側識別標識部、50 被取付部、60 ドローン、70 情報処理装置、71 操作部、72 表示部、100 火災感知器、110 係合部、200 火災感知器着脱システム。