(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147591
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】医薬品取引支援システム、サーバおよび医薬品取引支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20231005BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055171
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】517307784
【氏名又は名称】株式会社くすりの窓口
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】下平 宏一
(72)【発明者】
【氏名】高津 翔
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】医療機関での処方に基づき調剤薬局で患者に交付される医薬品の取引に関して、現金払いの精算方法も含めて患者の支払いを簡便化できるようにする。
【解決手段】複数の調剤薬局ごとに医薬品の在庫情報を記憶した薬局関連DB記憶部40Aを参照して、処方薬の在庫を有する調剤薬局の一覧を作成して患者に提示し、提示を受けた患者からの選択操作に応じて何れかの調剤薬局を指定する薬局指定部45と、指定された調剤薬局から医療機関が処方薬を購入することに関する取引書類のデータを生成する取引書類生成部46とを備え、処方薬を医療機関が調剤薬局から購入したものとする処理を行うことにより、処方薬が調剤薬局で調剤されて患者に交付されるとしても、医療機関における院内処方として扱うことを可能とし、医療機関から患者に対して診察料と共に医薬品代を一括して診療代として請求することを可能にする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関での処方に基づき調剤薬局で患者に交付される医薬品の取引を支援するシステムであって、
上記医療機関において使用される医療機関端末と、
上記調剤薬局において使用される薬局端末と、
上記患者により使用される患者端末と、
上記医療機関端末、上記薬局端末および上記患者端末とそれぞれ通信ネットワークを介して接続されるサーバとを備え、
上記サーバは、
上記薬局端末から医薬品の在庫情報を含む在庫医薬品情報を取得し、複数の調剤薬局ごとに医薬品の在庫情報を薬局関連データベースに記憶して管理する薬局情報管理部と、
上記薬局関連データベースを参照して、処方薬の在庫を有する調剤薬局の一覧を作成して上記患者端末に提示し、提示を受けた患者による選択操作に応じて、何れかの調剤薬局を指定する薬局指定部と、
上記薬局指定部により上記調剤薬局が指定された場合、当該指定された調剤薬局から上記医療機関が上記処方薬を購入することに関する取引書類のデータを生成する取引書類生成部とを備えた
ことを特徴とする医薬品取引支援システム。
【請求項2】
上記サーバは、上記医療機関端末から、上記医療機関で処方された医薬品である上記処方薬の識別情報を含む処方情報を取得する処方情報取得部を更に備え、
上記薬局指定部は、上記薬局関連データベースを参照して、上記処方情報取得部により取得された上記処方情報により示される処方薬の在庫を有する調剤薬局の一覧を作成して上記患者端末に提示し、提示を受けた患者による選択操作に応じて、何れかの調剤薬局を指定する
ことを特徴とする請求項1に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項3】
上記薬局情報管理部が上記薬局端末から取得する上記在庫医薬品情報は、上記医薬品の在庫情報の他に上記医薬品の売価情報を更に含み、上記薬局情報管理部は、複数の調剤薬局ごとに上記医薬品の在庫情報および売価情報を上記薬局関連データベースに記憶して管理し、
上記処方情報取得部が上記医療機関端末から取得する上記処方情報は、上記処方薬の識別情報の他に、診察料と医薬品代とを含む診療代の費用情報を更に含み、
上記薬局指定部は、上記薬局関連データベースを参照して、上記処方情報により示される処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価として上記処方情報により示される医薬品代以下の売価を上記売価情報により提示している調剤薬局の一覧を作成して上記患者端末に提示する
ことを特徴とする請求項2に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項4】
上記薬局指定部は、上記薬局関連データベースを参照して、上記処方情報により示される処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価として上記処方情報により示される医薬品代以下で当該医薬品代に最も近い売価を上記売価情報により提示している調剤薬局の一覧を作成して上記患者端末に提示することを特徴とする請求項3に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項5】
上記薬局指定部は、上記薬局関連データベースを参照して、上記処方情報により示される処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価として上記処方情報により示される医薬品代以下の売価を上記売価情報により提示している調剤薬局を検索し、当該検索した調剤薬局のうち、上記患者により指定された地点から所定距離以内または上記患者により指定された領域内に存在する調剤薬局の一覧を作成して上記患者端末に提示することを特徴とする請求項3に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項6】
上記サーバは、
上記処方情報取得部が上記医療機関端末から上記処方情報を取得した場合に、処方箋に代わる確認情報を生成して上記患者端末に発行する確認情報発行部と、
上記患者端末から上記確認情報を取得する確認情報取得部とを更に備え、
上記取引書類生成部は、上記薬局指定部により上記調剤薬局が指定された後、上記確認情報取得部により上記確認情報が取得された場合に、上記取引書類のデータを生成する
ことを特徴とする請求項2~5の何れか1項に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項7】
上記サーバは、
上記処方情報取得部が上記医療機関端末から上記処方情報を取得した場合に、処方箋に代わる確認情報を生成して上記患者端末に発行する確認情報発行部と、
上記患者端末から上記確認情報を取得する確認情報取得部とを更に備え、
上記薬局指定部は、上記確認情報取得部により上記確認情報が取得された場合に、上記調剤薬局の一覧を作成して上記患者端末に提示する
ことを特徴とする請求項2~5の何れか1項に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項8】
上記サーバは、
診療を通じて処方可能な医薬品の識別情報を含む対象医薬品情報を上記医療機関端末から取得し、複数の医療機関ごとに上記処方可能な医薬品の識別情報を機関関連データベースに記憶して管理する医療機関情報管理部と、
