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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147595
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】光半導体パッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20231005BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20231005BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L27/146 D
H04N5/369
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055178
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100183081
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 大志
(72)【発明者】
【氏名】小松 竜大
(72)【発明者】
【氏名】森下 勝
(72)【発明者】
【氏名】井上 直
(72)【発明者】
【氏名】島井 信吾
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 陽祐
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA06
4M118CA02
4M118FA06
4M118FA08
4M118HA10
4M118HA12
4M118HA31
5C024CY47
5C024EX21
5C024GX07
(57)【要約】
【課題】信頼性の向上を図ることができる光半導体パッケージの製造方法を提供する。
【解決手段】光半導体パッケージの製造方法は、受光素子2と、金属ピラー6の端部6aと、を基板50に仮接合する第1工程と、受光素子2及び金属ピラー6を覆うモールド樹脂3を基板50上に形成する第2工程と、受光素子2の第2面2bに対向する側からモールド樹脂3を研磨又は研削することにより、受光素子2の第2面2bと金属ピラー6の端部6bとを露出させる第3工程と、受光素子2の第2面2b上、モールド樹脂3の端面3b上に、配線層4を形成する第4工程と、受光素子2、金属ピラー6、及びモールド樹脂3から基板50を分離する第5工程と、第5工程よりも後に、受光素子2及びモールド樹脂3に対して配線層4が位置する側とは反対側に、配線層5を形成する第6工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光部及び前記受光部と電気的に接続された電極端子が設けられた第1面を有する受光素子と、柱状の金属部材の第1端部と、を基板に仮接合する第1工程であって、前記第1面が前記基板に対向するように前記受光素子を前記基板に仮接合する前記第1工程と、
前記受光素子及び前記金属部材を覆う樹脂部を前記基板上に形成する第2工程と、
前記受光素子の前記第1面とは反対側の第2面に対向する側から前記樹脂部を研磨又は研削することにより、前記受光素子の前記第2面と前記金属部材の前記第1端部とは反対側の第2端部とを露出させる第3工程と、
前記受光素子の前記第2面上、及び前記第2面と連続する前記樹脂部の端面上に、前記第2端部と電気的に接続される第1金属配線を含む第1配線層を形成する第4工程と、
前記受光素子、前記金属部材、及び前記樹脂部から前記基板を分離する第5工程と、
前記第5工程よりも後に、前記受光素子及び前記樹脂部に対して前記第1配線層が位置する側とは反対側に、前記第1端部と前記電極端子とを電気的に接続する第2金属配線を含む第2配線層を形成する第6工程と、を含む、
光半導体パッケージの製造方法。
【請求項2】
前記第1工程は、
支持部材によって、前記第1端部を露出させた状態で前記金属部材を位置決めすると共に支持する工程と、
前記支持部材に支持されている前記金属部材の前記第1端部に対して、前記基板の仮接合面を接触させることにより、前記基板に前記第1端部を仮接合する工程と、を含む、
請求項1に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【請求項3】
前記支持部材は、
前記金属部材の幅よりも大きい幅を有する貫通孔が形成された板状部材と、
前記第2端部が載置及び支持される支持基板と、を有し、
前記金属部材は、前記板状部材の前記貫通孔に挿通されて位置決めされると共に、前記支持基板に支持され、
前記金属部材が前記支持部材に支持された状態において、前記第1端部は、前記板状部材に対して前記支持基板側とは反対側に突出している、
請求項2に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【請求項4】
前記金属部材は、前記第2端部を含む軸部と、前記第1端部を含み且つ前記軸部よりも幅広に形成されたフランジ部と、を有し、
前記支持部材は、前記軸部の幅よりも大きく前記フランジ部の幅よりも小さい幅を有する貫通孔が形成された板状部材であり、
前記金属部材は、前記軸部が前記貫通孔に挿通され、前記フランジ部の前記第2端部側の内面が前記支持部材の前記貫通孔の周縁部に当接することによって、前記支持部材に支持される、
請求項2に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【請求項5】
前記第4工程において、前記第1金属配線における前記第2端部に接続される部分の配線幅が前記金属部材の前記第2端部の幅よりも大きくなるように、前記第1配線層を形成する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【請求項6】
前記第4工程において、前記第1金属配線における前記第2端部に接続される部分の配線幅が前記金属部材の前記第2端部の幅よりも小さくなるように、前記第1配線層を形成する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【請求項7】
前記第6工程において、前記第2金属配線における前記第1端部に接続される部分の配線幅が前記金属部材の前記第1端部の幅よりも大きくなるように、前記第2配線層を形成する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【請求項8】
前記第6工程において、前記第2金属配線における前記第1端部に接続される部分の配線幅が前記金属部材の前記第1端部の幅よりも小さくなるように、前記第2配線層を形成する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【請求項9】
前記第5工程は、少なくとも前記第3工程よりも後に実施される、
請求項1~8のいずれか一項に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【請求項10】
前記第4工程は、前記第3工程の後に実施され、
前記第5工程は、前記第4工程の後に実施される、
請求項9に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【請求項11】
前記受光素子は、前記第1面に受光面を有する、
請求項1~10のいずれか一項に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【請求項12】
基板上に、第1金属配線を含むと共に前記基板を露出させる開口部が設けられた第1配線層を形成する第1工程と、
前記第1金属配線の第1端部に接続され、前記第1配線層から前記基板側とは反対側に突出する金属部材を形成する第2工程と、
受光部及び前記受光部と電気的に接続された電極端子が設けられた第1面を有する受光素子を準備する第3工程と、
前記第1端部とは異なる前記第1金属配線の第2端部と前記電極端子とが電気的に接続され、且つ、前記受光部が前記開口部に対向する位置に配置されて前記基板と前記受光素子との間に内部空間が形成されるように、前記受光素子を配置する第4工程と、
前記受光素子、前記金属部材、及び前記第1配線層を覆うと共に前記内部空間に充填され、前記受光部の検出対象となる光に対する透明性を有する樹脂部を形成する第5工程と、
