(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147627
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】半導体ウェハ判定装置、半導体ウェハ判定システム及び半導体ウェハ判定方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055255
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】出利葉 誠
(72)【発明者】
【氏名】山下 直之
(72)【発明者】
【氏名】内田 卓磨
(72)【発明者】
【氏名】白井 憲吾
(72)【発明者】
【氏名】笠原 永行
(72)【発明者】
【氏名】清水 和宏
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA01
4M106DA15
4M106DD03
4M106DJ27
(57)【要約】
【課題】チップが複数形成された半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを効率良く判定し、半導体ウェハの不要なラインアウトに伴う製造効率の低下を防ぐことを課題とする。
【解決手段】半導体ウェハ上に複数形成されたチップを、ウェハ加工後機能テストを行い、機能テストデータ24aに基づいて欠陥傾向画像24fを生成し、該欠陥傾向画像24fを学習済モデルMに入力し、半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、該半導体ウェハをラインアウトするか否かを表示できるように構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の集積回路が形成された半導体ウェハをラインアウトするか否かを判定する半導体ウェハ判定装置であって、
前記複数の集積回路が良品であるか否かの機能テストを行う機能テスト手段と、
前記機能テストにより前記複数の集積回路が所定の条件を満たさない場合に、前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象でないと判定された場合に、前記半導体ウェハをラインアウトさせる旨を報知する報知手段と
を備えたことを特徴とする半導体ウェハ判定装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、
前記複数の集積回路のうち良品であると判定された集積回路の比率が所定の閾値未満である場合、又は、前記複数の集積回路のうち不良品であると判定された集積回路が所定の局所領域に存在する場合であることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウェハ判定装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
多層ニューラルネットワークを教師有り学習により深層学習した学習済モデルを用いて、前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体ウェハ判定装置。
【請求項4】
前記学習済モデルは、
既知の現象の欠陥を有する半導体ウェハの画像とその正解データとからなる第1の教師データと、既知でない現象の欠陥を有する半導体ウェハの画像とその正解データとからなる第2の教師データとを、前記多層ニューラルネットワークに適用して教師有り学習を行うことにより生成されることを特徴とする請求項3に記載の半導体ウェハ判定装置。
【請求項5】
複数の集積回路が形成された半導体ウェハをラインアウトするか否かを判定する半導体ウェハ判定装置と、前記半導体ウェハ判定装置と通信可能なサーバ装置とを有する半導体ウェハ判定システムであって、
前記サーバ装置は、
既知の現象の欠陥を有する半導体ウェハの画像とその正解データとからなる第1の教師データと、既知でない現象の欠陥を有する半導体ウェハの画像とその正解データとからなる第2の教師データとを、多層ニューラルネットワークに適用して教師有り学習を行うことにより学習済モデルを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された学習済モデルを前記半導体ウェハ判定装置に通知する通知手段と
を備え、
前記半導体ウェハ判定装置は、
前記複数の集積回路が良品であるか否かの機能テストを行う機能テスト手段と、
前記機能テストにより前記複数の集積回路が所定の条件を満たさない場合に、前記学習済モデルを用いて前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象でないと判定された場合に、前記半導体ウェハをラインアウトさせる旨を報知する報知手段と
を備えたことを特徴とする半導体ウェハ判定システム。
【請求項6】
複数の集積回路が形成された半導体ウェハをラインアウトするか否かを判定する半導体ウェハ判定装置と、前記半導体ウェハ判定装置と通信可能なサーバ装置とを有する半導体ウェハ判定システムにおける半導体ウェハ判定方法であって、
前記サーバ装置が、既知の現象の欠陥を有する半導体ウェハの画像とその正解データとからなる第1の教師データと、既知でない現象の欠陥を有する半導体ウェハの画像とその正解データとからなる第2の教師データとを、多層ニューラルネットワークに適用して教師有り学習を行うことにより学習済モデルを生成する生成工程と、
前記サーバ装置が、前記生成工程により生成された学習済モデルを前記半導体ウェハ判定装置に通知する通知工程と
前記半導体ウェハ判定装置が、前記複数の集積回路が良品であるか否かの機能テストを行う機能テスト手段と、
前記半導体ウェハ判定装置が、前記機能テストにより前記複数の集積回路が所定の条件を満たさない場合に、前記学習済モデルを用いて前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを判定する判定工程と、
前記半導体ウェハ判定装置が、前記判定工程により前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象でないと判定された場合に、前記半導体ウェハをラインアウトさせる旨を報知する報知工程と