上記患者による選択操作に応じて、上記患者が所望する医薬品を特定する医薬品特定部と、
上記機関関連データベースを参照して、上記医薬品特定部により特定された医薬品を処方可能な医療機関の一覧を作成して上記患者端末に提示する医療機関提示部とを更に備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項9】
上記サーバは、上記医療機関端末から、上記医療機関で処方された医薬品である上記処方薬の識別情報および診察料と医薬品代とを含む診療代の費用情報を含む処方情報を取得する処方情報取得部を更に備え、
上記薬局情報管理部が上記薬局端末から取得する上記在庫医薬品情報は、上記医薬品の在庫情報の他に上記医薬品の売価情報を更に含み、上記薬局情報管理部は、複数の調剤薬局ごとに上記医薬品の在庫情報および売価情報を上記薬局関連データベースに記憶して管理し、
上記薬局指定部は、上記薬局関連データベースを参照して、上記処方情報により示される処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価として上記処方情報により示される医薬品代以下の売価を上記売価情報により提示している調剤薬局の一覧を作成して上記患者端末に提示する
ことを特徴とする請求項8に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項10】
上記サーバは、上記医療機関端末から、上記医療機関で処方された医薬品である上記処方薬の識別情報および診察料と医薬品代とを含む診療代の費用情報を含む処方情報を取得する処方情報取得部を更に備え、
上記医療機関情報管理部が上記医療機関端末から取得する上記対象医薬品情報は、上記処方可能な医薬品の識別情報の他に、診療代の一部として診察料と共に患者に請求する予定の医薬品代を示す医薬品代情報を更に含み、上記医療機関情報管理部は、複数の医療機関ごとに上記処方可能な医薬品の識別情報および医薬品代情報を上記機関関連データベースに記憶して管理し、
上記薬局情報管理部が上記薬局端末から取得する上記在庫医薬品情報は、上記医薬品の在庫情報の他に上記医薬品の売価情報を更に含み、上記薬局情報管理部は、複数の調剤薬局ごとに上記医薬品の在庫情報および売価情報を上記薬局関連データベースに記憶して管理し、
上記薬局指定部は、上記機関関連データベースおよび上記薬局関連データベースを参照して、上記処方情報により示される処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価として上記医薬品代情報により示される医薬品代以下の売価を上記売価情報により提示している調剤薬局の一覧を作成して上記患者端末に提示する
ことを特徴とする請求項8に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項11】
上記薬局指定部は、上記医療機関提示部により上記医療機関の一覧を作成して上記患者端末に提示するときに、上記薬局関連データベースを参照して、上記医薬品特定部により特定された医薬品である上記処方薬の在庫を有する調剤薬局の一覧を作成して上記患者端末に提示し、上記患者による選択操作に応じて何れかの調剤薬局を指定することを特徴とする請求項8に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項12】
上記サーバは、上記医療機関端末から、上記医療機関で処方された医薬品である上記処方薬の識別情報および診察料と医薬品代とを含む診療代の費用情報を含む処方情報を取得する処方情報取得部を更に備え、
上記医療機関情報管理部が上記医療機関端末から取得する上記対象医薬品情報は、上記処方可能な医薬品の識別情報の他に、診療代の一部として診察料と共に患者に請求する予定の医薬品代を示す医薬品代情報を更に含み、上記医療機関情報管理部は、複数の医療機関ごとに上記処方可能な医薬品の識別情報および医薬品代情報を上記機関関連データベースに記憶して管理し、
上記薬局情報管理部が上記薬局端末から取得する上記在庫医薬品情報は、上記医薬品の在庫情報の他に上記医薬品の売価情報を更に含み、上記薬局情報管理部は、複数の調剤薬局ごとに上記医薬品の在庫情報および売価情報を上記薬局関連データベースに記憶して管理し、
上記薬局指定部は、上記機関関連データベースおよび上記薬局関連データベースを参照して、上記医薬品特定部により特定された医薬品である上記処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価として上記医薬品代情報により示される医薬品代以下の売価を上記売価情報により提示している調剤薬局の一覧を作成して上記患者端末に提示する
ことを特徴とする請求項11に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項13】
上記サーバは、
上記医療機関端末から、上記医療機関で処方された医薬品である上記処方薬の識別情報および診察料と医薬品代とを含む診療代の費用情報を含む処方情報を取得する処方情報取得部と、
上記処方情報取得部が上記医療機関端末から上記処方情報を取得した場合に、処方箋に代わる確認情報を生成して上記患者端末に発行する確認情報発行部と、
上記患者端末から上記確認情報を取得する確認情報取得部とを更に備え、
上記取引書類生成部は、上記薬局指定部により上記調剤薬局が指定された後、上記確認情報取得部により上記確認情報が取得された場合に、上記取引書類のデータを生成する
することを特徴とする請求項12に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項14】
上記サーバは、
上記処方情報取得部が上記医療機関端末から上記処方情報を取得した場合に、処方箋に代わる確認情報を生成して上記患者端末に発行する確認情報発行部と、
上記患者端末から上記確認情報を取得する確認情報取得部とを更に備え、
上記取引書類生成部は、上記薬局指定部により上記調剤薬局が指定された後、上記確認情報取得部により上記確認情報が取得された場合に、上記取引書類のデータを生成する
することを特徴とする請求項9または10に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項15】
上記取引書類は、上記医療機関が上記指定された調剤薬局に対して上記処方薬を発注することを示す注文書を含むことを特徴とする請求項1~14の何れか1項に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項16】
上記取引書類は、上記指定された調剤薬局が上記医療機関から上記処方薬の発注を受けたことを示す受注書を含むことを特徴とする請求項1~15の何れか1項に記載の医薬品取引支援システム。
【請求項17】
医療機関での処方に基づき調剤薬局で患者に交付される医薬品の取引を支援する処理を実行するサーバであって、
複数の調剤薬局ごとに医薬品の在庫情報を記憶した薬局関連データベースを参照して、処方薬の在庫を有する調剤薬局の一覧を作成して患者に提示し、提示を受けた患者からの選択操作に応じて、何れかの調剤薬局を指定する薬局指定部と、
上記薬局指定部により上記調剤薬局が指定された場合、当該指定された調剤薬局から上記医療機関が上記処方薬を購入することに関する取引書類のデータを生成する取引書類生成部とを備えた