前記受光素子の前記第1面とは反対側の第2面に対向する側から前記樹脂部を研磨又は研削することにより、前記第2面と前記金属部材の前記第1金属配線に接続される側とは反対側の端部とを露出させる第6工程と、
前記受光素子の前記第2面上、及び前記第2面と連続する前記樹脂部の端面上に、前記金属部材の前記端部と電気的に接続される第2金属配線を含む第2配線層を形成する第7工程と、
前記第1配線層及び前記樹脂部から前記基板を分離する第8工程と、を含む、
光半導体パッケージの製造方法。
【請求項13】
前記第8工程は、少なくとも前記第6工程よりも後に実施される、
請求項12に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【請求項14】
前記第7工程は、前記第6工程の後に実施され、
前記第8工程は、前記第7工程の後に実施される、
請求項12に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【請求項15】
前記受光素子は、前記第1面に受光面を有する、
請求項12~14のいずれか一項に記載の光半導体パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光半導体パッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、受光素子を含む半導体パッケージの製造方法が開示されている。特許文献1に開示された製造方法においては、ガラス基板上に柱状電極を含む接続用配線が形成され、接続用配線上に受光素子(光電変換デバイス領域(受光部)が設けられたシリコン基板)が搭載され、受光素子とガラス基板との間に樹脂からなる第1封止膜(アンダーフィル)が充填された後に、さらにガラス基板の上面全体が樹脂からなる第2封止膜で覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4126389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記製造方法では、第1封止膜によって受光部が覆われてしまうため、受光感度が低下するおそれがある。また、第1封止膜と第2封止膜との界面が接続用配線に接触しているため、第1封止膜と第2封止膜との間の熱膨張係数差等に起因する応力が接続用配線に集中し、接続用配線が損傷するおそれがある。このように、上記製造方法には、半導体パッケージの信頼性の観点において、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、信頼性の向上を図ることができる光半導体パッケージの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る光半導体パッケージの製造方法は、受光部及び受光部と電気的に接続された電極端子が設けられた第1面を有する受光素子と、柱状の金属部材の第1端部と、を基板に仮接合する第1工程であって、第1面が基板に対向するように受光素子を基板に仮接合する第1工程と、受光素子及び金属部材を覆う樹脂部を基板上に形成する第2工程と、受光素子の第1面とは反対側の第2面に対向する側から樹脂部を研磨又は研削することにより、受光素子の第2面と金属部材の第1端部とは反対側の第2端部とを露出させる第3工程と、受光素子の第2面上、及び第2面と連続する樹脂部の端面上に、第2端部と電気的に接続される第1金属配線を含む第1配線層を形成する第4工程と、受光素子、金属部材、及び樹脂部から基板を分離する第5工程と、第5工程よりも後に、受光素子及び樹脂部に対して第1配線層が位置する側とは反対側に、第1端部と電極端子とを電気的に接続する第2金属配線を含む第2配線層を形成する第6工程と、を含む。
【0007】
上記製造方法では、第1工程において、基板と受光素子との間に隙間が形成されないように、受光素子が基板に仮接合される。これにより、第2工程において、受光素子と基板との間に樹脂が流れ込むこと、すなわち、受光部に対向する位置に樹脂部が形成されることを防止することができる。その結果、受光部が樹脂部に覆われることに起因する受光感度の低下を回避することができる。また、受光素子及び金属部材が基板に仮接合されることによって各部材が安定的に固定された状態で、第2工程を安定的且つ精度良く実施することが可能となる。以上により、上記製造方法によれば、光半導体パッケージを信頼性高く製造することができる。
【0008】
第1工程は、支持部材によって、第1端部を露出させた状態で金属部材を位置決めすると共に支持する工程と、支持部材に支持されている金属部材の第1端部に対して、基板の仮接合面を接触させることにより、基板に第1端部を仮接合する工程と、を含んでもよい。上記構成によれば、支持部材によって位置決め及び支持された状態の金属部材に基板の仮接合面を接触させる比較的簡易な操作によって、基板に金属部材を仮接合することができる。
【0009】
支持部材は、金属部材の幅よりも大きい幅を有する貫通孔が形成された板状部材と、第2端部が載置及び支持される支持基板と、を有してもよく、金属部材は、板状部材の貫通孔に挿通されて位置決めされると共に、支持基板に支持されてもよく、金属部材が支持部材に支持された状態において、第1端部は、板状部材に対して支持基板側とは反対側に突出していてもよい。上記構成によれば、金属部材の第1端部が板状部材よりも突出した状態で、金属部材が支持部材によって支持されるため、基板の仮接合面を第1端部に接触させる際に、基板の仮接合面が板状部材に接触することを防止することができる。すなわち、基板の仮接合面が板状部材に貼り付いてしまうことを的確に防止することができる。
【0010】
金属部材は、第2端部を含む軸部と、第1端部を含み且つ軸部よりも幅広に形成されたフランジ部と、を有してもよく、支持部材は、軸部の幅よりも大きくフランジ部の幅よりも小さい幅を有する貫通孔が形成された板状部材であってもよく、金属部材は、軸部が貫通孔に挿通され、フランジ部の第2端部側の内面が支持部材の貫通孔の周縁部に当接することによって、支持部材に支持されてもよい。上記構成によれば、フランジ部を板状部材の貫通孔の周縁部に引っかけて支持することが可能となる。すなわち、第2端部を支持するための支持基板が不要となるため、支持部材を簡素化することができる。また、フランジ部を設けることにより、基板上に立設される金属部材の姿勢(垂直性)をより安定化させることができる。
【0011】
第4工程において、第1金属配線における第2端部に接続される部分の配線幅が金属部材の第2端部の幅よりも大きくなるように、第1配線層を形成してもよい。上記構成によれば、第2工程(樹脂部形成工程)において生じ得る金属部材の位置ずれを吸収することができる。すなわち、第1金属配線の配線幅を大きくすることにより、第2工程において金属部材の位置が多少ずれたとしても、第1金属配線と金属部材(第2端部)とをより確実に接触させることができる。
【0012】
第4工程において、第1金属配線における第2端部に接続される部分の配線幅が金属部材の第2端部の幅よりも小さくなるように、第1配線層を形成してもよい。上記構成によれば、金属部材の大きさ(幅)の影響を受けずに、第1金属配線を形成することができる。例えば、金属部材(第2端部)の幅が比較的大きい場合に第1金属配線の幅を金属部材の幅よりもさらに大きくすると、第1金属配線が第1配線層に設けられる他の配線と干渉し易くなるという問題が生じ得る。上記構成によれば、このような問題の発生を回避することができる。
【0013】
第6工程において、第2金属配線における第1端部に接続される部分の配線幅が金属部材の第1端部の幅よりも大きくなるように、第2配線層を形成してもよい。上記構成によれば、第2工程(樹脂部形成工程)において生じ得る金属部材の位置ずれを吸収することができる。すなわち、第2金属配線の配線幅を大きくすることにより、第2工程において金属部材の位置が多少ずれたとしても、第2金属配線と金属部材(第1端部)とをより確実に接触させることができる。
【0014】
第6工程において、第2金属配線における第1端部に接続される部分の配線幅が金属部材の第1端部の幅よりも小さくなるように、第2配線層を形成してもよい。上記構成によれば、金属部材の大きさ(幅)の影響を受けずに、第2金属配線を形成することができる。例えば、金属部材(第1端部)の幅が比較的大きい場合に第2金属配線の幅を金属部材の幅よりもさらに大きくすると、第2金属配線が第2配線層に設けられる他の配線と干渉し易くなるという問題が生じ得る。上記構成によれば、このような問題の発生を回避することができる。