を含むことを特徴とする半導体ウェハ判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模集積回路(LSI: Large Scale Integrated)のチップ(以下、単に「チップ」と言う)が複数形成された半導体ウェハの欠陥が既知のものであるか否かを判定する半導体ウェハ判定装置、半導体ウェハ判定システム及び半導体ウェハ判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ上に複数のチップを形成し、各チップの欠陥検査を行い、各チップが正しく動作をする良品であるか不良品であるかを検査する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、散乱光を用いてカメラで半導体ウェハの画像を撮像し、撮像した画像を用いて半導体ウェハが有する表面的な欠陥又は内部的な欠陥の有無を検査する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のものは、半導体ウェハの画像を用いた検査であるため、半導体ウェハに生じた電気特性上の欠陥を検査することができない。
【0006】
また、実際の半導体ウェハの製造工程では、半導体ウェハに含まれる全てのチップのうち良品の割合が所定値(例えば、80%)以下である場合や、不良品が特定の場所に所在する場合に、半導体ウェハは製造工程からラインアウトされる。この際、上記特許文献1のものは、単に欠陥の有無を検査するものであるため、半導体ウェハを製造工程からラインアウトすべきか否かを判定できない。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点(課題)を解決するためになされたものであって、チップが複数形成された半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを効率良く判定し、半導体ウェハの不要なラインアウトに伴う製造効率の低下を防ぐことができる半導体ウェハ判定装置、半導体ウェハ判定システム及び半導体ウェハ判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、複数の集積回路が形成された半導体ウェハをラインアウトするか否かを判定する半導体ウェハ判定装置であって、前記複数の集積回路が良品であるか否かの機能テストを行う機能テスト手段と、前記機能テストにより前記複数の集積回路が所定の条件を満たさない場合に、前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象でないと判定された場合に、前記半導体ウェハをラインアウトさせる旨を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記所定の条件は、前記複数の集積回路のうち良品であると判定された集積回路の比率が所定の閾値未満である場合、又は、前記複数の集積回路のうち不良品であると判定された集積回路が所定の局所領域に存在する場合であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記判定手段は、多層ニューラルネットワークを教師有り学習により深層学習した学習済モデルを用いて、前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記学習済モデルは、既知の現象の欠陥を有する半導体ウェハの画像とその正解データとからなる第1の教師データと、既知でない現象の欠陥を有する半導体ウェハの画像とその正解データとからなる第2の教師データとを、前記多層ニューラルネットワークに適用して教師有り学習を行うことにより生成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、複数の集積回路が形成された半導体ウェハをラインアウトするか否かを判定する半導体ウェハ判定装置と、前記半導体ウェハ判定装置と通信可能なサーバ装置とを有する半導体ウェハ判定システムであって、前記サーバ装置は、既知の現象の欠陥を有する半導体ウェハの画像とその正解データとからなる第1の教師データと、既知でない現象の欠陥を有する半導体ウェハの画像とその正解データとからなる第2の教師データとを、多層ニューラルネットワークに適用して教師有り学習を行うことにより学習済モデルを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された学習済モデルを前記半導体ウェハ判定装置に通知する通知手段とを備え、前記半導体ウェハ判定装置は、前記複数の集積回路が良品であるか否かの機能テストを行う機能テスト手段と、前記機能テストにより前記複数の集積回路が所定の条件を満たさない場合に、前記学習済モデルを用いて前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象でないと判定された場合に、前記半導体ウェハをラインアウトさせる旨を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、複数の集積回路が形成された半導体ウェハをラインアウトするか否かを判定する半導体ウェハ判定装置と、前記半導体ウェハ判定装置と通信可能なサーバ装置とを有する半導体ウェハ判定システムにおける半導体ウェハ判定方法であって、前記サーバ装置が、既知の現象の欠陥を有する半導体ウェハの画像とその正解データとからなる第1の教師データと、既知でない現象の欠陥を有する半導体ウェハの画像とその正解データとからなる第2の教師データとを、多層ニューラルネットワークに適用して教師有り学習を行うことにより学習済モデルを生成する生成工程と、前記サーバ装置が、前記生成工程により生成された学習済モデルを前記半導体ウェハ判定装置に通知する通知工程と前記半導体ウェハ判定装置が、前記複数の集積回路が良品であるか否かの機能テストを行う機能テスト手段と、前記半導体ウェハ判定装置が、前記機能テストにより前記複数の集積回路が所定の条件を満たさない場合に、前記学習済モデルを用いて前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを判定する判定工程と、前記半導体ウェハ判定装置が、前記判定工程により前記半導体ウェハの欠陥が既知の現象でないと判定された場合に、前記半導体ウェハをラインアウトさせる旨を報知する報知工程とを含むことを特徴とする