ことを特徴とするサーバ。
【請求項18】
上記薬局指定部は、複数の調剤薬局ごとに上記医薬品の在庫情報の他に上記医薬品の売価情報を更に記憶した上記薬局関連データベースを参照して、上記処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価が上記医療機関から提示される医薬品代以下の売価を上記売価情報により提示している調剤薬局の一覧を作成して上記患者に提示することを特徴とする請求項17に記載のサーバ。
【請求項19】
医療機関での処方に基づき調剤薬局で患者に交付される医薬品の取引を支援する方法であって、
コンピュータの薬局指定部が、複数の調剤薬局ごとに医薬品の在庫情報を記憶した薬局関連データベースを参照して、処方薬の在庫を有する調剤薬局の一覧を作成して上記患者に提示し、提示を受けた患者からの選択操作に応じて、何れかの調剤薬局を指定する第1のステップと、
上記コンピュータの取引書類生成部が、上記薬局指定部により上記調剤薬局が指定された場合、当該指定された調剤薬局から上記医療機関が上記処方薬を購入することに関する取引書類のデータを生成する第2のステップとを有する
ことを特徴とする医薬品取引支援方法。
【請求項20】
上記薬局指定部は、複数の調剤薬局ごとに上記医薬品の在庫情報の他に上記医薬品の売価情報を更に記憶した上記薬局関連データベースを参照して、上記処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価が上記医療機関から提示される医薬品代以下の売価を上記売価情報により提示している調剤薬局の一覧を作成して上記患者に提示することを特徴とする請求項19に記載の医薬品取引支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関での処方に基づき調剤薬局で患者に交付される医薬品の取引を支援する医薬品取引支援システム、サーバおよび医薬品取引支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、医療機関で処方箋を発行された患者は、院外の調剤薬局にて処方薬の交付を受ける。このとき患者は、自分に都合のよい日時に所望の調剤薬局にて処方薬の受け取りを希望する場合がある。オンライン診療により処方箋を受領した場合も、患者は自分に都合のよい日時に所望の調剤薬局にて処方薬を受け取る。しかしながら、訪れた調剤薬局に必ずしも処方箋に記載された医薬品の在庫があるとは限らない。訪れた調剤薬局に処方薬の在庫がなかった場合、患者は改めて別の調剤薬局に行かなければならず、非常に面倒である。
【0003】
これに対し、患者が必要な薬の在庫を有する調剤薬局を検索することができるようにしたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の調剤薬局情報提供装置は、調剤薬局の位置情報および医薬品在庫情報を記憶する調剤薬局情報記憶手段と、患者の現在地から目的地までの間のルート上に位置し、かつ、処方箋の医薬品を在庫として有する調剤薬局を特定する情報処理手段と、当該情報処理手段によって特定された調剤薬局を地図上にルートと共に示した処理結果を患者の携帯端末に送信する処理結果送信手段とを有し、処方薬の在庫を有する調剤薬局を患者が検索して選択できるようにしている。
【0004】
また、医療機関での診療(オンライン診療を含む)にて発行された処方箋に基づき調剤薬局で医薬品を交付する場合、患者は通常、医療機関に対する診療代と、調剤薬局に対する医薬品代とのそれぞれについて支払いをすることになる。そのため、2回の支払いを行わなければならず、非常に面倒である。
【0005】
なお、医療機関への支払いと調剤薬局への支払いを簡便化することを可能にしたシステムが知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の窓口効率化システムでは、医療機関および調剤薬局の双方から請求書データを決済サーバに発行し、それぞれの精算を患者が指定した方法(口座振替、クレジットカード、電子マネー等を利用した自動精算方法)で行う。現金払い以外の方法で精算を行うことにより、患者の医療機関における診察後の会計の待ち時間および薬局における調剤後の会計の待ち時間を削減することが可能となる。しかしながら、特許文献2に記載の技術では、現金払いを簡便化することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4934229号公報
【特許文献2】特許第6931507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、医療機関での処方に基づき調剤薬局で患者に交付される医薬品の取引に関して、現金払いの精算方法も含めて患者の支払いを簡便化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、複数の調剤薬局ごとに医薬品の在庫情報を記憶した薬局関連データベースを参照して、医療機関で処方された医薬品である処方薬の在庫を有する調剤薬局の一覧を作成して患者に提示し、提示を受けた患者からの選択操作に応じて、何れかの調剤薬局が指定された場合に、当該指定された調剤薬局から医療機関が処方薬を購入することに関する取引書類のデータを生成するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、処方薬は調剤薬局で調剤されて患者に交付されるとしても、その処方薬を医療機関が調剤薬局から購入したものとする処理が行われているので、医療機関における院内処方として扱うことが可能となり、医療機関から患者に対して診察料と共に医薬品代を一括して診療代として請求することが可能となる。このため、患者は、医療機関に対して支払いを行えばよく、処方薬を受け取る調剤薬局に対して支払いを行う必要がない。すなわち、1回の支払いで済む。これにより、本発明によれば、医療機関での処方に基づき調剤薬局で患者に交付される医薬品の取引に関して、現金払いの精算方法も含めて患者の支払いを簡便化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態による医薬品取引支援システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態によるサーバの機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態による医療機関端末の機能構成例を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施形態による薬局端末を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施形態による患者端末の機能構成例を示すブロック図である。
【
図8】第1の実施形態によるサーバの動作例を示すフローチャートである。
【
図9】第2の実施形態による医薬品取引支援システムの全体構成例を示す図である。
【
図10】第2の実施形態によるサーバの機能構成例を示すブロック図である。
【
図11】第2の実施形態による医療機関端末の機能構成例を示すブロック図である。
【
図12】第2の実施形態による患者端末の機能構成例を示すブロック図である。
【
図13】第2の実施形態の第1変形例に係るサーバの機能構成例を示すブロック図である。