【0015】
第5工程は、少なくとも第3工程よりも後に実施されてもよい。また、第4工程は、第3工程の後に実施されてもよく、第5工程は、第4工程の後に実施されてもよい。上記構成によれば、基板を第3工程(或いは、第3工程及び第4工程)においても取り付けた状態にすることによって、各部材の支持安定性を高めた状態で第3工程(或いは、第3工程及び第4工程)を信頼性高く実施することができる。
【0016】
受光素子は、第1面に受光面を有してもよい。上記構成によれば、表面入射型の受光素子の表面が第1面である光半導体パッケージを信頼性高く製造することができる。
【0017】
本開示の他の側面に係る光半導体パッケージの製造方法は、基板上に、第1金属配線を含むと共に基板を露出させる開口部が設けられた第1配線層を形成する第1工程と、第1金属配線の第1端部に接続され、第1配線層から基板側とは反対側に突出する金属部材を形成する第2工程と、受光部及び受光部と電気的に接続された電極端子が設けられた第1面を有する受光素子を準備する第3工程と、第1端部とは異なる第1金属配線の第2端部と電極端子とが電気的に接続され、且つ、受光部が開口部に対向する位置に配置されて基板と受光素子との間に内部空間が形成されるように、受光素子を配置する第4工程と、受光素子、金属部材、及び第1配線層を覆うと共に内部空間に充填され、受光部の検出対象となる光に対する透明性を有する樹脂部を形成する第5工程と、受光素子の第1面とは反対側の第2面に対向する側から樹脂部を研磨又は研削することにより、第2面と金属部材の第1金属配線に接続される側とは反対側の端部とを露出させる第6工程と、受光素子の第2面上、及び第2面と連続する樹脂部の端面上に、金属部材の端部と電気的に接続される第2金属配線を含む第2配線層を形成する第7工程と、第1配線層及び樹脂部から基板を分離する第8工程と、を含む。
【0018】
上記製造方法では、第5工程において樹脂部が受光素子と基板との間の内部空間に充填されることにより、樹脂部が受光部を覆うことになるが、樹脂部は受光部の検出対象となる光に対する透明性を有するため、樹脂部が受光部を覆うことに起因する受光感度の低下が抑制される。さらに、第5工程において、単一の樹脂材料によって一括で、受光素子と基板との間の内部空間に充填され且つ各部材(受光素子、金属部材、及び第1配線層)を覆う樹脂部を形成することができる。これにより、2種類の樹脂部(例えば、互いに異なる材料又は異なるタイミングで形成される2つの樹脂部)が混在することに起因する信頼性の低下(例えば、2つの樹脂部の熱膨張係数差等に起因する応力による金属配線の損傷等)を回避することができる。以上により、上記製造方法によれば、光半導体パッケージを信頼性高く製造することができる。
【0019】
第8工程は、少なくとも第6工程よりも後に実施されてもよい。また、第7工程は、第6工程の後に実施されてもよく、第8工程は、第7工程の後に実施されてもよい。上記構成によれば、基板を第6工程(或いは、第6工程及び第7工程)においても取り付けた状態にすることによって、各部材の支持安定性を高めた状態で第6工程(或いは、第6工程及び第7工程)を信頼性高く実施することができる。
【0020】
受光素子は、第1面に受光面を有してもよい。上記構成によれば、表面入射型の受光素子の表面が第1面である光半導体パッケージを信頼性高く製造することができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、信頼性の向上を図ることができる光半導体パッケージの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第1実施形態の光半導体パッケージの断面図である。
図2図2は、図1の光半導体パッケージの製造工程の一例を示す図である。
図3図3は、図1の光半導体パッケージの製造工程の一例を示す図である。
図4図4は、図1の光半導体パッケージの製造工程の一例を示す図である。
図5図5は、図1の光半導体パッケージの製造工程の一例を示す図である。
図6図6は、図1の光半導体パッケージの製造工程の一例を示す図である。
図7図7は、図1の光半導体パッケージの製造工程の一例を示す図である。
図8図8は、第2実施形態の光半導体パッケージの断面図である。
図9図9は、図8の光半導体パッケージの製造工程の一例を示す図である。
図10図10は、図8の光半導体パッケージの製造工程の一例を示す図である。
図11図11は、図8の光半導体パッケージの製造工程の一例を示す図である。
図12図12は、第3実施形態の光半導体パッケージの断面図である。
図13図13は、図12の光半導体パッケージの製造工程の一例を示す図である。
図14図14は、図12の光半導体パッケージの製造工程の一例を示す図である。
図15図15は、図12の光半導体パッケージの製造工程の一例を示す図である。
図16図16は、図1の光半導体パッケージの製造方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。各図において同一又は相当の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、図面においては、実施形態に係る特徴部分を分かり易く説明するために誇張している部分がある。このため、図面の寸法比率は、実際の寸法比率とは異なっている場合がある。
【0024】
[第1実施形態]
(光半導体パッケージの構造)
図1に示されるように、第1実施形態の光半導体パッケージ1Aは、受光素子2と、モールド樹脂3(樹脂部)と、配線層4(第1配線層)と、配線層5(第2配線層)と、金属ピラー6(金属部材)と、を有している。光半導体パッケージ1Aは、FOWLP(Fan Out Wafer Level Package)/FOPLP(Fan Out Panel Level Package)の一種である。
【0025】
受光素子2は、受光部21を有する半導体チップであり、矩形板状に形成されている。受光素子2は、第1面2aと、第2面2bと、を有している。図1においては、第1面2aと第2面2bとが対向する対向方向をZ軸方向と表し、Z軸方向から見た場合の受光素子2の一の辺に沿った方向をX軸方向と表し、Z軸方向から見た場合の受光素子2の他の辺(上記一の辺に垂直な辺)に沿った方向をY軸方向と表している。
【0026】
第1面2aには、受光部21と、受光部21と電気的に接続された複数(本実施形態では2つ)の電極端子22と、が設けられている。本実施形態では一例として、Z軸方向から見た場合の第1面2aの略中央部に1つの受光部21が設けられているが、複数の受光部21が第1面2aに設けられてもよい。この場合、複数の受光部21は、例えば、Z軸方向から見た場合に、一次元又は二次元に配列され得る。受光部21は、第1面に沿った位置に配置されている。すなわち、受光素子2は、第1面2aに受光面を有している。より具体的には、第1面2aのうち受光部21に対向する部分が受光面として機能する。図1の例では、受光部21は、受光部21の光入射面(第1面2a側の面)が第1面2aと略面一となるように、受光素子2に埋設されている。受光部21の例としては、Siフォトダイオード(SiPD)、Siアバランシェ・フォトダイオード(SiAPD)、Si-MPPC(Multi-Pixel Photon Counter)等が挙げられる。2つの電極端子22は、第1面2a上に突出するように設けられている。
【0027】
第1面2a上には、絶縁層23が設けられている。絶縁層23は、第1面2a上に設けられた複数(本実施形態では2つ)の電極端子22を囲むように設けられている。絶縁層23には、各電極端子22を露出させるための開口23aが形成されている。絶縁層23は、例えば二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)等の無機膜、或いはポリイミド等の有機膜によって形成され得る。
【0028】
モールド樹脂3は、Z軸方向から見た場合に受光素子2を包囲するように、受光素子2の側面を封止している。モールド樹脂3は、金属ピラー6も覆っている。モールド樹脂3は、例えばエポキシ樹脂等によって形成され得る。モールド樹脂3は、絶縁層23の表面と面一に形成された端面3aと、受光素子2の第2面2bと面一に形成された端面3bと、を有している。