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、チップが複数形成された半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを効率良く判定し、半導体ウェハの不要なラインアウトに伴う製造効率の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る半導体ウェハ判定システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した半導体ウェハ判定システムのシステム構成を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示したサーバ装置の機能を示した機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、
図2に示したサーバ装置における教師有り学習の概要を説明するための説明図である。
【
図5】
図5は、
図2に示したサーバ装置における学習済モデルの生成手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図2に示した判定装置の機能を示した機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、
図6に示した学習済モデルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、欠陥が既知の現象であるか否かの判定を説明するための説明図である。
【
図9】
図9は、
図6に示した機能テストデータの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、
図6に示した品種パラメータ及び配列データの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、
図6に示した重み付けパラメータ及び欠陥傾向画像の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、
図2に示した判定装置の処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【
図15】
図15は、
図2に示した判定装置の処理手順を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る半導体ウェハ判定装置、半導体ウェハ判定システム及び半導体ウェハ判定方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
<半導体ウェハ判定システムの概要>
本実施形態に係る半導体ウェハ判定システムの概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体ウェハ判定システムの概要を説明するための説明図である。本実施形態では、半導体ウェハのウェハ加工後に行われる機能テストにおいて欠陥判定を行う場合について説明する。以下では、CNN(Convolutional Neural Network)を用いて深層学習を行った学習済モデルを用いる場合を中心について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、決定木アルゴリズムに基づく勾配ブースティングの機械学習を適用する場合や、Microsoft Excel(登録商標)等の分析ツールを用いることもできる。
【0018】
従来、半導体ウェハのウェハ加工後に行われる機能テストでは、半導体ウェハ上に形成された各チップが良品であるか不良品であるかが検査される。そして、良品のチップが所定値以上である場合には、半導体ウェハを次のチップ化工程に移行し、良品のチップが所定値未満ある場合又は不良品のチップが局所領域に存在する場合には、半導体ウェハをラインアウトして、不良品が発生した要因が分析される。
【0019】
ここで、半導体ウェハが製造工程からラインアウトされた場合に、チップの半導体ウェハ面内における欠陥発生傾向(以下、「半導体ウェハの欠陥」と言う)が既知の現象である場合には、半導体ウェハをラインアウトせずとも既知の現象に対する対策を講ずれば足りる。ところが、従来は、半導体ウェハの欠陥が既知の現象であったとしても、欠陥が生じた要因を担当者が分析していたため、その分析に時間を要し、結果的に製造効率の低下の原因となっていた。
【0020】
このため、本実施形態に係る半導体ウェハ判定システムでは、半導体ウェハ上の複数のチップに機能テストを実施し、そのテスト結果データを記憶する。そして、該テスト結果データに基づいて欠陥傾向画像24fが生成される。
【0021】
この欠陥傾向画像24fは、あらかじめ深層学習により教師有り学習された学習済モデルMに入力される。これにより、学習済モデルMから半導体ウェハの欠陥が既知の現象である確率が出力される。その後、この確率に基づいて半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かの判定を行う。そして、既知の現象であると判定された場合には、半導体ウェハをラインアウトしないように表示し、既知の現象でないと判定された場合には、半導体ウェハをラインアウトするように表示する。なお、ここでは説明の便宜上、学習済モデルMから半導体ウェハの欠陥が既知の現象である確率を出力する場合を示したが、学習済モデルMから半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるスコアを出力することもできる。
【0022】
