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特開2023-147619ツールチェンジャ、及びロボットアーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147619
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ツールチェンジャ、及びロボットアーム
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/04 20060101AFI20231005BHJP
   B23Q 3/155 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B25J15/04 A
B23Q3/155 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055237
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】520006148
【氏名又は名称】株式会社アイ・モーションテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 寿美男
(72)【発明者】
【氏名】岡田 靖
【テーマコード(参考)】
3C002
3C707
【Fターム(参考)】
3C002LL00
3C707BS12
3C707GS04
3C707GS11
3C707HS27
(57)【要約】
【課題】簡易な構成でエンドエフェクタに動作の自由度を付与することができるツールチェンジャ及びロボットアームを提供すること。
【解決手段】ツールチェンジャは、ロボットアームが備えるアーム部の先端に固定され、該アーム部と電気的に接続されるとともに、ワークに対して所定の処理を施すエンドエフェクタを着脱可能なツールチェンジャであって、前記アーム部から入力される電力により駆動するモータと、前記アーム部から入力される制御信号に応じて前記モータの駆動を制御するモータ制御部と、前記モータの駆動を用いて生成した1自由度の動作を前記エンドエフェクタに伝達する伝達機構と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームが備えるアーム部の先端に固定され、該アーム部と電気的に接続されるとともに、ワークに対して所定の処理を施すエンドエフェクタを着脱可能なツールチェンジャであって、
前記アーム部から入力される電力により駆動するモータと、
前記アーム部から入力される制御信号に応じて前記モータの駆動を制御するモータ制御部と、
前記モータの駆動を用いて生成した1自由度の動作を前記エンドエフェクタに伝達する伝達機構と、
を備えることを特徴とするツールチェンジャ。
【請求項2】
前記動作は、直動、傾斜、又は回転であることを特徴とする請求項1に記載のツールチェンジャ。
【請求項3】
前記エンドエフェクタに前記アーム部からの電力及び制御信号を伝達する端子を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のツールチェンジャ。
【請求項4】
前記エンドエフェクタを着脱可能に保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記モータを所定の方向に駆動させることにより前記エンドエフェクタを保持する一方、前記モータを前記所定の方向と反対方向に駆動させることにより前記エンドエフェクタの保持を解除することを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のツールチェンジャ。
【請求項5】
前記モータは、当該ツールチェンジャの中心軸周りに回転し、
前記伝達機構は、前記中心軸周りの回転を伝達し、前記エンドエフェクタを前記中心軸周りに回転させることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載のツールチェンジャ。
【請求項6】
前記モータは、当該ツールチェンジャの中心軸に平行な軸周りに回転し、
前記伝達機構は、前記軸周りの回転を変換して、前記エンドエフェクタを前記軸に直交する方向に直動させることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載のツールチェンジャ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載のツールチェンジャと、
前記ツールチェンジャに6自由度の動作を付与するとともに、前記ツールチェンジャを保持するアーム部と、
前記アーム部、及び前記ツールチェンジャを制御する制御部と、
を備えることを特徴とするロボットアーム。
【請求項8】