【0029】
配線層4は、受光素子2の第2面2b側において、受光素子2の第2面2b上、及び第2面2bと連続するモールド樹脂3の端面3b上に設けられている。配線層4は、絶縁層41と、金属配線42(第1金属配線)と、を含んで構成される再配線層である。絶縁層41は、例えば二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)等の無機膜、或いはポリイミド等の有機膜によって形成され得る。金属配線42は、例えば銅(Cu)配線である。
【0030】
絶縁層41のうちZ軸方向において金属ピラー6と重なる部分には、開口41aが設けられている。開口41a内には、金属ピラー6の配線層4側の端部6b(第2端部)と電気的に接続される金属配線42が設けられている。開口41aの幅は、金属ピラー6の端部6bの幅よりも大きくされている。これにより、金属配線42における端部6bに接続される部分の配線幅w11が金属ピラー6の端部6bの幅w12よりも大きくなっている。
【0031】
金属配線42の外側端部(Z軸方向において金属ピラー6とは反対側に位置する端部)には、めっき部43が設けられている。めっき部43は、例えば半田等によってプリント基板等に接合される部分である。めっき部43は、例えばニッケル及び金の二層めっき(Ni/Auめっき)である。
【0032】
配線層5は、受光素子2及びモールド樹脂3に対して配線層4が位置する側とは反対側に設けられている。すなわち、配線層5は、受光素子2の第1面2a側において、絶縁層23上及びモールド樹脂3の端面3a上に設けられている。配線層5は、絶縁層51と、金属配線52(第2金属配線)と、を含んで構成される再配線層である。絶縁層51は、例えば二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)等の無機膜、或いはポリイミド等の有機膜によって形成され得る。金属配線52は、例えば銅(Cu)配線である。
【0033】
絶縁層51のうちZ軸方向において金属ピラー6と重なる部分には、開口51aが設けられている。開口51a内には、金属ピラー6の配線層5側の端部6a(第1端部)と電気的に接続される金属配線52が設けられている。開口51aの幅は、金属ピラー6の端部6aの幅よりも大きくされている。これにより、金属配線52における端部6aに接続される部分の配線幅w21が金属ピラー6の端部6aの幅w22よりも大きくなっている。
【0034】
絶縁層51のうちZ軸方向において受光部21と重なる部分には、開口部51bが設けられている。すなわち、絶縁層51は、Z軸方向において受光部21を覆わないように形成されている。
【0035】
金属配線52は、金属ピラー6の端部6aと受光素子2の電極端子22とを電気的に接続している。すなわち、受光素子2(電極端子22)は、金属配線52、金属ピラー6、及び金属配線42を介して、めっき部43と電気的に接続されている。
【0036】
金属ピラー6は、柱状に形成された金属部材である。金属ピラー6は、例えば銅によって形成されている。金属ピラー6は、例えば、いわゆる銅ピラー又は銅ポストである。
【0037】
本実施形態では、電極端子22、金属配線52、金属ピラー6、及び金属配線42は、それぞれ2つずつ設けられている。より具体的には、互いに電気的に接続された電極端子22、金属配線52、金属ピラー6、及び金属配線42の組は、Y軸方向から見た場合において、受光部21の両側の各々に設けられている。なお、上述したように複数の受光部21が設けられる場合には、受光部21の数に応じて電極端子22の数(すなわち、上記の組の数)が変動してもよい。
【0038】
(光半導体パッケージの製造方法)
図2図7を参照して、光半導体パッケージ1Aの製造工程の一例について説明する。本実施形態では、光半導体パッケージ1Aは、CoW(Chip on Wafer)方式又はCoP(Chip on Panel)方式によって製造される。
【0039】
まず、図2に示されるように、受光素子2と金属ピラー6の端部6aとが、仮接合部材である基板50の仮接合面50a(例えば仮接合用の接着剤が塗布された面)に仮接合される(第1工程)。すなわち、受光素子2及び金属ピラー6は、後で取り外すことが可能な態様で、一時的に基板50に接合される。受光素子2は、第1面2aが基板50に対向するように基板50に仮接合される。本実施形態では、受光素子2の第1面2a上に設けられた絶縁層23が、基板50に仮接合される。
【0040】
基板50は、例えばシリコンウェハ、ガラスウェハ、SUSキャリア等である。基板上には、1つの光半導体パッケージ1Aに対応する単位領域が、格子状(二次元状)に複数並んで形成される。図2図7は、各製造工程における1つの単位領域の状態を表している。
【0041】
図3を参照して、基板50に金属ピラー6を仮接合する方法の一例について説明する。この例では、複数(単位領域数×各単位領域に含まれる金属ピラー数)の金属ピラー6の端部6aを露出させた状態で各金属ピラー6を位置決めする支持部材100が用いられる。具体的には、第1工程において基板50に金属ピラー6を仮接合する工程は、支持部材100によって、金属ピラー6の端部6aを露出させた状態で金属ピラー6を位置決めすると共に支持する工程と、支持部材100に支持されている金属ピラー6の端部6aに対して、基板50の仮接合面50aを接触させることにより、基板50に金属ピラー6の端部6aを仮接合する工程と、を含む。上記構成によれば、支持部材100によって位置決め及び支持された状態の金属ピラー6に基板50の仮接合面50aを接触させる比較的簡易な操作によって、基板50に金属ピラー6を仮接合することができる。
【0042】
まず、図3の(A)に示されるように、支持部材100によって、金属ピラー6の端部6aを露出させた状態で、金属ピラー6が位置決めされると共に支持される。この例では、支持部材100は、金属ピラー6の幅よりも大きい幅を有する貫通孔101aが形成された板状部材101と、金属ピラー6の端部6bが載置及び支持される支持基板102と、を有している。なお、貫通孔101aの大きさは、金属ピラー6を挿入可能であり、且つ、金属ピラー6の横方向の位置ずれを許容誤差範囲内に収めることが可能な大きさに調整されている。各金属ピラー6は、板状部材101の貫通孔101aに挿通されて位置決めされると共に、支持基板102に支持される。金属ピラー6が支持部材100に支持された状態において、端部6aは、板状部材101に対して支持基板102側とは反対側に突出している。なお、板状部材101と支持基板102とは、図3に示されるように別体として形成されてもよいし、一体的に形成されてもよい。また、板状部材101と支持基板102との間には、図3に示されるようにスペース(隙間)が設けられてもよいし、このようなスペースが設けられなくてもよい。
【0043】
続いて、図3の(B)に示されるように、支持部材100に支持されている金属ピラー6の端部6aに対して、基板50の仮接合面50aが接触させられる。これにより、図3の(C)に示されるように、基板50の仮接合面50aに金属ピラー6の端部6aが仮接合される。
【0044】
上記構成によれば、金属ピラー6の端部6aが板状部材101よりも突出した状態で、金属ピラー6が支持部材100によって支持されるため、基板50の仮接合面50aを端部6aに接触させる際に、基板50の仮接合面50aが板状部材101に接触することを防止することができる。すなわち、基板50の仮接合面50aが板状部材101に貼り付いてしまうことを的確に防止することができる。
【0045】
ここで、図4に示されるように、金属ピラー6の代わりにフランジ部62を有する金属ピラー6Aが用いられてもよい。金属ピラー6Aは、端部6bを含む軸部61と、端部6aを含み且つ軸部61よりも幅広に形成されたフランジ部62と、を有する。フランジ部62は、端部6aにおいて、軸部61の軸方向に直交する方向に外側に延在する部分である。軸方向から見たフランジ部62の形状は、例えば円形状である。板状部材101の貫通孔101aは、軸部61の幅よりも大きくフランジ部62の幅よりも小さい幅を有するように設定されている。金属ピラー6Aは、軸部61が貫通孔101aに挿通され、フランジ部62の端部6b側の内面62aが板状部材101の貫通孔101aの周縁部に当接することによって、板状部材101に支持される。この状態で、金属ピラー6Aの端部6aに対して、基板50の仮接合面50aを接触させることにより、基板50に金属ピラー6Aの端部6aを仮接合することができる。上記構成によれば、フランジ部62を板状部材101の貫通孔101aの周縁部に引っかけて支持することが可能となるため、端部6bを支持するための支持基板102が不要となる。その結果、支持部材100を簡素化することができる。また、フランジ部62を設けることにより、基板50上に立設される金属ピラー6Aの姿勢(垂直性)をより安定化させることができる。