上記一連の流れを具体的に説明すると、半導体ウェハ判定システムは、ウェハ加工後の半導体ウェハ上の複数のチップに機能テストを行い、そのテスト結果を機能テストデータ24aとして記憶部に記憶する(S1)。そして、記憶部に記憶された機能テストデータ24aは、配列データ24dにデータ変換を行う。データ変換後の配列データ24dを重み付け処理した後に、これを白黒濃淡画像の欠陥傾向画像24fとする(S2)。
【0023】
この欠陥傾向画像24fは、あらかじめ深層学習の教師有り学習により生成された学習済モデルMに入力される(S3)。この学習済モデルMは、半導体ウェハの欠陥が既知の現象となる画像及びその正解データRとからなる学習データと、半導体ウェハの欠陥が既知の現象ではない画像及びその正解データRとからなる学習データを用いて教師有り学習をされたものである。
【0024】
これにより、学習済モデルMから半導体ウェハの欠陥が既知の現象である確率及び半導体ウェハの欠陥が既知の現象でない確率が出力される(S4)。そして、この既知の現象である確率及び既知の現象でない確率に基づいて、半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かが判定される(S5)。そして、半導体ウェハの欠陥が既知の現象であると判定された場合には、半導体ウェハをラインアウトしないように表示を行う。一方、半導体ウェハの欠陥が既知の現象でないと判定された場合は、半導体ウェハをラインアウトし、人による解析を行うように表示を行う(S6)。
【0025】
次に、
図1に示した半導体ウェハ判定システムのシステム構成について説明する。
図2は、
図1に示した半導体ウェハ判定システムのシステム構成を示す図である。
図2に示すように、半導体ウェハ判定システムは、サーバ装置10と、判定装置20と、測定装置30と、ステージコントローラ40と、プローバ50と、半導体ウェハ60と、チップ61と、稼働ステージ70と、プローブ80a及び80bとを有する。
【0026】
サーバ装置10及び判定装置20はネットワークNに接続される。判定装置20と測定装置30との間は制御線によって接続される。判定装置20とステージコントローラ40との間は制御線によって接続される。測定装置30とプローブ80a及び80bとは、電圧、電流及び信号を伝達するための信号線によって接続される。ステージコントローラ40及び稼働ステージ70は制御線によって接続される。
【0027】
サーバ装置10は、多層ニューラルネットワークであるCNNBに教師データを用いた教師有り学習を行って学習済モデルMを生成し、生成した学習済モデルMを判定装置20に通知する。CNNBを用いた深層学習による教師有り学習を行うためには、大量の教師データが必要となる。このため、本実施形態では、あらかじめ教師用画像Aが準備される。
【0028】
教師用画像Aは、過去に半導体ウェハ上の複数のチップの機能テストを行い、機能テストにより半導体ウェハの欠陥が既知の現象であると判定された画像及びその正解データRと、機能テストにより半導体ウェハの欠陥が既知の現象でないと判定された画像及びその正解データRとからなる。
【0029】
判定装置20は、測定装置30より送信される機能テストの結果データを受信する処理と、機能テストの結果データをデータ変換して欠陥傾向画像24fを生成する処理と、欠陥傾向画像24fを学習済モデルMに入力し、半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを判定する処理と、判定結果に基づいて半導体ウェハを製造工程からラインアウトするか否かを表示する処理とを行う。
【0030】
測定装置30は、電圧及びロジック信号をプローブ80a及び80bを介してチップに印加し、チップの機能テストを行い、機能テストの結果データを判定装置20に送信する処理を行う。ステージコントローラ40は、稼働ステージ70を制御し、チップ61とプローブ80a及び80bを接触させる処理を行う。
【0031】
プローバ50は、半導体ウェハ60をプローバ50の上面部に固定する。上面部に固定する場合には、例えばプローバ50の上面に負圧を掛けて半導体ウェハ60を吸着する。半導体ウェハ60は、チップを形成するシリコン材料又は化合物半導体材料等の基板である。チップ61は、半導体ウェハ60上に製造された大規模集積回路である。なお、チップ61は、半導体ウェハ60上に複数(例えば、100個)製造される。
【0032】
<サーバ装置10の構成>
次に、
図2に示したサーバ装置10の構成について説明する。
図3は、
図2に示したサーバ装置10の構成を示す機能ブロック図である。また、
図4は、
図2に示したサーバ装置10による学習済モデルMの生成の概要を示す図である。
【0033】
図3に示すように、サーバ装置10は、表示部11、操作部12、通信I/F部13、記憶部14及び制御部15を有する。表示部11は、液晶パネル又はディスプレイ装置などの表示デバイスであり、操作部12は、キーボードやマウスなどの入力デバイスである。通信I/F部13は、判定装置20などの他の装置と通信を行うためのインターフェース部である。
【0034】
記憶部14は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、教師用画像A、CNNB及び学習済モデルMを記憶する。教師用画像Aは、CNNBに教師有り学習を行わせるためにあらかじめ準備された画像である。CNNBは、学習済モデルMを生成するための畳み込み式の多層ニューラルネットワークである。学習済モデルMは、教師用画像A及び正解データR(既知の現象である確率)を用いて深層学習による教師有り学習を行った結果得られるモデルである。
【0035】
制御部15は、サーバ装置10の全体制御を行う制御部であり、学習処理部15a及び学習済モデル送信部15bを有する。実際には、これらを含む学習済モデル生成プログラムをCPUにロードして実行することにより、学習処理部15a及び学習済モデル送信部15bにそれぞれに対応するプロセスを含む学習済モデル生成プロセスを実行させることになる。
【0036】
学習処理部15aは、教師用画像A及び正解データRを学習データとして深層学習の教師有り学習を行う処理部である。具体的には、