【
図14】第2の実施形態の第2変形例に係るサーバの機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態による医薬品取引支援システムの全体構成例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態による医薬品取引支援システムは、医療機関での処方に基づき調剤薬局で患者に交付される医薬品の取引を支援するものであり、医療機関において使用される医療機関端末1と、調剤薬局において使用される薬局端末2と、医療機関で診療を受けた患者により使用される患者端末3と、サーバ4とを備えて構成される。ここでいう診療は、医療機関の院内で行われるものであってもよいし、オンライン診療であってもよい。
【0012】
医療機関端末1、薬局端末2および患者端末3は、それぞれパーソナルコンピュータ、タブレットまたはスマートフォンにより構成される。医療機関端末1は複数の医療機関ごとに存在し、薬局端末2は複数の調剤薬局ごとに存在し、患者端末3は複数の患者ごとに存在する。サーバ4は、医療機関端末1、薬局端末2および患者端末3との間でそれぞれインターネットまたは携帯電話網などの通信ネットワーク5を介して接続される。サーバ4は、医療機関端末1、薬局端末2および患者端末3と協働して、医療機関での処方に基づき調剤薬局で患者に対して交付される医薬品の取引を支援するための処理を実行する。
【0013】
図2は、サーバ4の機能構成例を示すブロック図である。
図3は、医療機関端末1の機能構成例を示すブロック図である。
図4は、薬局端末2の機能構成例を示すブロック図である。
図5は、患者端末3の機能構成例を示すブロック図である。以下、
図2~
図5を用いて、第1の実施形態による医薬品取引支援システムの機能を詳細に説明する。
【0014】
図2に示すように、第1の実施形態によるサーバ4は、機能構成として、薬局情報管理部41、処方情報取得部42、確認情報発行部43、確認情報取得部44、薬局指定部45、取引書類生成部46および取引書類提供部47を備えている。また、第1の実施形態によるサーバ4は、記憶媒体として、薬局関連DB記憶部40Aを備えている。
【0015】
上記機能ブロック41~47は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック41~47は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0016】
図3に示すように、第1の実施形態による医療機関端末1は、機能構成として、処方情報提供部11および取引書類取得部12を備えている。これらの機能ブロック11~12は、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック11~12は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0017】
図4に示すように、第1の実施形態による薬局端末2は、機能構成として、在庫医薬品情報提供部21および取引書類取得部22を備えている。これらの機能ブロック21~22は、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック21~22は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0018】
図5に示すように、第1の実施形態による患者端末3は、機能構成として、確認情報取得部31、薬局選択部32および確認情報提供部33を備えている。これらの機能ブロック31~33は、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック31~33は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0019】
薬局端末2の在庫医薬品情報提供部21は、医薬品の在庫情報および売価情報を含む在庫医薬品情報をサーバ4に提供する。
図6は、在庫医薬品情報提供部21が提供する在庫医薬品情報の一例を示す図である。
図6に示すように、在庫医薬品情報は、調剤薬局をユニークに特定可能な薬局IDと、調剤薬局が在庫を有する医薬品の名称(医薬品名)および在庫量の在庫情報と、医薬品の売価情報とを含んでいる。医薬品の売価は、調剤薬局が任意に設定する金額であり、医薬品料、調剤料および服薬指導料を含む金額を設定する。なお、サーバ4では、調剤薬局の名称や住所といった調剤薬局に関する各種の情報をあらかじめ各調剤薬局の薬局端末2から収集し、これらの薬局情報を薬局IDに関連づけて薬局マスターデータベースとして管理している。
【0020】
なお、
図6は在庫医薬品情報の一例であり、これ以外の情報を含んでもよい。例えば、医薬品名に代えてまたは加えて、個々の医薬品に対して付与されたユニークなコード情報等を用いてもよい。また、薬局IDに代えてまたは加えて、薬局情報を用いてもよい。
【0021】
在庫医薬品情報提供部21は、例えば、在庫情報を記憶する薬局内データベース(図示せず)の記憶内容を監視し、在庫情報に変動が発生する都度、変動後の在庫情報を含む在庫医薬品情報をサーバ4に提供する。なお、在庫情報の変動に応じて在庫医薬品情報をサーバ4に提供する際に、以前と比べて医薬品の売価情報に変動がない場合には、売価情報を含まない在庫医薬品情報を提供するようにしてもよい。あるいは、薬局IDと在庫情報とを含み売価情報を含まない在庫医薬品情報と、薬局IDと売価情報とを含み在庫情報を含まない在庫医薬品情報とを非同期でサーバ4に提供するようにし、在庫情報の変動に応じて在庫情報を含む在庫医薬品情報を提供する一方、売価情報の変動に応じて売価情報を含む在庫医薬品情報を提供するようにしてもよい。
【0022】
サーバ4の薬局情報管理部41は、薬局端末2から医薬品の在庫情報および売価情報を含む在庫医薬品情報を取得し、複数の調剤薬局ごとに在庫医薬品情報を薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースに記憶して管理する。上述のように、薬局端末2において医薬品の在庫情報に変動が生じる都度、変動後の在庫情報を含む在庫医薬品情報が薬局端末2からサーバ4に提供されるので、薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースには、複数の調剤薬局ごとに医薬品の最新の在庫情報が記憶される。同様に、薬局端末2において医薬品の売価情報に変動が生じる都度、変動後の売価情報を含む在庫医薬品情報が薬局端末2からサーバ4に提供されるので、薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースには、複数の調剤薬局ごとに医薬品の最新の売価情報が記憶される。
【0023】
医療機関端末1の処方情報提供部11は、医療機関において患者に対する診療の結果として処方された医薬品(以下、処方薬という)の識別情報と、診察料および医薬品代を含む診療代の費用情報とを含む処方情報をサーバ4に提供する。ここで、医薬品代は、医薬品料、調剤料および服薬指導料を含む費用であり、医療機関において設定する。例えば、医療機関が院内薬局において処方薬を患者に交付すると仮定した場合の金額を医薬品代として設定し、それに診察料を加算した金額を診療代として設定する。つまり、医療機関が提供する処方情報に含まれる診療代は、医療機関が院内で診療および処方薬の交付を行う場合に患者に対して請求する金額である。