【0046】
ただし、基板50に金属ピラー6を形成する方法は、上記に限られない。例えば、金属ピラー6を移載可能に構成された移載装置によって金属ピラー6を基板50上の指定位置に移載することにより、基板50上に金属ピラー6を形成してもよい。上記方法によれば、移載装置を制御することにより、基板50上の任意の位置に精度良く金属ピラー6を配置することができる。また、基板50上に金属パターン(金属ピラー6)を形成するための半導体前工程(シード層形成、フォトリソグラフィ、電解Cuめっき、レジスト除去、シード層エッチング等)を実施することにより、基板50上に金属ピラー6を形成してもよい。上記方法によっても、金属ピラー6のパターン(位置及び形状)を高精度に制御することができる。或いは、基板50上に金属パッドを形成し、当該金属パッド上に垂直に延びるワイヤが形成されるようにワイヤボンディングを実施し、金属パッド上に接合されたワイヤを適当な長さで切断することにより、金属ピラー6(すなわち、金属パッドとワイヤとを合わせた構造)を形成してもよい。上記方法によれば、ボンディング条件(パラメータ)を調整することにより、任意の径及び長さのワイヤ(金属ピラー6)を形成することができる。
【0047】
続いて、図5の(A)に示されるように、各単位領域に配置された受光素子2及び金属ピラー6を覆うモールド樹脂3が、基板50上に形成される(第2工程)。1つの単位領域に着目すると、モールド樹脂3は、受光素子2の第2面2bと側面とを覆うと共に、各金属ピラー6の端部6aを除く部分(端部6b及び側面)の全体を覆うように形成される。
【0048】
続いて、図5の(B)に示されるように、受光素子2の第2面2bに対向する側(すなわち、端面3b側)からモールド樹脂3を研磨又は研削することにより、受光素子2の第2面2bと金属ピラー6の端部6bとが露出させられる(第3工程)。「研磨又は研削」とは、研磨及び研削のいずれか一方のみを実施する場合を含むと共に、研磨及び研削の両方を実施する場合を含む。このとき、各単位領域において、モールド樹脂3の端面3bと共に、受光素子2の第2面2bも併せて研磨又は研削されてもよい。同様に、金属ピラー6の端部6bも研磨又は研削されてもよい。つまり、モールド樹脂3の端面3bの研磨又は研削によって各単位領域の受光素子2の第2面2b又は金属ピラー6の端部6bが露出した後、さらにモールド樹脂3の端面3bと第2面2b又は端部6bとを一括で研磨又は研削する処理が継続されてもよい。その結果、図5の(B)に示されるように、受光素子2が薄型化されると共に、受光素子2の第2面2b及び金属ピラー6の端部6bが外部に露出した状態となる。以上の処理により、受光素子2の第2面2b、金属ピラー6の端部6b、及びモールド樹脂3の端面3bは、略面一となる。
【0049】
続いて、図6の(A)に示されるように、受光素子2の第2面2b上、及び第2面2bと連続するモールド樹脂3の端面3b上に、配線層4が形成される。本実施形態では、受光素子2の第2面2b、金属ピラー6の端部6b、及びモールド樹脂3の端面3b上に、絶縁層41及び金属配線42が形成される。
【0050】
例えば、図5の(B)に示される状態から、絶縁層41のパターニング及び金属配線42のパターン形成を半導体プロセス(シード層形成、フォトリソグラフィ、電解めっき等)を用いて行うことにより、図6の(A)に示される構造が得られる。配線層4は、金属配線42における端部6bに接続される部分の配線幅が端部6bの幅よりも大きくなるように形成される。より具体的には、絶縁層41の開口41aの幅は、金属ピラー6の端部6bの幅よりも大きく形成される。これにより、金属配線42における端部6bに接続される部分の配線幅w11(図1参照)が金属ピラー6の端部6bの幅w12(図1参照)よりも大きく形成される。上記構成によれば、第2工程(モールド樹脂3を形成する工程)において生じ得る金属ピラー6の位置ずれを吸収することができる。すなわち、金属配線42の配線幅を大きくすることにより、第2工程におけるモールド樹脂3の流入によって金属ピラー6の位置が多少ずれたとしても、金属配線42と金属ピラー6(端部6b)とをより確実に接触させることができる。
【0051】
なお、上記とは逆に、金属配線42における端部6bに接続される部分の配線幅が金属ピラー6の端部6bの幅よりも小さくなるように、配線層4が形成されてもよい(後述する第2実施形態参照)。この場合、金属ピラー6の大きさ(幅)の影響を受けずに、金属配線42を形成することができる。例えば、金属ピラー6(端部6b)の幅が比較的大きい場合に金属配線42の幅を金属ピラー6の幅よりもさらに大きくすると、金属配線42が配線層4に設けられる他の配線と干渉し易くなるという問題が生じ得る。上記構成によれば、このような問題の発生を回避することができる。
【0052】
続いて、図6の(B)に示されるように、受光素子2、金属ピラー6、及びモールド樹脂3から基板50が分離される(第5工程)。また、加工面(加工対象の面)が、受光素子2の第2面2b側の面から、受光素子2の第1面2a側の面(すなわち、基板50が分離された後に露出する面)に変更される。
【0053】
続いて、上記のように基板50が受光素子2、金属ピラー6、及びモールド樹脂3から分離された後(すなわち、第5工程よりも後)に、図7の(A)に示されるように、受光素子2及びモールド樹脂3に対して配線層4が位置する側とは反対側に、配線層5が形成される(第6工程)。本実施形態では、絶縁層23のうち受光部21と重ならない部分、金属ピラー6の端部6a、及びモールド樹脂3の端面3a上に、絶縁層51及び金属配線52が形成される。また、金属配線42の外側端部に対する無電解めっきが行われることにより、上記外側端部の表面にめっき部43が形成される。
【0054】
例えば、図6の(B)に示される状態から、絶縁層51のパターニング及び金属配線52のパターン形成を半導体プロセス(シード層形成、フォトリソグラフィ、電解めっき等)を用いて行うことにより、図7の(A)に示される構造が得られる。配線層5は、金属配線52における端部6aに接続される部分の配線幅が端部6aの幅よりも大きくなるように形成される。より具体的には、絶縁層51の開口51aの幅は、金属ピラー6の端部6aの幅よりも大きく形成される。これにより、金属配線52における端部6aに接続される部分の配線幅w21(図1参照)が金属ピラー6の端部6aの幅w22(図1参照)よりも大きく形成される。上記構成によれば、第2工程(モールド樹脂3を形成する工程)において生じ得る金属ピラー6の位置ずれを吸収することができる。すなわち、金属配線52の配線幅を大きくすることにより、第2工程におけるモールド樹脂3の流入によって金属ピラー6の位置が多少ずれたとしても、金属配線52と金属ピラー6(端部6a)とをより確実に接触させることができる。
【0055】
なお、上記とは逆に、金属配線52における端部6aに接続される部分の配線幅が金属ピラー6の端部6aの幅よりも小さくなるように、配線層5が形成されてもよい(後述する第2実施形態参照)。この場合、金属ピラー6の大きさ(幅)の影響を受けずに、金属配線52を形成することができる。例えば、金属ピラー6(端部6a)の幅が比較的大きい場合に金属配線52の幅を金属ピラー6の幅よりもさらに大きくすると、金属配線52が配線層5に設けられる他の配線と干渉し易くなるという問題が生じ得る。上記構成によれば、このような問題の発生を回避することができる。
【0056】
続いて、図7の(B)に示されるように、単位領域間の境界線Lに沿ってダイシングが行われる。これにより、個片化された複数の光半導体パッケージ1Aが得られる。
【0057】
(作用効果)