図4に示すように、教師用画像AをCNNBに入力するとともに、例えば正解データRに基づいてバックプロパゲーションを行わせ、各パスの重みを決定する教師有り学習処理を繰り返して、学習済モデルMを生成する。なお、正解データRすなわち既知の現象である確率は、教師有り学習を行う担当者が付与することができる。
【0037】
学習済モデル送信部15bは、判定装置20に学習済モデルMを通知する処理部である。なお、判定装置20は、この学習済モデルMを用いて半導体ウェハの欠陥が既知の現象である確率を算出する。
【0038】
<サーバ装置10の処理手順>
次に、サーバ装置10の処理手順について説明する。
図5は、
図2に示したサーバ装置10の処理手順を示すフローチャートである。サーバ装置10は、教師用画像Aが入力されたならば(ステップS101)、教師用画像Aと正解データRを用いてCNNBに教師有り学習を行わせる(ステップS102)。
【0039】
そして、所定の終了条件を満たしていないならば(ステップS103:No)、ステップS101に移行して、新たな教師用画像Aを入力し、同様の処理を繰り返す。所定の終了条件を満たしたならば(ステップS103:Yes)、学習済モデルMを記憶部14に記憶するとともに(ステップS104)、学習済モデルMを判定装置20に送信して(ステップS105)、上記一連の処理を終了する。
【0040】
<判定装置20の構成>
次に、
図2に示した判定装置20の構成について説明する。
図6は、
図2に示した判定装置20の構成を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、判定装置20は、表示部21、操作部22、通信I/F部23、記憶部24及び制御部25を有する。
【0041】
表示部21は、液晶パネル又はディスプレイ装置などの表示デバイスであり、操作部22は、キーボードやマウスなどの入力デバイスである。通信I/F部23は、サーバ装置10、測定装置30及びステージコントローラ40などの他の装置と通信を行うためのインターフェース部である。
【0042】
記憶部24は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、機能テストデータ24a、マップデータ24b、品種パラメータ24c、配列データ24d、重み付けパラメータ24e、欠陥傾向画像24f、学習済モデルM及び判定結果データ24gを記憶する。機能テストデータ24aは、チップの機能テストを実施したテスト結果のデータである。
【0043】
マップデータ24bは、機能テストデータ24aに基づいて、チップ番号とチップの機能テスト結果が所定の規定値範囲に入らなかったテスト番号とを対応付けたデータである。品種パラメータ24cは、マップデータ24bを配列データ24dに変換する場合に、配列の列のサイズ、配列の行のサイズ、テスト番号及びその重みを対応付けたパラメータである。配列データ24dは、マップデータ24bを品種パラメータ24cにしたがって並べ替えた配列データである。
【0044】
重み付けパラメータ24eは、品種パラメータ24cで重み付けされた配列データ24dから欠陥傾向画像24fを生成する場合に、重みと白黒濃淡画像の輝度とを対応付けたパラメータである。欠陥傾向画像24fは、重み付けパラメータ24eで対応付けられた白黒濃淡画像の輝度で配列データ24dから生成される。学習済モデルMは、サーバ装置10で教師有り学習を行った学習済モデルである。判定結果データ24gは、欠陥傾向画像24fを学習済モデルMに入力し、既知の現象であるか否かの確率を算出し、既知の現象であるか否かの判定を行ったデータである。
【0045】
ここで、学習済モデルMの層構造について説明する。
図7に示す学習済モデルMは、学習済モデルMの層構造の一例を示す図であり、ここではコンボリューション層(Convolution)91、コンボリューション層(Convolution)92、アベレージプーリング層(Average Pooling)93、コンボリューション層(Convolution)94、アベレージプーリング層(Average Pooling)95、全結合層(Fully Connect)96、全結合層(Fully Connect)97及び出力層(Softmax)98を有する。
【0046】
コンボリューション層91,92,94は、局所的な特徴を抽出するために、前層で近くにあるノードにフィルタを畳み込んで特徴マップを生成する。アベレージプーリング層93,95は、局所的な特徴をまとめあげるために、前層であるコンボリューション層から出力された特徴マップをさらに縮小して新たな特徴マップとする。このように、CNNの隠れ層は、コンボリューション層とアベレージプーリング層により形成される。
【0047】
全結合層96,97は、特徴部分が取り出された特徴マップを一つのノードに結合し、所定の活性化関数によって変換された値を出力する。この活性化関数には、周知技術であるReLU(Rectified Linear Unit)等を用いることができる。出力層98は、全結合層97からの出力(特徴変数)を元に、ソフトマックス関数を用いて確率に変換し、それぞれ正しく分類される確率を出力する。なお、オーバーフィッティングを避けるためにドロップアウト層を追加することもできる。なお、CNNの基本構造は公知技術であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0048】
制御部25は、判定装置20の全体制御を行う制御部であり、機能テスト処理部25a、テストデータ変換部25b、判定部25c及び判定結果処理部25dを有する。実際には、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、機能テスト処理部25a、テストデータ変換部25b、判定部25c及び判定結果処理部25dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0049】
機能テスト処理部25aは、測定装置30で行われた機能テストの結果データを受信し、機能テストデータ24aとして記憶部に記憶する。テストデータ変換部25bは、機能テストデータ24aをマップデータ24b、品種パラメータ24c、配列データ24d及び重み付けパラメータ24eに基づいてデータ変換を行い、欠陥傾向画像24fを生成する。