【0024】
図7は、処方情報提供部11が提供する処方情報の一例を示す図である。
図7に示すように、処方情報は、医療機関をユニークに特定可能な機関IDと、処方薬を交付する患者を特定可能な患者情報と、処方する医薬品の名称(医薬品名)および処方量と、診療代(診察料および医薬品代の両方が分かる金額)とを含んでいる。患者情報として、例えば患者の氏名を用いることが可能である。患者名に代えてまたは加えて、別の情報(例えば、患者に付与された患者ID、患者の生年月日、性別、住所など)を用いてもよい。なお、サーバ4では、医療機関の名称や住所といった医療機関に関する各種の情報をあらかじめ各医療機関の医療機関端末1から収集し、これらの医療機関情報を機関IDに関連づけて医療機関マスターデータベースとして管理している。
【0025】
なお、
図7は処方情報の一例であり、これ以外の情報を含んでもよい。例えば、
図7では、処方薬の識別情報として医薬品名を用いているが、これに代えてまたは加えて、個々の医薬品に対して付与されたユニークなコード情報等を用いてもよい。また、服薬指導を行うために必要な情報を更に含んでもよい。また、機関IDに代えてまたは加えて、医療機関情報を用いてもよい。
【0026】
処方情報提供部11は、例えば、患者に対する診療が終わり、
図7に示す情報が医療従事者により入力される都度、入力された情報を含む処方情報をサーバ4に提供する。サーバ4の処方情報取得部42は、医療機関端末1から提供された処方情報を取得する。
【0027】
確認情報発行部43は、処方情報取得部42が医療機関端末1から処方情報を取得した場合に、処方箋に代わる確認情報を生成して患者端末3に発行する。確認情報は、例えば、患者本人を確認するための確認書および確認番号などの情報を含む。確認書は、処方情報に含まれる患者情報を利用して生成される。確認番号は、確認情報発行部43が任意に採番した番号であってよい。確認情報発行部43は、発行した確認情報を、処方情報取得部42が取得した処方情報と関連付けて記憶媒体に記憶する。
【0028】
患者端末3の確認情報取得部31は、サーバ4から提供された確認情報を取得し、患者端末3の記憶媒体に記憶する。患者端末3に記憶された確認情報は、患者による患者端末3の操作に応じて、患者端末3のディスプレイにいつでも表示することが可能である。これにより患者は、サーバ4により発行された確認情報の内容を確認することができる。確認情報提供部33は、後述するように薬局選択部32により所望の調剤薬局を選択した後に、患者による患者端末3の操作に応じて、確認情報取得部31が取得して記憶媒体に記憶していた確認情報をサーバ4に提供する。このとき、患者が処方薬の受取希望日時を指定し、この受取日時情報と共に確認情報を提供するようにしてもよい。
【0029】
サーバ4の確認情報取得部44は、患者端末3から確認情報を取得する。ここで取得する確認情報は、確認番号のみであってもよい。または、確認書および確認番号の両方を取得するようにしてもよい。確認情報取得部44が確認情報を取得するタイミングは、処方情報に従って調剤を行う調剤薬局が患者の選択操作に応じて薬局指定部45により指定された後である。すなわち、本実施形態において、処方薬の調剤を行う調剤薬局は患者が選択できるようになっている。患者が患者端末3の操作により所望の調剤薬局を選択した後に、本人確認のための情報として確認情報をサーバ4に送信し、これを確認情報取得部44が取得する。
【0030】
薬局指定部45は、処方情報取得部42が医療機関端末1から処方情報を取得した後、患者端末3から一覧提示の要求を受けた場合に、薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースを参照して、処方情報により示される処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価として処方情報により示される医薬品代以下の売価を売価情報により提示している調剤薬局の一覧を作成して患者端末3に提示する。そして、薬局指定部45は、一覧の提示を受けた患者による患者端末3での選択操作に応じて、一覧の中から何れかの調剤薬局を調剤対象の薬局として指定する。
【0031】
すなわち、
図6に示す在庫医薬品情報に含まれる医薬品名および在庫量を参照して、
図7に示す処方情報に含まれる医薬品名および処方量を充足する在庫が存在する調剤薬局を、第1条件を満たす調剤薬局とする。また、
図6に示す在庫医薬品情報に含まれる医薬品の売価情報を参照して、当該売価が
図7に示す処方情報に含まれる医薬品代以下となっている調剤薬局を、第2条件を満たす調剤薬局とする。薬局指定部45は、第1条件および第2条件の両方を満たす1以上の調剤薬局を薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースから抽出し、当該1以上の調剤薬局の一覧を作成して患者端末3に提示する。
【0032】
患者端末3の薬局選択部32は、患者による患者端末3の操作に応じて、調剤薬局の一覧提示要求をサーバ4に送信する。この一覧提示要求には患者情報が含まれており、薬局指定部45はこの患者情報に基づいて対応する処方情報を特定することが可能である。薬局選択部32は、一覧提示要求の送信に応じてサーバ4の薬局指定部45から提供された調剤薬局の一覧をディスプレイに表示し、何れかの調剤薬局を患者に選択させる。このようにして患者端末3に提示された調剤薬局の一覧の中から、患者が何れかの調剤薬局を選択すると、薬局選択部32は、その選択結果をサーバ4の薬局指定部45に通知する。
【0033】
薬局指定部45は、薬局選択部32からの通知に従って、一覧の中から患者により選択された調剤薬局を、処方情報に従って調剤を行う薬局として指定する。本実施形態では、処方薬の在庫を有する調剤薬局の一覧を提示して患者に選択させているので、その選択を通じて指定された調剤薬局に対して在庫の確認を行う必要がない。そのため、在庫確認および在庫がなかった場合における指定のやり直しといった冗長な手順を省略することができる。
【0034】
なお、薬局指定部45が調剤薬局を抽出する際の第2条件として、調剤薬局により提示された医薬品の売価が、医療機関が診療代の一部として設定した医薬品代以下であるという条件を用いる例について説明したが、これに限定されない。例えば、薬局指定部45は、薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースを参照して、処方情報により示される処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価として処方情報により示される医薬品代以下で当該医薬品代に最も近い売価を売価情報により提示している1以上の調剤薬局の一覧を作成して患者端末3に提示するようにしてもよい。医薬品代に最も近い売価に代えて、最も安い売価を検索の条件として用いるようにしてもよい。
【0035】