上記の光半導体パッケージ1Aの製造方法では、第1工程において、基板50と受光素子2との間に隙間が形成されないように、受光素子2が基板50に仮接合される。これにより、第2工程において、受光素子2と基板50との間にモールド樹脂3が流れ込むこと、すなわち、受光部21に対向する位置にモールド樹脂3が形成されることを防止することができる。その結果、受光部21がモールド樹脂3に覆われることに起因する受光感度の低下を回避することができる。また、受光素子2及び金属ピラー6が基板50に仮接合されることによって各部材が安定的に固定された状態で、第2工程を安定的且つ精度良く実施することが可能となる。より具体的には、モールド樹脂3の硬化時におけるパッケージの反りの発生を抑制できる。以上により、上記製造方法によれば、光半導体パッケージ1Aを信頼性高く製造することができる。また、受光素子2は、第1面2aに受光面を有している。上記構成によれば、表面入射型の受光素子2の表面が第1面2aである光半導体パッケージ1Aを信頼性高く製造することができる。
【0058】
また、上記の光半導体パッケージ1Aの製造方法によれば、以下の効果も奏される。すなわち、特許文献1に開示された手法のように、バンプ接続を用いてガラス基板から受光素子を離間させて配置する場合には、バンプ量のばらつきに起因してガラス基板に対して受光素子が傾いてしまい、光軸ずれが生じる結果、ユニフォミティが低下するおそれがある。一方、上記の光半導体パッケージ1Aの製造方法によれば、基板50に対して受光素子2(絶縁層23)を密着させるため、受光素子2が基板50に対して傾いて配置されることを防止でき、上記のような問題の発生を回避できる。
【0059】
また、特許文献1に開示された手法では、ガラス基板と受光素子との間にアンダーフィルを封入するためにある程度受光素子をガラス基板から離して配置する必要がある。この場合、受光素子がパッケージの奥に位置することにより、ガラス基板に形成された配線層が受光部の視野を遮る構造になってしまい、受光素子のアクティブエリアが狭くなってしまう。上記の光半導体パッケージ1Aの製造方法によれば、このような問題の発生も回避できる。
【0060】
また、特許文献1に開示された手法では、ガラス基板と受光素子との間に封入したアンダーフィル内にボイドが生じたり、当該ボイドを無くすための特殊な処理を行ったりする必要が生じる場合があるが、上記の光半導体パッケージ1Aの製造方法によれば、受光素子2(受光部21)に対向する位置にアンダーフィルが形成されないため、上記のような問題の発生も回避できる。
【0061】
(変形例)
絶縁層23上における受光部21と対向する位置には、ガラス、バンドパスフィルタ、レンズ等の光学部品が取り付けられてもよい。このような光学部品を取り付ける工程は、例えば、配線層5を形成する工程(第6工程)の後に実施されてもよい。或いは、上述した光学部品は、本実施形態の製造工程が実行される前に予め受光素子2に取り付けられていてもよい。また、基板50を受光素子2等から分離(剥離)する工程(第5工程)は、第2工程が完了してから第6工程が開始されるまでの間の任意のタイミングで実施されればよい。例えば、基板50は、第2工程の完了後に直ちに除去されてもよい。或いは、第5工程は、少なくとも第3工程よりも後に実施されてもよい。例えば、第4工程は、第3工程の後に実施されてもよく、第5工程は、第4工程の後に実施されてもよい。上記構成によれば、基板50を第3工程(或いは、第3工程及び第4工程)においても取り付けた状態にすることによって、各部材の支持安定性を高めた状態で第3工程(或いは、第3工程及び第4工程)を信頼性高く実施できるという利点が得られる。特に、本実施形態では、受光部21が絶縁層23を介して外部に露出しているため、基板50を取り付けた状態にすることにより、各工程において受光部21を外部からの衝撃等から適切に保護することができる。また、第6工程を実施する際に、各部材の支持安定性を高めるために、仮接合部材としての基板(例えば基板50)を配線層4上に取り付けてもよい。
【0062】
[第2実施形態]
(光半導体パッケージの構造)
図8に示されるように、第2実施形態の光半導体パッケージ1Bは、モールド樹脂3の代わりに透明なモールド樹脂3Bを備える点において、光半導体パッケージ1Aと相違している。また、光半導体パッケージ1Bは、金属ピラー6(金属部材)の端部6aが絶縁層23の上面(第1面2a側とは反対側の面)よりも高い位置にあり、金属配線52における端部6aと接続される側とは反対側の端部52bと電極端子22とを接続する金属ピラー7を更に備える点においても、光半導体パッケージ1Aと相違している。以下、光半導体パッケージ1Bの構成のうち光半導体パッケージ1Aと異なる部分について説明し、光半導体パッケージ1Bの構成のうち光半導体パッケージ1Aと同様の部分についての説明を省略する。
【0063】
モールド樹脂3Bは、受光部21の検出対象となる光(波長)に対する透明性を有する材料によって形成されている。モールド樹脂3Bは、例えば、透明エポキシ樹脂等によって形成され得る。モールド樹脂3Bは、受光素子2の側面だけでなく、受光素子2の第1面2aに対向する部分(すなわち、絶縁層23上の領域)にも設けられており、金属ピラー6及び金属ピラー7の側面全体を覆っている。モールド樹脂3Bは、配線層5の開口部51bの内側にも設けられている。すなわち、モールド樹脂3Bの端面3b(第2面2bと面一に形成された端面)とは反対側の端面3aは、配線層5(絶縁層51)の外面と面一に形成されている。
【0064】
光半導体パッケージ1Bにおいては、配線層5(第1配線層)は、Z軸方向において、絶縁層23と離間している。このため、金属配線52(第1金属配線)と電極端子22とを電気的に接続するための金属ピラー7が設けられている。光半導体パッケージ1Bにおいては、金属配線52は、X軸方向において外側(受光素子2と重ならない部分)に配置される端部52a(第1端部)と、X軸方向において内側(受光素子2と重なる部分)に配置される端部52b(第2端部)と、を有している。端部52aは、金属ピラー6の端部6aに接続されている。端部52bは、金属ピラー7の端部7a(電極端子22側とは反対側の端部)に接続されている。なお、光半導体パッケージ1Bは、必ずしも柱状の金属ピラー7を備える必要はない。例えば、端部52bと電極端子22とは、導電性バンプを介して接続されてもよい。すなわち、端部52bと電極端子22とは、何らかの導電性部材によって電気的に接続されていればよい。また、当該導電性部材が端部52bと電極端子22との間に配置されることによって、後述する第5工程においてモールド樹脂3Bを内部空間S(図9の(B)参照)に導入するための隙間が、絶縁層23と絶縁層51との間に形成されればよい。
【0065】
(光半導体パッケージの製造方法)
図9図11を参照して、光半導体パッケージ1Bの製造工程の一例について説明する。本実施形態では、光半導体パッケージ1Bは、CoW方式又はCoP方式によって製造される。図9図11は、各製造工程における1つの単位領域の状態を示している。以下では、1つの単位領域のみに着目して説明を行う。
【0066】
まず、図9の(A)に示されるように、仮接合部材である基板50上に、基板50を露出させる開口部51bが設けられた配線層5が形成される(第1工程)。配線層5は、絶縁層51と金属配線52とを有している。開口部51bは、絶縁層51に設けられている。例えば、絶縁層51のパターニング及び金属配線52のパターン形成を半導体プロセス(シード層形成、フォトリソグラフィ、電解めっき等)を用いて行うことにより、図9の(A)に示される配線層5が得られる。なお、本実施形態では、絶縁層51の開口51aの幅は、金属ピラー6の端部6aの幅よりも小さく形成されており、その結果、金属配線52における端部6aに接続される部分の配線幅が金属ピラー6の端部6aの幅よりも小さく形成されている。ただし、第1実施形態と同様に、金属配線52における端部6aに接続される部分の配線幅は、金属ピラー6の端部6aの幅よりも大きく形成されてもよい。
【0067】
続いて、図9の(A)に示されるように、金属配線52の端部52aに接続され、配線層5から基板50側とは反対側に突出する金属ピラー6が形成される(第2工程)。金属ピラー6は、例えば、めっき処理、はんだバンプ形成処理等によって形成される。金属ピラー6は、端部52aに接続される端部6aと、端部6aとは反対側の端部6bと、を有している。
【0068】