【0050】
判定部25cは、学習済モデルMを用いて半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かの判定を行う処理部である。具体的には、
図8に示すように、欠陥傾向画像24fを学習済モデルMに入力し、機能テストを行った半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かの確率を算出し、算出された確率から既知の現象であるか否かの判定を行う。例えば既知の現象である確率が0.8以上であるならば、既知の現象であると判定し、既知の現象でない確率が0.8以上である場合は、既知の現象でないと判定する。判定結果処理部25dは、既知の現象であるか否かの判定結果に基づいて、既知の現象である場合は、半導体ウェハはラインアウトしないように表示を行い、既知の現象でない場合は、半導体ウェハをラインアウトし、人による原因の解析を行うように表示を行う。
【0051】
次に、機能テストデータ24aの一例について説明する。
図9は、
図6に示した機能テストデータ24aの一例を示す図である。
図9に示すように、ウェハ番号、チップ番号、チップ位置X軸、チップ位置Y軸、テスト1、テスト2、テスト3、テスト4、テスト5が対応付けられている。なお、チップ位置は、半導体ウェハの横方向をX軸、縦方向をY軸とした場合の半導体ウェハ上のチップの物理的位置を表わしている。
【0052】
ここでは、ウェハ番号「1」、チップ番号「1」に対して、チップ位置X軸「1」、チップ位置Y軸「1」、テスト1「-」、テスト2「-」、テスト3「-」、テスト4「-」、テスト5「-」が対応付けられている状況を示している。なお、テスト番号の「-」は、機能テストを行っていない状態を示している。また、ウェハ番号「1」、チップ番号「2」に対して、チップ位置X軸「11」、チップ位置Y軸「1」、テスト1「-」、テスト2「-」、テスト3「-」、テスト4「-」、テスト5「-」が対応付けられている状況を示している。
【0053】
また、ウェハ番号「1」、チップ番号「3」に対して、チップ位置X軸「21」、チップ位置Y軸「1」、テスト1「-」、テスト2「-」、テスト3「-」、テスト4「-」、テスト5「-」が対応付けられている状況を示している。また、ウェハ番号「1」、チップ番号「15」に対して、チップ位置X軸「41」、チップ位置Y軸「11」、テスト1「-」、テスト2「-」、テスト3「-」、テスト4「-」、テスト5「-」が対応付けられている状況を示している。また、ウェハ番号「1」、チップ番号「16」に対して、チップ位置X軸「41」、チップ位置Y軸「11」、テスト1「3.3」、テスト2「1.52」、テスト3「1.51」、テスト4「0.1」、テスト5「1.51」が対応付けられている状況を示している。
【0054】
また、ウェハ番号「1」、チップ番号「17」に対して、チップ位置X軸「51」、チップ位置Y軸「11」、テスト1「3.2」、テスト2「1.51」、テスト3「1.50」、テスト4「0.2」、テスト5「1.52」が対応付けられている状況を示している。また、ウェハ番号「1」、チップ番号「18」に対して、チップ位置X軸「61」、チップ位置Y軸「11」、テスト1「3.3」、テスト2「1.52」、テスト3「1.52」、テスト4「0.1」、テスト5「1.51」が対応付けられている状況を示している。また、ウェハ番号「2」、チップ番号「1」に対して、チップ位置X軸「1」、チップ位置Y軸「1」、テスト1「-」、テスト2「-」、テスト3「-」、テスト4「-」、テスト5「-」が対応付けられている状況を示している。
【0055】
また、ウェハ番号「2」、チップ番号「2」に対して、チップ位置X軸「11」、チップ位置Y軸「1」、テスト1「-」、テスト2「-」、テスト3「-」、テスト4「-」、テスト5「-」が対応付けられている状況を示している。また、ウェハ番号「2」、チップ番号「3」に対して、チップ位置X軸「21」、チップ位置Y軸「1」、テスト1「-」、テスト2「-」、テスト3「-」、テスト4「-」、テスト5「-」が対応付けられている状況を示している。
【0056】
次に、マップデータ24bの一例について説明する。
図10は、
図6に示したマップデータ24bの一例を示す図である。マップデータ24bは、
図9に示した機能テストデータ24aのテスト結果をデータ変換したデータである。
【0057】
具体的には、機能テストデータ24aにおいて、測定値が規定値の範囲外の値を示す場合に、そのテスト番号をチップ番号と対応付ける。
図10に示すように、ウェハ番号「01」のチップ番号「1」に対して、テスト番号「0」が対応付けられている状況を示している。また、ウェハ番号「01」のチップ番号「2」に対して、テスト番号「0」が対応付けられている状態を示している。
【0058】
また、ウェハ番号「01」のチップ番号「3」に対して、テスト番号「0」が対応付けられている状態を示している。また、ウェハ番号「01」のチップ番号「15」に対して、テスト番号「0」が対応付けられている状態を示している。また、ウェハ番号「01」のチップ番号「16」に対して、テスト番号「5」が対応付けられている状態を示している。
【0059】
また、ウェハ番号「01」のチップ番号「17」に対して、テスト番号「5」が対応付けられている状態を示している。また、ウェハ番号「01」のチップ番号「18」に対して、テスト番号「5」が対応付けられている状態を示している。また、ウェハ番号「02」のチップ番号「1」に対して、テスト番号「0」が対応付けられている状態を示している。
【0060】
また、ウェハ番号「02」のチップ番号「2」に対して、テスト番号「0」が対応付けられている状態を示している。また、ウェハ番号「02」のチップ番号「3」に対して、テスト番号「0」が対応付けられている状態を示している。また、ウェハ番号「02」のチップ番号「15」に対して、テスト番号「0」が対応付けられている状態を示している。
【0061】