前記ツールチェンジャに着脱可能であり、かつ前記エンドエフェクタが固定されるアダプタ部を備えることを特徴とする請求項7に記載のロボットアーム。
【請求項9】
前記アダプタ部は、
固定された前記エンドエフェクタの駆動を制御するストッパーを備え、
前記ストッパーは、
前記アダプタ部が前記ツールチェンジャから取り外されている状態では、前記エンドエフェクタの駆動を規制し、
前記アダプタ部が前記ツールチェンジャに取り付けられている状態では、前記エンドエフェクタの駆動を解除することを特徴とする請求項8に記載のロボットアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツールチェンジャ、及びロボットアームに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットアームの先端に接続されるとともに、複数の機能が異なるツール(以下において、「エンドエフェクタ」ともいう)を接続可能なツールチェンジャが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/106662号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常のツールチェンジャは、エンドエフェクタを保持する機能しか有しないため、動作の自由度はアーム部とツール次第となり、用途が限定される。一方、複数のツールをツールチェンジャに実装し、回転により使用するツールを切り換える構成も提案されているが、装置構成が複雑である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成でエンドエフェクタに動作の自由度を付与することができるツールチェンジャ、及びロボットアームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るツールチェンジャは、ロボットアームが備えるアーム部の先端に固定され、該アーム部と電気的に接続されるとともに、ワークに対して所定の処理を施すエンドエフェクタを着脱可能なツールチェンジャであって、前記アーム部から入力される電力により駆動するモータと、前記アーム部から入力される制御信号に応じて前記モータの駆動を制御するモータ制御部と、前記モータの駆動を用いて生成した1自由度の動作を前記エンドエフェクタに伝達する伝達機構と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様に係るツールチェンジャは、前記動作は、直動、傾斜、又は回転であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様に係るツールチェンジャは、前記エンドエフェクタに前記アーム部からの電力及び制御信号を伝達する端子を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様に係るツールチェンジャは、前記エンドエフェクタを着脱可能に保持する保持部を備え、前記保持部は、前記モータを所定の方向に駆動させることにより前記エンドエフェクタを保持する一方、前記モータを前記所定の方向と反対方向に駆動させることにより前記エンドエフェクタの保持を解除することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様に係るツールチェンジャは、前記モータは、当該ツールチェンジャの中心軸周りに回転し、前記伝達機構は、前記中心軸周りの回転を伝達し、前記エンドエフェクタを前記中心軸周りに回転させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係るツールチェンジャは、前記モータは、当該ツールチェンジャの中心軸に平行な軸周りに回転し、前記伝達機構は、前記軸周りの回転を変換して、前記エンドエフェクタを前記軸に直交する方向に直動させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様に係るロボットアームは、ツールチェンジャと、前記ツールチェンジャに6自由度の動作を付与するとともに、前記ツールチェンジャを保持するアーム部と、前記アーム部、及び前記ツールチェンジャを制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様に係るロボットアームは、前記ツールチェンジャに着脱可能であり、かつ前記エンドエフェクタが固定されるアダプタ部を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様に係るロボットアームは、前記アダプタ部は、固定された前記エンドエフェクタの駆動を制御するストッパーを備え、前記ストッパーは、前記アダプタ部が前記ツールチェンジャから取り外されている状態では、前記エンドエフェクタの駆動を規制し、前記アダプタ部が前記ツールチェンジャに取り付けられている状態では、前記エンドエフェクタの駆動を解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構成でエンドエフェクタに動作の自由度を付与することができるツールチェンジャ、及びロボットアームを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施の形態1に係るツールチェンジャを含むロボットアームの全体構成を示す模式図である。