別の例として、第1条件および第2条件に加えて別の条件を用いるようにしてもよい。例えば、薬局指定部45は、薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースを参照して、処方情報により示される処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価として処方情報により示される医薬品代以下の売価を売価情報により提示しているという第1条件および第2条件を満たす調剤薬局を検索し、当該検索した調剤薬局のうち、患者により指定された地点から所定距離以内または患者により指定された領域内に存在するという第3条件を更に満たす調剤薬局の一覧を作成して患者端末3に提示するようにしてもよい。
【0036】
第3条件に関しては、例えば、患者端末3に地図情報を表示し、当該地図情報上で患者が所望の地点または領域を指定できるようにする。患者が所望の地点をタップまたはクリックした場合、薬局指定部45は、薬局マスターデータベースの住所を参照して、指定された地点から所定距離以内に存在する調剤薬局を抽出し、一覧を作成する。所望の地点として自宅を指定すれば、第1条件および第2条件を満たす調剤薬局のうち、自宅周辺の調剤薬局の一覧を得ることができる。また、患者が地図情報上で所望の領域を指定した場合、薬局指定部45は、その領域内に存在する調剤薬局を抽出し、一覧を作成する。なお、患者による所望の地点または領域の指定方法は、ここに挙げた例に限られるものではない。
【0037】
取引書類生成部46は、薬局指定部45により調剤薬局が指定された後、確認情報取得部44により確認情報が取得された場合に、当該指定された調剤薬局から医療機関が処方薬を購入することに関する取引書類のデータを生成する。すなわち、患者は、提示された一覧の中から所望の調剤薬局を選択した後、サーバ4から事前に取得していた確認情報をサーバ4に送信する。取引書類生成部46は、確認情報取得部44により取得された確認情報が、当該確認情報に対応する処方情報に含まれる患者情報により特定される患者本人のものであることを確認することを条件として、取引書類のデータを生成する。
【0038】
取引書類生成部46が生成する取引書類は、例えば、医療機関が指定された調剤薬局に対して処方薬を発注することを示す注文書である。この注文書に代えてまたは加えて、指定された調剤薬局が医療機関から処方薬の発注を受けたことを示す受注書を生成するようにしてもよい。ここで、取引書類生成部46は、取引書類に含まれる医薬品の購買額として、薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースに記憶されている在庫医薬品情報に含まれる売価情報で示される金額を用いる。
【0039】
取引書類提供部47は、取引書類生成部46により生成された取引書類のデータを医療機関端末1および薬局端末2に提供する。例えば、取引書類提供部47は、受注書のデータを医療機関端末1に提供するとともに、注文書のデータを処方情報と共に薬局端末2に提供する。ここで、薬局端末2に提供する処方情報は、
図7に示す各種情報のうち、診療代を除く情報である。なお、注文書のデータおよび受注書のデータをそれぞれ医療機関端末1および薬局端末2の双方に提供するようにしてもよい。
【0040】
医療機関端末1の取引書類取得部12は、サーバ4から提供された取引書類のデータを取得する。薬局端末2の取引書類取得部22は、サーバ4から提供された取引書類のデータおよび処方情報を取得する。調剤薬局では、サーバ4から取得した処方情報に基づいて、処方薬の調剤を行い、訪問してきた患者に対して処方薬を交付する。このとき調剤薬局では、医薬品代を患者に請求しない。医薬品代の請求は、取引書類取得部22が取得した処方情報に含まれる機関IDに対応する医療機関に対して行う。
【0041】
すなわち、本実施形態では、調剤薬局から医療機関が処方薬を購入したものとする取引書類のデータを生成して医療機関端末1および薬局端末2に提供しているので、処方薬が調剤薬局で調剤されて患者に交付されるとしても、医療機関における院内処方として扱うことが可能となり、医療機関から患者に対して診察料と共に医薬品代を一括して診療代として請求することが可能となる。このため、患者は、医療機関に対して診療代(医薬品代を含む)の支払いを行えばよく、処方薬を受け取る調剤薬局に対して医薬品代の支払いを別途行う必要がない。
【0042】
図8は、以上のように構成した第1の実施形態によるサーバ4の動作例を示すフローチャートである。
図8に示すフローチャートは、医療機関端末1の処方情報提供部11が処方情報をサーバ4に送信したときに開始する。なお、薬局情報管理部41の処理は、
図8に示すフローチャートの動作とは非同期で逐次実行されている。
【0043】
まず、処方情報取得部42は、医療機関端末1から提供された処方情報を取得する(ステップS1)。処方情報取得部42が処方情報を取得すると、確認情報発行部43は、処方箋に代わる確認情報を生成して患者端末3に発行する(ステップS2)。このとき確認情報発行部43は、発行した確認情報を、処方情報取得部42が取得した処方情報と関連付けて記憶媒体に記憶する。
【0044】
次に、薬局指定部45は、患者端末3から調剤薬局の一覧提示要求を受信したか否かを判定する(ステップS3)。一覧提示要求を受信した場合、薬局指定部45は、薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースを参照して、処方情報により示される処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価として処方情報により示される医薬品代以下の売価を売価情報により提示している調剤薬局の一覧を作成して患者端末3に提示する(ステップS4)。
【0045】
その後、薬局指定部45は、患者端末3に提示された調剤薬局の一覧の中から患者が何れかの調剤薬局を選択したか否か、つまり選択結果の通知を患者端末3から取得したか否かを判定する(ステップS5)。選択結果の通知を患者端末3から取得した場合、薬局指定部45は、その通知に従って、一覧の中から患者により選択された調剤薬局を、処方情報に従って調剤を行う薬局として指定する(ステップS6)。
【0046】
次いで、取引書類生成部46は、患者端末3から確認情報を取得したか否かを判定する(ステップS7)。確認情報を取得した場合には、その確認情報が、当該確認情報に対応する処方情報に含まれる患者情報により特定される患者本人のものであるか否かを判定する(ステップS8)。ここで、確認情報が処方対象の患者本人のものではないと判定された場合、取引書類生成部46はエラーメッセージを患者端末3に表示させる等のエラー処理を行い(ステップS9)、処理はステップS7に戻る。
【0047】
一方、確認情報が処方対象の患者本人のものであることが確認できた場合、取引書類生成部46は、指定された調剤薬局から医療機関が処方薬を購入することに関する取引書類のデータを生成する(ステップS10)。そして、取引書類提供部47は、取引書類生成部46により生成された取引書類のデータを医療機関端末1および薬局端末2に提供する(ステップS11)。これにより、
図8に示すフローチャートの処理が終了する。