また、ウェハ番号「02」のチップ番号「16」に対して、テスト番号「0」が対応付けられている状態を示している。また、ウェハ番号「02」のチップ番号「17」に対して、テスト番号「0」が対応付けられている状態を示している。また、ウェハ番号「02」のチップ番号「18」に対して、テスト番号「0」が対応付けられている状態を示している。なお、テスト番号「0」は、テストを行っていない状況、テスト番号「1」はすべてのテストが所定の規定値内(良品)である状態、テスト番号「5」は、テスト4が所定の規定値外である状態を示している。
【0062】
次に、品種パラメータ24c及び配列データ24dの一例について説明する。
図11は、
図6に示した品種パラメータ24c及び配列データ24dの一例を示す図である。
図11(a)に示すように、品種パラメータ24cは、マップデータ24bを配列データ24dに変換する場合のパラメータを示している。ここでは、配列データサイズ(列の数)、配列データサイズ(行の数)、テスト番号及び重みを対応付けている。
【0063】
ここでは、配列データサイズ「11列」、配列データサイズ「10行」を対応付けている状態を示している。また、テスト番号「0」に対して,重み「0」を、テスト番号「1」に対して、重み「0」を、テスト番号「2」に対して、重み「3」を、テスト番号「3」に対して、重み「1」を、テスト番号「4」に対して、重み「1」を、テスト番号「5」に対して、重み「5」を対応付けられている状況を示している。
【0064】
また、テスト番号「6」に対して,重み「4」を、テスト番号「7」に対して、重み「2」を、テスト番号「8」に対して、重み「3」を、テスト番号「9」に対して、重み「2」を、テスト番号「10」に対して、重み「1」を対応付けられている状況を示している。
【0065】
また、配列データ24dは、半導体ウェハ毎に生成され、マップデータ24bを品種パラメータ24cに基づいてデータ変換を行って生成している。具体的には、配列データ24dの1行目、1列目のデータを「a
11」で表わすと、マップデータ24bのチップ番号「1」のデータを配列データ24dの「a
11」に変換する。そして、マップデータ24bのチップ番号「2」のデータを配列データ24dの「a
12」に変換する。以降、同様にマップデータ24bのデータを配列データ24dに変換して行き、チップ番号「12」のデータを配列データ24dの「a
21」に変換する。そして、
図11(b)に示すように、配列データ24dは、マップデータ24bのウェハ番号「01」のチップ番号「1」のデータが、配列データ24d「a
11」に対して、テスト番号「0」としてデータ変換されている状況を示している。また、マップデータ24bのウェハ番号「01」のチップ番号「2」のデータは、配列データ24d「a
12」に対して、テスト番号「0」としてデータ変換されている状況を示している。
【0066】
また、マップデータ24bのウェハ番号「01」のチップ番号「3」のデータは、配列データ24d「a13」に対して、テスト番号「0」としてデータ変換されている状況を示している。また、マップデータ24bのウェハ番号「01」のチップ番号「15」のデータは、配列データ24dのa24にテスト番号「0」としてデータ変換されている状況を示している。また、マップデータ24bのウェハ番号「01」のチップ番号「16」のデータは、配列データ24dのa25にテスト番号「5」としてデータ変換されている状況を示している。
【0067】
また、マップデータ24bのウェハ番号「01」のチップ番号「17」のデータは、配列データ24dのa26にテスト番号「5」としてデータ変換されている状況を示している。また、マップデータ24bのウェハ番号「01」のチップ番号「18」のデータは、配列データ24dのa27にテスト番号「5」としてデータ変換されている状況を示している。以降、最後のチップであるウェハ番号「01」のチップ番号「110」まで同様の変換を行う。なお、配列データ24dには、図示していない重みもテスト番号と同時に記憶されている。
【0068】
次に、重み付けパラメータ24eと欠陥傾向画像24fの一例について説明する。
図12は、
図6に示した重み付けパラメータ24e及び欠陥傾向画像24fの一例を示す図である。
図12(a)に示すように、重み付けパラメータ24eは、品種パラメータ24cの重みに対して、白黒濃淡画像の輝度を対応付けている。ここでは、重み「0」に対して、輝度「255」を対応付けている状況を示している。また、重み「1」に対して、輝度「255」を対応付けている状況を示している。
【0069】
また、重み「2」に対して、輝度「204」を対応付けている状況を示している。また、重み「3」に対して、輝度「153」を対応付けている状況を示している。また、重み「4」に対して、輝度「102」を対応付けている状況を示している。また、重み「5」に対して、輝度「0」を対応付けている状況を示している。
【0070】
また、欠陥傾向画像24fは、配列データ24dの重みに対して、重み付けパラメータ24eに基づいて白黒濃淡画像の輝度から生成されている画像である。
図12(b)に示すように、欠陥傾向画像24fは、配列データ24dのa
11のデータが、輝度「255」に変換され白のデータに変換されている状況を示している。また、配列データ24dのa
12のデータが、輝度「255」に変換され白のデータに変換されている状況を示している。
【0071】
また、配列データ24dのa13のデータが、輝度「255」に変換され白のデータに変換されている状況を示している。また、配列データ24dのa24のデータが、輝度「255」に変換され白のデータに変換されている状況を示している。また、配列データ24dのa25のデータが、輝度「0」に変換され黒のデータに変換されている状況を示している。
【0072】
また、配列データ24dのa26のデータが、輝度「0」に変換され黒のデータに変換されている状況を示している。また、配列データ24dのa27のデータが、輝度「0」に変換され黒のデータに変換されている状況を示している。以降、配列データ24dの最後のデータであるa1011のデータまで同様の変換を行う。
【0073】
次に、判定結果データ24gの一例について説明する。
図13は、
図6に示した判定結果データ24gの一例を示す図である。