図2図2は、ツールチェンジャにアダプタ部が取り付けられた状態を表す斜視図である。
図3図3は、ツールチェンジャにアダプタ部が取り付けられた状態を表す断面図である。
図4図4は、ツールチェンジャの先端側の斜視図である。
図5図5は、ツールチェンジャを先端側から見た図である。
図6図6は、アダプタ部の基端側の斜視図である。
図7図7は、ツールチェンジャからアダプタ部を取り外した状態を表す斜視図である。
図8図8は、エンドエフェクタ取付板ストッパーを含む部分拡大図である。
図9図9は、エンドエフェクタ取付板ストッパーを含む部分拡大図である。
図10図10は、ツールチェンジャを先端側から見た図である。
図11図11は、ツールチェンジャを先端側から見た図である。
図12図12は、ツールチェンジャからアダプタ部を取り外した状態を表す斜視図である。
図13図13は、ツールチェンジャの先端側の斜視図である。
図14図14は、ツールチェンジャを先端側から見た図である。
図15図15は、アダプタ部の基端側の斜視図である。
図16図16は、ツールチェンジャを先端側から見た図である。
図17図17は、ツールチェンジャを先端側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して本発明に係るツールチェンジャ、及びロボットアームの実施の形態を説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。本発明は、エンドエフェクタを交換可能なツールチェンジャ、及びロボットアーム一般に適用することができる。
【0018】
また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0019】
(実施の形態1)
〔ロボットアームの構成〕
まず、実施の形態1に係るツールチェンジャを含むロボットアーム全体の構成を説明する。図1は、実施の形態1に係るツールチェンジャを含むロボットアームの全体構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態1に係るロボットアーム1は、ベース部2と、アーム部3と、ツールチェンジャ4と、アダプタ部5と、を備える。
【0020】
ロボットアーム1は、ツールチェンジャ4を先端に取り付け、ワークに対して所定の処理を施すエンドエフェクタを交換することにより、ワークに対して様々な処理を施すことができる。
【0021】
ベース部2の内部には、外部のホストからの指示入力に応じて、ロボットアーム1を統合的に制御する制御部が設けられている。制御部は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の各種の信号処理回路によって構成される。そして、制御部は、アーム部3及びツールチェンジャ4の駆動を制御する制御信号をベース部2から出力する。また、ベース部2には、外部電源から電力が供給され、ベース部2の駆動に用いられるとともに、アーム部3に電力を供給する。
【0022】
アーム部3は、駆動部31~36を備える。駆動部31~36は、ベース部2から供給される電力で駆動するモータを備え、ベース部2から入力される制御信号に応じてモータが駆動される。また、アーム部3は、ベース部2から供給された電力の一部をツールチェンジャ4に伝達するとともに、ベース部2から入力された制御信号の一部をツールチェンジャ4に伝達する。
【0023】
駆動部31は、矢印A1に沿って回転方向の自由度を付与する。駆動部32は、矢印A2に沿って傾斜方向の自由度を付与する。駆動部33は、矢印A3に沿って回転方向の自由度を付与する。駆動部34は、矢印A4に沿って傾斜方向の自由度を付与する。駆動部35は、矢印A5に沿って回転方向の自由度を付与する。駆動部36は、矢印A6に沿って傾斜方向の自由度を付与する。これらの駆動部31~36によって、アーム部3は、6自由度を実現する。
【0024】
ツールチェンジャ4は、アーム部3の先端に固定され、アーム部3と電気的に接続されるとともに、アダプタ部5と一体的にエンドエフェクタを着脱可能である。ツールチェンジャ4は、アーム部3の先端に例えばネジで固定されている。
【0025】
アダプタ部5の先端側の面には、エンドエフェクタが固定される。そして、ツールチェンジャ4を駆動することにより、アダプタ部5の先端側の面とエンドエフェクタとが、矢印A7に沿って一体的に回転する。アダプタ部5は、例えば着脱可能な爪によりツールチェンジャ4に取り付けられる。