【0048】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、複数の調剤薬局ごとに医薬品の在庫情報を記憶した薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースを参照して、医療機関で処方された医薬品の在庫を有する調剤薬局の一覧を作成して患者に提示し、提示を受けた患者からの選択操作に応じて、何れかの調剤薬局が指定された場合に、当該指定された調剤薬局から医療機関が処方薬を購入することに関する取引書類のデータを生成するようにしている。
【0049】
このように構成した第1の実施形態によれば、処方薬は調剤薬局で調剤されて患者に交付されるとしても、医療機関における院内処方として扱うことが可能となり、医療機関から患者に対して診察料と共に医薬品代を一括して診療代として請求することが可能となる。このため、患者は、医療機関に対して支払いを行えばよく、処方薬を受け取る調剤薬局に対して支払いを行う必要がない。すなわち、1回の支払いで済む。これにより、本実施形態によれば、医療機関での処方に基づき調剤薬局で患者に交付される医薬品の取引に関して、現金払いの精算方法も含めて患者の支払いを簡便化することができる。
【0050】
なお、上記第1の実施形態では、薬局指定部45により調剤薬局が指定された後、確認情報取得部44により確認情報が取得された場合に、取引書類生成部46が取引書類のデータを生成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、確認情報取得部44により確認情報が取得された場合に、薬局指定部45が調剤薬局の一覧を作成して患者端末3に提示するようにしてもよい。具体的には、薬局選択部32が一覧提示要求をサーバ4に送信する際に、患者情報に代えて確認情報を送信するようにする。そして、薬局指定部45は、確認情報取得部44により取得された確認情報が、当該確認情報に対応する処方情報に含まれる患者情報により示される患者本人のものであることを確認することを条件として、調剤薬局の一覧を作成して患者端末3に提示する。なお、この変形例は、以下に述べる第2の実施形態およびその第1変形例においても同様に適用することが可能である。
【0051】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に述べる第2の実施形態は、AGA(Androgenetic Alopecia:男性型脱毛)薬やED(Erectile Dysfunction:勃起機能不全)薬、ピルなどのように、患者が処方してもらいたい医薬品が診療前から定まっている場合に適用して特に好適なものである。
【0052】
図9は、第2の実施形態による医薬品取引支援システムの全体構成例を示す図である。
図9に示すように、第2の実施形態による医薬品取引支援システムは、医療機関端末1’と、薬局端末2と、患者端末3’と、サーバ4’とを備えて構成される。なお、この
図9において、
図1に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。
【0053】
図10は、サーバ4’の機能構成例を示すブロック図である。
図11は、医療機関端末1’の機能構成例を示すブロック図である。
図12は、患者端末3’の機能構成例を示すブロック図である。以下、
図10~
図12を用いて、第2の実施形態による医薬品取引支援システムの機能を詳細に説明する。これらの
図10~12において、
図2、
図3および
図5に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0054】
図10に示すように、第2の実施形態によるサーバ4’は、機能構成として、
図2に示した構成に加えて、医療機関情報管理部48、医薬品特定部49および医療機関提示部50を更に備えている。また、第2の実施形態によるサーバ4’は、記憶媒体として、
図2に示した構成に加えて、医療機関関連DB記憶部40Bを更に備えている。
【0055】
図11に示すように、第2の実施形態による医療機関端末1’は、機能構成として、
図3に示した構成に加えて、医療機関情報提供部13を更に備えている。
図12に示すように、第2の実施形態による患者端末3’は、機能構成として、
図5に示した構成に加えて、医薬品選択部34を更に備えている。
【0056】
医療機関端末1’の医療機関情報提供部13は、診療を通じて処方可能な医薬品の識別情報を含む対象医薬品情報をサーバ4’に提供する。医薬品の識別情報は、例えば医薬品名、個々の医薬品に対して付与されたユニークなコード情報等である。対象医薬品情報は、医薬品の識別情報の他に、医療機関をユニークに特定可能な機関ID、医療機関の名称などを含む。医療機関情報提供部13は、例えば、医療機関端末1’において管理されている対象医薬品情報が医療従事者により更新される都度、サーバ4’に提供する。
【0057】
サーバ4’の医療機関情報管理部48は、医療機関端末1’から対象医薬品情報を取得し、複数の医療機関ごとに処方可能な医薬品の識別情報を医療機関関連DB記憶部40Bの機関関連データベースに記憶して管理する。上述のように、医療機関端末1’において対象医薬品情報に変動が生じる都度、変動後の対象医薬品情報が医療機関端末1’からサーバ4’に提供されるので、医療機関関連DB記憶部40Bの機関関連データベースでは、複数の調剤薬局ごとに処方可能な医薬品の識別情報が最新の状態に保たれる。
【0058】
患者端末3’の医薬品選択部34は、患者による患者端末3’の選択操作に応じて、患者が処方してもらいたい医薬品を選択する。サーバ4’の医薬品特定部49は、患者端末3’から提供される選択結果の通知に応じて、患者が所望する医薬品を特定する。
【0059】
例えば、医薬品選択部34は、患者による患者端末3’の操作に応じて、医薬品の一覧提示要求をサーバ4’に送信する。この一覧提示要求を受けて医薬品特定部49は、医薬品の一覧を生成して患者端末3’に提供する。ここで一覧として提供する医薬品は、AGA薬やED薬、ピルなどである。医薬品選択部34は、一覧提示要求の送信に応じてサーバ4’の医薬品特定部49から提供された医薬品の一覧をディスプレイに表示し、何れかの医薬品を患者に選択させる。このようにして患者端末3’に提示された一覧の中から患者が何れかの医薬品を選択すると、医薬品選択部34は、その選択結果をサーバ4’の医薬品特定部49に通知する。医薬品特定部49は、医薬品選択部34からの通知に従って、一覧の中から患者により選択された医薬品を、処方対象の医薬品として特定する。
【0060】
なお、ここではサーバ4’から患者端末3’に提供される医薬品一覧の中から患者が何れかを選択することによって処方対象の医薬品を特定する例について説明したが、特定方法はこれに限定されない。例えば、医薬品の包装などに付されている二次元コードまたはバーコードを患者端末3’のリーダ機能により読み取り、読み取ったコード情報またはその解読情報をサーバ4’に送信することにより、医薬品特定部49がこの情報をもとに処方対象の医薬品を特定するようにしてもよい。この場合、患者端末3’の医薬品選択部34は、患者端末3’の二次元コードまたはバーコードの読取機能を利用して医薬品の選択を行う。
【0061】
サーバ4’の医療機関提示部50は、医薬品特定部49により医薬品が特定された場合に、医療機関関連DB記憶部40Bの機関関連データベースを参照して、当該特定された医薬品を処方可能な医療機関の一覧を作成して患者端末3’に提示する。患者は、一覧として提示された医療機関の中から所望の医療機関を選んで診療を受けることが可能である。