図13に示すように、欠陥傾向画像24fの「画像1」に対して、既知の現象である確率「0.82」、既知の現象でない確率「0.18」、判定結果「既知の現象」を対応付けている状況を示している。
【0074】
また、欠陥傾向画像24fの「画像2」に対して、既知の現象である確率「1.00」、既知の現象でない確率「0.00」、判定結果「既知の現象」を対応付けている状況を示している。また、欠陥傾向画像24fの「画像3」に対して、既知の現象である確率「1.00」、既知の現象でない確率「0.00」、判定結果「既知の現象」を対応付けている状況を示している。また、欠陥傾向画像24fの「画像4」に対して、既知の現象である確率「0.998」、既知の現象でない確率「0.002」、判定結果「既知の現象」を対応付けている状況を示している。
【0075】
また、欠陥傾向画像24fの「画像5」に対して、既知の現象である確率「0.00」、既知の現象でない確率「1.00」、判定結果「既知の現象でない」を対応付けている状況を示している。また、欠陥傾向画像24fの「画像6」に対して、既知の現象である確率「0.002」、既知の現象でない確率「0.998」、判定結果「既知の現象でない」を対応付けている状況を示している。また、欠陥傾向画像24fの「画像7」に対して、既知の現象である確率「0.00」、既知の現象でない確率「1.00」、判定結果「既知の現象でない」を対応付けている状況を示している。また、欠陥傾向画像24fの「画像8」に対して、既知の現象である確率「0.00」、既知の現象でない確率「1.00」、判定結果「既知の現象でない」を対応付けている状況を示している。
【0076】
次に、判定装置20の処理手順について説明する。
図14及び
図15は、
図6に示した判定装置20の処理手順を示すフローチャートである。判定装置20は、半導体ウェハ上のすべてのチップに対して機能テストを行い、機能テストデータ24aを記憶部に記憶する(ステップS201)。次に、判定装置20は、機能テストデータ24aに基づいて、良品率の算出及び不良チップがウェハ面内の一部に局所集中しているかを検出する(ステップS202)。
【0077】
そして、判定装置20は、良品率が80%以下でない場合又は不良品のチップが局所集中していない場合は(ステップS203:No)、半導体ウェハをラインアウトしないように表示を出し(ステップS209)、一連の処理を終了する。判定装置20は、良品率が80%以下又は不良品のチップが局所集中している場合は(ステップS203:Yes)、記憶している機能テストデータ24aからマップデータ24bにデータ変換を行う(ステップS204)。
【0078】
次に、マップデータ24bから品種パラメータ24cに基づいて配列データ24dにデータ変換を行う(ステップS205)。そして、該配列データ24dを重み付けパラメータ24eに基づいてデータ変換を行い、欠陥傾向画像24fを生成する(ステップS206)。そして、該欠陥傾向画像24fを学習済モデルMに入力し、既知の現象であるか否かの判定を行う(ステップS207)。
【0079】
判定装置20は、判定結果が既知の現象である場合は(ステップS208:Yes)、半導体ウェハをラインアウトしないように表示し(ステップS209)、一連の処理を終了する。また、判定装置20は、判定結果が既知の現象でない場合は(ステップS208:No)、半導体ウェハをラインアウトし、人による原因解析を行うように表示し、一連の処理を終了する。
【0080】
上述してきたように、本実施形態では、半導体ウェハ上に複数形成されたチップを、ウェハ加工後機能テストを行い、機能テストデータ24aに基づいて欠陥傾向画像24fを生成し、該欠陥傾向画像24fを学習済モデルMに入力し、半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、該半導体ウェハをラインアウトするか否かを表示できるように構成したので、半導体ウェハの欠陥が既知の現象である場合に、半導体ウェハを不要にラインアウトしなくてよいため、製造効率の低下を防ぐことが可能となる。
【0081】
なお、上記実施形態では、判定装置20が、CNNを用いて深層学習を行った学習済モデルMを用いて判定を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、深層学習以外の機械学習により生成された学習済モデルを用いることもできる。例えば、決定木アルゴリズムに基づく勾配ブースティングの機械学習を用いて生成した学習済モデルを用いることができる。また、判定装置20が、学習済モデルを利用するのではなく、分析ツールをアドインしたMicrosoft Excel(登録商標)等の市販ソフトや、新しくプログラムした専用アプリ等を用いて判定することもできる。これらの場合にも、サーバ装置10が判定装置20に対して学習済モデル、市販ソフト又は専用アプリを提供することになる。
【0082】
上記の各実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る半導体ウェハ判定装置、半導体ウェハ判定システム及び半導体ウェハ判定方法は、チップが複数形成された半導体ウェハの欠陥が既知の現象であるか否かを効率良く判定し、半導体ウェハの不要なラインアウトに伴う製造効率の低下を防ぐ場合に適している。
【符号の説明】
【0084】
A 教師用画像
B CNN
M 学習済モデル
N ネットワーク
R 正解データ
10 サーバ装置
11 表示部
12 操作部
13 通信I/F部
14 記憶部
15 制御部
15a 学習処理部
15b 学習済モデル送信部
20 判定装置
21 表示部
22 操作部
23 通信I/F部
24 記憶部
24a 機能テストデータ
24b マップデータ
24c 品種パラメータ
24d 配列データ
24e 重み付けパラメータ
24f 欠陥傾向画像
24g 判定結果データ
25 制御部
25a 機能テスト処理部
25b テストデータ変換部
25c 判定部
25d 判定結果処理部
30 測定装置
40 ステージコントローラ
50 プローバ
60 半導体ウェハ
61 チップ
70 稼働ステージ
80a、80b プローブ
91、92、94 コンボリューション層
93、95 アベレージプーリング層
96、97 全結像層
98 出力層