続いて、図9の(B)に示されるように、受光素子2が準備される(第3工程)。続いて、端部52aとは異なる金属配線52の端部52bと電極端子22とが金属ピラー7を介して電気的に接続され、且つ、受光部21が開口部51bに対向する位置に配置されて基板50と受光素子2との間に内部空間Sが形成されるように、受光素子2が配置される(第4工程)。金属ピラー7は、端部52bに接続される端部7aと、端部7aとは反対側の端部7bと、を有している。なお、上述した通り、金属ピラー7は、何らかの導電性部材であればよく、例えば端部7bと電極端子22とをバンプ接合することによって形成される導電性バンプであってもよい。ここで、絶縁層51の上面(基板50側とは反対側の面)と絶縁層23の下面(基板50に対向する面)とは離間しており、絶縁層51と絶縁層23との間には、隙間が存在する。すなわち、内部空間Sは、当該隙間を介して、外部と連通している。言い換えれば、内部空間Sは、外部から遮断された閉空間とはされていない。
【0069】
続いて、図10の(A)に示されるように、モールド樹脂3Bが形成される(第5工程)。モールド樹脂3Bは、上述したように、受光部21の検出対象となる光に対する透明性を有する材料によって形成されており、受光素子2、金属ピラー6,7、及び配線層5を覆うと共に内部空間S(図9の(B)参照)に充填される。
【0070】
続いて、図10の(B)に示されるように、受光素子2の第2面2bに対向する側(すなわち、端面3b側)からモールド樹脂3Bを研磨又は研削することにより、受光素子2の第2面2bと金属ピラー6の端部6bとが露出させられる(第6工程)。このとき、各単位領域において、モールド樹脂3Bの端面3bと共に、受光素子2の第2面2bも併せて研磨又は研削されてもよい。同様に、金属ピラー6の端部6bも研磨又は研削されてもよい。つまり、モールド樹脂3Bの端面3bの研磨又は研削によって各単位領域の受光素子2の第2面2b又は金属ピラー6の端部6bが露出した後、さらにモールド樹脂3Bの端面3bと第2面2b又は端部6bとを一括で研磨又は研削する処理が継続されてもよい。その結果、図10の(B)に示されるように、受光素子2の第2面2b及び金属ピラー6の端部6bが外部に露出した状態となる。以上の処理により、受光素子2の第2面2b、金属ピラー6の端部6b、及びモールド樹脂3Bの端面3bは、略面一となる。
【0071】
続いて、図11の(A)に示されるように、受光素子2の第2面2b上、及び第2面2bと連続するモールド樹脂3Bの端面3b上に、配線層4が形成される(第7工程)。本実施形態では、受光素子2の第2面2b、金属ピラー6の端部6b、及びモールド樹脂3Bの端面3b上に、絶縁層41及び金属配線42(第2金属配線)が形成される。また、金属配線42の外側端部に対する無電解めっきが行われることにより、上記外側端部の表面にめっき部43が形成される。
【0072】
例えば、図10の(B)に示される状態から、絶縁層41のパターニング及び金属配線42のパターン形成を半導体プロセス(シード層形成、フォトリソグラフィ、電解めっき等)を用いて行うことにより、図11の(A)に示される構造が得られる。なお、本実施形態では、絶縁層41の開口41aの幅は、金属ピラー6の端部6bの幅よりも小さく形成されており、その結果、金属配線42における端部6bに接続される部分の配線幅が金属ピラー6の端部6bの幅よりも小さく形成されている。ただし、第1実施形態と同様に、金属配線42における端部6bに接続される部分の配線幅は、金属ピラー6の端部6bの幅よりも大きく形成されてもよい。
【0073】
続いて、図11の(B)に示されるように、配線層5及びモールド樹脂3Bから基板50が分離される(第8工程)。続いて、単位領域間の境界線Lに沿ってダイシングが行われる。これにより、個片化された複数の光半導体パッケージ1Bが得られる。
【0074】
(作用効果)
光半導体パッケージ1Bでは、第5工程においてモールド樹脂3Bが受光素子2と基板50との間の内部空間Sに充填されることにより、モールド樹脂3Bが受光部21を覆うことになるが、モールド樹脂3Bは受光部21の検出対象となる光に対する透明性を有するため、モールド樹脂3Bが受光部21を覆うことに起因する受光感度の低下が抑制される。さらに、第5工程において、単一の樹脂材料によって一括で、受光素子2と基板50との間の内部空間Sに充填され且つ各部材(受光素子2、金属ピラー6,7、及び配線層5)を覆うモールド樹脂3Bを形成することができる。これにより、2種類の樹脂部(例えば、互いに異なる材料又は異なるタイミングで形成される2つの樹脂部)が混在することに起因する信頼性の低下(例えば、2つの樹脂部の熱膨張係数差等に起因する応力による金属配線の損傷等)を回避することができる。以上により、上記製造方法によれば、光半導体パッケージ1Bを信頼性高く製造することができる。また、受光素子2は、第1面2aに受光面を有している。上記構成によれば、表面入射型の受光素子2の表面が第1面2aである光半導体パッケージ1Bを信頼性高く製造することができる。
【0075】
また、上記の光半導体パッケージ1Bの製造方法では、減圧下において第5工程を実施することにより、特殊な装置を利用することなく、ボイドのないモールド樹脂3Bを一括で形成することができる。
【0076】
(変形例)
基板50を配線層5等から分離(剥離)する工程(第8工程)は、第5工程が完了した後の任意のタイミングで実施されればよい。例えば、基板50は、第5工程の完了後に直ちに除去されてもよい。或いは、第8工程は、少なくとも第6工程よりも後に実施されてもよい。例えば、第7工程は、第6工程の後に実施されてもよく、第8工程は、第7工程の後に実施されてもよい。上記構成によれば、基板50を第6工程(或いは、第6工程及び第7工程)においても取り付けた状態にすることによって、各部材の支持安定性を高めた状態で第6工程及び第7工程を信頼性高く実施できるという利点が得られる。
【0077】
[第3実施形態]
(光半導体パッケージの構造)
図12に示されるように、第3実施形態の光半導体パッケージ1Cは、配線層5の代わりに配線層5Cを備える点において、光半導体パッケージ1Aと相違している。以下、光半導体パッケージ1Cの構成のうち光半導体パッケージ1Aと異なる部分について説明し、光半導体パッケージ1Cの構成のうち光半導体パッケージ1Aと同様の部分についての説明を省略する。
【0078】
配線層5Cは、絶縁層51の代わりに絶縁層51Cを有する点において、光半導体パッケージ1Aの配線層5と相違している。絶縁層51Cは、透明な樹脂絶縁膜によって形成されると共に開口部51bが設けられていない点において、絶縁層51と相違している。絶縁層51Cは、受光部21の検出対象となる光に対する透明性を有する材料によって形成されている。絶縁層51Cは、例えば、透明エポキシ樹脂、透明ポリイミド樹脂等によって形成され得る。
【0079】
(光半導体パッケージの製造方法)
図13図15を参照して、光半導体パッケージ1Cの製造工程の一例について説明する。本実施形態では、光半導体パッケージ1Cは、CoW方式又はCoP方式によって製造される。図13図15は、各製造工程における1つの単位領域の状態を示している。以下では、1つの単位領域のみに着目して説明を行う。
【0080】
本実施形態に係る光半導体パッケージ1Cの製造方法は、
受光部21及び受光部21と電気的に接続された電極端子22が設けられた第1面2aを有する受光素子2を準備する第1工程と、
受光部21の検出対象となる光に対する透明性を有する絶縁層51Cと金属配線52とを含む配線層5Cを基板50上に形成する第2工程と、
金属配線52の端部52aに接続され、配線層5Cから基板50側とは反対側に突出する金属部材(金属ピラー6)を形成する第3工程と、
金属配線52の端部52bと電極端子22とが電気的に接続されるように、受光素子2を配線層5C上に配置する第4工程と、
受光素子2、金属ピラー6、及び配線層5Cを覆う樹脂部(モールド樹脂3)を形成する第5工程と、
受光素子2の第2面2bに対向する側からモールド樹脂3を研磨又は研削することにより、受光素子2の第2面2bと金属ピラー6の端部6bとを露出させる第6工程と、
受光素子2の第2面2b上、及び第2面2bと連続するモールド樹脂3の端面3b上に、金属ピラー6の端部6bと電気的に接続される金属配線42を含む配線層4を形成する第7工程と、
配線層5C及びモールド樹脂3から基板50を分離する第8工程と、を含む。
【0081】