【0062】
以上のように構成した第2の実施形態によれば、患者が処方してもらいたい医薬品が診療前から定まっている場合に、その医薬品の処方が可能な診療を提供している医療機関の一覧を患者端末3’がサーバ4’から取得して患者に提示し、患者がその中から何れかの医療機関を選択して診療を受けることができる。ここで、医療機関の一覧は、オンライン診療が可能な医療機関を含むものとしてもよい。このようにすれば、患者は、オンライン診療を提供している医療機関を簡単に探し、選択した医療機関のオンライン診療のみで所望の医薬品の交付を受けることが可能となる。
【0063】
なお、第2の実施形態に対する第1変形例として、
図13のようにサーバ4”を構成してもよい。
図13に示すサーバ4”は、
図10に示した処方情報取得部42、薬局指定部45、医療機関情報管理部48および医療機関関連DB記憶部40Bに代えて、処方情報取得部42”、薬局指定部45”、医療機関情報管理部48”および医療機関関連DB記憶部40B”を備えている。
【0064】
処方情報取得部42”は、医療機関端末1’から提供された処方情報を取得する。ただし、処方情報取得部42”が取得する処方情報は、
図7に示した診療代の情報は含まない。診療代の情報は、以下に説明するように、医療機関情報管理部48”があらかじめ医療機関端末1’から取得して医療機関関連DB記憶部40B”の機関関連データベースに記憶して管理する。
【0065】
すなわち、医療機関情報管理部48”は、医療機関において処方可能な医薬品の識別情報の他に、診療代の一部として診察料と共に患者に請求する予定の医薬品代を示す医薬品代情報を更に含んだ対象医薬品情報を医療機関端末1’から取得し、複数の医療機関ごとに処方可能な医薬品の識別情報および医薬品代情報を医療機関関連DB記憶部40B”の機関関連データベースに記憶して管理する。
【0066】
薬局指定部45”は、医療機関関連DB記憶部40B”の機関関連データベースおよび薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースを参照して、処方情報取得部42”により取得された処方情報により示される処方薬の在庫を有し、かつ、当該処方薬の売価として医薬品代情報により示される医薬品代以下の売価を売価情報により提示している調剤薬局の一覧を作成して患者端末3’に提示する。
【0067】
すなわち、
図6に示す在庫医薬品情報に含まれる医薬品名および在庫量を参照して、
図7に示す処方情報に含まれる医薬品名および処方量を充足する在庫が存在する調剤薬局を、第1条件を満たす調剤薬局とする。また、
図6に示す在庫医薬品情報に含まれる医薬品の売価情報を参照して、当該売価が医療機関関連DB記憶部40B”の機関関連データベースに記憶されている医薬品代以下となっている調剤薬局を、第2条件を満たす調剤薬局とする。薬局指定部45”は、第1条件および第2条件の両方を満たす1以上の調剤薬局を薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースから抽出し、当該1以上の調剤薬局の一覧を作成して患者端末3’に提示する。
【0068】
ここで、
図14に示す第2変形例のように、医薬品特定部49により医薬品が特定されたときに、医療機関提示部50が、当該特定された医薬品を処方可能な医療機関の一覧を作成して患者端末3’に提示するとともに、薬局指定部45”が、当該特定された医薬品の調剤候補となる調剤薬局の一覧を作成して患者端末3’に提示するようにしてもよい。この場合、薬局指定部45”は、処方情報取得部42”により取得された処方情報に含まれる医薬品の情報ではなく、医薬品特定部49により特定された医薬品の情報に基づいて、各調剤薬局における処方薬の在庫の有無を判定する。
【0069】
この第2変形例において、医薬品選択部34から医薬品特定部49に提供する情報には、医薬品の識別情報の他に希望処方量の情報も含ませる。薬局指定部45”は、医療機関提示部50が医療機関の一覧を作成して患者端末3’に提示するときに、患者端末3’から医薬品特定部49に提供された情報に基づいて、薬局関連DB記憶部40Aの薬局関連データベースを参照して、医薬品特定部49により特定された医薬品である処方薬の在庫を有する調剤薬局の一覧を作成して患者端末3’に提示し、患者による選択操作に応じて何れかの調剤薬局を指定する。第2の実施形態では、患者が処方してもらいたい医薬品が事前に決まっているので、当該医薬品を処方可能な診療を提供している医療機関を選択するときに、当該医薬品を調剤してもらう調剤薬局を併せて選択することも可能である。
【0070】
第2変形例の場合、患者が医療機関の診療を受ける前に、医薬品の交付を受ける調剤薬局が薬局指定部45”により指定される。そのため、確認情報取得部44により患者端末3’から確認情報が取得された場合に薬局指定部45”の動作を実行することはない。すなわち、患者が診療を受ける前に薬局指定部45”により調剤薬局が指定された後、患者が診療を受けたことに応じて医療機関端末1’からサーバ4”に処方情報が提供され、それに応じて確認情報発行部43により患者端末3’に発行された確認情報が確認情報取得部44により取得された場合に、取引書類生成部46が取引書類のデータを生成する。
【0071】
なお、上記第2の実施形態およびその変形例では、サーバ4’,4”から患者端末3’に医薬品の一覧を提示する例について説明したが、これに限定されない。例えば、医薬品の包装などに付されている二次元コードまたはバーコードに対して、その医薬品を処方可能な医療機関の情報を記録しておき、患者端末3’のリーダ機能によりコード情報が読み取されたときに、読み取られたコード情報に記録されている医療機関の一覧を提示するようにしてもよい。
【0072】
上記第1の実施形態、第2の実施形態およびその変形例では、処方情報により示される処方薬の在庫を有するという第1条件の他に、調剤薬局から提示された処方薬の売価が、医療機関から提示された医薬品代以下であるという第2条件も満たす調剤薬局の一覧を作成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1条件のみを満たす調剤薬局の一覧を作成するようにしてもよい。この場合、医療機関から提示された医薬品代よりも調剤薬局から提示された処方薬の売価の方が高くなるような調剤薬局も一覧の中に含まれ、それが患者により選択されることが起こり得る。そこで、調剤薬局から提示された処方薬の売価が、医療機関から提示された医薬品代+αの許容額以下であるという変形条件、あるいは、調剤薬局から提示された処方薬の売価-βの許容額が、医療機関から提示された医薬品代以下であるという変形条件を用いるようにしてもよい。
【0073】
その他、上記第1の実施形態、第2の実施形態およびその変形例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
1,1’ 医療機関端末1
2,2’ 薬局端末
3,3’ 患者端末
4,4’,4” サーバ
40A 薬局関連DB記憶部
40B,40B” 医療機関関連DB記憶部
41 薬局情報管理部
42,42” 処方情報取得部
43 確認情報発行部
44 確認情報取得部
45,45” 薬局指定部
46 取引書類生成部
47 取引書類提供部
48,48” 医療機関情報管理部
49 医薬品特定部
50 医療機関提示部