【0026】
〔ツールチェンジャの構成〕
次に、ツールチェンジャ4の構成を説明する。図2は、ツールチェンジャにアダプタ部が取り付けられた状態を表す斜視図である。図2に示すように、ツールチェンジャ4は、円柱状をなし、先端側の面にアダプタ部5が取り付けられている。
【0027】
図3は、ツールチェンジャにアダプタ部が取り付けられた状態を表す断面図である。図3に示すように、ツールチェンジャ4は、モータ401と、ギヤヘッド402と、伝達機構としての出力回転軸403と、モータ制御部としての基板404と、センサ部405と、ベアリング406と、を備える。
【0028】
モータ401は、アーム部3から入力される電力により、ツールチェンジャ4の中心軸周りに回転する。
【0029】
ギヤヘッド402は、モータ401の回転駆動を減速して出力回転軸403に伝達する。
【0030】
出力回転軸403は、ギヤヘッド402を介して入力されるモータ401の中心軸周りの回転駆動をエンドエフェクタに伝達する。換言すると、出力回転軸403は、エンドエフェクタを中心軸周りに回転させる回転方向の1自由度の動作を付与する。
【0031】
基板404は、アーム部3から入力される制御信号に応じてモータ401の駆動を制御する。
【0032】
センサ部405は、出力回転軸403の回転位置を検出する。
【0033】
ベアリング406は、出力回転軸403の回転動作によって生じる摩擦を低減する。
【0034】
図4は、ツールチェンジャの先端側の斜視図である。図4に示すように、ツールチェンジャ4は、保持部としてのロックパーツ407と、端子408と、を備える。
【0035】
ロックパーツ407は、モータ401の駆動によりエンドエフェクタを着脱可能に保持する。
【0036】
端子408は、エンドエフェクタにアーム部3からの電力及び制御信号を伝達する。エンドエフェクタ側に駆動装置がある場合には、端子408から電力及び制御信号を出力し、この駆動装置を駆動制御することにより、エンドエフェクタにさらに複雑な動作をさせることも可能である。
【0037】
図5は、ツールチェンジャを先端側から見た図である。図5に示すように、ツールチェンジャ4は、バネ409を備える。バネ409は、ロックパーツ407を図5の時計回り方向に付勢する。
【0038】
〔アダプタ部の構成〕
次に、アダプタ部5の構成を説明する。図3に示すように、アダプタ部5は、エンドエフェクタ回転軸501と、エンドエフェクタ取付板502と、ベアリング503と、を備える。
【0039】
エンドエフェクタ回転軸501は、出力回転軸403と嵌合し、出力回転軸403と一体的に回転する。
【0040】
エンドエフェクタ取付板502は、エンドエフェクタ回転軸501にネジ等で固定されており、エンドエフェクタ回転軸501とともに回転する。エンドエフェクタ取付板502には、エンドエフェクタがネジ等により固定される。
【0041】
ベアリング503は、エンドエフェクタ回転軸501の回転動作によって生じる摩擦を低減する。
【0042】
図6は、アダプタ部の基端側の斜視図である。図6に示すように、アダプタ部5は、嵌合部504と、エンドエフェクタ取付板ストッパー505と、プローブ506と、を備える。
【0043】
嵌合部504は、ツールチェンジャ4側の溝部に嵌合する。
【0044】
エンドエフェクタ取付板ストッパー505は、アダプタ部5に固定されたエンドエフェクタ及びエンドエフェクタ取付板502の回転駆動を制御する。図8図9は、エンドエフェクタ取付板ストッパーを含む部分拡大図である。これらの拡大図は、エンドエフェクタ取付板ストッパー505が露出するようにツールチェンジャ4の中心軸に平行に切断した切断面を表す。図8は、アダプタ部5をツールチェンジャ4に取り付ける前の状態を示し、図9は、アダプタ部5をツールチェンジャ4に取り付けた状態を示す。
【0045】
図8に示す取り付け前の状態において、バネ507がエンドエフェクタ取付板ストッパー505の一部を図8の下方に付勢していることにより、回転止め505aがエンドエフェクタ取付板502の穴部502aに挿入された状態が維持され、エンドエフェクタ取付板502の回転が規制されている。換言すると、エンドエフェクタ取付板ストッパー505は、アダプタ部5がツールチェンジャ4から取り外されている状態では、エンドエフェクタの駆動を規制する。
【0046】
一方、図9に示す取り付け後の状態において、突き当て部508がツールチェンジャ4の所定の部分と当接し、突き当りストッパー505bを押圧することにより、回転止め505aが穴部502aから抜け、エンドエフェクタ取付板502が回転可能な状態となる。換言すると、エンドエフェクタ取付板ストッパー505は、アダプタ部5がツールチェンジャ4に取り付けられている状態では、エンドエフェクタの駆動を解除する。
【0047】