まず、受光素子2(図13の(B)参照)が準備される(第1工程)。続いて、図13の(A)に示されるように、仮接合部材である基板50上に、配線層5Cが形成される(第2工程)。上述したように、配線層5Cは、絶縁層51Cと金属配線52とを有している。例えば、絶縁層51Cのパターニング及び金属配線52のパターン形成を半導体プロセス(シード層形成、フォトリソグラフィ、電解めっき等)を用いて行うことにより、図13の(A)に示される配線層5Cが得られる。なお、本実施形態では、絶縁層51Cの開口51aの幅は、金属ピラー6の端部6aの幅よりも大きく形成されており、その結果、金属配線52における端部6aに接続される部分の配線幅が金属ピラー6の端部6aの幅よりも大きく形成されている。ただし、第2実施形態と同様に、金属配線52における端部6aに接続される部分の配線幅は、金属ピラー6の端部6aの幅よりも小さく形成されてもよい。
【0082】
続いて、図13の(A)に示されるように、金属配線52の端部52aに接続され、配線層5Cから基板50側とは反対側に突出する金属ピラー6が形成される(第3工程)。金属ピラー6は、例えば、めっき処理、はんだバンプ形成処理等によって形成される。
【0083】
続いて、図13の(B)に示されるように、金属配線52の端部52bと電極端子22とが電気的に接続されるように、受光素子2が配線層5C上に配置される(第4工程)。端部52bと電極端子22とは、例えば、バンプ接合によって接続される。これにより、絶縁層51Cと絶縁層23とは、互いに当接した状態となり、絶縁層51Cと絶縁層23との間に隙間は形成されない。なお、端部52bと電極端子22とは、銅及び絶縁膜を用いたハイブリッド接合によって接続されてもよい。
【0084】
続いて、図14の(A)に示されるように、モールド樹脂3が形成される(第5工程)。モールド樹脂3は、受光素子2、金属ピラー6、及び配線層5Cを覆うように形成される。
【0085】
続いて、図14の(B)に示されるように、受光素子2の第2面2bに対向する側(すなわち、端面3b側)からモールド樹脂3を研磨又は研削することにより、受光素子2の第2面2bと金属ピラー6の端部6bとが露出させられる(第6工程)。このとき、各単位領域において、モールド樹脂3の端面3bと共に、受光素子2の第2面2bも併せて研磨又は研削されてもよい。同様に、金属ピラー6の端部6bも研磨又は研削されてもよい。つまり、モールド樹脂3の端面3bの研磨又は研削によって各単位領域の受光素子2の第2面2b又は金属ピラー6の端部6bが露出した後、さらにモールド樹脂3の端面3bと第2面2b又は端部6bとを一括で研磨又は研削する処理が継続されてもよい。その結果、図14の(B)に示されるように、受光素子2の第2面2b及び金属ピラー6の端部6bが外部に露出した状態となる。以上の処理により、受光素子2の第2面2b、金属ピラー6の端部6b、及びモールド樹脂3の端面3bは、略面一となる。
【0086】
続いて、図15の(A)に示されるように、受光素子2の第2面2b上、及び第2面2bと連続するモールド樹脂3の端面3b上に、配線層4が形成される(第7工程)。本実施形態では、受光素子2の第2面2b、金属ピラー6の端部6b、及びモールド樹脂3の端面3b上に、絶縁層41及び金属配線42が形成される。また、金属配線42の外側端部に対する無電解めっきが行われることにより、上記外側端部の表面にめっき部43が形成される。
【0087】
例えば、図14の(B)に示される状態から、絶縁層41のパターニング及び金属配線42のパターン形成を半導体プロセス(シード層形成、フォトリソグラフィ、電解めっき等)を用いて行うことにより、図15の(A)に示される構造が得られる。なお、本実施形態では、絶縁層41の開口41aの幅は、金属ピラー6の端部6bの幅よりも大きく形成されており、その結果、金属配線42における端部6bに接続される部分の配線幅が金属ピラー6の端部6bの幅よりも大きく形成されている。ただし、第2実施形態と同様に、金属配線42における端部6bに接続される部分の配線幅は、金属ピラー6の端部6bの幅よりも小さく形成されてもよい。
【0088】
続いて、図15の(B)に示されるように、配線層5及びモールド樹脂3から基板50が分離される(第8工程)。続いて、単位領域間の境界線Lに沿ってダイシングが行われる。これにより、個片化された複数の光半導体パッケージ1Cが得られる。
【0089】
上記のような製造方法によれば、受光素子2の表面側(第1面2a側)の配線層5を先に作製した後に、受光素子2の搭載(チップマウント)、樹脂モールド(モールド樹脂3の形成)、及び受光素子2の裏面側(第2面2b側)の配線層4の作製を行う手順によって、光半導体パッケージ1Cを製造することができる。なお、上記製造方法においても、基板50を配線層5等から分離(剥離)する工程(第8工程)は、第5工程が完了した後の任意のタイミングで実施されればよい。例えば、基板50は、第5工程の完了後に直ちに除去されてもよい。ただし、基板50を第6工程及び第7工程においても取り付けた状態にすることによって、各部材の支持安定性を高めた状態で第6工程及び第7工程を信頼性高く実施できるという利点が得られる。
【0090】
上記の光半導体パッケージ1Cの製造方法において、「配線層5C」及び「絶縁層51C」を「配線層5」及び「絶縁層51」に置き換えると共に、図13に示した工程を図16に示す工程に置き換えることにより、光半導体パッケージ1Aと同様の構造を有する光半導体パッケージを製造することができる。
【0091】
より具体的には、上記の光半導体パッケージ1Cの製造方法の第2工程は、「絶縁層51と金属配線52とを含むと共に基板50を露出させる開口部51bが設けられた配線層5を基板50上に形成する第2工程」に置き換えられる。これにより、第3工程が完了した時点において、図13の(A)に示される構造の代わりに、図16の(A)に示される構造が得られる。
【0092】
また、上記の光半導体パッケージ1Cの製造方法の第4工程は、「金属配線52の端部52bと電極端子22とが電気的に接続され、且つ、受光部21が開口部51bに対向する位置に配置されて基板50と受光素子2との間に閉空間S1が形成されるように、受光素子2を配線層5上に配置する第4工程」に置き換えられる。これにより、第4工程が完了した時点において、図13の(B)に示される構造の代わりに、図16の(B)に示される構造が得られる。ここで、閉空間S1は、基板50と絶縁層23と絶縁層51とに包囲された密閉空間とされる。このため、第5工程において、モールド樹脂3は、受光素子2、金属ピラー6、及び配線層5を覆うように形成され、閉空間S1にはモールド樹脂3は充填されない。その結果、後続の第6工程~第8工程及びダイシングが完了した時点において、図1に示した光半導体パッケージ1Aと同様の構造を有する光半導体パッケージが得られる。
【0093】
以上、本開示のいくつかの実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限られない。各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。また、上述した一の実施形態又は変形例における一部の構成は、他の実施形態又は変形例における構成に任意に適用することができる。例えば、上記実施形態で示したように、基板50を仮接合部材として好適に用いることが可能であるが、仮接合部材は、基板以外の部材であってもよい。例えば、シート部材(例えば、シート状の非常に薄い部材)が仮接合部材として用いられてもよい。また、上記実施形態では、CoW方式又はCoP方式による製造方法を例示したが、上記以外の方式が採用されてもよい。例えば、チップ単位で光半導体パッケージが製造される場合、上記実施形態におけるダイシング工程は省略され得る。
【符号の説明】
【0094】
1A,1B,1C…光半導体パッケージ、2…受光素子、2a…第1面、2b…第2面、3,3B…モールド樹脂(樹脂部)、4…配線層(第1配線層、第2配線層)、5…配線層(第1配線層、第2配線層)、6,6A…金属ピラー(金属部材)、6a…端部(第1端部)、6b…端部(第2端部)、21…受光部、22…電極端子、42…金属配線(第1金属配線、第2金属配線)、50…基板、51b…開口部、52…金属配線(第1金属配線、第2金属配線)、61…軸部、62…フランジ部、62a…内面、100…支持部材、101…板状部材、101a…貫通孔、102…支持基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16