プローブ506は、端子408から電力及び制御信号の入力を受け付ける。
【0048】
〔ツールチェンジャの動作〕
次に、ツールチェンジャ4の動作を説明する。図5は、アダプタ部5の嵌合部504をツールチェンジャ4の溝部に嵌合させた初期状態を表す。この状態では、バネ409がロックパーツ407を時計回りの方向に付勢しているが、ロックパーツ407と一体的に形成されているストッパー407aと出力回転軸403と一体的に形成されている突出部403aとが当接しており、ロックパーツ407の回転が規制されている。
【0049】
この状態から、アーム部3からの電力及び制御信号に応じて、モータ401が回転する。図5と同様に、図10図11は、ツールチェンジャを先端側から見た図である。図10に示すように、モータ401が回転し、追従して出力回転軸403が回転すると、ストッパー407aと突出部403aとが当接する位置が変化しロックパーツ407が回転する。すると、ロックパーツ407のフランジ407bに引掛け部504aが引っ掛かった状態となり、ロックパーツ407の回転が規制されるとともに、アダプタ部5がツールチェンジャ4から脱落することが防止された状態となる。換言すると、ロックパーツ407は、モータ401を所定の方向に駆動することによりエンドエフェクタを保持する。
【0050】
さらに、モータ401が回転すると、図11に示すように、出力回転軸403及びエンドエフェクタ回転軸501のみが一体的に回転する。このときモータ401の回転量を制御することにより、エンドエフェクタ回転軸501に固定されたエンドエフェクタ取付板502を任意の角度に回転させることが可能となる。
【0051】
なお、エンドエフェクタ取付板502が任意の角度にある状態から、出力回転軸403を反時計回りに回転させるようにモータ401を駆動して、図10の位置まで戻し、そこからさらに出力回転軸403を反時計回りに回転させるようにモータ401を駆動すると、フランジ407bから引掛け部504aが外れ、ツールチェンジャ4からアダプタ部5を取り外すことができる。換言すると、ロックパーツ407は、モータ401を所定の方向と反対方向に駆動することによりエンドエフェクタの保持を解除する。
【0052】
以上説明した実施の形態1によれば、アーム部3からの電力及び制御信号により、エンドエフェクタ取付板502を任意の角度に回転させることができるため、簡易な構成でエンドエフェクタに動作の自由度を付与することができる。従って、装置が大型化、重量化することがなく、可搬性、軽量性に優れている。
【0053】
また、実施の形態1によれば、ロックパーツ407によるアダプタ部5の保持及び解除も、モータ401の駆動のみで行うことができるため、他の駆動機構を用いることなくアダプタ部5を簡易に保持することができる。
【0054】
また、実施の形態1によれば、ロボットアーム1の制御系を同一とし、単一電源化を可能としたことから、ロボットアーム1単体で場所を選ばず稼働させることができ、作業場所や外部環境に対して高い適応能力を実現できる。
【0055】
(実施の形態2)
〔ツールチェンジャの構成〕
まず、ツールチェンジャの構成を説明する。図12は、ツールチェンジャからアダプタ部を取り外した状態を表す斜視図である。図12に示すように、実施の形態2に係るツールチェンジャ6には、アダプタ部7を取り付けることができる。
【0056】
図13は、ツールチェンジャの先端側の斜視図である。図13に示すように、ツールチェンジャ6は、スライダ601と、ロックパーツ602と、を備える。
【0057】
図14は、ツールチェンジャを先端側から見た図である。図14に示すように、ツールチェンジャ6は、ラック603と、モータ出力軸604と、レール605と、ラック押さえ606と、バネ607と、を備える。
【0058】
スライダ601は、ツールチェンジャ6の中心軸に平行な軸周りに回転するモータからの軸周りの回転を変換して、エンドエフェクタを軸に直交する方向に直動させる。
【0059】
ロックパーツ602は、モータの駆動によりエンドエフェクタを着脱可能に保持する。
【0060】
ラック603は、モータ出力軸604と噛み合い、回転方向の力を直動方向に力を変換する。
【0061】
モータ出力軸604は、モータの回転駆動を伝達する。
【0062】
レール605は、ラック603の駆動をガイドする。
【0063】
ラック押さえ606は、ラック603の移動を規制する。
【0064】
バネ607は、ロックパーツ602を図14の時計回り方向に付勢する。
【0065】
〔アダプタ部の構成〕
次に、アダプタ部7の構成を説明する。図12に示すように、アダプタ部7は、エンドエフェクタ取付板701を備える。エンドエフェクタ取付板701には、エンドエフェクタがネジ等により固定される。
【0066】
図15は、アダプタ部の基端側の斜視図である。図15に示すように、アダプタ部7は、スライダブロック702と、嵌合部703と、エンドエフェクタ取付板ストッパー704と、を備える。
【0067】
スライダブロック702は、スライダ601に嵌合し、一体的に駆動する。
【0068】
嵌合部703は、ツールチェンジャ6側の溝部に嵌合する。
【0069】
エンドエフェクタ取付板ストッパー704は、エンドエフェクタ取付板701のスライドの規制及び解除を制御する。
【0070】
〔ツールチェンジャの動作〕
次に、ツールチェンジャ6の動作を説明する。図14は、アダプタ部7の嵌合部703をツールチェンジャ6の溝部に嵌合させた初期状態を表す。この状態では、バネ607がロックパーツ602を時計回りの方向に付勢しているが、ラック押さえ606がラック603の当接部603aと当接し、その角度が規制されている。その結果、ラック押さえ606と、ロックパーツ602と一体的に形成されているロックパーツストッパー602aとが係合し、ロックパーツ602の回転が規制されている。
【0071】
この状態から、アーム部からの電力及び制御信号に応じて、モータが回転する。図14と同様に、図16図17は、ツールチェンジャを先端側から見た図である。図16に示すように、モータが回転し、追従してモータ出力軸604が反時計回りに回転すると、モータ出力軸604とラック603とが噛み合い、ラック603がレール605に沿って下方にスライドする。すると、ラック押さえ606がラック603の当接部603aと当接する位置が変化し、ラック押さえ606の角度が変化し、ロックパーツ602が回転する。すると、ロックパーツ602のフランジ602bに引掛け部703aが引っ掛かった状態となり、ロックパーツ602の回転が規制されるとともに、アダプタ部7がツールチェンジャ6から脱落することが防止された状態となる。換言すると、ロックパーツ602は、モータを所定の方向に駆動することによりエンドエフェクタを保持する。
【0072】
さらに、モータが回転すると、図17に示すように、モータ出力軸604が反時計回りに回転し、モータ出力軸604とラック603とが噛み合い、ラック603がレール605に沿ってさらに下方にスライドする。このとき、ラック603上に積層されたスライダ601とスライダブロック702とが一体的にスライドするため、スライダブロック702に固定されたエンドエフェクタ取付板701を任意の位置にスライドさせることが可能となる。
【0073】
なお、エンドエフェクタ取付板701が任意の位置にある状態から、モータ出力軸604を時計回りに回転させるようにモータを駆動して、図16の位置まで戻し、そこからさらにモータ出力軸604を時計回りに回転させるようにモータを駆動すると、フランジ602bから引掛け部703aが外れ、ツールチェンジャ6からアダプタ部7を取り外すことができる。換言すると、ロックパーツ602は、モータを所定の方向と反対方向に駆動することによりエンドエフェクタの保持を解除する。
【0074】
以上説明した実施の形態2によれば、アーム部からの電力及び制御信号により、エンドエフェクタ取付板701を任意の位置にスライドさせることができるため、簡易な構成でエンドエフェクタに直動の自由度を付与することができる。従って、装置が大型化、重量化することがなく、可搬性、軽量性に優れている。
【0075】
また、実施の形態2によれば、ロックパーツ602によるアダプタ部7の保持及び解除も、モータの駆動のみで行うことができるため、他の駆動機構を用いることなくアダプタ部7を簡易に保持することができる。
【0076】
なお、上述した実施の形態では、エンドエフェクタに回転又は直動の自由度を付与する例を説明したが、これに限られない。同様の構成により、エンドエフェクタに傾斜の自由度を付与する構成としてもよい。
【0077】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0078】
1 ロボットアーム
2 ベース部
3 アーム部
4、6 ツールチェンジャ
5、7 アダプタ部
31、32、33、34、35、36 駆動部
401 モータ
402 ギヤヘッド
403 出力回転軸
403a 突出部
404 基板
405 センサ部
406、503 ベアリング
407、602 ロックパーツ
407a ストッパー
407b、602b フランジ
408 端子
409、507、607 バネ
501 エンドエフェクタ回転軸
502、701 エンドエフェクタ取付板
502a 穴部
504、703 嵌合部
504a、703a 引掛け部
505、704 エンドエフェクタ取付板ストッパー
505a 回転止め
505b 突き当りストッパー
506 プローブ
508 突き当て部
601 スライダ
602a ロックパーツストッパー
603 ラック
603a 当接部
604 モータ出力軸
605 レール
606 ラック押さえ
702 スライダブロック
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